(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
犬の足のつま先から指節部又は趾節部までを覆う袋状部と、該袋状部から連続して少なくとも犬の足の中手部又は中足部の一部までを覆う筒状部と、を備える犬用靴であって、
前記袋状部の、犬の足のつま先近傍に装着される先側装着部位と、前記筒状部の、犬の足の中手部又は中足部に装着される上側装着部位とを連結して、前記先側装着部位と前記上側装着部位とを接近させるように付勢する、弾性を備えた2本の連結部材を含み、
該2本の連結部材は、前記先側装着部位へ取り付けられる第1取付部が、互いに離れて取り付けられると共に、前記上側装着部位へ取り付けられる第2取付部が、直接的に或いは接続部材を介して間接的に互いに接続された状態で、着脱可能に前記上側装着部位に対して取り付けられ、
前記2本の連結部材の前記第2取付部同士が接続された部分の近傍に、人の指により引っ張るための引っ張り具を有することを特徴とする犬用靴。
前記2本の連結部材の前記第2取付部同士が、前記2本の連結部材がV字状を成す態様で直接的に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の犬用靴。
前記2本の連結部材の前記第2取付部同士が、前記2本の連結部材が平行ないし略平行に延在するように、前記接続部材を介して間接的に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の犬用靴。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したナックリングを予防及び抑制するための犬用靴は、主に、2本の弾性部材を利用して犬の足のつま先側を引っ張り上げるものである。しかしながら、犬の足への装着時に、2本の弾性部材による引っ張り力をバランス良く調整することが困難であり、ナックリング対策の効果が十分に発揮されないことがあった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ナックリング対策が施された犬用靴の、つま先側の引っ張り力の調整を容易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0006】
(1)犬の足のつま先から指節部又は趾節部までを覆う袋状部と、該袋状部から連続して少なくとも犬の足の中手部又は中足部の一部までを覆う筒状部と、を備える犬用靴であって、前記袋状部の、犬の足のつま先近傍に装着される先側装着部位と、前記筒状部の、犬の足の中手部又は中足部に装着される上側装着部位とを連結して、
前記先側装着部位と前記上側装着部位とを接近させるように付勢する、弾性を備えた2本の連結部材を含み、該2本の連結部材は、前記先側装着部位へ取り付けられる第1取付部が、互いに離れて取り付けられると共に、前記上側装着部位へ取り付けられる第2取付部が、直接的に或いは接続部材を介して間接的に互いに接続された状態で、着脱可能に前記上側装着部位に対して取り付けられ
、前記2本の連結部材の前記第2取付部同士が接続された部分の近傍に、人の指により引っ張るための引っ張り具を有する犬用靴(請求項1)。
【0007】
本項に記載の犬用靴は、袋状部、筒状部、及び、2本の連結部材を含むものであり、靴の本体部分は、袋状部と筒状部とで構成される。袋状部は、犬の足のつま先から、前足の場合は指節部まで、後足の場合は趾節部までを覆う部材であり、筒状部は、袋状部から連続して形成され、少なくとも犬の足の、前足の場合は中手部の一部まで、後足の場合は中足部の一部までを覆う部材である。2本の連結部材の各々は、弾性を有しており、袋状部の、犬の足のつま先近傍に装着される先側装着部位と、筒状部の、犬の足の中手部(前足の場合)或いは中足部(後足の場合)に装着される上側装着部位とを連結して、接近させるように付勢するものである。
【0008】
又、2本の連結部材は、袋状部の先側装着部位へ取り付けられる第1取付部が、互いに離れて取り付けられる。すなわち、2本の連結部材のうち、一方の連結部材の第1取付部と、他方の連結部材の第1取付部とが、袋状部の、犬の足のつま先近傍に装着される先側装着部位の、互いに離れた位置に取り付けられる。更に、2本の連結部材は、筒状部の上側装着部位へ取り付けられる第2取付部が、直接的に或いは接続部材を介して間接的に互いに接続された状態で、着脱可能に上側装着部位に対して取り付けられる。すなわち、2本の連結部材のうち、一方の連結部材の第2取付部と、他方の連結部材の第2取付部とが、そのまま直接的に、或いは、接続部材を介して間接的に、互いに接続されている。加えて、このように接続された状態の、2本の連結部材の2つの第2取付部が、筒状部の、犬の足の中手部又は中足部に装着される上側装着部位に対して、着脱可能に取り付けられるものである。
【0009】
上記のような構成を有する本項に記載の犬用靴は、犬の足へ装着される際、第1取付部が先側装着部位へ取り付けられた状態の、2本の連結部材の第2取付部側が、人の手により引っ張られることで、2本の連結部材による引っ張り力が調整された後、上側装着部位に対して取り付けられる。この際、2本の連結部材の第2取付部は、直接的或いは間接的に接続されていることから、人の手によって同時にバランス良く引っ張られることになる。これにより、2本の連結部材によるつま先側の引っ張り力が、容易にバランス良く調整されるものである。しかも、2本の連結部材の第1取付部が、互いに離れて先側装着部位に取り付けられているため、離間したそれら2つの第1取付部を介して、犬の足のつま先側が安定して引っ張られるものである。
【0010】
従って、本項に記載の犬用靴を装着した犬は、2本の連結部材による上記のような引っ張り力に逆らって、つま先を下側や後側に向けることが抑制されるため、ナックリングが効果的に予防及び抑制されることとなる。又、2本の連結部材が弾性を有することで、犬の足のつま先と中手部又は中足部とが接近するように付勢しながらも、犬の足のつま先と中手部又は中足部とが離間する方向への、連結部材の弾性力に応じた引張が許容される。これにより、歩行中の犬の足の動きへ追従する際の変形が、連結部材が伸縮する範囲で許容されるため、歩行中の犬にストレスを感じさせることなく、犬の足のナックリングが予防及び抑制されるものとなる。更に、犬用靴を脱がせる際には、2本の連結部材の第2取付部が、人の手によって筒状部の上側装着部位から取り外されることにより、脱がせる作業が円滑に行われることとなる。
更に、本項に記載の犬用靴は、2本の連結部材の第2取付部同士が接続された部分の近傍に、人の指により引っ張るための引っ張り具を具備するものである。これにより、2本の連結部材による引っ張り力の調整時に、人の指によって引っ張り具を介して2本の連結部材が引っ張られることで、引っ張り力の調整がより容易に行われるものである。なお、このような引っ張り具が取り付けられる、第2取付部同士が接続された部分の近傍とは、第2取付部同士が直接的に接続されている場合は、その接続部分の近傍であり、第2取付部同士が接続部材を介して間接的に接続されている場合は、その接続部材の何れかの部位であってよい。更に、これらの部位に、別の部材を介して引っ張り具が取り付けられてもよく、後述する(7)項に記載したような巻き付け部が設けられる場合は、この巻き付け部に引っ張り具が取り付けられてもよい。
【0011】
(2)上記(1)項において、前記上側装着部位が、前記筒状部の、犬の足の中手部又は中足部の前側部分に装着される部位である犬用靴(請求項2)。
本項に記載の犬用靴は、上側装着部位が、筒状部の、犬の足の中手部又は中足部の前側部分に装着される部位であることで、2本の連結部材により、袋状部の、犬の足のつま先近傍に装着される先側装着部位と、筒状部の、犬の足の中手部又は中足部の前側部分に装着される上側装着部位との間が、接近するように連結される。これにより、犬の足のナックリングが、より効果的に予防及び抑制されるものである。
【0012】
