特許第6609452号(P6609452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6609452
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20191111BHJP
   A47L 9/08 20060101ALI20191111BHJP
   A47L 7/04 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   A47L9/28 A
   A47L9/28 J
   A47L9/08
   A47L7/04 Z
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-198575(P2015-198575)
(22)【出願日】2015年10月6日
(65)【公開番号】特開2017-70423(P2017-70423A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】堂田 英則
(72)【発明者】
【氏名】中村 一良
【審査官】 山田 由希子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−058255(JP,U)
【文献】 実開昭51−154065(JP,U)
【文献】 特開2011−206354(JP,A)
【文献】 特開平04−144527(JP,A)
【文献】 特開2003−164399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 7/04
A47L 9/08
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除すべき対象物に接触可能な回転ブラシを備える吸込口から塵埃を含む空気を電動送風機によって集塵部へ吸引すると共に、浄化された空気を排気流路を介して前記対象物の方向へ排出する掃除機構と、前記排気流路内に設けられた抵抗発熱体と、前記回転ブラシを駆動する第1モータと前記電動送風機を駆動する第2モータと前記抵抗発熱体とに外部電源からの電力を供給する制御部とを備え、第1モータの負荷電流が大きくなる程、抵抗発熱体に流れる電流が大きくなるように、前記抵抗発熱体と第1モータとが直列接続され、前記制御部は前記抵抗発熱体と第1モータとの直列回路に前記電力を供給するように構成されたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記制御部は、第1モータに流れる電流を前記抵抗発熱体の一部から電圧として検知し、検知電圧がしきい値を越える時に第1モータへの電力の供給を停止する請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
警告部をさらに備え、前記制御部は、第1モータへの電力の供給を停止させたのち所定時間毎に電力の供給・停止動作を所定回数くり返し行い、前記検知電圧が前記しきい値を越えたとき前記警告部に警告させる請求項2記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記制御部は、外部電源の電圧に応じて前記しきい値を変化させる請求項2または3記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、布団やカーペットなどの掃除対象物に生息しているノミやダニ等の害虫を駆除するために、専用の加熱器を設け、この加熱器が発生する熱を電動送風機の排気流によって掃除対象物に吹きつけるようにした電気掃除機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭51−154065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のこのような電気掃除機においては、掃除の対象物の如何にかかわらず、比較的温度の高い温風を掃除対象物に吹きつけるため、ダニのような害虫が生息しない木製や樹脂製の床のような対象物に対しては、吹きつける温風の温度を低下させて、温度による表面の変色や変質を自動的に防止できる電気掃除機の実現が望まれていた。