特許第6609310号(P6609310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6609310異種ネットワーク基盤ブロードキャストサービスを提供する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6609310
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】異種ネットワーク基盤ブロードキャストサービスを提供する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/242 20110101AFI20191111BHJP
   H04H 20/18 20080101ALI20191111BHJP
【FI】
   H04N21/242
   H04H20/18
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-519436(P2017-519436)
(86)(22)【出願日】2015年6月19日
(65)【公表番号】特表2017-525311(P2017-525311A)
(43)【公表日】2017年8月31日
(86)【国際出願番号】KR2015006245
(87)【国際公開番号】WO2015194906
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年6月19日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0076090
(32)【優先日】2014年6月20日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503447036
【氏名又は名称】サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヒョン ク
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ソン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】リム,ヨン−クォン
(72)【発明者】
【氏名】パク,キョン モ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,スン オ
【審査官】 川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/058237(WO,A1)
【文献】 国際公開第2002/071760(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0057446(US,A1)
【文献】 特表2006−500797(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0044200(US,A1)
【文献】 特開2014−075831(JP,A)
【文献】 特開平11−041608(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/025035(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 − 21/858
H04H 20/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロードキャストシステムにおける送信エンティティが送信パケットを送信する方法であって、
ブロードキャストサービスのサービスデータ及び送信遅延に対する情報を含むシグナリングデータを識別するステップであって、前記サービスデータは少なくとも一つのコンポーネントを含むステップと、
前記サービスデータ及び前記シグナリングデータを利用して複数の送信パケットを生成するステップと、
前記複数の送信パケットを受信エンティティに送信するステップとを含み、
前記シグナリングデータは、前記少なくとも一つのコンポーネントに対して要求される(required)最大バッファサイズに対する情報を提供する最大バッファサイズ情報、前記送信エンティティと前記受信エンティティとの間の固定されたエンドツーエンド送信遅延に対する情報を提供する固定エンドツーエンド遅延情報、及び、前記送信エンティティと前記受信エンティティとの間の最大送信遅延に対する情報を提供する最大送信遅延情報を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記固定エンドツーエンド遅延情報は、前記最大送信遅延情報及び順方向エラー訂正(AL−FEC) 保護ウィンドー時間に基づいて設定されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の送信パケットを受信エンティティに送信するステップは、
第1のコンポーネントのデータを含む少なくとも一つの第1の送信パケットを第1のトランスポートネットワークを通じて送信し、第2のコンポーネントのデータを含む少なくとも一つの第2の送信パケットを第2のトランスポートネットワークを通じて送信するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記固定エンドツーエンド遅延情報は、前記第1の送信パケットが前記受信エンティティの第1のデジッタバッファから出力される時間が前記第2の送信パケットが前記受信エンティティの第2のデジッタバッファから出力される時間と同一にする値に設定されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記固定エンドツーエンド遅延情報は、前記第1のトランスポートネットワークに対する第1の固定されたエンドツーエンド送信遅延及び前記第2のトランスポートネットワークに対する第2の固定されたエンドツーエンド送信遅延のうちの大きい値に設定されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のトランスポートネットワークは、ブロードキャストネットワーク(broadcast network)であり、前記第2のトランスポートネットワークは、ブロードバンドネットワーク(broadband network)であることを特徴とする請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異種ネットワークを通して配信されるブロードキャストサービスを提供する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線ネットワークとインターネットの超高速化とともにブロードキャスティング融合環境でのブロードキャストサービスが普及化している。これに従って、既存のテレビジョン(TV)又は個人用コンピュータだけでなく、スマートフォン、タブレットなどの様々な性能の端末が混在する融合コンテンツ消費環境が構築されている。このような消費環境において、様々な端末の性能に従って、ビデオ、音楽、ゲーム、及びデータなどのコンテンツがシームレスにリアルタイムで使用されている。したがって、最近様々な異種ネットワーク(heterogeneous network)に基づくブロードキャストサービスに対する要求が増大している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、少なくとも上述した問題点及び/又は不都合を解決し、少なくとも以下の利点を提供することにある。すなわち、本発明の目的は、異種ネットワークを通して配信されるブロードキャストサービスを提供する方法及び装置を提供することにある。
