特許第6609293号(P6609293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6609293
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】保持ノズル、保持ヘッド及び移載装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20191111BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   B25J15/06 H
   B65G49/06 A
【請求項の数】14
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-165887(P2017-165887)
(22)【出願日】2017年8月30日
(65)【公開番号】特開2019-42826(P2019-42826A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2018年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】391032358
【氏名又は名称】平田機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】河本 行広
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 智
【審査官】 松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02463065(EP,A1)
【文献】 特開2012−046338(JP,A)
【文献】 実開平05−072386(JP,U)
【文献】 米国特許第06612633(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0025053(US,A1)
【文献】 特表2011−513669(JP,A)
【文献】 特開2013−154968(JP,A)
【文献】 再公表特許第2016/056115(JP,A1)
【文献】 特開2002−233982(JP,A)
【文献】 米国特許第03602543(US,A)
【文献】 米国特許第04763941(US,A)
【文献】 実開昭63−136636(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0318192(US,A1)
【文献】 特開2001−260065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
B65G 49/06
F16B 45/00 − 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルを負圧により吸着保持する保持ノズルであって、
前記パネルに接する吸着部、及び該吸着部の一端部に設けられ前記吸着部と連通する筒状の軸部を有する吸着部材と、
前記吸着部材の前記軸部が収容される筒状の収容部と、
前記収容部の一端側に設けられ、前記吸着部材が前記収容部に対して進退移動自在となるように前記軸部を支持する吸着部材支持部と、
前記軸部の他端部に設けられた口金部と、
前記収容部の他端側に設けられ、負圧発生源が接続される負圧接続部と、
前記収容部内の前記負圧接続部と前記吸着部材支持部との間に収容され、前記負圧発生源により負圧を与えられる流体が流れる第一流路の一部を形成する中空部を有する連通部材とを備え、
前記連通部材は、
前記負圧接続部に接続される第一の接続部と、
前記軸部の他端部に設けられた前記口金部に接続される第二の接続部と、
前記第一、第二の接続部の間に設けられる弾性変形可能な伸縮部と
を有し、
前記吸着部材が前記収容部から離間した位置にあるとき、前記第一の接続部が前記負圧接続部から離間する、又は前記第二の接続部が前記口金部から離間する
保持ノズル。
【請求項2】
吸着部材支持部は、
前記吸着部材が前記収容部から離間した位置で前記口金部の移動を規定する係合支持部を含み、
前記収容部は、前記第一の接続部が連結される収容接続部を含み、
前記第一の接続部は、前記収容接続部を介して前記負圧接続部に固定される、請求項1に記載の保持ノズル。
【請求項3】
前記軸部は、前記第二の接続部が連結される吸着接続部を含み、
前記第二の接続部は、前記吸着接続部を介して前記軸部に固定される、請求項1に記載の保持ノズル。
【請求項4】
前記連通部材は、
前記第一の接続部、前記伸縮部、及び該伸縮部に連続して設けられた第一の連結部を有する第一成形部材と、
前記第二の接続部、前記伸縮部、及び該伸縮部に連続して設けられた第二の連結部を有する第二成形部材と
を有する、請求項1に記載の保持ノズル。
【請求項5】
前記連通部材は、前記第一の連結部と前記第二の連結部との間に介在して前記第一成形部材と前記第二成形部材とを連結し、前記中空部の一部を含む連結部材をさらに有する、請求項4に記載の保持ノズル。
【請求項6】
前記連通部材は、前記伸縮部に連続して設けられた第一の連結部をさらに有し、
前記第一の接続部は、前記伸縮部に隣接して前記連通部材の一方の端部に設けられ、
前記第二の接続部は、前記第一の連結部に隣接して前記連通部材の他方の端部に設けられる、請求項1に記載の保持ノズル。
【請求項7】
前記第一の接続部が前記伸縮部の一方の端部に設けられ、前記第二の接続部が前記伸縮部の他方の端部に設けられる、請求項1に記載の保持ノズル。
【請求項8】
前記連通部材の周囲に設けられ、前記連通部材を前記収容部内の中央に位置付けるガイド部材をさらに備える、請求項1に記載の保持ノズル。
【請求項9】
前記ガイド部材は、前記連通部材の周囲に当接可能なガイド内周部と、前記収容部の内周に当接可能なガイド外周部とを有し、
前記ガイド部材は、前記連通部材を内側に配置される環状体であって、
前記連通部材の伸縮方向における前記ガイド部材の寸法は、前記連通部材が収縮した状態においても前記連通部材の全長より短い、請求項8に記載の保持ノズル。
【請求項10】
前記伸縮部がジャバラ状に形成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の保持ノズル。
【請求項11】
前記吸着部材の軸部と前記吸着部材支持部との間に、前記吸着部材支持部に対して前記軸部の揺動を許容する隙間が形成され、
前記吸着部材支持部は、前記パネルを吸着保持した前記吸着部材を前記パネル面と平行な方向の移動を規定しつつガイドする吸着ガイド部を有し、
前記吸着部材は、前記吸着ガイド部にガイドされる吸着被ガイド部を有する、請求項1に記載の保持ノズル。
【請求項12】
パネル部を含むパネル組立体を負圧により吸着保持する保持ヘッドであって、
請求項1から11のいずれか一項に記載の保持ノズルと、
前記保持ノズルを支持するノズル支持部材と
を備え、前記ノズル支持部材は、
前記保持ノズルが接続される第一のノズル接続部と、
前記第一のノズル接続部を介して前記第一流路と連通し、前記流体が流通される第二流路と
を有する保持ヘッド。
【請求項13】
前記パネル組立体に含まれる付属部を負圧により吸着保持する付属部保持ノズルをさらに備え、前記ノズル支持部材は、
前記付属部保持ノズルが接続される第二のノズル接続部と、
前記第二のノズル接続部を介して前記付属部保持ノズルと連通し、前記流体が流通される第三流路と
を有する、請求項12に記載の保持ヘッド。
【請求項14】
移載元に供給されたパネル組立体を吸着保持して移載先に移動させる移載装置であって、
パネル組立体を所定の位置に供給する供給部と、
前記所定の位置に供給された前記パネル組立体を吸着保持する、請求項12又は13に記載の保持ヘッドと、
前記保持ヘッドを移動させる移動ユニットと、
前記保持ヘッドによる前記パネル組立体の保持動作、及び前記移動ユニットによる前記保持ヘッドの移動動作を制御する制御ユニットと
