特許第6609315号(P6609315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6609315
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】ネットワーク照明デバイスの同期制御
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20191111BHJP
【FI】
   H05B37/02 H
   H05B37/02 L
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-523486(P2017-523486)
(86)(22)【出願日】2015年11月5日
(65)【公表番号】特表2017-533560(P2017-533560A)
(43)【公表日】2017年11月9日
(86)【国際出願番号】EP2015075779
(87)【国際公開番号】WO2016071432
(87)【国際公開日】20160512
【審査請求日】2018年10月30日
(31)【優先権主張番号】62/076,837
(32)【優先日】2014年11月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15161276.9
(32)【優先日】2015年3月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンダール レーンデルト テウニス
(72)【発明者】
【氏名】ハバーズ アロイス
(72)【発明者】
【氏名】カンプ アントニー レオナルドゥス ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ブアイステルヴェルト マルセル ランベルトゥス レオナルドゥス
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−120396(JP,A)
【文献】 特開2005−71853(JP,A)
【文献】 特開2013−121459(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0285572(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク照明デバイスの近同期制御方法であって、
目標色空間分解能を有する目標色空間内の目標色点を受信する、及び/又は、目標強度空間分解能を有する目標強度空間内の目標強度レベルを受信し、更に、前記目標色点及び/又は前記目標強度レベルに基づいて、光を放出するように同期制御されるネットワーク照明デバイスの識別子を受信するステップと、
前記ネットワーク照明デバイスの受信した前記識別子と、受信した前記目標色点及び/又は受信した前記目標強度レベルとに基づいて、目標制御コマンドが、最大制御コマンド長を超えるかどうかを決定するステップと、前記目標制御コマンドが、前記最大制御コマンド長を超える場合、
同期制御される前記ネットワーク照明デバイスの数に基づいて、また、前記最大制御コマンド長に更に基づいて、近似色空間に関連し、前記目標色空間分解能よりも低い分解能の近似色空間分解能、及び/又は、近似強度空間に関連し、前記目標強度空間分解能よりも低い分解能の近似強度空間分解能を決定するステップと、
前記目標色点に基づいて、前記近似色空間内の近似色点、及び/又は、前記目標強度レベルに基づいて、前記近似強度空間内の近似強度レベルを決定するステップと、
同期制御される前記ネットワーク照明デバイスの受信した前記識別子と、前記近似色点及び/又は前記近似強度レベルとに基づいて、近似制御コマンドを送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記近似色空間は、前記目標色空間に等しく、及び/又は、前記近似強度空間は、前記目標強度空間に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記近似色空間は、前記目標色空間に等しくなく、及び/又は、前記近似強度空間は、前記目標強度空間に等しくなく、
近似色空間分解能を決定する前記ステップは、受信した前記目標色点に基づき、及び/又は、近似強度空間分解能を決定する前記ステップは、受信した前記目標強度レベルに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
