(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の高周波電源装置において、スイッチング素子に発生する電圧が大きくなり、インバータ回路に入力される直流電圧の3倍以上になることが知られている。したがって、用いるスイッチング素子を高耐圧のものにする必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて創作されたものであり、その目的は、スイッチング素子に発生する電圧を抑制することができる高周波電源装置および当該高周波電源装置を備えた非接触電力伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面によって提供される高周波電源装置は、直流電流を高周波電流に変換して出力する高周波電源装置であって、前記直流電流を発生させる直流電源と、高周波駆動信号に従い導通状態と非導通状態とを切り替えるスイッチング素子、および、少なくとも、前記高周波駆動信号の周波数の2倍の周波数でインピーダンスがゼロになる回路部品を含んで構成され、前記直流電流を前記高周波電流に変換する高周波変換手段と、前記高周波変換手段の出力端に配置され、前記出力端から負荷側を見たインピーダンスを、前記出力端から前記直流電源側を見たインピーダンスに自動調整するインピーダンス整合手段と、を備える。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態において、前記高周波変換手段は、前記直流電源の高電位側の出力端子に直列に接続されたインダクタと、前記インダクタの出力側で前記インダクタに直列に接続された第1の共振回路と、をさらに含んでおり、前記スイッチング素子は、前記インダクタの出力側で前記インダクタに直列に接続されており、前記回路部品は、前記インダクタの出力側で前記スイッチング素子に並列に接続された第2の共振回路であって、前記高周波駆動信号の周波数の2倍の周波数でインピーダンスがゼロになるように設定される。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態において、前記第2の共振回路は、インダクタとコンデンサとを直列に接続した直列共振回路である。
【0010】
本発明の好ましい他の実施の形態において、前記回路部品は、前記直流電源の高電位側の出力端子に直列に接続された伝送線路であり、前記スイッチング素子は、前記伝送線路の出力側で前記伝送線路に直列に接続されており、前記高周波変換手段は、前記伝送線路の出力側で前記伝送線路に直列に接続された第1の共振回路をさらに含んでおり、前記伝送線路の長さは、前記高周波変換手段から出力される高周波の、前記伝送線路における伝送波長の略4分の1である。
【0011】
本発明の好ましい他の実施の形態において、前記高周波変換手段は、前記直流電源の高電位側の出力端子に直列に接続されたインダクタと、前記インダクタの出力側で前記インダクタに直列に接続された第1の共振回路と、をさらに含んでおり、前記スイッチング素子は、前記インダクタの出力側で前記インダクタに直列に接続されており、前記回路部品は、一方の端子が前記インダクタと前記スイッチング素子との接続点に接続され、他方の端子が開放された第1の伝送線路と、一方の端子が前記インダクタと前記スイッチング素子との接続点に接続され、他方の端子が短絡された第2の伝送線路とを有して、構成され、前記第1の伝送線路の長さおよび前記第2の伝送線路の長さはそれぞれ、前記高周波変換手段から出力される高周波の、各前記伝送線路における伝送波長の略8分の1の長さである。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態において、前記伝送線路は、同軸ケーブルである。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態において、前記高周波駆動信号の周波数は、6.78MHz以上である。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態において、前記スイッチング素子は、FETで構成される。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態において、前記負荷側を見たインピーダンスあるいは前記高周波変換手段の出力端における反射波電力を検出する検出手段をさらに備え、前記インピーダンス整合手段は、2個の可変コンデンサと1個のインダクタとを有し、前記検出手段の検出値に基づき、前記可変コンデンサ毎に取り付けられたモータを駆動させることで、前記2個の可変コンデンサのキャパシタンスをそれぞれ変化させ、前記負荷側を見たインピーダンスを、前記直流電源側を見たインピーダンスに自動調整する。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態において、前記高周波駆動信号を発生させ、前記スイッチング素子に入力する制御手段をさらに有し、前記制御手段は、前記高周波変換手段から出力される電力の所定期間内の平均値が目標出力電力となるように、前記高周波変換手段から高周波電力を出力する期間と出力しない期間との比率を変化させる。
【0017】