を備える移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気の負圧を利用して加工対象物を保持する保持ノズル、その保持ノズルを含む保持ヘッド、及びその保持ノズルに保持した加工対象物を移載する移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示パネル組立体などの加工対象物を、空気の負圧を利用して保持する保持ノズルを使って移動させることが行われている。具体的には、弾性部材からなる吸盤状の吸着パッドを加工対象物の平面部分に押し付けて負圧吸引し、加工対象物を吸着保持したうえで、その加工対象物を移載元から移載先に移動させる。
【0003】
例えば、特許文献1には、吸着パッド部と、吸着パッド部に連続して形成されたジャバラ部と、ジャバラ部と連続して形成された取付部とを備える保持ノズルが記載されている。さらに同文献には、保持ノズルが装着されたロッドと、ロッドを流体圧力により摺動可能に構成するシリンダ部とを有する保持ヘッドを有する移載装置が記載されている。この移載装置では、保持ヘッドを供給部に移動させ、供給部に供給された加工対象物を吸着ノズルで吸着保持し、供給部から取り出して移載先に移動させる。
【0004】
特許文献1の移載装置が作業の対象とするのは、電子回路が形成された板状の基板部と、基板部に接続されたフレキシブルなフィルム状の配線部とを含む電子部品である。そのような性質の異なる二つの部位をもつ加工対象物を保持するため、特許文献1の移載装置は、基板部に吸着する吸盤状の吸着パッドを有する吸着保持部と、配線部に面で接して吸着する突出部とを含む搬送ヘッドを備えており、この搬送ヘッドによって基板部と配線部とを吸着保持しつつ、搬送機構により加工対象物を移載する。
【0005】
また、特許文献2には、加工対象物を吸着保持する際に加工対象物に与える衝撃を緩和する吸着ヘッドが記載されている。具体的には、吸着ヘッドの本体と吸着部を含む可動部材との間にベローズを被せてその内部に気室を形成し、気室内部の圧力を制御することにより可動部材に上向きの引張力を作用させ、可動部材の重量を相対的に軽減することで、吸着部が加工対象物に吸着したときの衝撃を緩和する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3943481号公報
【特許文献2】特開2006−137000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示パネル組立体を加工対象物として、その移動に特許文献1に記載された移載装置を採用した場合、保持ノズルを下方に移動させて吸着パッドをパネル部の表示面に押し付ける。そのため、保持ノズルを下降させる下向きの力がパネル部に作用するので、吸着パッドを介してパネル部の表示面の一部に下向きの負荷がかかり、パネル部に歪みが生じて表示パネルの品質に悪影響を及ぼす可能性がある。また、特許文献1の移載装置では、吸着パッドと表示パネルとの間に形成された空間に作用する負圧により表示パネルのパネル部に含まれる液晶が保持部に寄ることで吸着痕が付き、表示パネル組立体の品質を低下させる可能性がある。
【0008】
また、上記のような表示パネル組立体の移動に関し、特許文献2に記載された吸着ヘッドを採用した場合は、可動部材の重量を軽減するための制御と、パネル部を吸着するための制御とをそれぞれ独立して行うため、ふたつの独立した系統の吸引路を設ける必要がある。その結果、吸着ヘッドが大型化し重量が増し、パネルの移動効率が低下する可能性がある。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示パネル組立体を移載する際、吸着保持によるパネル部へのストレス等の悪影響を軽減すると共に、吸着保持によって生じる吸着痕を防止することで表示パネル組立体の品質低下を防止する保持ノズル、その保持ノズルを含む保持ヘッド、及びそれらが装着された移載装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る保持ノズルは、パネルを負圧により吸着保持する保持ノズルであって、前記パネルに接する吸着部、及び該吸着部の一端部に設けられ前記吸着部と連通する筒状の軸部を有する吸着部材と、前記吸着部材の前記軸部が収容される筒状の収容部と、前記収容部の一端側に設けられ、前記吸着部材が前記収容部に対して進退移動自在となるように前記軸部を支持する吸着部材支持部と、前記軸部の他端部に設けられた口金部と、前記収容部の他端側に設けられ、負圧発生源が接続される負圧接続部と、前記収容部内の前記負圧接続部と前記吸着部材支持部との間に収容され、前記負圧発生源により負圧を与えられる流体が流れる第一流路の一部を形成する中空部を有する連通部材とを備える。前記連通部材は、前記負圧接続部に接続される第一の接続部と、前記軸部の他端部に設けられた前記口金部に接続される第二の接続部と、前記第一、第二の接続部の間に設けられる弾性変形可能な伸縮部とを有し、前記吸着部材が前記収容部から離間した位置にあるとき、前記第一の接続部が前記負圧接続部から離間する、又は前記第二の接続部が前記口金部から離間する
【0011】
本発明に係る保持ヘッドは、パネル部を含むパネル組立体を負圧により吸着保持する保持ヘッドであって、上記の構成を有する保持ノズルと、前記保持ノズルを支持するノズル支持部材とを備える。前記ノズル支持部材は、前記保持ノズルが接続される第一のノズル接続部と、前記第一のノズル接続部を介して前記第一流路と連通し、前記流体が流通される第二流路とを有する。
【0012】
本発明に係る移載装置は、移載元に供給されたパネル組立体を吸着保持して移載先に移動させる移載装置であって、パネル組立体をある位置に供給する供給部と、前記ある位置に供給された前記パネル組立体を吸着保持する、上記のように構成された保持ヘッドと、前記保持ヘッドを移動させる移動ユニットと、前記保持ヘッドによる前記パネル組立体の保持動作、及び前記移動ユニットによる前記保持ヘッドの移動動作を制御する制御ユニットとを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、吸着部を含む吸着部材は、吸着部材支持部に進退移動自在に支持されているので、吸着部をパネル部に当接させたとき、パネル部には吸着部を含む吸着部材の重量のみが作用し、保持ノズルを下降させる下向きの力がパネル部に作用することはない。つまり、パネル部に、吸着部を介して表示面を凹ませる方向に大きな負荷がかからないので、パネル部に歪みが生じることはなく、表示パネルの品質に悪影響を及ぼすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第一の実施形態に係る保持ノズル1を備える移載装置200の正面模式図である。
図2図1における保持ヘッド100の拡大断面図である。
図3】本発明の第一の実施形態に係る保持ノズル1の分解斜視図である。
図4図2における保持ノズル1の拡大図である。
図5】保持ノズル1がパネル部Wpを吸着保持する動作を段階的に示す図である。
図6図5に続いて保持ノズル1がパネル部Wpを吸着保持する動作を段階的に示す図である。
図7】上記第一の実施形態の変形例を示す図であって、保持ノズル1Aの長手方向に沿う断面図である。
図8】上記第一の実施形態のもうひとつの変形例を示す図であって、保持ノズル1Bの長手方向に沿う断面図である。
図9】本発明の保持ノズルの第二の実施形態を示す図であって、保持ノズル2の長手方向に沿う断面図である。
図10】本発明の保持ノズルの第三の実施形態を示す図であって、保持ノズル3の長手方向に沿う断面図である。
図11】本発明の保持ノズルの第四の実施形態を示す図であって、保持ノズル4の長手方向に沿う断面図である。
図12】上記第四の実施形態の変形例を示す図であって、保持ノズル4Aの長手方向に沿う断面図である。
図13】本発明の保持ノズルの第五の実施形態を示す図であって、保持ノズル5の長手方向に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る保持ノズル及び保持ヘッド、並びに移載装置について以下に説明する。
(第一の実施形態)