制御される前記ネットワーク照明デバイスの、受信した前記目標色点と現在の色点との色差、及び/又は、受信した前記目標強度レベルと現在の強度レベルとの強度差を決定するステップを更に含み、
近似色空間分解能を決定する前記ステップは更に、前記色差に基づき、及び/又は、近似強度空間分解能を決定する前記ステップは更に、前記強度差に基づく、請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
目標色点及び/又は目標強度レベルを受信する前記ステップは、目標色点及び目標強度レベルの両方を受信するステップを含み、
前記方法は更に、
受信した前記目標色点と前記現在の色点との前記色差が、所定の色差閾値を下回ることを決定するステップを含み、
近似色空間分解能を決定する前記ステップは、前記近似色空間分解能がゼロであると決定するステップを含み、
前記近似制御コマンドは、制御される前記ネットワーク照明デバイスの前記識別子と、前記近似強度レベルとを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
目標色点及び/又は目標強度レベルを受信する前記ステップは、目標色点及び目標強度レベルの両方を受信するステップを含み、
前記方法は更に、
受信した前記目標強度レベルと前記現在の強度レベルとの前記強度差は、所定の強度差閾値を下回ることを決定するステップを含み、
近似強度空間分解能を決定する前記ステップは、前記近似強度空間分解能がゼロであると決定するステップを含み、
前記近似制御コマンドは、制御される前記ネットワーク照明デバイスの前記識別子と、前記近似色点とを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
色差の強度差に対する比率を決定するステップと、
決定された前記比率が所定の閾値を上回る場合、前記ネットワーク照明デバイスに、更なる制御コマンドを送信するステップと、
を更に含み、
前記近似制御コマンドは、制御される前記ネットワーク照明デバイスの前記識別子と、前記近似色点とを含み、
前記更なる制御コマンドは、制御される前記ネットワーク照明デバイスの前記識別子と、前記近似強度レベルとを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
色差の強度差に対する比率を決定するステップと、
決定された前記比率が所定の閾値を下回る場合、前記ネットワーク照明デバイスに、更なる制御コマンドを送信するステップと、
を更に含み、
前記近似制御コマンドは、制御される前記ネットワーク照明デバイスの前記識別子と、前記近似強度レベルとを含み、
前記更なる制御コマンドは、制御される前記ネットワーク照明デバイスの前記識別子と、前記近似色点とを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記色差及び/又は前記強度差が、それぞれ、所定の色差閾値及び/又は所定の強度レベル閾値を下回るネットワーク照明デバイスの第1のセットを決定するステップと、
前記色差及び/又は前記強度差が、それぞれ、前記所定の色差閾値及び/又は前記所定の強度レベル閾値を上回るネットワーク照明デバイスの第2のセットを決定するステップと、
前記ネットワーク照明デバイスに、更なる制御コマンドを送信するステップと、
を更に含み、
前記近似制御コマンドは、制御されるネットワーク照明デバイスの前記第1のセットの前記ネットワーク照明デバイスの前記識別子、前記近似色点、及び/又は、前記近似強度レベルを含み、
前記更なる制御コマンドは、制御されるネットワーク照明デバイスの前記第2のセットの前記ネットワーク照明デバイスの前記識別子、前記近似色点、及び/又は、前記近似強度レベルを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記ネットワーク照明デバイスは、メッシュネットワークの一部である、請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
ネットワーク照明デバイスを同期制御する制御デバイスであって、
目標色空間分解能を有する目標色空間内の目標色点を受信する、及び/又は、目標強度空間分解能を有する目標強度空間内の目標強度レベルを受信し、更に、前記目標色点及び/又は前記目標強度レベルに基づいて、同期制御される各ネットワーク照明デバイスの識別子を受信する第1のインターフェースと、