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、掃除の対象物の性質を回転ブラシの回転負荷によって検出し、それによって掃除の対象物に吹きつける温風の温度を自動的に調整するようにした電気掃除機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、掃除すべき対象物に接触可能な回転ブラシを備える吸込口から塵埃を含む空気を電動送風機によって集塵部へ吸引すると共に、浄化された空気を排気流路を介して前記対象物の方向へ排出する掃除機構と、前記排気流路内に設けられた抵抗発熱体と、前記回転ブラシを駆動する第1モータと前記電動送風機を駆動する第2モータと前記抵抗発熱体とに外部電源からの電力を供給する制御部とを備え、第1モータの負荷電流が大きくなる程、抵抗発熱体に流れる電流が大きくなるように構成されたことを特徴とする電気掃除機を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、回転ブラシを駆動する第1モータの負荷電流が大きくなる程、抵抗発熱体に流れる電流が大きくなるので、回転ブラシと掃除対象物の摩擦抵抗が大きいと第1モータの負荷電流が増大し抵抗発熱体に大きい電流が流れてその発熱量が増加する。
【0008】
一方、両者の摩擦抵抗が小さいと第1モータの負荷電流が減少し、抵抗発熱体に流れる電流も小さくなり、その発熱量は減少する。
【0009】
従って、ノミやダニが生息し易いふとんや毛足の長いカーペットのような掃除対象物に対しては、回転ブラシとの摩擦抵抗が大きいため抵抗発熱体の発熱量が大きくなり、木製や樹脂製の床のような掃除対象物に対しては、回転ブラシとの摩擦抵抗が小さいため抵抗発熱体の発熱量が小さくなる。
つまり、この発明による電気掃除機は、掃除対象物の性質に応じて吹きつける温風の温度を自動的に適正に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施形態1に係る電気掃除機の外観斜視図である。
図2図1に示す電気掃除機の側面図である。
図3図1に示す電気掃除機の底面図である。
図4図1に示す電気掃除機の縦断面図である。
図5図4のB−B矢視断面図である。
図6図1に示す電気掃除機の要部分解斜視図である。
図7図1に示す電気掃除機の吸引から排気までの空気の流れを示す説明図である。
図8図1に示す電気掃除機の制御系のブロック図である。
図9】この発明の実施形態1に係る電気掃除機の動作を示すフローチャートである。
図10】この発明の実施形態2に係る電気掃除機の動作を示すフローチャートである。
図11】この発明の実施形態3に係る電気掃除機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この発明の電気掃除機は、掃除すべき対象物に接触可能な回転ブラシを備える吸込口から塵埃を含む空気を電動送風機によって集塵部へ吸引すると共に、浄化された空気を排気流路を介して前記対象物の方向へ排出する掃除機構と、前記排気流路内に設けられた抵抗発熱体と、前記回転ブラシを駆動する第1モータと前記電動送風機を駆動する第2モータと前記抵抗発熱体とに外部電力からの電力を供給する制御部とを備え、第1モータの負荷電流が大きくなる程、抵抗発熱体に流れる電流が大きくなるように構成されたことを特徴とする。
【0012】
前記抵抗発熱体と第1モータとが直列接続され、前記制御部は前記抵抗発熱体と第1モータとの直列回路に前記電力を供給してもよい。
また、前記抵抗発熱体と第1モータとが並列接続されてもよい。
【0013】
前記制御部は、第1モータに流れる電流を前記抵抗発熱体の一部から電圧として検知し、検知電圧がしきい値を越える時に第1モータへの電力の供給を停止してもよい。
【0014】
警告部をさらに備え、前記制御部は、第1モータへの電力の供給を停止させたのち所定時間毎に電力の供給・停止動作を所定回数くり返し行い、前記検知電圧が前記しきい値を越えたとき前記警告部に警告させてもよい。
【0015】
前記制御部は、外部電源の電圧に応じて前記しきい値を変化させてもよい。
【0016】
外部電源は、直流又は交流電源であってもよい。
第1および第2モータには、直流又は交流モータを用いることができる。
