特許第6609135号(P6609135)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6609135
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】車両用リアコンビネーションランプ
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/236 20180101AFI20191111BHJP
   F21S 43/242 20180101ALI20191111BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20191111BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20191111BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20191111BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20191111BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20191111BHJP
【FI】
   F21S43/236
   F21S43/242
   F21W103:20
   F21W103:35
   F21W103:45
   F21Y101:00 100
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-146327(P2015-146327)
(22)【出願日】2015年7月24日
(65)【公開番号】特開2017-27823(P2017-27823A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】三浦 弘嗣
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−058325(JP,A)
【文献】 特開2010−050009(JP,A)
【文献】 特開2002−093213(JP,A)
【文献】 特開2015−064996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/236
F21S 43/242
F21W 103/20
F21W 103/35
F21W 103/45
F21Y 101/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングとアウターレンズと形成された灯室内にテールランプユニットとテール&ストップランプユニットとを収容してなる車両用リアコンビネーションランプであって、
前記テールランプユニットは、光源と、前記車両用リアコンビネーションランプの長手方向に沿って延在されると共に、光源から発せられた光を導光する導光体と、前記導光体から出射された光の配光制御を行う1つのインナーレンズとを備えた所謂エッジライト型の光学系を有し、
前記テール&ストップランプユニットは、光源と光源から発せられた光の直接光の配光制御を行う、互いの間に所定の間隔を置いて二重に配置された2つのインナーレンズとを備えた所謂直下型の光学系を有し、
前記テールランプユニットの導光体の背面には、当該導光体の長手方向に垂直に延びる三角凹凸柱形状が連続して並設されてなるプリズム面からなる内部反射部が形成され、前記導光体の前記内部反射部に対向する面には、光出射反射部が形成されており、
前記テールランプユニットの光源から前記導光体内に入射した光の少なくとも一部が、前記導光体の前記内部反射部と前記光出射反射部での内部反射を経て、前記光出射反射部から出射し、
前記テールランプユニットの前記インナーレンズの前記導光体側の面として複数の凹凸状とされた光入射面が形成され、前記導光体と反対側の面に複数の魚眼レンズで構成されてなる光出射面が形成されており、
前記テール&ストップランプユニットの2つのインナーレンズのうち前記テール&ストップランプユニットの光源側の第1のインナーレンズには、前面に当該第1のインナーレンズの延長方向に延びる柱状のフレネルレンズからなる光出射面が形成され、当該第1のインナーレンズの短手方向に集光されて出射するものとされ、
前記テール&ストップランプユニットの2つのインナーレンズのうち、前記第1のインナーレンズの前方側に設けた第2のインナーレンズは、前記第1のインナーレンズ側の面に長手方向に垂直に延びる三角凹凸柱が該延長方向に連続して並設されてなるプリズム面からなる光入射面が形成され、前面には複数の魚眼レンズが形成されてなる光出射面が形成されており、前記光入射面から入射して前記光出射面に向かう光が長手方向に集光されて向かうものとされている、