(3)上記(1)(2)項において、前記2本の連結部材の前記第1取付部が、犬用靴の幅方向に互いに離れて取り付けられる犬用靴(請求項3)。
本項に記載の犬用靴は、2本の連結部材の第1取付部が、袋状部の先側装着部位に対して、犬用靴の幅方向に互いに離れて取り付けられることで、2本の連結部材により、犬の足のつま先側がより安定して引っ張られるものである。
【0013】
(4)上記(1)から(3)項において、前記2本の連結部材の前記第2取付部同士が、前記2本の連結部材がV字状を成す態様で直接的に接続されている犬用靴(請求項4)。
本項に記載の犬用靴は、2本の連結部材がV字状を成す態様で、2本の連結部材の第2取付部同士が直接的に接続されているものである。すなわち、先側装着部位に互いに離れて取り付けられる第1取付部がV字状の二股側を成し、直接的に接続される第2取付部がV字状の尖った先端側を成すものである。このような構成により、2本の連結部材による引っ張り力を調整する際の、人の手による引っ張り方向が1方向に合成されるため、引っ張り力の調整がより容易になるものである。
【0014】
(5)上記(1)から(3)項において、前記2本の連結部材の前記第2取付部同士が、前記2本の連結部材が平行ないし略平行に延在するように、前記接続部材を介して間接的に接続されている犬用靴(請求項5)。
本項に記載の犬用靴は、2本の連結部材が平行ないし略平行に延在するように、2本の連結部材の第2取付部同士が接続部材を介して間接的に接続されているものである。すなわち、2本の連結部材の第2取付部が、例えば犬用靴の幅方向等に、第1取付部と同じように互いに離れた状態で、接続部材を介して間接的に接続される。このような構成により、引っ張り力の調整時に2本の連結部材が同時に引っ張られながらも、2本の連結部材間のバランスの微調整、換言すれば、各連結部材で個別に引っ張り力の微調整が行われるものである。
【0015】
(6)上記(1)から(5)項において、前記2本の連結部材の前記第2取付部が、面ファスナーを介して前記上側装着部位に対して取り付けられる犬用靴。
本項に記載の犬用靴は、2本の連結部材の第2取付部の、筒状部の上側装着部位に対する着脱可能な取り付けが、面ファスナーによって実現されるものである。これにより、例えば、面ファスナーのフック部が、連結部材の第2取付部に必要十分な大きさで設けられ、面ファスナーのループ部が、筒状部の上側装着部位を含む広めの範囲に設けられる、といった工夫が為されるものとなる。この場合は、2本の連結部材の第2取付部の、上側装着部位に対する取り付け位置や取り付け角度等の自由度が上がるため、内側寄りや外側寄りといった犬毎に異なるナックリングの癖に合わせて、2本の連結部材の各々による引っ張り力の、大きさや方向の微調整が容易に行われるものとなる。
【0016】
(7)上記(1)から(6)項において、前記2本の連結部材の前記第2取付部同士が接続された部分に、犬の足に巻き付けられるベルト状の巻き付け部が設けられている犬用靴。
本項に記載の犬用靴は、2本の連結部材の第2取付部同士が接続された部分に、ベルト状の巻き付け部が設けられたものであり、この巻き付け部は、犬用靴の着用時に犬の足に巻き付けられて使用される。すなわち、直接的或いは間接的に接続された状態の、2本の連結部材の第2取付部が、上側装着部位に対して取り付けられる際に、それらの接続部分に設けられた巻き付け部が、上側装着部位を挟み込んで犬の足に巻き付けられ、巻き付け部の両端が例えば面ファスナー等で固定されるものである。これにより、2本の連結部材の第2取付部が、上側装着部位に対してより強固に取り付けられるものとなる。なお、ベルト状の巻き付け部は、連結部材とは別の部材として構成されてよいが、連結部材の第2取付部が接続部材を介して接続される場合は、接続部材そのものが巻き付け部を構成してもよく、接続部材と巻き付け部とが別の部材であってもよい。
【0017】
(8)上記(1)から(7)項において、前記2本の連結部材の各々の、前記第1取付部から前記第2取付部までの長さを調整するための調整機構を含む犬用靴(請求項6)。
【0018】
本項に記載の犬用靴は、2本の連結部材の各々の、第1取付部から第2取付部までの長さが、調整機構により調整されることで、犬の足の大きさや、犬の足のつま先と中手部又は中足部との間に作用させる所望の付勢力に合わせた、適切な長さに、連結部材の長さが調整されるものである。これと併せて、連結部材の引っ張り力の調整が行われることにより、犬の足の大きさ等に応じた適切な付勢力で付勢しながら、犬の足のナックリングを予防及び抑制するものとなる。
【0019】
(
9)上記(
8)項において、前記2本の連結部材の各々が帯状を成し、前記調整機構は、前記連結部材が通されて折り返される環状部分を有する2つの折り返し部材を含み、該2つの折り返し部材の各々を介して折り返される前記連結部材の位置が調整されることで、前記連結部材の各々の長さを調整するものである犬用靴(請求項
7)。
本項に記載の犬用靴は、2本の連結部材の各々が帯状を成しており、これら帯状の連結部材の長さを調整する調整機構が、連結部材が通されて折り返される環状部分を有する折り返し部材を、連結部材毎に(すなわち2つ)含むものである。そして、調整機構は、折り返し部材を介して折り返される連結部材の位置が調整されることで、各連結部材の第1取付部から第2取付部までの長さを調整するものである。
【0020】
このとき、連結部材の各々は、第1取付部側(先側装着部位側)に設置された折り返し部材により折り返されてもよく、第2取付部側(上側装着部位側)に設置された折り返し部材により折り返されてもよい。或いは、第1取付部と第2取付部との間に設置された折り返し部材により折り返されてもよく、この場合は、連結部材の各々が、第1取付部側と第2取付部側との2つの部材により構成される。このように、本項に記載の犬用靴は、折り返し部材を利用して連結部材の長さ調整を効率よく実現しながら、犬の足のナックリングを予防及び抑制するものである。なお、折り返し部材は、帯状の連結部材が折り返されることを考慮すると、連結部材の帯状の幅と同程度かそれ以上の幅を有する、略矩形の環状部分を具備するものであることが好ましい。又、2つの折り返し部材の各々が具備する環状部分の数は、1つに限定されずに2つ以上であってもよい。
【0021】
(
10)上記(
9)項において、前記2つの折り返し部材が、互いに離れて前記先側装着部位に対して固定され、前記2本の連結部材の前記第1取付部は、前記2つの折り返し部材を介して前記先側装着部位に取り付けられる犬用靴。
本項に記載の犬用靴は、調整機構の2つの折り返し部材が、互いに離間した状態で、袋状部の先側装着部位に対して固定されており、この折り返し部材の各々を介して、各連結部材の第1取付部が、先側装着部位に取り付けられるものである。すなわち、連結部材の各々は、その第1取付部側の端部が、先側装着部位に固定された折り返し部材の環状部分に前方へ向かって通された後、後方へ向かって折り返され、連結部材の長さが調整された後、例えば面ファスナー等の取付手段を介して固定される。このような構成により、連結手段の各々は、第1取付部が、取付手段が解除されて折り返し部材から引き抜かれることで、取り付け状態から解放され、更に、第2取付部が、上側装着部位に対して着脱可能に取り付けられていることから、その全体が取り外し可能なものとなる。従って、2本の連結部材が必要に応じて犬用靴の本体部分に対して着脱されることで、ナックリング対策が施された犬用靴と通常の犬用靴との双方に対応するものとなり、又、犬の足へ履かせる作業や脱がせる作業が容易になるものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上記のような構成であるため、ナックリング対策が施された犬用靴の、つま先側の引っ張り力の調整を容易にすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づき説明する。なお、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。
図1は、本発明の実施の形態に係る犬用靴10を模式的に示し、