この発明は、ふとんやカーペットを主な掃除対象とするハンディタイプのみならず、一般的なものを掃除対象とするキャニスタータイプの電気掃除機を含む。
【0017】
以下、図面に示す実施形態1〜3を用いてこの発明を詳述する。これによって、この発明が限定されるものではない。
【0018】
〔実施形態1〕
(電気掃除機1の概略構成)
図1はこの実施形態に係る電気掃除機1の外観斜視図である。図2は電気掃除機1の側面図である。図3は電気掃除機1の底面図である。図4は電気掃除機1の縦断面図である。図5図4のB−B矢視断面図、図6は電気掃除機1の要部分解斜視図、図7は電気掃除機1の吸引から排気までの空気の流れを示す説明図である。
【0019】
図1図7に示されるように、電気掃除機1は、掃除機本体10と、吸引した空気から塵埃を分離する集塵装置20とを備えている。掃除機本体10は、底部が丸みを帯びた平たい円錐形状の外観を有する。集塵装置20は、掃除機本体10の錐面部分に露出した状態で、掃除機本体10に対して着脱可能に取り付けられている。
【0020】
掃除機本体10における、集塵装置20が取り付けられる側とは反対側には、L字状の把手30が設けられている。ユーザは、この把手30を把持して電気掃除機1を布団等の掃除対象物に対して移動させて掃除を行う。電気掃除機1を移動させる方向は、図2図4に示す矢印Aにて示す方向であり、電気掃除機1を把手30のある側に引く方向である。以降、説明の便宜上、掃除機本体10における集塵装置20側を前側、把手30側を後側とする。
【0021】
なお、電気掃除機1の移動は、矢印Aの方向に限らず、矢印Aと反対方向も可能であり、電気掃除機1を往復移動させることも可能である。この場合は、矢印A方向と反対方向のときには、後述する排出口3からの温風により布団の湿気を除くことができる。
【0022】
また、後述する回転ブラシ26の回転による吸込口2からの吸引で塵埃などを集塵することができる。また、所定温度以上の排気を吹き付けることで、布団等の掃除対象物中に含まれる水分が除去され、布団等をふっくらさせることができる。なお、これは、電気掃除機1の移動方向に関係なく行えるものである。
【0023】
また、把手30には、電気掃除機1の起動と停止を指示するスイッチを有する入力部101(図6)が設けられている。掃除機本体10における把手30の根元となる部分には、警告部として作動する表示部105が設けられている。
【0024】
また、掃除機本体10の底面には、前側に、掃除対象物についた塵埃を空気とともに吸い込む吸込口2が設けられ、後側に、塵埃が除去された後の空気を排出する排出口3が設けられている。
【0025】
吸込口2は、電気掃除機1の移動させる方向と直交する方向に延びる矩形形状をなし、掃除対象物の表面から、塵埃またはダニなどの害虫を掻き出す回転ブラシ26が取り付けられている。回転ブラシ26は回転ブラシ駆動モータ14により駆動される。吸込口2から吸い込まれた空気は、集塵装置20へ送られる。
【0026】
排出口3は、複数のスリットから形成されている。集塵装置20から排出された空気は、後述する抵抗発熱体103の発熱と電動送風機4の排熱で加熱された状態で排出口3から排出される。
【0027】
掃除機本体10の底面中央には、図3に示すように、吸込口2と排出口3との間を仕切る仕切壁25が立設されている。排出口3から排出される排気は加熱されているため、その温度があまり下がらない状態で再び吸込口2から吸い込まれると、排気の循環により掃除機本体10に過度の温度上昇が起こる。仕切壁25を設けることで、排出口3からの排気がそのまま吸込口2から吸引されることがなくなり、排気の循環による過度の温度上昇を防止することができる。
【0028】
また、掃除機本体10の底面における吸込口2よりも前側には、電気掃除機1を移動させる方向(矢印A方向)に平行に伸びる案内部29が複数立設されている。案内部29を設けることで、吸引されて浮き上がった掃除対象物にて吸込口2が塞がれる事態の招来を回避し、かつ、移動させる方向への電気掃除機1の滑りをよくできる。
【0029】
掃除機本体10の内部には、電動送風機4と、排気フィルタ6とが備えられている。電動送風機4は、吸気を行うための送風ファンおよび送風ファンを回転駆動する電動送風機駆動モータ4aを有している。電動送風機4は、送風ファンを回転させることで、吸込口2から空気を吸い込み、集塵装置20を経て排出口3から外部へ排出する。
