(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6609711
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】画像誘導放射線治療における3次元呼吸運動管理
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20191111BHJP
【FI】
A61N5/10 M
A61N5/10 F
A61N5/10 K
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-540393(P2018-540393)
(86)(22)【出願日】2016年10月21日
(65)【公表番号】特表2019-508111(P2019-508111A)
(43)【公表日】2019年3月28日
(86)【国際出願番号】IB2016001601
(87)【国際公開番号】WO2017134482
(87)【国際公開日】20170810
【審査請求日】2018年8月29日
(31)【優先権主張番号】62/290,198
(32)【優先日】2016年2月2日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518000132
【氏名又は名称】エレクタ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087479
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 好人
(72)【発明者】
【氏名】ラシェーヌ,マルタン エミール
【審査官】
石田 智樹
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0326373(US,A1)
【文献】
特表2008−514352(JP,A)
【文献】
特表2009−501043(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0127845(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0217595(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の解剖学的関心領域の画像を取得するように構成された画像取得装置と、
解剖学的関心領域の画像に基づいて放射線の線量を解剖学的関心領域に送達するように構成された放射線治療装置と、
第1の時点の第1の2D画像と、前記第1の時点より最近である第2の時点で取得された第2の2D画像を取得するように前記画像取得装置を制御し、前記第1の時点と前記第2の時点は前記患者の周期的な動きの同じ時点であり、前記第1の2D画像と前記第2の2D画像のそれぞれは、前記解剖学的関心領域の断面画像を含み、前記第1の2D画像および前記第2の2D画像は、異なる解剖学的平面において取得され、
前記患者の前記周期的な動きに基づいて、前記第1の2D画像を前記第2の時点まで時間的に前進させることによって予測画像を生成し、
前記予測画像内の前記解剖学的関心領域の断面画像をセグメント化する第1の輪郭要素のセットと、前記2D画像内の前記解剖学的関心領域の断面画像をセグメント化する第2の輪郭要素のセットを抽出するために、自動輪郭形成を実行し、
前記解剖学的関心領域の前記動きを決定するために、前記第1の輪郭要素のセットおよび前記第2の輪郭要素のセットを前記解剖学的関心領域の3D表面画像にマッチングさせ、
前記決定された動きに基づいて放射線送達を制御する
ように構成されたプロセッサ装置と
を有することを特徴とする放射線治療システム。
【請求項2】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記画像取得装置は、前記患者の前記解剖学的関心領域の2D磁気共鳴イメージング(MRI)画像を取得するように構成されている
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項3】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記放射線治療装置は、線形加速器(LINAC)を含む
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項4】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記第1の輪郭要素のセットと前記第2の輪郭要素のセットは、ポイントのセット、線セグメントのセット、または画像パッチのセットの少なくともひとつを含む
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項5】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記第1の2D画像と前記第2の2D画像は、矢状面、冠状面、または横断面の少なくとも2つにおいて取得される2D画像を含む
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項6】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記患者の周期的な動きは、呼吸運動を含む
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項7】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記プロセッサ装置は、前記第1の輪郭要素のセットと前記3D表面との間の距離を最小にすることによって、前記解剖学的関心領域の前記3D表面画像に前記第1の輪郭要素のセットをマッチングさせ、前記第2の輪郭要素のセットと前記3D表面との間の距離を最小にすることによって、前記解剖学的関心領域の前記3D表面画像に前記第2の輪郭要素のセットをマッチングさせるように構成されている
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項8】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記解剖学的関心領域の動きは、変位または回転のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項9】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記プロセッサ装置は、前記動きを決定し、放射線治療セッション中に前記放射線送達を制御するように構成されている
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項10】
請求項1記載の放射線治療システムにおいて、