ことを特徴とする車両用リアコンビネーションランプ。
【請求項2】
前記灯室内の中央部にターンシグナルランプユニットが位置し、
前記ターンシグナルランプユニットの上半分を覆うように該ターンシグナルランプユニットに沿って前記テールランプユニットが位置し、
前記ターンシグナルランプユニットの下半分を覆うように該ターンシグナルランプユニットに沿って前記テール&ストップランプユニットが位置していることを特徴とする請求項1に記載の車両用リアコンビネーションランプ。
【請求項3】
前記テールランプユニットの光源および前記テール&ストップランプユニットの光源がLEDであることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の車両用リアコンビネーションランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用リアコンビネーションランプに関するものであり、詳しくは、夫々が異なる機能を有する複数のランプユニットが一つの灯室内に一体的に組み込まれてなる車両用リアコンビネーションランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンビネーションランプとしては、特許文献1に「車両用灯具」の名称で開示されたものがある。
【0003】
開示された車両用灯具は図11及び図12にあるように、ランプボディとアウターカバーとによって形成された灯室内に、光源となる複数のLED(第1のLED)80及び複数のLED(第2のLED)81が実装されてなるLED実装基板82と光学部材90とが配置されている。
【0004】
光学部材90はアウターカバーの後面側に配置され、第1のインナーレンズ91と第2のインナーレンズ96とを備えている。
【0005】
そのうち、第1のインナーレンズ91は、左右方向に延在し、後面に光拡散面となるシリンドリカルレンズカット92が施されてなる平板状の導光部93と、導光部93の外縁に沿って左右方向に延び、後面に内部反射面(全反射面)となる反射レンズカット94が施されてなるライン状の導光部95とが一体的に形成されている。
【0006】
一方、第2のインナーレンズ96は、第1のインナーレンズ91とLED実装基板82との間に位置し、後面の、第1のLED80の直上位置に入光レンズ部97が形成されてなる平板状の素通し部98と、素通し部98の側方端部から第2のLED81の直上を第1のインナーレンズ91の側方端部近傍まで延びる導光部99とが一体的に形成されている。
【0007】
そこで、第1のLED80の点灯によって出射された光は、第2のインナーレンズ96の素通し部98に設けられた入光レンズ部97で拡散されて素通し部98を透過し、更に、前方に位置する第1のインナーレンズ91の導光部93のシリンドリカルレンズカット92で拡散されて導光部93を透過して灯具の前方に出射される(図11参照)。
【0008】
また、第2のLED81の点灯によって出射された光は、第2のLED81の直上を延びる、第2のインナーレンズ96の導光部99内を前方端部まで導光され、前方端部から出射して第1のインナーレンズ91の導光部95の側方端部から導光部95に入射し、反射レンズカット94と光出射反射面100との間で内部反射(全反射)を繰り返しながら他方の側方端部側に向かって導光される途中で、反射レンズカット94で内部反射された反射光の一部が光出射反射面100から灯具の前方に出射される(図12参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2013−58325号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記構成からなる車両用灯具において、第1のインナーレンズ91の導光部93から出射される光は、第1のLED80の照射方向に位置する第1のインナーレンズ91の導光部93に向けて出射された光がそのまま導光部93に至る、所謂、直下型の光学系によるものであり、一方、第1のインナーレンズ91の導光部95から出射される光は、第2のLED81から出射して第2のインナーレンズ96の導光部99内を導光された光が、第1のインナーレンズ91の導光部95の側方から導光部95内に入射した光であり、所謂、エッジライト型の光学系によるものである。
【0011】