【0030】
吸い込まれた空気は、前述のように、電動送風機4を通過する際にその排熱と後述する抵抗発熱体103の発熱にて加熱され、温風となって排出口3から排出される。
なお、吸い込まれた空気は、抵抗発熱体103を通過する際に抵抗発熱体103自体を冷却することも兼ねている。
【0031】
排気フィルタ6は、電動送風機4と排出口3との間に着脱可能に設けられている。排気フィルタ6は、集塵装置20にて集塵が除去された排気を通過させることで、排出口3から排出される空気をさらに清浄化するものである。
【0032】
また、掃除機本体10には、図1図7では図示してはいないが、電動送風機4を制御する後述する制御部100(図8参照)が内蔵されている。制御部100は、CPUやRAM,ROMなどからなるマイクロコンピュータを有しており、電気掃除機1の各部を制御する。
【0033】
(集塵装置の構成)
以下、集塵装置20の構成について詳細に説明する。この実施形態における集塵装置20はサイクロン方式を採用し、集塵カップ21と、集塵カップ21を閉塞する上蓋ユニット22と、上蓋ユニット22を覆うカバー23とを備えている。集塵カップ21には、塵埃を含む空気を導入するための流入口21aが形成されている。集塵カップ21は、上部が開口されており、内部に、上蓋ユニット22が支持される。また、集塵カップ21と上蓋ユニット22とは連通している。
【0034】
集塵カップ21内には、内筒部211及びダスト仕切部212が設けられている。内筒部211は、上蓋ユニット22と連通している。また、ダスト仕切部212は、内筒部211における上蓋ユニット22と反対側に連結され、集塵カップ21の底部に当接して設けられている。
【0035】
内筒部211は、遠心分離部40によるサイクロン分離後の空気を上蓋ユニット22へと通気するように構成されている。内筒部211は、上蓋ユニット22に連結する上側端縁211aと、遠心分離後の空気を通すための複数のスリット211bを有する胴部211cと、ダスト仕切部212と連結する下側端縁211dとを有している。なお、胴部211cの外周にはメッシュ状の吸気側フィルタが巻き付けられている。
【0036】
ダスト仕切部212は、中心孔を有する円板形のフランジ部212aと、大径筒部212bと、小径筒部212cとを有する。大径筒部212bは、フランジ部212aの外周端から上方向及び下方向の両方向に突出して設けられている。また、小径筒部212cは、フランジ部212aの内周部から垂下して設けられている。また、小径筒部212cの下端部は、閉塞状態であり筒部が塞がれている。
【0037】
さらに、上蓋ユニット22内には、つづら折り状(プリーツ)のフィルタ等を有するフィルターユニットが収容されている。つづら状のフィルタに堆積した塵埃をフィルタの除塵機構などにより除塵した塵埃を落下させて筒部へ堆積させてダスト仕切部を取り出すことで塵埃を廃棄する。
【0038】
電動送風機4を作動させると、吸込口2から塵埃を含有した空気が吸気される。吸込口2から吸気された空気は、図4図7の矢印Yで示す流れを形成して、流入口21aから集塵装置20に流入し、上蓋ユニット22を通過し、集塵装置20から排出される。
【0039】
上記構成において、集塵カップ21内のダスト仕切部212の上部にあるフランジ部212aを境に、上部が遠心分離部40として作用する。すなわち、集塵装置20において、遠心分離部40は、集塵カップ21の内側面及び内筒部211の外周面等によって構成された旋回風路である。
【0040】
そして、流入口21aは、遠心分離部40が構成する旋回風路の接線方向に開口している。それゆえ、流入口21aを介して流入した空気は、図4図7に示す空気流Yのように、遠心分離部40が構成する旋回風路を旋回することによって、空気中の塵埃が遠心分離される。遠心分離された塵埃のうち、比較的大きい粗塵は、遠心力の作用により、集塵カップ21の内側面に沿って落下して、ダスト仕切部212の下方に集積される。
【0041】
粗塵が分離された空気は、図4に示すように内筒部211を通過する。このとき、遠心分離部40によって分離されなかった比較的小さい細塵は、空気流とともに、内筒部211のスリット211bを介して上昇する。
【0042】