【0004】
本発明の他の目的は、異種ネットワークを通して配信される単一のブロードキャストサービスを構成するパケットの送信の時に各ネットワークに対する異なる遅延特性に基づいて異種ネットワークを通して配信されるパケットを同期化する方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような目的を達成するために、本発明の実施形態の一態様によれば、ブロードキャストサービスを提供する方法を提供する。上記方法は、少なくとも2個のネットワークを通して上記ブロードキャストサービスが提供される場合に、上記少なくとも2個のネットワークの固定されたエンドツーエンド遅延値の中で最大値を取得するステップと、上記最大値に基づいて、上記ブロードキャストサービスのパケットを受信した受信器の出力時点を制御するステップとを有することを特徴とする。
【0006】
本発明の実施形態の他の態様によれば、ブロードキャストサービスを受信する方法を提供する。上記方法は、少なくとも2個のネットワークを通してブロードキャストサービスが提供される場合に、上記少なくとも2個のネットワークの固定されたエンドツーエンド遅延値の中で最大値に基づいて設定された出力時点制御情報を受信するステップと、上記ネットワークを通して上記ブロードキャストサービスのパケットが受信される場合に、上記出力時点制御情報に基づいて設定された出力時点より出力時点が早いパケットが存在するか否かを確認するステップと、上記出力時点が早いパケットが存在する場合に、上記出力時点が早いパケットの出力を上記出力時点まで待機するステップとを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の実施形態のまた他の態様によれば、ブロードキャストサービスを提供する送信器を提供する。上記送信器は、少なくとも2個のネットワークを通して上記ブロードキャストサービスが提供される場合に、上記少なくとも2個のネットワークの固定されたエンドツーエンド遅延値の中で最大値を取得する送受信部と、上記最大値に基づいて、上記ブロードキャストサービスのパケットを受信した受信器の出力時点を制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の実施形態のさらに他の態様によれば、ブロードキャストサービスを受信する受信器を提供する。上記受信器は、少なくとも2個のネットワークを通してブロードキャストサービスが提供される場合に、上記少なくとも2個のネットワークの固定されたエンドツーエンド遅延値の中で最大値に基づいて設定された出力時点制御情報を受信する送受信部と、上記ネットワークを通して上記ブロードキャストサービスのパケットが受信される場合に、上記出力時点制御情報に基づいて設定された出力時点より出力時点が早いパケットが存在するか否かを確認し、上記出力時点が早いパケットが存在する場合には、上記出力時点が早いパケットの出力を上記出力時点まで待機するように制御する制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、単一のブロードキャストサービスが異なるネットワークを通して送信される場合に、ネットワークの遅延特性に基づいてブロードキャストサービスを構成するパケットの送信及び出力を制御することにより、受信器が同一の時間にパケットを出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態が適用される異種ネットワーク基盤ブロードキャストサービスが提供される環境の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態が適用されるHRBMが適用された受信器の構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態による異種ネットワークのプロトコルスタックの一例を示す図である。
図4A】本発明の第1の実施形態による異種ネットワークでのデータ送信構造の一例を示す図である。
図4B】本発明の第1の実施形態による異種ネットワークでのデータ送信構造をMMT技術に適用した一例を示す図である。
図4C】本発明の第1の実施形態による単一のMMTレイヤ基盤異種ネットワークでの同期化過程を説明するための図である。
図5】本発明の実施形態による受信器の最大送信遅延を設定するためのパラメータを含むHRBMメッセージ構造の一例を示す図である。
図6A】本発明の第2の実施形態による異種ネットワークでのデータ送信構造の一例を示す図である。
図6B】本発明の第2の実施形態による異種ネットワークでのデータ送信構造をMMT技術に適用した一例を示す図である。
図6C】本発明の第2の実施形態による多重MMTレイヤ基盤異種ネットワークでの同期化過程を説明するための図である。
図7】本発明の実施形態による送信エンティティの動作を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態による受信エンティティの動作を示すフローチャートである。
図9】本発明の実施形態による送信エンティティの構成を示すブロック図である。
図10】本発明の実施形態による受信エンティティの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図面における同様な構成要素に対しては、他の図面に表示されても、同様な参照番号及び符号を付けてあることに注意されたい。また、明瞭性及び簡潔性の観点から、本発明に関連した公知の機能や構成に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。ここで使用される用語は、本発明の機能を考慮して定義されたものであって、ユーザ又は運用者の意図又は慣例によって変わりうる。したがって、上記用語は、本明細書の全体内容に基づいて定義されなければならない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態が適用される異種ネットワーク基盤ブロードキャストサービスが提供される環境の一例を示す図である。
【0013】
図1を参照すると、本発明の実施形態では、単一のブロードキャストサービス110を異なるネットワークを通して受信器130に提供する構造に適用される。例えば、2個のトランスポートネットワーク、すなわち、トランスポートネットワークA120及びトランスポートネットワークB125を通してブロードキャストサービス110が受信器130に送信されると仮定する。以下では、本発明の実施形態において、トランスポートネットワークは、インターネットプロトコル(IP)ネットワーク及びディジタルブロードキャストネットワークを含む異種パケット交換ネットワークを通してマルチメディアサービスを提供するためのMPEG(Moving Picture Experts Group)メディアトランスポート(MMT)をサポートできると仮定する。しかしながら、本発明の実施形態によるトランスポートネットワークが、MMT技術をサポートするネットワークのみに限定されるのではないことに留意しなければならない。例えば、本発明の実施形態によるトランスポートネットワークは、地上波ブロードキャストネットワーク及びブロードバンドネットワークを含んでいてもよい。