図1示すように、本発明の第一の実施形態としての保持ノズル1は、移載装置200における保持ヘッド100のノズル支持部材101に装着されるものである。移載装置200は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示パネル組立体Wを移載する装置である。移載装置200は、パネル組立体Wが載置された供給トレイ201が供給される供給部230と、移載元である供給部230に供給された供給トレイ201に載せられたパネル組立体を吸着保持する保持ヘッド100と、保持ヘッド100を移動させて、保持ヘッド100に吸着保持されたパネル組立体Wを移載先である搬送ユニット202に移送する移動ユニット210と、保持ヘッド100によるパネル組立体の保持動作、及び移動ユニット210による保持ヘッド100の移動動作を制御する制御ユニット220とを備えている。ここで、表示パネル組立体Wは、表示を行う表示面となるパネル部Wpと、パネル部Wpへの電源や表示を制御する配線が含まれるフィルム状の付属部Waとを有する。
【0016】
移動ユニット210は、保持ヘッド100を供給部230からベルトコンベア202までの範囲で供給部230の載置面に沿って水平方向に往復移動させる水平移動機構211を含む。水平移動機構211は、供給部230から搬送ユニット(例えばベルトコンベア)202に延びるレール状の案内部材211aと、案内部材211aに沿って保持ヘッド100を移動させる水平駆動機構211bとを有し、水平駆動機構211bは、保持ヘッド100を案内部材211aに沿って水平方向に移動させる。案内部材211aは、供給トレイ201及びベルトコンベア202の上方において水平方向に支持されている。水平駆動機構211bは、モータ等の駆動源と、駆動源の出力を保持ヘッド100に伝達する伝達機構とを含む。伝達機構は、例えばボールねじ機構、リニアモータ機構、ベルト電動機構等である。駆動源となるモータは、数値制御可能な駆動モータ(例えば、サーボモータ)が採用され、保持ヘッド100の移動及び停止は、数値制御される。
【0017】
また、移動ユニット210は、保持ヘッド100を上下に移動させる昇降移動機構212を含む。昇降移動機構212は、保持ヘッド100と水平移動機構211との間に配置され、保持ヘッド100を昇降移動可能に支持する。昇降移動機構212は、パネル組立体Wの吸着保持または吸着解除を行う位置と、保持ヘッド100の水平方向の移動を許容する水平移動位置との間で保持ヘッド100の昇降動作を行う。昇降移動機構212は、例えば、数値制御可能な電動シリンダである。昇降移動機構212は上下に移動するロッド212aを含み、保持ヘッド100はロッド212aの下端部に支持される。
【0018】
図2に示すように、保持ヘッド100は、移載装置200に具備され、複数の保持ノズル1と、複数の保持ノズル1が装着されるノズル支持部材101と、を備えている。また、保持ヘッド100は、パネル組立体Wに含まれる付属部Waを吸着保持する複数の付属部保持ノズル50を備えている。ノズル支持部材101には、保持ノズル1が接続される第一の接続部(第一のノズル接続部)102と、付属部保持ノズル50が接続される第二の接続部(第二のノズル接続部)103と、が設けられる。また、ノズル支持部材101には、第一の接続部102を介して保持ノズル1と連通する第二の流路P2と、第二の接続部103を介して付属部保持ノズル50と連通する第三の流路P3とが形成されている。ノズル支持部材101は、所定の厚みのある板状部材である。また、ノズル支持部材101は、第二の流路P2及び第三の流路P3を備えている。流路P2、P3は、ノズル支持部材101の内部にそれぞれ形成された流路としてもよく、また、外部にそれぞれの配管を配置して形成した流路でもよい。
【0019】
本発明の第一の実施形態としての保持ノズル1は、ノズル支持部材101に間隔を空けて複数設けられた第一の接続部102に、それぞれの負圧接続部21を装着させて支持され、流路P1、P2を通じて吸引機構120にそれぞれ接続されている。本実施形態の場合、第一の接続部102が二つ設けられており、それぞれの第一の接続部102に保持ノズル1が一つずつ装着される。
【0020】
付属部保持ノズル50は、吸着部材110と、吸着部材110を進退可能に支持する本体111とを備えている。吸着部材110は、本体111の先端に設けられ、本体111の基端には負圧接続部112が形成されている。付属部保持ノズル50は、ノズル支持部材101に間隔を空けて複数設けられた第二の接続部103に、負圧接続部112を装着させて支持され、流路P2、P3を通じて吸引機構120にそれぞれ接続されている。本実施形態の場合、第二の接続部103は、第一の接続部102の配列方向と交差する方向に並んで二つ設けられており(図2中では1つのみ図示)、それぞれの第二の接続部103へ一つずつ付属部保持ノズル50が装着される。
図3及び図4に示すように、本発明の第一の実施形態としての保持ノズル1は、吸着部材10と、収容部20と、連通部材40とを備え、保持ヘッド100に装着されている。
【0021】
吸着部材10は、円筒状の軸部11と、軸部11の長手方向の一端部に設けられた円板状の吸着部12と、軸部11の他端部に設けられた口金部13とを有する。軸部11の中心には、口金部13から吸着部12に向けて穴11aが形成されている。吸着部12の吸着面、すなわち軸部11が設けられる平面部(被保持規定部12d)とは反対側の平面部12aには、パネル部Wpを負圧吸引するための複数の溝12bが同心円状に間隔を空けて形成されている。さらに平面部12aには、それら同心円状の溝12b同士を連通させる溝12cが放射状に形成されている。同心円状の溝12b及び放射状の溝12cは、軸部11の穴11aに連通している。具体的には、最内の溝12bが穴11aに連通している。その最内の溝12bに連通して、溝12cが放射状に延びている。これにより、全ての溝12bは、溝12cを介して連絡されている。口金部13は、後述する孔31に通された軸部11の他端部に締着(例えば、ネジ締め)されており、口金部13の外径は、孔31の内径よりも僅かに大きく形成されている。
【0022】
収容部20は、吸着部材10の軸部11を収容する円筒状の筐体であり、内部空間には連通部材40が収容される。収容部20の長手方向の一端部には吸着部材支持部30が設けられ、他端部には、負圧発生源としてのバキュームポンプ121(図2を参照)へ接続される負圧接続部21が設けられている。
【0023】
吸着部材支持部30の中央には孔31が形成されており、孔31に軸部11が通され、軸部11の他端部に口金部13が締着されている。吸着部材支持部30は、吸着部12が収容部20に対して進退移動自在となるように、軸部11を吸着部12と口金部13との間で支持している。また、孔31の内周面と軸部11の外周面との間にはわずかな隙間が設けられている。これにより、吸着部12が、口金部13を支点として吸着部材支持部30に対して揺動可能とされている。吸着部材支持部30は、吸着部12に設けられた被保持規定部12dが当接する保持規定部30aと、口金部13の進出方向への移動を規定する係合支持部30bを備えている。
【0024】
連通部材40は、収容部20内に、負圧接続部21と吸着部材10の口金部13との間に位置するように収容されており、長手方向に内孔が開通されたエラストマ製の一方のジャバラパッド部(第一成形体)41と、ジャバラパッド部41と同素材同形状の他方のジャバラパッド部(第二成形体)42と、これら2つのジャバラパッド部41、42を連結する金属製の連結部材43とを有し、それぞれの内部には後述するバキュームポンプの動作により流体が移動する第一の流路P1の一部を構成する中空部44が形成されている。
【0025】
一方のジャバラパッド部41は、円筒状の基端部(第一の連結部)41aと、基端部41aに一体成形されたジャバラ状の弾性変形可能な伸縮部41bと、伸縮部41bの先端にあって負圧接続部21に接続される接続部(第一の接続部)41cとを含む。他方のジャバラパッド部42は、円筒状の基端部(第二の連結部)42aと、基端部42aに一体成形されたジャバラ状の弾性変形可能な伸縮部42bと、伸縮部42bの先端にあって口金部13に接続される接続部(第二の接続部)42cとを含む。連結部材43は、中央の円板部43aと、円板部43aの一方の面に形成された一方の筒状部43bと、円板部43aの他方の面に形成された他方の筒状部43cとを含む。筒状部43b、43cは各々が円板部43aを挟んで長手方向に連続するように形成されている。また、筒状部43b、43cの各々の先端には、ジャバラパッド部41、42の連結部材43からの離脱防止のために鍔部43dがそれぞれ形成されている。
【0026】
