特許第6609313号(P6609313)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6609313制御装置、表示装置、制御方法、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6609313
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】制御装置、表示装置、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20191111BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   G09G3/36
   G09G3/20 611A
   G09G3/20 611E
   G09G3/20 621B
   G09G3/20 621K
   G09G3/20 612U
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-521932(P2017-521932)
(86)(22)【出願日】2016年5月30日
(86)【国際出願番号】JP2016065875
(87)【国際公開番号】WO2016194864
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2017年10月13日
(31)【優先権主張番号】特願2015-115193(P2015-115193)
(32)【優先日】2015年6月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄一
【審査官】 橘 皇徳
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/024754(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/125406(WO,A1)
【文献】 特開2009−003420(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/171324(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/115088(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20−3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の画素に書き込むデータ信号の極性反転の周波数を変更可能な制御装置であって、
上記表示装置の表示画面のリフレッシュレートを検出する検出部と、
上記表示画面の上記極性反転の周波数を制御する極性反転制御部と、
上記表示装置が表示する画像が、直前のフレームで表示した画像から変化したか否かを判定する画像変化判定部と、を備え、
上記極性反転制御部は、上記画像変化判定部が、上記画像が変化していないと判定した場合に、上記検出部が検出した上記リフレッシュレートよりも低い周波数で上記極性反転を行わせ
上記画像変化判定部が、上記画像が変化したと判定した場合に、上記検出部が検出した上記リフレッシュレートと同じ周波数で、かつリフレッシュに同期して極性反転を行わせることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
表示装置の画素に書き込むデータ信号の極性反転の周波数を変更可能な制御装置であって、
上記表示装置の表示画面のリフレッシュレートを検出する検出部と、
上記表示画面の上記極性反転の周波数を制御する極性反転制御部と、
上記表示装置が表示する画像が、フリッカを視認させ易い特徴を有するか否かを判定するフリッカ判定部を備え、
上記極性反転制御部は、
上記フリッカ判定部が、上記画像がフリッカを視認させ易い特徴を有さないと判定した場合に、上記検出部が検出した上記リフレッシュレートよりも低い周波数で上記極性反転を行わせる一方、
上記フリッカ判定部が、上記画像がフリッカを視認させ易い特徴を有すると判定した場合に、上記検出部が検出した上記リフレッシュレートと同じ周波数で、かつリフレッシュに同期して極性反転を行わせることを特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の制御装置の制御に応じて画素に書き込むデータ信号の極性を反転させる表示装置。
【請求項4】
表示装置の画素に書き込むデータ信号の極性反転の周波数を変更可能な制御装置の制御方法であって、
上記表示装置の表示画面のリフレッシュレートを検出する検出ステップと、
上記表示画面の上記極性反転の周波数を制御する極性反転制御ステップと、
上記表示装置が表示する画像が、直前のフレームで表示した画像から変化したか否かを判定する画像変化判定ステップと、を含み、
上記極性反転制御ステップでは、上記画像変化判定ステップで、上記画像が変化していないと判定した場合に、上記検出ステップで検出した上記リフレッシュレートよりも低い周波数で上記極性反転を行わせ
上記極性反転制御ステップでは、上記画像変化判定ステップで、上記画像が変化したと判定した場合に、上記検出ステップが検出した上記リフレッシュレートと同じ周波数で、かつリフレッシュに同期して極性反転を行わせることを特徴とする制御方法。
【請求項5】
表示装置の画素に書き込むデータ信号の極性反転の周波数を変更可能な制御装置の制御
方法であって、
上記表示装置の表示画面のリフレッシュレートを検出する検出ステップと、
上記表示画面の上記極性反転の周波数を制御する極性反転制御ステップと、
上記表示装置が表示する画像が、フリッカを視認させ易い特徴を有するか否かを判定するフリッカ判定ステップと、を含み、