本発明の第2の側面によって提供される非接触電力伝送システムは、第1の側面によって提供される高周波電源装置と、互いに磁気結合された送電コイルと受電コイルとを有し、前記高周波電源装置から出力される高周波電力を前記送電コイルから前記受電コイルに非接触で伝送する電力伝送ユニットとを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、少なくとも、高周波駆動信号の周波数の2倍の周波数でインピーダンスがゼロになる回路部品により、少なくとも2次の高調波を減衰させ、2次高調波成分により、スイッチング素子に発生する電圧を抑制することができる。したがって、高周波変換手段(インバータ回路)にE級アンプを用いた高周波電源装置よりも、当該高周波変換手段のスイッチング素子で発生する電圧を低く抑えることができる。さらに、高周波電源装置の内部にインピーダンス整合手段を設け、インピーダンス整合手段により、高周波変換手段の出力端から負荷側を見たインピーダンスが、前記出力端から直流電源側を見たインピーダンスに自動的に調整するようにした。これにより、上記負荷側を見たインピーダンスが変化した場合でも、自動的に負荷側を見たインピーダンスが直流電源側を見たインピーダンスに整合されるため、反射波電力を抑えることができる。したがって、大きな反射波電力がスイッチング素子に入力されることを抑制できるため、反射波電力による、スイッチング素子に発生する電圧も抑制することができる。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る高周波電源装置、および、当該高周波電源装置を備えた非接触電力伝送システムについて、図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態に係る非接触電力伝送システムAの全体構成を示している。本実施形態に係る非接触電力伝送システムAは、高周波電力を発生させる高周波電源装置1と、高周波電源装置1が発生させた高周波電力を非接触で送電する送電ユニット2と、送電ユニット2から送電された高周波電力を受電する受電ユニット3と、受電ユニット3が受電した高周波電力を用いてバッテリ5を充電する充電装置4と、を有して構成される。すなわち、第1実施形態に係る非接触電力伝送システムAを、充電システムに適用した態様を説明する。
【0023】
非接触電力伝送システムAでは、送電ユニット2から受電ユニット3に電力を伝送させるとき、数MHz〜数百MHzの高周波電力を用いる。送電ユニット2の送電コイルL2と受電ユニット3の受電コイルL3とは互いに磁気結合しており、送電コイルL2に流れる高周波電流により、送電コイルL2に発生する磁束を変化させ、この磁束の変化により、受電コイルL3に高周波電流が流れる。なお、送電コイルL2(L3)のインダクタンスとコンデンサC2(C3)のキャパシタンスとは、高周波電源装置1が出力する周波数に共振する値に調整されている。これにより、非接触電力伝送システムAでは、送電ユニット2から受電ユニット3に、非接触で電力を伝送している。なお、本実施形態において、非接触電力伝送方式として、磁界共鳴方式を用いる場合を例に説明するが、他の伝送方式を用いてもよい。
【0024】
このような第1実施形態に係る非接触電力伝送システムAの各構成要素について、詳しく説明する。
【0025】
高周波電源装置1は、図示しない商用電源から入力される商用電力(交流)を高周波電力(交流)に変換することで、高周波電力を発生させるものである。高周波電源装置1は、直流電源部11、高周波変換部12、電力検出部13、インピーダンス整合部14、および、電源制御部15を含んで構成される。
【0026】
直流電源部11は、直流電流を生成し、高周波変換部12に出力するものである。直流電源部11は、図示しない商用電源から入力される交流電圧(例えば、商用電圧200[V]など)を図示しない整流回路によって整流し、図示しない平滑回路によって平滑することで、直流電圧に変換する。そして、図示しないDC−DCコンバータによって、所定のレベル(設定電圧値)の直流電圧に変換する。直流電源部11は、電源制御部15から入力される駆動信号S1によって、DC−DCコンバータの変換動作を制御することにより、整流、平滑後の直流電圧を所定のレベルの直流電圧に変換する。
【0027】
高周波変換部12は、直流電源部11から入力される直流電流を高周波電流に変換するものである。高周波変換部12は、電源制御部15から入力される高周波駆動信号S2でスイッチング素子Qをスイッチングすることで、高周波電流を生成する。
図2は、高周波変換部12の回路構成を示す図である。図示するように、高周波変換部12は、第1のコンデンサCfと、インダクタLfと、バイポーラトランジスタや電界効果トランジスタ(FET)などのスイッチング素子Qと、ダイオードDと、第2のコンデンサCsと、インダクタとコンデンサとを直列に接続した第1の共振回路LCfと、インダクタとコンデンサとを直列に接続した第2の共振回路LCsとを含んで構成される。なお、本実施形態においては、スイッチング素子QとしてMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を使用している。
【0028】
