特許第6609726号(P6609726)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6609726セルロースアセテート粒子、化粧品組成物及びセルロースアセテート粒子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6609726
(24)【登録日】2019年11月1日
(45)【発行日】2019年11月20日
(54)【発明の名称】セルロースアセテート粒子、化粧品組成物及びセルロースアセテート粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20191111BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20191111BHJP
   C08B 3/06 20060101ALI20191111BHJP
【FI】
   C08J3/12 ZCEP
   A61K8/73
   C08B3/06
【請求項の数】23
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2019-538544(P2019-538544)
(86)(22)【出願日】2019年2月6日
(86)【国際出願番号】JP2019004230
【審査請求日】2019年7月17日
(31)【優先権主張番号】特願2018-20422(P2018-20422)
(32)【優先日】2018年2月7日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2018-99033(P2018-99033)
(32)【優先日】2018年5月23日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 慧子
(72)【発明者】
【氏名】大村 雅也
【審査官】 安積 高靖
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−269865(JP,A)
【文献】 特開2007−224259(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/135778(WO,A1)
【文献】 特開昭59−181205(JP,A)
【文献】 特開2001−137100(JP,A)
【文献】 米国特許第5047180(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00−3/28、99/00
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
C08B 1/00−37/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースアセテート粒子であって、
前記セルロースアセテート粒子は、平均粒子径が80nm以上100μm以下、及び真球度が0.7以上1.0以下、表面平滑度が80%以上100%以下であり、
前記セルロースアセテートのアセチル総置換度が0.7以上2.9以下である、セルロースアセテート粒子。
【請求項2】
前記セルロースアセテート粒子の粒子径変動係数が0%以上60%以下である、請求項1に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項3】
前記セルロースアセテート粒子の真球度が0.8以上1.0以下である、請求項1または2に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項4】
前記セルロースアセテート粒子の真球度が0.9以上1.0以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項5】
前記セルロースアセテート粒子の表面平滑度が85%以上100%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項6】
前記セルロースアセテート粒子の表面平滑度が90%以上100%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項7】
前記セルロースアセテート粒子の平均粒子径が100nm以上40μm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項8】
前記セルロースアセテート粒子の嵩比重が0.1以上0.9以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項9】
前記セルロースアセテート粒子の嵩比重が0.5以上0.9以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項10】
前記セルロースアセテートのアセチル総置換度が2.0以上2.6未満である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項11】
前記セルロースアセテート粒子が可塑剤を含有し、
前記可塑剤の含有量が、前記セルロースアセテート粒子の重量に対し、2重量%以上40重量%以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項12】
前記可塑剤が、クエン酸系可塑剤、グリセリンエステル系可塑剤、アジピン酸系可塑剤、及びフタル酸系可塑剤からなる群より選択される少なくとも1以上である、請求項11に記載のセルロースアセテート粒子。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子を含有する、化粧品組成物。
【請求項14】
アセチル総置換度が0.7以上2.9以下のセルロースアセテートと可塑剤とを混合して、前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートを得る工程、
前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートと水溶性高分子とを200℃以上280℃以下で混練して、前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートを分散質とする分散体を得る工程、及び
前記分散体から前記水溶性高分子を除去する工程を含む、セルロースアセテート粒子の製造方法。
【請求項15】
前記混合は、前記セルロースアセテートと前記可塑剤とを、20℃以上200℃未満の範囲で混合した後、溶融混練するものである、請求項14に記載のセルロースアセテート粒子の製造方法。