図2は、犬の足70及び犬の足70に装着した状態の犬用靴10を示している。
図1に示されているように、本発明の実施の形態に係る犬用靴10は、袋状部12と、袋状部12から連続して形成され、犬の足70に履かせるための開口部を有する筒状部14と、本実施形態では2本の巻き付けベルト16と、2本の連結部材30(30A、30B)とを含んでいる。
【0025】
袋状部12は、
図2で確認できるように、犬の足70のつま先72から、指節部又は趾節部74までを覆うものであり、筒状部14は、袋状部12に続いて、犬の足70の中手部又は中足部76の一部までを覆うものである。ここで、筒状部14は、犬の足70の中手部又は中足部76の全体を覆うものであってもよく、犬の足70の手根部又は足根部78までを覆うものであってもよい。又、
図1及び
図2(b)に示されるように、本実施形態において、袋状部12及び筒状部14は、縫製された複数の生地状部材によって構成されている。これらの生地状部材には、犬の足70に直接触れても犬にストレスを感じさせないような柔らかい素材、例えば、各種の布材料、合成繊維、合成樹脂等を使用可能であり、各生地状部材により構成する部位は任意である。
【0026】
巻き付けベルト16の各々は、布製の帯状部16aと、帯状部16aの端部16cと反対の端部に取り付けられた金属製のバックル部16bとで構成され、帯状部16aの一部領域が、袋状部12及び筒状部14を構成する生地状部材に縫い付けられて固定されている。又、帯状部16aの一方の面(
図1で確認できる面と反対の面)には、面ファスナーが設けられており、生地状部材に縫い付けられた帯状部16aの一部領域に、面ファスナーのフック部が設けられ、帯状部16aのそれ以外の領域に、面ファスナーのループ部が設けられている。なお、
図1に示す巻き付けベルト16の構成は一例であり、その構成要素、構成材料、本数、袋状部12及び/又は筒状部14への取り付け位置及び取り付け方法、並びに、上記の面ファスナーに相当する結合手段には、任意のものが採用できる。
【0027】
上記のような構成の巻き付けベルト16は、犬用靴10が犬の足70に装着される際に、
図2(b)に示すように用いられる。すなわち、まず、袋状部12及び/又は筒状部14の前方側(図中左側)に帯状部16aが巻き付けられ、帯状部16aの端部16c(
図1参照)がバックル部16bに通された後に、バックル部16bを基点として帯状部16aが折り返される。そのような状態から、帯状部16aは、袋状部12及び/又は筒状部14の前方側に再度巻き付けられることで、バックル部16bに通される前の領域と、バックル部16bに通された後の領域とが、重なる態様になる。その後、犬の足70への締め付け度合いの調整のために、帯状部16aの端部16cが引っ張られ、生地状部材に縫い付けられた帯状部16aの一部領域に端部16cが達するように、帯状部16aが巻き付けられる。すると、帯状部16aの端部16c近傍の領域には、面ファスナーのループ部が設けられ、生地状部材に縫い付けられた帯状部16aの一部領域には、面ファスナーのフック部が設けられていることから、ループ部とフック部とが結合され、巻き付けベルト16により、犬用靴10が犬の足70に固定されることとなる。
【0028】
2本の連結部材30A、30Bの各々は、例えば、ゴムや合成樹脂等が利用された弾性を有する各種の材料で構成され、本実施形態では帯状を成している。これら2本の連結部材30A、30Bは、袋状部12の、犬の足70のつま先72近傍に装着される先側装着部位12aと、筒状部14の、犬の足70の中手部又は中足部76に装着される上側装着部位14aとを連結するものである。本実施形態では、上側装着部位14aが、筒状部14の、犬の足70の中手部又は中足部76の前側部分に装着される部位に相当する。このような連結を行うために、2本の連結部材30A、30Bの各々は、先側装着部位12aへ取り付けられる第1取付部32と、上側装着部位14aへ取り付けられる第2取付部34とを有している。そして、2本の連結部材30A、30Bは、第1取付部32が、本実施形態では犬用靴10の幅方向(
図1における左上〜右下の方向)に互いに離れた状態で、犬用靴10の幅方向の中心を挟んだ両側において、先側装着部位12aへ取り付けられるようになっている。詳しくは後述するが、
図1の例における連結部材30A、30Bの第1取付部32は、調整機構60の実現を兼ねて、犬用靴10の幅方向に離間した状態で先側装着部位12aに固定された2つの折り返し部材62を介して、先側装着部位12aに対して取り付けられる。
【0029】
一方、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34は、互いに接続された状態で、筒状部14の上側装着部位14aに対して着脱可能に取り付けられるようになっている。具体的に、
図1の例において、連結部材30A、30Bの第2取付部34は、連結部材30A、30Bを構成する材料に適合した縫製、接着、一体成形等の任意の接続方法によって、直接的に接続されている。そして、このように直接的に接続された状態で、本実施形態では面ファスナー38を介して、第2取付部34が上側装着部位14aに対して取り付けられる。
図1の例では、連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が接続された部分を覆うようにして、袋状又は筒状の第1部材42が取り付けられており、この第1部材42の上側装着部位14aと対向する面に、面ファスナー38のフック部38aが設けられている。又、筒状部14の上側装着部位14aを含む領域に、
図1にはその境界を意図的に図示していないが、面ファスナー38のループ部38bが設けられており、このループ部38bが設けられた領域内の任意の位置に、第2取付部34に設けられたフック部38aが接合される。すなわち、面ファスナー38のループ部38bは、フック部38aの形成領域と比べて、より広い範囲にわたって形成されている。2本の連結部材30A、30Bは、上記のような第1取付部32及び第2取付部34の構成により、
図1で確認できるように、第1取付部32側が二股に分かれたV字状を成している。
【0030】
更に、
図1の実施例では、連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が接続された部分、及び/又は、その接続部分に取り付けられた第1部材42に、第2部材44が取り付けられており、この第2部材44がベルト状の巻き付け部48を構成している。ベルト状の巻き付け部48は、筒状部14の前側から巻き付けられるように、その長手方向の略中央部分が、第2取付部34同士が接続された部分や第1部材42に対して接続され、その長手方向両端の筒状部14と対向する面に、面ファスナー38のフック部38aが設けられている。すなわち、
図1の例における面ファスナー38は、巻き付け部48にも設けられており、巻き付け部48に設けられたフック部38aと対向する筒状部14の領域にも、面ファスナー38のループ部38bが設けられている。なお、巻き付け部48の長さは任意であり、
図1の例では筒状部14の前側部分に半周程度巻き付けられる長さを有しているが、これより短くても長くてもよい。筒状部14の周りに一周以上巻き付けられるような長さの場合は、巻き付け部48自体に設けられた面ファスナー等の結合手段を介して、巻き付け状態が維持されるような構成であってもよい。
【0031】
又、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が接続された部分の近傍であって、
図1の例では巻き付け部48の長手方向中央部分から図中上側に突出するようにして、引っ張り具50が設けられている。引っ張り具50は、連結部材30A、30Bの第2取付部34が筒状部14の上側装着部位14aへ取り付けられる際に、筒状部14に沿って図中上方向へと人の指により引っ張られるものであり、