高周波変換部12において、第1のコンデンサCfが直流電源部11に並列に接続されている。そして、直流電源部11の高電位側の出力端子には、インダクタLfの一端(入力側の端子)が接続され、直列接続されている。スイッチング素子Qのドレイン端子は、インダクタLfの他端(出力側の端子)と接続され、ソース端子は、直流電源部11の低電位側の出力端子に接続されている。また、スイッチング素子Qのゲート端子は、電源制御部15に接続されている。ダイオードDは、スイッチング素子Qに逆並列に接続され、第2のコンデンサCsは、スイッチング素子Qに並列に接続されている。第1の共振回路LCfは、インダクタLfの出力側の端子に直列に接続されている。第2の共振回路LCsは、直流電源部11に並列に接続され、その一端が、インダクタLfの出力側の端子とスイッチング素子Qのドレイン端子との接続点に接続され、その他端が直流電源部11の低電位側の出力端子に接続されている。
【0029】
このように構成された高周波変換部12では、スイッチング素子Qのゲート端子に電源制御部15から高周波駆動信号S2が入力され、スイッチング素子Qがオン・オフされるようになっている。高周波駆動信号S2は、後述するように、所定の周波数f(例えば、13.56MHz)でオン電圧とオフ電圧とを繰り返すパルス信号である。スイッチング素子Qは、高周波駆動信号S2がオン電圧のとき導通状態(オン)になり、高周波駆動信号S2がオフ電圧のとき非導通状態(オフ)になる。そのため、スイッチング素子Qがオンのとき、スイッチング素子Qを通って電流が流れ、スイッチング素子Qがオフのとき、第2のコンデンサCsを通って電流が流れるようになる。また、第1の共振回路LCfの共振周波数は、高周波変換部12の出力周波数f(本実施形態においては13.56MHz)に設定されており、高周波変換部12は、この第1の共振回路LCfの存在により、共振周波数に応じた正弦波状の交流電流を発生させる。これにより、当該正弦波状の交流電流が高周波変換部12から出力される。
【0030】
また、第1のコンデンサCfは、直流電源部11から出力される直流電圧を平滑化し、インダクタLfは、第1のコンデンサCfにより平滑化された直流電圧に基づいて、高周波変換部12に一定の電流を供給するための直流電流源として動作する。さらに、ダイオードDは、いわゆるフライホイールダイオードであって、スイッチング素子Qの切り替えによって発生する逆起電力による逆方向の高い電圧がスイッチング素子Qに印加されないようにしている。なお、スイッチング素子Qが内部にダイオードの動作をする機能を有する場合は、ダイオードDを設けないようにしてもよい。そして、第2の共振回路LCsは、高周波駆動信号S2の周波数f(スイッチング周波数f)の2倍の周波数でインピーダンスがゼロになるように設定されている。これにより、スイッチング周波数fの2倍の周波数成分(2次の高調波)の電流を短絡させることができる。よって、スイッチング素子Qに発生するスイッチング周波数fの2次の高調波電圧を減衰させることができる。
【0031】
なお、高周波変換部12は、
図3に示すように、上記
図2に示す高周波変換部12の回路を2個正負対称に接続して、それぞれ一方の極性の信号のみを増幅するプッシュプル回路で構成してもよい。この場合も、各第2の共振回路LCsにより、スイッチング周波数fの2次の高調波電流が短絡されるので、当該2次の高調波がスイッチング素子Qに発生する電圧を減衰させることができる。
【0032】
電力検出部13は、高周波変換部12から出力される進行波電力Pfをモニタするためのものである。電力検出部13は、方向性結合器を含み、その方向性結合器から高周波電圧に含まれる進行波電圧Vfと反射波電圧Vrとを検出する。電力検出部13は、進行波電圧Vfを進行波電力Pfに変換して電源制御部15に出力する。さらに、反射波電圧Vrも反射波電力Prに変換して電源制御部15に出力するようにしてもよい。なお、進行波電力Pfおよび反射波電力Prを、後述する検出器141が検出するようにしてもよい。
【0033】
インピーダンス整合部14は、高周波変換部12から出力された進行波がインピーダンス整合部14で反射する量(反射波電力Pr)を抑えるために、高周波変換部12の出力端から負荷側(バッテリ5側)を見たインピーダンス(以下、「負荷側インピーダンス」という。)を高周波変換部12の出力端から直流電源部11側を見たインピーダンス(以下、「電源側インピーダンス」という。)(例えば、50Ω)に整合させるインピーダンスマッチングを行う。
図4は、インピーダンス整合部14の回路構成の一例を示す図である。図示するように、インピーダンス整合部14は、検出器141と、2個の可変コンデンサ142,143と、1個のインダクタ144と、2個のモータ145,146とを含んで構成される。可変コンデンサ142とインダクタ144とを直列に接続した回路と、可変コンデンサ143とは逆L型に接続されている。
【0034】
検出器141は、負荷側インピーダンスを検出するものであり、電流・電圧センサおよび演算部を含んで構成される。電流・電圧センサは、高周波変換部12の出力側で、高周波電流および高周波電圧を検出し、検出した電流信号および電圧信号を演算部に出力する。そして、演算部は、電流・電圧センサから入力される電流信号および電圧信号から電流実効値、電圧実効値、および、電流信号と電圧信号の位相差を演算する。そして、これらのパラメータを用いて、負荷側インピーダンスを検出する。検出器141が検出した負荷側インピーダンスは、電源制御部15に出力される。なお、検出器141は、高周波電源装置1の内部であり、負荷側インピーダンスを検出できる位置に備えられていればよく、インピーダンス整合部14の内部である必要はない。なお、検出器141が、さらに、上記検出値を用いて所定の演算を行うことで、高周波変換部12から出力される進行波電力Pfおよび反射波電力Prを求め、電源制御部15に出力するようにしてもよい。この場合、高周波電源装置1に電力検出部13を備えていなくてもよい。
