特許第6609651号(P6609651)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許66096513次元物体を付加的に製造するための装置
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  • 特許6609651-3次元物体を付加的に製造するための装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6609651
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】3次元物体を付加的に製造するための装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/364 20170101AFI20191111BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20191111BHJP
   B29C 64/25 20170101ALI20191111BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20191111BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20191111BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20191111BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20191111BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20191111BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   B29C64/364
   B29C64/153
   B29C64/25
   B33Y30/00
   B33Y50/02
   B29C64/393
   B22F3/105
   B22F3/16
   B28B1/30
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-12458(P2018-12458)
(22)【出願日】2018年1月29日
(65)【公開番号】特開2019-25896(P2019-25896A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2018年1月29日
(31)【優先権主張番号】17183451.8
(32)【優先日】2017年7月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・ラウアー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ディラー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトル・エンゲル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・シュタムベルガー
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−508129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/105,3/16
B28B 1/30
B29C 64/25,64/364
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー・ビーム(4)によって硬化させることができる粉状の構築材料(3)の層を連続的に層ごとに選択的に照射及び硬化することによって、3次元物体(2)を付加的に製造するための装置(1)であって、プロセス・チャンバ(8)及び流れ発生デバイス(9)を含み、前記流れ発生デバイス(9)は、前記プロセス・チャンバ(8)を通って少なくとも部分的に流れるガス状の流体流れを発生させるように構成されており、前記ガス状の流体流れは、前記プロセス・チャンバ(8)を通って流れる間に、硬化されていない粒子状の構築材料、特に、前記装置(1)の動作の間に発生するスモーク又はスモーク残留物で充満され得、前記流れ発生デバイス(9)は、少なくとも2つの別々の流れ発生ユニット(13、14)を含み、それぞれが、それぞれのガス状の流体流れを発生させるように構成されている、装置(1)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの流れ発生ユニット(13、14)に関連付けられた制御ユニット(24)を含み、前記制御ユニット(24)は、それぞれの前記少なくとも2つの流れ発生ユニット(13、14)の動作を、互いに独立して又は互いに依存して制御するