特許第6609546号(P6609546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6609546尿素および/または尿素誘導体と、非イオン性、カチオン性、両性またはアニオン性会合性ポリマー増粘剤とを含んでなる、ケラチン繊維をストレート化するための組成物、方法、およびそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6609546
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】尿素および/または尿素誘導体と、非イオン性、カチオン性、両性またはアニオン性会合性ポリマー増粘剤とを含んでなる、ケラチン繊維をストレート化するための組成物、方法、およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20191111BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20191111BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20191111BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20191111BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20191111BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   A61K8/42
   A61K8/81
   A61K8/87
   A61K8/73
   A61K8/86
   A61Q5/04
【請求項の数】14
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2016-509487(P2016-509487)
(86)(22)【出願日】2014年4月25日
(65)【公表番号】特表2016-518380(P2016-518380A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】EP2014058453
(87)【国際公開番号】WO2014174075
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2017年1月27日
(31)【優先権主張番号】1353774
(32)【優先日】2013年4月25日
(33)【優先権主張国】FR
(31)【優先権主張番号】1353775
(32)【優先日】2013年4月25日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・プロ
(72)【発明者】
【氏名】パトリス・レルダ
(72)【発明者】
【氏名】アンヌ・ブシャラ
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−338446(JP,A)
【文献】 特表2008−520604(JP,A)
【文献】 特表2009−537618(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01702609(EP,A1)
【文献】 特開2006−176516(JP,A)
【文献】 特開2006−176519(JP,A)
【文献】 特開2006−265246(JP,A)
【文献】 特開2002−338445(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/056361(WO,A1)
【文献】 特表2009−544607(JP,A)
【文献】 特表2009−544606(JP,A)
【文献】 特表2009−544605(JP,A)
【文献】 特表2003−517996(JP,A)
【文献】 特表2003−503338(JP,A)
【文献】 特表2002−523348(JP,A)
【文献】 特表2002−515910(JP,A)
【文献】 特表平11−506125(JP,A)
【文献】 特表平11−506126(JP,A)
【文献】 特表平10−510288(JP,A)
【文献】 特表平09−512277(JP,A)
【文献】 特開2006−096725(JP,A)
【文献】 特開2009−234985(JP,A)
【文献】 特開2007−091615(JP,A)
【文献】 特開2003−012496(JP,A)
【文献】 特開2002−121128(JP,A)
【文献】 特開2002−080401(JP,A)
【文献】 特開2002−284693(JP,A)
【文献】 特開2005−170941(JP,A)
【文献】 特表2011−523630(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0192888(US,A1)
【文献】 特開2006−137753(JP,A)
【文献】 特開2000−229819(JP,A)
【文献】 特開2001−151629(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0068291(US,A1)
【文献】 特開昭61−183213(JP,A)
【文献】 米国特許第05338540(US,A)
【文献】 特開平11−228361(JP,A)
【文献】 特表2003−510260(JP,A)
【文献】 特開2004−161710(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0127337(US,A1)
【文献】 特開2006−257084(JP,A)
【文献】 特開2006−225375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/42
A61K 8/73
A61K 8/81
A61K 8/86
A61K 8/87
A61Q 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維をストレート化するための方法であって、
(i)ケラチン繊維に、化粧品組成物を適用するステップと、それに続いて、
(ii)加熱手段によって前記ケラチン繊維の温度を100〜250℃の範囲の温度に高めるステップと
を含んでなり、前記化粧品組成物が、
(a)組成物の全重量に対して少なくとも2重量%の、尿素およびヒドロキシエチル尿素から選択される1種またはそれ以上の化合物、
(b)非イオン性、カチオン性、両性またはアニオン性会合性増粘ポリマーから選択される、1種またはそれ以上の非イオン性、カチオン性、両性またはアニオン性ポリマー増粘剤であって、前記アニオン性ポリマー増粘剤が1種またはそれ以上のアクリルおよび/またはメタクリル単位を含んでなる、ポリマー増粘剤
を含んでなり、前記方法ではアルカリ活性剤または還元剤の使用が関与しない、方法。
【請求項2】
前記化合物(a)が、前記組成物の全重量に対して、2重量%〜50重量%を表すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物(b)が、pH7および室温(25℃)で、水溶性または水分散性であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物(b)が、
(i)少なくとも1つの脂肪鎖および少なくとも1つの親水性単位を含んでなる非イオン性両親媒性ポリマー;
(ii)少なくとも1つの親水性単位および少なくとも1つの脂肪鎖単位を含んでなるカチオン性両親媒性ポリマー;
(iii)少なくとも1つの親水性単位および少なくとも1つの脂肪鎖単位を含んでなる両性の両親媒性ポリマーであって、前記脂肪鎖が10〜30個の炭素原子を含有する、両親媒性ポリマー
から選択されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物(b)が、非イオン性またはカチオン性会合性増粘ポリマーであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物(b)が、アニオン性会合性増粘剤から選択されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物(b)が、不飽和オレフィンカルボン酸型の少なくとも1つの親水性単位、および不飽和カルボン酸型の(C10〜C30)アルキルエステルの少なくとも1つの疎水性単位を含んでなるものから選択されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記(メタ)アクリル会合性増粘剤が、不飽和オレフィンカルボン酸型の親水性単位が、次式(VIII):
【化1】
(式中、式Rは、H、CHを示す)のモノマーに相当するものから選択され、不飽和カルボン酸型の(C10〜C30)アルキルエステルの疎水性単位が、次式(IX):
【化2】
(式中、式Rは、HまたはCHを示し、Rは、C10〜C30アルキル基を示す)のモノマーに相当するものから選択されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
化合物(b)が、遊離体、または部分的もしくは全体的に中和された形態のスルホン酸基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマーを含んでなり、少なくとも1つの疎水性部分を含んでなるものから選択されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記化合物(b)が、前記組成物の全重量に対して、0.01重量%〜30重量%を表すことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、すでに記載されたポリマー増粘剤以外の1種またはそれ以上のポリマー増粘剤も含んでなることを特徴とする、請求項1〜1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、1種またはそれ以上の界面活性剤、特に、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性界面活性剤を含んでなることを特徴とする、請求項1〜1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、1種またはそれ以上の脂肪物質を含んでなることを特徴とする、請求項1〜1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記加熱手段がアイロンである、請求項1〜1のいずれか一項に記載のストレート化するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿素およびそれらの誘導体から選択される1種またはそれ以上の化合物と、1種またはそれ以上のアクリルおよび/またはメタクリル単位を含んでなる、1種またはそれ以上の非イオン性、カチオン性、両性またはアニオン性会合性ポリマー増粘剤とを含んでなる、ケラチン繊維、特に、毛髪などのヒトのケラチン繊維の持続的なストレート化のための組成物に関する。
【0002】
また本発明は、ケラチン繊維、特に、毛髪などのヒトのケラチン繊維をストレート化するための本発明による組成物の使用にも関する。
【0003】
最終的に、本発明の対象は、本発明による組成物をケラチン繊維に適用するステップと、次いで、加熱手段を使用して、約25℃〜250℃の範囲の温度までケラチン繊維の温度を増加させるステップとを含んでなる、ケラチン繊維、特に、毛髪などのヒトのケラチン繊維をストレート化するための方法である。
【背景技術】
【0004】
毛髪の外観に不満を抱く人は多く、特に、縮れた毛髪を有する人々は、通常、真っ直ぐな毛髪を得ることを望み、そして逆に、縮れていない毛髪を有する人々は、縮れた毛髪を有することを望む。
【0005】
毛髪をパーマネントリシェイプするために通常使用される第1の技術は、第1のステップにおいて、適切な還元剤を含有する組成物を使用して、ケラチン(ケラトシスチン)の−S−S−ジスルフィド結合を開放するステップ(還元ステップ)と、次いで、第2のステップにおいて、そのように処理された毛髪の頭部を、一般に水ですすいだ後、(例えば、ローラーで)あらかじめ張力下に配置された毛髪に酸化組成物を適用することによって、最終的に毛髪に所望の形状を与えるように、上記ジスルフィド結合を再構成するステップ(酸化ステップ、固定ステップとしても知られる)とからなる。このような技術は、したがって、毛髪をストレート化する(リラックス化(relax))することを可能にする。上記などの化学的処理によって毛髪に与えられる新しい形状は永久的であり、特に、毛髪のセットなどの一時的にストレート化する単純な従来技術とは対照的に、水またはシャンプーによる洗浄に耐性を有する。
【0006】
パーマネントストレート化の操作の第1のステップに使用されてもよい還元組成物は、一般に、サルファイト、ビサルファイト、アルキルホスフィン、または、好ましくは、チオールを還元剤として含有する。後者の中でも、一般に使用されるものは、システインおよびそれらの様々な誘導体、システアミンおよびそれらの誘導体、チオ乳酸またはチオグリコール酸、ならびにそれらの塩およびそれらのエステル、特に、チオグリコール酸グリセリルである。
【0007】
固定ステップを実行するために必要とされる酸化組成物は、通常、過酸化水素水溶液をベースとする組成物である。
【0008】
毛髪ストレート化技術において、このパーマネントストレート化操作は、縮れた毛髪またはボリューム感のある毛髪において、多少の顕著なストレート化、ならびに毛髪の体積および見かけの質量の低下を得るために、一般に実行される。
【0009】
しかしながら、そのような技術は、完全に満足できるものではない。なぜならば、この技術は、毛髪の形状を変更するために非常に有効であることは証明されているが、この技術は、主に還元組成物で使用される還元剤の高含有量によって、また、そのようなプロセスに関与し得る様々な多少の長い放置(leave−on)時間によって、毛髪繊維を悪化させる。
【0010】
したがって、この技術は、長期的に毛髪の品質の減損を誘導するおそれがあり、これによって光沢などの化粧特性の低下が導かれ、また、還元ステップおよび酸化ステップの間のすすぎの間の毛髪の膨潤によって、機械特性、特に機械強度の悪化が導かれ、これは、毛髪の多孔性の増加によって反映される可能性もある。これらの欠点は、特に、8.5〜9.5の範囲のpH値で塩基性媒体中で一般に使用されるチオグリコール酸によって観察される。
【0011】
そのうえ、上記の毛髪をパーマネントストレート化するための技術は、あらかじめ人工的に着色された毛髪に適用され、通常、このような人工着色の悪化または除去が導かれる。
【0012】
同様に、上記の技術によってパーマネントウェーブ化された毛髪に着色が適用される場合、得られる着色は、パーマネントウェーブ化されていない天然毛髪において通常得られる着色とは非常に異なる。