そのため、特に、第1のLED80と第2のLED81を同時点灯したときに、第1のインナーレンズ91の導光部93から出射される光と、第1のインナーレンズ91の導光部95から出射される光との間で互いに見え方に差(違い)が生じる。
【0012】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、直下型の光学系における出射光とエッジライト型の光学系における出射光とが、光学系の違いに関わらず同じような見え方をする車両用コンビネーションランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、ハウジングとアウターレンズと形成された灯室内にテールランプユニットとテール&ストップランプユニットとを収容してなる車両用リアコンビネーションランプであって、
前記テールランプユニットは、光源と、前記車両用リアコンビネーションランプの長手方向に沿って延在されると共に、光源から発せられた光を導光する導光体と、前記導光体から出射された光の配光制御を行う1つのインナーレンズとを備えた所謂エッジライト型の光学系を有し、
前記テール&ストップランプユニットは、光源と光源から発せられた光の直接光の配光制御を行う、互いの間に所定の間隔を置いて二重に配置された2つのインナーレンズとを備えた所謂直下型の光学系を有し、
前記テールランプユニットの導光体の背面には、当該導光体の長手方向に垂直に延びる三角凹凸柱形状が連続して並設されてなるプリズム面からなる内部反射部が形成され、前記導光体の前記内部反射部に対向する面には、光出射反射部が形成されており、
前記テールランプユニットの光源から前記導光体内に入射した光の少なくとも一部が、前記導光体の前記内部反射部と前記光出射反射部での内部反射を経て、前記光出射反射部から出射し、
前記テールランプユニットの前記インナーレンズの前記導光体側の面として複数の凹凸状とされた光入射面が形成され、前記導光体と反対側の面に複数の魚眼レンズで構成されてなる光出射面が形成されており、
前記テール&ストップランプユニットの2つのインナーレンズのうち前記テール&ストップランプユニットの光源側の第1のインナーレンズには、前面に当該第1のインナーレンズの延長方向に延びる柱状のフレネルレンズからなる光出射面が形成され、当該第1のインナーレンズの短手方向に集光されて出射するものとされ、
前記テール&ストップランプユニットの2つのインナーレンズのうち、前記第1のインナーレンズの前方側に設けた第2のインナーレンズは、前記第1のインナーレンズ側の面に長手方向に垂直に延びる三角凹凸柱が該延長方向に連続して並設されてなるプリズム面からなる光入射面が形成され、前面には複数の魚眼レンズが形成されてなる光出射面が形成されており、前記光入射面から入射して前記光出射面に向かう光が長手方向に集光されて向かうものとされている、
ことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記灯室内の中央部にターンシグナルランプユニットが位置し、前記ターンシグナルランプユニットの上半分を覆うように該ターンシグナルランプユニットに沿って前記テールランプユニットが位置し、前記ターンシグナルランプユニットの下半分を覆うように該ターンシグナルランプユニットに沿って前記テール&ストップランプユニットが位置していることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項1又は請求項2のいずれかにおいて、前記テールランプユニットの光源および前記テール&ストップランプユニットの光源がLEDであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、車両用リアコンビネーションランプを構成する複数のランプユニットのうち少なくとも1つのランプユニットを、導光体と、導光体から出射された光の配光制御を行う1つのインナーレンズとを備えたエッジライト型の光学系で構成し、少なくとも1つのランプユニットを、光源と、光源から発せられた光の直接光の配光制御を行う、互いに所定の間隔で二重に配置された2つのインナーレンズとを備えた直下型の光学系で構成した。
【0018】
その結果、直下型の光学系における出射光とエッジライト型の光学系における出射光とが、光学系の違いに関わらず同じような見え方をする車両用リアコンビネーションランプを実現することができた。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態の車両用リアコンビネーションランプの正面図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3】ターンシグナルランプユニットの光路説明図である。