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御ユニット(24)は、同期させて前記少なくとも2つの流れ発生ユニット(13、14)の動作を制御するように構成されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御ユニット(24)は、前記少なくとも2つの流れ発生ユニット(13、14)の動作を制御し、所定の流れ特性のガス状の流体流れを発生させるように構成されており、それによって、前記少なくとも2つの流れ発生ユニット(13、14)のそれぞれの動作は、前記少なくとも2つの流れ発生ユニット(13、14)が所定の流れ特性の前記ガス状の流体流れを発生させるように協働して作用するように制御される、請求項1〜3のいずれか一つに記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つの流れ発生ユニット(13、14)のそれぞれは、吸い込みポンピング・デバイスであり、又は、少なくとも1つの吸い込みポンピング・デバイスを含む、請求項1〜4のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つの流れ発生ユニット(13、14)は、並列に配設されている、請求項1〜5のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つの流れ発生ユニット(13、14)は、前記プロセス・チャンバ(8)から延在する流れ通路構造体(17)の中に配設されている、請求項1〜6のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
前記流れ通路構造体は、プロセス・チャンバ・ガス出口部(12)と、硬化されていない粒子状の構築材料、特に、前記装置(1)の動作の間に発生するスモーク又はスモーク残留物を、前記ガス状の流体流れから濾過するように構成されているフィルタリング・デバイス(18)と、プロセス・チャンバ・ガス入口部(11)との間に延在している、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記流れ通路構造体(17)は、前記流れ通路構造体(17)を少なくとも2つの流れ通路分岐部(20、21)に分岐させる分岐セクション(19)を含み、それによって、第1の流れ発生ユニット(13)は、第1の流れ通路分岐部(20)の中に配設されており、第2の流れ発生ユニット(14)は、第2の流れ通路分岐部(21)の中に配設されている、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも2つの流れ発生ユニット(13、14)は、前記同じ出力パワーを有している、請求項1〜9のいずれか一つに記載の装置。
【請求項11】
エネルギー・ビーム(4)によって硬化させることができる粉状の構築材料(3)の層を連続的に層ごとに選択的に照射及び硬化することによって、3次元物体(2)を付加的に製造するための、請求項1〜9のいずれか一つに記載の装置(1)に関する流れ発生デバイス(9)であって、少なくとも2つの別々の流れ発生ユニット(13、14)を含み、それぞれが、ガス状の流体流れを発生させるように構成されており、前記ガス状の流体流れは、それぞれの装置の前記プロセス・チャンバ(8)を通って流れる間に、硬化されていない粒子状の構築材料、特に、前記装置の動作の間に発生するスモーク又はスモーク残留物で充満され得る、流れ発生デバイス(9)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー・ビームによって硬化させることができる粉状の構築材料の層を連続的に層ごとに選択的に照射及び硬化することによって、3次元物体を付加的に製造するための装置であって、プロセス・チャンバ及び流れ発生デバイスを含み、流れ発生デバイスは、プロセス・チャンバを通って少なくとも部分的に流れるガス状の流体流れを発生させるように構成されており、ガス状の流体流れは、プロセス・チャンバを通って流れる間に、硬化されていない粒子状の構築材料、特に、装置の動作の間に発生するスモーク又はスモーク残留物で充満され得る、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元物体を付加的に製造するためのそれぞれの装置は、幅広く知られており、たとえば、選択的レーザ焼結装置、選択的レーザ溶融装置、又は選択的電子ビーム溶融装置として具現化され得る。
【0003】
それぞれの付加的に製造するための装置の動作の間に、粉末床から構築材料粒子を上昇させることなく(それは、製造されることとなる物体の品質に関して決定的な要因である)、硬化されていない粒子状の構築材料、特に、装置の動作の間に発生するスモーク又はスモーク残留物を効率的に除去することは挑戦的である可能性がある。換言すれば、プロセス・チャンバを通って流れる間に、一方では、プロセス・チャンバから硬化されていない構築材料粒子を効率的に除去し、他方では、粉末床から構築材料粒子を上昇させることを回避する、ガス状の流体流れを発生させるように、それぞれの装置の流れ発生デバイスは構成されるべきである。これは、特に、高いパワーのエネルギー・ビーム、たとえば、200Wを超えるパワーを有するエネルギー・ビームを実装する付加的に製造するための装置に当てはまる。
