(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6609712
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】3Dコンデンサ構造
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20191111BHJP
H01G 4/33 20060101ALI20191111BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20191111BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20191111BHJP
H01G 11/22 20130101ALI20191111BHJP
【FI】
H01G4/30 541
H01G4/33 102
H01L27/04 C
H01G4/30 201C
H01G4/30 311D
H01G11/22
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-551937(P2018-551937)
(86)(22)【出願日】2017年9月18日
(65)【公表番号】特表2019-522890(P2019-522890A)
(43)【公表日】2019年8月15日
(86)【国際出願番号】EP2017073451
(87)【国際公開番号】WO2018054828
(87)【国際公開日】20180329
【審査請求日】2018年11月19日
(31)【優先権主張番号】16306200.3
(32)【優先日】2016年9月20日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509309709
【氏名又は名称】ムラタ インテグレイテッド パッシブ ソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック ヴォワロン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ルネ トゥナイロー
【審査官】
棚田 一也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第09178080(US,B2)
【文献】
特表2009−515353(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0230787(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0180931(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0202250(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 4/33
H01G 11/22
H01L 21/822
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(100)と、
トレンチ網と、
電気二重層コンデンサ(C)と、
少なくとも1つの接点パッド(20)とを具え、
前記トレンチ網は、前記基板(100)の基板上面(S100)から下向きに、前記基板の前記基板上面に垂直な深さ方向(D)に沿ってトレンチ底面(S101)まで延び、前記トレンチ網は、分離した第1のピラー(10)の規則的なアレイを形成し、該第1のピラーは、互いに離れて配置され、各々が、前記基板上面に平行な閉ループ型トレンチパターンによって包囲され、
前記電気二重層コンデンサは、単一要素として、前記基板上面(S100)にある前記第1のピラー(10)の上面上に連続して広がり、かつ前記深さ方向(D)に平行なトレンチ側壁上に連続して広がり、かつ前記トレンチ底面(S101)上にも連続して広がり、前記電気二重層コンデンサは、前記基板側から順に:第1電極(1)と、第1絶縁層(1i)と、第2電極(2)と、第2絶縁層(2i)と、第3電極(3)とを具え、
前記接点パッドは、前記基板上面(S100)の上方に当該基板上面に沿って配置されて、前記第2電極(2)に電気接触するように構成されている3Dコンデンサ構造(200)において、
次の特徴、即ち:
/i/ 接点支持ピラー(11)と称する少なくとも1つの第2のピラーが、当該接点支持ピラーと隣り合う互いに隣接した前記第1のピラー(10n)間を橋渡しする追加的な基板部分(12)を設けることによって設けられ、これにより、前記追加的な基板部分が前記互いに隣接した第1のピラーと共に閉ループ型トレンチ分離体(13)を形成し、該閉ループ型トレンチ分離体は、前記接点支持ピラーを包囲し、前記基板上面(S100)に含まれる平坦な最上部(FT13)を有すること;
/ii/ 前記第1電極(1)、前記第1絶縁層(1i)、及び前記第2電極(2)は、前記閉ループ型トレンチ分離体(13)の前記平坦な最上部(FT13)全体にわたって連続して広がり、かつ前記接点支持ピラー(11)と前記閉ループ型トレンチ分離体との間に位置する分離された閉ループ型トレンチ部分(14)内に連続して広がり、かつ前記閉ループ型トレンチ分離体の外側に位置する他のトレンチ部分内にも連続して広がること;
/iii/ 少なくとも閉ループ型ストリップ(B)に沿った所では、前記閉ループ型トレンチ分離体(13)の前記平坦な最上部(FT13)に前記第3電極(3)がなく、該閉ループ型ストリップは、前記平坦な最上部に含まれ、前記分離された閉ループ型トレンチ部分(14)及び前記接点支持ピラー(11)を包囲し、これにより、前記第3電極における、前記分離された閉ループ型トレンチ部分に含まれる部分が、前記閉ループ型ストリップの外側にある前記第3電極の他の部分から隔離されること;及び