ジャバラパッド部41の基端部41aは、一方の鍔部43dを内側に収めるようして連結部材43の一方の筒状部43bに被着されており、ジャバラパッド部42の基端部42aは、他方の鍔部43dを内側に収めるようして連結部材43の他方の筒状部43cに被着されている。ジャバラパッド部41の内孔41dは、連結部材43の内孔43eを通じてジャバラパッド部42の内孔42dに連通しており、これら一連の内孔が中空部44をなし、口金部13と負圧接続部21との間で第一の流路P1を形成する。
【0027】
本実施形態の場合、吸着部12が収容部20から離間(前進)した位置にあるときは、口金部13も負圧接続部21から離間した位置にあるため、口金部13と負圧接続部21との間の距離は、連通部材40の全長よりも長い。そのため、連通部材40が口金部13側に変位し、ジャバラパッド部42の接続部42cが口金部13に当接される。また、ジャバラパッド部41の接続部41cは負圧接続部21から離間する。一方、吸着部12が収容部20に接近(後退)した位置にあるときは、口金部13が負圧接続部21に接近した位置にあるため、口金部13と負圧接続部21との間の距離は、連通部材40の全長よりも短くなる。そのため、吸着部12が後退すると、ジャバラパッド部41の接続部41cが負圧接続部21に密着されると共に、ジャバラパッド部42の接続部42cが口金部13に密着される。
【0028】
連通部材40のジャバラパッド部41の基端部41aの周囲には、環状のガイド部材45が配置されている。ガイド部材45は、ジャバラパッド部41の周囲に当接可能なガイド内周部45aと、収容部20の内周面に当接可能なガイド外周部45bとを有しており、連結部材43の円板部43aに規制され、連結部材43の一方側(一方のジャバラパッド部41の周囲)に配置維持される。ガイド部材45は、連通部材40の長手方向に延びる中心軸と収容部20の長手方向に延びる中心軸とを一致させるように連通部材40を収容部20内のほぼ中央に位置付け、連通部材40を長手方向に移動可能にガイドする。また、連通部材40の伸縮方向におけるガイド部材45の寸法は、連通部材40が収縮した状態においても連通部材40の全長よりも短く、連通部材40の収縮動作を阻害しない程度に短い。本実施例の場合のガイド部材45の全長は、ガイド部材45が連結部材43の円板部43aにより他方のジャバラパッド部42側に移動しないように規制されているため、一方のジャバラパッド部41が収縮した状態の全長よりも短い寸法のガイド部材45が配置される。ガイド部材45を配置することで連通部材40の径を小さくすることができる。
【0029】
吸引機構120は、保持ノズル1及び付属部保持ノズル50に負圧を付与するバキュームポンプ121と、保持ノズル1及び付属部保持ノズル50に送気するブロワ122と、バキュームポンプ121又はブロワ122を保持ノズル1及び付属部保持ノズル50に選択的に接続する切換部123と、バキュームポンプ121、ブロワ122及び切換部123を制御する制御部124とを含んでいる。
【0030】
バキュームポンプ121は、流路P1及びP2を通じて保持ノズル1内部の空気を掃引することにより収容部20の内部を負圧状態にし、保持ノズル1にパネル組立体Wのパネル部Wpを吸着させる。また、付属部保持ノズル50内部の空気を掃引することにより本体111の内部を負圧状態にし、付属部保持ノズル50にパネル組立体の付属部Waを吸着させる。ブロワ122は、流路P1及びP2を通じて保持ノズル1に空気を送り込むことにより収容部20の内部を正圧状態にし、保持ノズル1からパネル部Wpを離脱させると共に、付属部保持ノズル50に空気を送り込むことにより本体111の内部を正圧状態にし、付属部保持ノズル50から付属部Waを離脱させる。制御部124は、バキュームポンプ121及びブロワ122を選択的に作動させると共に、切換部123を作動させ、バキュームポンプ121及びブロワ122のいずれか一方を保持ノズル1及び付属部保持ノズル50に接続する。
【0031】
制御ユニット220は、保持ヘッド100によるパネル組立体Wの保持動作を制御する制御部124を含む。制御ユニット220は、移動ユニット210の水平移動機構211及び昇降移動機構212を駆動制御し、保持ヘッド100を、供給部230に供給された供給トレイ201とベルトコンベア202との間で移動させ、供給トレイ201に載せられたパネル部Wp及び付属部Waを含むパネル組立体Wを、保持ヘッド100により吸着保持して搬送し、ベルトコンベア202に受け渡す。
【0032】
上記のように構成された保持ノズル1を使用してパネル部Wpを吸着保持する過程について、図5及び図6を参照して説明する。
まず、保持ノズル1をパネル部Wpが置かれた移載元の上方に移動させ、吸着部12の平面部12aとパネル部Wpの被吸着面とが離間して対向した状態(図5(A)の状態)とする。このとき、吸着部12は自重により収容部20に対して前進(下降)した位置にあり、連通部材40を構成するジャバラパッド部42の接続部42cは口金部13に当接している。一方、ジャバラパッド部41の接続部41cは負圧接続部21から離間している。この状態では、ノズル支持部材101の流路P2を通じて保持ノズル1に負圧が付与されても、ジャバラパッド部41の接続部41cと負圧接続部21との隙間、収容部20の内部空間、及び孔31と軸部11との隙間を通じて保持ノズル1内に外気が吸引されるので、吸着部12に負圧はほとんど付与されない。また、孔31と軸部11との隙間から外気が吸引されることにより、保持ノズル1内部で生じた発塵の吸引並びに同ノズル周辺の除塵がなされる。
【0033】
図5(A)の状態から、保持ノズル1をノズル支持部材101と共に予め設定された保持ノズル1の停止位置に向けて下降させ、保持ノズル1の下降動作の過程で、吸着部12の平面部12aとパネル部Wpの被吸着面とを接近させてお互いを密着させる(図5(B)の状態)。このとき、吸引機構120を保持ノズル1の下降動作と共に作動させ、負圧を発生させた状態にする。図5(A)の状態から図5(B)の状態に移行させる過程で、吸着部12の平面部12aがパネル部Wpの被吸着面(上向きの表面)に当接され、保持ノズル1を下降させる下向きの力がパネル部Wpに対して付与される。しかしながら、吸着部12を含む吸着部材10は、吸着部材支持部30に進退移動自在に支持されているので、保持ノズル1を下降させる下向きの力は、吸着部材10の移動により吸収され、パネル部Wpに作用することはない。パネル部Wpに作用するのは、吸着部12を含む吸着部材10と連通部材40とを合わせた重量のみである。
【0034】
図5(B)の状態、すなわち吸着部12がパネル部Wpの上面に接した後も、保持ノズル1の下降を継続させ、予め設定された保持ノズル1の停止位置まで移動させる(図6(A)の状態)。図5(B)の状態から図6(A)の状態に移行する過程で、保持ノズル1と共に下方へ移動する吸着部12の移動が、パネル部Wpに規制される。その後も更に保持ノズル1及び吸着部12を下方へ移動させると、吸着部材10は移動できないが、ノズル支持部材101、収容部20及び吸着部材支持部30が下方へ移動される。そのため、吸着部材支持部30が吸着部材10の軸部11に沿って下方へ移動され、見かけ上、軸部11及び口金部13が収容部20内へと進入される。これにより、ジャバラパッド部41の接続部41cと負圧接続部21との間の距離が縮まって、負圧接続部21が接続部41cに当接される。さらに保持ノズル1を下方へ移動させると、負圧接続部21がジャバラパッド部41の接続部41cに押し付けられると共に、ジャバラパッド部42の接続部42cが口金部13に押し付けられる。これにより、接続部41cと負圧接続部21とが密着すると共に、接続部42cと口金部13とが密着するので、連通部材40の内部における口金部13と負圧接続部21との間で、吸着部12に負圧を与える流路P1が形成される。
【0035】
吸引機構120の吸引状態によって流路P1が形成されると、パネル部Wpが吸着部12に吸着される。吸着部12は、吸着部材支持部30に揺動可能に支持されているので、パネル部Wpの傾斜に倣って吸着部12が揺動し、平面部12aとパネル部Wpとが密着し吸着保持される。ジャバラパッド部41、42のジャバラ部は、流路P1の負圧作用により収縮し、接続部41cと接続部42cとが相互に接近する方向に移動する(ジャバラ部が縮む)ことで、吸着されたパネル部Wpを供給トレイ201の載置面から離間(引き上げ)させる。そのため、パネル部Wpに過剰な負荷が付与されること無く、パネル部Wpを吸着保持し、供給トレイ201から取り出すことができる。パネル部Wpを吸着保持した吸着部12は、平面部12aと反対側の面となる被保持規定部12dが被保持規定部12dに対向して設けられた吸着部材支持部30の保持規定部30aに当接し、吸着部12の保持時の状態が維持される。