一方、粗塵は、胴部211cに巻き付けられたメッシュ状のフィルタによって濾過される。内筒部211を通過した空気は、矢印Xで示される流れを形成し、上蓋ユニット22に収容されたフィルターユニットを通過することによって細塵が除去されて、集塵装置20から通気口27(図4図5)を介して接続流路12へ排出される。空気流Xは接続流路12から電動送風機4を経て排気流路13を通り排出口3から排出される。
【0043】
なお、集塵装置20は、サイクロン方式に限定されるものではなく、紙パック式や布袋式であってもよい。
【0044】
(抵抗発熱体の構成)
抵抗発熱体103は、図5図6に示されるように、プリント配線板103aの表面に複数の抵抗素子(酸化金属被膜抵抗器)rが立設され、プリント配線によって電気的に直列又は並列に接続される。
【0045】
そして、排気流路13の壁面に設けられた抵抗発熱体ケース103b内に、プリント配線板103aの表面の各抵抗素子rが排気気流に触れるように収容され、抵抗発熱体ケース103bはプリント配線板103aの裏面側からフタ103cによりビス103dを用いて閉鎖される。
【0046】
従って、図7に示すように電動送風機4によって、空気流Yが吸込口2から吸引流路11を介して集塵装置20に吸引され、接続流路12を経て排気流路13から排気出口3へ排出される空気流Xは、抵抗発熱体103の発熱と電動送風機の排熱によって加熱されることになる。
【0047】
(電気掃除機の制御系)
図8は実施形態1の電気掃除機の制御系を示すブロック図である。同図に示す制御部100は、外部電源からプラグ102を介して受入れた電力を、入力部101からの出力をうけて、抵抗発熱体103と回転ブラシ駆動モータ14の直列回路および電動送風機駆動モータ4aに駆動電力を供給すると共に、表示部105に制御信号を出力するようになっている。なお、この実施形態では、回転ブラシ駆動モータ14にDCマグネットモータを、電動送風機駆動モータ4aにはAC整流子モータを用いているが、これに限定されるものではない。
【0048】
制御部100は、CPU,ROM,RAMからなるマイクロコンピュータを備えると共に、抵抗発熱体103と回転ブラシ駆動モータ14の直列回路および電動送風機駆動モータ4aにそれぞれ電力を供給する電力供給回路を備える。抵抗発熱体103は直列接続された32個の抵抗素子rから構成される。
また、制御部100は抵抗発熱体103の1つの抵抗素子rの端子電圧から回転ブラシ駆動モータ14の負荷電流を検出するようになっている。この負荷電流の検出は、1つの抵抗素子rの端子電圧とは限らず、複数個ある抵抗素子の中から例えば、2個または3個のように一部分の抵抗素子rから検出してもよい。
【0049】
このような構成において、回転ブラシ駆動モータ14の無負荷電流をIo、定格負荷電流をIaとすると、掃除対象物が木製や樹脂製の板の場合には、回転ブラシ26と掃除対象物間の摩擦抵抗が極めて低いため、回転ブラシ駆動モータ14はほぼ無負荷状態となる。
従って、抵抗発熱体103の抵抗値をRとすると、その発熱電力Woは
Wo≒Io2R・・・(1)
で表わされる。
【0050】
一方、掃除対象物がふとんやカーペットの場合には、回転ブラシ26と掃除対象物間の摩擦抵抗が大きくなり、回転ブラシ駆動モータ14はほぼ定格負荷状態となる。
従って、抵抗発熱体103の発熱電力Waは
Wa≒Ia2R・・・(2)
で表わされる。
【0051】
Woに対するWaの比は
Wa/Wo=(Ia/Io)2・・・(3)
となる。例えば、Ia/Io=4であると、Wa/Wo=16となり、掃除対象物の性質によって抵抗発熱体103の発熱量が大きく変化することが分る。
【0052】
この実施形態における電気掃除機1の具体的な動作について図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0053】
使用者が掃除対象物(例えば、ふとん)の上に電気掃除機1を設置し、入力部101の起動スイッチをONにする(ステップS1)。それによって電動送風機駆動モータ4aおよび回転ブラシ駆動モータ14がONになる(ステップS2,S3)。
【0054】