【0035】
可変コンデンサ142,143は、キャパシタンスを変化させることができるコンデンサである。本実施形態においては、可変コンデンサ142,143は、互いに対向している一対の電極の一方が可動電極で構成され、可動電極を回動させることにより電極対向面積を変化させるタイプのバリアブルコンデンサで構成している。なお、キャパシタンスを変化させることができるものであれば、これに限定されない。
【0036】
可変コンデンサ142,143にはそれぞれ、可動電極を回転させるためのモータ145,146が取り付けられている。モータ145,146にそれぞれ、電源制御部15からモータ駆動信号S3,S4(駆動電圧)が入力され、当該モータ駆動信号S3,S4に従い、モータ145,146が駆動することで、可変コンデンサ142,143の可動電極を回動させる。これにより、可変コンデンサ142,143のキャパシタンスがそれぞれ任意のキャパシタンスに制御される。なお、可変コンデンサ142,143にはそれぞれ、電源制御部15が可動電極の回転位置を監視するために、可動電極の回転位置を検出する位置検出センサ(図示しない)が取り付けられており、当該位置検出センサの検出信号が電源制御部15に入力される。また、インダクタ144のインダクタンスは、所定の値に設定されている。
【0037】
以上のことから、インピーダンス整合部14は、電源制御部15から入力されるモータ駆動信号S3,S4により可変コンデンサ142,143のキャパシタンスが調整されることで、インピーダンスマッチングを行う。
【0038】
なお、インピーダンス整合部14は、負荷側インピーダンスを電源側インピーダンスに自動的に整合できるものであれば、
図4に示す構成に限定されない。例えば、
図5に示すように、2個の可変コンデンサ142,143とインダクタ144とをπ型に接続したインピーダンス整合部14’を用いてもよい。
【0039】
電源制御部15は、高周波電源装置1の全体を制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えるマイクロコンピュータやFPGAで構成される。電源制御部15は、直流電源部11に駆動信号S1を、高周波変換部12に高周波駆動信号S2を、そして、インピーダンス整合部14にモータ駆動信号S3,S4を入力することで、これらを制御する。
【0040】
電源制御部15は、フィードバック制御によって、直流電源部11で生成される直流電圧のレベルを変化させることにより、高周波変換部12から出力される高周波電圧のレベルを変化させる。高周波電圧のレベルが変化すると、高周波電源装置1から出力される進行波電力Pfが変化するので、電源制御部15は、進行波電力Pfと目標出力電力Pfsの電力差ΔPfを監視し、その電力差ΔPfがゼロになるように直流電源部11の出力電圧を調整する。具体的には、電源制御部15は、電力検出部13から入力される進行波電力Pfに基づいて、駆動信号S1を生成して、直流電源部11に出力する。駆動信号S1は、高周波電源装置1の出力電力(進行波電力Pf)が目標出力電力Pfsとなるように、直流電源部11の出力電圧を制御する信号である。目標出力電力Pfsは、図示しない入力装置を操作することで、手動で入力するようにしてもよいし、予め設定されたプログラムにより自動で入力するようにしてもよい。電源制御部15は、電力検出部13から入力される進行波電力Pfの検出値と、目標出力電力Pfsの電力差ΔPf(=Pfs−Pf)を演算し、その電力差ΔPfをゼロにするための制御パルス信号を生成する。そして、当該制御パルス信号を図示しないドライブ回路でDC−DCコンバータを駆動できるレベルに増幅して、駆動信号S1として直流電源部11に出力する。
【0041】
また、電源制御部15は、高周波駆動信号S2を高周波変換部12に入力することで、直流電流を高周波電流に変換する高周波変換制御を行う。電源制御部15は、基準クロックに基づいて、所定の周波数fの、オン電圧とオフ電圧とを有するパルス信号(なお、正弦波信号などでもよい)を生成し、当該パルス信号を図示しないドライブ回路でスイッチング素子Qを駆動できるレベルに増幅して、高周波駆動信号S2として、高周波変換部12に出力する。本実施形態において、電源制御部15は、13.56MHzのパルス信号を、高周波駆動信号S2として、高周波変換部12に出力するため、高周波変換部12から出力される高周波電圧の周波数は13.56MHzとなる。
【0042】