【請求項16】
前記可塑剤が、クエン酸系可塑剤、グリセリンエステル系可塑剤、アジピン酸系可塑剤、及びフタル酸系可塑剤からなる群より選択される少なくとも1以上である、請求項14または15に記載のセルロースアセテート粒子の製造方法。
【請求項17】
前記可塑剤が、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、トリアセチン、及びアジピン酸ジイソノニルからなる群より選択される少なくとも1以上である、請求項14または15に記載のセルロースアセテート粒子の製造方法。
【請求項18】
前記可塑剤が、クエン酸アセチルトリエチル、トリアセチン、ジアセチン、及びフタル酸ジエチルからなる群より選択される少なくとも1以上である、請求項14または15に記載のセルロースアセテート粒子の製造方法。
【請求項19】
前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールまたは熱可塑性デンプンである、請求項1418のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子の製造方法。
【請求項20】
前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートを得る工程における、前記可塑剤の配合量が、前記セルロースアセテート及び前記可塑剤の合計量100重量部に対し、0重量部を超え40重量部以下である、請求項14〜19のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子の製造方法。
【請求項21】
前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートを得る工程における、前記可塑剤の配合量が、前記セルロースアセテート及び前記可塑剤の合計量100重量部に対し、10重量部以上30重量部以下である、請求項14〜19のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子の製造方法。
【請求項22】
前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートを分散質とする分散体を得る工程における、前記水溶性高分子の配合量が、前記可塑剤が含浸したセルロースアセテート及び前記水溶性高分子の合計量100重量部に対し、55重量部以上99重量部以下である、請求項14〜21のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子の製造方法。
【請求項23】
前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートを分散質とする分散体を得る工程における、前記水溶性高分子の配合量が、前記可塑剤が含浸したセルロースアセテート及び前記水溶性高分子の合計量100重量部に対し、60重量部以上90重量部以下である、請求項14〜21のいずれか1項に記載のセルロースアセテート粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースアセテート粒子、化粧品組成物及びセルロースアセテート粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用途に応じた様々な高分子の微粒子が提案されてきた。例えば、化粧品に含有される微粒子としてもその目的は様々である。化粧品に微粒子を含有する目的は、化粧品ののびを向上する、触感に変化を与える、シワぼかし効果を付与する、またファンデーションなどの滑り性を向上すること等である。
【0003】
特に真球度が高い微粒子は、触感に優れ、また、その物性や形状によって光散乱(ソフトフォーカス)効果が得られる。そして、このような微粒子をファンデーションなどに用いた場合には、肌の凹凸を埋めて滑らかにし、光を様々な方向に散乱させることでしわなどを目立ちにくくする(ソフトフォーカス)効果が期待できる。
【0004】
このような化粧品の目的及び効果のため、化粧品に配合する微粒子は、粒度分布が狭く、真球度が高い微粒子であることが必要とされ、このような微粒子として、ナイロン12などのポリアミド、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、及びポリスチレン(PS)等の合成ポリマーからなる微粒子が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらの合成ポリマーからなる微粒子は、比重が1以下と軽く、粒子径もあまりに小さすぎることから、水に浮きやすく、排水処理施設では除去できない場合があり、そのまま川やさらに川を通して海に流れ込むことがある。このため海洋等がこれらの合成ポリマーからなる微粒子で汚染されるという問題がある。
【0006】
さらに、これらの合成ポリマーからなる微粒子は、環境中の微量の化学汚染物質を吸着する性質があるため、その化学汚染物質を吸着した微粒子をプランクトンや魚が飲み込むことで、人体へも悪影響を及ぼす可能性が生じる等、様々な影響を与えることが懸念されている。
【0007】
このような懸念から、多様な用途に用いられている合成ポリマーの微粒子を、生分解性のある粒子に代替しようとする試みがなされている。
【0008】
代表的な生分解性のある樹脂として、セルロースアセテートがある。セルロースアセテートは、食料や飼料と競合しない、木材や綿花等の天然素材から得ることができる点で優れる。このため、合成ポリマーの微粒子を、セルロースアセテートの微粒子に代替することができれば有益である。しかしながら、合成ポリマーの微粒子の製造方法を適用できるポリマーは限定され、セルロースアセテートの微粒子の製造に適用することは困難である。
【0009】
特許文献1には、多糖合成から多糖エステル生成物を形成する工程であって、前記多糖エステル生成物が多糖エステル及び溶媒を含む工程;前記多糖エステル生成物を希釈して、それによって多糖エステルドープをもたらす工程;及び前記多糖エステルドープから複数の多糖エステルミクロスフェアを形成する工程;を含む方法が記載され、多糖エステルミクロスフェアを含むことができる物品として化粧品組成物が挙げられている。
【0010】