/iv/ 前記接点パッド(20)が、前記接点支持ピラー(11)の少なくとも上方部分で前記第2電極と電気接触すること
を満足することを特徴とする3Dコンデンサ構造(200)。
【請求項2】
少なくとも前記接点パッド(20)と前記第2電極(2)との接触領域内では、前記接点支持ピラー(11)の上面(S11)にも前記第3電極(3)がなく、少なくとも該接触領域内では、さらに前記第2絶縁層(2i)がない、請求項1に記載の3Dコンデンサ構造(200)。
【請求項3】
前記第3電極(3)における、前記基板上面(S100)に平行に広がるあらゆる部分、前記接点支持ピラー(11)の上面(S11)の一部分を含めた、前記閉ループ型ストリップ(B)の内側に広がるあらゆる部分、及び前記接点支持ピラーと前記閉ループ型トレンチ分離体(13)との間に位置する前記分離された閉ループ型トレンチ部分(14)の上方に広がるあらゆる部分がない、請求項1または2に記載の3Dコンデンサ構造(200)。
【請求項4】
前記電気二重層コンデンサ(C)上に配置された電気絶縁材料製の最上層(22)をさらに具え、該最上層は、前記閉ループ型ストリップ(B)の外側限界線の内側に位置し前記閉ループ型ストリップの該外側限界線から離れた開口部(O)を有し、該接点パッド(20)が該最上層の該開口部を通して前記第2電極(2)と接触する、請求項1〜3のいずれかに記載の3Dコンデンサ構造(200)。
【請求項5】
前記基板(100)が半導体基板であり、特にシリコン基板である、請求項1〜4のいずれかに記載の3Dコンデンサ構造(200)。
【請求項6】
前記第1電極(1)が前記基板(100)の導電部分で構成され、該導電部分は、前記基板上面(S100)、前記トレンチ側壁、及び前記トレンチ底面(S101)に沿って広がる、請求項5に記載の3Dコンデンサ構造(200)。
【請求項7】
前記第1電極(1)が導電材料の層を具え、該導電材料の層は、前記基板上面(S100)、前記トレンチ側壁、及び前記トレンチ底面(S101)を覆う、請求項5に記載の3Dコンデンサ構造(200)。
【請求項8】
互いに離れて前記基板上面(S100)の全体にわたって分布する複数の前記接点支持ピラーが前記特徴/i/〜/iv/を満足し、これにより、前記接点支持ピラーの各々に、当該接点支持ピラーを包囲する1つの前記閉ループ型トレンチ分離体(13)、及び1つの前記接点パッド(20)が設けられ、当該接点パッドは、1つの分離した前記閉ループ型ストリップ内にある当該接点支持ピラーの上方で、他のあらゆる前記接点支持ピラーと独立して前記第2電極と電気接触し、
前記3Dコンデンサ構造(200)は、一組の導電トラック(21)をさらに具え、該導電トラックは、前記基板上面(S100)の上方に配置され、前記接点パッドの全部を接続して電気的に並列な配置にするように構成されている、請求項1〜7のいずれかに記載の3Dコンデンサ構造(200)。
【請求項9】
電源(400)及び電子回路(300)を具えた電気装置であって、該電源と該電子回路とは、該電子回路が該電源によって給電されるように接続されている電気装置において、
前記電気装置が、請求項1〜8のいずれかに記載の3Dコンデンサ構造(200)をさらに具え、該3Dコンデンサ構造は、前記電源から前記電子回路と並列に電気接続されていることを特徴とする電気装置。
【請求項10】
前記電子回路(300)がダイ内に集積され、前記3Dコンデンサ構造の前記基板(100)が該ダイに接して配置されている、請求項9に記載の電気装置。
【請求項11】
3Dコンデンサ構造を製造する方法であって、
/1/上面、及び該上面に垂直な深さ方向を有する基板を用意するステップと、
/2/ トレンチ網を前記基板の基板上面(S100)から下向きに前記深さ方向(D)に沿ってトレンチ底面(S101)までエッチングするステップであって、該トレンチ網は分離した第1のピラー(10)の規則的なアレイを形成し、該第1のピラーは互いに離れて配置され、各々が、前記基板上面に平行な閉ループ型トレンチパターンによって包囲されるステップと、
/3/ 電気二重層コンデンサ(C)が、単一要素として、前記基板上面(S100)にある前記第1のピラー(10)の上面上に連続して広がり、かつ前記深さ方向(D)に平行なトレンチ側壁上に連続して広がり、かつ前記トレンチ底面(S101)上にも連続して広がるように、該電気二重層コンデンサを前記基板(100)上に堆積させるステップであって、該電気二重層コンデンサが、前記基板側から順に:第1電極(1)と、第1絶縁層(1i)と、第2電極(2)と、第2絶縁層(2i)と、第3電極(3)とを具えているステップと、
/7/ 少なくとも1つの接点パッド(20)を、前記基板上面(S100)の上方に当該基板上面に沿って形成するステップであって、該接点パッドは前記第2電極(2)に電気接触するように構成されているステップとを含む方法において、
ステップ/2/において、接点支持ピラー(11)と称する少なくとも1つの第2のピラーを、当該接点支持ピラーと隣り合う互いに隣接した前記第1のピラー(10n)間を橋渡しする追加的な基板部分(12)を残すことによって形成し、これにより、該追加的な基板部分が前記互いに隣接した第1のピラーと共に閉ループ型トレンチ分離体(13)を形成し、該閉ループ型トレンチ分離体は、前記接点支持ピラーを包囲し前記基板上面(S100)に含まれる平坦な最上部(FT13)を有し、
前記方法が、ステップ/3/と/7/の間に、少なくとも閉ループ型ストリップ(B)に沿って前記第3電極(3)を除去するステップ/4/をさらに含み、該閉ループ型ストリップは、前記閉ループ型トレンチ分離体(13)の前記平坦な最上部(FT13)に含まれ、前記接点支持ピラー(11)を包囲し、前記接点支持ピラーと前記閉ループ型トレンチ分離体との間に位置する分離された閉ループ型トレンチ部分(14)も包囲し、これにより、前記第1電極(1)、前記第1絶縁層(1i)、及び前記第2電極(2)を、前記平坦な最上部上、前記分離された閉ループ型トレンチ部分内、及び前記接点支持ピラーの上方に連続したままにしつつ、前記第3電極(3)における前記分離された閉ループ型トレンチ部分に含まれる部分が、前記第3電極における前記閉ループ型ストリップの外側にある他の部分から隔離され、