前記ネットワーク照明デバイスの受信した前記識別子と、受信した前記目標色点及び/又は受信した前記目標強度レベルとに基づいて、目標制御コマンドが、最大制御コマンド長を超えるかどうかを決定するプロセッサと、
前記目標制御コマンドが、前記最大制御コマンド長を超える場合、同期制御される前記ネットワーク照明デバイスの受信した前記識別子と、近似色点及び/又は近似強度レベルとに基づいて、近似制御コマンドを送信する第2のインターフェースと、
を含み、
前記プロセッサは更に、同期制御される前記ネットワーク照明デバイスの数に基づいて、また、前記最大制御コマンド長に更に基づいて、近似色空間に関連し、前記目標色空間分解能よりも低い分解能の近似色空間分解能、及び/又は、近似強度空間に関連し、前記目標強度空間分解能よりも低い分解能の近似強度空間分解能を決定し、
前記プロセッサは更に、前記目標色点及び/又は前記目標強度レベルにそれぞれ基づいて、前記近似色空間内の前記近似色点、及び/又は、前記近似強度空間内の前記近似強度レベルを決定する、制御デバイス。
【請求項12】
前記第1のインターフェースは、アプリケーションプログラミングインターフェースであり、前記第2のインターフェースは、メッシュネットワークインターフェースである、請求項11に記載の制御デバイス。
【請求項13】
ネットワーク照明デバイスの近同期制御のためのコンピュータプログラムであって、コンピュータデバイス上で実行されると、請求項1乃至10の何れか一項に記載の方法を実行するコンピュータプログラムコードを含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク照明デバイスの(近)同期制御のための方法、制御デバイス及びコンピュータプログラムプロダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク照明デバイスは、レンダリングされる照明効果の遠隔制御を提供する。家庭やオフィス等におけるネットワーク照明デバイスの数が増えるにつれて、新しいユーザ要望も生まれる。一例として、ユーザが、シーン変更を実行しているときに、天井からつり下がるシャンデリア内のランプの色が、壁に取り付けられている照明器具内のランプが色を変える前に変わることは望ましくない。指定時刻に作動する照明コマンドが、すべてのネットワーク照明デバイスによって使用されるグローバルクロックとの併用で、この問題を解決できるが、これには、ネットワーク照明デバイスの制御のための処理オーバーヘッドの増加、ネットワーク照明デバイスにおける追加の又はより複雑なコンポーネント等の何れかが必要となる。したがって、複数のネットワーク照明デバイスを含むネットワーク照明システムでは、このようなネットワーク照明デバイスを、簡単に(近)同期して制御する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明者は、ネットワーク照明システムでは、照明制御コマンドは、最大長を有するので、1つのコマンドにおいて、限られた数のネットワーク照明デバイスしか、色又は強度を変更するように制御することができないことを認識している。複数のネットワーク照明デバイスが色又は強度を変更する必要がある場合、複数の制御コマンドが送信され、結果として、制御されるネットワーク照明デバイスは、それらの光出力を同期しないで調節する。本発明は、ネットワーク照明デバイスの(近)同期制御のための方法、デバイス及びコンピュータプログラムプロダクトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様では、ネットワーク照明デバイスの近同期制御方法が提供される。当該方法は、目標色空間分解能を有する目標色空間内の目標色点、及び/又は、目標強度空間分解能を有する目標強度空間内の目標強度レベルを受信し、更に、目標色点及び/又は目標強度レベルに基づいて、光を放出するように同期制御されるネットワーク照明デバイスの識別子を受信するステップを含む。色空間は、色の特定の組織であり、例えば可視光のすべての色、ネットワーク照明デバイスによってレンダリング可能であるすべての色、又は、赤色のすべての色相を含むことができる。色空間分解能は、色点の色空間に対するマッピングの粒度である。例えば色空間分解能が3ビットである場合、色空間内に8つの色点(例えば紫色、ふじ色、青色、緑色、黄色、橙色、赤色、白色)が選択可能である。色空間分解能が2ビットだけである場合、色空間内に4つの色点(例えば青色、緑色、赤色、白色)が選択可能である。色空間分解能が2ビットであり、色空間は、赤色のすべての色相を含む場合、選択可能な色点は、先の例とは異なってよい(例えば桃色、赤紫色、深紅色、洋紅色)。カラーマッピングによって、例えば値が、色点に関連付けられることが可能である(例えば2進値「10」が深紅色に関連付けられる)か、又は、色点は、例えば色空間内のXY座標によって示されることが可能である。同様の例が、強度レベル、強度空間及び強度空間分解能についても有効である。