上記極性反転制御ステップでは、
上記フリッカ判定ステップで、上記画像がフリッカを視認させ易い特徴を有さないと判定した場合に、上記リフレッシュレートよりも低い周波数で上記極性反転を行わせる一方、
上記フリッカ判定ステップで、上記画像がフリッカを視認させ易い特徴を有すると判定した場合に、上記検出ステップで検出した上記リフレッシュレートと同じ周波数で、かつリフレッシュに同期して極性反転を行わせることを特徴とする制御方法。
【請求項6】
請求項1に記載の制御装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記検出部、上記画像変化判定部および上記極性反転制御部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項7】
請求項2に記載の制御装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記検出部、上記フリッカ判定部および上記極性反転制御部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の画素に書き込むデータ信号の極性を制御する制御装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られた液晶表示装置は、表示画面の焼き付き現象を防ぐため、ソースドライバの出力電圧の極性を毎フレーム反転させることにより、リフレッシュを行う毎に画素に書き込むデータ信号の電圧(データ電位)の極性を反転させている。近年、表示画面のリフレッシュレートを上げることで秒間フレーム数を増やし、動画をより滑らかに表示させる技術が開発されている。しかしながらリフレッシュレートを上げると、単位時間あたりのソースドライバの出力電圧の極性反転の回数も多くなる。そのため、画素およびデータ信号線に対する充放電に掛かる消費電力が増大し、よって表示装置の駆動における消費電力が増加してしまうという問題があった。この問題に対応するため、例えば特許文献1に記載の技術では、リフレッシュレート(通常駆動か倍速駆動か)に応じて極性反転の駆動方式(ドット反転駆動およびカラム反転駆動など)を変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国公開特許公報「特開2009−44438号公報(公開日:2009年2月26日)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は極性反転の駆動方式を変更するだけであるので、消費電力の削減効果を限定的にしか得られないという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みたものであり、その目的は、表示装置における極性反転に係る消費電力を削減することが可能な制御装置などを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御装置は、表示装置の画素に書き込むデータ信号の極性反転の周波数を変更可能な制御装置であって、上記表示装置の表示画面のリフレッシュレートを検出する検出部と、上記検出部が検出した上記リフレッシュレートよりも低い周波数で上記極性反転を行わせる極性反転制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、表示装置の画素に書き込むデータ信号の極性反転の周波数を変更可能な制御装置の制御方法であって、上記表示装置の表示画面のリフレッシュレートを検出する検出ステップと、上記検出ステップにて検出した上記リフレッシュレートよりも低い周波数で上記極性反転を行わせる極性反転制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、表示装置における極性反転に係る消費電力を削減することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態1に係る表示装置の要部構成を示すブロック図である。
図2】上記表示装置の反転周波数決定部において行われる、極性反転制御処理の流れを示すフローチャートである。
図3】上記表示装置の表示パネルのリフレッシュレートと、ソースドライバの駆動タイミングおよび駆動時の極性との関係を示す図である。
図4】上記表示装置の表示パネルのリフレッシュレートと、ソースドライバの駆動タイミングおよび駆動時の極性との関係の他の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態2に係る表示装置の要部構成を示すブロック図である。
図6】上記表示装置の反転周波数決定部における極性反転制御処理の流れを示すフローチャートである。
図7】上記表示装置の表示パネルのリフレッシュレートと、ソースドライバの駆動タイミングおよび駆動時の極性との関係を示す図である。
図8】本発明の実施形態3に係る表示装置の表示パネルのリフレッシュレートと、ソースドライバの駆動タイミングおよび駆動時の極性との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜4を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る表示装置100の要部構成を示す図である。なお、本実施形態において表示装置100は液晶表示装置であるとして説明を行う。しかしながら、表示装置100の構成および機能は、後述する極性反転を行う表示装置であれば液晶表示装置以外の表示装置に適用することもできる。表示装置100は図示の通り、ホスト1と、表示制御部(制御装置)3と、表示駆動部4と、表示パネル2とを備える。
【0011】