さらに、電源制御部15は、インピーダンス整合部14を制御することで、負荷側インピーダンスを電源側インピーダンスに整合するインピーダンスマッチングを行う。具体的には、電源制御部15は、検出器141が検出した負荷側インピーダンスが電源側インピーダンスに整合するように、モータ145,146にそれぞれモータ駆動信号S3,S4を入力することで、モータ145,146の駆動を制御する。このとき、電源制御部15は、各可変コンデンサ142,143に取り付けられた位置検出センサからの検出信号により可動電極の回転位置を監視しながら、モータ145,146の駆動を制御する。そして、モータ145,146の駆動を制御し、可変コンデンサ142,143のキャパシタンスを調整する。これにより、インピーダンスマッチングが行われる。なお、電源制御部15は、負荷側インピーダンスではなく、電力検出部13が検出する反射波電力Prを用いて、当該反射波電力Prがゼロになるように、インピーダンスマッチングを行ってもよい。この場合、電力検出部14が、特許請求の範囲に記載の「検出手段」に相当する。また、反射波電力Prを用いて、インピーダンスマッチングを行う場合、インピーダンス整合部14に検出器141を備えていなくてもよい。
【0043】
送電ユニット2は、高周波電源装置1から入力される高周波電力を受電ユニット3に非接触で伝送するものである。送電ユニット2は、複数ターンの円形コイルからなる送電コイルL2と、その送電コイルL2に直列に接続されたコンデンサC2との直列共振回路で構成される。送電ユニット2では、直列共振回路の共振周波数が高周波電源装置1から出力される高周波電力の周波数(高周波変換部12の出力周波数f)に調整されている。
【0044】
受電ユニット3は、送電ユニット2から送電された高周波電力を非接触で受電するものである。受電ユニット3は、送電ユニット2と同一の構成を有し、複数ターンの円形コイルからなる受電コイルL3と、その受電コイルL3に直列に接続されたコンデンサC3との直列共振回路で構成される。受電ユニット3も、直列共振回路の共振周波数が高周波電源装置1から出力される高周波電力の周波数(高周波変換部12の出力周波数f)に調整されている。
【0045】
なお、送電ユニット2および受電ユニット3は、送電ユニット2から受電ユニット3に非接触で高周波電力を伝送可能な構成であれば、上記した構成に限定されない。例えば、送電ユニット2(受電ユニット3)において、送電コイルL2とコンデンサC2と(受電コイルL3とコンデンサC3と)を並列に接続した並列共振回路で構成してもよい。また、本実施形態において、上記するように送電ユニット2と受電ユニット3とが同一の構成である場合を例に説明しているが、送電側と受電側との共振回路の構成が異なっていてもよい。例えば、送電ユニット2を送電コイルL2とコンデンサC2との直列共振回路で構成し、受電ユニット3において受電コイルL3とコンデンサC3との並列共振回路で構成してもよい(その逆も同様)。また、送電コイルL2と受電コイルL3とはその大きさが異なるものであってもよい。
【0046】
充電装置4は、受電ユニット3が受電した高周波電力をバッテリ5の充電に適した電力に変換し、バッテリ5に供給することで、バッテリ5を充電するものである。充電装置4は、受電ユニット3から入力される高周波電力を整流、平滑化して直流電力に変換した後、バッテリ5の充電に適した電力に変換する。例えば、充電装置4は、整流平滑化後の直流電力を、定電流定電圧充電制御に適した電力に変換し、バッテリ5に供給する。
【0047】
バッテリ5は、電力を蓄積する二次電池であり、例えば、リチウム・イオン電池やニッケル水素電池などで構成される。バッテリ5がリチウム・イオン電池である場合、充電装置4による定電流定電圧制御で充電される。また、バッテリ5は、キャパシタなどの畜電器であってもよい。
【0048】
このように構成された非接触電力伝送システムAの作用について、
図6を用いて説明する。
【0049】
図6は、シミュレーションにおける、高周波変換部12のスイッチング素子Qのドレイン電圧の波形(同図(a)参照)と従来のインバータ回路(E級アンプ)のスイッチング素子のドレイン電圧の波形(同図(b)参照)とを示している。シミュレーションでは、高周波変換部12に入力する直流電圧を200V、高周波駆動信号S2の周波数f(スイッチング周波数f)を13.56MHzとして、高周波電源装置1に50Ωの負荷を接続している。従来のインバータ回路においても、同等の条件としている。なお、
図6(a)および
図6(b)には、直流電源部11からの入力電圧も破線で記載している。
【0050】
従来のインバータ回路の場合(第2の共振回路LCsを設けない場合)、
図6(b)に示すように、直流入力電圧が200Vであるのに対して、スイッチング素子がオフのときのドレイン電圧はおよそ700V(最大時)であり、直流入力電圧の約3.5倍となっている。これに対し、第2の共振回路LCsを設けた場合には、
図6(a)に示すように、高周波変換部12の直流入力電圧が200Vであるのに対して、スイッチング素子Qがオフのときのドレイン電圧はおよそ450V(最大時)であり、直流入力電圧の約2.2倍に収まっている。以上のように、第2の共振回路LCsを設けたことで、スイッチング素子Qに発生する電圧を抑制することが確認できた。
【0051】
以上のことから、本発明の第1実施形態に係る高周波電源装置1によると、スイッチング素子Qのドレイン端子に、第2の共振回路LCsが接続されているため、高周波変換部12が出力する高周波の2次高調波電流が、この第2の共振回路LCsに流れる。これにより、スイッチング素子Qのドレイン−ソース間の2次高調波電流による発生電圧を抑制することができる。
【0052】