図4】導光棒の部分斜視図である。
図5】同じく、導光棒の部分斜視図である。
図6】インナーレンズの長手方向に垂直な断面図である。
図7】テールランプユニットの光路説明図である。
図8】第1のインナーレンズの長手方向に垂直な断面図である。
図9】第2のインナーレンズの長手方向に垂直な断面図である。
図10】テール&ストップランプユニットの光路説明図である。
図11】従来例の説明図である。
図12】同じく、従来例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の好適な実施形態を図1図10を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【0021】
図1は本発明に係る実施形態の車両用リアコンビネーションランプ(以下、「コンビネーションランプ」と略称する)の正面図、図2図1のA−A断面図である。
【0022】
本実施形態のコンビネーションランプ1は、ハウジング2と2つのアウターレンズ14及び45とで灯室3が形成され、灯室3内の中央部にターンシグナルランプユニット10が位置し、ターンシグナルランプユニット10の周囲を囲むように、両側方から上側を延びるテールランプユニット30が位置し、両側方から下側を延びるテール&ストップランプユニット50が位置している。
【0023】
そのうち、ターンシグナルランプユニット10は、正面視で横長の略長方形を呈しており、光源11と、光源11からの出射光を所定の方向に向けて反射する2つのリフレクタ(第1のリフレクタ12及び第2のリフレクタ13)と、第1のリフレクタ12及び第2のリフレクタ13の夫々による反射光を透過してコンビネーションランプ1外に出射するアウターレンズ14と、アウターレンズ14の一部を覆って光源11からの直接光を遮光する遮光板15とを備えている。
【0024】
光源11には例えば電球が用いられ、光源11を後方、上方及び両側方から一体的に覆うように第1のリフレクタ12が配置され、第1のリフレクタ12の下縁部及び両側縁部から一体的に前方斜め下方に延びる第2のリフレクタ13が配置されている。
【0025】
第1のリフレクタ12及び第2のリフレクタ13の夫々の光源11側の面は、アルミニウム等の金属反射膜による鏡面反射面からなる光反射面12a、13aとなっている。
【0026】
光源11の前方には、第1のリフレクタ12及び第2のリフレクタ13による開口を塞ぐようにアウターレンズ14が配置されている。また、アウターレンズ14の中央部には光源11からの直接光を遮光する遮光板15が配置されている。したがって、アウターレンズ14の、遮光板15が配置された以外の環状部分が、光を透過する領域(光透過領域)14aなる。
【0027】
そこで、図3(ターンシグナルランプユニットの光路説明図)に示すように、光源11の点灯時に該光源11から発せられた光のうち、アウターレンズ14の環状光透過領域14aの上部及び両側部に向けて発せられた光L1aは、そのまま光透過領域14aを透過してコンビネーションランプ外に出射され、同様に、アウターレンズ14の環状光透過領域14aの下部及び両側部に向けて発せられた光L1bは、そのまま光透過領域14aを透過してコンビネーションランプ外に出射される。
【0028】
また、第1のリフレクタ12に向けて発せられた光L1cは、第1のリフレクタ12の光反射面12aで反射されて反射光が主にアウターレンズ14の環状光透過領域14aの上部及び両側部を透過してコンビネーションランプ外に出射され、第2のリフレクタ13に向けて発せられた光L1dは、第2のリフレクタ13の光反射面13aで反射されて反射光が主にアウターレンズ14の環状光透過領域14aの下部及び両側部を透過して外部に出射される。これにより、ターンシグナルランプユニット10からの出射光は、アウターレンズ14を通して全体的に均一な明るい輝度分布を形成する。
【0029】
同時に、正面視において、光源(電球)11からの直接光が光源11の前方に位置する遮光板15によって遮られるため、後続車の運転者等の観視者に直接光源が目に入ることがなく、観視者の視認性を損なうような眩しさを与えることがない。
【0030】
なお、昼間において光源11が非点灯時の状態にある場合、前方から見ると、光源11が遮光板15で遮蔽されて第1のリフレクタ12及び第2のリフレクタ13の夫々の光反射面12a、13aのみが視認される。そのため、光反射面12a、13aの光沢のあるメタリック調の光輝感によって高級感を醸し出すことができる。
【0031】