≪要部構成≫
表示パネル2は、表示装置100の表示画面である。表示パネル2が有する複数の画素に、表示する画像データに対応したデータ信号がソース線(データ信号線)を介して書込まれることにより、表示パネル2に画像データが示す画像が表示される。なお、「画像データ」とは、静止画または動画1フレーム分の画像を示すデータである。
【0012】
表示駆動部4は、表示パネル2を駆動させるドライバである。表示駆動部4は、例えば表示パネル2の基板上に形成された制御回路として実現される。表示駆動部4は、表示制御部3から受信する、表示パネル2を駆動させるタイミングを示す信号(タイミング信号)に応じて、複数のリフレッシュレートで表示パネル2を駆動させることができるドライバである。本実施形態では一例として、表示駆動部4は表示パネル2を60Hzおよび120Hzのいずれかのリフレッシュレートで駆動させることとする。しかしながら、表示パネル2のリフレッシュレートの設定はこれに限定されない。例えば、表示駆動部4は表示パネル2のリフレッシュレートを1Hz単位で調節可能であってもよい。以降、表示パネル2を60Hzのリフレッシュレートで駆動させることを「通常駆動」、120Hzのリフレッシュレートで駆動させることを「高速リフレッシュ駆動」と称する。表示駆動部4は表示制御部3からタイミング信号および画像データを受信すると、当該タイミング信号が規定するタイミングで当該画像データが表示される(画面がリフレッシュされる)ように表示パネル2を制御する。表示駆動部4は、表示パネル2の駆動に必要なドライバを含んでおり、少なくともソースドライバ41を含む。
【0013】
ソースドライバ41は、表示パネル2のソース線に、画像データに応じた電圧を印加するドライバである。ソースドライバ41はタイミング信号が規定するタイミングで、画像データに応じた電圧をソース線に印加する。これにより、表示パネル2の各画素に上記画像データに応じたデータ信号が書込まれる。つまり、表示パネル2に画像データが示す画像が表示される(表示パネル2の画面がリフレッシュされる)。
【0014】
ここで、ソースドライバ41がソース線に印加する電圧は、交流電圧である。したがって、データ信号の極性は交流電圧の周波数に応じた周期でその極性が反転する。なお、ここで言う「データ信号の極性」とは、表示画面の画素電極に対向する対向電極の電位を基準とした極性である。換言すると、ソースドライバ41は印加する交流電圧の周波数を変更することで、当該周波数に応じたデータ信号の極性反転の周波数を変更する。以降、データ信号の極性反転を単に「極性反転」とも称する。ソースドライバ41が印加する交流電圧の周波数は、表示制御部3により制御される。なお、ソースドライバ41における交流電圧の印加方法(極性反転の方法)は特に限定されない。例えば、ソースドライバ41は極性反転の方法として、フレーム反転駆動方式、カラム反転駆動方式、ライン反転駆動方式、またはドット反転駆動方式のいずれの方法を採用してもよい。
【0015】
ホスト1は、表示パネル2に表示させる画像データを取得または生成し、当該画像データを表示制御部3に転送するものである。またホスト1は、画像データとともに、当該画像データを表示パネル2に表示させるタイミングを示す画像更新フラグ(タイムリファレンス)を表示制御部3に送信してもよい。なお、画像データの形式は、表示パネル2が表示可能な形式であれば特に限定されない。
【0016】
表示制御部3は、表示パネル2のリフレッシュに使用する画像データと、リフレッシュのタイミングとを表示駆動部4に送信するものである。また、表示制御部3は、表示駆動部4によるデータ信号の極性反転を制御するものである。表示制御部3は、さらに詳しくは、メモリ10、TG(タイミングジェネレータ)20、および反転周波数決定部30を含む。メモリ10は、ホスト1から受信した画像データを一時的に格納しておくメモリである。メモリ10は、ホスト1から次に画像データを受信する(メモリ10が上書きされる)まで、書き込まれた画像データを保持する。
【0017】
TG20は、タイミング信号を生成するものである。TG20は、メモリ10の保持する画像データが変化すると(すなわち、ホスト1から新たな画像データが転送されてくると)、メモリ10から画像データを読み出し、画像データとタイミング信号とを表示駆動部4に送信する。TG20はタイミング信号を送信するとき、反転周波数決定部30に対しリフレッシュ情報を送信する。ここで、「リフレッシュ情報」とは、表示パネル2のリフレッシュを行うタイミングを示す情報を少なくとも含む情報である。また、TG20はタイミング信号の生成間隔から、表示パネル2のリフレッシュ方式(後述する高速リフレッシュ駆動か通常駆動か)を特定し、リフレッシュを行うか否かを示す情報とともに、またはリフレッシュを行うか否かを示す情報の代わりに上記リフレッシュ方式を示す情報をリフレッシュ情報に含めてもよい。なお、TG20は上記送信から所定時間が経過すると、メモリ10から画像データ(上記送信時と同じ画像データ)を再び読み出し、当該画像データとタイミング信号とを表示駆動部4に送信してもよい。これにより、ホスト1から新たな画像データが転送されてこない場合でも、TG20は所定時間毎に表示パネル2をリフレッシュさせることができる。また、TG20はホスト1から受信したタイムリファレンスに応じたタイミング信号を生成してもよい。
【0018】
反転周波数決定部30は、リフレッシュ情報に基づきソースドライバ41に印加させる交流電圧の周波数を決定し(すなわちデータ信号の極性反転の周波数を決定し)、当該周波数を印加するようソースドライバ41を制御する表示コントローラである。反転周波数決定部30は、リフレッシュレート検出部(検出部)31と、極性反転制御部32とを含む。反転周波数決定部30は、TG20からリフレッシュ情報を受信すると、まずリフレッシュレート検出部31においてリフレッシュレートを検出し、次に極性反転制御部32において、上記検出結果に応じて極性反転の周波数の決定およびソースドライバ41の制御を行う。