【0013】
また、還元剤の使用によって、毛髪のストレート化、特に毛髪をリラックス化すること、または縮れさせることに関して満足できない耐久性をもたらすことも観察されている。
【0014】
さらに、これらの還元剤の使用が不快感(刺激、かゆみなど)を頭皮に導くことをも発見された。
【0015】
最終的に、使用される還元組成物、特に、チオールを含有するもの、および還元された毛髪の両方に関して、匂いの問題に対処しなければならないことは非常に共通である。
【0016】
通常、毛髪のストレート化またはリラックス化を得るために使用される第2の技術は、水酸化物系に属する塩基を含有する組成物を使用して、ランチオナイゼーション(lanthionization)として既知の操作を実行するステップからなる。これは、ジスルフィド結合(−CH−S−S−CH−)のランチオニン結合(−CH−S−CH−)による置換を導く。このランチオナイゼーション操作は、二つの連続する化学反応を含む。
【0017】
第1の反応は、以下の反応スキームに示すように、ヒドロキシドイオンにより引き起こされるシスチンのベータ脱離からなり、この結合の破壊およびデヒドロアラニンの形成を引き起こす。
【化1】
【0018】
第2の反応は、デヒドロアラニンとチオール基との反応である。特に、形成されたデヒドロアラニンの二重結合は反応性二重結合である。これは、放出されたシステイン残基のチオール基と反応して、ランチオニン架橋、または結合、または残基として既知の新たな結合を形成することができる。この第2の反応は、以下の反応スキームによって例示される。
【化2】
【0019】
還元剤を用いた第1の技術と比較して、このランチオナイゼーション技術は、ランチオニン結合の形成が不可逆的であるため、固定化ステップを必要としない。したがって、これは単一ステップで実施され、無差別に毛髪のウェーブ化、あるいは毛髪の形成、リラックス化またはストレート化を可能にする。この技術は、主に、生まれつきの縮れ毛を成形するために用いられる。
【0020】
しかしながら、このプロセスの間に利用されるヒドロキシドは、腐食性であるという欠点を有する。この腐食性は、時に深刻な刺激を引き起こすことにより頭皮に影響し、また一方で粗い感触を与え、他方で非常に脆弱化することにより髪の状態に影響する可能性がある。ヒドロキシドの使用は、ある場合には、毛髪の天然色の脱色をも引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】US6010707A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、上記の欠点の組み合わせを有さず、すなわち、アルカリ活性剤または還元剤の使用が関与せず、ケラチン繊維の持続的なストレート化を可能にするが、同時に、光沢および化粧特性(cosmeticity)に関して特に満足なキャピラリー特性を与える、新規組成物を発見すること、およびケラチン繊維、特に毛髪などのヒトのケラチン繊維の持続的なストレート化のためのプロセスを実施することが真に必要とされている。
さらにまた、そのような組成物は、特に質感および粘度に関して、そして特に、毛髪の頭部上での拡散の容易さ、ブロードライの容易さ、および加熱デバイス、例えば、フラットトングの通過の容易さに関して、良好なワーキング品質を有さなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0023】
今や、出願人は、(a)尿素および/または尿素誘導体から選択される1種またはそれ以上の化合物と、(b)1種またはそれ以上のアクリルおよび/またはメタクリル単位を含んでなる、1種またはそれ以上の非イオン性、カチオン性、両性ポリマー会合性増粘剤またはアニオン性ポリマー会合性増粘剤とを含んでなる、ケラチン繊維ストレート化組成物の使用によって、特に、加熱手段の使用と組み合わせた場合、所望の持続的ストレート化特性を達成することが可能となることを見出した。
【0024】
したがって、本発明の1つの対象は、
(a)組成物の全重量に対して少なくとも2重量%の、尿素および/または尿素誘導体から選択される1種またはそれ以上の化合物、
(b)非イオン性、カチオン性、両性またはアニオン性会合性増粘ポリマーから選択される、1種またはそれ以上の非イオン性、カチオン性、両性またはアニオン性ポリマー増粘剤であって、上記アニオン性ポリマー増粘剤が1種またはそれ以上のアクリルおよび/またはメタクリル単位を含んでなる、ポリマー増粘剤
を含んでなる化粧料組成物である。
【0025】
本発明によるこの組成物のケラチン繊維への適用の後、25℃〜250℃の範囲の温度における加熱手段の使用が続き、これによって、特に、強アルカリ剤または還元剤を使用するストレート化の欠点を有することなく、ケラチン繊維の持続的なストレート化を可能にする。
【0026】
さらにまた、本発明による組成物は、非常に良好な化粧品質および非常に良好なワーキング品質を有する。
【0027】
本発明の他の特徴および利点は、以下の記載および実施例を読むことによって、より明らかにされる。
【0028】
上記の通り、本発明による組成物は、
(a)組成物の全重量に対して少なくとも2重量%の、尿素および/または尿素誘導体から選択される1種またはそれ以上の化合物、
(b)非イオン性、カチオン性、両性またはアニオン性会合性増粘ポリマーから選択される、1種またはそれ以上の非イオン性、カチオン性、両性またはアニオン性ポリマー増粘剤であって、上記アニオン性ポリマー増粘剤が1種またはそれ以上のアクリルおよび/またはメタクリル単位を含んでなる、ポリマー増粘剤
を含んでなる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
「尿素誘導体」という用語は、その化学構造に、2個の窒素原子に単に結合したカルボニル基、すなわち、以下の単位
【化3】
を含んでなる、尿素CO(NH自体以外のいずれかの化合物を意味する。
【0030】
好ましくは、上記化合物は、(a)式(I)または(II)の化合物、それらの塩またはそれらの水和物から選択される。
【化4】
(式中、
−R1、R2、R3およびR4は、独立して、
(i)水素原子、あるいは
(ii)直鎖または分枝鎖、環式または非環式C〜C低級アルキルまたはアルケニル基、C〜Cアルコキシ基、C〜C18アリール基、5〜8員複素環式基を表し;これらの基は、以下の基:ヒドロキシル、(ジ)(C〜C)(アルキル)アミノ、例えば、ジメチルアミノ、カルボキシル、ハロゲン、C〜C18アリール、カルボキサミドおよびN−メチルカルボキサミドから選択される基によって任意選択的に置換され;
以下、
−R1、R2およびR3が水素原子を表す場合、R4は、カルボキサミド、メトキシ、エトキシ、1,2,4−トリアゾリル、シクロペンチル、(C〜C)アルキルカルボニル、例えば、アセチル、または(C〜C)アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル、−CO−CH=CH−COOH、塩素原子またはヒドロキシルで任意に置換されたフェニル、ベンジルまたは2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル基を示し得ること;
−R1およびR3が水素原子を表す場合、R2は水素原子またはメチルもしくはエチル基を表し得、そしてR4はアセチル基を表し得ること;
−R1=R2=Hである場合、R3およびR4は、それらを有する窒素原子と一緒に、ピペリジン、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾールまたはマレイミド環を形成することができること;
−R1およびR2、またR3およびR4は、それらを有する窒素原子と一緒に、イミダゾール環を形成することができること
が理解され;
−R5およびR6は、互いに独立して、
(iii)水素原子、あるいは
(iv)直鎖または分枝鎖、環式または非環式C〜C低級アルキル、アシルまたはアルケニル基、C〜Cアルコキシ基、C〜C18アリール基、5〜8員複素環式基を表し;これらの基は、以下の基:ヒドロキシル、アミノ、ジメチルアミノ、カルボキシル、ハロゲン、C〜C18アリール、カルボキサミドおよびN−メチルカルボキサミドから選択される基によって任意に置換され;
−Aは、以下の基:CH−CH、CH=CH、CH−CO、CO−NH、CH=N、CO−CO、CHOH−CHOH、(HOOC)CH−CH、CHOH−CO、CH−CH−CH、CH−NH−CO、CH=C(CH)−CO、NH−CO−NH、CH−CH−CO、CH−N(CH)−CH、NH−CH−NH、CO−CH(CH)−CH、CO−CH−CO、CO−NH−CO、CO−CH(COOH)−CH、CO−CH=C(COOH)、CO−CH=C(CH)、CO−C(NH)=CH、CO−C(CH)=N、CO−CH=CH、CO−CH=NおよびCO−N=CHから選択される基である。)
【0031】
本発明による特に好ましい式(I)の化合物の中でも以下が記載されてよい。
−尿素
−メチル尿素
−エチル尿素
−プロピル尿素
−n−ブチル尿素
−sec−ブチル尿素
−イソブチル尿素
−tert−ブチル尿素
−シクロペンチル尿素
−エトキシ尿素
−ヒドロキシエチル尿素
−N−(2−ヒドロキシプロピル)尿素
−N−(3−ヒドロキシプロピル)尿素
−N−(2−ジメチルアミノプロピル)尿素
−N−(3−ジメチルアミノプロピル)尿素
−1−(3−ヒドロキシフェニル)尿素
−ベンジル尿素
−N−カルバモイルマレアミド
−N−カルバモイルマレアミド酸(N-carbamoylmaleamic acid)
−ピペリジンカルボキサミド
−1,2,4−トリアゾル−4−イル尿素
−ヒダントイン酸
−メチルアロファネート
−エチルアロファネート
−アセチル尿素
−ヒドロキシエチレン尿素
−2−(ヒドロキシエチル)エチレン尿素
−ジアリル尿素
−クロロエチル尿素
−N,N−ジメチル尿素
−N,N−ジエチル尿素
−N,N−ジプロピル尿素
−シクロペンチル−1−メチル尿素
−1,3−ジメチル尿素
−1,3−ジエチル尿素
−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)尿素
−1,3−ビス(2−ヒドロキシプロピル)尿素
−1,3−ビス(3−ヒドロキシプロピル)尿素
−1,3−ジプロピル尿素
−エチル−3−プロピル尿素
−sec−ブチル−3−メチル尿素
−イソブチル−3−メチル尿素
−シクロペンチル−3−メチル尿素
−N−アセチル−N’−メチル尿素
−トリメチル尿素
−ブチル−3,3−ジメチル尿素
−テトラメチル尿素、および
−ベンジル尿素。
【0032】
本発明による特に好ましい式(II)の化合物の中でも以下が記載されてよい。
−パラバン酸
−1,2−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾル−2−オン
−バルビツール酸
−ウラシル
−1−メチルウラシル
−3−メチルウラシル
−5−メチルウラシル
−1,3−ジメチルウラシル
−5−アザウラシル
−6−アザウラシル
−5−フルオロウラシル
−6−フルオロウラシル
−1,3−ジメチル−5−フルオロウラシル
−5−アミノウラシル
−6−アミノウラシル
−6−アミノ−1−メチルウラシル
−6−アミノ−1,3−ジメチルウラシル
−4−クロロウラシル
−5−クロロウラシル
−5,6−ジヒドロウラシル
−5,6−ジヒドロ−5−メチルウラシル
−2−イミダゾリドン
−1−メチル−2−イミダゾリジノン
−1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
−4,5−ジヒドロキシ−イミダゾリジン−2−オン
−1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン
−1−(2−ヒドロキシプロピル)−2−イミダゾリジノン
−1−(3−ヒドロキシプロピル)−2−イミダゾリジノン
−4,5−ジヒドロキシ−1,3−ジメチル−イミダゾリジン−2−オン
−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン
−2−イミダゾリドン−4−カルボン酸
−1−(2−アミノエチル)−2−イミダゾール
−4−メチル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン
−2,4−ジヒドロキシ−6−メチルピリミジン
−1−アミノ−4,5−ジヒドロ−1H−テトラゾル−5−オン
−ヒダントイン
−1−メチルヒダントイン
−5−メチルヒダントイン
−5,5−ジメチルヒダントイン
−5−エチルヒダントイン
−5−n−プロピルヒダントイン
−5−エチル−5−メチルヒダントイン
−5−ヒドロキシ−5−メチルヒダントイン
−5−ヒドロキシメチルヒダントイン
−1−アリルヒダントイン
−1−アミノヒダントイン
−ヒダントイン−5−酢酸
−4−アミノ−1,2,4−トリアゾロン−3,5−ジオン
−ヘキサヒドロ−1,2,4,5−テトラジン−3,6−ジオン
−5−メチル−1,3,5−トリアジノン−2−オン
−1−メチルテトラヒドロピリミジン−2−オン
−2,4−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン
−ウラゾール
−4−メチルウラゾール
−オロチン酸
−ジヒドロキシオロチン酸
−2,4,5−トリヒドロキシピリミジン
−2−ヒドロキシ−4−メチルピリミジン
−4,5−ジアミノ−2,6−ジヒドロキシピリミジン
−バルビツール酸
−1,3−ジメチルバルビツール酸
−シアヌル酸
−1−メチル−ヘキサヒドロピリミジン−2,4−ジオン
−1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2−1H−ピリミジノン
−5−(ヒドロキシメチル−2,4−(1H,3H)−ピリミジンジオン
−2,4−ジヒドロキシピリミジン−5−カルボン酸
−6−アザチミン
−5−メチル−1,3,5−トリアジナン−2−オン
−N−カルバモイルマレアミド酸、および
−アロキサン一水和物。
【0033】
好ましくは、上記化合物(a)は、尿素およびヒドロキシエチル尿素から選択される。
【0034】
上記化合物(a)は、好ましくは、組成物の全重量に対して、2重量%〜50重量%、より好ましくは、2重量%〜20重量%、さらに好ましくは、2重量%〜12重量%、なお好ましくは、2重量%〜10重量%を表す。
【0035】
本発明による組成物は、1種またはそれ以上のアクリルおよび/またはメタクリル単位を含んでなる、1種またはそれ以上の非イオン性、カチオン性、両性会合性ポリマー増粘剤またはアニオン性会合性ポリマー増粘剤(b)も含んでなる。
【0036】
本発明によると、「増粘剤」という用語は、それらの存在によって、それらが導入された水相の粘度が、25℃および1秒−1の剪断速度で、少なくとも20cps、好ましくは少なくとも50cps増加する化合物を意味する(粘度は、円錐/平板粘度計、Haake R600レオメーターなどを使用して測定されてよい)。