【0005】
上記方法は更に、ネットワーク照明デバイスの受信した識別子と、受信した目標色点及び/又は受信した目標強度レベルとに基づいて、目標制御コマンドが、最大制御コマンド長を超えることを決定するステップを含む。制御コマンドの仕様(例えばジグビー(登録商標)ライトリンク仕様)又はネットワーク制限(例えばWiFiでの最大パケットサイズ)が、制御コマンドのサイズに制限を課す。この結果、限られた数のネットワーク照明デバイスの識別子しか単一の制御コマンド内に含めることができない。制御コマンドは更に、ネットワーク照明デバイスの光出力を制御するように使用される色及び/又は強度情報を含む。制御コマンドは更に、プレフィックス、メッセージシーケンス番号等といったオーバーヘッドを含んでもよい。すべてのネットワーク照明デバイスが同じ制御コマンドによって制御可能ではない場合、通常、複数の制御コマンドが送信され、この結果、ネットワーク照明デバイスは、それらの出力を同期して変更しない。
【0006】
上記方法は更に、
同期制御されるネットワーク照明デバイスの数に基づいて、また、最大制御コマンド長に更に基づいて、近似色空間に関連し、目標色空間分解能よりも低い分解能の近似色空間分解能、及び/又は、近似強度空間に関連し、目標強度空間分解能よりも低い分解能の近似強度空間分解能を決定するステップと、
目標色点に基づいて、近似色空間内の近似色点、及び/又は、目標強度レベルに基づいて、近似強度空間内の近似強度レベルを決定するステップと、
同期制御されるネットワーク照明デバイスの受信した識別子と、近似色点及び/又は近似強度レベルとに基づいて、近似制御コマンドを送信するステップとを含む。色空間分解能及び/又は強度空間分解能を下げることによって、制御コマンド内で色及び/又は強度情報によって占められるデータの量を少なくすることができ、したがって、ネットワーク照明デバイスの追加の識別子を制御コマンドに含めることができる。これにより、単一の制御コマンドによって、より多くのネットワーク照明デバイスが制御可能である。
【0007】
本発明による方法の一実施形態では、近似色空間は、目標色空間に等しく、及び/又は、近似強度空間は、目標強度空間に等しい。更なる実施形態では、近似色空間は、目標色空間に等しくなく、及び/又は、近似強度空間は、目標強度空間に等しくなく、近似色空間分解能を決定するステップは、受信した目標色点に基づき、及び/又は、近似強度空間分解能を決定するステップは、受信した目標強度レベルに基づく。色空間分解能は下げるが、同じ色空間内に留まることが有益である。例えば目標色点に関連付けられている色が、近似色点に関連付けられている色に視覚的に近い(例えば目標色点が、紫色、ふじ色、青色、緑色、黄色、橙色、赤色、白色のうちの青色であり、近似色点が、青色、緑色、青色、白色のうちの青色である)場合である。しかし、目標色空間に等しくない近似色空間を決定することも有益である。例えば目標色空間が、ネットワーク照明デバイスによってレンダリングできない色を含む場合、異なる色空間を決定することができる。
【0008】
本発明による方法の一実施形態では、上記方法は、制御されるネットワーク照明デバイスの、受信した目標色点と現在の色点との色差、及び/又は、受信した目標強度レベルと現在の強度レベルとの強度差を決定するステップを更に含み、近似色空間分解能を決定するステップは更に、色差に基づき、及び/又は、近似強度空間分解能を決定するステップは更に、強度差に基づく。この実施形態は、例えば赤から深紅への色変化が、可視光のすべての色を含む近似色空間分解能よりも、赤色のすべての色相を含む近似色空間によってより容易にされるので、特に有益である。
【0009】