前記プロセッサ装置は、前記決定された動きに基づいて、放射線ビームのゲート、マルチリーフコリメータ(MLC)の変更、または、患者支持システムの動きの少なくともひとつを制御するように構成されている
ことを特徴とする放射線治療システム。
【請求項11】
放射線治療システムのプロセッサ装置によって実行され、画像誘導放射線治療セッション中に患者の解剖学的関心領域の動きを管理する方法であって、
前記方法は、
第1の時点の第1の2D画像と、前記第1の時点より最近である第2の時点で取得された第2の2D画像を取得するように前記画像取得装置を制御し、前記第1の時点と前記第2の時点は前記患者の周期的な動きの同じ時点であり、前記第1の2D画像と前記第2の2D画像のそれぞれは、前記解剖学的関心領域の断面画像を含み、前記第1の2D画像および前記第2の2D画像は、異なる解剖学的平面において取得され、
前記患者の前記周期的な動きに基づいて、前記第1の2D画像を前記第2の時点まで時間的に前進させることによって予測画像を生成し、
前記予測画像内の前記解剖学的関心領域の断面画像をセグメント化する第1の輪郭要素のセットと、前記2D画像内の前記解剖学的関心領域の断面画像をセグメント化する第2の輪郭要素のセットを抽出するために、自動輪郭形成を実行し、
前記解剖学的関心領域の前記動きを決定するために、前記第1の輪郭要素のセットおよび前記第2の輪郭要素のセットを前記解剖学的関心領域の3D表面画像にマッチングさせ、
前記決定された動きに基づいて放射線送達を制御する
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法において、
前記画像取得装置は、前記患者の前記解剖学的関心領域の2DMRI画像を取得する磁気共鳴撮像装置(MRI)を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11記載の方法において、
前記放射線治療装置は線形加速器(LINAC)を含む。
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項11記載の方法において、
前記第1の輪郭要素のセットと前記第2の輪郭要素のセットは、ポイントのセット、線セグメントのセット、または画像パッチのセットの少なくともひとつを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項11記載の方法において、
前記第1の2D画像と前記第2の2D画像は、矢状面、冠状面、または横断面の少なくとも2つにおいて取得される2D画像を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項11記載の方法において、
前記患者の周期的な動きは、呼吸運動を含む
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項11記載の方法において、
前記方法は、前記第1の輪郭要素のセットと前記3D表面との間の距離を最小にすることによって、前記解剖学的関心領域の前記3D表面画像に前記第1の輪郭要素のセットをマッチングさせ、前記第2の輪郭要素のセットと前記3D表面との間の距離を最小にすることによって、前記解剖学的関心領域の前記3D表面画像に前記第2の輪郭要素のセットをマッチングさせる
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項11記載の方法において、
前記方法は、前記動きを決定し、放射線治療セッション中に前記放射線送達を制御する
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項11記載の方法において、
前記決定された動きに基づいて放射線を送達するように前記放射線治療装置を制御することは、放射線ビームのゲートを制御すること、マルチリーフコリメータ(MLC)の変更を制御すること、患者支持システムの動きの制御することの少なくともひとつを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
患者の解剖学的関心領域の磁気共鳴イメージング(MRI)画像を取得するように構成された画像取得装置と、
線形加速器(LINAC)を含み、前記解剖学的関心領域の前記MRI画像に基づいて前記解剖学的関心領域への放射線容量を送達するように構成された放射線治療装置と、
前記画像取得装置を制御して複数の2D画像を取得し、前記複数の2D画像のそれぞれは、前記解剖学的関心領域の対応する断面画像を含み、前記複数の2D画像は、矢状面、冠状面、または横断面の少なくとも2つにおいて取得される2D画像を含み、前記複数の2D画像は、第1の時点で取得された第1の2D画像と、第2の時点で取得された第2の2D画像とを含み、前記第2の時点は前記第1の時点よりも最近であり、前記第1および第2の2D画像は異なる解剖学的平面で取得されており、前記第1の時点と前記第2の時点は前記患者の周期的な動きの同じ時点であり、
前記患者の前記周期的な動きに基づいて、前記第1の2D画像を前記第2の時点まで時間的に前進させることによって予測画像を生成し、前記周期的な動きは呼吸運動を含み、
前記予測画像内の前記解剖学的関心領域の断面画像をセグメント化する第1の輪郭要素のセットと、前記2D画像内の前記解剖学的関心領域の断面画像をセグメント化する第2の輪郭要素のセットを抽出するために、自動輪郭形成を実行し、前記第1の輪郭要素のセットおよび前記第2の輪郭要素のセットのそれぞれは、ポイントのセット、線セグメントのセット、または画像パッチのセットの少なくともひとつを含み、
前記輪郭要素のセットと前記3D表面との間の距離を最小にすることによって、前記解剖学的関心領域の3D表面画像に前記輪郭要素のセットをマッチングさせ、前記解剖学的関心領域の動きは、変位または回転のうちの少なくとも1つを含み、
放射線治療セッション中に前記決定された動きに基づいて放射線の送達を制御し、放射線ビームのゲートを制御すること、マルチリーフコリメータ(MLC)の変更を制御すること、患者支持システムの動きの制御することの少なくともひとつを含む
ように構成されているプロセッサ装置と
を含むことを特徴とする放射線治療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
[001]
本出願は、2016年2月2日に提出された米国仮出願第62/290,198号の優先権の利益を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
[002]
本開示は、一般に、放射線治療(Radiation Therapy, Radiotherapy)に関する。より詳しくは、本開示は、画像誘導放射線治療における患者の動きを管理するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[003]
