【実施例】
【0054】
実施例1: イヌリン製剤の分析試験
イヌリン製剤の分析は、以下で簡潔に説明するように、Australian Proteome Analysis Facility(オーストラリア国2109ニューサウスウェールズ州シドニー、リサーチ・パーク・ドライブ、マッコーリー大学)によって実施された。
【0055】
標準物質およびサンプルの詳細:
便宜上、全てのイヌリンサンプル/製剤は、商業的供給源から購入した。イヌリン標準物質は、Sigma Aldrich社(PN:I2255−10G、LN:099F71251V)から購入し、4種の異なるイヌリン製剤、つまりOrafti社(ベルギー国)から全て入手したOrafti HP、Orafti GR、Orafti P95、および市販のイヌリン(CI)(Just Like Sugar社、米国ネバダ州ラスベガスから入手)を分析した。
【0056】
分析手順:
標準物質のイヌリン溶液および4種のイヌリン製剤は、使用前に高温MilliQ水に溶解させ、室温に冷却することによって、濃度1mg/mLで調製した。各溶液は毎日新しく作製し、同一条件下で分析した。全サンプルおよび標準物質は、連続3日間にわたり実施した。標準物質および各サンプルの分析は、以下のスケジュールにしたがって3回の別々のランにより行った。
【0057】
標準物質およびイヌリンサンプルは、それぞれについて、異日に各々1mg/mLで新しく調製した。イヌリン溶媒(MilliQ水)をブランクとして使用した。機器は、下記の順序でサンプルをランさせるように設定した:
【0058】
標準物質、ブランク、いずれかのサンプル、ブランク、いずれかのサンプル、ブランク、いずれかのサンプル、ブランク、いずれかのサンプル、ブランク、いずれかのサンプル、ブランク、標準物質。
【0059】
機器および方法:
標準物質および4つのサンプルの分析は、Dionex HPAEC−PAD(high−performance anion−exchange chromatography system with pulsed amperometric detection)(Dionex Pty社、オーストラリア国レーン・コーブ)上で着手された。
方法:
ガードカラム:CarboPac PA200ガードカラム(3×50mm)
カラム:CarboPac PA200カラム(3×250mm)
カラム温度:30℃
注入量:25μL
流速:0.5mL/分
溶媒:A=100mM NaOH
B=100mM NaOH中の500mM CH
3COONa
C=MilliQ水
D=200mM NaOH
グラジエント:
【数1】
【0060】
結果の質、正確度および精度
試験したイヌリン標準物質および4種のイヌリン製剤について、3回のランは全て同一の結果を示した。プロファイルの最前部の1点、中央部の1点、最後部の1点の3つのピークを(例えば正確度、精度などのシステムの性能を評価するための)参照点として選択した。各サンプルの3回のランにおけるこれらのピークの分析において、保持時間については<1%の%RSD(相対標準偏差)を示し、検出されたピーク数については<5%の%RSDを示した。面積および高さは、サンプル重量における偏差に起因して各反復分析間で変動する。検出したピーク数、ピーク面積および高さは、Dionex Chromeleonソフトウエアにおいて設定されたパラメータに依存する。
【0061】
クロマトグラムピークの上方の数字は、表示および参照の目的のみのものである。簡単に説明すると、ピークが積算されると、本システムのソフトウエアはピークの上方に数字を付する。そのため、各クロマトグラムにおいて「1」と表示されたピークは、そのクロマトグラムが由来する表内のピーク「1」に対応し、そのピークと関連するデータとの相互参照を可能にしている。X軸の単位は保持時間であり、Y軸の単位はnC(ナノクーロン)である。
【0062】
Sigma Aldrich社のイヌリン標準物質を使用して機器を標準化した(
図1)。標準化したら、正確に同一の手順/方法で機器を使用し、2型糖尿病患者の治療において使用した各イヌリン製剤についてのクロマトグラムを評価した。
【0063】
実施例2: 2型糖尿病患者におけるグリベンクラミド/イヌリン併用療法−様々なイヌリン製剤の作用
臨床試験データ:
本明細書に提供した患者データは、参照により本明細書に組み込まれるPCT/AU2011/000622に記載された方法および手順にしたがって得られた。
【0064】
被験者:
肥満と分類されるBMI(ボディ・マス・インデックス)30を有し、2型糖尿病、心房細動、高血圧、高血中コレステロールおよび変形性関節症の既往歴を有する65歳の女性。
【0065】
既往歴:
この患者は49歳時に2型糖尿病と診断された。患者は糖尿病に対してグリベンクラミド(Alphapharm Pty社)(3×5mg/日=15mg/日)を用いて治療された。
【0066】
OTCまたはその他のサプリメント:
イヌリン:12g/日 4gを1日3回
【0067】
イヌリン製剤の入手源は、上記の実施例1に記載している。
【0068】
グルコース測定:
血糖値は、Accu−Chek Performa(Roche社、独国マンハイム)機器(CAT/TYP 04680464002mmol/Lおよび55404204955)を製造業者の取扱説明書にしたがって使用して決定した。他の類似の機器もまた使用できる。
【0069】
結果:
Orafti HP製剤の作用:
Orafti HPイヌリンを摂取する前に、患者は15g/日でCIを摂取しており、月平均空腹時血糖レベルは5.7±0.21mmol/Lであった(図示していない)。23を超える重合度範囲を特徴とする食品グレードのOrafti HPイヌリン製剤を〜21g/日、1カ月間摂取すると、空腹時血糖レベルは5.7±0.21mmol/Lから月平均8.8±0.7mmol/Lへと劇的に増加した。イヌリン製剤のクロマトグラムおよびこのイヌリン製剤が患者の空腹時血糖レベルに及ぼす対応する作用を
図2に示す。この増加によって、Orafti HPイヌリンの摂取を中止し、患者は空腹時血糖レベルが正常値に回復するまでCI(約2〜60の重合度範囲を特徴とする)を摂取し続けた。患者は、Orafti HPイヌリン摂取中に糖尿病の症状、例えば倦怠感、発汗、筋衰弱および疼痛が再発したと述べた。
【0070】
Orafti GR製剤の作用:
Orafti GRイヌリンを摂取する前に、患者は15g/日でCIを摂取しており、月平均空腹時血糖レベルは5.2±0.2mmol/Lであった。約10〜60の重合度範囲を特徴とする食品グレードのOrafti GRイヌリン製剤(10未満の重合度値を備える所定量のイヌリンもまた存在した)を〜15〜21g/日、1か月間摂取すると、空腹時血糖レベルは5.2±0.2mmol/Lから6.8±0.2mmol/Lへと増加した。さらにOrafti GR摂取量を30g/日へ増量すると、空腹時血糖レベルは正常化した。イヌリン製剤のクロマトグラムおよびこのイヌリン製剤が患者の空腹時血糖レベルに及ぼす対応する作用を
図3に示す。患者は、この高用量のOrafti GRの摂取中に体調が良かったと述べた。
【0071】
CIイヌリン製剤の作用:
上述した患者がCIを15g/日で摂取すると、常に空腹時血糖レベルが正常化した。このイヌリン製剤のクロマトグラムおよびこのイヌリン製剤が患者の空腹時血糖レベルに及ぼす対応する作用を
図4に示す。
【0072】
Orafti P95製剤の作用:
Orafti P95イヌリンを摂取する前に、患者は15g/日でCIを摂取しており、平均空腹時血糖レベルは5.4±0.3mmol/Lであった。3〜10の重合度範囲を特徴とする食品グレードのOrafti P95イヌリン製剤を、〜12g/日、1か月間摂取すると、空腹時血糖レベルは正常であった。Orafti P95イヌリン製剤のクロマトグラムおよびこのイヌリン製剤が患者の空腹時血糖レベルに及ぼす対応する作用を
図5に示す。患者は、Orafti P95摂取中に極めて体調が良いと感じ、糖尿病の症状が発生しなかったと述べた。患者は、この製剤が糖尿病の症状に関して最も効果があったと述べている。
【0073】
考察:
様々なイヌリン製剤が2型糖尿病患者に及ぼす作用の比較から、より低い重合度範囲のイヌリン製剤は空腹時血糖レベルを正常化する上でスルホニル尿素とより良好な相乗作用を生じさせることが示された。
【0074】
Orafti GRによって空腹時血糖レベルを正常化するには、このイヌリンの摂取はより高用量(約30g/日)必要であった。この製剤のほぼ半分(
図3のクロマトグラムを
図2および
図4と比較されたい。範囲は矢印によって表示した)は重合度が23未満であるイヌリンを有したので、空腹時血糖を正常化するためには、この製剤はCI(15g/日)に比較して2倍量必要とされた。他方、CIは、約23未満の重合度を有するイヌリンをより多く含有し(およそ70〜80%)、その結果、スルホニル尿素との相乗作用はより良好であった。
【0075】
上記の結果とは対照的に、Orafti P95によって空腹時血糖を正常化するには、このイヌリンの摂取はより低用量(12g/日)でよかった。この製剤の全てが(
図2〜5のクロマトグラムを比較されたい)重合度が約10未満であるイヌリンを有したので、CI(15g/日)と比較すると、空腹時血糖を正常化するために必要なこの製剤の量は若干より低用量であった。
【0076】
総合所見:
これらの所見から、より低い重合度範囲の、例えば約23未満、しかし好ましくは約2〜23の範囲内、より好ましくは約2〜10の範囲内、さらに好ましくは約2〜約5であるイヌリンが明白である。F2〜F5を含むイヌリンが特に好ましく、これは、より高い重合度範囲のもの、例えば約23を超える重合殿ものよりも、スルホニル尿素との相乗作用が良好である(
図2〜6を参照されたい)。
【0077】
実施例3: 2型糖尿病に対するグリメピリド/イヌリン併用療法:症例報告
被験者:
肥満と分類されるBMI33を有し、2型糖尿病および変形性関節症の既往歴を有する59歳の女性。
【0078】
既往歴:
55歳時に、この患者は2型糖尿病と診断された。医師は、食事単独の治療を推奨した。57歳時に、空腹時血糖レベルが増加したために、患者はグリメピリド(1mg/日、1日1回1mg)を用いて治療された。この用量は1mgずつ増量され、患者は現在、1日1回4mgのグリメピリドを摂取している。