【0014】
ブロードキャストサービス110は、例えば、4個のコンテンツコンポーネント、すなわち、第1乃至第4のコンテンツコンポーネント110−1、110−2、110−3、110−5及びメタデータ110−4を含むと仮定する。ここで、各コンテンツコンポーネント及びメタデータは、少なくとも1つのパケットを通して送信される。サービス110を構成するコンテンツコンポーネント及びメタデータは、マルチプレクサ115を通してトランスポートネットワークA120及びトランスポートネットワークB125の各々を通して受信器130に伝達される。マルチプレクサ115は、図面に図示していないが、コンテンツコンポーネント及びメタデータを送信に適合した送信パケットに変換するパケット生成器とコンテンツコンポーネント及びメタデータをトランスポートネットワークA120及びトランスポートネットワークB125の各々に分配する分配器とを含む形態にて構成できる。実施形態に従って、パケット生成器の前段又は後段に位置し、分配器がパケット生成器の前段に位置する場合には、分配器は、サービス110をコンテンツコンポーネント単位でトランスポートネットワークA120及びトランスポートネットワークB125に分配し、分配器がパケット生成器の後段に位置する場合には、サービス110を送信パケット単位でトランスポートネットワークA 120及びトランスポートネットワークB 125に分配する。具体的な例では、第1乃至第3のコンテンツコンポーネント110−1、110−2、110−3、及びメタデータ110−5がトランスポートネットワークA120に配信され、第4のコンテンツコンポーネント110−5がトランスポートネットワークB125に配信されると仮定する。他方、第1乃至第4のコンテンツコンポーネント110−1、110−2、110−3、110−5及びメタデータ110−4は、送信に適合した送信パケットに変換された後に、異なるトランスポートネットワーク、すなわち、トランスポートネットワークA120及びトランスポートネットワークB125の各々を通して送信される。このとき、トランスポートネットワークA120及びトランスポートネットワークB125は、ネットワークを構成する物理的な媒体とネットワーク構成要素の配列方式、及び、オペレータの政策(policy)などにより異なる遅延特性を有する。その結果、トランスポートネットワークA120を通して送信されたパケット、及び、トランスポートネットワークB125を通して送信されたパケットの各々は、受信器130に到着するまでかかる時間が変わる。
【0015】
したがって、本発明は、1つのブロードキャストサービスが異なる少なくとも2個以上のネットワークを通して提供される場合に、各ネットワークの遅延特性に基づいて、ブロードキャストサービスを構成するパケットの送信時間及び受信器の出力時間を制御する方法及び装置を提案する。
【0016】
具体的に、本発明の実施形態では、エンドツーエンド、すなわち、送信エンティティと受信エンティティとの間で送受信されるパケットに対して固定された遅延を有するようにするために使用されるMMT技術の仮想受信器バッファモデル(hypothetical receiver buffer model:HRBM)に基づいて、異種ネットワークを通して提供されるブロードキャストサービスのパケットの送受信時間を制御する方案を提案する。
【0017】
図2は、本発明の実施形態が適用されるHRBMが適用された受信器の構成の一例を示す図である。
【0018】
図2を参照すると、HRBMが適用された受信器は、2個のバッファ構造で構成できる。ここで、受信器200の構成は、本発明の実施形態のための必要な構成を概略的に図示したものにすぎず、このような受信器200の構成に本発明の実施形態が限定されるのではない。
【0019】
具体的に、受信器は、例えば、アプリケーションレイヤ順方向エラー訂正(AL−FEC)デコーディングバッファ202とデジッタバッファ204とから構成される。AL−FECは、ネットワークで損失したパケットを受信器が復元するための目的で使用され、通常、所定数の送信パケットを集めることによりソースブロックを構成した後に、予め約束されたアルゴリズムをソースブロックに適用することにより、生成されたリペアパケットを送信することにより実現される。以後、1つのソースブロックを構成するすべての送信パケット及びソースブロックから生成されたすべてのリペアパケットを‘FECパケットブロック’と呼ぶことにする。図2に示すように、送信エンティティが単一のブロードキャストサービスのコンテンツコンポーネントの中で任意のコンテンツコンポーネントを構成するパケット、すなわち、P1、P2、及びP3を任意のトランスポートネットワークを通して受信器に送信すると仮定する。また、パケットP1、P2、及びP3は、同一のソースブロックに含まれていると仮定する。したがって、パケットP1、P2、及びP3の各々がAL−FECデコーディングバッファ202に入力される。このとき、送信エンティティがパケットP1、P2、及びP3の各々を送信する送信時点は、t1、t2、及びt3に対応すると仮定する。P1、P2、及びP3の各々がAL−FECデコーディングバッファ200に入力される入力時点は、それぞれ対応するトランスポートネットワークの遅延特性で発生したP1、P2、及びP3のそれぞれの送信遅延x1、x2、x3が各送信時点に付加された‘t1+x1’、‘t2+x2’、及び‘t3+x3’となる。また、AL−FECデコーディングバッファ202に入力されたP1、P2、及びP3の各々に対してAL−FECデコーディングが実行され出力される。このとき、P1、P2、及びP3の各々は、AL−FECデコーディングによる遅延、すなわち、y1、y2、及びy3が発生する。したがって、AL−FECデコーディングバッファ202から出力されたP1、P2、及びP3がデジッタバッファ204に入力される入力時間は、それぞれ‘t1+x1+y1'、‘t2+x2+y2'、及び‘t3+x3+y3’となる。
【0020】
一方、デジッタバッファ204は、トランスポートネットワークの遅延ジッタと、AL−FECデコーディングで発生する遅延を吸収できる。したがって、デジッタバッファ204を通過したP1、P2、及びP3の各々は、固定された遅延(D)を有するトランスポートネットワークを通して送信されるものと見なされる。結果的に、デジッタバッファ204を通過したP1、P2、及びP3のそれぞれの出力時間は、t1+D、t2+D、及びt3+Dとなる。
【0021】
一般的なHRMBは、アセットに対応するコンテンツコンポーネント別に設定され、Dの値は、MMT送信エンティティを決定することにより、MMTシグナリングメッセージを通して受信器200に伝達できる。例えば、Dの値は、下記数1に示すように、トランスポートネットワークの特性により発生した遅延値の中の最大値とAL−FEC保護ウィンドー時間との総計で計算できる。
【0022】
[数1]
D=max(x1,x2,x3,...)+AL−FEC保護ウィンドー時間
【0023】