特許文献2には、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した体積平均粒径D50が、72μm以上100μm以下であり、重合度が131以上350以下であり、置換度が2.1以上2.6以下である、セルロースアシレートについて記載され、また、その製造方法について、硫酸の存在下でセルロースをアシル化するアシル化工程と、極性溶媒中、酢酸の存在下で前記アシル化したセルロースを脱アシル化する脱アシル化工程と、を有するセルロースアシレートの製造方法であることが好ましいと記載されている。
【0011】
特許文献3には、熱可塑性樹脂などの樹脂成分(A)と、水溶性助剤成分(B)とを混練して分散体を調製し、この分散体から助剤成分(B)を溶出し、樹脂成分(A)で構成された成形体(例えば、多孔体、球状粒子)を製造すること、また、樹脂成分(A)として、セルロースアセテート等のセルロース誘導体が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表2016−500129号公報
【特許文献2】特許6187653号公報
【特許文献3】特開2004−051942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1の多糖エステルミクロスフェアは、粒子径が大きく、粒径分布もブロードな多孔質の粒子であり、化粧品等に配合する合成ポリマーの微粒子の代替としては十分ではない。また、特許文献2に記載される製造方法により得られるセルロースアシレートも不定形で多孔質の粒子である。さらに、特許文献3に記載される製造方法により得られる粒子状の成形体も、真球度が低く、略球状という程度の粒子である。
【0014】
本発明は、生分解性及び触感に優れた微粒子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第一は、セルロースアセテート粒子であって、前記セルロースアセテート粒子は、平均粒子径が80nm以上100μm以下、及び真球度が0.7以上1.0以下、表面平滑度が80%以上100%以下であり、前記セルロースアセテートのアセチル総置換度が0.7以上2.9以下である、セルロースアセテート粒子に関する。
【0016】
前記セルロースアセテート粒子において、前記セルロースアセテートのアセチル総置換度が2.0以上2.6未満であってよい。
【0017】
前記セルロースアセテート粒子が可塑剤を含有し、前記可塑剤の含有量が、前記セルロースアセテート粒子の重量に対し、2重量%以上40重量%以下であってよい。
【0018】
前記セルロースアセテート粒子において、前記可塑剤が、クエン酸系可塑剤、グリセリンエステル系可塑剤、アジピン酸系可塑剤、及びフタル酸系可塑剤からなる群より選択される少なくとも1以上であってよい。
【0019】
本発明の第二は、前記セルロースアセテート粒子を含有する、化粧品組成物に関する。
【0020】
本発明の第三は、アセチル総置換度が0.7以上2.9以下のセルロースアセテートと可塑剤とを混合して、前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートを得る工程、前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートと水溶性高分子とを200℃以上280℃以下で混練して、前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートを分散質とする分散体を得る工程、及び前記分散体から前記水溶性高分子を除去する工程を含む、セルロースアセテート粒子の製造方法に関する。
【0021】
前記セルロースアセテート粒子の製造方法において、前記混合は、前記セルロースアセテートと前記可塑剤とを、20℃以上200℃未満の範囲で混合した後、溶融混練するものであってよい。
【0022】
前記セルロースアセテート粒子の製造方法において、前記可塑剤が、クエン酸系可塑剤、グリセリンエステル系可塑剤、アジピン酸系可塑剤、及びフタル酸系可塑剤からなる群より選択される少なくとも1以上であってよい。
【0023】
前記セルロースアセテート粒子の製造方法において、可塑剤が、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、トリアセチン、及びアジピン酸ジイソノニルからなる群より選択される少なくとも1以上であってよい。
【0024】
前記セルロースアセテート粒子の製造方法において、前記可塑剤が、クエン酸アセチルトリエチル、トリアセチン、ジアセチン、及びフタル酸ジエチルからなる群より選択される少なくとも1以上であってよい。
【0025】
前記セルロースアセテート粒子の製造方法において、前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールまたは熱可塑性デンプンであってよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、生分解性及び触感に優れた微粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】表面平滑度(%)の評価方法を説明する図面である。
図2】表面平滑度(%)の評価方法を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[セルロースアセテート粒子]
本開示のセルロースアセテート粒子は、セルロースアセテート粒子であって、前記セルロースアセテート粒子は、平均粒子径が80nm以上100μm以下、及び真球度が0.7以上1.0以下、表面平滑度が80%以上100%以下であり、前記セルロースアセテートのアセチル総置換度が0.7以上2.9以下である。
【0029】
本開示のセルロースアセテート粒子の平均粒子径は、80nm以上100μm以下であるところ、その平均粒子径は、100nm以上であってよく、1μm以上であってよく、2μm以上であってよく、4μm以上であってよい。また、80μm以下であってよく、40μm以下であってよく、20μm以下であってよく、14μm以下であってよい。平均粒子径が大きすぎると、その触感に劣る他、光散乱(ソフトフォーカス)効果が低減する。また、平均粒子径が小さすぎると、製造が困難となる。なお、触感としては、セルロースアセテート粒子に直接触れる場合の他、例えば、化粧品組成物に配合した場合の肌触りや触感が挙げられる。
【0030】
平均粒子径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。具体的には、以下のとおりである。まず、100ppm濃度のセルロースアセテート粒子を、超音波振動装置を用いて純水懸濁液とすることにより、試料を調製する。その後、レーザー回折法(株式会社堀場製作所「レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−960」、超音波処理15分、屈折率(1.500、媒体(水;1.333))により、体積頻度粒度分布を測定することにより平均粒子径を測定することができる。なお、ここでいう平均粒子径(nm及びμm等)とは、この粒度分布における散乱強度の積算50%に対応する粒子径の値のことをいう。