ステップ/7/において、前記接点パッド(20)を、前記接点支持ピラー(11)の少なくとも上方部分で前記第2電極(2)と電気接触するように形成する
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
ステップ/4/において、前記第3電極(3)を、前記閉ループ型ストリップ(B)に沿って、同時に前記接点パッド(20)と前記第2電極(2)との接触領域内で除去し、該接触領域は、前記接点支持ピラー(11)の少なくとも上方に広がり、少なくとも該接触領域内では前記第2絶縁層(2i)も除去する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップ/4/において、前記接点支持ピラー(11)の上方、及び当該接点支持ピラーと前記閉ループ型トレンチ分離体(13)との間に位置する前記分離された閉ループ型トレンチ部分(14)の上方を含めた前記閉ループ型ストリップ(B)の内側で、前記基板上面(S100)に平行に広がる前記第3電極(3)のあらゆる部分を除去する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
ステップ/4/とステップ/7/との間に実行される次のステップ、即ち:
/5/ 電気絶縁材料の最上層(22)を前記電気二重層コンデンサ(C)上に堆積させるステップと、
/6/ 前記最上層(22)を通る開口部(O)をエッチングして、該開口部が前記閉ループ型ストリップ(B)の外側限界線の内側に位置し、かつ前記閉ループ型ストリップの該外側限界線から離れるようにするステップとをさらに含み、
ステップ/7/において、前記接点パッド(20)を、前記最上層(22)の前記開口部(O)を通って前記第2電極に接触するように形成する、請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
複数の前記接点支持ピラー(11)を同時に、前記基板上面(S100)全体にわたって互いに離して設け、これにより、前記接点支持ピラーの各々が、当該接点支持ピラーを包囲する前記閉ループ型トレンチ分離体(13)、及び1つの前記接点パッド(20)と組み合わせられ、前記接点パッドは、当該接点支持ピラーの上方で、かつ1つの分離された前記閉ループ型ストリップ内で、かつ他のあらゆる前記接点支持ピラーと独立して、前記第2電極(2)と電気接触し、
ステップ/7/の後に実行される次のステップ、即ち:
/8/ 一組の導電トラック(21)を形成するステップであって、該導電トラックは、前記基板上面(S100)の上方に配置され、前記接点パッド(20)の全部を接続して電気的に並列な配置にするように構成されているステップをさらに含む、請求項11〜14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元コンデンサ構造の略である3D(three-dimensional)コンデンサ構造、こうした3Dコンデンサ構造を具えた電気装置、及び製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
非常に高いコンデンサ密度を有するコンデンサ構造は、電源デカップリングのような用途向けの問題となってきている。こうしたデカップリング用途向けには、表面実装コンデンサが一般にプリント基板レベルで実現される。これらのコンデンサは、電源によって給電される電子回路と並列に、その電源に接続される。しかし、こうした実現では、表面実装されたコンデンサと電源との間に、そして上記回路への大幅に長い電気接続部が必要であり、これらの接続部は大きな等価直列インダクタンスを生じさせる。従って、これらの実現は、高度な阻止が望まれる際には、効率的なデカップリングにとって不適切である。
【0003】
シリコン埋込コンデンサ構造は、表面実装コンデンサに取って代わる技術であり、長い電気接続部を必要としない。従って、電源デカップリング用途向けには、等価直列インダクタンスはもはや問題にならないが、シリコン埋込コンデンサ構造は、特に3Dコンデンサ構造については高い等価直列抵抗を呈する。実際には、3Dコンデンサ構造は、トレンチ内に堆積した電極層を実現し、従って次の特徴を有する:
トレンチ内の電極設計は、電極内を電荷が流れる距離をもたらし、この距離は非常に長い;
各電極層の堆積中にトレンチの目詰まりを回避するために、電極層は薄い;
電極のトレンチ内堆積のために実現される堆積プロセスは、非常に高い値の導電率を有さない電極材料に限定される。
【0004】
これらの特徴は、等価直列抵抗を増加させることに寄与する。電気二重層コンデンサをトレンチ内部及びトレンチ間に用いる際には、これらの特徴は、中間電極とも称される第2電極にとって特に重大である。実際に、電気二重層コンデンサは、コンデンサ密度における比較的高い値を生み出すが、特に、第2電極を形成する層の小さい厚さ及び限られた導電率に起因して、同時に、等価直列抵抗における比較的高い値をもたらす。
【0005】