OTCまたはその他のサプリメント:
グルコサミン 1,500mg/日 1日2回
イヌリン(CI): 12g/日 1日3回4g
【0079】
方法:
グルコース測定機器:
血糖値は、Accu−Chek Performa(Roche社、独国マンハイム)機器(CAT/TYP 04680464003mmol/Lおよび55405079196)を製造業者の取扱説明書にしたがって使用して決定した。
【0080】
結果:
イヌリンがグリメピリド単剤療法に及ぼす有効性を調べた。イヌリン併用療法の数年前、患者の空腹時血糖レベルは変動し、7mmol/Lを超えてコントロール不能であった。
図7は、表示された時点での月平均空腹時血糖レベルを示している。治療の条件を以下に説明する:
【0081】
2011年6月:
空腹時血糖レベルのベースライン測定中、患者は1日1回4mgの用量でグリメピリドを摂取した。
【0082】
2011年7月:
イヌリンを1週間にわたり3g/日(食事毎に1g、1日3回)で導入した。イヌリンの用量は、第2週に6g/日(食事毎に2g、1日3回)へ、第3週には9g/日(食事毎に3g、1日3回)へ、および第4週には12g/日(食事毎に4g、1日3回)へ増量した。
【0083】
2011年8月〜10月:
患者は各食事とともにイヌリン4g/食事(計12g/日)を摂取し続けた。このデータは、ベースライン時の〜8mmol/Lから3カ月間のイヌリン摂取終了時の〜6mmol/Lへの〜2mmol/Lの減少を示している。結果は、
図7に示す。
【0084】
患者の空腹時血糖レベルは、グリメピリドと併用してイヌリンを約12g/日で摂取した場合にほぼ正常値に回復する。患者はさらに、イヌリンの摂取が活力を高め、便通を増加し、筋肉痛を緩和し、総合すると日常生活の質が向上したと述べている。
【0085】
実施例4: 2型糖尿病に対するグリピジド/イヌリン併用療法:症例報告
被験者:
過体重と分類されるBMI29を有し、2型糖尿病の家族歴を有する54歳の男性。
【0086】
既往歴:
50歳時に、この患者は2型糖尿病と診断された。医師は、食事単独の治療を推奨した。52歳時に、空腹時血糖レベルが増加したために、患者はグリピジド(5mg/日、1日1回5mg)を用いて治療された。この用量を5mgずつ増量し、患者は現在、1日3回5mg、つまり15mg/日のグリピジドを摂取している。
その他のサプリメント:
イヌリン(CI) 12g/日 1日3回4g
【0087】
方法:
グルコース測定機器:
血糖値は、Accu−Chek Performa(Roche社、独国マンハイム)機器(CAT/TYP 04680464002mmol/Lおよび55403057614)を製造業者の取扱説明書にしたがって使用して決定した。
【0088】
結果:
イヌリンがグリピジド単剤療法に及ぼす有効性を調査した。イヌリン併用療法の数年前、患者の空腹時血糖レベルはおよそ7mmol/Lで適度にコントロールされた。
図8は、表示した時点での月平均空腹時血糖レベルを示している。治療の条件を以下に説明する:
【0089】
2011年7月:
空腹時血糖レベルのベースライン測定中、患者は1日15mgの用量でグリピジドを摂取した。
【0090】
2011年8月:
イヌリンは、1週間にわたり3g/日(食事毎に1g、1日3回)で導入した。イヌリンの用量は、第2週に6g/日(食事毎に2g、1日3回)へ、第3週には9g/日(1日3回、各食事毎に3g)および第4週には12g/日(食事毎に4g、1日3回)へ増量した。
【0091】
2011年9〜10月:
患者は各食事とともにイヌリン4g/食事(計12g/日)を摂取し続けた。このデータは、ベースライン時の〜6.5mmol/Lから2カ月間のイヌリン摂取終了時の〜5mmol/Lへの〜1.5mmol/Lの減少を示している。結果は、
図8に示す。
【0092】
患者の空腹時血糖レベルは、グリピジドと併用してイヌリンを約12g/日で摂取した場合に正常値に回復する。この患者はさらに、イヌリンの摂取が便通を増加させ、総合すると生活の質を向上し、活力を高め、結果として毎日の歩行量および運動量が増加したと述べている。
【0093】
実施例5: イヌリン単剤療法およびその投薬中止が前糖尿病性個人の空腹時血糖値に及ぼす作用:症例報告
被験者:
過体重と分類された、BMI28を有し、2型糖尿病の家族歴を有する46歳の男性。
【0094】
方法:
グルコース測定機器:
血糖値は、Accu−Chek Performa(Roche社、独国マンハイム)機器(CAT/TYP 04680464003mmol/Lおよび55405441515)を製造業者の取扱説明書にしたがって使用して決定した。
【0095】
糖尿病の素因があるが抗糖尿病投薬を全く受けておらず、正常限度(およそ6.0mmol/L)を超える空腹時血糖レベルを有していたこの被験者も、最初にイヌリン(CI)(¶)、次にイヌリン(Orafti GR)(§)、という形でイヌリンを13カ月間摂取した。スルホニル尿素治療を受けた患者とは対照的に、13カ月間にわたる12〜15g/日のイヌリンの摂取は、この被験者の空腹時血糖レベルを変化させなかった。6カ月間にわたるイヌリン