【0031】
本開示のセルロースアセテート粒子の粒子径変動係数は、0%以上60%以下であってよく、2%以上50%以下であってよい。
【0032】
粒子径変動係数(%)は、粒子径の標準偏差/平均粒子径×100によって算出できる。
【0033】
本開示のセルロースアセテート粒子の真球度は、0.7以上1.0以下であるところ、0.8以上1.0以下が好ましく、0.9以上1.0以下がより好ましい。0.7未満であると、その触感に劣り、例えば、化粧品組成物に配合した場合にも、肌触りおよびソフトフォーカス効果が低下する。
【0034】
真球度は、次の方法により測定できる。走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した粒子の画像を用いて、ランダムに選択した30個の粒子の長径と短径を測定し、各粒子の短径/長径比を求め、その短径/長径比の平均値を真球度とする。なお、真球度が1に近いほど真球であると判断できる。
【0035】
本開示のセルロースアセテート粒子の表面平滑度は、80%以上100%以下であるところ、85%以上100%以下が好ましく、90%以上100%以下がより好ましい。80%未満であると、その触感に劣る。100%により近い方が触感的に好ましい。
【0036】
表面平滑度は、粒子の走査型電子顕微鏡写真を撮り、粒子表面の凹凸を観察し、凹部の面積に基づいて求めることができる。
【0037】
本開示のセルロースアセテート粒子のセルロースアセテートは、アセチル総置換度が、0.7以上2.9以下であるところ、0.7以上2.6未満が好ましく、1.0以上2.6未満がより好ましく、1.4以上2.6未満がさらに好ましく、2.0以上2.6未満が最も好ましい。
【0038】
アセチル総置換度が0.7未満であると水溶性が高くなり、後述するセルロースアセテート粒子の製造における粒子を抽出する工程、特に分散体から水溶性高分子を除去する工程において、セルロースアセテートが溶出しやすく粒子の真球度が低下する場合があり、そのため触感に劣る場合がある。一方、2.9を超えるとセルロースアセテート粒子の生分解性に劣る。
【0039】
セルロースアセテートのアセチル総置換度は、以下の方法により測定できる。まず、アセチル総置換度とは、セルロースアセテートのグルコース環の2,3,6位の各アセチル置換度の和であり、セルロースアセテート粒子のグルコース環の2,3,6位の各アセチル置換度は、手塚(Tezuka, Carbonydr. Res. 273, 83(1995))の方法に従いNMR法で測定できる。すなわち、セルロースアセテート試料の遊離水酸基をピリジン中で無水プロピオン酸によりプロピオニル化する。得られた試料を重クロロホルムに溶解し、13C−NMRスペクトルを測定する。アセチル基の炭素シグナルは169ppmから171ppmの領域に高磁場から2位、3位、6位の順序で、そして、プロピオニル基のカルボニル炭素のシグナルは、172ppmから174ppmの領域に同じ順序で現れる。それぞれ対応する位置でのアセチル基とプロピオニル基の存在比から、元のセルロースアセテートにおけるグルコース環の2,3,6位の各アセチル置換度を求めることができる。アセチル置換度は、13C−NMRのほか、H−NMRで分析することもできる。
【0040】
さらに、アセチル総置換度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテートなどの試験方法)における酢化度の測定法に準じて求めた酢化度を次式で換算することにより求められる。これは、最も一般的なセルロースアセテートの置換度の求め方である。
DS=162.14×AV×0.01/(60.052−42.037×AV×0.01)
上記式において、DSはアセチル総置換度であり、AVは酢化度(%)である。なお、換算して得られる置換度の値は、前記のNMR測定値との間に若干の誤差が生じることが普通である。換算値とNMR測定値とが異なる場合は、NMR測定値を採用する。また、NMR測定の具体的方法によって値が相違する場合は、上記手塚の方法によるNMR測定値を採用する。
【0041】
ASTM:D−817−91(セルロースアセテートなどの試験方法)の酢化度の測定方法の概略は以下の通りである。まず、乾燥したセルロースアセテート1.9gを精秤し、アセトンとジメチルスルホキシドとの混合溶液(容量比4:1)150mLに溶解した後、1N−水酸化ナトリウム水溶液30mLを添加し、25℃で2時間ケン化する。フェノールフタレインを指示薬として添加し、1N−硫酸(濃度ファクター:F)で過剰の水酸化ナトリウムを滴定する。また、上記と同様の方法でブランク試験を行い、下記式に従って酢化度を計算する。
平均酢化度(%)={6.5×(B−A)×F}/W
(式中、Aは試料の1N−硫酸の滴定量(mL)を、Bはブランク試験の1N−硫酸の滴定量(mL)を、Fは1N−硫酸の濃度ファクターを、Wは試料の重量を示す)。
【0042】
本開示のセルロースアセテート粒子は、嵩比重が0.1以上0.9以下であってよく、0.5以上0.9以下であってよい。例えば、その粒子を化粧品に配合した場合、粒子の嵩比重が高い程、その化粧品組成物の流動性が良くなる。嵩比重は、JIS K 1201−1に準拠した方法により測定することができる。
【0043】
本開示のセルロースアセテート粒子は可塑剤を含有してよく、含有しなくてもよい。本開示において可塑剤とは、セルロースアセテートの可塑性を増加させることができる化合物をいう。