ここで、x1、x2、x3は、トランスポートネットワークの特性で発生した遅延であり、AL−FEC保護ウィンドー時間は、AL−FECデコーディングが実行されるウィンドー期間である。すなわち、AL−FEC保護ウィンドー時間は、AL−FECエンコーディング及びデコーディングの実行単位に対応するFECパケットブロックが含むパケットの中で1番目に送信されるパケットの送信時間と、FECパケットブロックが含むパケットの中で最後に送信されるパケットの送信時間と、の間の最大値で定義される。
【0024】
図3は、本発明の実施形態に従って異種ネットワークを構成するプロトコルスタックの一例を示す図である。
【0025】
図3を参照すると、異種ネットワークは、例えば、ブロードキャストネットワークとブロードバンドネットワークとから構成されると仮定する。ブロードキャストサービスを構成する少なくとも1つのコンテンツコンポーネントが、ブロードキャストネットワークに対応するプロトコルスタック310を通過すると仮定する。ブロードキャストネットワークに対応するプロトコルスタック310は、メインブロードキャスト経路と仮定でき、この場合に、ブロードキャストネットワークは、少なくとも1人のオペレータにより制御されるネットワークであるので、ブロードキャストネットワークの送信遅延及びジッタは、インターネットなどのようにオペレータにより制御されないネットワークに比べて相対的に小さな値を有する。このような送信遅延及びジッタは、最初のネットワーク設計過程において測定により取得される。
【0026】
また、ブロードバンドに対応するプロトコルスタックは、メインブロードキャスティング経路の付加的なブロードキャスティング経路として、MMTプロトコル(MMTP)を有する場合とMMTPを有しない場合とに区分できる。まず、MMTPを有するブロードバンドに対応するプロトコルスタック320を経由する場合とブロードキャストネットワークに対応するプロトコルスタック310を経由する場合とを比較すると、プロトコルスタック320の方に相対的に大きい遅延及びジッタが発生する。発生する遅延及びジッタは、タイムスタンプを用いて測定できる。より具体的に、コンテンツコンポーネントがブロードバンドネットワークに対応するプロトコルスタック320を経由する場合、すなわち、コンテンツコンポーネントが、MMTPパケットに変換された後にMMTPを使用して送信される場合に、対応するパケットの送信時間は、MMTPパケットのヘッダを通して送信される。
【0027】
ここで、ブロードキャストネットワークに対応するプロトコルスタック310及びMMTPを使用するブロードバンドに対応するプロトコルスタック320は、それぞれ、サービスをユーザに実際に示すためのプレゼンテーションレイヤ、コンテンツコンポーネントの表現方式であるISOBMFF(ISO-Based Media File Format)、ISOBMFFを含むデータユニットを効率的に送信するためのMMTペイロードフォーマット、及びMMTPとインターネットプロトコル(IP)を共通で含む。MMTPを使用するブロードバンドに対応するプロトコルスタック320は、AL−FECのためのMMT AL−FECのための部分を含んでいる。また、ブロードキャストネットワークに対応するプロトコルスタック310は、ブロードキャストL2プロトコル及びブロードキャストPHYレイヤをさらに含んでいる。ブロードキャストL2プロトコルは、IPパケットを含む上位レイヤパケットをブロードキャストPHYレイヤを通して効率的に送信するためのプロトコルであり、上位レイヤパケッを通して配信されるデータだけでなくサービスシグナリング及びオーディオ/ビデオ同期化(audio/video synchronization:A/V Sync)のための個別の制御情報を送信する機能を有する。ブロードキャストネットワークに対応するプロトコルスタック310は、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)を含む一方、メイン放送パスの付加的なパスに対応するプロトコルスタック320、330、及び340は、送信制御プロトコル(TCP)を含む。また、MMTPを有しないブロードバンドに対応するプロトコルスタック330及び340は、プレゼンテーションレイヤ、DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTT)、ハイパーテキスト転送プロトコル(Hypertext transfer protocol:HTTP)、及びブロードバンドネットワークを含む。DASHは、送信のために、コンテンツコンポーネントをISOBMFFの一種であるDASHセグメントに変換し、セグメントに関する情報は、メディアプレゼンテーションディスクリプション(Media Presentation Description:MPD)を通して配信される。
【0028】
次いで、MMTPを有しないブロードバンドに対応するプロトコルスタック330及び340を通過する場合が、ブロードキャストネットワークに対応するプロトコルスタック310を通過する場合より、相対的に大きい遅延及びジッタが発生する。この場合に、プロトコルに対応するパケットのヘッダには、パケットが送信される時間を示すフィールドが存在しないので、トランスポートネットワークで発生する遅延及びジッタを測定するためには、個別の測定メカニズムが必要である。
【0029】
以下では、本発明の実施形態は、1つのブロードキャストサービスを提供する異種ネットワークが単一の放送局が備えるサーバに対応する第1の実施形態と、異種ネットワークが他の放送局に対応する第2の実施形態とを区別して説明する。
【0030】
まず、本発明の第1の実施形態では、単一の放送局が備えるサーバを通して1つのブロードキャストサービスが提供されると仮定する。この場合に、受信器で同一の時間に再生されるべきコンテンツコンポーネントを構成するパケットがそれぞれのサーバを通して送信される送信時点は、同一であると仮定できる。
【0031】
図4Aは、本発明の第1の実施形態による異種ネットワークでのデータ送信構造の一例を示す図である。
【0032】
図4Aを参照すると、放送局400は、放送タワー402又は少なくとも1つの放送サーバ404を備えて、任意のブロードキャストサービスに対して異なるコンテンツを提供する。例えば、放送局400は、特定の事故に関する生放送に対して他の言語に基づく音声サービスを提供すると仮定する。例えば、ニュースについて、放送タワー402は、ビデオ及び韓国語音声に対応する各コンテンツコンポーネントのパケットを提供し、放送サーバ404は、ニュースに対して英語音声に対応するコンテンツコンポーネントのパケットを提供すると仮定する。この場合に、受信器406は、放送タワー402及び放送サーバ404を通して、ニュースに対して韓国語音声又は英語音声を選択し受信できる。
【0033】
図4Bは、本発明の第1の実施形態による異種ネットワークでのデータ送信構造をMMT技術に適用した一例を示す図である。
【0034】
図4Bを参照すると、図4Aを参照して説明した放送局が提供するブロードキャストサービス410、すなわち、ニュースが単一のMMTレイヤ412に基づいて構成された2個の送信エンティティA412a及び送信エンティティB412bを通して提供される場合を示す。ここで、送信エンティティA 412a及び送信エンティティB412bは、ニュースに関する他のコンテンツを異なるトランスポートネットワークを通して受信エンティティに提供する。したがって、送信エンティティA412a及び送信エンティティB412bは、図4Aの単一の放送局400が備える放送タワー402及び少なくとも1つの放送サーバ404の各々に対応する。