【0004】
しかし、公知の流れ発生デバイスは、特に、高いパワーのエネルギー・ビームが粉状の構築材料を照射及び硬化させるように実装されるときに、完全に満足のいくように上述の課題を達成しない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記を考慮して、本発明の目的は、ガス状の流体流れを発生させることを可能にする、改善された流れ発生デバイスを有する3次元物体を付加的に製造するための装置を提供することであり、ガス状の流体流れは、プロセス・チャンバを通って流れる間に、一方では、プロセス・チャンバから硬化されていない構築材料粒子を効率的に除去し、他方では、粉末床から構築材料粒子を上昇させることを回避する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1による3次元物体を付加的に製造するための装置によって実現される。請求項1に従属する請求項は、請求項1による装置の可能性のある実施形態に関する。
【0007】
本明細書で説明されている装置は、エネルギー・ビームによって硬化させることができる粉状の構築材料(「構築材料」)の層を連続的に層ごとに選択的に照射及び硬化することによって、3次元物体、たとえば、技術的なコンポーネントを付加的に製造するための装置である。それぞれの構築材料は、金属、セラミック、又はポリマー粉末であることが可能である。それぞれのエネルギー・ビームは、レーザ・ビーム又は電子ビームであることが可能である。それぞれの装置は、たとえば、選択的レーザ焼結装置、選択的レーザ溶融装置、又は選択的電子ビーム溶融装置であることが可能である。
【0008】
装置は、その動作の間に使用される複数の機能的ユニットを含む。例示的な機能的ユニットは、プロセス・チャンバ、照射デバイス、及び流れ発生デバイスであり、照射デバイスは、少なくとも1つのエネルギー・ビームによって、プロセス・チャンバの中に配設されている構築材料層を選択的に照射するように構成されており、流れ発生デバイスは、所与の流れ特性、たとえば、所与の流れプロファイル、流速などを有する、少なくとも部分的にプロセス・チャンバを通って流れるガス状の流体流れを発生させるように構成されている。ガス状の流体流れは、プロセス・チャンバを通って流れる間に、硬化されていない粒子状の構築材料、特に、装置の動作の間に発生するスモーク又はスモーク残留物で充満され得る。ガス状の流体流れは、典型的には不活性であり、すなわち、典型的には、たとえばアルゴン、窒素、二酸化炭素などの、不活性ガスの流れである。
【0009】
先行技術から公知の流れ発生デバイスと比較して、本明細書で説明されている付加的に製造するための装置の流れ発生デバイスは、少なくとも2つの別々の流れ発生ユニットを含み、それぞれが、それぞれのガス状の流体流れを発生させるように構成されている。複数の流れ発生ユニットを含むことによって、流れ発生デバイスは、プロセス・チャンバを通って流れる間に、一方では、完全に満足のいくように、プロセス・チャンバから硬化されていない構築材料粒子を効率的に除去し、他方では、粉末床から構築材料粒子を上昇させることを回避する、ガス状の流体流れを発生させる上述の課題を達成する。単に単一の流れ発生ユニットを使用する公知の流れ発生デバイスと比較して、少なくとも2つの流れ発生ユニットを使用する流れ発生デバイスの強化可能な又は強化されたパワー・スペクトルから結果として生じる、高いパワーのエネルギー・ビーム、たとえば、200Wよりも大きいパワーを有するエネルギー・ビームを実装するときでも、複数の流れ発生ユニットを設けることは、流れ発生デバイスによって発生するガス状の流体流れが、プロセス・チャンバから硬化されていない構築材料粒子を効率的に除去し、粉末床から構築材料粒子を上昇させることを回避することを確実にする。
【0010】
結果として、ガス状の流体流れを発生させることを可能にする、改善された流れ発生デバイスを有する3次元物体を付加的に製造するための装置であって、ガス状の流体流れは、プロセス・チャンバを通って流れる間に、一方では、プロセス・チャンバから硬化されていない構築材料粒子を効率的に除去し、他方では、粉末床から構築材料粒子を上昇させることを回避する、装置が提供される。
【0011】
少なくとも2つの流れ発生ユニットは、同じ出力パワーを有することが可能である。したがって、少なくとも2つの流れ発生ユニットは、同じ流れ特性のガス状の流体流れを発生させるように構成され得る。特に、少なくとも2つの流れ発生ユニットは、同一のものであることが可能であり、すなわち、それぞれ、同じモデル又はタイプのものであることが可能である。同一の又は少なくとも類似の流れ発生ユニットを使用することによって、流れ発生デバイスの制御可能性及び動作安定性を強化することが可能である。