【0019】
リフレッシュレート検出部31は、リフレッシュ情報から表示パネル2のリフレッシュレートを検出するものである。なお、リフレッシュレート検出部31のリフレッシュレートの検出方法は特に限定されない。例えば、リフレッシュレート検出部31は、TG20からリフレッシュ情報を受信する時間間隔から表示パネル2のリフレッシュレートを特定すればよい。また、リフレッシュレート検出部31は、リフレッシュ情報が表示パネル2のリフレッシュ方式を示す情報を含む場合は、当該リフレッシュ方式からリフレッシュレートを特定すればよい。例えば、リフレッシュ方式が通常駆動の場合、リフレッシュレートは60Hzであり、高速リフレッシュ駆動の場合は120Hzである。
【0020】
極性反転制御部32は、リフレッシュレート検出部31の検出したリフレッシュレートに応じてソースドライバ41が印加する交流電圧の周波数を制御するものである。さらに詳しくは、極性反転制御部32は、リフレッシュレートに応じて極性反転の周波数を決定し、決定した極性反転の周波数で極性反転が行われるようにソースドライバ41を制御するものである。
【0021】
(極性反転制御処理)
ここで、反転周波数決定部30がリフレッシュ情報から極性反転の周波数を決定および制御する処理(極性反転制御処理、制御方法)について、図2を参照して説明する。図2は、極性反転制御処理の流れを示すフローチャートである。反転周波数決定部30はTG20からリフレッシュ情報を取得すると(S100)、リフレッシュレート検出部31にて当該リフレッシュ情報から表示パネル2のリフレッシュレートを検出する(S102、検出ステップ)。リフレッシュレート検出部31は表示パネル2のリフレッシュレートを検出すると、極性反転制御部32はリフレッシュレート検出部31が検出したリフレッシュレートが所定の周波数以上であるか否かを判定する(S104)。
【0022】
リフレッシュレートが所定の周波数以上である場合(S104でYES)、極性反転制御部32は、ソースドライバ41の印加する交流電圧の周波数を制御することにより、ソースドライバ41にデータ信号の極性反転をリフレッシュレートよりも低い周波数で行わせる(S106、極性反転制御ステップ)。つまり、極性反転制御部32は、リフレッシュのタイミングと同期して極性反転を行わせる場合に比べて、ソースドライバ41にデータ信号の極性反転を行わせる回数を間引いているといえる。
【0023】
一方、リフレッシュレートが所定の周波数未満である場合(S104でNO)、極性反転制御部32はソースドライバ41によるデータ信号の極性反転がリフレッシュレートと同周波数かつリフレッシュと同期して行われるようにソースドライバ41を制御する(S108)。換言すると、極性反転制御部32は、上述した極性反転の回数の間引きを行わない。
【0024】
なお、上記「所定の周波数」の値は、ソースドライバ41における極性反転の方法、および、表示駆動部4が設定できる表示パネル2のリフレッシュレートに応じて適宜決定されてよい。特に、上記所定の周波数は、表示パネル2において画像のちらつき(フリッカ)が視認されにくくなる程度の周波数とすることが望ましい。なお、ここで言う「フリッカが視認されにくい」とは、人間の目で表示パネル2の表示画面を見たとき、フリッカがほぼ視認できないような状態を指す。表示画面のリフレッシュレートが特定の周波数(例えば、一般的な液晶表示装置では50Hz前後であるが、これに限られない)以上になると、表示画面のフリッカは視認されにくくなる。したがって、上記所定の周波数は、フリッカが視認されにくくなる周波数以上の周波数であることが望ましい。
【0025】
また、上記所定の周波数は、表示パネル2および表示駆動部4が駆動可能な最低限のリフレッシュレートよりも大きいことが望ましい。つまり、本実施形態では、上記所定の周波数は、少なくとも60Hzよりも大きいことが望ましい。また、上記所定の周波数の値は、一般的な表示装置のリフレッシュレート(60Hz)よりも高い値としてもよい。
【0026】
なお、以降の説明では一例として、所定の周波数を120Hzとする。つまり、極性反転制御部32は表示パネル2のリフレッシュレートが120Hz以上、すなわち高速リフレッシュ駆動である場合に、ソースドライバ41の印加する交流電圧の周波数が120Hzよりも低い周波数(例えば60Hz)になるようにソースドライバ41を制御することとする。
【0027】
≪画像更新と極性反転のタイミング≫
最後に、表示パネル2のリフレッシュレートと、ソースドライバ41の駆動タイミングと、駆動時のソースドライバ41の極性との関係について、図3を参照して説明する。図3は、表示パネル2のリフレッシュレートと、ソースドライバ41の駆動タイミングおよび駆動時の極性との関係を示す図である。図中の「画像データ受信」行は、表示制御部3がホスト1から画像データを受信しメモリ10に格納するタイミングを示す。また、「ソースドライバの駆動と極性」行の四角の区切りはソースドライバ41の1フレーム分の駆動(1垂直期間)を示し、当該区切り中の「+」および「−」の記号を示す。また、図3および以降の図では一例として、表示パネル2が全白表示を行う場合について示しているが、全白表示以外の場合も以下の処理は同様に行われる。
【0028】