【0036】
吸着部12がパネル部Wpを吸着保持すると共に、保持ノズル1が予め設定されている取り出し停止位置に到達した時点で保持ノズル1の下降が停止される。例えば、吸着部材支持部30の下端が、吸着部材10における吸着部12の上面(被保持基底部12d)に当接する位置が取り出し停止位置とされる。図6(A)の状態から保持ノズル1を更に上昇させることで、パネル部Wpの取り出しが完了した状態(図6(B)の状態)へ移行される。図6(A)の状態から図6(B)の状態に移行する過程で、吸着部12に吸着されたパネル部Wpは保持ノズル1と共に上昇される。保持ノズル1が所定の高さに至った時点で、保持ノズル1の上昇が停止され、続いて保持ノズル1は移載先に向けてパネル部Wpと共に水平移動される。保持ノズル1が移載先の上方に到達した時点で保持ノズル1の水平移動が停止される。その後、保持ノズル1が下降移動され、移載先(本実施例においては、ベルトコンベア202)の載置位置にパネル部Wpが載置される。このパネル部Wpの載置と同時またはほぼ同時のタイミングで、切換部123を作動させて流路P1との接続系統をバキュームポンプからブロワに切り換える。これにより、負圧の付与が停止されるとともにエアブローが行われ、吸着部12からパネル部Wpが外れ、移載先に受け渡される。
【0037】
上記のように構成された保持ノズル1によれば、吸着部12をパネル部Wpに当接させたとき、パネル部Wpには、吸着部12を含む吸着部材10と連通部材40とを合わせた重量のみが作用し、移載装置200が保持ノズル1を下降させる下向きの力がパネル部Wpに作用することはない。したがって、パネル部Wpに、吸着部12を介して表示面を凹ませる方向に大きな負荷がかかるのを防止することができる。また、吸着部12を、口金部13を支点として水平方向に傾動自在に設けたことから、保持ノズル1を下降させて吸着部12の平面部12aをパネル組立体Wのパネル部Wpに当接させた際に、吸着部12がパネル部Wpの被吸着面の向き(傾斜)に倣って傾くことができ、吸着部12の平面部12aとパネル部Wpの被吸着面とが平行になる。したがって、平面部12aとパネル部Wpとが偏ることなく均一に面接触する。そして、吸着部12のパネル部Wpに当接する平面部12aは、平面部12aとパネル部Wpとが偏ることなく均一に面接触することにより、複数の溝12b、12cとパネル部Wpの被吸着面との間で吸引力が分散されるので、パネル部Wpの被吸着面に吸着痕が付くのを防止することができる。
【0038】
加えて、連通部材40の両端に形成された接続部41c、42cには、それぞれジャバラ状の伸縮部41b、42bが隣接しているので、口金部13と負圧接続部21とが接近すると、ジャバラ部の弾性作用によって接続部41cが負圧接続部21に確実に密着すると共に、接続部42cが口金部13に確実に密着する。また、連通部材40は、ガイド部材45によって収容部20内の軸心ほぼ中央に位置付けられている。したがって、流路P1が、口金部13と負圧接続部21との間で連通部材40を通じて確実に形成される。なお、本実施形態では、ガイド部材45は連通部材40に係合されているが、ガイド部材45の外径を収容部20の内径にほぼ等しくし、ガイド部材45の内径を連通部材40の外径よりも大きくしてガイド部材45を収容部20に固定し、ガイド部材45の内側で連通部材40が上下に動くようにしてもよい。
【0039】
(変形例1)
図7に示すように、上記第一の実施形態の変形例としての保持ノズル1Aでは、収容部20の内周部に沿って周方向に周囲に亘って溝部20aが形成される。保持部材46は、外径が収容部20の内径よりも大きい環状体(例えば、スナップリング)であり、環状体の外周側が溝部20aに勘合され、保持部材46は、収容部20の内部の所定の位置に装着される。保持部材46の内径は、ジャバラパッド部42の基端部42aの外径よりも大きく、かつ円板部43aの外径よりも小さく形成されており、保持部材46の内側に通された連通部材40は、円板部43aを保持部材46に係止されることで、ジャバラパッド部41の接続部41cを負圧接続部21に当接させた状態で、収容部20内の軸心方向と平行な所定の位置に保持されている。
【0040】
本変形例の場合、吸着部12が収容部20に対して前進した位置にあるときは、口金部13も負圧接続部21から離間した位置にあるため、口金部13と負圧接続部21との間の距離は、連通部材40の全長よりも長い。そのため、ジャバラパッド部42の接続部42cは口金部13から離間しており、接続部42cと口金部13との間には隙間が生じている。一方、吸着部12が収容部20に対して後退した位置にあるときは、口金部13が負圧接続部21に接近した位置にあるため、口金部13と負圧接続部21との間の距離は、連通部材40の全長よりも短くなる。そのため、吸着部12が後退すると、ジャバラパッド部42の接続部42cが口金部13に密着される。
【0041】
上記のように構成された保持ノズル1Aを、保持ノズル1に代えてノズル支持部材(101)に取り付け、パネル部Wpを保持ノズル1Aにて吸着保持するには、まず、保持ノズル1Aをパネル部Wpが置かれた移載元の上方に配置し、吸着部12の平面部12aとパネル部Wpの被吸着面とが離間して対向した状態とする。このとき、吸着部12は自重により収容部20に対して前進(下降)した位置にあり、ジャバラパッド部42の接続部42cは、口金部13から離間している。この状態では、ノズル支持部材の流路(P2)を通じて保持ノズル1Bに負圧が付与されても、接続部42cと口金部13との隙間、収容部20の内部空間、及び孔31と軸部11との隙間を通じて保持ノズル1A内に外気が吸引されるので、吸着部12に負圧はほとんど付与されない。また、孔31と軸部11との隙間から外気が吸引されることにより、保持ノズル1A内部で生じた発塵の吸引並びに同ノズル周辺の除塵がなされる。
【0042】
上記の状態から、保持ノズル1Aをノズル支持部材101と共に予め設定された保持ノズル1Aの停止位置に向けて下降させ、保持ノズル1Aの下降動作の過程で、吸着部12の平面部12aとパネル部Wpの被吸着面とを接近させてお互いを密着させる。このとき、吸引機構120を保持ノズル1Aの下降動作と共に作動させ、負圧を発生させた状態にする。吸着部12を含む吸着部材10は、吸着部材支持部30に進退移動自在に支持されているので、保持ノズル1Aを下降させる下向きの力は、吸着部材10の移動により吸収され、パネル部Wpに作用することはない。しかも、本変形例では、連通部材40が保持部材46により収容部20に保持されているので、パネル部Wpに作用するのは、吸着部12を含む吸着部材10の重量のみである。
【0043】
吸着部12がパネル部Wpの上面に接した後も、保持ノズル1Aの下降を継続させ、予め設定された保持ノズル1Aの停止位置まで移動させると、保持ノズル1Aと共に下方へ移動する吸着部12の移動が、パネル部Wpに規制される。その後も更に保持ノズル1A及び吸着部12を下方へ移動させると、吸着部材10は移動できないが、ノズル支持部材101、収容部20及び吸着部材支持部30が下方へ移動される。これによって、吸着部材支持部30が吸着部材10の軸部11に沿って下方へ移動され、見かけ上、軸部11及び口金部13が収容部20内へと進入される。これによって、ジャバラパッド部42の接続部42cと口金部13との間の距離が縮まって、口金部13が接続部42cに当接される。さらに保持ノズル1Aを下方へ移動させると、負圧接続部21がジャバラパッド部41の接続部41cに押し付けられると共に、ジャバラパッド部42の接続部42cが口金部13に押し付けられる。これにより、接続部41cと負圧接続部21とが密着すると共に、接続部42cと口金部13とが密着するので、連通部材40の内部における口金部13と負圧接続部21との間で、吸着部12に負圧を与える流路P1が形成され、これによってパネル部Wpが吸着部12に吸着される。
【0044】