電気二重層コンデンサに基づく3Dコンデンサ構造から始まって、金属配線網を第2電極と並列に配置し、この配線網から第2電極に至る電気接点を分散設計により設けて、第2電極内の電荷が長距離を流れることを回避することが実現されてきている。しかし、電気二重層コンデンサに基づく3Dコンデンサ構造の第2電極に複数の電気接点を設けることは困難な問題となり得る。このことは、接点領域の位置にある第3電極層を除去することを必要とする。しかし、電気二重層コンデンサはトレンチ設計に合わせるので、第2電極と第3電極との間の短絡がトレンチの上縁部付近に発生し得る。こうした短絡を回避するために、第2電極層に至る電気接点を、トレンチのない回路部分に配置することができる。従って、これらの回路部分におけるコンデンサ構造のレイアウトはもはや三次元ではなく、即ち、回路基板の上面に平行な電極層で構成される。従って、第2電極と第3電極との間に短絡が発生しないことを保証しつつ、これらの回路部分内の第3電極を除去して第2電極に至る電気接点を作製することは容易である。
【0006】
しかし、電極層が基板上面に平行である回路部分を作製することは、3Dコンデンサ構造に比べてコンデンサ密度の減少をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
こうした最近の状況から始まって、本発明の1つの目的は、コンデンサ密度における高い値と、電気二重層コンデンサの第2電極と第3電極との間に短絡が発生し得ないこととの間のトレードオフ(二律背反)を改善した新規な3Dコンデンサ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的及び他の目的を達成するために、本発明の第1の態様は3Dコンデンサ構造を提案し、この3Dコンデンサ構造は:
基板と、
トレンチ網と、
電気二重層コンデンサと、
少なくとも1つの接点パッドとを具え、
トレンチ網は、基板の上面から下向きに、基板上面に垂直な深さ方向に沿ってトレンチ底面まで延び、トレンチ網は、分離したピラー(柱状体)の規則的なアレイを形成し、これらのピラーは互いに離れて配置され、各々が基板上面に平行な閉ループ型トレンチパターンによって包囲され、
電気二重層コンデンサは、単一要素として、基板上面にあるピラーの上面上、深さ方向に平行なトレンチ側壁上、及びトレンチ底面上にも連続して広がり、電気二重層コンデンサは、基板側から順に:第1電極、第1絶縁層、第2電極、第2絶縁層、及び第3電極を具え、
接点パッドは、基板上面の上方に
基板上面に沿って配置されて、第2電極に電気接触するように構成されている。
【0009】
従って、本発明は電気二重層コンデンサを含む3Dコンデンサ構造に適用され、電気二重層コンデンサは、二重の金属−絶縁体−金属積層の略である二重MIM積層とも称される。従って、本発明のコンデンサ構造のコンデンサ密度は高くすることができる。それに加えて、基板埋込型の構成は、ディスクリート(個別部品)の表面実装コンデンサに比べて、等価直列抵抗における低い値を可能にする。
【0010】
/i/で表す本発明の第1の特徴によれば、接点支持ピラーと称する、ピラーのうちの少なくとも1つの周囲では、接点支持ピラーと隣り合う互いに隣接したピラー間を橋渡しする追加的な基板部分を設けることによって、上記分離したピラーの規則的なアレイに対してトレンチ網が異なる。従って、この追加的な基板部分は、上記互いに隣接したピラーと共に閉ループ型トレンチ分離体を形成し、この閉ループ型トレンチ分離体は、接点支持ピラーを包囲し、基板上面に含まれる平坦な最上部を有する。
【0011】
/ii/で表す本発明の第2の特徴によれば、第1電極、第1絶縁層、及び第2電極が、上記閉ループ型トレンチ分離体の平坦な最上部の全体にわたって、接点支持ピラーと閉ループ型トレンチ分離体との間に位置する分離された閉ループ型トレンチ部分内に、及び閉ループ型トレンチ分離体の外側に位置する他のトレンチ部分内にも連続して広がる。
【0012】
/iii/で表す本発明の第3の特徴によれば、少なくとも閉ループ型ストリップに沿った所では、閉ループ型トレンチ分離体の平坦な最上部に第3電極がなく、この閉ループ型ストリップは、この平坦な最上部に含まれ、分離された閉ループ型トレンチ部分及び接点支持ピラーを包囲する。このようにして、第3電極における、分離された閉ループ型トレンチ部分に含まれる部分は、閉ループ型ストリップの外側にある第3電極の他の部分から隔離される。
【0013】
最後に、/iv/で表す本発明の第3の特徴によれば、上記接点パッドが、接点支持ピラーの少なくとも上方部分で第2電極と電気接触する。
【0014】
閉ループ型ストリップが閉ループ型トレンチ分離体の平坦な上面上に配置されているので、閉ループ型ストリップは、このように互いに分離されて閉ループ型ストリップのそれぞれ内側及び外側に位置する、第3電極の上記の両方の部分間の電気絶縁を保証することができる。閉ループ型ストリップは、エッチングまたはマスキング・プロセスのような単純で良好に制御されるプロセスを実現することによって製造することができる。閉ループ型ストリップの絶縁の有効性、及びその製造の容易性は、閉ループ型トレンチ分離体が、閉ループ型ストリップを含む表面内のあらゆる不連続性を抑制することに起因する。
【0015】
従って、第2電極に接触すること専用の接点パッドが、例えば分離された閉ループ型トレンチ部分の上縁部の所で予期せず第3電極にも接触した場合、このことは有害な影響を与えない、というのは、閉ループ型ストリップが、第3電極における閉ループ型ストリップの内側にある部分と、第3電極における閉ループ型ストリップの外側にある残りの部分との隔離を保証するからである。
【0016】
第3電極における閉ループ型ストリップの内側にある部分は、コンデンサ密度にとってはもはや有効ではないが、このことは3Dコンデンサ構造の限られた部分に関係する。しかし、閉ループ型ストリップの内側にある第1及び第2電極によってもたらされるコンデンサの寄与分はまだ有効である。従って、第2電極に接触する必要性によって生じるコンデンサ密度の損失は、等価直列抵抗における低い値を維持するために複数のこうした接点を設ける場合でも限定的である。このようにして、本発明は、コンデンサ密度における高い値と等価直列抵抗における低い値との間の最適化されたトレードオフを提供することができる。従って、本発明によるコンデンサ構造は、効率的な電源デカップリングを実現することに良好に適合する。