図2に戻って、ターンシグナルランプユニット10の周囲を囲むように、両側方から上側を延びるテールランプユニット30は、ハウジング31とエクステンション32とで区画された空間に、光源から発せられた光を導光して所定の面から前方に向けて出射する導光棒35と、導光棒35の前方に位置して導光棒35から出射された光を前方の所定の方向に向けるインナーレンズ40とが収容されており、インナーレンズ40の前方には該インナーレンズ40から出射された光を透過して前方に出射するアウターレンズ45が配置されている。
【0032】
そのうち、ハウジング31は白色樹脂等からなる光反射性樹脂で形成され、長手方向に垂直な断面形状が前側を開口とするコ字状を呈すると共に、ターンシグナルランプユニット10の周囲を囲むように該ターンシグナルランプユニット10の前縁部に沿って両側方から上側まで延在している。
【0033】
エクステンション32は、長手方向に垂直な断面形状が後側を開口とする逆コ字状を呈すると共に、ハウジング31の開口に開口を合わせた状態で該ハウジング31に沿って延在している。また、エクステンション32は、中央部に、延長方向に沿って延びる窓孔33を有すると共に、少なくとも外周面は、アルミニウム等の金属反射膜による鏡面反射面からなる光反射面となっている。
【0034】
導光棒35は、長手方向に垂直な断面形状が蒲鉾形(丸角の略矩形)で、断面コ字状のハウジング31のコ字内に収容されて該ハウジング31に沿って延在している。
【0035】
また、導光棒35は図4(導光棒の部分斜視図)に示すように、背面(ハウジング31側の面)に設けられた内部反射面(全反射面)が導光棒35の延長方向に沿って延びる光反射部35aを有しており、光反射部35aの反対側の面(前面)は、導光棒35の延長方向に沿って延びる光出射反射部35bとなっている。導光棒35の光反射部35aは具体的には、例えば、導光棒35の長手方向に垂直に延びる三角凹凸柱35cが該延長方向に連続して並設されてなるプリズム面からなっている。
【0036】
但し、光反射部35aは上記形状に限られるものではなく、求められる光学仕様に基づいて適宜設定される。例えば、図5(導光棒の部分斜視図)にあるように、光反射部35aを平坦面で構成してもよい。
【0037】
なお、図示していないが、導光棒35の一方の端部近傍又は両端部近傍に光源が配置されている。光源は、半導体発光装置(例えば、LED)からなっている。
【0038】
インナーレンズ40は図6(インナーレンズの長手方向に垂直な断面図)に示すように、長手方向に垂直な断面形状が略板状のフランジ部41とフランジ部41の中央部から立ち上がる凸状の凸レンズ部42を有し、断面逆コ字状のエクステンション32のコ字内に収容されて、凸レンズ部42をエクステンション32の窓孔33に挿嵌させた状態で該エクステンション32に沿って延在している。
【0039】
インナーレンズ40のフランジ部41の背面(導光棒53側の面)は、例えば、シボ加工等により複数の凹凸状のシボ41aで構成されてなる光入射面41bであり、凸レンズ部42の前面(フランジ部41の背面の反対側の面)は、複数の魚眼レンズ42aで構成されてなる光出射面42bである。
【0040】
インナーレンズ40の前方に位置するアウターレンズ45は、いずれの面にもレンズカットが施されていない素通しのレンズであり、インナーレンズ40及びエクステンション32に沿って延在している(図2参照)。
【0041】
そこで、図7(テールランプユニットの光路説明図)に示すように、導光棒35の一方の端部近傍又は両端部近傍に配置された光源から発せられて導光棒35内に入射した光は、光反射部35aと光出射反射部35bとの間で内部反射(全反射)を繰り返しながら他端面側に向かって導光される途中で、光反射部35aで内部反射された反射光の一部が光出射反射部35bから出射される。
【0042】
導光棒35の光出射反射部35bから出射された光L2は主に、前方に位置するインナーレンズ40に向かい、インナーレンズ40のフランジ部41のシボ処理が施された光入射面41bに至る。光入射面41bに至った光はシボにより拡散されて拡散光がインナーレンズ40内を導光されて複数の魚眼レンズで構成された光出射面42bに至る。
【0043】
したがって、光出射面42bには、指向性が弱く広角度範囲にほぼ均等拡散された拡散光が到達し、光出射面42bに到達した拡散光は複数の魚眼レンズで構成された光出射面42bによって一体的に所定方向に光路制御されて出射され、そのまま前方に位置する素通しのアウターレンズ45を通してコンビネーションランプ外に出射される。そのため、コンビネーションランプのテールランプ領域からは、光軸X1を所定の方向に向けた拡散光が出射される。
【0044】