【0035】
図4Cは、本発明の第1の実施形態による単一のMMTレイヤ基盤異種ネットワークでの同期化過程を示すための図である。説明の便宜上、図4Cの構成は、図4Bのデータ送信構造に基づいて説明する。ここで、図4AのMMT受信エンティティ420は、異なるトランスポートネットワーク、すなわち、トランスポートネットワークA及びBを通してパケットを受信する場合を区別してMMT受信エンティティ420a及び420bとして示す。
【0036】
図4Cを参照すると、MMT送信エンティティA412a及びMMT送信エンティティB412bの各々は、単一のブロードキャストサービス400、すなわち、ニュースの韓国語音声に対応するパケットP及びニュースの英語音声に対応するパケットQを、トランスポートネットワークA及びBの各々を通して送信することを示す。ここで、MMT送信エンティティA412a及びMMT送信エンティティB412bは、単一のMMTレイヤに基づくので、送信時点t1が同一である一方、異なるトランスポートネットワークを通して対応するコンテンツコンポーネントを送信することによって、対応するトランスポートネットワークの特性による遅延及びジッタが発生し得る。
【0037】
まず、MMT送信エンティティ412aが、ブロードキャストサービス400を構成するコンテンツコンポーネントのうちの1つであるPを、送信時点t1にトランスポートネットワークAを通して送信すると仮定する。この場合に、トランスポートネットワークAを通して送信されたPが、MMT受信エンティティ420aにより受信される。ここで、MMT受信エンティティ420aは、図2に示した受信器の構成と同様に、本発明の実施形態が適用される概略的な構造で図示されていると仮定する。従って、例えば、MMT受信エンティティ420aは、AL−FECデコーディングバッファ422aとデジッタバッファ424aとから構成される。しかしながら、ここで説明するHRBMがMMT受信エンティティに適用される構造は、説明の便宜上、一例として説明されたものにすぎず、本発明の実施形態が、HRBMが適用された構造を有するMMT受信エンティティに限定されるものではないことに留意すべきである。
【0038】
また、AL−FECデコーディングバッファ422aに入力されたコンテンツコンポーネントPの入力時間は、トランスポートネットワークAの特性による遅延及びジッタ(x)が発生するので、‘t1+x’となる。AL−FECデコーディングバッファ422aを通してAL−FECデコーディングされたコンテンツコンポーネントPは、AL−FECデコーディングを通して発生した遅延(y)が付加され、これにより、時点‘t1+x+y’でデジッタバッファ424aに入力される。この場合に、デジッタバッファ424aは、MMT送信エンティティ412aから予め受信した遅延Dに基づいて、出力されたコンテンツコンポーネントPが送信時点t1から固定された遅延を有するように、コンテンツコンポーネントPの出力時点を制御する。遅延Dが‘x+y+z’である場合に、デジッタバッファ424aの出力時点は、‘t1+x+y+z’である。
【0039】
次いで、MMT送信エンティティB412bが、ブロードキャストサービス400を構成するコンテンツコンポーネントのうちの1つであるQを、MMT送信エンティティA412aの送信時点と同一の送信時点t1にトランスポートネットワークBを通して送信すると仮定する。この場合には、トランスポートネットワークBを通して送信されたQが、MMT受信エンティティ420bにより受信される。例えば、MMT受信エンティティ420bは、AL−FECデコーディングバッファ422bとデジッタバッファ424bとから構成されると仮定する。この場合に、AL−FECデコーディングバッファ422bに入力されたQの入力時間は、トランスポートネットワークBの特性による遅延及びジッタaが発生することにより、t1+aとなる。また、AL−FECデコーディングバッファ422bを通してAL−FECデコーディングされたQは、AL−FECデコーディングを通して発生した遅延bが付加され、時点‘t1+a+b’でデジッタバッファ424bに入力される。この場合に、デジッタバッファ424bも、MMT送信エンティティ412bから予め受信した遅延Dに基づいて、出力されたPが送信時点t1から固定された遅延を有するようにQの出力時点を制御する。遅延Dが‘a+b+c’である場合に、デジッタバッファ424bの出力時点は、‘t1+a+b+c’となる。結果的に、異なる遅延特性を有するトランスポートネットワークA及びトランスポートネットワークBのそれぞれを通して送信されたコンテンツコンポーネントP及びQのそれぞれの出力時点は、‘t1+x+y+z’及び‘t1+a+b+c’となる。したがって、本発明の実施形態では、異なるトランスポートネットワークを通して入力されたパケットの出力時点が同一となるように、受信器が含むデジッタバッファの出力時点を制御するための固定されたエンドツーエンド遅延を設定する。固定されたエンドツーエンド遅延が、AL−FECデコーディングのために必要とされる時間をトランスポートネットワークで発生する遅延の一部と見なすことに留意すべきである。
【0040】
以下、本発明の実施形態での「固定されたエンドツーエンド遅延」は、異種ネットワークを通して同一のサービスのパケットを受信する受信器の受信されたパケットの出力時点に対応する。具体的には、本発明の実施形態による固定されたエンドツーエンド遅延は、対応する受信器に入力されるパケットが送信されるネットワーク別に固定されたエンドツーエンド遅延の中のうちの最大値に基づいて設定される。より具体的には、本発明の実施形態による固定されたエンドツーエンド遅延について、ハイブリッド配信環境が1つの放送局により提供される少なくとも2個のサーバと受信器との間で確立される場合には、初期設定過程の間に、受信器は、対応するサーバから送信遅延を測定し、測定された送信遅延の中で最大値を少なくとも1つの送信器に送信する。最大値を受信した送信器は、最大値及びAL−FEC保護ウィンドー時間を使用して計算した固定されたエンドツーエンド遅延を受信器に通知する。他方、複数の受信器が存在する場合に、送信器は、受信器毎に決定した固定されたエンドツーエンド遅延のうちの最大値を、(最終的な)固定されたエンドツーエンド遅延として各受信器に提供する。
【0041】
したがって、受信器は、固定されたエンドツーエンド遅延を使用して各受信パケットの出力時点を設定する。受信器は、対応するサーバから受信される同一のサービスのパケットを送信時点から最大値だけ遅延させた後に出力する。例えば、受信されたパケットの中で最大値より短い遅延を有するパケットが存在する場合に、受信器は、遅延と最大値との間の差だけさらに遅延させた後に短い遅延を有するパケットを出力する。
【0042】
他の実施形態に従って、単一のブロードキャストサービスを提供するサーバは、初期設定過程でサーバのそれぞれの遅延特性を取得し、これらの中で、最大値を固定されたエンドツーエンド遅延値で受信器に通知できる。
【0043】