可塑剤は、特に限定されるものではなく、例えば、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソステアリル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジエチルヘキシルアジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジオクチルドデシル、アジピン酸ジカプリル、及びアジピン酸ジヘキシルデシル等のアジピン酸エステルを含むアジピン酸系可塑剤;クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸イソデシル、クエン酸イソプロピル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリエチルヘキシル、及びクエン酸トリブチル等のクエン酸エステルを含むクエン酸系可塑剤;グルタル酸ジイソブチル、グルタル酸ジオクチル、及びグルタル酸ジメチル等のグルタル酸エステルを含むグルタル酸系可塑剤;コハク酸ジイソブチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジエチルヘキシル、及びコハク酸ジオクチル等のコハク酸エステルを含むコハク酸系可塑剤;セバシン酸ジイソアミル、セバシン酸ジイソオクチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジエチルヘキシル、及びセバシン酸ジオクチル等のセバシン酸エステルを含むセバシン酸系可塑剤;トリアセチン、ジアセチン、及びモノアセチン等のグリセリンアルキルエステルを含むグリセリンエステル系可塑剤;ネオペンチルグリコール;フタル酸エチル、フタル酸メチル、フタル酸ジアリール、フタル酸ジエチル、フタル酸ジエチルヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、及びフタル酸ジメチル等のフタル酸エステルを含むフタル酸系可塑剤;リン酸トリオレイル、リン酸トリステアリル、及びリン酸トリセチル等のリン酸エステルを含むリン酸系可塑剤が挙げられる。その他、フタル酸ジ−2−メトキシエチル酒石酸ジブチル0−べンゾイル安息香酸エチル、エチルフタリル工チルグリコレート(EPEG)、メチルフタリルエチルグリコレート(MPEG)、N−エチルトルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホン酸0−クレジルリン酸トリエチル(TEP)、リン酸トリフェニル(TPP)、及びトリブ口ビオニンなども挙げられる。これらの可塑剤は、単独で用いてもよく、2以上の可塑剤を組み合せて用いてもよい。
【0044】
これらの中でも、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、及びクエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸エステルを含むクエン酸系可塑剤;トリアセチン、ジアセチン、及びモノアセチン等のグリセリンアルキルエステルを含むグリセリンエステル系可塑剤;アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸系可塑剤;並びにフタル酸エチル、フタル酸メチル等のフタル酸系可塑剤からなる群より選択される少なくとも1以上が好ましく、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、トリアセチン、及びアジピン酸ジイソノニルからなる群より選択される少なくとも1以上がより好ましく、クエン酸アセチルトリエチル、トリアセチン、ジアセチン及びフタル酸ジエチルからなる群より選択される少なくとも1以上がさらに好ましい。ただし、フタル酸系可塑剤は環境ホルモンとの類似性が懸念されるため使用には注意が必要である。
【0045】
セルロースアセテート粒子が可塑剤を含有する場合、セルロースアセテート粒子に含まれる可塑剤の含有量は、特に限定されない。例えば、セルロースアセテート粒子の重量に対し、0重量%を超え40重量%以下であってよく、2重量%以上40重量%以下であってよく、10重量%以上30重量%以下であってよく、15重量%以上20重量%以下であってよい。
【0046】
セルロースアセテート粒子における可塑剤の含有率は、H−NMR測定によって求められる。
【0047】
本開示のセルロースアセテート粒子は生分解性に優れるものである。生分解速度が30日以内に40重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。
【0048】
生分解速度は、JIS K6950に準じた活性汚泥を使用する方法により測定することができる。
【0049】
本開示のセルロースアセテート粒子は、後述の製造方法により製造することができる。
【0050】
本開示のセルロースアセテート粒子は、生分解性及び触感に優れることから、例えば、化粧品組成物に好適に用いることができる。また、高い真球度を有することから、化粧品組成物に配合すれば、肌の凹凸を埋めて滑らかにし、光を様々な方向に散乱させることでしわなどを目立ちにくくする(ソフトフォーカス)効果が得られる。
【0051】
化粧品組成物としては、リキッドファンデーション及びパウダーファンデーション等のファンデーション;コンシーラー;日焼け止め;化粧下地;口紅及び口紅用下地;ボディパウダー、固形白粉、及びフェイスパウダー等のおしろい:固形粉末アイシャドー;皺隠しクリーム;並びにスキンケアローション等の主に化粧を目的とした皮膚及び毛外用剤が含まれ、その剤型は限定されない。剤型としては、水溶液、乳液、懸濁液等の液剤;ゲル及びクリーム等の半固形剤;粉末、顆粒及び固形等の固形剤のいずれあってもよい。また、クリームや乳液等のエマルション剤型;口紅等のオイルゲル剤型;ファンデーション等のパウダー剤型;及びヘアスタイリング剤等のエアゾール剤型等であってもよい。
【0052】
[セルロースアセテート粒子の製造方法]
本開示のセルロースアセテート粒子の製造方法は、アセチル総置換度が0.7以上2.9以下のセルロースアセテートと可塑剤とを混合して、前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートを得る工程、前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートと水溶性高分子とを200℃以上280℃以下で混練して、前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートを分散質とする分散体を得る工程、及び前記分散体から前記水溶性高分子を除去する工程を含む。
【0053】
(可塑剤が含浸したセルロースアセテートを得る工程)
可塑剤が含浸したセルロースアセテートを得る工程においては、アセチル総置換度が0.7以上2.9以下のセルロースアセテートと可塑剤とを混合する。
【0054】
アセチル総置換度が0.7以上2.9以下のセルロースアセテートは、公知のセルロースアセテートの製造方法により製造できる。このような製造方法としては、無水酢酸を酢化剤、酢酸を希釈剤、硫酸を触媒とするいわゆる酢酸法が挙げられる。酢酸法の基本的工程は、(1)α−セルロース含有率の比較的高いパルプ原料(溶解パルプ)を、離解・解砕後、酢酸を散布混合する前処理工程と、(2)無水酢酸、酢酸および酢化触媒(例えば硫酸)よりなる混酸で、(1)の前処理パルプを反応させる酢化工程と、(3)セルロースアセテートを加水分解して所望の酢化度のセルロースアセテートとする熟成工程と、(4)加水分解反応の終了したセルロースアセテートを反応溶液から沈澱分離、精製、安定化、乾燥する後処理工程より成る。