図1の例では、人の指により挟持される円板部50aを有する構造となっている。このような引っ張り具50は、引っ張られる際の引張力や摩擦力等に十分対応できる適切な材料、例えば、各種の合成樹脂、布材料、金属等で形成することができる。
【0032】
ここで、上述した調整機構60は、2本の連結部材30A、30Bの各々の、第1取付部32から第2取付部34までの長さを調整するためのものであり、上述したように袋状部12の先側装着部位12aに固定された、本実施例では金属製の2つの折り返し部材62を含んでいる。折り返し部材62の各々は、本実施例では略矩形の環状部分62aを有しており、この環状部分62aに、連結部材30の端部31が通されて折り返されるようになっている。なお、
図1には、環状部分62aに連結部材30が通されているが、折り返される前の状態が図示されている。一方、帯状の連結部材30A、30Bの各々には、
図1に図示されている面の中間部に、面ファスナー66のフック部66aが設けられていると共に、
図1に図示されている面の、少なくとも、フック部66aが設けられた位置よりも端部31側の略全領域に、面ファスナー66のループ部66bが設けられている。
【0033】
上記のような構成の連結部材30A、30Bの各々は、犬用靴10が犬の足70に装着される際に、第1取付部32側の端部31が、図中左下方向へ向けて折り返し部材62の環状部分62aに通された後に、図中右上方向へ向けて折り返される。すると、連結部材30A、30Bの各々は、折り返し部材62に通される前の領域と、折り返し部材62に通された後の領域とが、重なる態様になる。その後、連結部材30A、30Bの各々の長さ調整のために、第1取付部32側の端部31が引っ張られ、この際、少なくとも端部31がフック部66aよりも第2取付部34側(図中右上側)に位置するように引っ張られる。すると、面ファスナー66のフック部66aとループ部66bとが対向する態様になるため、それらが接合されることで、連結部材30A、30Bの各々の長さが定められる。すなわち、
図1の例における調整機構60は、2つの折り返し部材62の各々を介して折り返される連結部材30の位置が調整されることで、連結部材30の各々の長さを調整するものである。このようにして、連結部材30A、30Bの第1取付部32の各々が、袋状部12の先側装着部位12aに対して取り付けられる。
【0034】
他方、犬用靴10が犬の足70に装着される際に、連結部材30A、30Bの第2取付部34は、第1取付部32が上述したように先側装着部位12aへ取り付けられた後に、以下のようにして上側装着部位14aに対して取り付けられる。すなわち、連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が接続された部分の近傍に設けられた引っ張り具50が、人の指により引っ張られることで、連結部材30A、30Bの弾性力が許容する伸縮範囲において、連結部材30A、30Bによる引張力(付勢力)が調整される。そして、引張力が調整された状態で、本実施例では、第1部材42及び第2部材44(巻き付け部48)の双方に設けられた面ファスナー38のフック部38aと、筒状部14に設けられた面ファスナー38のループ部38bとが接合されることで、連結部材30A、30Bの第2取付部34の取り付け位置が定められる。このとき、ベルト状の巻き付け部48は、筒状部14の上から犬の足70に巻き付けられる。このようにして、連結部材30A、30Bの第2取付部34の各々が、袋状部14の上側装着部位14aに対して取り付けられる。
【0035】
2本の連結部材30(30A、30B)は、上記のように犬用靴10が犬の足70に装着されると、
図2(b)に示されているような状態になる。すなわち、弾性を有する連結部材30の各々は、2本の巻き付けベルト16よりも前方側(図中左側)において、袋状部12の先側装着部位12aと、筒状部14の上側装着部位14aとを接近させるように、それらの間を連結して付勢している。
図2(b)の実施例では、装着する犬の足70の大きさに合わせて、各連結部材30の第1取付部32と第2取付部34との間の長さが調整されている。その結果、連結部材30の端部31が、連結部材30に設けられたフック部66aよりも図中右上側に位置すると共に、連結部材30の第2取付部34側に設けられた引っ張り具50が、筒状部14の上端よりも上方へ突出している。なお、
図2(b)の状態では、連結部材30の第2取付部34に取り付けられた第1部材42の一部が、巻き付けベルト16の帯状部16aの上に位置している。このような状態に対応するために、巻き付けベルト16の帯状部16aの少なくとも一部領域にも、第1部材42に設けられた面ファスナー38のフック部38aと接合する、面ファスナー38のループ部38bが設けられていてもよい。
【0036】
又、犬用靴10は、
図2(b)に示される状態から、筒状部14の上側装着部位14a近傍に設けられた面ファスナー38の接合が解除されると、袋状部12の先側装着部位12aと筒状部14の上側装着部位14aとを接近させるように作用する付勢力が解除される。この状態では、袋状部12と筒状部14とが直列に配置されるように変形可能になるため、犬用靴10を犬の足70から脱がせ易くなる。又、面ファスナー38の接合位置(第2取付部34の取り付け位置)を再度調整して、連結部材30による引張力(付勢力)の再調整を行ってもよい。更に、犬用靴10は、
図2(b)に示される状態から、2本の連結部材30に設けられた面ファスナー66の接合が解除されてもよく、これによっても、先側装着部位12aと上側装着部位14aとを接近させるように作用する付勢力が解除される。このため、袋状部12と筒状部14とが直列に配置されるように変形可能になり、犬用靴10を犬の足70から脱がせ易くなる。又、面ファスナー66の接合位置(連結部材30の折り返し位置)を再度調整して、連結部材30の長さの再調整を行うこととしてもよい。
【0037】
次に、
図3〜
図12には、本発明の実施の形態に係る犬用靴10に適用し得る、様々な変形例を示しており、
図3〜
図7には、2本の連結部材30(30A、30B)の第2取付部34の変形例を示している。なお、
図3〜
図7には、平面視での第2取付部34を示している。このため、
図3〜
図7において図示されている、連結部材30の第2取付部34を筒状部14の上側装着部位14aへ取り付けるための、面ファスナー38のフック部38aは、何れも図示されている面とは反対の面(犬用靴10の筒状部14と対向する面)に設けられたものである。
【0038】
まず、
図3(a)〜(d)に示されている変形例は、何れも、
図1及び
図2(b)に示した例と同様に、2本の連結部材30A、30BがV字状を成すように、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が直接的に接続されたものである。その中で、
図3(a)、(b)の例は、第2取付部34同士の接続部分が図中上方に尖った形状を成しており、又、面ファスナー38のフック部38aが、第2取付部34同士の接続部分に直接設けられている。更に、
図3(a)の例は、面ファスナー38のフック部38aが平面視矩形を成し、
図3(b)の例は、面ファスナー38のフック部38aが平面視三角形を成している。
図3(c)の例は、第2取付部34同士の接続部分が平面視矩形を成しており、又、同じく平面視矩形を成す面ファスナー38のフック部38aが、第2取付部34同士の接続部分に直接設けられている。
図3(d)の例は、第2取付部34同士の接続部分に、平面視矩形を成す第1部材42が取り付けられており、この第1部材42に対して、平面視矩形を成す面ファスナー38のフック部38aが設けられている。
【0039】
続いて、
図4(a)〜(c)に示されている変形例は、何れも、
図3の例と同様に、2本の連結部材30A、30BがV字状を成すように、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が直接的に接続されている。そのうち、
図4(a)の例は、第2取付部34同士の接続部分に第1部材42が取り付けられており、この第1部材42が、