放射線治療は、哺乳動物(例えば、ヒトおよび動物)組織における癌および他の病気を治療するために使用される。典型的な放射線治療は、線状加速器(LINAC)を用いて提供され、それによって腫瘍に高エネルギー粒子(例えば、電子、プロトン、イオンなど)が照射される。放射線治療の経過中に、放射線場の配置の精度を向上させるために、画像取得装置を用いて腫瘍および周辺組織の画像を取得することができる。例えば、画像によって明らかにされた情報は、治療または患者の動きに起因する腫瘍の変化を補償するために使用することができる。
【0004】
[004]
治療セッションの前に画像を取得して、セッション間、または治療セッション中に腫瘍の変化を決定して、例えば患者の動きによる腫瘍の変化を決定することができる。その優れた軟部組織のコントラストと高い解像度のおかげで、磁気共鳴イメージング(MRI)技術を用いてそのような画像を生成することができる。しかしながら、MRI画像、特に三次元(3D)MRI画像の取得時間は比較的長い。例えば、3D(3次元)MRI画像は、取得するのに数分かかることがある。そのような長い取得時間は、3D(3次元)MRIを、治療セッション中の動きに関連する腫瘍の変化を追跡するのには不適切である。
【発明の概要】
【0005】
[005]
本開示の特定の実施形態は、放射線治療システムに関する。放射線治療システムは、患者の解剖学的関心領域の画像を取得するように構成された画像取得装置を含むことができる。放射線治療システムは、また対象の解剖学的領域の画像に基づいて、解剖学的関心領域に線量の放射線を送達するように構成された放射線治療装置を含むことができる。放射線治療システムは、プロセッサ装置をさらに含むことができる。プロセッサ装置は、少なくとも1つの2次元(2D)画像、解剖学的関心領域の断面画像を含む少なくとも1枚の2次元(2D)画像のそれぞれを取得する画像取得装置を制御するように構成されてもよい。プロセッサ装置は、また少なくとも2つの2次元(2D)画像のそれぞれにおいて自動輪郭形成を実行して、その2次元(2D)画像内の解剖学的関心領域の断面画像をセグメント化する1組の輪郭要素を抽出するように構成されてもよい。プロセッサ装置は、また解剖学的関心領域の動きを決定するために、輪郭要素のセットを解剖学的関心領域の3次元(3D)表面画像と一致させるように構成されてもよい。さらに、プロセッサ装置は、決定された動きに基づいて放射線の送達を制御するように構成されてもよい。
【0006】
[006]
本開示の特定の実施形態は、画像誘導放射線治療セッション中に患者の解剖学的関心領域の動きを管理する方法に関する。この方法は、放射線治療システムのプロセッサ装置によって実施することができる。この方法は、画像取得装置を制御して、少なくとも1つの2次元(2D)画像を取得する。少なくとも1つの2次元(2D)画像のそれぞれは、解剖学的関心領域の断面画像を含むことができる。本方法は、また少なくとも2つの2次元(2D)画像のそれぞれにおいて自動輪郭形成を実行して、その2次元(2D)画像における解剖学的関心領域の断面画像をセグメント化する輪郭要素のセットを抽出するステップを含むことができる。この方法は、解剖学的関心領域の動きを決定するために、輪郭要素のセットを解剖学的関心領域の2次元(3D)表面画像に一致させることを含むこともできる。さらに、この方法は、決定された動きに基づいて放射線を送達するように放射線治療装置を制御することを含むことができる。
【0007】
[007]
本開示の特定の実施形態は、放射線治療システムに関する。放射線治療システムは、患者の解剖学的関心領域のMRI画像を取得するように構成された画像取得装置を含むことができる。放射線治療システムは、また線形加速器(LINAC)を含み、解剖学的関心領域のMRI画像に基づいて解剖学的関心領域に線量を送達するように構成された放射線治療装置を含むことができる。放射線治療システムは、プロセッサ装置をさらに含むことができる。プロセッサ装置は、画像取得装置を制御して複数の2次元(2D)画像を取得するように構成することができる。複数の2次元(2D)画像のそれぞれは、解剖学的関心領域の対応する断面画像を含むことができる。2次元(2D)画像の複数の矢状面、冠状面、または横断面の少なくとも2つで取得された2次元(2D)画像を含むことができる。複数の2次元(2D)画像は、第1の時点で取得された第1の2D画像と、第2の時点で取得された第2の2D画像とを含むことができる。第2の時点は、第1の時点よりも新しくてもよい。第1の2D画像および第2の2D画像は、異なる解剖学的平面で取得することができる。プロセッサ装置は、また第1の2D画像を進ませることによって予測画像を生成するように構成されてもよい。患者の周期的な動きに基づいて第2の時点まで時間的に前の画像を生成する。周期的運動は、呼吸運動を含むことができる。プロセッサ装置は、また、自動輪郭形成を実行して、予測画像における解剖学的関心領域の断面画像をセグメント化する輪郭要素の第1のセットと、第2の2D領域における解剖学的関心領域の断面画像をセグメント化する輪郭画像の第2のセットを抽出するように自動的な輪郭化を実行するように構成されてもよい。輪郭要素の第1のセットおよび第2のセットの各々は、1組の点、1組の線分、または1組の画像パッチのうちの少なくとも1つを含むことができる。プロセッサ装置は、また、輪郭要素の第1のセットおよび第2のセットと3D表面との間の距離を最小にすることにより、輪郭要素の第1のセットおよび第2のセットを解剖学的関心領域の3D表面にマッチさせて、解剖学的関心領域の動きを決定するように構成されてもよい。動きは、変位または回転のうちの少なくとも1つを含むことができる。さらに、プロセッサ装置は、決定された動きに基づいて放射ビームを制御するように構成されてもよく、それは、放射ビームのゲート制御を制御すること、マルチリーフコリメータ(MLC)の修正を制御すること、または患者支持システムの動きを制御することの少なくとも1つを含んでもよい。
【0008】
[008]
本開示のさらなる目的および利点は、以下の詳細な説明に部分的に記載され、部分的には説明から明らかになり、または本開示の実施によって習得され得る。本開示の目的および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された要素および組合せによって実現され、達成されるであろう。
【0009】
[009]
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は例示的で説明的なものに過ぎず、特許請求の範囲に記載された本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
[010]
添付の図面は、本明細書の一部を構成し、いくつかの実施形態を示し、説明と共に、開示された原理を説明するためのものである。
【0011】
[011]
【