【0055】
上記セルロースアセテートのアセチル総置換度は、0.7以上2.9以下であるところ、0.7以上2.6未満が好ましく、1.0以上2.6未満がより好ましく、1.4以上2.6未満がさらに好ましく、2.0以上2.6未満が最も好ましい。アセチル総置換度の調整は、熟成工程の条件(時間や温度等の条件)を調整することにより可能となる。
【0056】
可塑剤としては、セルロースアセテートの溶融押出加工において可塑効果を有するものであれば特に限定無く使用することができ、具体的には、セルロースアセテート粒子に含有される可塑剤として例示した上記可塑剤を、単独または2以上の可塑剤を組み合せて使用することができる。
【0057】
例示した上記可塑剤の中でも、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、及びクエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸エステルを含むクエン酸系可塑剤;トリアセチン、ジアセチン、及びモノアセチン等のグリセリンアルキルエステルを含むグリセリンエステル系可塑剤;アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸系可塑剤;並びにフタル酸エチル、フタル酸メチル等のフタル酸系可塑剤からなる群より選択される少なくとも1以上が好ましく、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、トリアセチン、及びアジピン酸ジイソノニルからなる群より選択される少なくとも1以上がより好ましく、クエン酸アセチルトリエチル、トリアセチン、ジアセチン及びフタル酸ジエチルからなる群より選択される少なくとも1以上がさらに好ましい。ただし、フタル酸系可塑剤は環境ホルモンとの類似性が懸念されるため使用には注意が必要である。
【0058】
可塑剤の配合量は、セルロースアセテート及び可塑剤の合計量100重量部に対し、0重量部を超え40重量部以下であってよく、2重量部以上40重量部以下であってよく、10重量部以上30重量部以下であってよく、15重量部以上20重量部以下であってよい。少なすぎると、得られるセルロースアセテート粒子の真球度が低下する傾向となり、多すぎると粒子の形状を保つことができず、真球度が低下する傾向となる。
【0059】
セルロースアセテートと可塑剤との混合は、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いて乾式又は湿式で行うことができる。ヘンシェルミキサー等の混合機を用いる場合、混合機内の温度は、セルロースアセテートが溶融しない温度、例えば、20℃以上200℃未満の範囲としてよい。
【0060】
また、セルロースアセテートと可塑剤との混合は、溶融混練によって行ってもよい。そして、溶融混練は、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いた混合と組み合わせて行ってもよく、その場合、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いて、温度条件20℃以上200℃未満の範囲で混合した後に、溶融混練を行うことが好ましい。可塑剤とセルロースアセテートとがより均一に、また短時間で馴染むことで、最終的に調製できるセルロースアセテート粒子の真球度が高くなり、触感、触り心地が良くなる。
【0061】
溶融混練は、押出機で加熱混合することにより行うことが好ましい。押出機の混練温度(シリンダー温度)は、200℃から230℃の範囲であってよい。この範囲の温度でも可塑化して均一な混練物を得ることができる。温度が低すぎると、得られる粒子の真球度が低下するため、触感、触り心地が低下し、温度が高すぎると、混練物の熱による変質や着色が起こることがある。また、溶融物の粘度が低下して、二軸押出機内での樹脂の混錬が不足する可能性がある。
【0062】
セルロースアセテートの融点は、置換度にもよるが、およそ230℃から280℃であり、セルロースアセテートの分解温度に近いため、通常は、この温度範囲では溶融混練は難しいが、可塑剤が含浸したセルロースアセテート(フレーク)は可塑化温度を低くできるためである。混練温度(シリンダー温度)としては、例えば二軸押出機を用いる場合200℃であってもよい。混練物はストランド状に押出し、ホットカットなどでペレット状の形状にすればよい。この場合のダイス温度としては220℃程度であってもよい。
【0063】
(分散体を得る工程)
分散体を得る工程においては、前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートと水溶性高分子とを200℃以上280℃以下で混練する。
【0064】
前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートと水溶性高分子との混練は、二軸押出機等の押出機で行うことができる。混練の温度は、シリンダー温度をいう。
【0065】
二軸押出機等の押出機の先端に取り付けたダイスから分散体をひも状に押出した後、カットしてペレットにしてもよい。このときダイス温度は、220℃以上300℃以下であってよい。
【0066】
水溶性高分子の配合量は、可塑剤が含浸したセルロースアセテート及び水溶性高分子の合計量100重量部に対し、55重量部以上99重量部以下であってよい。好ましくは60重量部以上90重量部以下であり、更に好ましくは65重量部以上85重量部以下である。
【0067】
本明細書における水溶性高分子は、25℃において、高分子1gを100gの水に溶解した際に、不溶分が50重量%未満の高分子をいう。水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレンオキシド、ポリグリセリン、ポロエチレンオキシド、酢酸ビニル、変性デンプン、熱可塑性デンプン、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロース等を挙げることができる。これらの中でもポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及び熱可塑性デンプンが好ましく、ポリビニルアルコール及び熱可塑性デンプンが特に好ましい。なお、熱可塑性デンプンは、公知の方法で得ることができる。例えば、特公平6?6307号、WO92/04408号などが参照でき、さらに具体的には、例えば、タピオカデンプンに可塑剤としてグリセリンを20%程度混合し、二軸押し出し機で混錬したものなどが利用できる。