また、送電コイルL2と受電コイルL3との間の距離が変化すると、高周波変換部12の出力端から負荷側を見たインピーダンスが変化する。このような状況においても、高周波電源装置1は、インピーダンス整合部14および電源制御部15により自動的にインピーダンスマッチングが行われるため、反射波電力を抑制できる。したがって、高周波電源装置1は、大きな反射波電力がスイッチング素子Qに入力されることを抑制するため、反射波電力による、スイッチング素子Qに発生する電圧も抑制できる。また、インピーダンスの不整合に起因するスイッチング素子Qの電力損失を抑制することもできる。
【0053】
また、本実施形態において、インピーダンス整合部14を高周波電源装置1の内部に備えているため、高周波電源装置1に接続する装置(負荷)に関わらず、効率良く高周波電力を供給し続けることが可能である。
【0054】
次に、本発明の第2実施形態に係る非接触電力伝送システムBについて、説明する。第2実施形態に係る非接触電力伝送システムBの全体構成は、上記第1実施形態に係る非接触電力伝送システムA(
図1参照)と略同様であり、高周波変換部12が高周波変換部16に置き換わっている点で相違する。なお、上記第1実施形態に係る非接触電力伝送システムAと同一または類似の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0055】
高周波変換部16は、直流電源部11から入力される直流電流を高周波電流に変換するものである。
図7は、高周波変換部16の回路構成を示す図である。図示するように、高周波変換部16は、第1のコンデンサCfと、伝送線路K1と、スイッチング素子Qと、ダイオードDと、第2のコンデンサCsと、インダクタとコンデンサとを直列に接続した第1の共振回路LCfとを含んで構成される。したがって、高周波変換部16は、第1実施形態に係る高周波変換部12と回路構成が異なっており、インダクタLfおよび第2の共振回路LCsの代わりに伝送線路K1を用いている。
【0056】
伝送線路K1は、高周波変換部16が生成する高周波から、当該高周波の基本波の偶数倍の周波数成分(偶数次の高調波)を減衰させるものである。伝送線路K1は、その一端が直流電源部11の高電位側の出力端子に接続され、その他端がスイッチング素子Qのドレイン端子および第1共振回路LCfの一端に接続されている。本実施形態においては、伝送線路K1を同軸ケーブルとしている。なお、伝送線路K1は、同軸ケーブルに限定されず、例えば、同軸管、基板上に形成された線路などであってもよい。
【0057】
伝送線路K1の長さは、高周波変換部16が出力する高周波の基本波の、伝送線路K1における伝送波長の略4分の1としている。具体的には、高周波変換部16が出力する高周波の波長λは、周波数をfとして、伝送線路K1内の電波の速度をνとすると、λ[m]=ν[m/s]/f[Hz]で表わされる。同軸ケーブル(ポリエチレン製)上の電波の速度νは、真空中の電波の速度(3.0×10
8[m/s])の約66%程度であり、周波数fが13.56[MHz]なので、高周波変換部16が出力する高周波の波長λは、λ=(3.0×10
8)×(66/100)/(13.56×10
6)≒14.60[m]となる。伝送線路K1の長さは、この波長λの略1/4であるので、14.60×(1/4)≒3.65[m]となる。なお、上記同軸ケーブル上の電波の速度νを、真空中の電波の速度の約66%としたが、同軸ケーブル上の電波の速度は、用いる同軸ケーブルの波長短縮率(詳細には同軸ケーブルの絶縁材料)により異なる。したがって、伝送線路K1の長さは、用いる同軸ケーブルの種類に応じて、適宜変更すればよい。なお、上記算出式から分かるように、高周波変換部16が出力する高周波の周波数が低ければ低いほど、波長λは長くなる。したがって、周波数が低い場合、長い伝送線路K1を用いる必要があり、当該伝送線路K1を高周波電源装置1の筺体に収容するために、高周波電源装置1の大きさを大きくしなければならない。よって、高周波変換部16が出力する高周波の周波数は、6.78MHz以上であることが望ましい。
【0058】
上記のように、伝送線路K1の長さを、高周波変換部16が出力する高周波の、伝送線路K1における伝送波長の略4分の1の長さとしたことで、当該高周波の基本波(周波数が13.56MHz)および基本波の奇数倍の周波数成分(奇数次の高調波)で、インピーダンスが無限大になり、基本波の偶数倍の周波数成分(偶数次の高調波)で、インピーダンスがゼロになる。したがって、伝送線路K1には、高周波変換部16が出力する高周波の偶数次の高調波(2次の高調波、4次の高調波など)の電流が流れて、スイッチング素子Qに発生する高調波成分の電圧を減衰させる。
【0059】
なお、高周波変換部16は、
図8に示すように、上記
図7に示す高周波変換部16の回路を2個正負対称に接続して、それぞれ一方の極性の信号のみを増幅するプッシュプル回路で構成してもよい。この場合も、各伝送線路K1により、スイッチング素子Qに発生する偶数次の高調波成分の電圧を減衰させることができるので、スイッチング素子Qに発生する電圧を抑制することができる。
【0060】
このように構成された非接触電力伝送システムBの作用について、
図9を用いて説明する。
【0061】