図1】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な放射線治療システムのブロック図である。
【0012】
[012]
【
図2】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な画像誘導放射線治療装置の概略図である。
【0013】
[013]
【
図3】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な解剖学的関心領域および例示的2D画像平面の画像を示す。
【0014】
[014]
【
図4】
図4A〜
図4Cは、本開示のいくつかの実施形態による、関心のある例示的な解剖学的領域の断面画像の輪郭を示す。
【0015】
[015]
【
図5】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、輪郭要素の3つの例示的なセットと例示的な3D表面画像との間の例示的なマッチングを示す。
【0016】
[016]
【
図6】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、画像誘導放射線治療セッション中の患者の解剖学的関心領域の動きを管理する例示的な方法のフローチャートである。
【0017】
[017]
例示的な実施形態を、添付の図面を参照して説明する。便宜上、同じ参照番号は、図面全体にわたって同じまたは同様の部分を指すために使用される。開示された原理の例および特徴が本明細書に記載されているが、開示された実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、修正、適応および他の実施が可能である。また、「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、および「含む(including)」という言葉および他の同様の形態は、意味が等価であり、オープンエンドと解釈されることを意図している。これらの単語は、そのような項目または項目の網羅的なリストであることを意味するものではなく、リストされた項目または項目のみに限定されることを意味するものではない。単数形「a」、「an」および「the」には、文脈上他に明確に指示されていない限り、複数の参照を含むことが意図されている。
【0018】
[018]
本開示によるシステムおよび方法は、画像誘導放射線治療または放射線治療(IGRT:Image-Guided Radiation Therapy)に関する。本明細書で使用される場合、用語「放射線治療(Radiation Therapy)」、「放射線治療(Radiotherapy)」および「放射線腫瘍学(Radiation Oncology)」は互換的に使用される。IGRTは、頻繁な2Dまたは3Dイメージングを使用して、放射線処置の過程で放射線治療を指示する技術を指す。IGRT技術は、放射線場の配置の精度を向上させ、放射線治療中に健康な組織の暴露を低減するために使用される。
【0019】
[019]
IGRTにおいては、画像は、処置セッションの前に(例えば、放射線を照射する前に)取得することができる。例えば、マルチセッション治療では、数日間にわたって放射線量を送達する。したがって、放射線治療に対する標的に毎日の変化が存在する可能性がある。標的には、放射線治療の対象またはそれに関連する器官、腫瘍、異常、または解剖学的構造が含まれ得る。治療セッションの前に画像を取得することで、標的の日々の変化を考慮することができる。3D(3次元)MRI、CT、および/または超音波画像などの3D(3次元)画像は、セッション前画像として使用され得る。
【0020】
[020]
標的は、日々の変化だけでなく、治療セッション中にも変化する可能性がある。例えば、標的は、呼吸、咳、嚥下などの患者の動きにより動き得る。治療セッション中の運動は、照射ごとの動き(intrafractional motion)と呼ぶことができる。いくつかの照射ごとの動きは、比較的短い時間(例えば、呼吸運動)により起こるので、そのような動きを捕捉するためには、迅速な画像化技術が必要となる可能性がある。例えば、3D(3次元)MRIは、一般に、画像を取得するのに1〜5分を必要とし、したがって、そのような高速の照射ごとの動きを追跡するには遅すぎる。本出願の実施形態は、3D画像よりもはるかに高速に取得することができる1つ以上の2D画像を使用して、高速な照射ごとの動きの追跡を可能にする。例えば、2D(2次元)MRI画像は、50〜200ミリ秒で取得することができる。1つ以上の2D画像には、自動輪郭形成技術を使用して自動的にセグメント化することができる標的の断面画像を含むことができる。分割された輪郭は、治療セッションの前に取得された標的の3D表面画像に一致させることができる。標的が治療セッション中に実質的に剛性であると仮定すると、マッチングは、その元の位置(例えば、治療セッション前に取得された3D画像内の3D表面の位置)に対する標的の動き(例えば、変位および/または回転)を生成することができる。いくつかの場合では、異なる解剖学的平面で取得された複数の2D画像を使用して、3D表面とのマッチングのために複数の輪郭を提供することができる。例えば、直交する解剖学的平面内の画像を使用して精度を改善することができる。いくつかの場合では、複数の2D画像を異なる時間に(例えば、順番に)取得してもよく、連続する2D画像間の時間間隔は重要ではないことも有りうる。これらの場合、前に取得された過去の2D画像を時間的に前に進めて、より最近の時点で取得されたであろう画像に近似する予測画像を生成することができる。予測は、呼吸運動などの特定の患者の動きの周期的な性質に基づくことができる。例えば、特定の時点における標的の動きを予測するために、呼吸運動のサイクルを監視することができる。
【0021】
[021]
図1は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な放射線治療システム100を示す。
放射線治療システム100は、IGRTシステムであってもよい。
図1に示すように、放射線治療システム100は、制御コンソール10と、データベース120と、放射線治療装置130と、画像取得装置140とを含むことができる。いくつかの実施形態では、放射線治療装置130および画像取得装置140は、
図1の破線のボックス150によって示されるように、単一の画像誘導放射線治療装置150に統合されてもよい。いくつかの実施形態では、放射線治療装置130および画像取得装置140は、別々の装置であってもよい。いくつかの実施形態では、放射線治療装置130と画像取得装置140は、
図1の放射線治療装置130と画像取得装置140との間に点線で示すように、物理的にまたは通信可能に互いに接続されてもよい。
【0022】
[022]