【0017】
本発明については一般に、少なくとも接点パッドと第2電極との接触領域内では、接点支持ピラーの上面も第3電極をなくすことができ、さらに、少なくともこの接触領域内では、さらに第2絶縁層をなくすことができる。
【0018】
上記3Dコンデンサ構造は、第3電極における、基板上面に平行に広がるあらゆる部分、接点支持ピラーの上面の一部分を含めた閉ループ型ストリップの内側に広がるあらゆる部分、及び接点支持ピラーと閉ループ型トレンチ分離体との間に位置する分離された閉ループ型トレンチ部分の上方に広がるあらゆる部分をなくすことができることが好ましい。
【0019】
本発明の好適な実現では、上記3Dコンデンサ構造が、電気絶縁材料製の最上層をさらに具えることができ、この最上層は電気二重層コンデンサ上に配置される。そして、この最上層は、閉ループ型ストリップの外側限界線の内側に位置し、かつ閉ループ型ストリップのこの外側限界線から離れた開口部を有する。従って、上記接点パッドは、この最上層の開口部を通して第2電極と接触することができる。
【0020】
一般に、上記基板は、半導体基板、特にシリコン基板とすることができる。従って、上記3Dコンデンサ構造は、表面実装コンデンサ、及び基板上面上に積層された金属化層内に配置されるコンデンサとは異なり基板埋込型とすることができる。こうした基板埋込型3Dコンデンサの場合、第1電極は基板の導電部分で構成することができ、この導電部分は、基板上面、トレンチ側壁、及びトレンチ底面に沿って広がる。その代わりに、第1電極が導電材料の層を具えることができ、この層は基板上面、トレンチ側壁、及びトレンチ底面を覆う。
【0021】
特徴/i/〜/iv/は、互いに離れて基板上面全体にわたって分布する複数の接点支持ピラーにおいて満足することが好ましい。こうして、各接点支持ピラーに、当該接点支持ピラーを包囲する1つの閉ループ型トレンチ分離体、及び1つの接点パッドが設けられ、この接点パッドは、1つの分離した閉ループ型ストリップ内にある同じ接点支持ピラーの上方で、他のあらゆる接点支持ピラーと独立して第2電極と電気接触する。そして、上記3Dコンデンサ構造は一組の導電トラックを具えることができ、これらの導電トラックは、基板上面の上方に配置され、接点パッドの全部を接続して電気的に並列な配置にするように構成されている。このようにして、導電トラックは第2電極と並列な導電経路を提供して等価直列抵抗の値を減少させる。
【0022】
本発明の第2の態様は電気装置を提供し、この電気装置は電源及び電子回路を具え、その両者は電子回路が電源によって給電されるように接続されている。本発明によれば、この装置は本発明の第1の態様による3Dコンデンサ構造をさらに具え、この3Dコンデンサ構造は電源から電子回路と並列に電気接続されている。この3Dコンデンサ構造は、電源に対する電子回路の効率的なデカップリング機能を生じさせる。
【0023】
この電子回路はダイ内に集積することができ、3Dコンデンサ構造の基板はダイに接して配置することが好ましい。こうした構成はさらに、等価直列インダクタンスにおける低い値を保証する。
【0024】
最後に、本発明の第3の態様は、3Dコンデンサ構造を製造する方法を提案し、この方法は次のステップを含む:
/1/ 上面、及び上面に垂直な深さ方向を有する基板を用意するステップ;
/2/ トレンチ網を基板上面から下向きに深さ方向に沿ってトレンチ底面までエッチングするステップであって、トレンチ網は分離したピラーの規則的なアレイを形成し、これらのピラーは互いに離れて配置され、各々が、基板上面に平行な閉ループ型トレンチパターンによって包囲されるステップ;
/3/ 電気二重層コンデンサが、単一要素として、基板上面にあるピラーの上面上、深さ方向に平行なトレンチ側壁上、及びトレンチ底面上にも連続して広がるように、電気二重層コンデンサを基板上に堆積させるステップであって、この電気二重層コンデンサが、基板側から順に:第1電極、第1絶縁層、第2電極、第2絶縁層、及び第3電極を具えているステップ;及び
/7/ 少なくとも1つの接点パッドを、基板上面の上方に
基板上面に沿って形成するステップであって、この接点パッドは第2電極に電気接触するように構成されているステップ。
【0025】
本発明によれば、ステップ/2/において、接点支持ピラーと称する、ピラーのうちの少なくとも1つの周囲において、接点支持ピラーと隣り合う互いに隣接したピラー間を橋渡しする追加的な基板部分を残すことによって、トレンチ網を修正する。これにより、追加的な基板部分は上記互いに隣接したピラーと共に閉ループ型トレンチ分離体を形成し、この閉ループ型トレンチ分離体は、接点支持ピラーを包囲し、基板上面に含まれる平坦な最上部を有する。
【0026】
それに加えて、この方法は、ステップ/3/と/7/の間に、少なくとも閉ループ型ストリップに沿って第3電極を除去するステップ/4/をさらに含み、この閉ループ型ストリップは、閉ループ型トレンチ分離体の平坦な最上部に含まれ、接点支持ピラーを包囲し、接点支持ピラーと閉ループ型トレンチ分離体との間に位置する分離された閉ループ型トレンチ部分も包囲する。これにより、第1電極、第1絶縁層、及び第2電極を、上記平坦な最上部上、分離された閉ループ型トレンチ部分内、及び接点支持ピラーの上方に連続したままにしつつ、第3電極における、分離された閉ループ型トレンチ部分に含まれる部分は、第3電極における閉ループ型ストリップの外側にある他の部分から隔離される。
【0027】
またステップ/7/では、上記接点パッドを、接点支持ピラーの少なくとも上方部分で第2電極と電気接触するように形成する。
【0028】