表示制御部3はホスト1からの画像データ受信を開始すると、受信したデータを随時メモリへ格納していく。またTG20は、上記格納が開始されると、メモリ10に格納されてくる画像データを読み出して、タイミング信号とともに表示駆動部4へと送信する。このとき、TG20はリフレッシュ情報を反転周波数決定部30に送信しており、反転周波数決定部30は上述の極性反転制御処理を行うことにより、ソースドライバ41の出力交流電圧の周波数を制御する。結果、図3のように、ホスト1からの画像データ受信開始から少し時間をずらして、ソースドライバ41の駆動(すなわち、表示パネル2の画素へのデータ信号の書き込み)が行われ、表示パネル2がリフレッシュされる。
【0029】
期間AおよびCに示す通常駆動の場合、極性反転制御部32は、極性反転の周波数が表示パネル2のリフレッシュレートと等しくなるようにソースドライバ41の出力電圧の周波数を制御し、かつ、極性反転のタイミングとリフレッシュのタイミングとが同期するようにソースドライバ41を制御する。一方、期間Bに示す高速リフレッシュ駆動の場合、極性反転制御部32は、極性反転の周波数がリフレッシュレートよりも低くなるようにソースドライバ41の出力電圧の周波数を制御する。具体的には、ソースドライバ41による極性反転の周波数は、通常駆動と同様の60Hzのままである。換言すると、ソースドライバ41は期間Bにおいて、表示パネル2のリフレッシュを2回行う毎に1回データ信号の極性反転を行っており、期間Bにおける「ソースドライバの駆動と極性」列では、偶数回目のリフレッシュの際は、リフレッシュは行われるが極性反転は起こらない。
【0030】
このように、極性反転制御部32は、極性反転の周波数を表示画面のリフレッシュレートよりも低周波数とすることにより、極性反転の周波数を表示画面のリフレッシュレートと同周波数とした場合に比べ、単位時間あたりの極性反転の回数を減少させることができる(極性反転周期を長くすることができる)。したがって、極性反転のための画素およびデータ信号線に対する充放電など、極性反転に係る消費電力を削減することができるという効果を奏する。
【0031】
また、極性反転制御部32は、表示パネル2のリフレッシュレートが所定の周波数以上である場合に極性反転の周波数を上記リフレッシュレートよりも低下させる。ここで、上記所定の周波数が、表示パネル2の表示画面においてフリッカが視認されにくくなる周波数以上の周波数である場合、極性反転制御部32はフリッカが視認されにくい程度にリフレッシュレートが高い場合に極性反転の周波数を低下させることとなる。したがって、表示パネル2における画像データの表示品質を担保しつつ、極性反転に係る消費電力を削減することができる。
【0032】
なお、極性反転制御部32は、表示パネル2が所定の周波数(高速リフレッシュ駆動時のリフレッシュレート)以上である場合(S104でYES)、ソースドライバ41の印加する交流電圧を60Hz(通常駆動時のリフレッシュレート、第2リフレッシュレート)より低い周波数としても良い。換言すると、本実施形態において、極性反転の周波数を低下させるとき、当該周波数をどの程度まで低下させるかは特に限定されない。以下、図4を用いて本実施形態の変形例について説明する。図4は、表示パネル2のリフレッシュレートと、ソースドライバ41の駆動タイミングおよび駆動時の極性との関係の他の一例を示す図である。なお、図4において図3と同様である部分は説明を省略する。以下、図7および8についても同様である。
【0033】
図4において、期間Bに示す高速リフレッシュ駆動の場合、極性反転制御部32は、極性反転の周波数が通常駆動時のリフレッシュレートよりも低い周波数になるようにソースドライバ41の出力電圧の周波数を制御する。具体的には、「ソースドライバの駆動と極性」行に示すように、極性反転の周波数は通常駆動よりも低周波数である30Hzとなる。換言すると、ソースドライバ41は期間Bにおいて、表示パネル2のリフレッシュを4回行う毎に1回データ信号の極性反転を行う。これにより、極性反転の周波数を通常駆動と同じ周波数(60Hz)まで低下させたときよりもさらに、極性反転に係る消費電力を削減することができる。
【0034】
なお、図4に示す例のとおり表示パネル2を駆動させる場合においても、図2のS104における判定基準となる周波数(所定の周波数)は、フリッカが視認されにくい周波数に設定することが望ましい。これは、リフレッシュレートの周波数が上記特定の周波数以上である場合は、極性反転の周波数を大幅に低下させたとしても、リフレッシュレートの周波数が上記特定の周波数より低い場合に比べてフリッカは視認されにくいからである。これにより、表示パネル2の表示品質を担保したまま、極性反転に係る消費電力をより低下させることができる。
【0035】
〔実施形態2〕
さらに、本発明における極性反転制御部32は、画像データが示す画像が、表示パネル2に表示したときにユーザにフリッカを視認させ易い特徴を有するか否かを考慮して、極性反転の周波数を決定してもよい。以下、本発明の第2の実施形態について、図5〜7を用いて説明する。なお、以降の各実施形態では、説明の便宜上、前記実施形態にてすでに説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0036】
≪要部構成≫
図5は本実施形態に係る表示装置200の要部構成を示すブロック図である。TG60は、TG20の機能に加え画像分析部(画像変化判定部、フリッカ判定部)61を有している。画像分析部61は、TG60がメモリ10から読み出した画像データが示す画像が、表示パネル2に表示したときにユーザにフリッカを視認させ易い特徴を有するか否かを判定するものである。TG60は、リフレッシュ情報を送信するときに、画像分析部61の判定結果を画像情報として反転周波数決定部30に送信する。
【0037】