本発明による方法の一実施形態では、目標色点及び/又は目標強度レベルを受信するステップは、目標色点及び目標強度レベルの両方を受信するステップを含み、上記方法は更に、受信した目標色点と現在の色点との色差は、所定の色差閾値を下回ることを決定するステップを含み、近似色空間分解能を決定するステップは、近似色空間分解能がゼロであると決定するステップを含み、制御コマンドは、制御されるネットワーク照明デバイスの識別子と、近似強度レベルとを含む。本発明による方法の更なる実施形態では、目標色点及び/又は目標強度レベルを受信するステップは、目標色点及び目標強度レベルの両方を受信するステップを含み、上記方法は更に、受信した目標強度レベルと現在の強度レベルとの強度差は、所定の強度差閾値を下回ることを決定するステップを含み、近似強度空間分解能を決定するステップは、近似強度空間分解能がゼロであると決定するステップを含み、単一の制御コマンドは、制御されるネットワーク照明デバイスの識別子と、近似色点とを含む。これらの実施形態は、色空間分解能又は強度空間分解能がゼロであると決定することによって、ネットワーク照明デバイスによって放出される光の現在の色は、目標色点に近いか若しくは同じである、又は、ネットワーク照明デバイスによって放出される光の現在の強度は、目標強度レベルに近いか若しくは同じであるため、近似色点又は近似強度レベルが、近似制御コマンドに含まれないため、特に有益である。ネットワーク照明デバイスによって放出される光の色及び/又は強度の小さい差は、人間の目では、ほとんど見えない。
【0010】
本発明による方法の一実施形態では、上記方法は更に、
色差の強度差に対する比率を決定するステップと、
決定された比率が所定の閾値を上回る場合、ネットワーク照明デバイスに、更なる制御コマンドを送信するステップとを含み、制御コマンドは、制御されるネットワーク照明デバイスの識別子と、近似色点とを含み、更なる制御コマンドは、制御されるネットワーク照明デバイスの識別子と、近似強度レベルとを含む。
【0011】
本発明による方法の更なる実施形態では、上記方法は更に、
色差の強度差に対する比率を決定するステップと、
決定された比率が所定の閾値を下回る場合、ネットワーク照明デバイスに、更なる制御コマンドを送信するステップとを含み、制御コマンドは、制御されるネットワーク照明デバイスの識別子と、近似強度レベルとを含み、更なる制御コマンドは、制御されるネットワーク照明デバイスの識別子と、近似色点とを含む。これらの実施形態は、共時性の見掛けを維持するために、ネットワーク照明デバイスは、最初に、それらの光出力の色を変更し、次に、強度を変更することができるので有利である。
【0012】
本発明による方法の一実施形態では、上記方法は更に、
色差及び/又は強度差が、それぞれ、所定の色差閾値及び/又は所定の強度レベル閾値を下回るネットワーク照明デバイスの第1のセットを決定するステップと、
色差及び/又は強度差が、それぞれ、所定の色差閾値及び/又は所定の強度レベル閾値を上回るネットワーク照明デバイスの第2のセットを決定するステップと、
ネットワーク照明デバイスに、更なる制御コマンドを送信するステップとを含み、制御コマンドは、制御されるネットワーク照明デバイスの第1のセットのネットワーク照明デバイスの識別子、近似色点、及び/又は、近似強度レベルを含み、更なる制御コマンドは、制御されるネットワーク照明デバイスの第2のセットのネットワーク照明デバイスの識別子、近似色点、及び/又は、近似強度レベルを含む。この実施形態は、現在の光出力の色及び/又は強度と、目標色点及び/若しくは目標強度レベル(又は、近似色点及び/若しくは近似強度レベル)との色差が大きいネットワーク照明デバイスが、それらの光出力の色及び/又は強度を最初に変更するように制御されるので、特に有利である。これにより、制御されるすべてのネットワーク照明デバイスが、色及び/又は強度をより同期して変更するように見える。
【0013】
本発明による方法の一実施形態では、ネットワーク照明デバイスは、メッシュネットワークの一部である。メッシュネットワークの一例は、ジグビー(登録商標)ネットワークである。
【0014】
本発明の第2の態様では、ネットワーク照明デバイスを同期制御する制御デバイスが提供される。当該制御デバイスは、
目標色空間分解能を有する目標色空間内の目標色点、及び/又は、目標強度空間分解能を有する目標強度空間内の目標強度レベルを受信し、更に、目標色点及び/又は目標強度レベルに基づいて、同期制御される各ネットワーク照明デバイスの識別子を受信する第1のインターフェースと、
ネットワーク照明デバイスの受信した識別子と、受信した目標色点及び/又は受信した目標強度レベルとに基づいて、制御コマンドが、最大制御コマンド長を超えることを決定するプロセッサと、