【0037】
1種またはそれ以上のアクリルおよび/またはメタクリル単位を含んでなる、これらの非イオン性、カチオン性、両性会合性ポリマー増粘剤またはアニオン性会合性ポリマー増粘剤は、pH7および室温(25℃)で、好ましくは水溶性または水分散性である。
【0038】
「水溶性」および「水分散性」という用語は、pH7および室温(25℃)で、0.1%の重量濃度で、水中で視覚的に均一な(1相)の媒体を形成するポリマーを指す。
【0039】
「会合性ポリマー(associative polymer)」という用語は、水性媒体中で、可逆的に互いと、または他の分子と組み合わせることが可能なポリマーを指す。
【0040】
会合性ポリマーは、特に、少なくとも1つの親水性部分および少なくとも1つの疎水性部分を含んでなる。
【0041】
したがって、特に、会合性ポリマーは、少なくとも1つの疎水性基を含んでなる。
【0042】
「疎水性基」という用語は、少なくとも10個の炭素原子、好ましくは10〜30個の炭素原子、特に12〜30個の炭素原子、そしてより好ましくは18〜30個の炭素原子を含んでなる、飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖炭化水素をベースとする鎖を有する基またはポリマーを意味する。
【0043】
好ましくは、炭化水素をベースとする基は、単官能基化合物から誘導される。
【0044】
一例として、疎水性基は、脂肪アルコール、例えば、ステアリルアルコール、ドデシルアルコールまたはデシルアルコールから誘導されてもよい。炭化水素をベースとするポリマー、例えばポリブタジエンも示されてもよい。
【0045】
本発明によって使用される会合性増粘ポリマーは、特に、以下から選択される:
(i)少なくとも1つの脂肪鎖および少なくとも1つの親水性単位を含んでなる非イオン性両親媒性ポリマー;
(ii)少なくとも1つの親水性単位および少なくとも1つの脂肪鎖単位を含んでなるカチオン性両親媒性ポリマー;
(iii)少なくとも1つの親水性単位および少なくとも1つの脂肪鎖単位を含んでなる両性の両親媒性ポリマー。なお、脂肪鎖は10〜30個の炭素原子を含有する。
【0046】
非イオン性会合性ポリマーは、好ましくは、以下から選択される:
−(1)少なくとも1つの脂肪鎖を含んでなる基で変性されるセルロース;記載されてよい例としては、以下が挙げられる:
−少なくとも1つの脂肪鎖、例えば、アルキル、アリールアルキルもしくはアルキルアリール基、またはそれらの混合物を含んでなる基で変性されるが、アルキル基は好ましくはC〜C22である、ヒドロキシエチルセルロース、例えば、Aqualon社によって販売されるNatrosol Plus Grade 330 CS(C16アルキル)という製品、またはBerol Nobel社によって販売されるBermocoll EHM 100、
−アルキルフェニルポリアルキレングリコールエーテル基で変性されるヒドロキシエチルセルロース、例えば、Amerchol社によって販売されるAmercell Polymer HM1500(ノニルフェニルポリエチレングリコール(15)エーテル)という製品、
−(2)少なくとも1つの脂肪鎖を含んでなる基で変性されるヒドロキシプロピルグアー、例えば、Lamberti社によって販売されるEsaflor HM 22(C22アルキル鎖)という製品、ならびにRhodia社によって販売されるRE210−18(C14アルキル鎖)およびRE205−1(C20アルキル鎖)という製品、
−(3)C〜Cアルキルメタクリレートまたはアクリレートおよび少なくとも1つの脂肪鎖を含んでなる両親媒性モノマーのコポリマー、例えば、Antil 208の名称で、Goldschmidt社によって販売されるオキシエチレン化メチルアクリレート/ステアリルアクリレートコポリマー、
−(4)親水性メタクリレートまたはアクリレートおよび少なくとも1つの脂肪鎖を含んでなる疎水性モノマーのコポリマー、例えば、ポリエチレングリコールメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー、
−(5)通常、ポリオキシエチレン化された性質の親水性ブロック、ならびに脂肪族配列のみ、および/または脂環式および/または芳香族配列であってもよい疎水性ブロックの両方をそれらの鎖に含んでなるポリウレタンポリエーテル、
−(6)少なくとも1つの脂肪鎖を有するアミノプラストエーテル骨格鎖を有するポリマー、例えば、Sud−Chemie社によって販売されるPure Thix化合物、
−(7)ビニルピロリドンおよび脂肪鎖疎水性モノマーのコポリマー;記載されてよい例としては、以下が挙げられる:
−ISP社によって販売されるAntaron V216またはGanex V216(ビニルピロリドン/ヘキサデセンコポリマー)という製品、
−ISP社によって販売されるAntaron V220またはGanex V220(ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー)という製品。
【0047】
好ましくは、ポリウレタンポリエーテルは、親水性ブロックによって分離された、8〜30個の炭素原子を含有する少なくとも2つの炭化水素をベースとする親油性鎖を含んでなり、炭化水素をベースとする鎖は、おそらく、ペンダント鎖であるか、または親水性ブロックの終端の鎖である。特に、1種またはそれ以上のペンダント鎖を想定することが可能である。加えて、ポリマーは、親水性ブロックの一端または両端で炭化水素をベースとする鎖を含んでなってもよい。
【0048】
ポリウレタンポリエーテルは、マルチブロックであってよく、特に、トリブロックの形態であってよい。疎水性ブロックが、鎖の各末端にあってもよく(例えば:トリブロックコポリマーは親水性中心ブロックを含有する)、または末端および鎖中の両方に分配されてもよい(例えば、マルチブロックコポリマー)。これらの同一ポリマーは、グラフトポリマーまたはスターポリマーでもよい。
【0049】
非イオン性脂肪鎖ポリウレタンポリエーテルは、親水性ブロックが、50〜1000個のオキシエチレン基を含んでなるポリオキシエチレン化された鎖であるトリブロックコポリマーでもよい。非イオン性ポリウレタンポリエーテルは、名前の通り、親水性ブロック間のウレタン結合を含んでなる。
【0050】
拡大解釈すると、非イオン性脂肪鎖ポリウレタンには、親水性ブロックが、他の化学的結合を介して親油性ブロックと結合しているものも含まれる。
【0051】
脂肪鎖非イオン性ポリウレタンポリエーテルの例としては、Rheox社によって販売される、尿素官能性を含有するRheolate 205、あるいはRheolate 208、204または212、ならびにRoehm & Haas社からのAcrysol RM 184、Aculyn 44およびAculyn 46が使用されてもよい[Aculyn 46は、マルトデキストリン(4%)および水(81%)のマトリックス中で15重量%の、150または180モルのエチレンオキシドを含有するポリエチレングリコール、ステアリルアルコールおよびメチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)の重縮合物であり;Aculyn 44は、プロピレングリコール(39%)および水(26%)の混合物中で35重量%の、150または180モルのエチレンオキシドを含有するポリエチレングリコール、デシルアルコールおよびメチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)の重縮合物である]。
【0052】
AkzoからのC12〜C14アルキル鎖を含有するElfacos T210という製品、およびC18アルキル鎖を含有するElfacos T212という製品も記載されてよい。
【0053】
Roehm & Haasから水中20%の固体含有量で販売される、C20アルキル鎖およびウレタン結合を含有するDW 1206Bという製品も使用されてよい。
【0054】
これらのポリマーの、特に水中、または水性アルコール媒体中の溶液または分散体も使用されてよい。記載されてもよいそのようなポリマーの例は、Rheox社によって販売されるRheolate 255、Rheolate 278およびRheolate 244である。Roehm & Haas社によって販売されるDW 1206FおよびDW 1206Jという製品も使用されてもよい。
【0055】
本発明に従って使用されてもよいポリウレタンポリエーテルは、特に、G.Fonnum,J.Bakke and Fk.Hansen−Colloid Polym.Sci 271,380.389(1993)による論文に記載されるものである。
【0056】
カチオン性会合性ポリマーは、好ましくは、以下から選択される:
−(A’)カチオン性会合性ポリウレタンであって、その系統群は、フランス国特許出願第00/09609号明細書において出願人によって記載されており、以下の一般式(Ia)によって表されてもよい。
R−X−(P)−[L−(Y)−L’−(P’)−X’−R’ (Ia)
(式中、
−RおよびR’は、同一であっても、異なってもよく、疎水性基または水素原子を表し;
−XおよびX’は、同一であっても、異なってもよく、任意に疎水性基を有するアミン官能性を含んでなる基、または代わりに基L’’を表し;
−L、L’およびL’’は、同一であっても、異なってもよく、ジイソシアネートから誘導される基を表し;
−PおよびP’は、同一であっても、異なってもよく、任意に疎水性基を有するアミン官能性を含んでなる基を表し;
−Yは親水基を表し;
−rは、包括的な1〜100の整数であり、好ましくは包括的な1〜50の整数、特に包括的な1〜25の整数であり;
−n、mおよびpは、それぞれ、互いに独立して、包括的な0〜1000であり、
この分子は、少なくとも1つのプロトン化または4級化アミン官能性および少なくとも1つの疎水性基を含有する。)
【0057】
これらのポリウレタンの1つの好ましい実施形態において、鎖末端で唯一の疎水性基は、基RおよびR’である。
【0058】
カチオン性会合性ポリウレタンの1つの好ましい系統群は、上記式(Ia)に相当するものであって、:
−RおよびR’は、両方とも独立して、疎水性基を表し、
−XおよびX’は、それぞれ基L’’を表し、
−nおよびpは、包括的な1〜1000の間の整数であり、
−L、L’、L’’、P、P’、Yおよびmは、上記で与えられる意味を有するものである。
【0059】
カチオン性会合性ポリウレタンの別の好ましい系統群は、上記式(Ia)に相当するものであって:
−nおよびpが0であることは、これらのポリマーが、重縮合の間にポリマーに組み込まれるアミン官能性を含有するモノマーから誘導された単位を含まないことを意味し、
−これらのポリウレタンのプロトン化されたアミン官能性は、鎖末端での過剰なイソシアネート官能性の加水分解と、それに続いて、疎水性基を含有するアルキル化剤、すなわち、RQまたはR’Q型の化合物(式中、RおよびR’が上記で定義される通りであり、Qがハライド、スルフェートなどの脱離基を示す)で形成される第1級アミン官能性のアルキル化から生じるものである。
【0060】
カチオン性会合性ポリウレタンのさらにもう1つの好ましい系統群は、式(Ia)に相当するものであって、
RおよびR’は、両方とも独立して、疎水性基を表し、
XおよびX’は、両方とも独立して、第4級アミンを含んでなる基を表し、
nおよびpはゼロであり、
L、L’、Yおよびmは上記で与えられる意味を有するものである。
【0061】
カチオン性会合性ポリウレタンの数平均分子量は、好ましくは、包括的に400〜500000、特に包括的に1000〜400000、そして理想的に、包括的に1000〜300000である。
【0062】
「疎水性基」という表現は、飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖炭化水素をベースとする鎖を含有し、P、O、NまたはSなどの1個またはそれ以上のヘテロ原子、あるいはペルフルオロまたはシリコーン鎖を含有する基を含有してもよい基またはポリマーを意味する。疎水性基が炭化水素をベースとする基を示す場合、それは、少なくとも10個の炭素原子、好ましくは10〜30個の炭素原子、特に12〜30個の炭素原子、そしてより好ましくは18〜30個の炭素原子を含んでなる。
【0063】
好ましくは、炭化水素をベースとする基は、単官能基化合物から誘導される。
【0064】
一例として、疎水性基は、脂肪アルコール、例えば、ステアリルアルコール、ドデシルアルコールまたはデシルアルコールから誘導されてもよい。炭化水素をベースとするポリマー、例えば、ポリブタジエンも示されてよい。
【0065】
Xおよび/またはX’が、第3級または第4級アミンを含んでなる基を示す場合、Xおよび/またはX’を含んでなる基は、以下の式の1つを表してもよい:
【化5】
(式中、
は、1〜20個の炭素原子を含有し、任意に飽和または不飽和環またはアリーレン基を含んでなる直鎖または分枝鎖アルキレン基を表し、炭素原子の1つまたはそれ以上がN、S、OおよびPから選択されるヘテロ原子におそらく置き換えられており;
およびRは、同一であっても、異なってもよく、直鎖または分枝鎖C〜C30アルキルまたはアルケニル基またはアリール基を示し、炭素原子の少なくとも1つがN、S、OおよびPから選択されるヘテロ原子におそらく置き換えられており;
は、ハライド、例えば、クロリドまたはブロミドまたはメシラートのなどの生理的に容認できるアニオン性対イオンである。)
【0066】
基L、L’およびL’’は、次式の基を表す。
【化6】
(式中、
Zは、−O−、−S−または−NH−を表し、
は、1〜20個の炭素原子を含有し、任意に飽和または不飽和環またはアリーレン基を含んでなる直鎖または分枝鎖アルキレン基を表し、炭素原子の1つまたはそれ以上がN、S、OおよびPから選択されるヘテロ原子におそらく置き換えられている。)
【0067】
アミン官能性を含んでなる基PおよびP’は、少なくとも以下の式の1つを表してもよい:
【化7】
(式中、
およびRは、上記で定義されたRと同一の意味を有し、
、RおよびRは、上記で定義されたRおよびRと同一の意味を有し、
10は、N、S、OおよびPから選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子をおそらく含有する直鎖または分枝鎖、任意に不飽和アルキレン基を表し、
は、ハライド、例えば、クロリドまたはブロミドまたはメシラートのなどの生理的に容認できるアニオン性対イオンである。)
【0068】
Yの意味に関しては、「親水基」という用語は、ポリマーまたは非ポリマー水溶性基を意味する。
【0069】
一例として、それがポリマーでない場合、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコールが記載されてもよい。
【0070】
それが親水性ポリマーである場合、1つの好ましい実施形態に従って、例えば、ポリエーテル、スルホン化ポリエステル、スルホン化ポリアミドまたはこれらのポリマーの混合物が記載されてもよい。親水性化合物は、好ましくは、ポリエーテル、特に、ポリ(エチレンオキシド)またはポリ(プロピレンオキシド)である。