【0012】
少なくとも2つの流れ発生ユニットは、典型的には並列に配設されている。したがって、少なくとも2つの流れ発生ユニットは、並列に動作させることができる。少なくとも2つの流れ発生ユニットの並列の動作は、流れ発生デバイスによって発生するか又は発生させることができるガス状の流体流れの流れ特性、特に、最大パワーを改善する。
【0013】
少なくとも2つの流れ発生ユニット、すなわち、流れ発生ユニット・ガス入口部は、プロセス・チャンバから延在する流れ通路構造体の中に配設され得、それぞれの流れ通路構造体に連通する。特に、流れ通路構造体は、プロセス・チャンバ、すなわち、プロセス・チャンバ・ガス出口部と、硬化されていない粒子状の構築材料、特に、装置の動作の間に発生するスモーク又はスモーク残留物を、ガス状の流体流れから濾過するように構成されているフィルタリング・デバイス(それは、装置の一部を形成することが可能である)と、プロセス・チャンバ・ガス入口部との間に延在することが可能である。流れ通路構造体は、導管、ダクト、パイプ、チューブなどのような、少なくとも1つの流れ通路要素を含むことが可能であり、ガス状の流体流れが、それを通って流れることが可能である。
【0014】
流れ通路構造体は、分岐セクションを含むことが可能であり、分岐セクションは、流れ通路構造体を少なくとも2つの流れ通路分岐部(サブ通路)に分岐する。それによって、第1の流れ発生ユニットは、第1の流れ通路分岐部(第1のサブ通路)の中に配設されており、第2の又はさらなる流れ発生ユニットは、第2の又はさらなる流れ通路分岐部(第2の又はさらなるサブ通路)の中に配設されている。流れ通路分岐部のそれぞれは、バルブ・デバイスを設けられ得、バルブ・デバイスは、それぞれの流れ通路分岐部を個別に開閉させることを可能にする。流れ発生ユニットを冗長に設けることによって、及び、それぞれの流れ発生ユニットを別々の流れ通路分岐部に接続することによって、流れ発生デバイスのフェールセーフ(failure−safety)及び信頼性が改善される。特に、1つの流れ発生ユニットの故障のケースでは、ガス状の流体流れは、依然として、別の流れ発生ユニットによって発生させることができる。
【0015】
装置は、少なくとも2つの流れ発生ユニットに関連付けられた制御ユニットを含むことが可能である。制御ユニットは、ハードウェア及び/又はソフトウェアで具現化され得、制御ユニットは、少なくとも2つの流れ発生ユニットのそれぞれの動作を、互いに独立して又は互いに依存して制御するように構成されている。したがって、少なくとも2つの流れ発生ユニットは、互いに独立して又は互いに依存して動作されるように構成されており、また、互いに独立して又は互いに依存して動作させることができる。結果的に、流れ発生デバイスによって発生するガス状の流体流れは、1つだけの流れ発生ユニットによって、又は、少なくとも2つの流れ発生ユニットによって、実際に発生させることができる。このようにして、流れ発生デバイスは、幅広い範囲の流れ特性、たとえば、流れプロファイル、流速などで、ガス状の流体流れを発生させることができる。特に、流れ発生デバイスによって発生するガス状の流体流れの流れ特性は、装置の多様な動作パラメータ、たとえば、エネルギー・ビームのパワーに容易に適合され得る。したがって、流れ発生デバイスは、異なるエネルギー・ビーム・パワーを使用して、複数の異なる装置の中で、すなわち、特に、複数の装置1の中で実装されるように標準化され得る。
【0016】
したがって、制御ユニットは、少なくとも2つの流れ発生ユニットの動作を制御し、所定の流れ特性のガス状の流体流れを発生させるように構成され得、それによって、少なくとも2つの流れ発生ユニットのそれぞれの動作は、少なくとも2つの流れ発生ユニットが所定の流れ特性のガス状の流体流れを発生させるように協働して作用するように制御される。したがって、少なくとも2つの流れ発生ユニットのそれぞれの動作は、少なくとも2つの流れ発生ユニットのパワー出力の総計が所定の流れ特性のガス状の流体流れを提供するように制御され得る。2つの別々の流れ発生ユニットの例示的なケースに関して、ガス状の流体流れの効果的なパワーは、1つだけの流れ発生ユニットを動作させるときに(2つの流れ発生ユニットの動作から生じるときに)、半分にされ得、また、両方の流れ発生ユニットを動作させるときに(1つだけの流れ発生ユニットの動作から生じるときに)、2倍にされ得る。当然のことながら、これは、同様に、3つ以上の別々の流れ発生ユニットを有するすべての流れ発生デバイスに当てはまる。
【0017】
そのうえ、制御ユニットは、同期させて少なくとも2つの流れ発生ユニットの動作を制御するように構成され得る。同期させて少なくとも2つの流れ発生ユニットを動作させることは、ガス状の流体流れの最適化された発生をもたらす。その理由は、流れ発生ユニットの流体流れ発生能力が、相乗的に使用され得るからである。
【0018】