同期制御されるネットワーク照明デバイスの受信した識別子と、近似色点及び/又は近似強度レベルとに基づいて、制御コマンドを送信する第2のインターフェースとを含み、
プロセッサは更に、同期制御されるネットワーク照明デバイスの数に基づいて、また、最大制御コマンド長に更に基づいて、近似色空間に関連し、目標色空間分解能よりも低い分解能の近似色空間分解能、及び/又は、近似強度空間に関連し、目標強度空間分解能よりも低い分解能の近似強度空間分解能を決定し、
プロセッサは更に、目標色点及び/又は目標強度レベルにそれぞれ基づいて、近似色空間内の近似色点、及び/又は、近似強度空間内の近似強度レベルを決定する。このような制御デバイスは、本発明による方法の利点を提供し、当該制御デバイスの様々な実施形態は、本発明による方法の実施形態の特徴を含むことができる。
【0015】
本発明による制御デバイスの一実施形態では、第1のインターフェースは、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)であり、第2のインターフェースは、メッシュネットワークインターフェースである。このような実施態様は、例えばローカルエリアネットワークであり、このネットワーク上をAPIが提供される第1のネットワークと、例えばジグビー(登録商標)ネットワークであり、このネットワーク上を、ネットワーク照明デバイスを制御する制御コマンドが制御される第2のネットワークとにインターフェースする例えばブリッジデバイスを介して提供可能である。
【0016】
本発明の第3の態様では、ネットワーク照明デバイスの同期制御のためのコンピュータプログラムプロダクトが提供される。当該コンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータデバイス上で実行されると、請求項1乃至10の何れか一項に記載の方法を実行するコンピュータプログラムコードを含む。
【0017】
当然ながら、(コンピュータ実施される)方法、制御デバイス及びコンピュータプログラムプロダクトは、同様及び/又は同一の好適な実施形態、具体的には、従属請求項に規定される実施形態を有する。
【0018】
当然ながら、共時性について言及される箇所は、上記概要において説明されるように近共時性も含む。
【0019】
当然ながら、本発明の好適な実施形態は、各独立請求項との従属請求項の任意の組み合わせであってもよい。
【0020】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施形態から明らかとなり、また、以下に説明される実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示の理解に役立つように、また、実施形態を実施する方法を示すために、例として、添付図面を参照する。
【0022】
図1図1は、目標色点及び目標強度レベルを含む目標制御コマンドと、近似色点及び近似強度レベルを含む近似制御コマンドとを概略的及び例示的に示す。
図2図2は、近似色点を含む近似制御コマンドを概略的及び例示的に示す。
図3図3は、近似色点を含む近似制御コマンドと、近似強度レベルを含む更なる制御コマンドとを概略的及び例示的に示す。
図4図4は、近似色点と、目標強度レベルと同じ近似強度レベルとを含む近似制御コマンドを概略的及び例示的に示す。
図5図5は、ネットワーク照明デバイスの第1のセットを制御する近似制御コマンドと、ネットワーク照明デバイスの第2のセットを制御する更なる制御コマンドとを概略的及び例示的に示す。
図6A図6Aは、目標色の近似色への変換を概略的及び例示的に示す。
図6B図6Bは、目標色の近似色への変換を概略的及び例示的に示す。
図6C図6Cは、目標色の近似色への変換を概略的及び例示的に示す。