なお、画像分析部61の上記判定の基準は特に限定されないが、例えば画像データが示す画像の明度、彩度、および色相などを分析し、中間色が所定の割合以上用いられている場合は「フリッカを視認させ易い特徴を有する画像である」と判定することとしてもよい。また例えば、画像分析部61はソースドライバ41の極性反転の方法(フレーム反転駆動方式、カラム反転駆動方式、ライン反転駆動方式、またはドット反転駆動方式など)を特定し、画像データが特定した極性反転の方法におけるキラーパターンとなり得る画像を示す場合「フリッカを視認させ易い特徴を有する画像である」と判定してもよい。例えば、反転駆動方式と同じ空間周波数を有する画像(例えばカラム反転駆動方式においては、列毎に階調が上下する縦縞画像)は、該反転駆動方式においてキラーパターンとなり得る。
【0038】
≪極性反転制御処理≫
反転周波数決定部30の極性反転制御部33は、上記画像情報に応じて極性反転の周波数を決定する。以下、図6を用いて極性反転制御部33を含む反転周波数決定部30における極性反転制御処理の流れを説明する。図6は、本実施形態の反転周波数決定部30における極性反転制御処理の流れを示すフローチャートである。反転周波数決定部30がTG60からリフレッシュ情報および画像情報を受信すると(S200)、リフレッシュレート検出部31にて表示パネル2のリフレッシュレートを検出する(S202、検出ステップ)。また、極性反転制御部33は、画像情報から、TG60が表示駆動部4に送信する画像データがフリッカを視認させ易い特徴を有する画像のデータであるか否かを特定する(S204)。なお、S202とS204の処理は順不同である。ここで、フリッカを視認させ易い特徴を有さない画像である場合(S204でNO)、極性反転制御部33はソースドライバ41の印加する交流電圧の周波数を制御することにより、ソースドライバ41にデータ信号の極性反転をリフレッシュレートよりも低い周波数で行わせる(S206、極性反転制御ステップ)。一方、フリッカを視認させ易い特徴を有する画像である場合(S204でYES)、極性反転制御部33は、ソースドライバ41によるデータ信号の極性反転がリフレッシュレートと同周波数かつリフレッシュと同期して行われるようにソースドライバ41を制御する(S208)。
【0039】
≪画像更新と極性反転のタイミング≫
最後に、本実施形態における表示パネル2のリフレッシュレートと、ソースドライバ41の駆動タイミングと、駆動時のソースドライバ41の極性との関係について、図7を参照して説明する。図7は、表示装置200における表示パネル2のリフレッシュレートと、ソースドライバ41の駆動タイミングおよび駆動時の極性との関係を示す図である。図示の通り、図7においては、期間D〜Fのいずれも表示パネル2は高速リフレッシュ駆動である。そして、期間DおよびFは、画像データがフリッカを視認させ易い特徴を有さない、すなわちフリッカを視認させにくい画像がホスト1から送信された期間を示し、期間Eはフリッカを視認させ易い特徴を有する画像、すなわちフリッカを視認させ易い画像がホスト1から送信された期間を示す。
【0040】
期間Eのように、画像分析部61が画像データの示す画像が「フリッカを視認させ易い画像である」と判定した期間は、上記判定結果を示す画像情報を受信した反転周波数決定部30の極性反転制御部33は、極性反転の周波数をリフレッシュレートと同じ周波数とし、かつ、極性反転のタイミングとリフレッシュのタイミングとが同期するようにソースドライバ41を制御する。
【0041】
一方、期間DおよびFのように、画像分析部61が画像データの示す画像が「フリッカを視認させにくい画像である」と判定した期間は、極性反転制御部33は、極性反転の周波数をリフレッシュレートよりも低下させる。例えば、極性反転制御部33は図示の通り、極性反転の周波数を通常駆動と同様の60Hzまで低下させる。
【0042】
表示パネル2がフリッカを視認させ易い画像を表示している場合と比べ、表示パネル2がフリッカを視認させにくい画像を表示している場合、極性反転の周波数を低下させてもフリッカは視認されにくい。このように、フリッカが視認されにくい画像を表示している期間に極性反転の周波数を低下させることで、表示パネル2における画像データの表示品質を担保しつつ、極性反転に係る消費電力を低下させることができるという効果を奏する。
【0043】
なお、実施形態1に記載の構成と、実施形態2に記載の構成とは組み合わせてもよい。すなわち、極性反転制御部33は、表示パネル2のリフレッシュレートが所定の周波数以上であり、かつ、表示パネル2に表示させる画像データがフリッカを視認させにくい画像である場合に、極性反転の周波数をリフレッシュレートより低下させることとしてもよい。これにより、リフレッシュレートがある程度(例えば高速リフレッシュ駆動時など)高く、かつ、表示パネル2が表示する画像がフリッカを起こしにくい、と言う、極性反転の周波数を低下させてもフリッカがより視認され難い状況下においてのみ、極性反転の周波数を低下させることができる。したがって、表示パネル2の画面表示の品質をより担保しつつ、極性反転に係る消費電力を抑えることができる。
【0044】
〔実施形態3〕
なお、画像分析部61は、画像データが示す画像がフリッカを視認させ易いか否かを判定する代わりに、画像データが前回表示駆動部4に送信した画像データから変化しているか否かを判定してもよい。以下、本発明の第3の実施形態について、図8を用いて説明する。
【0045】
本実施形態において、画像分析部61は、TG60がメモリ10から読み出した画像データと、前回(直前のフレームで)表示駆動部4に送信した画像データとを比較照合し、メモリ10から読み出した画像データが前回送信した画像データから変化したか(異なる画像データか)否かを判定する。そして、TG60は画像分析部61の判定結果を示す情報を画像情報として反転周波数決定部30に送信する。
【0046】