【0071】
本発明による式(Ia)のカチオン性会合性ポリウレタンは、ジイソシアネートから、および変化しやすい水素を含有する官能性を有する様々な化合物から形成される。変化しやすい水素を含有する官能性は、アルコール、第1級のまたは第2級アミンまたはチオール官能性であってよく、これは、ジイソシアネート官能性との反応の後、ポリウレタン、ポリウレアおよびポリチオウレアをそれぞれ与える。本発明において、「ポリウレタン」という用語は、これらの3種類のポリマー、すなわち、それ自体はポリウレタン、ポリウレアおよびポリチオウレア、ならびにそれらのコポリマーを包含する。
【0072】
式(Ia)のポリウレタンの調製に関与する第1の種類の化合物は、アミン官能性を有する少なくとも1つの単位を含んでなる化合物である。この化合物は多官能性であり得るが、化合物は、好ましくは二官能性であり、すなわち、1つの好ましい実施形態に従って、この化合物は、例えば、ヒドロキシル、第1級アミン、第2級アミンまたはチオール官能性によって生じる2つの変化しやすい水素原子を含んでなる。多官能性化合物のパーセントが低い、多官能性および二官能性化合物の混合物が使用されてもよい。
【0073】
上記の通り、この化合物は、アミン官能性を含有する2つ以上の単位を含んでなってもよい。この場合、それは、アミン官能性を含有する単位の繰り返しを有するポリマーである。
【0074】
この種類の化合物は、以下の式の1つによって表されてもよい。
HZ−(P)−ZH
または
HZ−(P’)−ZH
(式中、Z、P、P’、nおよびpは、上記で定義される通りである。)
【0075】
記載されてもよいアミン官能性を含有する化合物の例には、N−メチルジエタノールアミン、N−tert−ブチルジエタノールアミンおよびN−スルホエチルジエタノールアミンが含まれる。
【0076】
式(Ia)のポリウレタンの調製に含まれる第2の化合物は、次式:
O=C=N−R−N=C=O
(式中、Rは、上記で定義される。)に相当するジイソシアネートである。
【0077】
一例として、メチレンジフェニルジイソシアネート、メチレンシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ブタンジイソシアネートおよびヘキサンジイソシアネートが記載されてもよい。
【0078】
式(Ia)のポリウレタンの調製に関与する第3の化合物は、式(Ia)のポリマーの末端疎水性基を形成するために意図される疎水性化合物である。
【0079】
この化合物は、疎水性基、および変化しやすい水素、例えば、ヒドロキシル、第1級または第2級アミンまたはチオール官能性を含有する官能性から形成される。
【0080】
一例として、この化合物は、脂肪アルコール、例えば、特に、ステアリルアルコール、ドデシルアルコールまたはデシルアルコールでもよい。この化合物がポリマー鎖を含んでなる場合、例えば、α−水酸化水素化ポリブタジエンであってもよい。
【0081】
式(Ia)のポリウレタンの疎水性基は、少なくとも1つの第3級アミン単位を含んでなる化合物の第3級アミンの4級化反応から生じてもよい。したがって、疎水性基は、4級化剤を通して導入される。4級化剤は、RQまたはR’Q型の化合物(式中、RおよびR’が上記で定義される通りであり、Qがハライド、スルフェートなどの脱離基を示す)である。
【0082】
カチオン性会合性ポリウレタンは、親水性ブロックを含んでなってもよい。このブロックは、ポリマーの調製に関与する第4の種類の化合物によって提供される。この化合物は多官能性でもよい。好ましくは二官能性である。多官能性化合物のパーセントが低い混合物を有することも可能である。
【0083】
変化しやすい水素を含有する官能性は、アルコール、第1級または第2級アミンまたはチオール官能性である。この化合物は、変化しやすい水素を含有するこれらの官能性の1つによって鎖末端で終了するポリマーでもよい。
【0084】
一例として、それがポリマーでない場合、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコールが記載されてもよい。
【0085】
それが親水性ポリマーである場合、例えば、ポリエーテル、スルホン化ポリエステルおよびスルホン化ポリアミド、またはこれらのポリマーの混合物が記載されてもよい。親水性化合物は、好ましくは、ポリエーテル、特に、ポリ(エチレンオキシド)またはポリ(プロピレンオキシド)である。
【0086】
式(Ia)においてYと呼ばれる親水基は任意である。具体的には、第4級アミンまたはプロトン化された官能性を含有する単位は、水溶液中の種類のポリマーのために必要とされる溶解性または水分散性を提供するために十分であり得る。
【0087】
親水基Yの存在は任意であるが、しかしながら、そのような基を含んでなるカチオン性会合性ポリウレタンは好ましい。
【0088】
−(B’)4級化セルロース誘導体。
4級化セルロース誘導体は、特に:
−i)少なくとも1つの脂肪鎖、例えば、少なくとも8個の炭素原子を含んでなる直鎖もしくは分枝鎖アルキル、直鎖もしくは分枝鎖アリールアルキル、または直鎖もしくは分枝鎖アルキルアリール基、あるいはそれらの混合物を含んでなる基で変性された4級化セルロース;
−ii)少なくとも1つの脂肪鎖、例えば、少なくとも8個の炭素原子を含んでなる直鎖もしくは分枝鎖アルキル、直鎖もしくは分枝鎖アリールアルキル、または直鎖もしくは分枝鎖アルキルアリール基、あるいはそれらの混合物を含んでなる基で変性された4級化ヒドロキシエチルセルロース;
−iii)式(Ib)のヒドロキシエチルセルロース:
【化8】
(式(Ib)中:
RおよびR’は、同一であっても、異なってもよく、RaRbRcN−,Qなどのアンモニウム基を表し、式中、Ra、Rb、Rcは、同一であっても、異なってもよく、水素原子、または直鎖もしくは分枝鎖C〜C30、好ましくはC〜C20アルキル基、例えば、メチルまたはドデシルを表し、
は、ハライド、例えば、クロリドまたはブロミドなどのアニオン性対イオンであり、
n、xおよびyは、同一であっても、異なってもよく、1〜10000の整数を表す。)である。
【0089】
上記の4級化セルロースi)またはヒドロキシエチルセルロースii)によって生じるアルキル基は、好ましくは、炭素原子を8〜30個含んでなる。アリール基は、好ましくは、フェニル、ベンジル、ナフチルまたはアントリル基を示す。
【0090】
示されてもよいC〜C30脂肪鎖を含有する4級化アルキルヒドロキシエチルセルロースの例には、Amerchol社によって販売されるQuatrisoft LM 200(登録商標)、Quatrisoft LM−X 529−18−A(登録商標)、Quatrisoft LM−X 529−18B(登録商標)(C12アルキル)およびQuatrisoft LM−X 529−8(登録商標)(C18アルキル)という製品、ならびにCroda社によって販売されるCrodacel QM(登録商標)、Crodacel QL(登録商標)(C12アルキル)およびCrodacel QS(登録商標)(C18アルキル)が含まれる。
【0091】
Rが、トリメチルアンモニウムハライドを表し、そしてR’が、ジメチルドデシルアンモニウムハライドを表し、より好ましくは、Rが、トリメチルアンモニウムクロリドCHClを表し、そしてR’が、ジメチルドデシルアンモニウムクロリド(CH(C1225)NClを表す、式(Ib)のヒドロキシエチルセルロースも記載されてもよい。この種類のポリマーは、SL−100およびSL−60などの商標名Softcat Polymer SL(登録商標)で既知である。
【0092】
さらに詳しくは、式(Ib)のポリマーは、粘度が、包括的に2000〜3000cPsであるそれらである。好ましくは、粘度は、包括的に2700〜2800cPsである。
【0093】
−(C’)カチオン性ポリビニルラクタムであって、その系統群は、フランス国特許出願第01/01106号明細書において出願人によって記載されている。
【0094】
上記ポリマーは、以下を含んでなる:
−a)ビニルラクタムまたはアルキルビニルラクタム型の少なくとも1つのモノマー;
−b)以下の構造(Ic)または(IIc)の少なくとも1つのモノマー:
【化9】
(式(Ic)および(IIc)中、
Xは、酸素原子または基NRを示し、
およびRは、互いに独立して、水素原子または直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアルキル基を示し、
は、直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアルキル基を示し、
、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、直鎖もしくは分枝鎖C〜C30アルキル基、または式(IIIc):
【化10】
の基を示し、
−Y、YおよびYは、互いに独立して、直鎖もしくは分枝鎖C〜C16アルキレン基を示し、
−Rは、水素原子、または直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアルキル基、または直鎖もしくは分枝鎖C〜Cヒドロキシアルキル基を示し、
−Rは、水素原子、または直鎖もしくは分枝鎖C〜C30アルキル基を示し、
p、qおよびrは、互いに独立して、値0または値1を示し、
mおよびnは、互いに独立して、包括的な0〜100の範囲の整数を示し、
xは、包括的な1〜100の範囲の整数を示し、
Zは、有機または無機酸のアニオン性対イオン、例えば、ハライド、例えば、クロリドまたはブロミドまたはメシラートを示すが、ただし、
−置換基R、R、RまたはRの少なくとも1つは、直鎖もしくは分枝鎖C〜C30アルキル基を示し、
−mまたはnがゼロ以外である場合、qは1に等しく、
−mまたはnがゼロに等しい場合、pまたはqは0に等しい。)
【0095】
本発明に従って使用されてもよいカチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマーは、架橋されていてもよく、または架橋されていなくてもよくて、またブロックポリマーであっててもよい。
【0096】
好ましくは、式(Ic)のモノマーの対イオンZは、ハライドイオン、ホスフェートイオン、メトスルフェートイオンおよびトシレートイオンから選択される。
【0097】
好ましくは、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子、または直鎖もしくは分枝鎖C〜C30アルキル基を示す。
【0098】
より好ましくは、モノマーb)は式(Ic)のモノマーであり、さらに好ましくは、mおよびnは0に等しい。
【0099】
ビニルラクタムまたはアルキルビニルラクタムモノマーは、好ましくは構造(IVc):
【化11】
(式中、
sは、3〜6の範囲の整数を示し、
は、水素原子、または直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアルキル基を示し、
10は、水素原子、または直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアルキル基を示すが、ただし、
基RおよびR10の少なくとも1つは、水素原子を示す)の化合物である。
【0100】
さらに好ましくは、モノマー(IVc)はビニルピロリドンである。
【0101】
本発明に従って使用されてもよいカチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマーは、1種またはそれ以上の追加的なモノマー、好ましくは、カチオン性または非イオン性モノマーを含有してもよい。
【0102】
本発明に従って特に好ましい化合物として、少なくとも、
a)式(IVc)の1つのモノマー、
b)p=1、q=0であり、RおよびRが、互いに独立して、水素原子、またはC〜Cアルキル基を示し、R5が、直鎖または分枝鎖C〜C24アルキル基を示す、式(Ic)の1つのモノマー、および
c)RおよびRが、互いに独立して、水素原子、または直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアルキル基を示す、式(IIc)の1つのモノマー
を含んでなるターポリマーが記載されてもよい。
【0103】
さらに好ましくは、40重量%〜95重量%のモノマーa)、0.1重量%〜55重量%のモノマーc)および0.25重量%〜50重量%のモノマーb)を含んでなるターポリマーが使用される。
【0104】
そのようなポリマーは、国際公開第00/68282号パンフレットに記載されており、その内容は、本発明の必要不可欠な部分を形成する。
【0105】
本発明に従って使用されてもよいカチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマーとして、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ドデシルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレートターポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ココイルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレートターポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルメタクリルアミドプロピルアンモニウムトシレートまたはクロリドターポリマーが特に使用される。
【0106】
本発明に従って使用されてもよいカチオン性ポリ(ビニルラクタム)ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは、500〜20000000である。特に、200000〜2000000、さらに好ましくは、400000〜800000である。
【0107】
両性会合性ポリマーは、好ましくは、少なくとも1つの非環式のカチオン性単位を含んでなっているものから選択される。特に、モノマーの全モル数に対して、1モル%〜20モル%、好ましくは、1.5モル%〜15モル%、特に1.5モル%〜6モル%の脂肪鎖モノマーから調製されるか、またはそれを含んでなるものが好ましい。
【0108】
本発明による両性会合性ポリマーは、
1)式(Va)または(Vb):
【化12】
(式中、RおよびRは、同一であっても、異なってもよく、水素原子またはメチル基を表し、R、RおよびRは、同一であっても、異なってもよく、1〜30個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖アルキル基を表し、
Zは、NH基または酸素原子を表し、
nは、2〜5の整数であり、
は、有機または無機酸から誘導されるアニオン、例えば、メトスルフェートアニオンまたはハライド、例えば、クロリドまたはブロミドである)の少なくとも1つのモノマー;