【化1】
の投薬中止は、この被験者における空腹時血糖レベルのいかなる有意な変化も生じさせなかった(
図9)。
実施例6: 2型糖尿病に対するグリクラジド/イヌリン併用療法:症例報告
この実施例は、ほぼ10年間にわたりグリクラジド療法(30mg、1日1回)を受けていたが、9mmol/Lを超えコントロール不能な血糖値を有する、患者の延長されたデータを示している。この患者は、その内容が全て本明細書に取り込まれるPCT/AU2011/000622に以前に記載されたように、市販のイヌリン(CI)を用いる併用療法を開始した。様々な血液パラメータ測定値は、PCT/AU2011/000622に記載された通りであった。結果は、
図10および下記の表1に示され、イヌリン併用療法の有効性が24カ月を超えて維持されることを示している。
表1:独立した病理検査室によって実施された、患者の空腹時血糖、HA1Cおよび脂質のプロファイル。
【表1】
【0096】
実施例7: 2型糖尿病に対するグリベンクラミド/イヌリン併用療法:62週間の延長された有効性評価
この実施例は、PCT/AU2011/000622の実施例3に記載された患者において、さらに長い期間(5年間を超える)にわたってCIを摂取し、グリベンクラミドとの併用療法(5mg、1日3回)を受け続け、記載されたプロトコルと同様のプロトコルを継続し続けた患者からの延長されたデータを示している。患者に対しこのイヌリン製剤との併用療法を持続すると、空腹時血糖レベルは正常化し、正常範囲内に維持された。この試験の結果を
図11および下記の表2に示す。様々な血液パラメータ測定値は、PCT/AU2011/000622に記載された通りであった。その結果は、
図11および下記の表2に示されているが、イヌリン併用療法の有効性が63カ月間を超えて維持されることを示している。患者に対しこのイヌリン製剤との併用療法を持続すると、空腹時血糖レベルは正常化し、正常範囲内に維持された。
表2:CI追加療法およびグリベンクラミド単剤療法を受けていた患者の空腹時血糖レベル、HA1Cおよび脂質のプロファイル
【表2】
実施例8: オリゴフルクトース製剤についての組成の指針および様々な分子構造の命名の例
表3:様々なイヌリン製剤のオリゴフルクトース含量(オリゴフルクトース用語についてのガイドを含む)。オリゴフルクトースの相対濃度は、Australian Proteome Analysis Facilityで決定されている。
【表3】
(a)Tetrahedron:Asymmetry 16(2005)33−37
(b)International Journal of Food Science and Technology 2009,44,947−952
【0097】
以下の表4は、スルホニル尿素と効果的に相乗作用する好ましいイヌリン組成物のオリゴフルクトース含量を示している。
表4:イヌリンOrafti P95組成物のオリゴフルクトース(OF)含量(the Australian Proteomic analysis facilityで分析された)。
【表4】
【0098】
以下の表5および6は、スルホニル尿素と効果的に相乗作用する規定のイヌリン製剤のさらなる例を示している。
表5:scFOS(短鎖フルクトオリゴ糖)およびSensus OFP(オリゴフルクトース製剤)を含む規定のイヌリン製剤におけるオリゴ糖の比較含量。
【表5】
表6:提案されたオーストラリア国承認名称「AAN」を有する規定イヌリン製剤。
【表6】
【0099】
簡単に参照できるようにするため、イヌリンとフルクトオリゴ糖の関係、およびscFOS(短鎖フルクトオリゴ糖)の化学構造を示す略図を
図12に示す。これらは公に入手できる情報であって生化学の教科書の中に見いだすことができる。
【0100】
実施例9: 本発明の組成物中で使用するためのイヌリンを調製する方法
市販の食品グレードのイヌリン製剤
所望の有益な重合度値および/または規定のオリゴフルクトースおよび/またはフルクトオリゴ糖を備える、本発明の組成物中で使用するためのイヌリン製剤は、市販で入手してもよい。例えば、実施例8に記載したオリゴフルクトース製剤であるSensus OFPは、Sensus社(Borchwerf 3、4704 RGローゼンダール、オランダ国)によって製造され、流通されている。市販のイヌリン製剤、例えばSensus OFPは、典型的には、イヌリン含有材料、例えばチコリ、アーティチョークなどの植物材料、の制御された酵素加水分解によって、オリゴ糖の混合物として単離される。本方法の一般的概略を
図13の略図に示す。これは、Sensus社のウエブサイト(