図2に戻って、ターンシグナルランプユニット10の周囲を囲むように、両側方から下側を延びるテール&ストップランプユニット50は、ハウジング51とエクステンション53とで区画された空間に、光源の前方に位置して該光源から発せられた光を所定の方向に向ける第1のインナーレンズ60と、第1のインナーレンズ60の前方に位置して第1のインナーレンズ60から出射された光を前方の所定の方向に向ける第2のインナーレンズ65とが収容されており、第2のインナーレンズ65の前方には該第2のインナーレンズ65から出射された光を透過して前方に出射するアウターレンズ45を有している。
【0045】
換言すると、光源の前方に位置する第1のインナーレンズ60と第2のインナーレンズ65は、互いの間に所定の間隔を置いて二重に配置されており、その間隔は、光源の指向特性、光源の配置間隔、2つのインナーレンズ60、65の夫々に設けられたレンズカット、テール&ストップランプユニットに求められる明るさ及び配光パターン等の光学仕様に基づいて適宜設定される。
【0046】
そのうち、ハウジング51は黒色樹脂等からなる非光反射性樹脂で形成され、長手方向に垂直な断面形状が前側を開口とするコ字状を呈すると共に、ターンシグナルランプユニット10の周囲を囲むように該ターンシグナルランプユニット10の前縁部に沿って両側方から下側まで延在している。
【0047】
また、ハウジング51は、中央部の、長手方向に所定の間隔を隔てた複数の位置に、光源を配置する貫通孔からなる光源配置孔52が設けられており、ハウジング51の中央部の外面側に該ハウジング51に沿って配置された基板56に実装された光源57が光源配置孔52の夫々に配置されている。
【0048】
光源57は、半導体発光装置(例えば、LED)からなっている。
【0049】
エクステンション53は、長手方向に垂直な断面形状が後側を開口とする逆コ字状を呈すると共に、ハウジング51の開口に開口を合わせた状態で該ハウジング51に沿って延在している。また、エクステンション53は、中央部に、延長方向に沿って延びる窓孔54を有すると共に、少なくとも外周面は、アルミニウム等の金属反射膜による鏡面反射面からなる光反射面となっている。
【0050】
第1のインナーレンズ60は図8(第1のインナーレンズの長手方向に垂直な断面図)に示すように、長手方向に垂直な断面形状が後側を開口とする逆コ字状を呈すると共に、断面コ字状のハウジング51のコ字内に収容されて該ハウジング51に沿って延在している。
【0051】
また、第1のインナーレンズ60は、中央部61の背面(光源57側の面)が、複数の魚眼レンズ61aで構成されてなる光入射面61bとなっており、前面(光源57と反対側の面)が、該第1のインナーレンズ60の延長方向に延びる柱状のフレネルレンズ61cからなる光出射面61dとなっている。
【0052】
第2のインナーレンズ65は図9(第2のインナーレンズの長手方向に垂直な断面図)に示すように、長手方向に垂直な断面形状が後側を開口とする逆コ字状を呈すると共に、断面逆コ字状のエクステンション53のコ字内に収容されて、中央部66をエクステンション53の窓孔54に挿嵌させた状態で該エクステンション53に沿って延在している。
【0053】
第2のインナーレンズ65の中央部66の背面(第1のインナーレンズ60側の面)は、中央部66の長手方向に垂直に延びる三角凹凸柱66aが該延長方向に連続して並設されてなるプリズム面からなる光入射面66bとなっており、前面(背面と反対側の面)は、複数の魚眼レンズ66cで構成されてなる光出射面66dとなっている。
【0054】
第1のインナーレンズ60及び第2のインナーレンズ65の前方に位置するアウターレンズ45は、いずれの面にもレンズカットが施されていない素通しのレンズであり、第1のインナーレンズ60及び第2のインナーレンズ65に沿って延在している(図2参照)。
【0055】
そこで、図10(テール&ストップランプユニットの光路説明図)に示すように、基板56に実装された光源(LED)57から発せられて前方に位置する第1のインナーレンズ60の中央部61に向かう光L3は、中央部61の、複数の魚眼レンズ61aで構成された光入射面61bに至る。光入射面61bに至った光L3は、該光入射面61bの魚眼レンズ61aで拡散されて拡散光が第1のインナーレンズ60の中央部61内に入射して柱状フレネルレンズ61cからなる光出射面61dに向けて中央部61内を導光される。
【0056】
柱状フレネルレンズ61cからなる光出射面61dに至った光L3は、柱状フレネルレンズ61cによって短手方(幅方向)に集光されて出射され、前方に位置する第2のインナーレンズ65の中央部66の三角凹凸柱66aからなる光入射面66bに向かう。