図1に示した例では第2部材44に相当するベルト状の巻き付け部48を構成しているものである。そして、この巻き付け部48には、その長手方向(図中左右方向)の中央部分と両端とに、何れも平面視矩形を成す面ファスナー38のフック部38aが設けられている。
図4(b)の例は、第2取付部34同士の接続部分に、平面視矩形を成す第1部材42が取り付けられており、更に第1部材42の図中上側に、平面視矩形を成す第2部材44が取り付けられている。そして、面ファスナー38のフック部38aが、第2部材44に設けられている。
【0040】
又、
図4(c)の例は、第2取付部34同士の接続部分に、平面視矩形を成す第1部材42が取り付けられているが、
図4(b)の例と異なり、第1部材42の図中下端からではなく、第1部材42の図中左端の下方及び図中右端の下方から、連結部材30A、30Bが延びている。更に、第1部材42の図中左端の上方から左側へ延び、かつ、図中右端の上方から右側へ延びる態様で、ベルト状の巻き付け部48を成す第2部材44が取り付けられている。面ファスナー38のフック部38aは、巻き付け部48の長手方向の中央部分に位置する第1部材42の上側と、巻き付け部48の長手方向両端とに設けられている。
【0041】
次に、
図5(a)〜(c)に示されている変形例は、何れも、
図3及び
図4の例と同様に、2本の連結部材30A、30BがV字状を成すように、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が直接的に接続されている。そのうち、
図5(a)の例は、
図3(b)の例と同様に、第2取付部34同士の接続部分が図中上方に尖った形状を成しており、又、平面視三角形を成す面ファスナー38のフック部38aが、第2取付部34同士の接続部分に直接設けられている。更に、
図5(a)の例は、第2取付部34同士の接続部分の図中上端に、その尖った部位を食い込ませるようにして、ベルト状の巻き付け部48を成す第1部材42が取り付けられている。更に、面ファスナー38のフック部38aが、巻き付け部48の長手方向(図中左右方向)の中央部分と両端とにも設けられており、中央部分に設けられているフック部38aには、第2取付部34同士の接続部分の尖った部位を避けるようにして切欠きが形成されている。
【0042】
図5(b)の例は、第2取付部34同士の接続部分が平面視矩形を成し、この接続部分の図中上端に、ベルト状の巻き付け部48を成す第1部材42が取り付けられている。そして、面ファスナー38のフック部38aが、第2取付部34同士の接続部分と巻き付け部48とを跨ぐようにして設けられていると共に、巻き付け部48の長手方向の両端にも設けられている。
図5(c)の例は、第2取付部34同士の接続部分に、平面視矩形を成す第1部材42が取り付けられており、更に第1部材42に対して、平面視矩形を成す第2部材44が取り付けられている。そして、面ファスナー38のフック部38aが、第1部材42と第2部材44との双方に別個に設けられているものである。
【0043】
続いて、
図6及び
図7には、
図3〜
図5の例と異なり、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が直接的に接続されたものではなく、接続部材40を介して間接的に接続された変形例を示している。このような接続部材40は、連結部材30A、30Bの第2取付部34を、
図6及び
図7における紙面と直交する方向に沿った両側から挟み込んで接続するものであってもよく、そのうちの一方の側において接続するものであってもよい。まず、
図6(a)〜(c)の例は、何れも、2本の連結部材30A、30Bが、第1取付部32(
図1参照)から第2取付部34にかけて、平行ないし略平行に延在するように、連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が、本実施形態では犬用靴10の幅方向(
図6における左右方向)に離間した状態で、犬用靴10の幅方向に延在する接続部材40を介して接続されている。
【0044】
更に、
図6(a)の例は、接続部材40の、犬用靴10の筒状部14と対向する面の大部分に、面ファスナー38のフック部38aが設けられている。
図6(b)の例は、接続部材40が、ベルト状の巻き付け部48を構成しており、その長手方向(図中左右方向)の中央部分を含む、2つの第2取付部34間の領域と、長手方向の両端とに、面ファスナー38のフック部38aが設けられている。
図6(c)の例は、接続部材40の長手方向中央部分の図中上端に、平面視矩形を成す第3部材46が取り付けられ、そこに同じく平面視矩形を成す面ファスナー38のフック部38aが設けられている。
【0045】
図7(a)、(b)の例は、
図6の例と同様に、2本の連結部材30A、30Bが、平行ないし略平行に延在するように、連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が犬用靴10の幅方向に離間した状態で、図中左右方向に延在する接続部材40を介して接続されている。又、
図7(a)の例は、接続部材40の図中上端に、ベルト状の巻き付け部48を構成する第3部材46が取り付けられている。そして、巻き付け部48の、長手方向の中央部分を含む、接続部材40の図中左右方向の長さと同等の長さを有する領域と、長手方向の両端とに、面ファスナー38のフック部38aが設けられている。更に、巻き付け部48の長手方向中央部分の図中上方に、
図1の例と同様の引っ張り具50が設けられている。
図7(b)の例は、
図7(a)の例と同様に、接続部材40の図中上端に、ベルト状の巻き付け部48を構成する第3部材46が取り付けられている。そして、面ファスナー38のフック部38aが、接続部材40の長手方向中央部分を挟んだ2箇所の領域と、巻き付け部48の長手方向中央部分を挟んだ2箇所の領域及び長手方向両端の領域とに設けられている。なお、
図7(b)に図示された連結部材30A、30B及び引っ張り具50の構成については後述する。
【0046】
一方、
図7(c)の例は、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が、接続部材40を介して間接的に接続されているものの、
図6及び
図7(a)、(b)の例とは異なるが
図3〜
図5の例と同様に、2本の連結部材30A、30BがV字状を成すようになっている。具体的には、接続部材40に固定された2つの折り返し部材62を介して、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が接続されている。接続部材40は、平面視T字状を成しており、その図中下端に2つの折り返し部材62が固定されると共に、T字状の横棒に相当する部位がベルト状の巻き付け部48を構成している。そして、接続部材40の、T字状の縦棒に相当する領域と、巻き付け部48の長手方向両端とに、面ファスナー38のフック部38aが設けられている。更に、巻き付け部48の長手方向中央部分の図中上方に、
図1の例と同様の引っ張り具50が設けられている。なお、
図7(c)に図示された連結部材30A、30Bの構成については後述する。
【0047】
図3〜
図7の例において示したように、本発明の実施の形態に係る犬用靴10の、2本の連結部材30(30A、30B)の第2取付部34は、様々な構成を取り得るものであり、互いに接続された状態で、着脱可能に筒状部14の上側装着部位14aに対して取り付けられるものであれば、
図1〜
図7に示した構成以外のものであってもよい。例えば、接続部材40、第1部材42、第2部材44、第3部材46及び巻き付け部48等に相当する、第2取付部34同士が接続された部分に取り付けられる部材の数、形状、大きさ等は任意であり、それらの部材を形成する材料も、布、樹脂、ゴム、金属(アルミ等の縫製可能な薄いもの)等から、任意のものが使用できる。又、連結部材30と上記の各部材との間、及び、上記の各部材間の取り付け方法には、各部材を形成する材料に応じた、縫製や接着等を含む適切な方法を利用できる。