本発明の好適な実現では、ステップ/4/において、第3電極を、閉ループ型ストリップに沿って、同時に接点パッドと第2電極との接触領域内で除去することができる。従って、この接触領域は、接点支持ピラーの少なくとも上方部分に広がる。少なくともこの接触領域内では第2絶縁層も除去する。
【0029】
場合によっては、ステップ/4/において、閉ループ型ストリップの内側で、基板上面に平行に広がる第3電極のあらゆる部分を、接点支持ピラーの上方、及びこの接点支持ピラーと閉ループ型トレンチ分離体との間に位置する分離された閉ループ型トレンチ部分の上方を含めて除去することができる。
【0030】
本発明は、ステップ/4/とステップ/7/との間に実行される次のステップをさらに含むことができる:
/5/ 電気絶縁材料の最上層を電気二重層コンデンサ上に堆積させるステップと;
/6/ 次に、この最上層を通る開口部をエッチングして、この開口部が閉ループ型ストリップの外側限界線の内側に位置し、かつ閉ループ型ストリップのこの外側限界線から離れるようにするステップ。
【0031】
従って、ステップ/7/では、接点パッドを、この最上層の開口部を通って第2電極に接触するように形成することができる。
【0032】
最後に、第2電極に起因する等価直列抵抗を低減するために、複数の接点支持ピラーを同時に、基板上面全体にわたって互いに離して設けることができ、これにより、各接点支持ピラーは、この接点支持ピラーを包囲する閉ループ型トレンチ分離体、及び同じ接点支持体の上方で、かつ1つの分離された閉ループ型ストリップ内で、かつ他のあらゆる接点支持ピラーと独立して第2接点と電気接触する1つの接点パッドと組み合わせられる。そして、この方法は、ステップ/7/の後に実行される次のステップをさらに含むことができる:
/8/ 一組の導電トラックを形成するステップであって、これらの導電トラックは、基板上面の上方に配置され、接点パッドの全部を接続して電気的に並列な配置にするように構成されているステップ。
【0033】
明瞭にするために、これらの図面中に出現する要素のサイズは、実際の寸法または寸法比に対応しない。また、これらの図面のうちの異なる図面中に示される同じ参照番号または参照符号は、同一の機能を有する同一の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明による3Dコンデンサ構造用に用いられる基板の透視図である。
【
図2】
図1の基板から製造された本発明による3Dコンデンサ構造の、
図1中の平面IIから描いた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の詳細な説明
図1及び1Aによれば、半導体基板100が、S
100で表す上面、及び上面S
100に垂直な深さ方向Dを有する。基板100はシリコン基板とすることができる。基板100は、その上面S
100から下向きにトレンチの底面レベルS
101まで深さ方向Dと平行に、基板上面S
100の全体にわたって分布する分離したマスク領域の外側をエッチングされている。マスク領域は規則的な二次元アレイに従って分布し、この二次元アレイは三角形、正方形、長方形、六角形...のベースパターンを有することができる。このようにして、分離したピラー10の規則的な二次元アレイが基板100上に得られ、このアレイはマスク領域のアレイに対応する。トレンチ網は、すべてのピラー10の間に、基板上面S
100に平行なD1及びD2で表す方向に沿って、及び基板上面S
100とトレンチ底面S
101との間にも深さ方向Dにそって広がる。トレンチ網を形成するために、あらゆるマスキング及びエッチング・プロセス、例えば化学エッチングプロセスを実現することができる。一般に、ピラーの上面S
100に平行な断面形状は任意にすることができるが、特に深さ方向Dに平行な圧壊に対する機械的強度をもたらすように選択することが有利である。
図1に表現する本発明の実施形態では、各ピラー10が個別に三点の星形の断面を有し、ピラーのアレイは中心に六角形のパターンを有する。
【0036】
本発明の特徴の1つによれば、規則的なピラーアレイを、ピラーのうちの少なくとも1つについて修正して、このピラーを包囲する閉ループ型トレンチ部分をトレンチ網の残り部分から隔離する。説明の大部分では対象のピラーを接点支持ピラーと称しており、
図1及び1Aでは参照番号11で示す。この目的のために、ピラー11と隣り合ういくつかのピラーを参照番号10nで示し、追加的な基板部分12で結合して閉ループ型トレンチ分離体13をピラー11の周囲に形成する。追加的な基板部分12は、トレンチをエッチングするステップの前に、ピラー10専用であるマスク部分と同時に追加的なマスク部分を配置することによって設けられていることが有利である。こうしてトレンチ網の残り部分から閉ループ型トレンチ分離体13によって分離された閉ループ型トレンチ部分を参照番号14で示す。このようにして、ピラー11から半径方向に移動すると、次のパターンが形成される:ピラー11が、分離された閉ループ型トレンチ部分14によって包囲され、一方、閉ループ型トレンチ部分14は閉ループ型トレンチ分離体13によって包囲され、そしてピラーのアレイはその規則的なパターンで広がる。参照符号S
11及びFT
13は、それぞれ接点支持ピラー11の上面及び閉ループ型トレンチ分離体13の平坦な最上部を表し、これらは共に基板上面S
100内に位置する。
【0037】
ピラー11、閉ループ型トレンチ分離体13、及び分離された閉ループ型トレンチ部分14を具えたピラーアレイのこうした修正は、基板全体にわたって互いに離れたいくつかの位置で反復することができることが好ましい。接点支持ピラーのこれらの位置を基板上面S
100の全体にわたって分布させて、例えば正方形のベースパターンを有するピラーのサブアレイを形成することができることが有利である。
図1では、方向D1に沿った9つのうちの1つのピラーがこうして作製された接点支持ピラーであり、方向D2に沿った5つのうちの1つのピラーがこうして作製された接点支持ピラーである。