図9は、シミュレーションにおける、高周波変換部16のスイッチング素子Qのドレイン電圧の波形(同図(a)参照)と従来のインバータ回路(E級アンプ)のスイッチング素子のドレイン電圧の波形(同図(b)参照)とを示している。シミュレーションでは、高周波変換部16に入力する直流電圧を200V、高周波駆動信号S2の周波数(スイッチング周波数)を13.56MHzとして、高周波電源装置1に50Ωの負荷を接続している。なお、
図9(b)は、
図6(b)に示す波形と同じものを転記しているため、その説明を省略する。また、
図9(a)においても、直流電源部11からの入力電圧を破線で記載している。
【0062】
上記伝送線路K1を設けた場合には、
図9(a)に示すように、高周波変換部16の直流入力電圧が200Vであるのに対して、スイッチング素子Qがオフのときのドレイン電圧はおよび400V(最大時)であり、直流入力電圧の約2.0倍に収まっている。以上のように、伝送線路K1を設けたことで、スイッチング素子Qに発生する電圧を抑制することが確認できた。
【0063】
以上のことから、本発明の第2実施形態に係る高周波電源装置1によると、伝送線路K1は、高周波変換部16が出力する高周波の偶数次の高調波電流を短絡させている。これにより、スイッチング素子Qに発生する電圧に含まれる成分のうち、偶数次の高調波の分が削減されるので、電圧を抑制することができる。さらに、伝送線路K1を設けた場合、上記第1実施形態の高周波変換部12の第2の共振回路LCsを設けた場合に比べ、2次の高調波だけでなく、4次,6次などの偶数次の高調波も減衰させることができるため、ドレイン電圧を第1実施形態よりさらに抑制することができる(
図6(a),
図9(a)参照)。
【0064】
また、第2実施形態に係る高周波電源装置1においても、上記第1実施形態と同様に、インピーダンス整合器14および電源制御部15が自動的にインピーダンスマッチングを行うため、反射波電力による、スイッチング素子Qに発生する電圧、および、スイッチング素子Qで発生する電力損失を抑制することができる。さらに、インピーダンス整合器14を高周波電源装置1の内部に備えたことで、高周波電源装置1に接続する装置(負荷)に関わらず、効率良く高周波電力を供給し続けることが可能である。
【0065】
次に、本発明の第3実施形態に係る非接触電力伝送システムCについて、説明する。第3実施形態に係る非接触電力伝送システムCの全体構成は、上記第1実施形態に係る非接触電力伝送システムA(
図1参照)と略同様であり、高周波変換部12が高周波変換部17に置き換わっている点で相違する。なお、上記第1実施形態および第2実施形態と同一または類似の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0066】
図10は、高周波変換部17の回路構成を示すである。図示するように、高周波変換部17は、第1のコンデンサCfと、インダクタLfと、スイッチング素子Qと、ダイオードDと、第2のコンデンサCsと、伝送線路部K2と、第1の共振回路LCfとを含んで構成される。したがって、高周波変換部17は、第1実施形態に係る高周波変換部12と回路構成が異なっており、第2の共振回路LCsの代わりに伝送線路部K2を用いている。
【0067】
伝送線路部K2は、高周波変換部17が生成する高周波から、所定次数の高調波を減衰させるものである。伝送線路部K2は、伝送線路K21および伝送線路K22を備えている。伝送線路K21は、一端がインダクタLfの出力側の端子と第1の共振回路LCfの入力側の端子との間に接続され、他端が開放された伝送線路である。伝送線路K22は、一端がインダクタLfの出力側の端子と第1の共振回路LCf1の入力側の端子との間に接続され、他端が短絡された伝送線路である。本実施形態においては、伝送線路K21,K22を、同軸ケーブルとしている。なお、伝送線路K21,K22は、同軸ケーブルに限定されず、例えば、同軸管、基板上に形成された線路などであってもよい。
【0068】
伝送線路K21,K22の長さは、高周波変換部17が出力する高周波の、各伝送線路K21,K22における伝送波長の略8分の1の長さとしている。具体的には、第2実施形態に係る伝送線路K1と同一の同軸ケーブル(ポリエチレン製)を用いた場合、同様に計算すると、高周波変換部17が出力する高周波の波長λは、λ=(3.0×10
8)×(66/100)/(13.56×10
6)≒14.60[m]となるので、伝送線路K21,K22の長さはともに、この波長λの略1/8の、14.60×(1/8)≒1.8[m]となる。なお、上記第2実施形態と同様に、高周波変換部17が出力する高周波の周波数が低ければ低いほど、伝送線路K21,K22の長さが長くなる。よって、当該伝送線路K21,K22を高周波電源装置1の筺体に収容するために、高周波変換部17が出力する高周波の周波数は、6.78MHz以上であることが望ましい。
【0069】
図11は、伝送線路部K2を、スイッチング素子Qのドレイン端子側から見たインピーダンスの大きさの周波数特性を示す図である。横軸が周波数を示しており、縦軸がインピーダンスの大きさを示している。同図に示すように、周波数f(=13.56MHz)および周波数fの奇数倍の周波数で、インピーダンスが無限大になり、周波数fの偶数倍の周波数で、インピーダンスがゼロになっている。したがって、伝送線路部K2には、高周波変換部17が出力する高周波の基本波および奇数次の高調波(3次高調波、5次高調波など)の電流は流れず、偶数次の高調波(2次高調波、4次高調波など)の電流が流れて、スイッチング素子Qに発生する偶数次の高調波成分の電圧を減衰させる。