他の実施形態に従って、受信器がAL−FECを使用しない場合に、各サーバは、初期設定過程の間に、サーバのそれぞれの遅延特性を取得する。また、サーバの中で最大送信遅延値を有するサーバは、固定されたエンドツーエンド遅延として設定し、固定されたエンドツーエンド遅延の最大値より短い送信遅延を有するサーバに通知する。上述したような方式において、単一のブロードキャストサービスを送信するトランスポートネットワークの固定されたエンドツーエンド遅延の中の最大値は、本発明の第1の実施形態による固定されたエンドツーエンド遅延として設定される。したがって、異なるトランスポートネットワークを通して対応する受信器に入力されるパケットは、送信時点から最大値に対応する遅延の後に出力される。例えば、送信時点は、図4Cに示すMMT送信エンティティA412a又はMMT送信エンティティB412bでMMTPパケットを出力する時点であり得る。
【0044】
一方、上述したように設定される固定されたエンドツーエンド遅延値は、HRBMメッセージ内にパラメータとして設定され、受信器に伝達される。
【0045】
図5は、本発明の実施形態による受信器の最大送信遅延を設定するためのパラメータを含むHRBMメッセージ構造の一例を示す図である。
【0046】
図5を参照すると、本発明の実施形態に従って異なる遅延特性を有するトランスポートネットワークを通して配信される単一のブロードキャストサービスのパケットに対する、固定されたエンドツーエンド遅延を計算するために使用されるHRBMパラメータは、MMTからパッケージ配信のためのシグナリングメッセージのうちの1つであるHRBMメッセージを通して受信側に伝達される。HRBMメッセージは、HRBMメッセージの識別のための‘message_id’、バージョン(version)、長さ(length)、延長(extension)、及びmessage_payloadを含む。本発明の実施形態によるHRBMパラメータは、例えば、message_payloadに含まれる‘max_buffer_size’、‘fixed_end_to_end_delay’、及び‘max_transmission_delay’を含む。より具体的に、‘max_buffer_size’は、対応するブロードキャストサービスを構成するコンテンツコンポーネントに対して要求される最大バッファサイズを示す。バッファサイズは、例えば、バイト単位で表現される。‘max_transmission_delay’は、送信エンティティと受信エンティティとの間の送信遅延の最大値として定義される。対応するトランスポートネットワークがブロードキャストネットワークである場合に、‘max_transmission_delay’は、初期ネットワーク設計の間にタイムスタンプ値などを用いて取得された所定の値であり得る。
【0047】
‘fixed_end_to_end_delay’は、送信エンティティ及び受信エンティティの各々に対応する固定されたエンドツーエンド遅延値として定義される。この場合に、‘fixed_end_to_end_delay’は、‘max_transmission_delay'及び‘FEC_protection_window_time’を用いてこれら間の合計として定義される。ここで、FEC_protection_window_timeは、AL−FECエンコーディング及びデコーディングの実行単位に対応するFECパケットブロックが含むパケットのうちで、1番目に送信されるパケットの送信時間とFECパケットブロックが含むパケットの中で最後に送信されるパケットの送信時間との間の最大値として定義される。
【0048】
上述したようなHRBMメッセージ構造に基づいて、本発明の第1の実施形態による最大送信遅延は、下記の数2のように定義され、各MMT受信エンティティのデジッタバッファの出力時間を調整するために使用される。
【0049】
[数2]
T_de_jitter_out_time=ts+delta
【0050】
ここで、tsは、対応するMMT受信エンティティが受信したパケットのタイムスタンプである。タイムスタンプは、パケットを送信したMMT送信エンティティの送信時点に対応する。deltaは、HRBMメッセージの‘fixed_end_to_end_delay’として定義される。T_de_jitter_out_timeまで受信できないパケットは、ネットワークで損失されたパケットと見なされる。
【0051】
例えば、本発明の第1の実施形態において、トランスポートネットワークAがトランスポートネットワークBに比べて相対的に送信遅延及びジッタが小さいと仮定する。この場合に、図4CのMMT送信エンティティB412bは、ネットワーク初期設定の間に、相対的に送信遅延及びジッタが大きいトランスポートネットワークBの送信特性を、本発明の実施形態によるHRBMパラメータとして設定し、HRBMパラメータをMMT送信エンティティA412に通知する。ここで、トランスポートネットワークBの送信特性は、トランスポートネットワークBの‘max_transmission_delay’に対応し、HRBMメッセージを通して送信される。HRBMメッセージは、周期的に送信され、送信されるコンテンツコンポーネント別に又は特定のイベント別に送信される。
【0052】
一方、MMT送信エンティティA412は、MMT送信エンティティB414から受信した‘max_transmission_delay’を使用する。このとき、トランスポートネットワークBの複数のユーザが存在する場合に、各ユーザ別‘max_transmission_delay’を受信し、‘max_transmission_delaly’値のうちの最大値を最大送信遅延値として設定することにより、対応する受信MMTエンティティのデジッタバッファの出力を制御できる。
【0053】
このような実施形態では、MMT送信エンティティが‘max_transmission_delay'値だけを共有するが、AL−FECを使用するためには、‘FEC_protection_window_time’も共有しなければならないことは自明である。さらに、図4Cの実施形態では、2個のMMT受信エンティティが図示されるが、実装においては、MMT受信エンティティを物理的に又は論理的に1つのエンティティとして実現できる。
【0054】
図6Aは、本発明の第2の実施形態による異種ネットワークでのデータ送信構造の一例を示す図である。
【0055】
図6Aを参照すると、2個の放送局A600及び放送局B610は、例えば、放送タワー602及びブロードバンドサーバ612の各々を通して、少なくとも1つのコンテンツコンポーネントを含む単一のブロードキャストサービスのパケットを、受信器620に提供する。上述したように、単一のブロードキャストサービスが特定のニュースに対応し、放送タワー602がニュースのビデオ及び韓国語のオーディオに対応するコンテンツコンポーネントのパケットを提供し、ブロードバンドサーバ612がニュースの説明字幕に対応するコンテンツコンポーネントのパケットを提供すると仮定する。この場合に、放送タワー602及びブロードバンドサーバ612の各々は、異なる放送局と関連するので、ニュースの異なる送信時点を有する。
【0056】
図6Bは、本発明の第2の実施形態による異種ネットワークでのデータ送信構造をMMT技術に適用した一例を示す図である。
【0057】
図6Bを参照すると、図6Aにおいて、放送局A600及び放送局B610の各々が提供する単一のブロードキャストサービスに対応するブロードキャストサービス630の異なるコンテンツが、複数のMMTレイヤに基づく送信エンティティA632及び送信エンティティB642を通じて、MMT受信エンティティ650に提供される。したがって、送信エンティティA632及び送信エンティティB642の各々は、異なる放送局に接続された放送タワー602及びブロードバンドサーバ612に対応する。