【0057】
三角凹凸柱66aからなる光入射面66bに到達した光L3は、三角凹凸柱66aによって長手方向(長さ方向)に集光されて魚眼レンズ66cからなる光出射面66dに向けて中央部66内を導光される。
【0058】
したがって、魚眼レンズ66cからなる光出射面66dには、中央部66の短手方向及び長手方向に集光された略均一な指向性を有する光L3が到達し、光出射面66dに到達した光L3は魚眼レンズ66cによって一体的に所定方向に光路制御されて出射され、そのまま前方に位置する素通しのアウターレンズ45を通してコンビネーションランプ外に出射される。そのため、コンビネーションランプのテール&ストップランプ領域からは、光軸X2を所定の方向に向けた光が出射される。
【0059】
以上のように、灯室内に複数のランプユニットを収容してなるコンビネーションランプは、そのうちの少なくとも1つのランプユニットを、光源から発せられた光を導光する導光棒と導光棒からの出射光の配光制御を行う1つのインナーレンズとを備えた、所謂、エッジライト型の光学系で構成し、少なくとも1つのランプユニットを、光源からの直射光の配光制御を行う第1のインナーレンズと第1のインナーレンズからの出射光の配光制御を行う第2のインナーレンズとの2つのインナーレンズを備えた、所謂、直下型の光学系で構成した。
【0060】
そこで、導光棒の一方の端部近傍又は両端部近傍に光源を配置するエッジライト型の光学系と、輝度均一性を確保するために所定の間隔で複数の光源を配置する直下型の光学系とをインナーレンズを用いない場合について比較すると、エッジライト型の光学系の導光棒からの出射光よりも直下型の光学系の複数の光源からの出射光の方が光量が多い。
【0061】
そのため、テールランプよりも高光度の配光パターンが配光規格として求められるテール&ストップランプに直下型の光学系を用い、テール&ストップランプよりも低光度の配光パターンで配光規格を満足できるテールランプにエッジ型の光学系を用いた。これにより、光源からの出射光量を有効に生かしたランプユニットを実現している。
【0062】
但し、エッジライト型の光学系における導光棒からの出射光と、直下型の光学系における光源からの直接光とでは互いに配光特性が異なる。特に、直下型の光学系においては、光源の配光特性がそのまま反映されるため導光棒からの出射光に比べて指向性が狭い。
【0063】
そのため、エッジライト型の光学系においては、1つのインナーレンズによって導光棒からの出射光を所定方向に向ける配光制御を行うのに対し、直下型の光学系においては、2つのインナーレンズを用いることにより、光源から発せられた光を拡散し、インナーレンズの長手方向及び短手方向の夫々に拡散した拡散光を照射方向に向けて集光し、照射方向に集光した光を所定方向に向ける夫々の配光制御を行う。
【0064】
これにより、テールランプの領域から出射する光とテール&ストップランプの領域から出射する光を同じような見え方にして、同時点灯時に互いに一体感が得られるようにしている。
【0065】
なお、テール&ストップランプユニットは、光源の明るさを変えることによりテールランプ機能とストップランプ機能の切り替えを行うことができる。あるいは、光源の点灯数を変えることによってもテールランプ機能とストップランプ機能の切り替えを行うことができる。
【符号の説明】
【0066】
1… 車両用リアコンビネーションランプ
2… ハウジング
3… 灯室
10… ターンシグナルランプユニット
11… 光源
12… 第1のリフレクタ
12a… 光反射面
13… 第2のリフレクタ
13a… 光反射面
14… アウターレンズ
14a… 光透過領域
15… 遮光板
30… テールランプユニット
31… ハウジング
32… エクステンション
33… 窓孔
35… 導光棒
35a… 光反射部
35b… 光出射反射部
35c… 三角凹凸柱
40… インナーレンズ
41… フランジ部
41a… シボ
41b… 光入射面
42… 凸レンズ部
42a… 魚眼レンズ
42b… 光出射面
45… アウターレンズ
50… テール&ストップランプユニット
51… ハウジング
52… 光源配置孔
53… エクステンション
54… 窓孔
56… 基板
57… 光源
60… 第1のインナーレンズ
61… 中央部
61a… 魚眼レンズ
61b… 光入射面
61c… 柱状フレネルレンズ
61d… 光出射面
65… 第2のインナーレンズ
66… 中央部
66a… 三角凹凸柱
66b… 光入射面
66c… 魚眼レンズ
66d… 光出射面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12