http://www.sensus.nl/home−2.0.html)で公に入手できる。この製造方法は、EU食品加工制限および要求に従い、多年にわたって完全な商業規模で開発され実施されてきた。一般に、Sensus OFPを製造するための方法は、チコリ根を収穫する工程、熱湯を用いて根のスライス片を抽出する工程を含んでいる。精製工程では、固体およびタンパク質を除去する。その後、当分野において公知の方法を用いて脱塩/脱色が行われる。さらなる精製工程の結果、シロップまたはスプレー乾燥された粉末などの粉末として供給されうる最終生成物が得られる。オリゴフルクトース製剤製品仕様書のコピーおよび製品の重合度を決定するために使用される分析方法は、Sensus社から入手できる。Sensus社が供給する製品は、乾燥条件下でオリジナルの密封袋内に保存された場合は、製造日後少なくとも5年間は保存できる。
【0101】
その他の天然または改変酵素は、基質としてイヌリンを使用する本明細書に記載した方法のうちどの方法において使用してもよい。そのような天然または改変酵素には、レバンスクラーゼ、1,4−α−グルカン6−α−グリコシルトランスフェラーゼ、2,1−フルクタン:2、1−フルクタン1−フルクトシルトランスフェラーゼ、イヌリナーゼ、β−フルクトフラノシダーゼ、スクロースα−グルコシダーゼ、2,6−β−フルクタン6−レバンビオヒドロラーゼ、フルクタンβ−フルクトシダーゼ、フルクタンβ−92,1)−フルクトシダーゼ、イヌリンフルクトトランスフェラーゼ(DFA−I生成型)、イヌリンフルクトトランスフェラーゼ(DFA−II生成型)が含まれるがそれらに限定されない。そのような酵素は、データベース、例えばhttp://www.brenda−enzymes.info/)を検索することによって容易に見いだすことができる。
【0102】
フルクトオリゴ糖の製造:より低重合度のイヌリン
本発明の組成物中に使用するためのフルクトオリゴ糖(好ましい形態F2〜F5を含む10未満の重合度値を有するイヌリン)は、上述したような市販の製剤から、または上述の方法を使用して調製した類似のオリゴフルクトース製剤から精製してもよい。これらの方法もまた、上述したように天然または改変酵素を利用する。
【0103】
フルクトオリゴ糖は、基質の消化(21)ならびにサブユニットからの酵素を用いる合成(22);固定化酵素を使用する方法(23)および重要な属性として特に設計された反応速度論を有する他の技術(24)、またはオーダー生産のために膜などの他のプラットフォームを使用する技術(25)を含む、当分野において記載された任意の技術を使用して製造してもよい。(26)に記載されたように、反応の進行をモニタリングするための生物の使用もまた想定されている。
【0104】
多数の教科書がフルクトオリゴ糖の製造について記載しており、その内容は全て参照により取り込まれる(27)。触媒システムが記載されているが、そのようなシステムは、例えば二価カチオン(Zn、Mg、Pb、Pt)などの補因子の使用ならびに、時間、温度、pH、基質または反応環境選択を含む、反応速度論の適切な変更や最適化を要する。
【0105】
合成戦略もまた使用してもよい。記載される合成戦略は極めて基本的な理論から極めて高度なシステムに及ぶ。例えば:直鎖グリコシル化、収束的ブロック合成、一段階および多段階戦略、化学選択的戦略、固相および組み合わされた半酵素法、を含む戦略的アプローチの適用が含まれる。場合によっては、小型反応装置が使用される。より近年のアプローチには、レーザーシステムおよびマイクロ波媒介システムの両方が組み込まれてきた。
【0106】
より進歩したシステムでは、Ionic catch and release methodology(28)、HPLC支援全自動システム(29)が使用されてきたものもある。バイオ燃料の製造に現在利用されているシステムを適応させてもよく、これにはサイズ減少、化学的前処理、細胞溶解および酵素反応が含まれうる。
【0107】
高重合度分子を特定フルクトオリゴ糖に分解するのに特異的に関与する酵素の単離や利用、理想的には、向上した活性が可能である新規な酵素または生物の単離および/または適応、を含むシステムもまた想定されている。そのような酵素は原核生物起源および真核生物起源のいずれの由来であってよく、根菜類起源が特に重要である。そのような酵素は、オンラインデータベース、例えばhttp://www.brenda−enzymes.info/)を検索することによって容易に見いだすことができる。
【0108】
GF2、GF3およびGF4は、参考文献(30)の第16〜17頁に本質的なところは記載されたように、酵素β−フルクトフラノシダーゼを使用してスクロースから調製してもよい。
【0109】
例えばデキストランに類似する方法で、所望の重合度を備えるフルクトオリゴ糖を合成できる生物および/または酵素を単離することも、それらが利用可能である場合は使用されうると考えられる。可能性の高い起源は、バイオフィルムのための細胞外多糖を浸出させることが知られる生物(31)や酵母(32)を含み、他の重要な生物としては、明らかにビフィズス菌の生育促進作用を有する生物(33)が含まれる。特に重要な微生物は、極限環境、例えば高温(好熱菌)、低酸素(嫌気性または通性嫌気性)、および/または低栄養環境(例えば、シュードモナス(pseudomonas))から単離されるまたは由来する可能性が最も高い。
【0110】
FOSを摂取することの安全性の決定に関する全ての方法は、例えば、その内容の全体が参照により取り込まれる参考文献(30)に記載されたように、公表されている。