図7図7は、本発明によるネットワーク照明デバイスの同期制御方法を概略的及び例示的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、2つのネットワーク照明デバイス(即ち、ネットワーク照明デバイス111、112)の識別子110と、目標色点120と、目標強度レベル130とを含む目標制御コマンド100の一例が示される。更に、4つのネットワーク照明デバイス(即ち、ネットワーク照明デバイス111、112、113、114)の識別子160と、近似色点170と、近似強度レベル180とを含む近似制御コマンド150の一例が示される。目標色点120は、例えば24ビットRGB色値として提供され、各チャネル(即ち、赤、緑及び青のそれぞれ)は、8ビット深度において提供される。目標強度レベル130は、例えば24ビット深度において提供される。本例では72ビットである最大制御コマンド長を所与とすると、ネットワーク照明デバイスの識別子110に、24ビットが残る。本例では、ネットワーク照明デバイスの識別子は、12ビットを占めるので、1つの制御コマンド100によって、2つのネットワーク照明デバイス111、112しか制御することができない。
【0024】
色空間又は強度空間の分解能を下げることによって、より多くのネットワーク照明デバイス111、112、113、114が1つの制御コマンド150を通じて制御可能となる。この例では、色空間分解能は、色点が、12ビットRGB色値として提供されるように適応され、強度空間分解能は、強度レベルが、12ビット深度において提供されるように適応される。近似色点170及び近似強度レベル180は、近似制御コマンド150内に含まれる。
【0025】
近似色点及び近似強度レベルは、目標色点及び目標強度レベルと一致しないが、これは、複数の制御コマンドの使用よりも好適である。近似色点及び近似強度レベルは、目標色点及び目標強度レベルに可能な限り近いように選択されることが可能である。
【0026】
図2には、5つのネットワーク照明デバイス(即ち、ネットワーク照明デバイス111、112、113、114、115)の識別子210と、近似色点170とを含む近似制御コマンド200の一例が示される。強度レベルを含まないこのようなコマンドは、例えばネットワーク照明デバイスがそれらの強度レベルを変更する必要がないときに送信可能である。強度レベルを変更する必要がないことの1つの理由は、ネットワーク照明デバイスの現在の強度レベルが知られており、目標強度レベルとの差が小さい(即ち、所定閾値を下回る)場合である。
【0027】
図3には、5つのネットワーク照明デバイス(即ち、ネットワーク照明デバイス111、112、113、114、115)の識別子310と、近似色点170とを含む近似制御コマンド300の一例が示される。更に、5つのネットワーク照明デバイスの識別子310と、近似強度レベル180とを含む更なる近似制御コマンド350の一例が示される。一例として、ネットワーク照明デバイス111、112、113、114、115によって放出されている現在の色が、目標色点から非常に異なるが、これらのネットワーク照明デバイスによって放出されている現在の強度は、目標強度レベルとほぼ同じである場合、この例のように2つの制御コマンドを使用することは、ほとんど気付かれない。ネットワーク照明デバイス111、112、113、114、115は、最初に、放出されている光の色を変更し、すぐ後に、放出されている光の強度レベルを変更する。
【0028】
図4には、3つのネットワーク照明デバイス(即ち、ネットワーク照明デバイス111、112、113)の識別子410と、近似色点170と、目標強度レベル130とを含む近似制御コマンド400の一例が示される。図1の制御コマンド150に見られるように、制御コマンドは、近似色空間分解能を有する近似色空間における近似色点と、近似強度空間分解能を有する近似強度空間における近似強度レベルとを含むことができるが、この図4に見られるように、色点又は強度レベルの何れかの分解能のみを適応させることも1つのオプションである。
【0029】
図5では、4つのネットワーク照明デバイス(即ち、ネットワーク照明デバイス111、112、113、114)の識別子510と、近似色点170と、近似強度レベル180とを含む近似制御コマンド500の一例が示される。更に、更なる4つのネットワーク照明デバイス(即ち、ネットワーク照明デバイス115、116、117、118)の識別子560と、近似色点170と、近似強度レベル180とを含む更なる近似制御コマンド550の一例が示される。各ネットワーク照明デバイスの現在の色点と目標色点との差に基づいて、ネットワーク照明デバイスを分類することができる。特定のネットワーク照明デバイスの現在の色点は、目標色点(又は近似色点)に対して所定の距離内にある。この例では、ネットワーク照明デバイス111、112、113は、更なる制御コマンド450がネットワーク照明デバイス114、115、116を制御するように送信される前に、制御コマンド400によって制御される。これにより、現在の色点が目標(又は近似)色点から最も離れているネットワーク照明デバイスが、それらの光出力を同時に変更することができる。しかし、この例では、現在の色点が目標色点(又は近似色点)に最も近いネットワーク照明デバイスが、最初に制御されるか、或いは、上記例の近似制御コマンドの前に、更なる近似制御コマンドが送信される。