【0038】
任意で、基板上面S
100内のゾーン150はトレンチをなくすことができる。こうしたゾーンは、ゾーン150用に望ましい形状と一致する連続したマスク領域を構成することによりトレンチのエッチング領域を限定するために用いたマスクを適合させることによって、再度作製することができる。ゾーン150は、例えば接点支持ピラーのサブアレイの各ベースパターンの中心において、基板上面S
100の全体にわたって反復させることもできる。
【0039】
次に、
図2に示すように、電気二重層コンデンサCを、トレンチ網内及び今説明したピラー構造上に形成する。この目的のために、次の材料層を形成するか堆積させて、各々がピラー10上に連続して広がり、この広がりは、接点支持ピラー11の上面S
11上及び閉ループ型トレンチ分離体13の平坦な最上部FT
13上、深さ方向Dに平行なトレンチ側壁上、及びトレンチ底面S
101上を含み、分離された閉ループ型トレンチ部分14、及び任意のゾーン150も含む。電気二重層コンデンサCは次の層を具え、これらの層は基板100から次の順序で互いに重なって積層される:第1電極1、第1絶縁層1i、第2電極2、第2絶縁層2i、及び第3電極3。第1電極1の変形例として、次の2つの具体例が可能である:基板100内に、上面S
11、平坦な最上部FT
13、ピラー10の上面、トレンチ側壁、及びトレンチ底面S
101に沿った強化ドーピング層、または基板100の同じ表面上に堆積された導電材料層のいずれか。第1電極1用に堆積させる導電材料は、例えばタングステン(W)またはタンタル(Ta)のような耐熱金属とすることができる。第1絶縁層1iは、第1電極1の材料の酸化層、あるいはシリカ(SiO
2)または酸化チタニウム(TiO
2)層、あるいは既知の様式の多層誘電体とすることができる。第2電極2も耐熱金属層とすることができ、第2絶縁層2iは第1絶縁層1iと同一にすることができる。第3電極3はポリシリコン層とすることができる。場合によっては、第3電極3でトレンチを充填することができ、あるいは第3電極3の材料の後に、追加的な充填材料をトレンチ充填材用に堆積させることができる。電気二重層コンデンサCは、化学気相成長法または原子層成長法のような低圧プロセスを用いて堆積させることができる。
【0040】
ゾーン150は第1電極1及び/または第3電極3に至る電気接点を配置することの専用にすることができるが、このことは本発明に直接結び付かない。実際には、本発明の1つの主要な課題は、以下に説明するように第2電極2を信頼性のある方法で電気接触させることである。
【0041】
電気二重層コンデンサCの第2電極2に基板上面S
100の上方から接触することは、第2電極2を露出させるように第3電極3及び第2絶縁層2iを除去することを必要とする。しかし、こうした第2電極2に至る接点を規則的なピラーアレイのあるゾーン内に作製したならば、このことは、第2電極に接触するために配置された接点パッドに非常に近い、トレンチに含まれる第3電極の最上部も露出させるに至る。第2電極2に接触するためのこうした接点パッドは、第3電極の最上部が接点支持ピラー11の上面S
11と同一平面上にあるトレンチ部分、及び第3電極3の最上部が閉ループ型トレンチ分離体13の平坦な最上部FT
13と同一平面上にあるトレンチ部分にもオーバーラップする。このことは、第2電極2に接触するために使用する接点パッドを通した第2電極2と第3電極との間に発生する可能性のある予期しない短絡を生じさせ、この短絡は望ましくない。ピラー10が接点パッドよりも小さいか、接点パッドと同様な断面寸法を有するので、こうした短絡が出現し得るし、ピラー10の断面寸法を増加させることはコンデンサ密度の値にとって好ましくない。
【0042】
この問題に応えるために、第2電極2に接触すること専用である接点パッドをピラー11の上方に配置し、この理由でピラー11を接点支持ピラーと称する。それに加えて、本発明の他の1つの特徴によれば、閉ループ型トレンチ分離体13の平坦な最上部FT
13内にある閉ループ型ストリップB(
図1、1A、及び2参照)に沿って第3電極3を除去する。こうした閉ループ型ストリップBは、その全体を平坦な最上部FT
13内に配置することができる、というのは、トレンチ分離体13は閉ループの設計を有するからである。それに加えて、ストリップBは、閉ループ型トレンチ分離体13によって包囲された、分離された閉ループ型トレンチ部分14から離れて位置する。従って、閉ループ型ストリップBによって包囲された領域内にある第3電極3のあらゆる残り部分は、もはや、閉ループ型ストリップBの外側にある第3電極3の他の残り部分と接触しない。このことは、第3電極3における分離された閉ループ型トレンチ部分14に含まれる部分に特に当てはまり、この部分は第2電極2に専用の接点パッドと予期せず接触し得る。こうした予期しない短絡の位置を、
図2に参照符号ASCで示す。
【0043】
閉ループ型ストリップBは、内向きに、少なくとも、分離された閉ループ型トレンチ部分14の周辺側壁まで広がることが好ましい。
図2中の参照符号EIを付けた双頭矢印は電気絶縁距離を示し、従って、この電気絶縁距離は、第3電極3における分離された閉ループ型トレンチ部分14内に位置する部分と、閉ループ型ストリップBの外側に放射状に位置する第3電極3の残り部分との間に生じる。この電気絶縁距離EIは、第3電極3における分離された閉ループ型トレンチ部分14に含まれる部分と、第2電極2に接触すること専用のパッドとの予期しない接触によるあらゆる電気的短絡効果を阻止する(
図2中に参照符号ASCで示す位置を参照)。
【0044】
閉ループ型ストリップBに含まれる領域全体にわたって第3電極3を除去することが最も好ましく、この領域は、閉ループ型トレンチ分離体13の平坦な最上部FT