【0058】
図6Cは、本発明の第2の実施形態による複数のMMTレイヤ基盤異種ネットワークでの同期化過程を示す図である。説明の便宜上、図6Cに示す構成は、図6Bに示すデータ送信構造に基づいて説明する。ここで、図6Aの受信器620の各々は、異なるトランスポートネットワーク、すなわち、トランスポートネットワークA及びBの各々を通してパケットを受信する異なる場合に対して、MMT受信エンティティ650a及びMMT受信エンティティ650bとして示す。
【0059】
図6Cを参照すると、MMT送信エンティティA612及びMMT送信エンティティB624のそれぞれは、単一のブロードキャストサービス、すなわち、ニュースの韓国語音声に対応するパケットP、及び、ニュースの説明字幕に対応するQのそれぞれをトランスポートネットワークA及びBを通して伝達する場合が示されている。ここで、MMT送信エンティティA632及びMMT送信エンティティB642は、異なるMMTレイヤを通してコンテンツコンポーネントを送信するので、コンテンツコンポーネントの再生時点が同一である場合にも、異なる送信時点を有する。ここで、MMT送信エンティティA632及びMMT送信エンティティB642は、異なるトランスポートネットワークを通して対応するコンテンツコンポーネントを送信することにより、対応するトランスポートネットワークの特性による遅延及びジッタが発生する。
【0060】
まず、MMT送信エンティティA632がブロードキャストサービス630を構成するコンテンツコンポーネントのうちの1つであるPを、トランスポートネットワークAの特性に基づいて設定された送信時点t1でトランスポートネットワークAを通して送信すると仮定する。この場合に、PがトランスポートネットワークAを通してMMT受信エンティティ650aにより受信される。説明の便宜上、MMT受信エンティティ650aは、AL−FECデコーディングバッファ652a及びデジッタバッファ654aを含むと仮定する。AL−FECデコーディングバッファ652aに入力されたPの入力時点は、トランスポートネットワークA 616の特性による遅延及びジッタ(x)が発生するので、‘t1+x’となる。AL−FECデコーディングにより発生する遅延(y)は、AL−FECデコーディングバッファ652aを通してAL−FECデコーディングされたPに付加され、これにより、AL−FECデコーディングされたPは、‘t1+x+y’時点でデジッタバッファ654aに入力される。その後に、デジッタバッファ654aは、MMT送信エンティティ412aから予め受信したDに基づいて、出力されたPが送信時点t1から固定された遅延を有するようにPの出力時点を制御する。Dが‘x+y+z’である場合に、デジッタバッファ654aの出力時点は、’t1+x+y+z’となる。次いで、MMT送信エンティティB642が、ブロードキャストサービス630を構成するコンテンツコンポーネントのうちの1つであるQを、トランスポートネットワークBの特性に基づいて設定された送信時点t2でトランスポートネットワークBを通して送信すると仮定する。この場合に、トランスポートネットワークBを通して送信されたQが、MMT受信エンティティ650bにより受信される。説明の便宜上、MMT受信エンティティ650bは、AL−FECデコーディングバッファ452b及びデジッタバッファ454bを含む。AL−FECデコーディングバッファ452bに入力されたQの入力時点は、トランスポートネットワークBの特性による遅延及びジッタ(a)が発生するので、‘t2+a’となる。AL−FECデコーディングにより発生する遅延及びジッタ(b)は、AL−FECデコーディングバッファ452bを通してAL−FECデコーディングされたQに付加されることにより、AL−FECデコーディングされたQは、‘t2+a+b’時点でデジッタバッファ424bに入力される。この後に、デジッタバッファ454bは、MMT送信エンティティB642から予め受信したDに基づいて出力されたPが送信時点t1から固定された遅延を有するように、Qの出力時点を制御する。遅延Dが‘a+b+c’である場合に、デジッタバッファ424bの出力時点は、‘t1+a+b+c’となる。
【0061】
結果的に、デジッタバッファ654a及びデジッタバッファ654bの各々は、本発明の実施形態による固定されたエンドツーエンド遅延を適用することにより、Pがデジッタバッファ654aから最終出力される時点‘t1+x+y+z’と、Qがデジッタバッファ654bから最終出力される時点‘t2+a+b+c’と、が同一となる。
【0062】
より具体的には、MMT送信エンティティA612が、ブロードキャストサービス630を構成するビデオに対応するコンテンツコンポーネントP1及び韓国語をサポートするオーディオに対応するコンテンツコンポーネントP2を送信すると仮定し、MMT送信エンティティB614が、ブロードキャストサービス630を構成する説明字幕に対応するコンテンツコンポーネントQを送信すると仮定する。。ここで、P2及びQの送信レートは、同一に設定されると仮定する。したがって、P2に対応するMMTPパケットが送信時点t1、t2、t3の各々で送信されると仮定する。この場合に、MMT送信エンティティB614は、MMT送信エンティティA612のMMTPパケットフローをモニタリングし、Qに対応するMMTPパケットの各々をトランスポートネットワークB 618の遅延特性により発生する遅延aがP2の送信時点に付加された送信時点t1+a、t2+a、t3+aで送信する。aがP2の最終出力時点に反映されることができるように、MMT送信エンティティB642は、‘a’をMMT送信エンティティA632に通知し、MMT送信エンティティA612は、aに基づいて制限された値を有する固定されたエンドツーエンド遅延値を設定する。すなわち、本発明の第2の実施形態による固定されたエンドツーエンド遅延値は、2個のネットワークを通して単一のブロードキャストサービスを受信器に提供する場合に、ネットワーク間の送信時点の差に基づいて設定される。
【0063】
他の実施形態に従って、固定されたエンドツーエンド遅延値は、2個のネットワークの中で長い送信遅延を有するネットワークが自身より短い送信遅延を有するネットワークのフローをモニタリングすることにより、送信時間差を取得し、取得した送信時間差を含む固定されたエンドツーエンド遅延値を設定することにより、短い送信遅延を有するネットワークの送信エンティティに伝達する。すると、送信エンティティは、受信した固定されたエンドツーエンド遅延値を受信器に配信する。その後、受信器は、受信したパケットを固定されたエンドツーエンド遅延値に対応する時間だけ遅延し、同一の時点で他のネットワークを通して対応するパケットを出力する。
【0064】
他の実施形態に従って、相対的に短い送信遅延を有する送信エンティティが単一のブロードキャストサービスを提供するネットワークの固定されたエンドツーエンド遅延の中で最大値を受信する場合に、送信エンティティは、受信器のデジッタバッファの出力時点が同一となるように、対応するパケットの送信時点を最大値と送信エンティティの固定されたエンドツーエンド遅延値との差だけ遅延させる。このとき、相対的に短い送信遅延を有する送信エンティティは、他のネットワークを考慮しない固定されたエンドツーエンド遅延値をHRBMメッセージを通して受信器に配信する。