【0030】
図6では、目標色空間分解能600の一例と、第1の近似色空間分解能610の一例と、第2の近似色空間分解能650とが示される。これらの色空間分解能600、610、650それぞれは、X、Y色空間にマッピングされた色点を含み、色域は、XY座標によって参照される。座標は、目標色空間分解能600と、第1及び第2の近似色空間分解能610、650とに示される。この例では、目標色空間分解能600は、4×4の色空間分解能であり、4ビット値として表現可能である16個の個別の色値を含む。上記例の第1及び第2の近似色空間分解能610、650は、2×2の色空間分解能であり、2ビット値として表現可能である4個の個別の値を含む。
【0031】
第1の近似色空間分解能610は、単純に、色域を、X、Y座標によって表現可能な4色に分割する。第1の近似色空間分解能610におけるX、Y座標それぞれは、目標色空間分解能600における4つのX、Y座標に取って代わる。第2の近似色空間分解能650では、より洗練されたアプローチが使用される。人間の目にとって、幾つかの色差は、他の色差よりも区別がしやすい。以下の表1が、概要を提供するが、これは、原理の例示に過ぎない。本例に使用される単純化を所与として、気付かない幾つかの色差の効果は、本例においては、部分的にしか当てはまらず、4から2ビットへの色深度変換を提供する。より高い色深度(例えば24ビット色深度)におけるこの原理の適用は、より実用的な適用を提供するが、ここで提示するには過剰に複雑となる。
【表1】
【0032】
図7には、本発明による方法700が示される。目標色点及び/又は目標強度レベルが受信される(710)。目標色点は、目標色空間内であり、目標色空間は、目標色空間分解能を有する。目標強度レベルは、目標強度空間内であり、目標強度空間は、目標強度空間分解能を有する。更に、同期制御されるすべてのネットワーク照明デバイスの識別子が受信される。目標制御コマンドが、最大制御コマンド長を超えることが決定される(720)。この決定は、ネットワーク照明デバイスの受信した識別子と、受信した目標色点及び/又は受信した目標強度レベルとに基づいてなされる。近似色空間分解能及び/又は近似強度空間分解能が決定される(730)。近似色空間分解能は、近似色空間に関連し、近似強度空間分解能は、近似強度空間に関連する。近似色空間分解能及び/又は近似強度空間分解能は、それぞれ、目標色空間分解能及び/又は目標強度空間分解能よりも低い分解能である。近似色空間分解能及び/又は近似強度空間分解能の決定(730)は、同期制御されるネットワーク照明デバイスの数に基づき、また、最大制御コマンド長に更に基づく。近似色空間における近似色点及び/又は近似強度空間における近似強度レベルが、それぞれ、目標色点及び/又は目標強度レベルに基づいて決定される(740)。近似制御コマンドが、同期制御されるネットワーク照明デバイスの受信した識別子と、決定された近似色点及び/又は決定された近似強度レベルとに基づいて送信される(750)。
【0033】
上記例では、本発明の説明において、特定のビット深度を使用したが、これは、他のビット深度、レンジ、値等を排除するものではない。
【0034】
開示された実施形態の他の変形態様は、図面、開示内容及び添付の請求項の検討から、請求項に係る発明を実施する当業者によって理解され、実施される。
【0035】
請求項において、「含む」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、「a」又は「an」との不定冠詞も、複数形を排除するものではない。
【0036】
単一のユニット又はデバイスが、請求項に記載される幾つかのアイテムの機能を果たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されることだけで、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。
【0037】
請求項における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7