【0111】
実施例10: イヌリン組成物の単位剤形の調製
本明細書に記載したイヌリン製剤、例えば、実施例8および9に記載したオリゴフルクトース製剤、フルクトオリゴ糖またはオリゴフルクトースはどれも、固体または液体経口投与形として直接供給されてもよく、または有効成分および1つ以上の医薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤を該剤形の製造の一部として含む製剤として製造されてもよい。剤形には、液体充填カプセルも含め液体(スプレー、シロップ、乳化物、懸濁物、ペースト、チコリその他のイヌリン天然起源の液体抽出物、トニック、チンキ剤など);半固体の口当たりのよいゲル、フィルム、ガムまたはウエハのもの;トローチ、顆粒、粉末、錠剤(チュワブル、分散性、発泡性、コーティング、腸溶性、硬質および軟質カプセルなどを含む)などの固形のもの、が含まれるがそれらに限定されない。その他の例には、経皮、舌下、注射用、埋込型、ボーラスなどが含まれる。当分野で公知の加工技術、ならびに公知の医薬上許容される担体、希釈剤または賦形剤を使用してもよい(一般に、Remington’s Pharmaceutical Sciences,(4)および例えば参考文献(5)〜(20)を参照されたい)。このような製剤を調製するために、本明細書に記載した本発明の1つ以上のイヌリン製剤は、例えば凍結乾燥粉末、スラリー、水溶液または懸濁液の形態にある生理学的に許容される担体、賦形剤または安定剤と混合されることによって、医薬上許容される担体または賦形剤と混合される。概して、使用される医薬上許容される賦形剤、担体または安定剤には、酸化防止、増量、カプセル潤滑、キレート形成、コーティング、着色、錯体形成、乾燥、希釈、皮膚軟化、乳化、被膜形成、香味、流動促進または凝結防止、保湿、吸着、硬化、封鎖、懸濁化、甘味、活力増強、撥水、湿潤/可溶化などを提供するものが含まれ、これらについては参考文献(4)〜(20)に記載されている。
【0112】
1つの例では、打錠は、個別の、制御された剤形の調製を可能にする固体剤型であり、
−分離、分割および溶解性
−放出、溶解および透過および安定性
−商業的および識別パラメータ
−美味性、投与コンプライアンス、包装可能性など
を含む、様々なパラメータについて、予測可能な特性を与える。
【0113】
錠剤を設計するための検討事項には、特に:
−投与1回当たりに送達すべき有効成分の量
−タイミングおよび送達の所望の属性
−安定性または反応性、が含まれる。
【0114】
上記の一般的参考文献に加えて、さらなる資料ならびに錠剤製造および加工技術などは第1章参考文献19の第1章、および参考文献20の第6、8、11および13章の中にも見いだしてもよい。例えば、適切な賦形剤、担体および/または他の添加物には、カプセル殻、充填剤、乾燥剤、潤滑剤および結合剤が含まれ、典型的にはセルロース、無水コロイド状シリカ、ヒプロメロース、ラクトース、ラクトース一水和物、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、微結晶セルロース、ポビドン、グリコール酸でん粉ナトリウム、トウモロコシデンプン、α化デンプン、ステアリン酸またはタルクのうちの1つ以上が含まれるであろう。
【0115】
その他の適切な賦形剤、担体および/または他の添加物を、非限定的な例として、以下に記載する。太字で列挙したものが好ましい。
【数2】
【数3】
【数4】
【0116】
打錠工程:
非限定的な例として、以下の計画にしたがって錠剤を製造した:
【数5】
【0117】
**上記の計画内のイヌリン粉末は、本発明のイヌリン製剤の一つ、例えば実施例8および9に記載したオリゴフルクトース製剤、フルクトオリゴ糖またはオリゴフルクトースのいずれか1つを含んでいる。Sensus社ブランドのオリゴフルクトース製剤を含む錠剤を調製した。
【0118】
グリコール酸デンプンナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムのいずれも、2型糖尿病を管理するために製剤化される錠剤(有効成分がスルホニル尿素であるものも含む)中の賦形剤として、常用的に含まれることに留意されたい。イヌリン(またはフルクトオリゴ糖)と、提案された賦形剤のうち任意のものとは、各々、多数の薬局方に含まれており、賦形剤成分として認識されているが、それらの間で相互作用があるとの報告は無い。
【0119】
グリコール酸デンプンナトリウム63mg(4w/w%)
多数の様々な架橋グリコール酸デンプンナトリウムのバリエーションが存在し、これらは、各々ジャガイモデンプンから調製される。グリコール酸デンプンナトリウムは、錠剤およびカプセル製造における崩壊剤として使用される。この賦形剤は、化学的に安定であると考えられ、アスコルビン酸とは化学的に不相溶性である。グリコール酸デンプンナトリウムとグリコペプチド系抗生物質および塩基性(アルカリ性)薬剤との間には薬理学的相互作用が報告されている。参考文献(11)、(13)、(14)および(15)は、この物質に関する追加の薬局方データを含んでいる。用いられている濃度は最適であると考えられ、典型的な濃度は2〜8%とされている。