2)式(VI):
【化13】
(式中、RおよびRは、同一であっても、異なってもよく、水素原子またはメチル基を表す)の少なくとも1つのモノマー、および
3)式(VII):
【化14】
(式中、RおよびRは、同一であっても、異なってもよく、水素原子またはメチル基を表し、Xは、酸素または窒素原子を示し、Rは、1〜30個の炭素原子を含有する直鎖もしくは分枝鎖アルキル基を示す)の少なくとも1つのモノマー
を共重合することによって調製されるものを含んでなるが、式(Va)、(Vb)または(VII)のモノマーの少なくとも1つは、少なくとも1つの脂肪鎖を含んでなる。
【0109】
本発明の式(Va)および(Vb)のモノマーは、好ましくは:
−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、
−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、
−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、
−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
によって形成される群から選択されるが、これらのモノマーは、例えば、C〜CアルキルハライドまたはC〜Cジアルキルスルフェートで任意に4級化されている。
【0110】
さらに詳しくは、式(Va)のモノマーは、アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、およびメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドから選択される。
【0111】
本発明の式(VI)のモノマーは、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸および2−メチルクロトン酸によって形成される群から選択される。さらに詳しくは、式(VI)のモノマーは、アクリル酸である。
【0112】
本発明の式(VII)のモノマーは、好ましくは、C12〜C22、特に、C16〜C18アルキルアクリレートまたはメタクリレートによって形成される群から選択される。
【0113】
本発明の脂肪鎖両性ポリマーを構成するモノマーは、好ましくは、すでに中和され、および/または4級化されている。
【0114】
カチオン性電荷/アニオン性電荷の数の比率は、好ましくは約1に等しい。
【0115】
本発明による両性会合性ポリマーは、好ましくは、1モル%〜10モル%、好ましくは1.5モル%〜6モル%の脂肪鎖を含んでなるモノマー(式(Va)、(Vb)、または(VII)のモノマー)を含んでなる。
【0116】
本発明による両性会合性ポリマーは、非イオン性モノマーなど、特に、C〜Cアルキルアクリレートまたはメタクリレートなどのの他のモノマーを含有してもよい。
【0117】
本発明による両性会合性ポリマーは、例えば、国際公開第98/44012号明細書に記載され、調製される。
【0118】
本発明による両性会合性ポリマーの中でも、アクリル酸/(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド/ステアリルメタクリレートターポリマーが好ましいものである。
【0119】
好ましい会合性ポリマーは、非イオン性およびカチオン性ポリマーから選択される。
【0120】
好ましくは、本発明の会合性ポリマーは、セルロースまたはポリウレタン、好ましくはセルロースである。
【0121】
本発明に従って使用されるポリマー増粘剤(b)は、アクリルおよび/またはメタクリル単位を含有するアニオン性会合性ポリマー増粘剤から選択されてもよい。
【0122】
本発明に従って使用されてもよい(メタ)アクリルアニオン性会合性増粘剤は、不飽和オレフィンカルボン酸型の少なくとも1つの親水性単位、および不飽和カルボン酸の(C10〜C30)アルキルエステルなどの型の少なくとも1つの疎水性単位を含んでなるものから選択されてもよい。
【0123】
さらに詳しくは、これらの(メタ)アクリル会合性増粘剤は、好ましくは、不飽和オレフィンカルボン酸型の親水性単位が、次式(VIII):
【化15】
(式中、式Rは、HまたはCH、すなわち、アクリル酸またはメタクリル酸単位を示す)のモノマーに相当するものから選択され、不飽和カルボン酸型の(C10〜C30)アルキルエステルの疎水性単位が、次式(IX):
【化16】
(式中、式Rは、HまたはCH(すなわち、アクリレートまたはメタクリレート単位)を示し、Rは、C10〜C30、好ましくはC12〜C22アルキル基を示す)のモノマーに相当するものから選択される。
【0124】
式(IX)による不飽和カルボン酸の(C10〜C30)アルキルエステルとして、特に、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレートおよびドデシルアクリレート、ならびに相当するメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレートおよびドデシルメタクリレートが記載されてもよい。
【0125】
この種類の(メタ)アクリル会合性増粘剤は、例えば、米国特許第3915921号明細書および米国特許第4509949号明細書に記載されて、調製される。
【0126】
本発明に従って使用されてもよい(メタ)アクリル会合性増粘剤は、特に、
(i)次式(X):
【化17】
(式中、Rは、HまたはCHを示し、Rは、12〜22個の炭素原子を有するアルキル基を示す)のアクリル酸および1種またはそれ以上のエステル、ならびに任意に架橋剤、例えば、95重量%〜60重量%のアクリル酸(親水性単位)、4重量%〜40重量%のC10〜C30アルキルアクリレート(疎水性単位)、および0〜6重量%の架橋する重合性モノマー、または98重量%〜96重量%のアクリル酸(親水性単位)、1重量%〜4重量%のC10〜C30アルキルアクリレート(疎水性単位)、および0.1重量%〜0.6重量%の架橋する重合性モノマーからなるもの;あるいは
(ii)本質的にアクリル酸およびラウリルメタクリレート、例えば、66重量%のアクリル酸および34重量%のラウリルメタクリレートから形成される生成物
を含んでなるモノマーの混合物から形成されるポリマーを示してもよい。
【0127】
本発明の目的のために、「架橋剤」という用語は、基
【化18】
および少なくとも1つの他の重合性基を含有するモノマーを意味し、モノマーの不飽和結合は、互いに共役ではない。
【0128】
本発明に従って使用されてもよい架橋剤として、特に、ポリアリルエーテル、特に、例えば、ポリアリルスクロースおよびポリアリルペンタエリスリトールが記載されてもよい。
【0129】
上記の(メタ)アクリル会合性増粘剤の中で、本発明に従って最も好ましいものは、Pemulen TR1、Pemulen TR2、Carbopol 1382、より好ましくはPemulen TR1の商標名で、Goodrich社によって販売される製品、およびCoatex SXの名称でS.E.P.C.社によって販売される製品である。
【0130】
(メタ)アクリルの会合性増粘剤として、Viscophobe DB 1000の名称で、Amerchol社によって販売されるメタクリル酸/メチルアクリレート/エトキシル化アルコールのジメチルメタイソプロペニルベンジルイソシアネートのコポリマーも記載されてよい。
【0131】
本発明に従って使用されてもよい他の(メタ)アクリル会合性増粘剤は、遊離体、または部分的もしくは全体的に中和された形態のスルホン酸基を有する少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマーを含んでなり、少なくとも1つの疎水性部分を含んでなるスルホ酸ポリマーでもよい。
【0132】
本発明に従って使用されてもよい上記スルホン酸ポリマーに存在する疎水性部分は、好ましくは、8〜22個の炭素原子、より好ましくは8〜18個の炭素原子、特に12〜18個の炭素原子を含んでなる。
【0133】
好ましくは、本発明に従って使用されてもよいこれらのスルホン酸ポリマーは、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはアンモニア水)、あるいは有機塩基、例えば、モノ−、ジ−またはトリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N−メチルグルカミン、塩基性アミノ酸、例えば、アルギニンおよびリジン、ならびにこれらの化合物の混合物で部分的または完全に中和される。
【0134】
これらのスルホン酸ポリマーは、一般に、1000〜20000000g/モル、好ましくは、20000〜5000000、より好ましくは、100000〜1500000g/モルの範囲の数平均分子量を有する。
【0135】
本発明によって使用されてもよいスルホン酸ポリマーは、架橋されていてもよく、または架橋されなくてもよい。架橋されたポリマーが好ましくは選択される。
【0136】
架橋される場合、架橋剤は、フリーラジカル重合によって得られるポリマーを架橋するために、一般に使用されるポリオレフィン系不飽和化合物から選択されてもよい。例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコールジアクリレートジ(メタ)アクリレートまたはテトラエチレングリコールジアクリレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリル(メタ)アクリレート、糖類のアルコールのアリルエーテル、または多官能性アルコールの他のアリルまたはビニルエーテル、ならびにリン酸および/またはビニルホスホン酸誘導体のアリルエステル、あるいはこれらの化合物の混合物が記載されてよい。
【0137】
メチレンビスアクリルアミド、アリルメタクリレートまたはトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)は、特に使用される。
【0138】
架橋度は、一般に、ポリマーに対して、0.01モル%〜10モル%、特に、0.2モル%〜2モル%の範囲である。
【0139】
本発明に従って使用されてもよいスルホン酸ポリマーのスルホン酸基を有する(メタ)アクリルモノマーは、特に、(メタ)アクリルアミド(C〜C22)アルキルスルホン酸、およびN−(C〜C22)アルキル(メタ)アクリルアミド(C〜C22)アルキルスルホン酸、例えば、ウンデシルアクリルアミドメタンスルホン酸、およびそれらの部分的または全体的に中和された形態から選択される。
【0140】
(メタ)アクリルアミド(C〜C22)アルキルスルホン酸、例えば、アクリルアミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,4,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−メタクリルアミドドデシルスルホン酸、または2−アクリルアミド−2,6−ジメチル−3−ヘプタンスルホン酸、およびそれらの部分的または全体的に中和された形態がより好ましく使用される。
【0141】
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、およびそれらの部分的または全体的に中和された形態が特に使用される。
【0142】
本発明に従って使用されてもよい(メタ)アクリル会合性増粘剤は、特に、C〜C22 n−モノアルキルアミンまたはC〜C22ジ−n−アルキルアミンとの反応によって変性されたランダム両親媒性AMPSポリマー、例えば、国際公開第00/31154号パンフレット(本記載の内容の必要不可欠な部分を形成する)に記載のものから選択されてもよい。これらのポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸、それらのβ−置換アルキル誘導体、あるいはモノアルコールまたはモノ−もしくはポリアルキレングリコール、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸またはマレイン酸、またはこれらの化合物の混合物によって得られるそれらのエステルから選択される他のエチレン系不飽和親水性モノマーを含有してもよい。
【0143】
本発明に従って特に好ましく使用され得るスルホン酸基を有する(メタ)アクリル会合性増粘剤は、好ましくは、AMPS、および8〜50個の炭素原子、より好ましくは、8〜22個の炭素原子、より好ましくは、8〜18個の炭素原子、特に12〜18個の炭素原子を含有する少なくとも1つの疎水性部分を含んでなる少なくとも1つのエチレン系不飽和疎水性モノマーの両親媒性コポリマーから選択される。
【0144】
これらの同一コポリマーは、脂肪鎖を含まない1種またはそれ以上のエチレン系不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、それらのβ−置換アルキル誘導体、あるいはモノアルコールまたはモノ−もしくはポリアルキレングリコール、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸またはマレイン酸、またはこれらの化合物の混合物によって得られるそれらのエステルを含有してもよい。
【0145】
これらのコポリマーは、欧州特許出願公開第A−750899号明細書、および米国特許第5089578号明細書、および以下のモリシマヨウタロウによる刊行物に特に記載される。
−Self−assembling amphiphilic polyelectrolytes and their nanostructures,Chinese Journal of Polymer Science,Vol.18,No.40,(2000),323−336;
−Micelle formation of random copolymers of sodium 2−(acrylamido)−2−methylpropanesulfonate and a nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering,Macromolecules,2000,Vol.33,No.10−3694−3704;
−Solution properties of micelle networks formed by nonionic moieties covalently bound to a polyelectrolyte:salt effects on rheological behavior−Langmuir,2000,Vol.16,No.12,5324−5332;
−Stimuli responsive amphiphilic copolymers of sodium 2−(acrylamido)−2−methylpropanesulfonate and associative macromonomers,Polym.Preprint,Div.Polym.Chem.1999,40(2),220−221.