少なくとも2つの流れ発生ユニットのそれぞれは、ポンピング・デバイス、特に、吸い込みポンピング・デバイス、又はガス圧縮デバイス、特に、ガス圧縮機であることが可能である。同様に、少なくとも2つの流れ発生ユニットのそれぞれは、少なくとも1つのそれぞれのポンピング・デバイス又は少なくとも1つのそれぞれのガス圧縮デバイスを含むことが可能である。上述の実施形態のそれぞれは、所望の流れ特性のガス状の流体流れを発生させることができる。
【0019】
また、装置に加えて、本発明は、それぞれの装置のための流れ発生デバイスに関する。流れ発生デバイスは、少なくとも2つの別々の流れ発生ユニットを含み、それぞれが、ガス状の流体流れを発生させるように構成されており、ガス状の流体流れは、それぞれの装置のプロセス・チャンバを通って流れる間に、硬化されていない粒子状の構築材料、特に、装置の動作の間に発生するスモーク又はスモーク残留物で充満され得る。装置に関するすべての注釈は、同様に流れ発生デバイスに当てはまる。
【0020】
本発明の例示的な実施形態は、図を参照して説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】例示的な実施形態による、3次元物体を付加的に製造するための装置の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
単独の図は、エネルギー・ビーム4、たとえば、レーザ・ビームによって硬化させることができる、粉状の構築材料3、たとえば、金属粉末の層の連続的な層ごとの選択的な照射及び付随する硬化によって、3次元物体2、たとえば技術的なコンポーネントを付加的に製造するための装置1の原理図面を示している。装置1は、たとえば、選択的レーザ溶融装置であることが可能である。
【0023】
装置1は、その動作の間に使用される複数の機能的ユニットを有している。1つの例示的な機能的ユニットは、照射デバイス5、特にエネルギー・ビーム発生デバイス及び/又はエネルギー・ビーム偏向デバイス、たとえば、スキャニング・デバイスであり、それは、少なくとも1つのエネルギー・ビーム4によって構築材料層を選択的に照射するのに役立つ。別の例示的な機能的ユニットは、構築材料アプリケーション・デバイス6、特に、コーティング・デバイスであり、それは、たとえば、装置1のプロセス・チャンバ8の構築平面7の中に、構築材料3の層を適用するのに役立つ。別の例示的な機能的ユニットは、流れ発生デバイス9であり、流れ発生デバイス9は、ガス状の流体流れ(矢印10によって示されている)を発生させるように構成されており、ガス状の流体流れは、プロセス・チャンバ8を通って流れ、すなわち、プロセス・チャンバ・ガス入口部11とプロセス・チャンバ・ガス出口部12との間に流れ、所与の流れ特性、たとえば、所与の流れプロファイル、流速などを有している。ガス状の流体流れは、プロセス・チャンバ8を通って流れる間に、硬化されていない粒子状の構築材料、特に、装置1の動作の間に発生するスモーク又はスモーク残留物で充満され得る。ガス状の流体流れは、不活性であり、すなわち、たとえばアルゴン、窒素、二酸化炭素などの、不活性ガスの流れである。
【0024】
流れ発生デバイス9は、複数の、すなわち、例示的な実施形態では、2つの別々の流れ発生ユニット13、14を含み、それぞれが、それぞれのガス状の流体流れを発生させるように構成されている。複数の流れ発生ユニット13、14を含むことによって、流れ発生デバイス9は、ガス状の流体流れを発生させることを可能にし、ガス状の流体流れは、プロセス・チャンバ8を通って流れる間に、一方では、完全に満足のいくように、プロセス・チャンバ8から硬化されていない構築材料粒子を効率的に除去し、他方では、粉末床から構築材料粒子を上昇させることを回避する。単に単一の流れ発生ユニットを使用する公知の流れ発生デバイスと比較して、複数の流れ発生ユニット13、14を使用する流れ発生デバイス9の強化されたパワー・スペクトルから結果として生じる、高いパワーのエネルギー・ビーム、たとえば、200Wよりも大きいパワーを有するエネルギー・ビームを実装するときでも、複数の流れ発生ユニット13、14を設けることは、ガス状の流体流れが、プロセス・チャンバ8から硬化されていない構築材料粒子を効率的に除去し、粉末床から構築材料粒子を上昇させることを回避することを確実にする。
【0025】
流れ発生ユニット13、14のそれぞれは、ポンピング・デバイス、特に、吸い込みポンピング・デバイス、又はガス圧縮デバイス、特に、ガス圧縮機であることが可能である。
【0026】
流れ発生ユニット13、14は、同じ出力パワーを有することが可能である。したがって、流れ発生ユニット13、14は、同じ流れ特性のガス状の流体流れを発生させるように構成され得る。2つの流れ発生ユニット13、14は、同一のものであることが可能であり、すなわち、それぞれ、同じモデル又はタイプのものであることが可能である。
【0027】
図から認識できるように、流れ発生ユニット13、14は、並列に配設されている。したがって、2つの流れ発生ユニット13、14は、並列に動作させることができる。