【0048】
更に、第2取付部34の上側装着部位14aに対する着脱可能な取り付け方法は、面ファスナー38を利用した方法に限定されず、別の方法であってもよい。又、面ファスナー38を利用する場合でも、そのフック部38aやループ部38bの形成位置(形成対象部材)、形状、大きさ等は任意である。加えて、第2取付部34が取り付けられる上側装着部位14aは、筒状部14の、犬の足70の中手部又は中足部76の前側部分に装着される部位に限定されるものではなく、中手部又は中足部76の側方部分や、中手部又は中足部76の後側部分に装着される部位であってもよい。又、2本の連結部材30の第1取付部32は、袋状部12の先側装着部位12aに対して取り付けられていれば、互いに離れている方向が、犬用靴10の幅方向に限定されるものではなく、別の方向であってもよい。第2取付部34同士が接続部材40を介して接続される場合の、第2取付部34同士が離間する方向も、これと同様である。
【0049】
次に、
図8には、引っ張り具50の変形例を示している。
図8(a)の例は、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が直接的に接続されており、その接続された部分の尖った頂点に引っ張り具50が取り付けられている。又、この引っ張り具50は、人の指を通して引っ張るための、リング状の円環部50bを備えている。一方、
図8(b)の例は、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が、接続部材40を介して間接的に接続されており、接続部材40の長手方向中央部分に引っ張り具50が取り付けられている。更に、この引っ張り具50は、人の指により把持されるようなリボン状を成している。他方、上述した
図7(b)の例では、先端が僅かに二股に裂けた棒状を成す引っ張り具50が、面ファスナー88を介して着脱可能に、接続部材40及び巻き付け部48の双方に対して取り付けられている。このように、引っ張り具50は、その形状や構成が任意であり、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が接続された部分の近傍であれば、取り付け先の部材や位置も任意である。更に、引っ張り具50と取り付け先の部材との間の取り付け方法は、引っ張り具50や取り付け先の部材を形成する材料に応じた適切な方法を採用できる。
【0050】
続いて、
図9及び
図10には、犬用靴10のつま先側を図中上側とした概略的な平面図により、連結部材30の長さを調整するための調整機構60の様々な例を示している。
図9には、2本の連結部材30A、30BがV字状を成すものを示し、
図10には、2本の連結部材30A、30Bが平行ないし略平行に延在するものを示している。まず、
図9(a)の例は、
図1の例と同様に、袋状部12の先側装着部位12aに2つの折り返し部材62が固定されており、これらの折り返し部材62を通して折り返される連結部材30A、30Bの位置が調整されることで、連結部材30A、30Bの長さが調整されるものである。連結部材30A、30Bの第2取付部34は直接的に接続されており、その接続された部分に第1部材42が取り付けられている。
【0051】
図9(b)の例は、連結部材30A、30Bの第1取付部32の各々が、袋状部12の先側装着部位12aに対して、縫製等により固定されている。帯状の連結部材30A、30Bの各々には、第1取付部32側において露出している面の中間部に、面ファスナー66のフック部66aが設けられていると共に、それと同様の面の、少なくとも、フック部66aが設けられた位置よりも端部33側の略全領域に、面ファスナー66のループ部66bが設けられている。そして、接続部材40に固定された2つの折り返し部材62に、連結部材30A、30Bの端部33側が通されて折り返された後、面ファスナー66のフック部66aとループ部66bとが接合されている。すなわち、2本の連結部材30A、30Bは、第2取付部34同士が接続部材40を介して間接的に接続されていると共に、接続部材40に固定された折り返し部材62を介して折り返される位置が調整されることで、長さが調整されるようになっている。なお、
図7(c)に示した2本の連結部材30A、30Bの構成は、
図9(b)の例と同様になっている。又、袋状部12の先側装着部位12aに対する、連結部材30A、30Bの第1取付部32の固定方法は、縫製に限定されることなく、接着や別の方法であってもよい。
【0052】
図10(a)の例は、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が、図中左右方向に延在する接続部材40を介して間接的に接続されて、連結部材30A、30Bが略平行に延在している点を除き、
図9(a)の例と同様の構成のものである。
図10(b)の例は、2つの折り返し部材62が、図中左右方向に延在する接続部材40の両端近傍に固定され、連結部材30A、30Bが略平行に延在している点を除き、
図9(b)の例と同様の構成のものである。
【0053】
図10(c)の例は、2本の連結部材30A、30Bの各々が、第1連結部材80と第2連結部材82とで構成されている。第1連結部材80の各々は、連結部材30の第1取付部32に相当する一端側が、袋状部12の先側装着部位12aへ固定されると共に、他端側が、折り返し部材62に図中下方へ向けて通されて図中上方へ向けて折り返された後、第1連結部材80の一方の面に設けられた面ファスナー66のフック部66a及びループ部66bにより接合されている。第2連結部材82の各々は、連結部材30の第2取付部34に相当する一端側が、接続部材40を介して間接的に接続されると共に、他端側が、図中下方から折り返し部材62に対して固定されている。すなわち、
図10(c)の例では、連結部材30A、30Bを構成する第1連結部材80の各々の、折り返し部材62を介して折り返される位置が調整されて、各第1連結部材80の長さが調整されることで、連結部材30A、30Bの長さが調整されるようになっている。なお、第1連結部材80と共に連結部材30A、30Bを構成する第2連結部材82の長さは、その弾性力により伸縮する範囲を除いて固定である。
【0054】
図10(d)の例は、
図10(c)の例と同様に、2本の連結部材30A、30Bの各々が、第1連結部材80と第2連結部材82とで構成されている。第1連結部材80の各々は、連結部材30の第1取付部32に相当する一端側が、袋状部12の先側装着部位12aへ固定されると共に、他端側が、図中上方から折り返し部材62に対して固定されている。第2連結部材82の各々は、連結部材30の第2取付部34に相当する一端側が、接続部材40を介して間接的に接続されると共に、他端側が、折り返し部材62に図中上方へ向けて通されて図中下方へ向けて折り返された後、第2連結部材82の一方の面に設けられた面ファスナー66のフック部66a及びループ部66bにより接合されている。すなわち、
図10(d)の例では、連結部材30A、30Bを構成する第2連結部材82の各々の、折り返し部材62を介して折り返される位置が調整されて、各第2連結部材82の長さが調整されることで、連結部材30A、30Bの長さが調整されるようになっている。なお、第2連結部材82と共に連結部材30A、30Bを構成する第1連結部材80の長さは、その弾性力により伸縮する範囲を除いて固定である。
【0055】
上記の
図10(c)、(d)の例のように、連結部材30A、30Bの各々が第1連結部材80と第2連結部材82とで構成され、第1連結部材80と第2連結部材82との間に折り返し部材62が用いられる構成は、
図9に示したような、2本の連結部材30A、30BがV字状を成す形態にも適用できる。なお、
図1、
図9及び
図10の例では、何れも、折り返し部材62を通して折り返された後の連結部材30が、面ファスナー66により結合されることで、連結部材30の長さが定められているが、折り返し部材62を通った後の連結部材30を結合する方法は、面ファスナー66に限定されずに別の方法であってもよい。