使用者は、電気掃除機1を図2の矢印Aの方向に往復移動させて掃除作業を実行する。その掃除作業中にブラシ駆動モータ14の負荷電流が電圧Vmとして検出される(ステップS4)。電圧Vmがしきい値Vs以上、つまり、モータ14の負荷電流がモータロック電流に達したときには(ステップS5)、回転ブラシ26に掃除対象物(ふとん)が絡みついたものと判定され、回転ブラシ駆動モータ14は停止される(ステップS6)。
【0055】
そして、表示部105からその旨、警告される(ステップS7)。使用者はその警告を見て入力部101の起動スイッチをOFFにする(ステップS8)。それによって、電動送風機4が停止するので(ステップS9)、使用者は回転ブラシ26に絡みついた掃除対象物を除去する。なお、ステップS5においてVm>Vsでない場合には、ルーチンはステップS3へ戻る。
【0056】
[実施形態2]
図10はこの実施形態における電気掃除機1の図9対応図である。この実施形態における電気掃除機1の具体的な動作について図10に示すフローチャートを用いて説明する。他の構成は実施形態1と同等であるので、説明を省略する。
【0057】
使用者が掃除対象物(例えば、ふとん)の上に電気掃除機1を設置し、入力部101の起動スイッチをONにする(ステップS1)。それによって電動送風機駆動モータ4aおよび回転ブラシ駆動モータ14がONになる(ステップS2,S3)。
【0058】
このとき、プラグ102(図8)から入力される電源の電圧が検出され(ステップS3a)、その検出された電源電圧に対応する電圧V1がしきい電圧Vsとして設定される(ステップS3b)。
【0059】
使用者は、電気掃除機1を図2の矢印Aの方向に往復移動させて掃除作業を実行する。その掃除作業中にブラシ駆動モータ14の負荷電流が電圧Vmとして検出される(ステップS4)。電圧Vmがしきい値Vs以上、つまり、モータ14の負荷電流がモータロック電流に達したときには(ステップS5)、回転ブラシ26に掃除対象物(ふとん)が絡みついたものと判定され、回転ブラシ駆動モータ14は停止される(ステップS6)。
【0060】
そして、表示部105からその旨、警告される(ステップS7)。使用者はその警告を見て入力部101の起動スイッチをOFFにする(ステップS8)。それによって、電動送風機4が停止するので(ステップS9)、使用者は回転ブラシ26に絡みついた掃除対象物を除去する。なお、ステップS5においてVm>Vsでない場合には、ルーチンはステップS3へ戻る。
【0061】
このように、電源電圧の変化によってモータロック電流の値に対応する電圧のしきい値が変化する場合には、変化する電源電圧に対応する値にしきい値が設定されるので、回転ブラシ駆動モータ14は電源電圧が変動しても安全に駆動される。
【0062】
[実施形態3]
図11はこの実施形態における電気掃除機1の図9対応図である。この実施形態における電気掃除機1の具体的な動作について図11に示すフローチャートを用いて説明する。他の構成は実施形態1と同等であるので、説明を省略する。
【0063】
使用者が掃除対象物(例えば、ふとん)の上に電気掃除機1を設置し、入力部101の起動スイッチをONにする(ステップS1)。それによって電動送風機駆動モータ4aおよび回転ブラシ駆動モータ14がONになる(ステップS2,S3)。
【0064】
使用者は、電気掃除機1を図2の矢印Aの方向に往復移動させて掃除作業を実行する。その掃除作業中にブラシ駆動モータ14の負荷電流が電圧Vmとして検出される(ステップS4)。電圧Vmがしきい値Vs以上、つまり、モータ14の負荷電流がモータロック電流に達したときには(ステップS5)、回転ブラシ26に掃除対象物(ふとん)が絡みついたものと判定され、回転ブラシ駆動モータ14は停止される(ステップS6)。
【0065】
その後、所定時間t(例えば、10秒)が経過し(ステップS6a)、今までの回転ブラシ駆動モータ14の駆動停止回数nがすでにs回(例えば、5回)を越えていると、表示部105から警告が表示される(ステップS7)。この所定時間tを設けたことにより、この時間に回転ブラシ駆動モータ14を冷却することができる。
【0066】
使用者はその警告を見て入力部101の起動スイッチをOFFにする(ステップS8)。それによって、電動送風機4が停止するので(ステップS9)、使用者は回転ブラシ26に絡みついた掃除対象物を除去する。なお、ステップS5においてVm>Vsでない場合には、ルーチンはステップS3へ戻る。
【0067】