制御コンソール110は、放射線治療装置130および画像取得装置140を制御する、および/または、治療計画、処置実行、画像取得、画像処理、動き追跡、動き管理、または放射線治療のプロセスに関与する他のタスクのような、機能または動作を実行するためのハードウェアコンポーネントおよびソフトウェアコンポーネントを含むことができる。ハードウェアコンポーネントは、1つまたは複数のコンピュータ(例えば、汎用コンピュータ、ワークステーション、サーバ、端末、ポータブル/モバイルデバイスなど)、プロセッサデバイス(例えば、中央処理装置(CPU)、画像処理装置(GPU)、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用または特別に設計されたプロセッサなど)、メモリデバイス(例えば、リードオンリー(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、ハードドライブ、光ディスク、ソリッドステートドライブ(SSD)など)、入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイク、ボタン、ノブ、トラックボール、レバー、ハンドル、ジョイスティックなど)、出力デバイス(例えば、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ、振動デバイスなど)、回路網、プリント回路基板(PCB)、または他の適切なハードウェアを含むことができる。ソフトウェアコンポーネントは、オペレーティングシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェアなどを含むことができる。例えば、
図1に示すように、制御コンソール110は、制御コンソール110のメモリ/格納装置に格納することができる治療計画/送達ソフトウェア115を含むことができる。ソフトウェア115は、コンピュータ可読および実行可能コードまたは命令を含むことができる。制御コンソール110のプロセッサ装置は、コードまたは命令にアクセスして実行するためにソフトウェア115を格納するメモリ/記憶装置に通信可能に接続することができる。コードまたは命令の実行は、開示された実施形態による1つまたは複数の機能を達成するために、プロセッサデバイスに動作を実行させることができる。
【0023】
[023]
制御コンソール110は、データにアクセスするためにデータベース120に通信可能に接続されることができる。いくつかの実施形態では、データベース120は、制御コンソール110の近傍にある1つまたは複数のハードドライブ、光ディスク、および/またはサーバなどのローカルハードウェアデバイスを使用して実装することができる。いくつかの実施形態では、データベース120は、制御コンソール110に関して遠隔に配置されたデータセンターまたはサーバに実装されてもよい。制御コンソール110は、有線または無線通信を介してデータベース120に格納されたデータにアクセスすることができる。
【0024】
[024]
データベース120は、患者データ122を含むことができる。患者データは、患者に関連する画像データ(例えば、MRI、CT、X線、PET、SPECTなど)、解剖学的領域、器官、または関心のあるセグメンテーションデータのボリューム、機能的臓器モデリングデータ(例えば、直列対並列臓器、および適切な用量反応モデル)、放射線量データ(例えば、線量−体積ヒストグラム(DVH)情報を含む)、ラボデータ(例えば、ヘモグロビン、血小板、コレステロール、トリグリセリド、クレアチニン、ナトリウム、グルコース、カルシウム、体重)、バイタルサイン(血圧、温度、呼吸数など)、ゲノムデータ(例えば、遺伝子プロファイリング)、人口統計学的属性(年齢、性別、民族性など)、患者に影響する他の疾患(例えば、心血管疾患、呼吸器疾患、糖尿病、放射線過敏症症候群など)、薬物および薬物反応、ダイエットおよびライフスタイル(例えば、喫煙、または禁煙)、環境リスク要因、腫瘍の特徴(組織学的タイプ、腫瘍グレード、ホルモンおよび他の受容体の状態、腫瘍の大きさ、血管の細胞のタイプ、癌の病期分類、グリーソンスコアなど)、以前の治療(例えば、外科手術、放射線治療、化学療法、ホルモン療法)、リンパ節および遠隔転移の状態、遺伝子/タンパク質バイオマーカー(例えば、MYC、GADD45A、PP1D、BBC3、CDKN1A、PLK3、XPC、AKT1、RELA、BCL2L1、PTEN、CDK1、XIAPなど)、一塩基多型(SNP)分析(例えば、XRCC1、XRCC3、APEX1、MDM2、TNFR、MTHFR、MTRR、VEGF、TGF、TNFαなど)、のような情報を含むことができる。
【0025】
[025]
データベース120は、マシンデータ124を含むことができる。マシンデータ124は、放射線治療装置130、画像取得装置140、MRIパルスシーケンス、または、放射線ビームサイズ、アーク配置、オン/オフ時間、座標系、マルチリーフコリメータ(MLC)構成、MRIパルスシーケンスなどのような、放射線治療に関連する他の機械に関連する情報を含むことができる。
【0026】
[026]
画像取得装置140は、患者の医用画像を提供することができる。例えば、画像取得装置140は、MRI画像(例えば、2D(2次元)MRI、3D(3次元)MRI、2D(2次元)ストリーミングMRI、4D(4次元)容積MRI、4D(4次元)シネMRI)、コンピュータ断層撮影(CT)画像、コーンビームCT画像、陽電子放射断層撮影(PET)画像、機能的MRI画像(例えば、fMRI、DCE−MRI、拡散MRI)、X線画像、透視画像、超音波画像、放射線治療ポータル画像、シングルフォトエミッションコンピュータ断層撮影(SPECT)画像、などの1つ以上を提供することができる。したがって、画像取得装置140は、MRIイメージング装置、CTイメージング装置、PETイメージング装置、超音波イメージング装置、蛍光透視装置、SPECTイメージング装置、または、患者の医用画像を取得する他の医用イメージング装置を含むことができる。
【0027】
[027]
放射線治療装置130は、制御可能な方法で患者の解剖学的関心領域に放射線を送達することができるレクセルガンマナイフ、LINAC、または他の適切な装置を含むことができる。
【0028】
[028]
図2は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な画像誘導放射線治療装置150を示す。装置150は、コーチ210と、画像取得装置140に対応する画像取得部分と、放射線治療装置130に対応する放射線供給部分とを含む。
【0029】
[029]
コーチ210は、治療セッション中に患者(図示せず)を支持するために使用され、患者支持システムと呼ぶことができる。コーチ210は、水平移動軸(「I」と表示されている)に沿って移動可能であり、それにより、コーチ210上に載置された患者は、装置150の中におよび/または外に移動することができる。いくつかの実施形態では、コーチ210は、並進軸を横切る中心垂直回転軸の周りを回転可能であってもよい。コーチ210をモータ駆動することができ、治療計画に従って患者を適切に配置するために、様々な方向に移動し、様々な軸に沿って回転することができる。