【0120】
ステアリン酸マグネシウム8mg(0.5w/w%)
ステアリン酸マグネシウムは、打錠およびカプセル化システムにおける潤滑剤として作用する、固体有機酸(ステアリン酸塩およびパルミチン酸塩)およびマグネシウムからなる化合物である。比表面積は、様々な剤形にとっての適合性において重要な特徴であり、バッチ間での一貫性のために決定されなければならない。ステアリン酸マグネシウムは、分子式C
36H
70MgO
4(5911.34)および構造式[CH
3(CH
2)
16COO]
2Mgを有する。化学的に安定性ではあるが、ステアリン酸マグネシウムは、強酸、強アルカリおよび鉄塩とは不相溶性であると考えられる。ステアリン酸マグネシウムは、アスピリン、一部のビタミン類および大多数のアルカロイド塩を含有する製品と共に使用することはできない。参考文献(11)、(13)、(14)および(15)は、この物質に関する追加の薬局方データを含んでいる。引用された濃度は適切であると考えられ、典型的な濃度は0.25〜5w/w%である。
【0121】
打錠工程の例について記載する。典型的には剤は、以下の計画で製造する。
−材料の調製
−剤形の組立
−品質管理および包装
【0122】
材料の調製は、最初に、目的とする使用に対する適合性について各物質を検査する工程、および既知量の各賦形剤を定量的に調合する工程を含む。次に選別(screening)が行われる。これは、物理的ふるいに成分を通す、または均一な剤形の調製を導かない粒子を同定および/または除去するスクリーニング装置、に成分を通過させる工程である。スクリーニングは、手動、半自動または全自動工程であることができる。他の制御工程、例えば金属検出または出発材料のサンプリングおよびQC分析もまたこの段階で使用できる。
【0123】
材料の調製は、さらに粉砕を含んでもよい。粉砕は、生成物のサイズを減少または標準化する工程である;典型的には、粉砕は、個々の成分および/またはブレンドに対して、他の工程と組み合わせて実施しうる。粉砕は均一性を保証するのに役立ち、成分の物理的性質に応じて様々な方法で適用されうる。粉砕は、当分野で知られた方法のうちいずれを用いて達成してもよく、その中には、チョッパ、ハンマ−ミル、グラインダ、垂直衝撃、高剪断、ボールミルなどの装置の使用が含まれる。
【0124】
個別の剤型に分配するよう有効成分を調製するためには、ブレンディングを使用してもよい。ブレンディングは、サブバッチ、バッチ、または連続工程で実施してもよく、典型的には公知量の成分材料の物理的混合および撹拌を使用することになる。商業的製造では、製造は、典型的には自動化され、湿式および乾式ブレンディングを含むことができる。
【0125】
乾式ブレンディングは、典型的には乱流工程、例えばタンブリング、リボンブレンディング、振動および類似の方法を使用する。混合の特性および時間は、材料の流動特性、粒径の範囲、材料の水和、本製剤および優勢な物質の特定吸収プロファイルならびに環境条件に依存するであろう。
【0126】
予備ブレンディングまたは予備圧縮動作、例えば「造粒」、もまたしばしば使用される。顆粒は、例えば湿式または乾式造粒、流動層造粒、湿気活性化乾式造粒、スプレー乾燥などの方法を使用して調製できる。流体は、例えば、水、チンキ剤または溶媒、蒸気または溶融成分を含むことができる。水分または流体が使用される場合、それらは典型的には粒状塊から熱、真空、熱風、脱水、乾燥、硬化、熟成などによって除去される。
【0127】
成分調製後、錠剤はその剤形へと圧縮される。典型的には、この工程は、高度に自動化されている:その際には、測定量の顆粒または粉末を「金型」間で圧縮する「プレス機」を用いる。これらの金型は、圧力下で接近し、それにより製剤を予め規定されたサイズ、形状、硬度および脆性の錠剤に圧縮する2つの相補的な部分を含んでいる。空気圧式、加水分解および機械的圧縮を使用できる。
【0128】
典型的には、圧縮された錠剤は、タンブリング、ブラッシング、真空などによって除塵される。
【0129】
圧縮後、剤形の設計による利点があるのであれば、錠剤は適切なコーティング物質を使用してコーティングしてもよく、これは固体剤形の着色、平滑化、ならびに風味、安定性または消化特性の改善を目的として行うことができる。除塵された錠剤「コア」はタンブリングされ、その後に、錠剤コアの外面全体に均一に塗布される液体または液化コーティング剤で、スプレーまたは別の方法により、通常は数層、あるいは拡張工程として、コーティングされ、その後に乾燥される。
【0130】
錠剤またはコーティング錠は、手動または電子的のいずれかで欠陥について検査される。含量、物理的特性および予測可能な生化学的属性は、アッセイ、評価および関連QCを使用して評価される。
【0131】
例えば上記の計画にしたがって製造された錠剤について試験される物理的パラメータの例は、以下の通りである。
【数6】
* BP−British Pharmacopeia(ref. 11). **USP−US Pharmacopeia(ref. 13).