13におけるストリップBの内部にある部分内を含むが、接点支持ピラー11の上面S
11も含み、場合によっては分離された閉ループ型トレンチ部分14の上方にあるゾーンも含み、後者のゾーンでは多分制御が不十分なやり方であるが、既に説明した電気的影響なしに除去する。
【0045】
従って、基板上面S
100の上方から第2電極2に至る電気接点は通常の方法で作製することができる。絶縁材料の最上層22を最初にコンデンサ構造C上に堆積させる。この最上層22は、低圧化学気相成長プロセスの略であるLPCVD(low pressure chemical vapor process)プロセスを用いて堆積させたシリカとすることができる。開口部Oを最上層22内に設けて第2絶縁層2iを露出させる。次に、開口部O内でこの後者(第2絶縁層2i)を除去し、これにより第2電極2が開口部Oを通して露出する。
【0046】
第1及び第2金属化レベルは、一般に金属1及び金属2と称され、その後に現在技術において周知の方法で作製される。
【0047】
第1金属化レベルは、開口部Oを通って第2電極2と電気接触する接点パッド20、及び絶縁材料層23を含む。接点パッド20はアルミニウム(Al)製とすることができ、蒸発、スパッタリング、またはCVDプロセスのようなプロセスを用いて堆積させる。従って、開口部Oは接点パッド20と第2電極2との接触領域を限定する。場合によっては、この接触領域を、分離された閉ループ型トレンチ部分14まで拡張することができ、分離された閉ループ型トレンチ部分14では第3電極3の最上部が上面S
100と同一平面上にある。しかし、
図2中に矢印ASCで表すような、この位置で発生する予期しない接触は、電気絶縁EIのおかげで、閉ループ型ストリップB外には電気的影響を与えない。層23は、プラズマ・エンハンスト化学気相成長プロセスの略であるPECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition)プロセスを用いて堆積させたシリカ層とすることができる。実際には、1つの分離した接点パッド20をこの方法で各接点支持ピラー11の上方に形成する。
【0048】
第2金属化レベルは少なくとも1つの金属トラック21を含み、金属トラック21は、いくつかの接点パッド20及び保護層24と電気接触する。保護層24は、ここでもPECVDプロセスを用いて堆積させた窒化シリコン(Si
3N
4)層とすることができる。金属トラック21はアルミニウム・トラックとすることができ、場合によっては第1金属化層内の接点パッド20用に実現したのと同じプロセスを用いて得られる。金属トラック21は、いくつかの、あるいは全部の接点パッド20どうしを接続して、第2電極2に至る一組の多重電気接点を形成し、これらの電気接点は、電気二重層コンデンサCの全体にわたって分布し、互いに並列に接続されている。このようにして、コンデンサ構造Cの等価直列抵抗に対する第2電極の寄与分が低減される。
【0049】
今説明した製造プロセスより、電気二重層コンデンサC内で、第3電極が第2絶縁層2iを通して第2電極と対面することによって形成されるコンデンサ部は、閉ループ型ストリップB内で局所的に抑制されるように思われる。しかし、第2電極2が第1絶縁層1iを通して第1電極1と対面することによって形成される、電気二重層コンデンサC内に存在する他のコンデンサ部は、各電気接点より下方に第2電極2まで連続して広がる。特に、この後者(他)のコンデンサ部は、各閉ループ型トレンチ分離体13の平坦な最上部FT
13全体にわたって、各分離された閉ループ型トレンチ部分14内に、及び各接点支持ピラー11の上面S
11の全体にわたって連続して広がる。このようにして、この(他の)コンデンサ部は、コンデンサ密度における高い値を得ることに関与する。
【0050】
このようにして得られた3Dコンデンサ構造を参照番号200で表す。この3Dコンデンサ構造は、
図3に示すような電気装置内でデカップリング・コンデンサとして用いることができる。この電気装置は「回路」で表す有用な電子回路300を具え、電子回路300は外部電源400によって給電される。特に、回路300の少なくとも一部分はダイ内に集積することができる。従って、3Dコンデンサ構造200は、電源400から電気的に有効な方法で、回路300と並列に接続されている。3Dコンデンサ構造200の基板100は、電気接続部201及び202により回路300のダイの近くに配置することができることが有利であり、電気接続部201及び202は、回路300のダイと3Dコンデンサ構造200との間に配置することができる。接続設計は、接続部201及び202用に実現することができることが好ましく、これらの接続部では接続長が短く接続面積が広い。
図3では、これらの接続部が中間表面パッドとして表されるが、ハンダバンプのような他の接続設計を代わりに用いることができる。このようにして、3Dコンデンサ構造200は効率的なデカップリング機能を提供し、
図3中にデカップリングで表す。こうしたデカップリング効率は、特に、電源400が、並列に給電されるいくつかの有用な回路に共通である際に有利であり得る。こうしたデカップリング効率は、有用な回路300の電力消費が電力バーストを呈する際にも有利である。
【0051】
本発明は、互いに重ねて積層された4つ以上の電極、例えば三層コンデンサに対応する4つの電極を具えた積層コンデンサにも適用することができる。従って、追加的な閉ループ型トレンチ分離体を、各接点支持ピラーの周囲に、同心配置の形に設けることができる。1つのこうした追加的な閉ループ型トレンチ分離体は、電気二重層コンデンサの場合を超えた、積層コンデンサの追加的な各中間電極への追加的な短絡を回避すること専用にすることができる。従って、各中間電極に至る1つの分離した接点を、接点支持ピラーに加えて、内側の閉ループ型トレンチ分離体の平坦な最上部に配置することができる。