【0030】
[030]
画像取得装置140は、治療セッションの前、治療セッションの最中および/または治療セッションの後に患者の2Dまたは3DMRI画像を取得するために使用されるMRI装置を含むことができる。画像取得装置140は、磁気共鳴撮像のための一次磁場を生成するための磁石146を含むことができる。磁石146の動作によって生成される磁力線は、中心平行移動軸Iに実質的に平行であってもよい。磁石146は、並進軸Iに平行に延びる軸を有する1つ以上のコイルを含むことができる。いくつかの実施形態では、磁石146の1つ以上のコイルは、磁石146の中央窓147がコイルを含まないように間隔を空けて配置されてもよい。他の実施形態では、磁石146内のコイルは、放射線治療装置130によって生成された波長の放射線に対して実質的に透明であるように、十分に薄いか、または密度が低くてもよい。画像取得装置140は、マグネット146の外側の磁場を相殺するために、マグネット146の外側の磁場とほぼ等しい大きさおよび反対の極性の磁場を発生される、1つまたは複数のアクティブシールドコイルを含むことができる。放射線治療装置130の放射線源134は、磁場が少なくとも一次元で打ち消される領域に設けられてもよい。
【0031】
[031]
画像取得装置140は、また主磁場に重畳される勾配磁場を生成することができる2つの勾配コイル148、149を含むことができる。コイル148、149は、陽子の位置を決定することができるように、陽子の空間符号化を可能にする合成磁界に勾配を生成することができる。勾配コイル148、149は、磁石146と共通の中心軸の周りに配置され、その中心軸に沿って別の磁石から変位していてもよい。その変位は、コイル148とコイル149との間にギャップすなわち窓を形成することがある。磁石146がコイル間の中央窓147を含む実施形態では、2つのウィンドウが互いに位置合わせされてもよい。
【0032】
[032]
放射線治療装置130は、X線源または線形加速器などの放射線源134と、マルチリーフコリメータ(MLC)132とを含むことができる。放射線治療装置130は、シャーシ138上に取り付けられてもよい。シャーシ138は、1つまたは複数のシャーシモータによって駆動され、治療領域に挿入されるとき、コーチ210の周りを連続的に回転可能である。放射線検出器は、シャーシ138に取り付けられることが望ましく、放射線源134の反対側で、放射線源134と検出器との間に配置されたシャーシ138の回転軸に取り付けられることが好ましい。放射線治療装置130の制御回路は、装置150内に一体化されていてもよいし、装置150から離れていてもよく、
図1の制御コンソール110によって機能的に表されている。
【0033】
[033]
放射線治療セッション中に、患者は、磁気コイル146,148,149とシャーシ138によって画定される治療領域に挿入されるコーチ210上に配置される。制御コンソール110は、放射線源134、MLC132、およびシャーシモータを制御して、コイル148とコイル149の間の窓を通して患者に放射線を送達することができる。
【0034】
[034]
図3は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な解剖学的関心領域および例示的2D画像平面の画像を示す。本明細書で使用される場合、解剖学的関心領域は、器官、臓器を危険にさらす器官(OAR)、腫瘍、周囲組織、放射線治療標的、アイソセンタ、または放射線治療に関連する任意の他の解剖学的構造を含み得る。
図3に示すように、解剖学的関心領域320の3D画像を3D画像310に含めることができる。単純化のために、解剖学的関心領域320の画像は、解剖学的関心領域320または標的320と呼ぶこともできる。いくつかの実施形態では、3D画像310は、治療セッションにおける放射線量の適用に先立って(例えば、直前に)取得されてもよい。例えば、3D画像310は、3DMRI画像(または4DMRI画像のスナップショット)、3DCT画像、3D超音波画像などであってもよい。3D画像310が取得されると、標的320の3D表面は、自動または手動の輪郭形成技術を使用して生成され得る。3D表面は、標的320の管腔内運動を決定するために使用されてもよい。
【0035】
[035]
放射線治療セッション(例えば、放射線ビームオンプロセス)中に、1つまたは複数の2D画像を取得して、分節運動を監視することができる。各2D画像は、矢状面(例えば、面314)、冠状面(例えば、面316)、または横断面(例えば、面312)などの解剖学的平面内で取得されてもよい。本明細書で使用される場合、矢状面は、身体を左右の部分に分割する矢状縫合に平行な面であり、冠状面(前頭面としても知られている)は、身体を背側および腹側(後部および前部、または後部および前部)部分に分割する面であり、横断面は、身体を頭蓋骨および尾骨(上および下、または頭および尾)部分に分割する面である。複数の2D画像が取得される場合、複数の2D画像は、異なる解剖学的平面(例えば、矢状面、冠状面および/または横断面の少なくとも2つ)において取得され得る。いくつかの実施形態において、標的320を、複数の2D画像が取得される2つ以上の解剖学的平面の交点に配置することができる。2D画像が取得される特定の解剖学的平面は、例えば、解剖学的関心領域のタイプ、治療計画、関心の解剖学的領域の医用画像、などに基づいて、制御コンソール110により決定される。
【0036】
[036]
各2D画像は、標的320の断面画像を含むことができる。制御コンソール110は、各2D画像において自動輪郭形成を実行して、標的320の断面画像をセグメント化する輪郭要素のセットを抽出することができる。自動輪郭形成は、画像セグメンテーションを含むことができ、アクティブ輪郭、スネークス(snakes)、レベルセットなどの技法を使用して実行することができる。いくつかの実施形態では、自動輪郭形成は、2D画像の取得の直後に実行されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の2D画像が使用される場合、時間推移近似を行った特定の予測画像に対して自動輪郭形成を実行して、捕捉時点を時間的に前方に進め、より最近の時点にすることができる。いかなる場合でも、自動輪郭加工の後、輪郭の集合要素は、その2D画像に標的320の断面画像をセグメント化する各2D画像から抽出することができる。
【0037】
[037]