【0070】
このように構成された高周波変換部17は、伝送線路部K2を設けたことで、上記する第2実施形態に係る高周波変換部16と同様に、スイッチング素子Qに発生する偶数次の高調波(2次高調波、4次高調波など)成分の電圧を減衰させる。すわなち、伝送線路部K2を設けた場合でも、上記第2実施形態に係る高周波電源装置1と同様の効果を奏することができる。したがって、スイッチング素子Qのドレイン電圧は、
図9(a)に示す波形と同等の波形となり、スイッチング素子Qに発生する電圧を抑制することができる。
【0071】
なお、高周波変換部17は、
図12に示すように、上記
図10に示す高周波変換部17の回路を2個正負対称に接続して、それぞれ一方の極性の信号のみを増幅するプッシュプル回路で構成してもよい。この場合も、各伝送線路部K2により、スイッチング素子Qに発生する偶数次の高調波成分の電圧を減衰させることができるので、スイッチング素子Qに発生する電圧を抑制することができる。
【0072】
上記第1実施形態ないし第3実施形態において、直流電源部11にDC−DCコンバータを備え、直流電源部11から出力される直流電圧のレベルを変化させることで、高周波電源装置1から出力される高周波電力を、目標出力電力に制御する態様(パルス振幅変調(PAM)制御)を説明したが、これに限定されない。例えば、高周波電力を出力する期間と出力しない期間との比率を変化させることで、高周波電源装置1から出力される高周波電力を目標出力電力に制御するパルス密度変調(PDM)制御を行うようにしてもよい。具体的には、電源制御部15は、高周波電源装置1から出力される高周波電力の所定期間内の平均値が目標出力電力となるように、高周波変換部12(16,17)に対して、パルス信号を出力する期間と出力しない期間とを有する高周波駆動信号S2’を出力することで、実現される。
【0073】
この高周波駆動信号S2’の生成について、
図13を用いて説明する。電源制御部15は、電力検出部13から入力される進行波電力Pfと目標出力電力Pfsとの電力差ΔPf(=Pfs−Pf)を算出する。なお、このときの進行波電力Pfは、所定期間(例えば、後述するキャリア信号Scの1周期)の平均値とする。そして、この電力差ΔPfに所定のフィードバックゲインを乗じ、このフィードバックゲインを乗じた電力差ΔPf’と所定の周波数(例えば、400Hz)のキャリア信号Sc(鋸波あるいは三角波)と比較する。その結果、電力差ΔPf’がキャリア信号Scより大きいとき(期間T1)に、13.56MHzのパルス信号を発生させ、電力差ΔPf’がキャリア信号Sc以下のとき(期間T2)には、13.56MHzのパルス信号を発生させない。これにより、パルス信号を出力する期間とパルス信号を出力しない期間とを有する高周波駆動信号S2’を生成することができる。
【0074】
ここで、目標出力電力Pfsを大きくすると、電力差ΔPf’は大きくなるため、電力差ΔPf’は、
図13(a)において、上方向に移動する。そのため、電力差ΔPf’がキャリア信号Scより大きい期間T1が長くなり、高周波駆動信号S2’における、パルス信号を出力する期間が長くなる。一方、目標出力電力Pfsを小さくすると、電力差ΔPf’は小さくなるため、電力差ΔPf’は、
図13(a)において、下方向に移動する。そのため、電力差ΔPf’がキャリア信号Scより大きい期間T1が短くなり、高周波駆動信号S2’における、パルス信号を出力する期間が短くなる。以上のことから、進行波電力Pfと目標出力電力Pfsとの電力差ΔPfにより、高周波駆動信号S2’における、パルス信号を出力する期間と出力しない期間との比率が変化する。
【0075】
そして、電源制御部15が、生成した高周波駆動信号S2’を高周波変換部12(16,17)に入力することで、高周波変換部12(16,17)から高周波電力が出力される期間と出力されない期間が生じる。このとき、高周波電力が出力される期間が長いと、高周波電力の平均値が大きくなり、反対に高周波電力が出力される期間が短いと、高周波電力の平均値は小さくなる。したがって、電源制御部15は、PDM制御により、所定期間内(例えば、キャリア信号の1周期)での高周波変換部12(16,17)の出力電力の平均値を、目標出力電力Pfsに制御することができる。したがって、高周波電源装置1にDC−DCコンバータ等の電力制御機器を設ける必要がなく、高周波電源装置1の構成の簡素化を図ることができる。
【0076】
上記第1実施形態ないし第3実施形態において、本発明に係る高周波電源装置を非接触電力伝送システム(充電システム)に適用した態様を例に説明したが、これに限られない。本発明に係る高周波電源装置は、高周波電力を用いるあらゆるシステムに適用することができる。例えば、プラズマ処理システムの電源として用いたり、誘導加熱装置の電源として用いたりしてもよい。また、その他(充電システム以外)の用途の非接触電力伝送システムに適用してもよい。
【0077】
以上、本発明に係る高周波電源装置および非接触電力伝送システムについて説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲を逸脱しなければ、各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。