上記のように構成された保持ノズル1Aによれば、第一の実施形態(保持ノズル1)により得られる効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、連通部材40の一端が負圧接続部21に接しており、吸着部材10の変位に応じて、接続部42cが口金部13に当接したり離間したりする。つまり、吸着部材10の重量のみがパネル部Wpに付与されるので第一の実施形態の保持ノズル1よりも更にパネル部Wpへのストレスが軽減され、パネル部Wpの品質が維持される。
【0045】
(変形例2)
図8に示すように、上記第一の実施形態の変形例としての保持ノズル1Bでは、連通部材40の長さが、吸着部12が収容部20に対して前進し、口金部13が負圧接続部21から離間した位置にあるときの口金部13と負圧接続部21との間の距離よりも大きく構成されている。具体的には、伸縮部41b及び伸縮部42bを若干収縮させた状態で収容部20に連通部材40を収容させている。そのため、口金部13が負圧接続部21から離間した位置にあるときでも、接続部41cが負圧接続部21に当接すると共に、接続部42cが口金部13に当接している。
【0046】
上記のように構成された保持ノズル1Bを、保持ノズル1に代えてノズル支持部材(101)に取り付け、パネル部Wpを吸着保持するには、まず、保持ノズル1Bをパネル部Wpが置かれた移載元の上方に配置し、吸着部12の平面部12aとパネル部Wpの被吸着面とが離間して対向した状態とする。このとき、吸着部12が収容部20に対して前進し、口金部13が負圧接続部21から離間した位置にあるものの、保持ノズル1Bでは、この状態においても接続部41cが負圧接続部21に当接すると共に、接続部42cが口金部13に当接している。
【0047】
上記の状態から、保持ノズル1Bをノズル支持部材と共に下降させると共に吸引機構120を作動させ、負圧を発生させた状態とする。その過程で吸着部12がパネル部Wpの被吸着面に当接するが、吸着部12を含む吸着部材10は、吸着部材支持部30に進退移動自在に支持されているので、保持ノズル1Bを下降させる下向きの力が、吸着部材10を介してパネル部Wpに作用しても、直ちに伸縮部41b及び伸縮部42bが収縮し、パネル部Wpに対してほとんど負荷がかからない。しかも、既に接続部41cが負圧接続部21に密着されると共に、接続部42cが口金部13に密着されており、連通部材40の内部に、口金部13と負圧接続部21との間で吸着部12に負圧を与える流路P1が確保されているので、パネル部Wpが吸着部12に瞬時に吸着保持される。
【0048】
上記のように構成された保持ノズル1Bによれば、上記の保持ノズル1により得られる効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、連通部材40の両端に形成された接続部41c、42cが、口金部13と負圧接続部21とに常に接しているので、吸着部12にパネル部Wpが瞬時に吸着保持され、パネル部Wpにはほとんど負荷が付与されない。これにより、パネル部Wpの品質を維持できる。
【0049】
(第二の実施形態)
図9に示すように、本発明の第二の実施形態としての保持ノズル2では、連通部材の形状が第一の実施形態とは異なる。すなわち、保持ノズル2の連通部材40は、収容部20内に、負圧接続部21と吸着部材10の口金部13との間に位置するように収容されており、長手方向に内孔が開通されたエラストマ製のジャバラパッド部141を有し、その内部にはバキュームポンプの動作により流体が移動する流路P1の一部を構成する中空部143が形成されている。
【0050】
ジャバラパッド部141は、円筒状の基端部(第一の連結部)141aと、基端部141aに一体成形されたジャバラ状の弾性変形可能な伸縮部141bと、基端部141aの先端にあって負圧接続部21に接続される接続部(第一の接続部)141cと、伸縮部141bの先端にあって口金部13に接続される接続部(第二の接続部)141dとを含む。なお、ジャバラパッド部141には、第一の実施形態におけるジャバラパッド部41、42と同じ部材が使用されている。一方、収容部20の内側には、負圧接続部21から口金部13に向けて突き出した筒状部(収容接続部)22が形成されている。筒状部22の先端には、ジャバラパッド部141の筒状部22からの離脱防止のために鍔部23が形成されている。
【0051】
ジャバラパッド部141の基端部141aは、鍔部23を内側に収めるようして収容部20側の筒状部22に被着されている。ジャバラパッド部141の内孔141eは、筒状部22の内孔22aを通じて負圧接続部21に連通しており、これら一連の内孔が中空部143をなし、口金部13と負圧接続部21との間で流路P1を形成する。
【0052】
本実施形態の場合、吸着部12が収容部20から離間した位置にあるときは、口金部13も負圧接続部21から離間した位置にあるため、口金部13と負圧接続部21との間の距離は、ジャバラパッド部141の全長よりも長い。そのため、ジャバラパッド部141の接続部141dは口金部13から離間して隙間が生じている。一方、吸着部12が収容部20に接近した位置にあるときは、口金部13も負圧接続部21に接近した位置にあるため、口金部13と負圧接続部21との間の距離は、ジャバラパッド部141の全長よりも短くなる。そのため、吸着部12が後退すると、ジャバラパッド部141の接続部141dが口金部13に密着される。また、本実施例の場合、ジャバラパッド部141が筒状部22に被着されているので、ジャバラパッド部141を収容部20の軸心に維持させるためのガイド部材45が不要となる。
【0053】
上記のように構成された保持ノズル2を、保持ノズル1に代えてノズル支持部材(101)に取り付け、パネル部Wpを吸着保持するには、まず、保持ノズル2をパネル部Wpが置かれた移載元の上方に配置し、吸着部12の平面部12aとパネル部Wpの被吸着面とが離間して対向した状態とする。このとき、吸着部12は自重により収容部20に対して前進した位置にあり、ジャバラパッド部141の接続部141dは、口金部13から離間している。この状態では、ノズル支持部材の流路(P2)を通じて保持ノズル2に負圧が付与されても、接続部141dと口金部13との隙間、収容部20の内部空間、及び孔31と軸部11との隙間を通じて保持ノズル2内に外気が吸引されるので、吸着部12に負圧はほとんど付与されないが、孔31と軸部11との隙間から外気が吸引されることにより、保持ノズル2内部で生じた発塵の吸引並びに同ノズル周辺の除塵がなされる。
【0054】
上記の状態から、保持ノズル2をノズル支持部材101と共に予め設定された保持ノズル2の停止位置に向けて下降させ、保持ノズル2の下降動作の過程で、吸着部12の平面部12aとパネル部Wpの被吸着面とを接近させてお互いを密着させる。このとき、吸引機構120を保持ノズル2の下降動作と共に作動させ、負圧を発生させた状態にする。吸着部12を含む吸着部材10は、吸着部材支持部30に進退移動自在に支持されているので、保持ノズル2を下降させる下向きの力は、吸着部材10の移動により吸収され、パネル部Wpに作用することはない。パネル部Wpに作用するのは吸着部12を含む吸着部材10の重量のみである。
【0055】
吸着部12がパネル部Wpの上面に接した後も、保持ノズル2の下降を継続させ、予め設定された保持ノズル2の停止位置まで移動させると、保持ノズル2と共に下方へ移動する吸着部12の移動が、パネル部Wpに規制される。その後も更に保持ノズル2及び吸着部12を下方へ移動させると、吸着部材10は移動できないが、ノズル支持部材101、収容部20及び吸着部材支持部30が下方へ移動される。これによって、吸着部材支持部30が吸着部材10の軸部11に沿って下方へ移動され、見かけ上、軸部11及び口金部13が収容部20内へと進入される。これによって、ジャバラパッド部141の接続部141dと口金部13との間の距離が縮まって、口金部13が接続部141dに当接される。さらに保持ノズル2を下方へ移動させると、接続部141dが口金部13に押し付けられる。これにより、接続部141dと口金部13とが密着するので、連通部材40の内部における口金部13と負圧接続部21との間で、吸着部12に負圧を与える流路P1が形成され、これによってパネル部Wpが吸着部12に吸着される。
【0056】