【0068】
得られる分散体は、水溶性高分子を分散媒、前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートを分散質とする分散体である。言い換えれば、水溶性高分子を海成分、前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートを島成分とする構成であってよい。分散体において、島成分を構成する前記混錬物は、セルロースアセテートと可塑剤とを含有し、主に球状である。
【0069】
(水溶性高分子を除去する工程)
前記分散体から水溶性高分子を除去する工程について述べる。
【0070】
水溶性高分子を除去する方法としては、水溶性高分子を溶解し当該粒子から除去することができれば、特に限定されるものではないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール;または、それらの混合溶液等の溶媒を用いて前記分散体の水溶性高分子を溶解して除去する方法が挙げられる。具体的には、例えば、前記分散体と前記溶媒とを混合し、ろ過してろ物を取り出すこと等によって、分散体から水溶性高分子を除去する方法が挙げられる。
【0071】
分散体から水溶性高分子を除去する工程において、可塑剤は、水溶性高分子と共に分散体から除去してよく、除去しなくてもよい。したがって、得られるセルロースアセテート粒子は可塑剤を含有してよく、含有しなくてもよい。
【0072】
分散体と溶媒との混合比率について、分散体及び溶媒の合計重量に対し分散体が0.01重量%以上20重量%以下が好ましく、2重量%以上15重量%以下がより好ましく、4重量%以上13重量%以下がさらに好ましい。分散体が20重量%よりも高い場合には、水溶性高分子の溶解が不十分となり洗浄除去できなくなったり、溶媒に溶解していないセルロースアセテート粒子と溶媒に溶解している水溶性高分子とをろ過や遠心分離等の操作で分離するのが困難となる。
【0073】
分散体と溶媒との混合温度は、0℃以上200℃以下が好ましく、20℃以上110℃以下がより好ましく、40℃以上80℃以下がさらに好ましい。0℃より低温では、水溶性高分子の溶解性が不十分となり洗浄除去が困難となり、200℃を超える温度では、粒子の変形や凝集等が発生し、所望の粒子の形状を維持したまま、粒子を取り出すことが困難となる。
【0074】
分散体と溶媒との混合時間は、特に限定されるものではなく適宜調整すればよいが、例えば0.5時間以上、1時間以上、3時間以上、5時間以上であってよく、6時間以下であってよい。
【0075】
また、当該混合の方法として、水溶性高分子を溶解できれば限定されないが、例えば、超音波ホモジナイザー、スリーワンモータなどの攪拌装置を用いることで、室温でも効率よく、分散体から水溶性高分子を除去することができる。
【0076】
例えば、撹拌装置としてスリーワンモータを用いる場合、分散体と溶媒との混合時の回転数は、例えば、5rpm以上3000rpm以下であってよい。これにより、より効率よく、分散体から水溶性高分子を除去することができる。また、分散体から可塑剤を効率よく除去することにもなる。
【実施例】
【0077】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によりその技術的範囲が限定されるものではない。
【0078】
(実施例A−1)
セルロースジアセテート(株式会社ダイセル製:アセチル総置換度DS=2.4)100重量部と可塑剤としてトリアセチン25重量部とを乾燥状態でブレンドし、80℃で12時間以上乾燥させ、さらに、ヘンシェルミキサーを用いて攪拌混合し、セルロースアセテートと可塑剤との混合物を得た。得られた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製PCM30、シリンダー温度:200℃、ダイス温度:220℃)に供給し、溶融混練し、押し出してペレット化し、混練物とした。
【0079】
得られた混錬物のペレット30重量部と、水溶性高分子としてポリビニルアルコール(日本合成化学製:融点190℃、けん化度99.1%)70重量部とを乾燥状態でブレンドした後、二軸押出機(株式会社池貝製PCM30、シリンダー温度220℃、ダイス温度220℃)に供給し、押出して分散体を形成した。
【0080】
得られた分散体が5重量%(分散体の重量/(分散体の重量+純水の重量)×100)以下となるよう純水(溶媒)と合せ、スリーワンモータ(新東科学社製BL−3000)を用いて、温度80℃、回転数100rpmで3時間攪拌した。攪拌後の溶液をろ紙(ADVANTEC製No.5A)でろ別し、ろ物を取り出した。取り出したろ物を再び純水を用いて分散体が5重量%以下となるよう調製し、さらに温度80℃、回転数100rpmで3時間攪拌、ろ別し、ろ物を取り出す作業を3回以上繰り返し、セルロースアセテート粒子を得た。
【0081】
得られたセルロースアセテート粒子の平均粒子径、粒子径変動係数、真球度、表面平滑度、嵩比重、及び可塑剤含有率をそれぞれ求め、生分解性、触感を評価した。結果は表1に示す。尚、平均粒子径、粒子径変動係数、真球度、表面平滑度、嵩比重、可塑剤含有率、生分解性及び触感の測定または評価は下記の方法で行った。
【0082】
<平均粒子径及び粒子径変動係数>
平均粒子径は、動的光散乱法を用いて測定した。まず、純水を用いサンプルを100ppm程度の濃度に調整し、超音波振動装置を用いて純水懸濁液とした。その後、レーザー回折法(株式会社堀場製作所「レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−960」超音波処理15分、屈折率(1.500、媒体(水;1.333))により、体積頻度粒度分布を求め、平均粒子径を測定した。ここでいう平均粒子径(nm及びμm等)は、体積頻度粒度分布における散乱強度の積算50%に対応する粒子径の値とした。また、粒子径変動係数(%)は、粒子径の標準偏差/平均粒子径×100によって算出した。
【0083】
<真球度>
走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した粒子の画像を用いて、ランダムに選択した30個の粒子の長径と短径を測定し、各粒子の短径/長径比を求め、その短径/長径比の平均値を真球度とした。
【0084】
<表面平滑度>