【0056】
ここで、上述した各例において利用されている折り返し部材62は、
図11(a)に示すように、1つの環状部分62aを有し、平面視矩形を成していることで、実質的に2本の棒状部63a、63bを有している。一方の棒状部63aは、
図12(a)に示すように、環状部分62aに通された連結部材30を折り返すために使用され、他方の棒状部63bは、折り返し部材62の固定等のために使用される。しかしながら、折り返し部材62の構成はこれに限定されず、例えば、
図11(b)に示すような構成であってもよい。
図11(b)に示す折り返し部材62´は、2つの環状部分62a、62bを有し、平面視矩形を成していることで、実質的に3本の棒状部63a、63b、63cを有している。
【0057】
この折り返し部材62´は、
図12(b)に示すように、環状部分62bに通された連結部材30を折り返すために、1本の棒状部63bが使用され、更に、折り返された後の連結部材30が環状部分62aに通されて、連結部材30の折り返される前の部位と折り返された後の部位とを密着させるために、1本の棒状部63aが使用される。残り1本の棒状部63cは、折り返し部材62の固定等のために使用される。又、折り返し部材62は、3つ以上の環状部分を有するものであってもよい。なお、折り返し部材62を形成する材料は、金属に限定されるものではなく、連結部材30の引張力等に十分耐え得るものであれば、樹脂等の別の材料で形成されていてもよい。
【0058】
又、
図1、
図9及び
図10に示されている調整機構60は、何れも2つの折り返し部材62を含むものであるが、連結部材30A、30Bの長さが調整できるものであれば、調整機構60の構成はこれに限定されるものではない。例えば、上述した
図7(b)の例は、連結部材30A、30Bの各々が第1連結部材80と第2連結部材82とで構成され、第1連結部材80と第2連結部材82との間が面ファスナー66により結合されると共に、第2連結部材82と接続部材40との間が面ファスナー86により結合されている。すなわち、
図7(b)の例では、面ファスナー66を介して第1連結部材80と第2連結部材82とを結合する位置が調整されることで、連結部材30A、30Bの長さが調整されるようになっており、又、接続部材40に対して第2連結部材82が着脱可能に取り付けられている。更に、調整機構60は、その構成が2本の連結部材30A、30Bの間で互いに異なっていてもよい。
【0059】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る犬用靴10は、
図1及び
図2に示されているように、袋状部12、筒状部14、及び、2本の連結部材30(30A、30B)を含むものであり、靴10の本体部分は、袋状部12と筒状部14とで構成される。袋状部12は、犬の足70のつま先72から、前足の場合は指節部74まで、後足の場合は趾節部74までを覆う部材であり、筒状部14は、袋状部12から連続して形成され、少なくとも犬の足70の、前足の場合は中手部76の一部まで、後足の場合は中足部76の一部までを覆う部材である。2本の連結部材30A、30Bの各々は、弾性を有しており、袋状部12の、犬の足70のつま先72近傍に装着される先側装着部位12aと、筒状部14の、犬の足70の中手部76(前足の場合)或いは中足部76(後足の場合)の前側部分に装着される上側装着部位14aとを連結して、接近させるように付勢するものである。
【0060】
又、2本の連結部材30A、30Bは、袋状部12の先側装着部位12aへ取り付けられる第1取付部32が、犬用靴10の幅方向に互いに離れて取り付けられる。すなわち、2本の連結部材30A、30Bのうち、一方の連結部材30Aの第1取付部32と、他方の連結部材30Bの第1取付部32とが、袋状部12の、犬の足70のつま先72近傍に装着される先側装着部位12aの、犬用靴10の幅方向に互いに離れた位置に取り付けられる(
図9及び
図10参照)。更に、2本の連結部材30A、30Bは、筒状部14の上側装着部位14aへ取り付けられる第2取付部34が、直接的に或いは接続部材40を介して間接的に互いに接続された状態で、着脱可能に上側装着部位14aに対して取り付けられる。すなわち、2本の連結部材30A、30Bのうち、一方の連結部材30Aの第2取付部34と、他方の連結部材30Bの第2取付部34とが、そのまま直接的に(
図3〜
図5参照)、或いは、接続部材40を介して間接的に(
図6及び
図7参照)、互いに接続されている。加えて、このように接続された状態の、2本の連結部材30A、30Bの2つの第2取付部34が、筒状部14の、犬の足70の中手部又は中足部76の前側部分に装着される上側装着部位14aに対して、着脱可能に取り付けられるものである。
【0061】
上記のような構成を有する本発明の実施の形態に係る犬用靴10は、犬の足70へ装着される際、第1取付部32が先側装着部位12aへ取り付けられた状態の、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部側34が、人の手により引っ張られることで、2本の連結部材30A、30Bによる引っ張り力が調整された後、上側装着部位14aに対して取り付けられる。この際、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34は、直接的或いは間接的に接続されていることから、人の手によって同時にバランス良く引っ張ることができる。これにより、2本の連結部材30A、30Bによるつま先側の引っ張り力を、容易にバランス良く調整することができる。しかも、
図13(a)に示すように、2本の連結部材30A、30Bの第1取付部32が、犬用靴10の幅方向の中心を挟んで互いに離れて取り付けられているため、図中白抜き矢印で図示するように犬用靴10内に収まる犬の足70のつま先72側を、離間した2つの第1取付部32を介して、図中黒矢印で図示するように安定して引っ張ることが可能となる。
【0062】
従って、本発明の実施の形態に係る犬用靴10を装着した犬は、2本の連結部材30A、30Bによる上記のような引っ張り力に逆らって、つま先72を下側や後側に向けることが抑制されるため、ナックリングを効果的に予防及び抑制することができる。又、2本の連結部材30A、30Bが弾性を有することで、犬の足70のつま先72と中手部又は中足部76の前側部分とが接近するように付勢しながらも、犬の足70のつま先72と中手部又は中足部76の前側部分とが離間する方向への、連結部材30の弾性力に応じた引張を許容することができる。これにより、歩行中の犬の足70の動きへ追従する際の変形を、連結部材30が伸縮する範囲で許容することができるため、歩行中の犬にストレスを感じさせることなく、犬の足70のナックリングを予防及び抑制することが可能となる。更に、犬用靴10を脱がせる際には、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34が、人の手によって筒状部14の上側装着部位14aから取り外されることにより、脱がせる作業を円滑に行うことができる。
【0063】
又、本発明の実施の形態に係る犬用靴10は、
図1、
図3〜
図5、
図9(a)に示すように、2本の連結部材30A、30BがV字状を成す態様で、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が直接的に接続されているものである。すなわち、犬用靴10の幅方向に離れて取り付けられる第1取付部32がV字状の二股側を成し、直接的に接続される第2取付部34がV字状の尖った先端側を成すものである。このような構成により、2本の連結部材30A、30Bによる引っ張り力を調整する際の、人の手による引っ張り方向が1方向に合成されるため、引っ張り力の調整をより容易にすることができる。
【0064】
一方、本発明の実施の形態に係る犬用靴10は、
図6、
図7(a)、(b)、