上記のように構成された保持ノズル2によれば、第一の実施形態の変形例(保持ノズル1A)により得られる効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、連通部材40の部品数が少なく、保持ノズル2そのものを小さく製作することができ、製作コストの削減が図れる。また、保持ノズル2を小型軽量に仕上げることが可能であり、保持ノズル2を移動させる移動ユニット(210)の動作性が向上する。
【0057】
(第三の実施形態)
図10に示すように、本発明の第三の実施形態としての保持ノズル3では、連通部材の配置が第二の実施形態と異なる。すなわち、保持ノズル3の連通部材40は、収容部20内に、負圧接続部21と吸着部材10の口金部13との間に位置するように収容されており、長手方向に内孔が開通されたエラストマ製のジャバラパッド部142を有し、その内部にはバキュームポンプの動作により流体が移動する流路P1の一部を構成する中空部143が形成されている。
【0058】
ジャバラパッド部142は、円筒状の基端部(第一の連結部)142aと、基端部142aに一体成形されたジャバラ状の弾性変形可能な伸縮部142bと、伸縮部142bの先端にあって負圧接続部21に接続される接続部(第一の接続部)142cと、基端部142aの先端にあって口金部13に接続される接続部(第二の接続部)142dと含む。なお、ジャバラパッド部142には、第一の実施形態におけるジャバラパッド部41、42と同じ部材が使用されている。一方、口金部13の上部には、負圧接続部21に向けて突き出した筒状部(吸着接続部)15が形成されている。筒状部15の先端には、ジャバラパッド部142の筒状部15からの離脱防止のために鍔部16が形成されている。
【0059】
ジャバラパッド部142の基端部142aは、鍔部16を内側に収めるようして口金部13側の筒状部15に被着されている。ジャバラパッド部142の内孔142eは、筒状部15の内孔15aを通じて口金部13に連通しており、これら一連の内孔が中空部143をなし、口金部13と負圧接続部21との間で流路P1を形成する。
【0060】
本実施形態の場合、吸着部12が収容部20から離間した位置にあるときは、口金部13も負圧接続部21から離間した位置にあるため、口金部13と負圧接続部21との間の距離は、ジャバラパッド部142の全長よりも長い。一方、吸着部12が収容部20に接近した位置にあるときは、口金部13も負圧接続部21に接近した位置にあるため、口金部13と負圧接続部21との間の距離は、ジャバラパッド部142の全長よりも短くなる。そのため、吸着部12が後退すると、ジャバラパッド部142の接続部142cが負圧接続部21に密着される。また、本実施例の場合、ジャバラパッド部142が口金部13に被着されているので、ジャバラパッド部142を収容部20の軸心に維持させるためのガイド部材45が不要となる。
【0061】
上記のように構成された保持ノズル3を、保持ノズル1に代えてノズル支持部材(101)に取り付け、パネル部Wpを吸着保持するには、まず、保持ノズル3をパネル部Wpが置かれた移載元の上方に配置し、吸着部12の平面部12aとパネル部Wpの被吸着面とが離間して対向した状態とする。このとき、吸着部12は自重により収容部20に対して前進(下降)した位置にあり、ジャバラパッド部142の接続部142cは、負圧接続部21から離間している。この状態では、ノズル支持部材の流路(P2)を通じて保持ノズル3に負圧が付与されても、接続部142cと負圧接続部21との隙間、収容部20の内部空間、及び孔31と軸部11との隙間を通じて保持ノズル3内に外気が吸引されるので、吸着部12に負圧はほとんど付与されないが、孔31と軸部11との隙間から外気が吸引されることにより、保持ノズル3内部で生じた発塵の吸引並びに同ノズル周辺の除塵がなされる。
【0062】
上記の状態から、保持ノズル3をノズル支持部材101と共に予め設定された保持ノズル3の停止位置に向けて下降させ、保持ノズル3の下降動作の過程で、吸着部12の平面部12aとパネル部Wpの被吸着面とを接近させてお互いを密着させる。このとき、吸引機構120を保持ノズル3の下降動作と共に作動させ、負圧を発生させた状態にする。吸着部12を含む吸着部材10は、吸着部材支持部30に進退移動自在に支持されているので、保持ノズル3を下降させる下向きの力は、吸着部材10の移動により吸収され、パネル部Wpに作用することはない。パネル部Wpに作用するのは吸着部12を含む吸着部材10の重量のみである。
【0063】
吸着部12がパネル部Wpの上面に接した後も、保持ノズル3の下降を継続させ、予め設定された保持ノズル3の停止位置まで移動させると、保持ノズル3と共に下方へ移動する吸着部12の移動が、パネル部Wpに規制される。その後も更に保持ノズル3及び吸着部12を下方へ移動させると、吸着部材10は移動できないが、ノズル支持部材101、収容部20及び吸着部材支持部30が下方へ移動される。これによって、吸着部材支持部30が吸着部材10の軸部11に沿って下方へ移動され、見かけ上、軸部11及び口金部13が収容部20内へと進入される。これによって、ジャバラパッド部142の接続部142cと負圧接続部21との間の距離が縮まって、負圧接続部21が接続部142cに当接される。さらに保持ノズル3を下方へ移動させると、接続部142cが負圧接続部21に押し付けられる。これにより、接続部142cと負圧接続部21とが密着するので、連通部材40の内部における口金部13と負圧接続部21との間で、吸着部12に負圧を与える流路P1が形成され、これによってパネル部Wpが吸着部12に吸着される。
【0064】
上記のように構成された保持ノズル3によれば、第一の実施形態(保持ノズル1)により得られる効果に加えて、第二の実施形態(保持ノズル2)と同様の効果を奏する。すなわち、連通部材40の部品数が少なく、保持ノズル3そのものを小さく製作することができ、製作コストの削減が図れる。さらに、保持ノズル3を小型軽量に仕上げることが可能であり、保持ノズル3を移動させる移動ユニット(210)の動作性が向上する。
【0065】
(第四の実施形態)
図11に示すように、本発明の第四の実施形態としての保持ノズル4では、連通部材の形状が第一から第三のいずれの実施形態とも異なる。すなわち、保持ノズル4の連通部材40はジャバラ部144を有し、その内部にはバキュームポンプの動作により流体が移動する流路P1の一部を構成する中空部143が形成されている。
【0066】
ジャバラ部144は、長さ方向の全体がジャバラ状の弾性変形可能な伸縮部144aと、伸縮部144aの一端にあって負圧接続部21に接続される接続部(第一の接続部)144bと、伸縮部144aの他端にあって口金部13に接続される接続部(第二の接続部)144cとを含む。ジャバラ部144は、負圧接続部21にも口金部13にも連結されてはおらず、収容部20の内部に、長手方向を収容部20と一致させて配置されており、接続部144cは、ジャバラ部144の自重により口金部13に当接されている。また、ジャバラ部144の外径は、収容部20の内周径より若干小さく設定されており、ガイド部材45が無くても収容部20の軸心とジャバラ部144の軸心とがほぼ一致するようにジャバラ部144が収容部20内に収容されている。
【0067】
本実施形態の場合、吸着部12が収容部20から離間した位置にあるときは、口金部13も負圧接続部21から離間した位置にあるため、口金部13と負圧接続部21との間の距離は、ジャバラ部144の全長よりも長い。一方、吸着部12が収容部20に接近した位置にあるときは、口金部13も負圧接続部21に接近した位置にあるため、口金部13と負圧接続部21との間の距離は、ジャバラ部144の全長よりも短くなる。そのため、吸着部12が後退すると、ジャバラ部144の接続部144bが負圧接続部21に密着される。
【0068】
上記のように構成された保持ノズル4を、保持ノズル1に代えてノズル支持部材(101)に取り付け、パネル部Wpを吸着保持するには、まず、保持ノズル4をパネル部Wpが置かれた移載元の上方に配置し、吸着部12の平面部12aとパネル部Wpの被吸着面とが離間して対向した状態とする。このとき、吸着部12は自重により収容部20に対して前進(下降)した位置にあり、ジャバラ部144の接続部144bは、負圧接続部21から離間している。この状態では、ノズル支持部材の流路(P2)を通じて保持ノズル4に負圧が付与されても、接続部144bと負圧接続部21との隙間、収容部20の内部空間、及び孔31と軸部11との隙間を通じて保持ノズル4内に外気が吸引されるので、吸着部12に負圧はほとんど付与されないが、孔31と軸部11との隙間から外気が吸引されることにより、保持ノズル4内部で生じた発塵の吸引並びに同ノズル周辺の除塵がなされる。