【0065】
本発明の実施形態による固定されたエンドツーエンド遅延値は、対応する送信エンティティにより所定のイベントがトリガーされるか又は所定の間隔で他の送信エンティティに伝達される。本発明の実施形態によるMMT送信エンティティは、固定されたエンドツーエンド遅延値をブロードキャストサービスを開始する前に又はコンテンツを送信する度に受信エンティティに送信する。
【0066】
図4に示す本発明の実施形態では、受信器で同一の時間に再生されなければならないコンテンツコンポーネントを構成するパケットが対応するMMT送信エンティティにより送信される送信時点と同一であると仮定したが、この場合にも、内部の処理時間などの影響により図6に示す実施形態と同様にパケットの異なる送信時点を有することもある。
【0067】
図7は、本発明の実施形態による送信エンティティの動作を示すフローチャートである。
【0068】
図7を参照すると、ステップ700において、送信エンティティは、少なくとも2個のネットワークを通して単一のブロードキャストサービスが提供される場合に、ネットワークの中で送信遅延時間が最大値を有するネットワークから、対応するネットワークの送信遅延時間を受信する。ステップ705において、送信エンティティは、最大送信遅延時間に基づいて、固定されたエンドツーエンド遅延値を設定する。ステップ710において、送信エンティティは、設定された固定されたエンドツーエンド遅延値を受信器に送信する。固定されたエンドツーエンド遅延値は、ブロードキャストサービスを構成するコンテンツコンポーネントに対応するパケットを送信する度に、又は予め記憶された間隔で送信される。他の実施形態に従って、個別の送信プロトコル及び専用ネットワークを通して送信されることができ、記憶媒体に記憶され使用できる。
【0069】
固定されたエンドツーエンド遅延は、上述した本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態に従って他の方式で設定できる。まず、本発明の第1の実施形態に従って、送信エンティティが送信するブロードキャストサービスに対して他の送信エンティティの送信時点が同一に設定された場合に、送信エンティティは、他の送信エンティティの遅延特性を取得することにより、固定されたエンドツーエンド遅延を設定することもでき、他の送信エンティティから設定された固定されたエンドツーエンド遅延を受信し、これを受信器に伝達することもできる。また、本発明の第2の実施形態に従って、送信エンティティが送信するサービスに対して他の送信エンティティが自身と異なる送信時点が設定された場合に、送信エンティティは、他の送信エンティティとの送信時間差を取得し、これに基づいて固定されたエンドツーエンド遅延を設定することもできる。
【0070】
図8は、本発明の実施形態による受信エンティティの動作を示すフローチャートである。
【0071】
図8を参照すると、ステップ800において、受信エンティティは、単一のブロードキャストサービスを提供する少なくとも2個のネットワークの送信遅延時間値のうちの最大値に基づいて設定された固定されたエンドツーエンド遅延を取得する。ステップ805において、受信エンティティは、パケットがネットワークを通してデジッタバッファで受信されることを認識すると、受信されたパケットのそれぞれの送信時点と固定されたエンドツーエンド遅延値との合計が受信エンティティの現在の時間の後であるか否かを確認する。確認の結果、出力時点が受信エンティティの現在の時間の後であるパケットが存在する場合には、ステップ807において、受信エンティティは、現在の時間から現在の時間の後の出力時点まで待機した後に、ステップ810において、対応するパケットを出力する。出力時点が受信エンティティの現在の時間の前であるパケットに対しては、受信エンティティは、パケット損失がトランスポートネットワークで発生したことを確認し、対応するパケットを廃棄する。
【0072】
同様に、固定されたエンドツーエンド遅延は、図7を参照して説明した本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態に従って異なって設定され、上述した説明と重複するので、ここでは、その説明を省略する。
【0073】
図9は、本発明の実施形態による送信エンティティの構成を示す図である。
【0074】
図9を参照すると、送信エンティティ900は、例えば、制御部902と、送受信部904と、設定部906と、記憶部908とを含む。ここで、送信エンティティ900の構成は、本発明の実施形態による概略的な構成だけを示すもので、オペレータの意図又は実施形態に従って異なって構成できることに留意すべきである。
【0075】
制御部902は、図7に示した送受信部904、設定部906、及び記憶部908のそれぞれの全般的な動作を制御する。制御部902の指示に従って送受信部904を通して最大の固定されたエンドツーエンド遅延値を有するネットワークから固定されたエンドツーエンド遅延値を受信することを認識する場合に、制御部902は、設定部906が受信された固定されたエンドツーエンド遅延値に基づいて、固定されたエンドツーエンド遅延を設定するように制御する。記憶部908は、本発明の実施形態に従って発生する情報、例えば、各ネットワークの固定されたエンドツーエンド遅延値などを記憶する。
【0076】
図10は、本発明の実施形態による受信エンティティの構成を示す図である。
【0077】
図10を参照すると、受信エンティティ1000は、制御部1002と、送受信部1004と、記憶部1006とを含む。ここで、受信エンティティ1000の構成は、例えば、本発明の実施形態による概略的な構成だけを示すもので、オペレータの意図又は実施形態に従って異なって構成できることに留意すべきである。
【0078】
制御部1002は、図8を参照して説明した受信エンティティの動作に従って送受信部1004及び記憶部1006の全般的な動作を制御する。
【0079】
制御部1002の指示に従って、送受信部1004は、異なるネットワークを通して単一のブロードキャストサービスのためのパケットが受信される場合に、受信されたパケットを記憶部1006に伝達する。記憶部1006は、パケットを保存している。パケットの出力時点は、パケットの送信時点に固定されたエンドツーエンド遅延値を加えた値に設定される。制御部1002は、受信されたパケットの中で受信器のシステム上の現在の時間の後の出力時間を有するパケットを選択する。選択されたパケットに対しては、制御部1002は、送受信部1004が受信器のシステム上の現在の時間がパケットの出力時間と同一となるまで待機し、選択されたパケットを出力するように制御する。送受信部1004は、制御部1002の指示に従って設定された出力時点でパケットを出力する。
【0080】
以上、本発明を具体的な実施形態を参照して詳細に説明してきたが、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく様々な変更が可能であるということは、当業者には明らかであり、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものの範囲内で定められるべきものである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10