【0132】
次に、バルク錠剤は、適切な相性となるように包装されるが、これには、ブリスター、ボトル、ディスペンサなどが含まれうる。製品の同一性、完全性および有効性を維持するのに適切である限り、あらゆる包装およびラベリングを使用できる。
【0133】
実施例11: スルホニル尿素のイヌリン含有単位製剤
本発明のイヌリン製剤のうち任意のものとスルホニル尿素との単位剤形は、以下の表7〜12に提供した情報から簡単に導きだすことができる。表7〜12には、非限定的な例としてのみであるが、イヌリンおよびスルホニル尿素の様々な量と相対比率が示されている。表に提供した情報は近似値であり、提供されたデータから、単位剤形が1日当たり1回から数回患者に投与された場合に効果的治療を達成できる量のイヌリンとスルホニル尿素を含有してもよいことが理解されるであろう。望ましくは、単位剤形、例えば錠剤、カプセル剤または類似の剤形は、例えば1日2〜3回2〜4個の単位剤形を摂取できるように配合される。このため、単位剤形はスルホニル尿素を約0.5〜約2,000mgの量で、あるいは本明細書で上記したように、含有してもよい。単位剤形内のスルホニル尿素の量は、使用されるスルホニル尿素のタイプおよび必要とされる治療レジメンとともに変動し得るが、前記タイプおよび治療レジメンはどちらも医師が容易に決定できる。1剤形当たりのイヌリンの絶対量は、使用されるイヌリンに依存し、また錠剤形に圧縮される場合にはイヌリンの圧縮性に左右されるであろうが、許容されるサイズの錠剤が提供される。イヌリンの量は、剤形一個当たり約5mg〜約50gに及んでよい、あるいは本明細書中で上述した通りであってよい。適切な剤形は、例えば500〜1,000mgのイヌリンおよび1〜30mgのスルホニル尿素を含む錠剤であってよい(しかし、使用されるスルホニル尿素のタイプに依存してより高用量であってもよい)。効果的治療(例えば、血糖値の低下)を達成するために、当該剤形を1日3回3〜4個摂取してもよい。適切なサイズの剤形を達成するために、使用されるイヌリンの圧縮性がそれを許容する場合は、各成分の量はより多くてもよい。
表7:選択されたスルホニル尿素および糖モノマーの分子特性
【表7】
表8:イヌリン/グリベンクラミド
【表8】
表9:イヌリン/グリクラジド
【表9】
表10:イヌリン/グリメピリド
【表10】
表11:イヌリン/グリピジド
【表11】
*「最低(g)」および「最高(g)」値は、イヌリン製剤中の特定オリゴフルクトースのばらつきうる含量に基づいている。
表12:選択された剤についての有用なスルホニル尿素/イヌリンの重量およびモル比の概要
【表12】
【0134】
上記のモル比はSensus OFPを用いて計算されているため、上記の比率は、使用されるイヌリンの形態に依存して変化することを、当業者は理解するであろう。したがって、この比率は、より高い有効性のイヌリン形および個々の純粋なオリゴに応じて相違するであろう。各成分について用いられた用量に基づいて、当該比率を計算する方法は、当業者が理解するところであろう。
【0135】
実施例12: 臨床試験
本明細書に記載したパラメータにしたがって、2型糖尿病を備える患者における血糖コントロールに対する様々な用量のイヌリンおよび/またはフルクトオリゴ糖製剤の有効性を評価するために、臨床試験が実施される。イヌリンおよび/またはフルクトオリゴ糖製剤は、この目的に適合するための単位剤形を含むイヌリンおよび/またはフルクトオリゴ糖製剤のどれであってもよく、例えば、実施例のうち任意のものに記載したような、「イヌリン製剤」と呼ばれるものが挙げられる。表4または表6に記載したオリゴフルクトース含量を含む食品グレードの精製イヌリン製剤を含む少なくとも1つの臨床試験を使用する。また別の臨床試験では、ORAFTI P95を使用する。また別の臨床試験では、Sensus OFPを使用する。短く言うと、本臨床試験では、第二世代スルホニル尿素(好ましくはグリベンクラミド、グリクラジド、グリメピリドおよびグリピジドを用いて)単剤療法のみで治療され、血糖値が制御されていない、個人が含まれる。イヌリン製剤がエンドポイントパラメータ、例えば(i)空腹時血糖値(FGL)、(ii)ヘモグロビンA1c(HA1c)および(iii)体重に及ぼす作用を評価する。他の糖尿病関連マーカー、例えば(iv)食後血糖値(PPGL)、(v)フルクトサミン、(vi)グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)および(vii)血中インスリン値が評価される。低血糖症発祥(episode)の回数、患者の活動状態、満腹度、患者の生活の質、便の微生物叢、血中リポ多糖類(LPS)、血液学、生化学、脂質プロファイル、赤血球沈降速度、C反応性タンパク質、心エコー法および患者の眼の状態などの変数もまた評価される。イヌリン製剤およびスルホニル尿素の薬物動態および薬力学ならびに本イヌリン製剤およびスルホニル尿素の組み合わせの安全性および忍容性もまた評価される。本イヌリン製剤の添加がスルホニル尿素の吸収、分布、代謝および排泄に及ぼす作用を決定する。
【0136】
1群当たり患者9名からなる4つの治療群(患者計36名)が本臨床試験に参加する。各群について、患者は、彼らの性別、年齢、ボディ・マス・インデックス(BMI)および遺伝的背景により、無作為に割り振られる。7mmol/Lを超えるベースライン空腹時血糖値を有する患者を募集する。第1群はコントロール群であり、試験全体にわたりスルホニル尿素抗糖尿病薬が与えられる。第2群は、スルホニル尿素および3×1.5g(4.5g/日)用量でイヌリン製剤を摂取する患者からなる。第3群は、スルホニル尿素および6×1.5g(9g/日)用量でイヌリン製剤を摂取する患者からなる。第4群は、スルホニル尿素および9×1.5g(13.5g/日)用量でイヌリン製剤を摂取する患者からなる。最初は、各群は推奨量で治療される。治療12週間後にFGLの改善を示さない患者がいた場合には、その後の12週間にわたり4.5g/日ずつイヌリン製剤の用量を増加する(表9)。本臨床試験で使用されるイヌリン製剤の最高1日量は、規制官庁(例えば、FSANZおよびTGA、FDA)が推奨する健常者のための平均最大1日摂取量(41g/日)より下である。この治療レジメンは、様々な患者集団において数種の用量ならびにイヌリンおよび/またはフルクトオリゴ糖の製剤を試験する。
表13:組み合わせ試験投与レジメン
【表13】
【0137】
本発明を特定の実施形態を参照しながら説明してきたが、本明細書に記載した本発明の原理および精神に沿った変種および改変物もまた含まれることが理解される。
【0138】
参考文献
【数7】
【数8】