【0146】
これらの特定のコポリマーのエチレン系不飽和疎水性モノマーは、ジ式(XI):
【化19】
(式中、RおよびRは、同一であっても、異なってもよく、水素原子、または直鎖もしくは分枝鎖C〜Cアルキル基、好ましくはメチルを示し;Yは、OまたはNHを示し;Rは、少なくとも8〜50個の炭素原子、より好ましくは8〜22個の炭素原子、さらに好ましくは6〜18個の炭素原子、特に12〜18個の炭素原子を含有する疎水性炭化水素をベースとする基を示し;xは、アルキレンオキシドのモル数を示し、0〜100の範囲である。)のアクリレートまたはアクリルアミドから好ましくは選択される。
【0147】
基Rは、好ましくは、直鎖C〜C18アルキル基(例えば、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、n−ドデシル)、または分枝鎖もしくは環式のC〜C18アルキル基(例えば、シクロドデカン(C12)またはアダマンタン(C10));C〜C18ペルフルオロアルキル基(例えば、式−(CH−(CF−CFの基);コレステリル基(C27)またはコレステロールエステル残基、例えば、コレステリルオキシヘキサノエート基;芳香族多環式基、例えば、ナフタレンまたはピレンから選択される。これらの基の中でも、直鎖アルキル基、特にn−ドデシル基が特に好ましい。
【0148】
本発明の特に好ましい形態に従って、式(XI)のモノマーは、少なくとも1つのアルキレンオキシド単位(x≧1)および好ましくは、ポリオキシアルキレン鎖を含んでなる。ポリオキシアルキレン鎖は、好ましくはエチレンオキシド単位および/またはプロピレンオキシド単位からなり、特に、エチレンオキシド単位からなる。オキシアルキレン単位の数は、一般に、3〜100、より好ましくは3〜50、そしてより好ましくは7〜25の範囲である。
【0149】
これらのポリマーの中でも、
−架橋されていても、架橋されていなくてもよく、中和されていても、中和されていなくてもよく、ポリマーに対して、15重量%〜60重量%のAMPS単位、および40重量%〜85重量%の(C〜C16)アルキル(メタ)アクリルアミド単位または(C〜C16)アルキル(メタ)アクリレート単位を含んでなるコポリマー、例えば、欧州特許出願公開第A−750899号明細書に記載されるもの;
−10モル%〜90モル%のアクリルアミド、0.1モル%〜10モル%のAMPS単位、および5モル%〜80モル%のn−(C〜C18)アルキルアクリルアミド単位を含んでなるターポリマー例えば、米国特許第5089578号明細書に記載されるもの
が記載されてもよい。
【0150】
完全に中和されたAMPSおよびドデシルメタクリレートのコポリマー、ならびにAMPSおよびn−ドデシルメタクリルアミドの架橋および未架橋コポリマー、例えば、上記のモリシマの論文に記載されるものが記載されてもよい。
【0151】
特に、次式(XII):
【化20】
(式中、Xは、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオンまたはアンモニウムイオンである)の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)の単位と、
次式(XIII):
【化21】
(式中、xは、3〜100、好ましくは5〜80、より好ましくは7〜25の範囲の整数を示し、Rは、式(XI)において上記されたものと同一の意味を有し、Rは、直鎖または分枝鎖C〜C22、より好ましくはC10〜C22アルキルを示す)の単位から構成されるコポリマーが記載されてもよい。
【0152】
特に好ましいポリマーは、x=25であり、Rはメチルを示し、Rはn−ドデシルを表すものであり、それらは上記のモリシマの論文に記載されている。
【0153】
がナトリウムまたはアンモニウムを示すポリマーは、特に好ましい。
【0154】
非イオン性、カチオン性、両性またはアニオン性会合性ポリマー増粘ポリマー(b)は、組成物の全重量に対して、0.01重量%〜30重量%、好ましくは0.1重量%〜20重量%、さらに好ましくは0.2重量%〜10重量%の範囲の含有量で本発明による組成物に存在してもよい。
【0155】
本発明による組成物は、すでに記載された会合性ポリマー増粘剤以外の1種またはそれ以上の増粘剤を含んでなってもよい。
【0156】
本発明による組成物は、1種またはそれ以上の界面活性剤、特に、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性界面活性剤を含んでなってもよい。
【0157】
本発明による化粧料組成物において使用されてもよい非イオン性界面活性剤は、例えば、Blackie & Son(Glasgow and London)によって出版された、M.R.PorterによるHandbook of Surfactants,1991,pp.116−178に記載されている。それらは特に、アルコール、α−ジオールおよび(C〜C20)アルキルフェノールから選択され、これらの化合物は、ポリエトキシル化、ポリプロポキシル化および/または、ポリグリセロール化され、そして、例えば、8〜18個の炭素原子を含んでなる少なくとも1つの脂肪鎖を含有し、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド基の数が、特に、2〜50の範囲であることが可能であり、グリセロール基の数が、特に、2〜30の範囲であることが可能である。
【0158】
また、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのコポリマー、ポリオキシアルキレン化された脂肪酸エステル、任意にオキシアルキレン化されたアルキルポリグリコシド、アルキルグルコシドエステル、N−アルキルグルカミンおよびN−アシル−メチルグルカミン誘導体、アルドビオナミド、オキシエチレン化された油およびアミンオキシドも記載されてよい。
【0159】
他に記載されない限り、「脂肪」化合物(例えば、脂肪酸)という用語は、これらの界面活性剤に関して、その主鎖に、少なくとも6個の炭素原子、好ましくは8〜30個の炭素原子、さらに好ましくは10〜22個の炭素原子を含有する、少なくとも1つの飽和または不飽和アルキル鎖を含んでなる化合物を示す。
【0160】
「アニオン性界面活性剤」に関しては、「アニオン性界面活性剤」という用語は、イオンまたはイオン化可能基として、アニオン性基のみを含んでなる界面活性剤を意味する。これらのアニオン性基は、好ましくは、基COH、CO、SOH、SO、OSOH、OSO、OPOH、OPOおよびOPO2−から選択される。
【0161】
本発明の組成物で使用されてもよいアニオン性界面活性剤は、特に、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、α−オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルキルスルホスクシネート、アルキルエーテルスルホスクシネート、アルキルアミドスルホスクシネート、アルキルスルホアセテート、アシルサルコシネート、アシルグルタメート、アルキルスルホスクシナメート、アシルイセチオネート、およびN−アシルタウレート、アルキルモノエステルおよびポリグリコシド−ポリカルボン酸の塩、アシルラクチレート、D−ガラクトシドウロン酸の塩、アルキルエーテルカルボン酸の塩、アルキルアリールエーテルカルボン酸の塩、およびアルキルアミドエーテルカルボン酸の塩;あるいはこれらの化合物の全ての非塩化形態から選択され、これらの化合物の全てのアルキルおよびアシル基は6〜24個の炭素原子を含有し、アリール基はフェニル基を示す。
【0162】
これらの化合物のいくつかは、オキシエチレン化されてもよくて、次いで、好ましくは、1〜50のエチレンオキシド単位を含んでなってもよい。
【0163】
ポリグリコシドポリカルボン酸のC〜C24アルキルモノエステルの塩は、C〜C24アルキルポリグリコシドシトエート、C〜C24アルキルポリグリコシドタータレートおよびC〜C24アルキルポリグリコシドスルホサクシネートから選択されてもよい。
【0164】
アニオン性界面活性剤が塩の形態である場合、それらは亜鉛塩の形態ではなく、そして、それらはアルカリ金属塩、例えば、ナトリウムまたはカリウム塩、好ましくはナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、特にアミノアルコール塩、およびアルカリ土類金属塩、例えば、マグネシウム塩から選択されてもよい。
【0165】
特に記載されてもよいアミノアルコール塩の例には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン塩、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンまたはトリイソプロパノールアミン塩、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール塩、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール塩、およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩が含まれる。
【0166】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、特にナトリウムまたはマグネシウム塩が好ましくは使用される。
【0167】
好ましくは、任意にエトキシル化され、2〜50のエチレンオキシド単位を含んでなる(C〜C24)アルキルスルフェート、(C〜C24)アルキルエーテルスルフェート、およびそれらの混合物が、特に、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩またはアミノアルコール塩の形態で使用される。より好ましくは、アニオン性界面活性剤は、(C10〜C20)アルキルエーテルスルフェート、特に、2.2モルのエチレンオキシドを含有するナトリウムラウリルエーテルスルフェートから選択される。
【0168】
「カチオン性界面活性剤」という用語は、本発明による組成物に含有される場合、正に帯電した界面活性剤を意味する。この界面活性剤は、1つまたはそれ以上の正の永久荷電を有し得るか、本発明による組成物においてカチオン化可能である1つまたはそれ以上の官能性を含有してもよい。
【0169】
カチオン性界面活性剤は、好ましくは、任意にポリオキシアルキレン化された第1級、第2級もしくは第3級脂肪アミン、あるいはそれらの塩、ならびに第4級アンモニウム塩およびそれらの混合物から選択される。
【0170】
脂肪アミンは、一般に、少なくとも1つのC〜C30炭化水素をベースとする鎖を含んでなる。本発明に従って使用されてもよい脂肪アミンの中で、記載されてもよい例としては、ステアリルアミドプロピルジメチルアミンおよびジステアリルアミンが含まれる。
【0171】
記載されてもよい第4級アンモニウム塩の例には、以下のものが含まれる。
−次式(XIV):
【化22】
(式中、基R〜R11は、同一であっても、異なってもよく、1〜30個の炭素原子を含有する直鎖もしくは分枝鎖脂肪族基、または芳香族基、例えば、アリールもしくはアルキルアリールを表し、基R〜R11の少なくとも1つは、8〜30個の炭素原子、好ましくは12〜24個の炭素原子を含有する基を示す)に相当するもの。脂肪族基は、特に、酸素、窒素、硫黄およびハロゲンなどのヘテロ原子を含んでなってもよい。脂肪族基は、例えば、C〜C30アルキル、C〜C30アルケニル、C〜C30アルコキシ、ポリオキシ(C〜C)アルキレン、C〜C30アルキルアミド、(C12〜C22)アルキルアミド(C〜C)アルキル、(C12〜C22)アルキルアセテートおよびC〜C30ヒドロキシアルキル基から選択され、Xは、ハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、(C〜C)アルキルスルフェートおよび(C〜C)アルキル−または(C〜C)アルキルアリールスルホネートの群から選択されるアニオンである。
【0172】
式(XIV)の第4級アンモニウム塩の中でも、好ましいものは、一方で、テトラアルキルアンモニウム塩、例えば、ジアルキルジメチルアンモニウムまたはアルキルトリメチルアンモニウム塩であって、特に、アルキル基が約12〜22個の炭素原子を含有する物、特に、ベヘニルトリメチルアンモニウム、ジステアリルジメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムまたはベンジルジメチルステアリルアンモニウム塩であり、他方で、パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、ステアラミドプロピルトリメチルアンモニウム塩およびステアラミドプロピルジメチルセテアリルアンモニウム塩である。特に、これらの化合物の塩化物塩を使用することが好ましい。