いくつかの実施形態では、輪郭要素のセットは、1組の点を含むことができる。例えば、輪郭は、標的320の断面画像の少なくとも一部を実質的に包囲するか、または覆う画像ポイントのセットによって表すことができる。いくつかの実施形態では、輪郭要素のセットは、1組の線分を含むことができる。例えば、一組の線分は、集合的に、標的320の断面画像の少なくとも一部を包囲する実質的に連続した曲線を形成することができる。いくつかの実施形態では、輪郭要素のセットは、画像パッチのセットを含むことができる。例えば、画像パッチのセットは、標的320の断面画像の少なくとも一部を集合的に覆うことができる。
【0038】
[038]
図4A〜
図4Cは、本開示のいくつかの実施形態による、関心のある例示的な解剖学的領域の断面画像の輪郭を示す例示的な2D画像である。
図4A〜
図4Cに示された画像は、横断面(4A)、矢状面(4B)、冠状面(4C)における患者の腹部領域の2DMRI画像である。これらの画像は、輪郭412,414、416によって示される、解剖学的関心領域、患者の腎臓の断面画像を含む。上述のように、輪郭412,414、416は、自動輪郭形成技術を用いて得ることができる。
【0039】
[039]
放射線治療のセッション中、
図4A−4Cに示された腎臓のような解剖学的関心領域の位置は、変更され得る。例えば、腎臓は、例えば、患者の呼吸のために比較的迅速かつ周期的に動き得る。放射線治療セッション中に腎臓が比較的硬いと仮定すると、腎臓を動かすことは、変位および/または回転を伴うことになる。本明細書で使用されるように、関心対象の解剖学的領域の位置の変化、例えば、変位/回転は、一般に、解剖学的関心領域の動きと呼ばれる。本明細書で開示される撮像技術は、放射線送達セッション中に解剖学的関心領域の1つ以上の動きを正確に捕捉することを可能にする。
【0040】
[040]
1つまたは複数の輪郭が抽出されると、抽出された輪郭(例えば、輪郭要素の集合)を使用して、標的の3D表面画像に輪郭をマッチングさせることによって、治療セッションの前に取得された標的320の動きを決定することができる。
図5は、輪郭要素の3つの例示的なセットと例示的な3D表面画像520との間の例示的なマッチングを示す。
図5に示すように、3D表面画像520は、自動または手動の輪郭形成技術を使用して治療セッションの前に取得された3D画像から取得することができる。3組の輪郭要素512,514、516は、上述したように、自動輪郭形成技術を使用して、横断面、矢状面、冠状面でそれぞれ取得された3つの2D画像から抽出することができる。
図5において、3組の輪郭要素3組は画像ポイントである。他の実施形態では、線分または画像パッチを使用することもできる。3D表面画像520が抽出された3D画像の取得と、設定された輪郭要素512,514,516が抽出された各2D画像の取得との間に何の動きも発生していないとき(例えば、何の変位も回転も発生していないとき)、3組の変位要素512,514、516は、3D表面画像520と実質的に一致する必要がある。しかしながら、変位および/または回転のような特定の動きが発生した場合には、3組の輪郭要素512,514、516と3D表面画像520との間の不一致が発生する可能性がある。解剖学的関心領域は比較的剛性であると仮定されるので、3組の輪郭要素512,514、516と3D表面画像520との間のマッチングを最適化することは、結果として、実際に生じる解剖学的関心領域の動きを実質的に追跡する、3D表面画像520の変位および/または回転となる。したがって、制御コンソール110は、輪郭要素のセット(例えば、512,514,516)を3D表面画像(例えば、520)に一致させることによって、解剖学的関心領域の動きを決定することができる。例えば、輪郭要素と3D表面との間の距離を最小化する反復最近接点(ICP:Iterative Closest Point)アルゴリズムを使用してマッチングを実行することができる。距離は、各輪郭要素と3D表面との間の個々の距離の合計として計算することができる。例えば、
図5において、点と表面との間の個々の距離は、点と表面との間の最短距離として計算されてもよい。3つの点のセットと表面との間の距離は、すべての個々の距離の合計である。次いで、マッチングアルゴリズムは、3D表面520を変位および/または回転させることによって距離を最小限にするようにし、得られた変位および/または回転を解剖学的関心領域の実際の動きの近似値として使用する。
【0041】
[041]
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、画像誘導放射線治療セッション中に患者の解剖学的関心領域の動きを管理する例示的な方法600のフローチャートである。方法600は、複数のステップを含み、そのいくつかは任意であってもよい。
【0042】
[042]
ステップ610において、制御コンソール110は、画像取得装置140を制御して、少なくとも1つの2D画像(例えば、
図4A−
図4C)を取得することができる。取得された各2D画像は、解剖学的関心領域の断面画像(例えば、輪郭412,414、416によって示される断面画像)を含むことができる。
【0043】
[043]
ステップ620において、制御コンソール110は、任意の過去の画像を時間的に前方に進めてより最近の時点にすることによって、1つ以上の予測画像を生成することができる。
【0044】
[044]
いくつかの実施形態では、複数の2D画像を異なる時点で取得することができる。例えば、
図4A−4Cに示された画像は、t1、t2、t3の時点(ただし、t1<t2<t3)で、それぞれ取得される。すなわち、
図4Cに示す画像は、最新の画像である。
図4A−4Cに示す画像が順次取得されていると、連続する画像間の時間遅延は、いくつかのケースでは、時間遅れは重要ではないかもしれない。したがって、より早い時点で取得された画像は、時間的に前方に、より最近の時点まで前進することができる。例えば、
図4Aに示す画像は、
図4Aがt3で取得された「つもりの」画像を近似するために予測画像が生成されるように、時間的に前進する(例えば、t1→t3)ことができる。同様に、
図4Bに示す画像は、時刻t2から時刻t3に前進してもよい。
図4Aおよび
図4Bが
図4Cと同じ時点に来ると、各輪郭要素の対応する輪郭要素の集合を抽出するために自動輪郭形成を実行することができる。これらの輪郭要素のセットは、それが同じ時点で取得された画像から抽出されると仮定して解剖学的関心領域の動きを決定するために3D表面画像(例えば、520)にマッチングさせるために使用することができる。いくつかの実施形態では、元の2D画像に対して自動輪郭形成を実行して輪郭要素のセットを抽出することができる。輪郭要素のセットは、その後、時間前進効果を説明するように変更することができる。
【0045】
[045]