また、ステップS6bにおいて、n≦sの場合には、ルーチンはステップS3に戻り、ステップS3〜S6bがn=sになるまでくり返される。
なお、上述の実施形態2の電源電圧の変化によってモータロック電流の値に対応する電圧のしきい値が変化する場合には、変化する電源電圧に対応する値にしきい値が設定されるように制御できるようにして、上述の実施形態3の第1モータへの電力の供給を停止させたのち所定時間毎に電力の供給・停止動作を所定回数くり返し行い、前記検知電圧が前記しきい値を越えたとき警告部に警告させるようにしてもよい。
上述の実施形態において、プラグ102(図8)から入力される電源の電圧については、例えば、日本国の電源電圧AC100V或いは、外国の電源電圧AC220V〜240Vのようにあらゆる電源電圧に対応して適用することが可能である。
また、上述の実施形態では、電動送風機からの排熱によって掃除対象物を吹き付けるようにした電気掃除機を想定しているが、排熱を考慮しないような電気掃除機であれば、排気流路内に抵抗発熱体を設ける必要もないことから、抵抗発熱体を有する制御部を掃除機本体内の任意の場所に配置してもよい。
【0068】
(まとめ)
この発明の電気掃除機は、掃除すべき対象物に接触可能な回転ブラシを備える吸込口から塵埃を含む空気を電動送風機によって集塵部へ吸引すると共に、浄化された空気を排気流路を介して前記対象物の方向へ排出する掃除機構と、前記排気流路内に設けられた抵抗発熱体と、前記回転ブラシを駆動する第1モータと前記電動送風機を駆動する第2モータと前記抵抗発熱体とに外部電源からの電力を供給する制御部とを備え、第1モータの負荷電流が大きくなる程、抵抗発熱体に流れる電流が大きくなるように構成されたことを特徴とする電気掃除機である。
【0069】
また、この発明の電気掃除機は、次のように構成されてもよい。
(1)前記発熱抵抗体と第1モータとが直列接続され、前記制御部は前記抵抗発熱体と第1モータとの直列回路に前記電力を供給する。
このようにすれば、容易な回路構成で対応することができ、小型化、軽量化が図れる。
(2)前記制御部は、第1モータに流れる電流を前記抵抗発熱体の一部から電圧として検知し、検知電圧がしきい値を越える時に第1モータへの電力の供給を停止する。
このようにすれば、容易な構成で確実に電圧を検出することができる。
(3)警告部をさらに備え、前記制御部は、第1モータへの電力の供給を停止させたのち所定時間毎に電力の供給・停止動作を所定回数くり返し行い、前記検知電圧が前記しきい値を越えたとき前記警告部に警告させる。
このようにすれば、電力の供給、停止動作を複数回繰り返すことで、誤った警告が避けられてより確実に警告することができる。
(4)前記制御部は、外部電源の電圧に応じて前記しきい値を変化させる。
このようにすれば、外部電源の電源電圧の変化によってモータロック電流の値に対応する電圧のしきい値が変化する場合には、変化する電源電圧に対応する値にしきい値が設定されるので、回転ブラシ駆動モータは電源電圧が変動しても安全に駆動される。
【0070】
なお、開示された実施形態は、全ての点で例であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
1 電気掃除機、 2 吸込口、 3 排出口、 4 電動送風機、 4a 電動送風機駆動モータ、 6 排気フィルタ、 10 掃除機本体、 11 吸引流路、 12 接続流路、 13 排気流路、 14 回転ブラシ駆動モータ、 20 集塵装置、 21 集塵カップ、 21a 流入口、 22 上蓋ユニット、 23 カバー、 25 仕切壁、 26 回転ブラシ、 27 通気口、 29 案内部、 30 把手、 40 遠心分離部、 100 制御部、 101 入力部、 102 プラグ、 103 抵抗発熱体、 103a プリント配線板、 103b 抵抗発熱体ケース、 103c フタ、 103d ビス、 105 表示部、 211 内筒部、 211a 上側端縁、 211b スリット、 211c 胴部、 211d 下側端縁、 212 ダスト仕切部、 212a フランジ部、 212b 大経筒部、 212c 小経筒部、 A 矢印、 r 抵抗素子、 Y 矢印、 X 矢印
図1
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図11