図10に示すように、2本の連結部材30A、30Bが平行ないし略平行に延在するように、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が、接続部材40を介して間接的に接続されていてもよい。すなわち、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34が、犬用靴10の幅方向に離れた状態で、接続部材40を介して間接的に接続されており、第1取付部32同士の間の距離と第2取付部34同士の間の距離とが、略等しくなっている。このような構成により、引っ張り力の調整時に2本の連結部材30A、30Bを同時に引っ張りながらも、2本の連結部材30A、30B間のバランスの微調整、換言すれば、各連結部材30A、30Bの個別の引っ張り力の微調整を行うことが可能となる。
【0065】
更に、本発明の実施の形態に係る犬用靴10は、
図1〜
図10に示すように、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34の、筒状部14の上側装着部位14aに対する着脱可能な取り付けが、面ファスナー38によって実現されるものである。これにより、例えば、面ファスナー38のフック部38aを、連結部材30の第2取付部34に必要十分な大きさで設け、面ファスナー38のループ部38bを、筒状部14の上側装着部位14aを含む広めの範囲に設ける、といった工夫をすることができる。この場合は、
図13(b)に示すように、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34の、上側装着部位14aに対する取り付け位置や取り付け角度等の自由度が上がるため、内側寄りや外側寄りといった犬毎に異なるナックリングの癖に合わせて、2本の連結部材30A、30Bの各々による引っ張り力の、大きさや方向の微調整を容易に行うことが可能となる。
【0066】
又、本発明の実施の形態に係る犬用靴10は、
図1、
図4(a)、(c)、
図5(a)、(b)、
図6(b)、
図7に示すように、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が接続された部分に、ベルト状の巻き付け部48が設けられてもよく、この巻き付け部48は、犬用靴10の着用時に犬の足70に巻き付けられて使用される。すなわち、直接的或いは間接的に接続された状態の、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34が、上側装着部位14aに対して取り付けられる際に、それらの接続部分に設けられた巻き付け部48が、上側装着部位14を挟み込んで犬の足70に巻き付けられ、巻き付け部48の両端が例えば面ファスナー等で固定されるものである。これにより、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34を、上側装着部位14aに対してより強固に取り付けることができる。
【0067】
又、本発明の実施の形態に係る犬用靴10は、
図1、
図7、
図8に示すように、2本の連結部材30A、30Bの第2取付部34同士が接続された部分の近傍に、人の指により引っ張るための引っ張り具50を具備するものである。これにより、2本の連結部材30A、30Bによる引っ張り力の調整時に、人の指によって引っ張り具50を介して2本の連結部材30A、30Bを引っ張ることで、引っ張り力の調整をより容易に行うことができる。
【0068】
更に、本発明の実施の形態に係る犬用靴10は、
図1、
図2(b)、
図7(b)、
図9、
図10に示すように、2本の連結部材30A、30Bの各々の、第1取付部32から第2取付部34までの長さが、調整機構60により調整されることで、犬の足70の大きさや、犬の足70のつま先72と中手部又は中足部76の前側部分との間に作用させる所望の付勢力に合わせた、適切な長さに、連結部材30A、30Bの長さを調整することができる。これと併せて、第2取付部34の取り付け位置の調整による、連結部材30A、30Bの引っ張り力の調整を行うことにより、犬の足70の大きさ等に応じた適切な付勢力で付勢しながら、犬の足70のナックリングを予防及び抑制することが可能となる。なお、調整機構60による連結部材30A、30Bの長さ調整は、犬の足70の大きさに合わせて一度行ってしまえば、次からは第2取付部34の取り付け位置の調整のみで、付勢力の調整を行えばよい。
【0069】
しかも、本発明の実施の形態に係る犬用靴10は、
図1、
図2(b)、
図9、
図10に示すように、2本の連結部材30A、30Bの各々が帯状を成しており、これら帯状の連結部材30A、30Bの長さを調整する調整機構60が、連結部材30A、30Bが通されて折り返される環状部分62aを有する折り返し部材62を、連結部材30A、30B毎に(すなわち2つ)含むものである。そして、調整機構60は、折り返し部材62を介して折り返される連結部材30A、30Bの位置が調整されることで、各連結部材30A、30Bの第1取付部32から第2取付部34までの長さを調整するものである。
【0070】
このとき、連結部材30A、30Bの各々は、第1取付部32側(先側装着部位12a側)に設置された折り返し部材62により折り返されてもよく(
図1、
図2(b)、
図9(a)、
図10(a)参照)、第2取付部34側(上側装着部位14a側)に設置された折り返し部材62により折り返されてもよい(
図9(b)、
図10(b)参照)。或いは、第1取付部32と第2取付部34との間に設置された折り返し部材62により折り返されてもよく、この場合は、連結部材30A、30Bの各々が、第1取付部32側の第1連結部材80と、第2取付部34側の第2連結部材82との2つの部材により構成される(
図10(c)、(d)参照)。このように、本発明の実施の形態に係る犬用靴10は、折り返し部材62を利用して連結部材30A、30Bの長さ調整を効率よく実現しながら、犬の足70のナックリングを予防及び抑制することができる。
【0071】
又、本発明の実施の形態に係る犬用靴10は、
図1、
図2(b)、
図9(a)、
図10(a)に示すように、調整機構60の2つの折り返し部材62が、犬用靴70の幅方向に互いに離間した状態で、袋状部12の先側装着部位12aに固定されており、この折り返し部材62の各々を介して、各連結部材30A、30Bの第1取付部32が、先側装着部位12aに取り付けられるものである。すなわち、連結部材30A、30Bの各々は、その第1取付部32側の端部31が、先側装着部位12aに固定された折り返し部材62の環状部分62aに前方へ向かって通された後、後方へ向かって折り返され、連結部材30A、30Bの長さが調整された後、例えば面ファスナー66等の取付手段を介して固定される。このような構成により、連結手段30A、30Bの各々は、第1取付部32が、取付手段が解除されて折り返し部材62から引き抜かれることで、取り付け状態から解放され、更に、第2取付部34が、上側装着部位14aに対して着脱可能に取り付けられていることから、その全体が取り外し可能なものとなる。従って、2本の連結部材30A、30Bが必要に応じて犬用靴10の本体部分に対して着脱されることで、ナックリング対策が施された犬用靴10と通常の犬用靴10との双方に対応することができ、又、犬の足70へ履かせる作業や脱がせる作業を容易にすることができる。
【解決手段】犬用靴10は、袋状部12及び筒状部14と、袋状部12の先側装着部位12a及び筒状部14の上側装着部位14aの間を連結して接近方向に付勢する、弾性を備えた2本の連結部材30とを含む。2本の連結部材30は、先側装着部位12aへ取り付けられる第1取付部32が、互いに離れて取り付けられ、上側装着部位14aへ取り付けられる第2取付部34が、互いに接続された状態で、着脱可能に上側装着部位14aに対して取り付けられる。これにより、犬の足への装着時に、直接的或いは間接的に接続された2本の連結部材30の第2取付部34を、同時にバランス良く引っ張ることができ、連結部材30によるつま先側の引っ張り力を容易に調整することができる。