【0173】
−イミダゾリンの第4級アンモニウム塩、例えば、次式(XV):
【化23】
(式中、R12は、例えばタロー脂肪酸から誘導される、8〜30個の炭素原子を含んでなるアルケニルまたはアルキル基を表し、R13は、水素原子、C〜Cアルキル基、または8〜30個の炭素原子を含んでなるアルキルもしくはアルケニル基を表し、R14は、C〜Cアルキル基を表し、R15は、水素原子またはC〜Cアルキル基を表し、Xは、ハライド、ホスフェート、アセテート、ラクテート、アルキルスルフェート、アルキル〜もしくはアルキルアリール−スルホネートの基であって、アルキルおよびアリール基が、それぞれ、1〜20個の炭素原子および6〜30個の炭素原子を含んでなるものから選択されるアニオンである)のもの。R12およびR13は、好ましくは、例えばタロー脂肪酸から誘導される、12〜21個の炭素原子を含有するアルケニルまたはアルキル基の混合物を示し、R14は好ましくはメチル基を示し、そしてR15は好ましくは水素原子を示す。そのような製品は、例えば、Rewo社によって、Rewoquat(登録商標)W 75の名称で販売される。
【0174】
−第4級ジアンモニウムまたはトリアンモニウム塩、特に、次式(XVI):
【化24】
(式中、R16は、任意に水酸化され、および/または1種またはそれ以上の酸素原子で中断された、約16〜30個の炭素原子を含んでなるアルキル基を示し、R17は、水素、または1〜4個の炭素原子を含んでなるアルキル基、または基(R16a)(R17a)(R18a)N−(CHから選択され;
16a、R17a、R18a、R18、R19、R20およびR21は、同一であっても、異なってもよく、水素、または1〜4個の炭素原子を含んでなるアルキル基から選択され、Xは、ハライド、アセテート、ホスフェート、ニトレートおよびメチルスルフェートの群から選択されるアニオンである)のもの。そのような化合物は、例えば、Finetex社によって販売されるFinquat CT−P(クオタニウム89)、およびFinetex社によって販売されるFinquat CT(クオタニウム75)である。
【0175】
−少なくとも1つのエステル官能性を含有する第4級アンモニウム塩、例えば、次式(XVII):
【化25】
(式中、
22は、C〜Cアルキル基およびC〜Cヒドロキシアルキル、またはジヒドロキシアルキル基から選択され、
23は、
−基
【化26】
−直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和C〜C22炭化水素をベースとする基である基R27
−水素原子
から選択され、
25は、
−基
【化27】
−直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和C〜C炭化水素をベースとする基である基R29
−水素原子
から選択され、
24、R26およびR28は、同一であっても、異なってもよく、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和C〜C21炭化水素をベースとする基から選択され、
r、sおよびtは、同一であっても、異なってもよく、2〜6の範囲の整数であり、
yは、1〜10の範囲の整数であり、
xおよびzは、同一であっても、異なってもよく、0〜10の範囲の整数であり、
は、単一または錯体の有機または無機アニオンであるが、ただし、
x+y+zの合計は1〜15であり、xが0である場合、R23はR27を示し、zが0である場合R25はR29を示す)のもの。
【0176】
アルキル基R22は、直鎖または分枝鎖であってよく、そして特に直鎖である。
【0177】
好ましくは、R22は、メチル、エチル、ヒドロキシエチルまたはジヒドロキシプロピル基、特にメチルまたはエチル基を示す。
【0178】
都合よく、合計x+y+zは、1〜10である。
【0179】
23が炭化水素をベースとする基R27である場合、それは長鎖であって、12〜22個の炭素原子を含有してもよく、または短鎖であって、1〜3個の炭素原子を含有してもよい。
【0180】
25が、R29炭化水素をベースとする基である場合、それは好ましくは1〜3個の炭素原子を含有する。
【0181】
都合よく、R24、R26およびR28は、同一であっても、異なってもよく、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和C11〜C21炭化水素をベースとする基、特に、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和C11〜C21アルキルおよびアルケニル基から選択される。
【0182】
好ましくは、xおよびzは、同一であっても、異なってもよく、0または1に等しい。
【0183】
都合よく、yは1に等しい。
【0184】
好ましくは、r、sおよびtは、同一であっても、異なってもよく、2または3と等しく、特に2に等しい。
【0185】
アニオンXは、好ましくはハライド(クロリド、ブロミドもしくはヨージド)またはアルキルスルフェート(特に、メチルスルフェート)である。しかしながら、メタンスルホネート、ホスフェート、ニトレート、トシレート、有機酸から誘導されるアニオン、例えば、アセテートまたはラクテート、またはエステル官能性を含有するアンモニウムと適合性の他のいずれのアニオンも使用されてよい。
【0186】
アニオンXは、特に、クロリドまたはメチルスルフェートでさえある。
【0187】
本発明による組成物において、特に、
22がメチルまたはエチル基を示し、
xおよびyが1に等しく、
zが0または1に等しく、
r、sおよびtが2に等しく、
23が、
−基
【化28】
−メチル、エチルまたはC14〜C22炭化水素をベースとする基、
−水素原子
から選択され、
25が、
−基
【化29】
−水素原子
から選択され、
24、R26およびR28が、同一であっても、異なってもよく、同一であっても、異なってもよく、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和C13〜C17炭化水素をベースとする基から、好ましくは、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和C13〜C17アルキルおよびアルケニル基から選択される、式(XVII)のアンモニウム塩が使用されてもよい。
【0188】
炭化水素をベースとする基は、都合よく直鎖である。
【0189】
例えば、ジアシルオキシエチルジメチルアンモニウム、ジアシルオキシエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム、モノアシルオキシエチルジヒドロキシエチルメチルアンモニウム、トリアシルオキシエチルメチルアンモニウム、およびモノアシルオキシエチルヒドロキシエチルジメチルアンモニウム塩(特に、クロリドまたはメチルスルフェート)およびそれらの混合物などの式(XVII)の化合物が記載されてもよい。アシル基は、好ましくは14〜18個の炭素原子を含有し、特に、パーム油またはヒマワリ油などの植物油から得られる。化合物がいくつかのアシル基を含有する場合、これらの基は、同一であっても、異なってもよい。
【0190】
これらの生成物は、例えば、任意にオキシアルキレン化された、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミンまたはアルキルジイソプロパノールアミンと、C10〜C30脂肪酸、または植物もしくは動物由来のC10〜C30脂肪酸の混合物との直接的なエステル化によって、あるいはそれらのメチルエステルのエステル交換によって得られる。このエステル化の後、アルキル(好ましくは、メチルまたはエチル)ハライド、ジアルキル(好ましくは、メチルまたはエチル)スルフェート、メチルメタンスルホネート、メチルパラ−トルエンスルホネート、グリコールクロロヒドリンまたはグリセロールクロロヒドリンなどのアルキル化剤を使用する4級化が行われる。
【0191】
そのような化合物は、例えば、Henkel社によるDehyquart(登録商標)、Stepan社によるStepanquat(登録商標)、Ceca社によるNoxamium(登録商標)、またはRewo−WitcoによるRewoquat(登録商標)WE 18の名称で販売される。
【0192】
本発明による組成物は、例えば、第4級アンモニウムモノエステル、ジエステル塩の重量が多数のジエステル塩とトリエステル塩との混合物を含有してもよい。
【0193】
米国特許出願公開第4874554号明細書および米国特許出願公開第4137180号明細書に記載される少なくとも1つのエステル官能性を含有するアンモニウム塩も使用されてよい。
【0194】
KaoによってQuatarmin BTC 131の名称で提供されるベヘノイルヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドも使用されてよい。
【0195】
好ましくは、少なくとも1つのエステル官能性を含有するアンモニウム塩は、2つのエステル官能性を含有する。
【0196】
本発明に従って使用されてもよい少なくとも1つのエステル官能性を含有する第4級アンモニウム塩の中でも、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルメチルアンモニウム塩を使用することが好ましい。
【0197】
本発明において使用されてもよい両性または双性イオン界面活性剤は、特に、任意に4級化された第2級または第3級脂肪族アミン誘導体であって、脂肪族基が、8〜22個の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖であり、上記アミン誘導体が、少なくとも1つのアニオン性基、例えば、カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスフェートまたはホスホネート基を含有するものであってよい。特に、(C〜C20)アルキルベタイン、スルホベタイン、(C〜C20アルキル)アミド(C〜Cアルキル)ベタインまたは(C〜C20アルキル)アミド(C〜Cアルキル)スルホベタインが記載されてもよい。
【0198】
上記で定義された、使用されてもよい任意に4級化された第2級または第3級脂肪族アミン誘導体の中でも、以下のそれぞれの構造(B1)および(B2)の化合物が記載されてもよい。
Ra−C(O)−N(Z)CH(CH(Rb)(Rc)−CHC(O)O,M,X (B1)
(式(B1)中、
Raは、好ましくは加水分解されたココヤシ油に存在する酸RaCOOHから誘導されるC10〜C30アルキルまたはアルケニル基、あるいはヘプチル、ノニルまたはウンデシル基を表し、
Rbは、ベータヒドロキシエチル基を表し、
Rcは、カルボキシメチル基を表し、
は、ナトリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属、アンモニウムイオンまたは有機アミンから誘導されるイオンから誘導されるカチオン性対イオンを表し、
は、好ましくは、ハライド、アセテート、ホスフェート、ニトレート、(C〜C)アルキルスルフェート、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルキルアリールスルホネート、特に、メチルスルフェートおよびエチルスルフェートから選択される有機または無機アニオン性対イオンを表し、
mは、0、1または2に等しく、
Zは、水素原子またはヒドロキシエチルまたはカルボキシメチル基を表すか、あるいは
およびXは不在である);
Ra’−C(O)−N(Z)−CH−(CHm’−N(B)(B’) (B2)
(式中、
Bは、基−CH−CH−O−X’を表し、
B’は、z=1または2である基−(CHY’−を表し、
X’は、基−CH−C(O)OH、−CH−C(O)OZ’、−CH−CH−C(O)OH、−CH−CH−C(O)OZ’、または水素原子を表し、
Y’は、基−C(O)OH、−C(O)OZ’、−CH−CH(OH)−SOH、または基−CH−CH(OH)−SO−Z’を表し
Z’は、ナトリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属、アンモニウムイオンまたは有機アミンから誘導されるイオンから誘導されるカチオン性対イオンを表し、
Ra’は、好ましくは、ココヤシ油または加水分解された亜麻仁油に存在する酸Ra’COOHのC10〜C30アルキルまたはC10〜C30アルケニル基、あるいはアルキル基、特にC17アルキル基、そのイソ型、または不飽和C17基を表し、
m’は、0、1または2に等しく、
Zは、水素原子、またはヒドロキシエチルもしくはカルボキシメチル基を表す。)
【0199】