【0028】
流れ発生ユニット13、14、すなわち、それぞれの流れ発生ユニット・ガス入口部15、16は、流れ通路構造体17の中に配設されている。流れ通路構造体17は、導管、ダクト、パイプ、チューブなどのような、複数の流れ通路要素(明示的には示されていない)を含み、ガス状の流体流れが、それを通って流れることが可能であり、また、プロセス・チャンバ8から、特に、それぞれプロセス・チャンバ8のプロセス・チャンバ・ガス出口部12から延在することが可能である。図から明らかであるように、流れ通路構造体17は、プロセス・チャンバ・ガス出口部12とプロセス・チャンバ・ガス入口部11との間に延在しており、ガス状の流体流れが循環して流れることができるようになっている。
【0029】
また、図から明らかであるように、硬化されていない粒子状の構築材料、特に、装置1の動作の間に発生するスモーク又はスモーク残留物を、ガス状の流体流れから濾過するように構成されているフィルタリング・デバイス18が、プロセス・チャンバ8のプロセス・ガス出口部12と流れ発生デバイス9との間の流れ通路構造体17の中に配設されている。
【0030】
また、図から明らかであるように、流れ通路構造体17は、分岐セクション19を含み、分岐セクション19は、流れ通路構造体17を2つの流れ通路分岐部20、21(サブ通路)に分岐する。それによって、第1の流れ発生ユニット13は、第1の流れ通路分岐部20(第1のサブ通路)の中に配設されており、第2の流れ発生ユニット14は、第2の流れ通路分岐部21(第2のサブ通路)の中に配設されている。流れ通路分岐部20、21のそれぞれは、バルブ・デバイス22、23を設けられ得、バルブ・デバイス22、23は、それぞれの流れ通路分岐部20、21を個別に開閉させることを可能にする。
【0031】
装置1は、流れ発生ユニット13、14に関連付けられた制御ユニット24を含む。制御ユニット24は、ハードウェア及び/又はソフトウェアで具現化され得、制御ユニット24は、流れ発生ユニット13、14のそれぞれの動作を、互いに独立して又は互いに依存して制御するように構成されている。したがって、流れ発生ユニット13、14は、互いに独立して又は互いに依存して動作されるように構成されており、また、互いに独立して又は互いに依存して動作させることができる。結果的に、流れ発生デバイス9によって発生するガス状の流体流れは、1つだけの流れ発生ユニット13、14によって、又は、2つの流れ発生ユニット13、14によって、実際に発生させることができる。このようにして、流れ発生デバイス9は、幅広い範囲の流れ特性、たとえば、流れプロファイル、流速などで、ガス状の流体流れを発生させることができる。特に、流れ発生デバイス9によって発生するガス状の流体流れの流れ特性は、装置1の多様な動作パラメータ、たとえば、エネルギー・ビームのパワーに容易に適合され得る。したがって、流れ発生デバイス9は、複数の異なる装置1の中で実装されるように標準化され得る。
【0032】
したがって、制御ユニット24は、流れ発生ユニット13、14の動作を制御するように構成され得、所定の流れ特性のガス状の流体流れを発生させるようになっており、それによって、流れ発生ユニット13、14のそれぞれの動作は、流れ発生ユニット13、14が所定の流れ特性のガス状の流体流れを発生させるように協働して作用するように制御される。したがって、流れ発生ユニット13、14のそれぞれの動作は、流れ発生ユニット13、14のパワー出力の総計が所定の流れ特性のガス状の流体流れを提供するように制御され得る。図による例示的な実施形態に関して、ガス状の流体流れの効果的なパワーは、1つだけの流れ発生ユニット13、14を動作させるときに(2つの流れ発生ユニット13、14の動作から生じるときに)、半分にされ得、また、両方の流れ発生ユニット13、14を動作させるときに(1つだけの流れ発生ユニット13、14の動作から生じるときに)、2倍にされ得る。
【0033】
制御ユニット24は、同期させて流れ発生ユニット13、14の動作を制御するように構成され得る。同期させて流れ発生ユニット13、14を動作させることは、ガス状の流体流れの最適化された発生をもたらす。その理由は、流れ発生ユニット13、14の流体流れ発生能力が、相乗的に使用され得るからである。
【符号の説明】
【0034】
1 装置
2 3次元物体
3 構築材料
4 エネルギー・ビーム
5 照射デバイス
6 構築材料アプリケーション・デバイス
7 構築平面
8 プロセス・チャンバ
9 流れ発生デバイス
10 矢印
11 プロセス・チャンバ・ガス入口部
12 プロセス・チャンバ・ガス出口部
13 流れ発生ユニット
14 流れ発生ユニット
15 流れ発生ユニット・ガス入口部
16 流れ発生ユニット・ガス入口部
17 流れ通路構造体
18 フィルタリング・デバイス
19 分岐セクション
20 流れ通路分岐部
21 流れ通路分岐部
22 バルブ・デバイス
23 バルブ・デバイス
24 制御ユニット
図1