いくつかの実施形態では、制御コンソール110は、患者の周期的な動きに基づいて、時間経過を予測された予測画像を生成することができる。例えば、呼吸運動のような患者の周期的な動きのために、解剖学的関心領域の運動が一次的である場合、周期運動のパターンを監視し、分析することができる。例えば、解剖学的関心領域の動きを予測するための予測モデルを生成するために、周期的運動の複数のサイクルを記録することができる。いくつかの実施形態では、予測は、2D画像における特定の断面画像部分の位置の近似的な変化によって反映されてもよい。統計的方法を使用して、予測の精度を向上させることができる。いくつかの実施形態では、予測モデルは、2D画像内の断面部分(例えば、解剖学的関心領域の断面画像)の位置を予測し、元の2D画像から抽出された輪郭を修正することができる。
【0046】
[046]
ステップ630において、制御コンソール110は、2D画像における断面画像をセグメント化する輪郭要素のセット(例えば、412,414,416)を抽出するために、各2D画像(例えば、
図4A−
図4C)内の自動輪郭形成を実行する。上述したように、自動輪郭形成は、アクティブ輪郭、スネークス(snakes)、レベルセットなどのようなセグメント化アルゴリズムを使用して実行することができる。輪郭要素のセットは、点、線分、及び/又は画像パッチを含むことができる。
【0047】
[047]
ステップ640において、制御コンソール110は、解剖学的関心領域の動きを決定するために、輪郭要素の1つ以上のセットを3D表面画像(例えば、520)とマッチングさせることができる。例えば、輪郭要素と3D表面との間の距離を最小にするICPアルゴリズムなどの表面一致アルゴリズムを使用してマッチングを実行することができる。上述のように、解剖学的関心領域の動きは、変位および/または回転を含むことができる。
【0048】
[048]
動きが検出されると、制御コンソール110は、その動きを補償するために、様々な動作を実行することを含む放射線の送達を制御することができる。例えば、ステップ650において、制御コンソール110は、特定の動きが閾値を超えた場合に放射線ビームを閉じるように放射線治療装置130を制御することができる。別の実施例では、制御コンソール110は、MLC(例えば、MLC132)の構成を変更して、ビーム形状を変更することができる。別の実施例では、制御コンソール110は、患者支持システム210および/またはシャーシモータを動かして、解剖学的関心領域を放射線ビームのアイソセンタと再調整することができる。決定された動作に基づいて、他の動作パラメータまたは治療パラメータも変更されてもよい。
【0049】
[049]
様々な動作または機能が、本明細書で説明され、ソフトウェアコードまたは命令として実装または定義されてもよい。そのようなコンテンツは、直接実行可能(「オブジェクト」または「実行可能」形式)、ソースコード、または差分コード(「デルタ」または「パッチ」コード)であってもよい。本明細書に記載の実施形態のソフトウェア実装は、コードまたは命令が格納された製品を介して、または通信インターフェースを介してデータを送信するための通信インターフェースを操作する方法を介して提供されてもよい。機械またはコンピュータ可読記憶媒体は、機械に説明された機能または動作を実行させることができ、記録可能/記録不可能媒体(例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなど)のような、機械(例えば、コンピューティングデバイス、電子システムなど)によってアクセス可能な形式で情報を記憶する任意のメカニズムを含む。通信インタフェースは、メモリバスインタフェース、プロセッサバスインタフェース、インターネット接続、ディスクコントローラ、および他のデバイスのような、ハードワイヤード、ワイヤレス、光学などのいずれかとインタフェースする任意のメカニズムを含む。通信インタフェースは、ソフトウェアインタフェースを記述するデータ信号を提供するために、通信インタフェースを準備するための構成パラメータおよび/または送信信号を提供することによって構成することができる。通信インタフェースは、通信インタフェースに送信される1つまたは複数のコマンドまたは信号を介してアクセスすることができる。
【0050】
[050]
本発明はまた本明細書の動作を実行するためのシステムにも関する。このシステムは、必要な目的のために特別に構成することができ、またはコンピュータに格納されたコンピュータプログラムによって選択的に起動または再構成された汎用コンピュータを含むことができる。このようなコンピュータプログラムは、限定はしないが、フロッピーディスク、光ディスク、CDROM、光磁気ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気または光カード、または電子命令を格納するのに適した任意のタイプの媒体のような、コンピュータ読み出しストレージメディアに格納することができ、それぞれはコンピュータシステムバスに接続される。
【0051】
[051]
本明細書に例示され説明される本発明の実施形態における動作の実行または実行の順序は、他に特定されない限り必須ではない。すなわち、動作は、特に明記しない限り、任意の順序で実行されてもよく、本発明の実施形態は、本明細書に開示された動作よりも多い、または少ない動作を含むことができる。例えば、別の操作の前に、同時にまたは後に特定の操作を実行または実行することは、本発明の態様の範囲内にあると考えられる。
【0052】
[052]
本発明の実施形態は、コンピュータ実行可能命令で実装することができる。コンピュータ実行可能命令は、1つまたは複数のコンピュータ実行可能コンポーネントまたはモジュールに編成することができる。本発明の態様は、そのような構成要素またはモジュールの任意の数および構成で実施することができる。例えば、本発明の態様は、特定のコンピュータ実行可能命令、または図に示され、本明細書で説明される特定のコンポーネントまたはモジュールに限定されない。本発明の他の実施形態は、異なるコンピュータ実行可能命令または本明細書に図示および記載されたものより多いまたは少ない機能を有するコンポーネントを含むことができる。
【0053】
[053]
本発明の態様またはその実施形態の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1つ以上の要素が存在することを意味することが意図される。「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語は、包括的であり、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味することが意図される。
【0054】
[054]
本発明の態様を詳細に記載してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の態様の範囲から逸脱することなく、修正および変更が可能であることは明らかであろう。本発明の態様の範囲から逸脱することなく、上記の構造、製品、および方法において様々な変更を行うことができるので、上記の説明に含まれ、添付図面に示された全ての事項は、限定的な意味ではなく例示として解釈されるべきである。