【0069】
上記の状態から、保持ノズル4をノズル支持部材と共に予め設定された保持ノズル4の停止位置に向けて下降させ、保持ノズル4の下降動作の過程で、吸着部12の平面部12aとパネル部Wpの被吸着面とを接近させてお互いを密着させる。このとき、吸引機構120を保持ノズル4の下降動作と共に作動させ、負圧を発生させた状態にする。吸着部12を含む吸着部材10は、吸着部材支持部30に進退移動自在に支持されているので、保持ノズル4を下降させる下向きの力は、吸着部材10の移動により吸収され、パネル部Wpに作用することはない。パネル部Wpに作用するのは、吸着部12を含む吸着部材10とジャバラ部144とを合わせた重量のみである。
【0070】
吸着部12がパネル部Wpの上面に接した後も保持ノズル4の下降を継続させ、予め設定された保持ノズル4の停止位置まで移動させると、保持ノズル4と共に下方へ移動する吸着部12の移動が、パネル部Wpに規制される。その後も更に保持ノズル4及び吸着部12を下方へ移動させると、吸着部材10は移動できないが、ノズル支持部材101、収容部20及び吸着部材支持部30が下方へ移動される。これによって、吸着部材支持部30が吸着部材10の軸部11に沿って下方へ移動され、見かけ上、軸部11及び口金部13が収容部20内へと進入される。これによって、ジャバラ部144の接続部144bと負圧接続部21との間の距離が縮まって、負圧接続部21が接続部144bに当接される。さらに保持ノズル4を下方へ移動させると、負圧接続部21がジャバラ部144の接続部144bに押し付けられる。これにより、接続部144bと負圧接続部21とが密着するので、連通部材40の内部における口金部13と負圧接続部21との間で、吸着部12に負圧を与える流路P1が形成され、これによってパネル部Wpが吸着部12に吸着される。
【0071】
上記のように構成された保持ノズル4によれば、第一の実施形態(保持ノズル1)により得られる効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、連通部材40の部品数が少なく、また、ジャバラ部144の全長が伸縮部144aと同じなので伸縮部144aの全長を必要最小限の大きさにすることが可能となり、保持ノズル4そのものを更に小さく製作することができる。これにより、製作コストの削減が図れる。さらに、保持ノズル4を小型軽量に仕上げることが可能であり、保持ノズル4を移動させる移動ユニット(210)の動作性が向上する。
【0072】
(変形例3)
図12に示すように、上記第一の実施形態の変形例としての保持ノズル4Aでは、連通部材40を構成するジャバラ部144の長さが、吸着部12が収容部20に対して前進し、口金部13が負圧接続部21から離間した位置にあるときの口金部13と負圧接続部21との間の距離にほぼ等しくされている。そのため、口金部13が負圧接続部21から離間した位置にあるときでも、接続部144bが負圧接続部21に当接すると共に、接続部144cが口金部13に当接している。
【0073】
上記のように構成された保持ノズル4Aを、保持ノズル1に代えてノズル支持部材(101)に取り付け、パネル部Wpを吸着保持するには、まず、保持ノズル4Aをパネル部Wpが置かれた移載元の上方に配置し、吸着部12の平面部12aとパネル部Wpの被吸着面とが離間して対向した状態とする。このとき、吸着部12が収容部20に対して前進し、口金部13が負圧接続部21から離間した位置にあるものの、保持ノズル4Aでは、この状態においても接続部144bが負圧接続部21に当接すると共に、接続部144cが口金部13に当接している。
【0074】
上記の状態から、保持ノズル4Aをノズル支持部材と共に下降させると共に吸引機構120を作動させ、負圧を発生させた状態とする。その過程で吸着部12がパネル部Wpの被吸着面に当接するが、吸着部12を含む吸着部材10は、吸着部材支持部30に進退移動自在に支持されているので、保持ノズル4Aを下降させる下向きの力が、吸着部材10を介してパネル部Wpに作用しても、直ちに伸縮部144aが収縮し、パネル部Wpに対してほとんど負荷がかからない。しかも、既に接続部144bが負圧接続部21に密着されると共に、接続部144cが口金部13に密着されており、ジャバラ部144の内部に、口金部13と負圧接続部21との間で吸着部12に負圧を与える流路P1が確保されているので、パネル部Wpが吸着部12に瞬時に吸着保持される。
【0075】
上記のように構成された保持ノズル4Aによれば、上記の保持ノズル4により得られる効果に加えて、以下の効果を奏する。すなわち、ジャバラ部144の両端に形成された接続部144b、144cが、口金部13と負圧接続部21とに常に接しているので、吸着部12にパネル部Wpが瞬時に吸着保持され、パネル部Wpにはほとんど負荷が付与されない。これにより、パネル部Wpの品質を維持できる。
【0076】
(第五の実施形態)
図13に示すように、本発明の第五の実施形態としての保持ノズル5では、孔31の内周面と軸部11の外周面との間にはわずかな隙間が設けられている。これにより、吸着部12が、口金部13を支点として吸着部材支持部30に対して揺動可能とされている。さらに、孔31の内径が、孔31の長手方向のほぼ中央から吸着部12側の開口31aに向かって徐々に連続して拡大されており、孔31の開口31aにテーパ状のファンネル部(吸着ガイド部)32を形成している。一方、軸部11の外径は、軸部11の長手方向のほぼ中央から吸着部12に向かって徐々に連続して拡大されており、軸部11と吸着部12との間にテーパ状の拡径部(吸着被ガイド部)14を形成している。収容部20の長手方向の軸線Oに対するファンネル部32の傾斜角は、軸線Oに対する拡径部14の傾斜角と同じに設定されている。ファンネル部32は、吸着部12が収容部20に対して後退したとき、拡径部14に接し、吸着部12の平面部12aが収容部20の長手方向の軸線Oに対して垂直となるように、吸着部12の向きを変化させる。
【0077】
移載装置200においては、複数のパネル組立体Wが供給トレイ201に載せられた状態で、保持ヘッド100の下方に順次供給されるが、供給トレイ201に載せられたパネル組立体Wは、被吸着面の向き(傾斜)が各々に微妙に異なる可能性がある。その場合、吸着部12の平面部12aと、吸着部12の直下に位置するパネル組立体Wのパネル部Wpの被吸着面とが平行にはらない。しかしながら、上記のように構成された保持ノズル5によれば、吸着部12が、口金部13を支点として横方向に全方位的に揺動することを許容されている。これにより、保持ノズル1を下降させて吸着部12の平面部12aをパネル組立体Wのパネル部Wpの被吸着面に当接させると、吸着部12がパネル部Wpの被吸着面の向き(傾斜)に倣って揺動し、吸着部12の平面部12aがパネル部Wpの被吸着面と平行になるので、平面部12aとパネル部Wpとが、接圧が均等になるように面接触し、確実に吸着保持される。
そして、吸引機構120の吸引動作により、パネル部Wpを吸着した吸着部12が収容部20に対して後退すると、軸部11の拡径部14が吸着部材支持部30のファンネル部32にガイドされ、吸着部12は、平面部12aが収容部20の長手方向の軸線Oに対して垂直となるように向きが変化される。これにより、パネル組立体Wの姿勢を正すことができ、移載先のベルトコンベア202にパネル組立体Wを正しい姿勢で受け渡すことができる。
【0078】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された事項によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、空気の負圧を利用して加工対象物を保持する保持ノズル、その保持ノズルを含む保持ヘッド、及びその保持ノズルに保持した加工対象物を移載する移載装置に関する。
本発明によれば、移載すべき加工対象物に歪みを生じさせたり吸着痕を残したりすることがなく、小型であることで移載装置による保持ノズルの動作性を損なうこともない。
図1
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