この種類の化合物は、CTFA辞典、第5版、1993年で、二ナトリウムココアンホジアセテート、二ナトリウムラウロアンホジアセテート、二ナトリウムカプリルアンホジアセテート、二ナトリウムカプリロアンホジアセテート、二ナトリウムココアンホジプロピオネート、二ナトリウムラウロアンホジプロピオネート、二ナトリウムカプリルアンホジプロピオネート、二ナトリウムカプリロアンホジプロピオネート、ラウロアンホジプロピオン酸、ココアンホジプロピオン酸、およびヒドロキシエチルカルボキシメチルコカミドプロピルアミンの名称に分類される。
【0200】
記載されてもよい例には、商標名Miranol(登録商標)C2M Concentrateおよび商標名Miranol Ultra C 32でRhodia社によって販売されるココアンホジアセテート、ならびに商標名Chimexane HAでChimex社によって販売される製品などが含まれる。
【0201】
式(B’2):
Ra’’−NH−CH(Y’’)−(CH−C(O)NH(CHn’−N(Rd)(Re) (B’2)
(式中、
Y’’は、基−C(O)OH、−C(O)OZ’’、−CH−CH(OH)−SOH、または基CH−CH(OH)−SO−Z’’を表し、
RdおよびReは、互いに独立して、C〜Cアルキルまたはヒドロキシアルキル基を表し、
Z’’は、ナトリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属、アンモニウムイオンまたは有機アミンから誘導されるイオンから誘導されるカチオン性対イオンを表し、
Ra’’は、好ましくは、ココヤシ油または加水分解された亜麻仁油に存在する酸Ra’’−C(O)OHのC10〜C30アルキルまたはアルケニル基を表し、
nおよびn’は、互いに独立して、1〜3の範囲の整数を示す)の化合物が使用されてもよい。
【0202】
式(B’2)の化合物の中でも、ナトリウムジエチルアミノプロピルココアスパルアミドの名称でCTFA辞書において分類され、Chimexane HBの名称でChimex社によって販売される化合物が記載されてもよい。
【0203】
上記両性または双性イオン界面活性剤の中でも、(C〜C20アルキル)ベタイン、例えば、ココイルベタイン、(C〜C20アルキル)アミド(C〜Cアルキル)ベタイン、例えば、ココイルアミドプロピルベタイン、およびそれらの混合物を使用することが好ましい。
【0204】
より好ましくは、両性または双性イオン界面活性剤は、ココイルアミドプロピルベタインおよびココイルベタインから選択される。
【0205】
本発明による組成物で使用される界面活性剤は、好ましくは、非イオン性またはカチオン性である。
【0206】
界面活性剤は、組成物の全重量に対して、0.01重量%〜30重量%、好ましくは、0.1重量%〜10重量%、より好ましくは、1重量%〜5重量%の量で存在してもよい。
【0207】
本発明による組成物は、都合よく、組成物の全重量に対して、1重量%〜95重量%、好ましくは、20重量%〜80重量%、より好ましくは40重量%〜70重量%を表す水を含んでなる。
【0208】
本発明による組成物は、1種またはそれ以上の脂肪物質を含んでなってもよい。
【0209】
「脂肪物質」という用語は、通常の室温(25℃)および気圧(760mmHg)で水中で不溶性であって、5%未満、好ましくは1%未満、さらに好ましくは0.1%未満の水溶性を有する有機化合物を意味する。
【0210】
加えて、脂肪物質は、同一温度および圧力条件で有機溶媒中に一般に可溶性であり、例えば、クロロホルム、エタノール、ベンゼン、液体ワセリンまたはデカメチルシクロペンタジロキサンである。
【0211】
本発明による組成物において使用されてもよい上記脂肪物質は、好ましくは、炭化水素、脂肪アルコール、脂肪酸および/または脂肪アルコールエステル、非塩化脂肪酸、シリコーンおよびそれらの混合物から選択される。
【0212】
脂肪物質は、室温および気圧において液体であっても、非液体であってもよい。
【0213】
上記脂肪物質は、組成物の全重量に対して、0.001重量%〜90重量%、より好ましくは、0.1重量%〜50重量%、好ましくは、0.5重量%〜30重量%、さらに好ましくは、1重量%〜20重量%を表し得る。
【0214】
組成物は、1種またはそれ以上の水溶性有機溶媒(25℃および気圧で水中5%以上の溶解性)を含んでなってもよい。
【0215】
記載されてもよい水溶性有機溶媒の例には、2〜10個の炭素原子を含んでなる直鎖または分枝鎖、そして好ましくは飽和モノアルコールまたはジオール、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ヘキシレングリコール(2−メチル−2,4−ペンタンジオール)、ネオペンチルグリコールおよび3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびプロピレングリコール、芳香族アルコール、例えば、フェニルエチルアルコール;3個以上のヒドロキシル官能性を含有するポリオール、例えば、グリセロール;ポリオールエーテル、例えば、エチレングリコールモノメチル、モノエチルおよびモノブチルエーテル、プロピレングリコールまたはそれらのエーテル、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル;ならびにジエチレングリコールアルキルエーテル、特にC〜Cアルキルエーテル、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはモノブチルエーテルが、単独または混合物として含まれてよい。
【0216】
水溶性有機溶媒は、存在する場合、一般に、本発明による組成物の全重量に対して1重量%〜20重量%、好ましくは、組成物の全重量に対して5重量%〜10重量%を表す。
【0217】
本発明による組成物は、ヘアケアの領域で一般に使用される有効成分および化粧料補助剤から選択される1種またはそれ以上の添加剤も含有してもよい。これらの添加剤は、例えば、すでに記載された増粘ポリマー以外の固定化ポリマー、コンディショニング剤、特にカチオン性ポリマー、シリコーン、キトサンおよび誘導体、疎水性溶媒、ヘアダイ、例えば、直接染料、特に、カチオン性または天然染料、酸化染料および顔料;UV−スクリーニング剤、充填剤、例えば、真珠層、二酸化チタン、樹脂および粘土;芳香剤、ペプタイザー、ビタミン、保存剤、酸性剤、アルカリ性剤、還元剤、酸化剤、アミノ酸、オリゴペプチド、ペプチド、加水分解されるか、もしくは加水分解されない、変性もしくは未変性タンパク質、酵素、有機酸、酸化防止剤およびフリーラジカル捕捉剤、キレート試薬、フケ防止剤、脂漏調節剤、鎮静剤、可塑剤、グリターフレークおよび噴射ガスから選択される。
【0218】
上記添加剤は、本発明による組成物の全重量に対して、0.01重量%〜20重量%の範囲の量で存在してもよい。
【0219】
本発明による組成物は、ワックス、ペースト、クリーム、ゲル、フォーム、スプレーまたはローションの形態であってもよい。
【0220】
本発明の対象は、ケラチン繊維、好ましくは毛髪をストレート化するための本発明によって定義される組成物の使用でもある。
【0221】
最終的に、本発明の対象は、
(i)ケラチン繊維に、本発明による組成物を適用するステップと、それに続いて、
(ii)加熱手段によってケラチン繊維の温度を25〜250℃の範囲の温度に高めるステップと
を含んでなるケラチン繊維、好ましくは毛髪をストレート化するための方法である。
【0222】
好ましくは、 100〜250℃、好ましくは150〜230℃の範囲の温度まで上記加熱手段によって温度を高める。
【0223】
第1の実施形態において、放置時間の有無にかかわらず、湿った、または乾燥した頭部の毛髪、好ましくは湿った毛髪に本発明の組成物を適用する。適用された調製物の浴比は、0.1〜10、特に0.2〜5の範囲であってもよい。ケラチン繊維は、次いで任意に、すりこみ乾燥(rubbed dry)し、好ましくは、すりこみ乾燥する。1つまたはそれ以上の加熱手段を、25〜250℃、好ましくは100〜250℃、なお好ましくは150〜230℃の範囲の温度で、5秒〜1時間、好ましくは5秒〜1分の範囲の時間で、1回で、または連続してケラチン繊維に適用する。毛髪は、次いで、任意に以下の作業の1つまたはそれ以上を受ける:リンス、シャンプー、およびリンスアウトヘアコンディショナーによる処理、好ましくはフードまたはヘアドライヤーを使用しての乾燥。
【0224】
好ましくは、放置時間が観察される場合、上記放置時間は、好ましくは、5分〜1時間である。
【0225】
「浴比」という用語は、適用された組成物の全重量および処理されるケラチン繊維の全重量の間の比率を意味する。
【0226】
特に使用されてもよい加熱手段には、ストレートアイロン、カールアイロン、クリンピングアイロン、ウェービングアイロン、フード、ヘアドライヤー、赤外線加熱システムまたは加熱ローラー(デジタルパーマ型)が含まれる。
【0227】
第2の実施形態において、(i)ケラチン繊維に本発明による組成物を適用するステップと、それに続いて、(ii)加熱手段によってケラチン繊維の温度を25〜250℃の範囲の温度に高めるステップとによって形成される順序が1回またはそれ以上の回数で、任意に、1回またはそれ以上の化粧料処理、好ましくは、シャンプーによって分離されて、所望の形状または形状強度が得られるまで実行される。
【0228】
これらの2つの実施形態において、加熱手段は、好ましくはアイロンである。
【0229】
以下の実施例は、特性を限定ことなく、本発明を例示するために有用となる。
【実施例】
【0230】
実施例1
本発明によるケラチン繊維をストレート化するための組成物1〜2を、本発明によるいずれかの増粘剤を含有していない対照組成物とともに調製する。調製物は表Iに示される(組成物の全重量に対する重量パーセントとして量が表される)。
【0231】
【表1】
【0232】
組成物1および2、ならびに対照組成物は、以下のプロトコルに従って、適度に縮れた毛髪の房に適用される(Shape variability and classification of human hair,Roland De La Mettrieら,Human Biology,2007,vol.79,No.3,pages 265−281の論文による縮れレベル3)。
【0233】
ケラチン繊維は、シャンプーで予備洗浄する。
【0234】
それぞれの組成物を、別々の湿った頭髪に適用する。次いで、過剰量の製品は、すりこみ乾燥によって除去される。
【0235】
次いで、頭髪をヘアドライヤーで予備乾燥する。次いで、ストレートアイロンを210℃の温度で(約1分間)、連続して2回、頭髪に沿ってゆっくり適用する。次いで、頭髪をシャンプーで洗浄して、ヘアドライヤーを使用して最終的に乾燥する。
【0236】
出願人は、本発明による2つの組成物および対照組成物に関して、毛髪をストレート化することが永続的であることを発見する。
【0237】
他方で、出願人は、頭部の毛髪における分布の容易さ、ブロードライの容易さ、およびフラットトングの通過の容易さに関するワーキング品質は、対照組成物と比較して、本発明による組成物1および2の場合、より高いことを発見する。
【0238】
さらにまた出願人は、本発明による組成物1および2が、対照組成物よりも高い光沢および化粧特性を毛髪に与えることを発見する。
【0239】
実施例2:
本発明によるケラチン繊維をストレート化するための組成物3を、本発明によるいずれかの増粘剤を含有していない対照組成物とともに調製する。調製物は表Iに示される(組成物の全重量に対する重量パーセントとして量が表される)。
【0240】
【表2】
【0241】
組成物3および対照組成物は、以下のプロトコルに従って、適度に縮れた毛髪の房に適用される(Shape variability and classification of human hair,Roland De La Mettrieら,Human Biology,2007,vol.79,No.3,pages 265−281の論文による縮れレベル3)。
【0242】
ケラチン繊維は、シャンプーで予備洗浄する。
【0243】
それぞれの組成物を、別々の湿った頭髪に適用する。次いで、過剰量の製品は、すりこみ乾燥によって除去される。
【0244】
次いで、頭髪をヘアドライヤーで予備乾燥する。次いで、ストレートアイロンを210℃の温度で(約1分間)、連続して2回、頭髪に沿ってゆっくり適用する。次いで、頭髪をシャンプーで洗浄して、ヘアドライヤーを使用して最終的に乾燥する。出願人は、本発明による組成物3および対照組成物に関して、毛髪をストレート化することが永続的であることを発見する。
【0245】
他方で、出願人は、頭部の毛髪における分布の容易さ、ブロードライの容易さ、およびフラットトングの通過の容易さに関するワーキング品質は、対照組成物と比較して、本発明による組成物3の場合、より高いことを発見する。
【0246】
さらにまた出願人は、本発明による組成物3が、対照組成物よりも高い光沢および化粧特性を毛髪に与えることを発見する。