反転周波数決定部30の極性反転制御部33は、上記画像情報に応じて極性反転の周波数を決定する。画像情報が前回送信した画像データから画像データが変化したことを示す場合、極性反転制御部33は極性反転の周波数をリフレッシュレートと同じ周波数とする。一方、画像情報が前回送信した画像データから画像データが変化していないことを示す場合、極性反転制御部33は極性反転の周波数が、リフレッシュレートよりも低い周波数になるようソースドライバ41を制御する。
【0047】
図8は、本実施形態における表示パネル2のリフレッシュレートと、ソースドライバ41の駆動タイミングおよび駆動時の極性との関係を示す図である。図示の通り、図8においても図7と同様、期間G〜Iのいずれも表示パネル2は高速リフレッシュ駆動である。そして、期間GおよびIは、画像データが変化していない(表示パネル2が静止画を表示している)期間を示し、期間Hは画像データがフレーム毎に変化している(表示パネル2が動画を表示している)期間を示す。
【0048】
期間Hのように、画像分析部61から送信される画像情報が、画像データが変化していることを示す期間は、上記判定結果を示す画像情報を受信した反転周波数決定部30の極性反転制御部33は、極性反転の周波数をリフレッシュレートと同じ周波数とし、かつ、極性反転のタイミングとリフレッシュのタイミングとが同期するようにソースドライバ41を制御する。
【0049】
一方、期間GおよびIのように、画像分析部61から送信される画像情報が、画像データが変化していないことを示す期間は、極性反転制御部33は、極性反転の周波数をリフレッシュレートよりも低下させる。例えば、極性反転制御部33は図示の通り、極性反転の周波数を通常駆動と同様の60Hzまで低下させる。
【0050】
表示パネル2に動画を表示している場合、すなわち表示パネル2において毎フレーム画像が変化している場合に比べ、静止画を表示している場合は、画像ぼけ(尾引き)などで画像データの表示品質が低下する虞が少ない。そのため、表示パネル2に静止画を表示している場合は極性反転の周波数を低下させる一方、表示パネル2に動画を表示している場合は極性反転の周波数を低下させないこととすることにより、表示パネル2における画像データの表示品質を担保しつつ、極性反転に係る消費電力を低下させることができるという効果を奏する。
【0051】
なお、実施形態3に記載の構成は、実施形態1および2の少なくともいずれかに記載の構成と組み合わせてもよい。すなわち、極性反転制御部33は、表示パネル2のリフレッシュレートと、表示パネル2に表示させる画像データがフリッカを視認させにくい画像であるか否かと、画像データが変化しているか否かとの少なくともいずれかに応じて極性反転の周波数をリフレッシュレートより低下させるか否かを決定してもよい。これにより、表示パネル2の画面表示の品質をより担保しつつ、極性反転に係る消費電力を抑えることができる。
【0052】
〔変形例〕
なお、上記各実施形態において、TG20(またはTG60)はタイミング信号の送信間隔、またはホスト1から受信するタイムリファレンスからリフレッシュレートを検出し、当該リフレッシュレートをリフレッシュ情報として反転周波数決定部30に送信してもよい。この場合、反転周波数決定部30はリフレッシュレート検出部31を有していなくてもよく、極性反転制御部32(または極性反転制御部33)は、リフレッシュ情報が示すリフレッシュレートに基づき上記各実施形態にて説明した処理を行えばよい。
【0053】
また、上記実施形態2および3に係る画像分析部61の行う処理はホスト1で行われてもよい。その場合、ホスト1は画像データとともに画像情報を表示制御部3に送信し、表示制御部3はメモリ10またはTG60にて上記画像情報を保持すればよい。
【0054】
また、極性反転制御部32は毎フレーム(1垂直期間毎に)ソースドライバ41の極性反転の制御を行うこととして説明を行った。換言すると、極性反転制御部32は高速リフレッシュ駆動の場合など1フレーム期間が短くなったときでもフレーム毎にソースドライバ41に対し制御指示を行うこととして説明を行った。しかしながら、上記各実施形態において、極性反転制御部32はソースドライバ41の交流電圧の周波数を変更する(すなわち、極性反転の周波数を変更する)ときのみ、ソースドライバ41に当該変更を指示してもよい。そして、ソースドライバ41は上記指示を受けて、出力交流電圧の周波数を変更することとしてもよい。これにより、毎フレームソースドライバ41に制御指示を送信しなくてもよいため、高速リフレッシュ駆動時など、1フレーム期間が短くなった場合でもソースドライバ41の制御が遅延することを防ぐことができる。特に、反転周波数決定部30をソフトウェアで実現した場合で表示パネル2のリフレッシュレートが高い場合などに有効である。
【0055】
〔ソフトウェアによる実現例〕
表示制御部3の制御ブロック(特にTG20または60、および反転周波数決定部30)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0056】
後者の場合、表示制御部3は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0057】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る制御装置(表示制御部3)は、表示装置(表示装置100または200)の画素に書き込むデータ信号の極性反転の周波数を変更可能な制御装置であって、上記表示装置の表示画面(表示パネル2)のリフレッシュレートを検出する検出部(リフレッシュレート検出部31)と、上記検出部が検出した上記リフレッシュレートよりも低い周波数で上記極性反転を行わせる極性反転制御部(極性反転制御部32または33)と、を備えることを特徴としている。
【0058】
上記の構成によれば、極性反転制御部は、極性反転の周波数を表示画面のリフレッシュレートと同周波数とした場合に比べ、単位時間あたりの極性反転の回数を減少させることができる。したがって、極性反転のための充放電など、極性反転に係る消費電力を削減することができるという効果を奏する。
【0059】
本発明の態様2に係る制御装置は、上記態様1において、上記表示装置は上記表示画面の上記リフレッシュレートが変更可能な表示装置であり、上記極性反転制御部は、上記検出部が検出した上記リフレッシュレートが所定の周波数以上である場合に、上記リフレッシュレートよりも低い周波数で上記極性反転を行わせてもよい。
【0060】
上記の構成によれば、極性反転制御部は、リフレッシュレートが所定の周波数以上である場合に、極性反転に係る消費電力を削減することができる。特に、上記所定の周波数が表示画面のフリッカが視認されにくくなる程度に高い周波数である場合、極性反転制御部は、フリッカが視認されにくい場合に極性反転の周波数を上記リフレッシュレートよりも低下させる。これにより、表示画面の画像の表示品質を担保しつつ、極性反転に係る消費電力を削減することができるという効果を奏する。
【0061】
本発明の態様3に係る制御装置は、上記態様2において、上記極性反転制御部は、上記検出部が検出した上記リフレッシュレートが上記所定の周波数以上である場合、上記所定の周波数よりも低い上記表示装置のリフレッシュレートである第2リフレッシュレート(通常駆動時のリフレッシュレート)よりもさらに低い周波数で上記極性反転を行わせてもよい。
【0062】
極性反転の周波数が低下するほど、極性反転に係る消費電力は減少する。したがって上記の構成によると、極性反転に係る消費電力をより低下させることができるという効果を奏する。
【0063】
本発明の態様4に係る制御装置は、上記態様1から3のいずれか一態様において、上記表示装置が表示する画像が、直前のフレームで表示した画像から変化したか否かを判定する画像変化判定部(画像分析部61)を備え、上記極性反転制御部は、上記画像変化判定部が、上記画像が変化していないと判定した場合に、上記リフレッシュレートよりも低い周波数で上記極性反転を行わせてもよい。
【0064】
表示画面に表示した画像が直前のフレームから変化している場合に比べ、上記画像が変化しない場合は、画像ぼけなど、表示画面における画像の表示品質の低下が起こりづらい。そのため、表示画面に表示する画像が変化しない場合に極性反転の周波数を低下させることにより、表示画面における画像の表示品質を担保しつつ、極性反転に係る消費電力を低下させることができるという効果を奏する。
【0065】
本発明の態様5に係る制御装置は、上記態様1から4のいずれか一態様において、上記表示装置が表示する画像が、フリッカを視認させ易い特徴を有するか否かを判定するフリッカ判定部(画像分析部61)を備え、上記極性反転制御部は、上記フリッカ判定部が、上記画像がフリッカを視認させ易い特徴を有さないと判定した場合に、上記リフレッシュレートよりも低い周波数で上記極性反転を行わせてもよい。
【0066】
表示画面がフリッカを視認させ易い特徴を有する画像を表示している場合に比べ、表示画面がフリッカを視認させ易い特徴を有さない画像を表示している場合、極性反転の周波数を低下させても、フリッカは視認されにくい。したがって上記の構成によると、表示画面にフリッカが視認させ易い特徴を有さない画像を表示しているときに極性反転の周波数を低下させることで、表示画面における画像の表示品質を担保しつつ、極性反転に係る消費電力を低下させることができるという効果を奏する。
【0067】
本発明の態様6に係る表示装置は、上記態様1から5のいずれか一態様に係る制御装置の制御に応じて画素に書き込むデータ信号の極性を反転させてもよい。
【0068】
上記の構成によれば、上記態様1から5のいずれか一態様に係る制御装置と同様の効果を奏する。
【0069】
本発明の態様7に係る制御方法は、表示装置の画素に書き込むデータ信号の極性反転の周波数を変更可能な制御装置の制御方法(極性反転制御処理)であって、上記表示装置の表示画面のリフレッシュレートを検出する検出ステップ(S102またはS202)と、上記検出ステップにて検出した上記リフレッシュレートよりも低い周波数で上記極性反転を行わせる極性反転制御ステップ(S106またはS206)と、を備えることを特徴としている。
【0070】
上記の構成によれば、上記態様1に係る制御装置と同様の効果を奏する。
【0071】
本発明の各態様に係る制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記制御装置をコンピュータにて実現させる制御装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0072】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、表示装置の画素に書き込むデータ信号の極性を制御する制御装置などに好適に利用できる。本発明は携帯端末など、表示装置の消費電力の低減が要求される場合に特に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0074】
100、200 表示装置
1 ホスト
2 表示パネル(表示画面)
3 表示制御部(制御装置)
4 表示駆動部
10 メモリ
20、60 TG
61 画像分析部(画像変化判定部、フリッカ判定部)
30 反転周波数決定部
31 リフレッシュレート検出部(検出部)
32、33 極性反転制御部
41 ソースドライバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8