粒子の2500〜5000倍の走査型電子顕微鏡写真を撮り(セルロースアセテート粒子の顕微鏡写真の一例は、図1参照)、画像処理装置Winroof(三谷商事社製)を用いて、画像を二値化した(図1の顕微鏡写真を二値化した画像は図2参照)。粒子1個の中心及び/又は中心付近を含む、粒子よりも小さい任意の領域(例えば、図2を参照すれば、n1及びn2で示す領域)であってよい。また、その領域の大きさは、粒子径が15μmのとき5μm四方であってよい。当該領域における凹凸の凹に当たる部分(陰の部分)の面積率を算出し、以下の式によりその粒子1個の表面平滑度(%)を算出した。
粒子1個の表面平滑度(%)=(1−凹の面積率)×100
凹の面積率=前記任意の領域における凹部の面積/前記任意の領域
表面平滑度(%)はランダムに選択した10個の粒子サンプル、つまりn1〜10まで表面平滑度の平均値とした。この数値が高いほど表面平滑度は高くなる。
【0085】
<嵩比重>
「JIS K 1201−1」に従い測定した。
【0086】
<可塑剤含有率>
H−NMR測定によって可塑剤含有率(重量%)を測定した。
【0087】
<生分解性>
生分解性は、生分解速度により評価した。生分解速度は、JIS K6950に準じた活性汚泥を使用する方法により測定した。活性汚泥は、都市下水処理場から入手した。その活性汚泥を1時間程度放置して得られる上澄み液(活性汚泥濃度:約360ppm)を1培養瓶あたり約300mL使用した。サンプル30mgを当該上澄み液中で撹拌した時点を測定開始とし、その後24時間おきに、720時間後つまり30日後まで合計31回測定した。測定の詳細は以下のとおりである。大倉電気(株)製クーロメータ OM3001を用いて、各培養瓶中の生物化学的酸素要求量(BOD)を測定した。各試料の化学組成に基づく完全分解における理論上の生物化学的酸素要求量(BOD)に対する、生物化学的酸素要求量(BOD)のパーセンテージを生分解速度(重量%)とし、次のとおり生分解性を評価した。
◎:60重量%を超える、○:40重量%以上60重量%以下、
△:10重量%以上40重量%未満、×:10重量%未満
【0088】
<触感>
粒子の触感について、20人のパネルテストにより官能評価を行なった。粒子に触れさせ、なめらかさ及びしっとり感の両方を総合的に、5点満点として、以下の基準により評価した。20人の平均点を算出した。
良い:5、やや良い:4、普通:3、やや悪い:2、悪い:1
【0089】
(実施例A−2)
可塑剤としてトリアセチンをクエン酸アセチルトリエチルに変更し、得られた混錬物のペレットを10重量部、ポリビニルアルコールを90重量部に変更した以外は、実施例A−1と同様にしてセルロースアセテート粒子を得た。
【0090】
上記の測定方法により、得られたセルロースアセテート粒子の各物性を評価した。結果は表1に示す。
【0091】
(実施例A−3)
得られた混錬物のペレットを40重量部、ポリビニルアルコールを60重量部に変更した以外は、実施例A−1と同様にしてセルロースアセテート粒子を得た。
【0092】
上記の測定方法により、得られたセルロースアセテート粒子の各物性を評価した。結果は表1に示す。
【0093】
(実施例A−4)
セルロースジアセテートをセルローストリアセテート(株式会社ダイセル製:アセチル総置換度DS=2.8)に、トリアセチンをフタル酸ジエチルに、得られた混錬物のペレットを40重量部、ポリビニルアルコールを60重量部に、二軸押出機のシリンダー温度を240℃、ダイス温度を240℃に、それぞれ変更した以外は、実施例A−1と同様にしてセルロースアセテート粒子を得た。
【0094】
上記の測定方法により、得られたセルロースアセテート粒子の各物性を評価した。結果は表1に示す。
【0095】
(実施例A−5)
可塑剤としてトリアセチンをクエン酸アセチルトリエチルに変更した以外は、実施例A−1と同様にしてセルロースアセテート粒子を得た。
【0096】
上記の測定方法により、得られたセルロースアセテート粒子の各物性を評価した。結果は表1に示す。
【0097】
(実施例A−6)
セルロースジアセテート(株式会社ダイセル製:アセチル総置換度DS=1.8)を用い、可塑剤としてトリアセチンをジアセチンに変更した以外は、実施例A−1と同様にしてセルロースアセテート粒子を得た。
【0098】
上記の測定方法により、得られたセルロースアセテート粒子の各物性を評価した。結果は表1に示す。
【0099】
(実施例A−7)
可塑剤トリアセチンの使用量を25重量部から20重量部に変更した以外は、実施例A−1と同様にしてセルロースアセテート粒子を得た。
【0100】
上記の測定方法により、得られたセルロースアセテート粒子の各物性を評価した。結果は表1に示す。
【0101】
(実施例A−8)
セルロースジアセテート(株式会社ダイセル製:アセチル総置換度DS=2.4)100重量部と可塑剤としてトリアセチン25重量部とをヘンシェルミキサーを用いて攪拌混合し、前記可塑剤が含浸したセルロースアセテートを得た。なお、溶融混練は行っていない。
【0102】
得られた前記可塑剤が含浸したセルロースアセテート30重量部と、水溶性高分子としてポリビニルアルコール(日本合成化学製:融点190℃、けん化度99.1%)70重量部とを乾燥状態でブレンドした後、二軸押出機(株式会社池貝製PCM30、シリンダー温度220℃、ダイス温度220℃)に供給し、押出して分散体を形成した。
【0103】
得られた分散体が5重量%(分散体の重量/(分散体の重量+純水の重量)×100)以下となるよう純水(溶媒)と合せ、スリーワンモータ(新東科学社製BL−3000)を用いて、温度80℃、回転数100rpmで3時間攪拌した。攪拌後の溶液をろ紙(ADVANTEC製No.5A)でろ別し、ろ物を取り出した。取り出したろ物を再び純水を用いて分散体が5重量%以下となるよう調製し、さらに温度80℃、回転数100rpmで3時間攪拌、ろ別し、ろ物を取り出す作業を3回以上繰り返し、セルロースアセテート粒子を得た。
【0104】
上記の測定方法により、得られたセルロースアセテート粒子の各物性を評価した。結果は表1に示す。
【0105】
(実施例A−9)
実施例A−1と同様にして混練物を得、得られた混錬物のペレットを32重量部、ポリビニルアルコールを68重量部に変更した以外は、実施例A−1と同様にして分散体を形成し、得られた分散体が5重量%以下となるよう純水と合せ、温度80℃で5時間、実施例A−1の5倍の回転数(500rpm)で強攪拌した以外は、実施例A−1と同様にしてセルロースアセテート粒子を得た。
【0106】
上記の測定方法により、得られたセルロースアセテート粒子の各物性を評価した。結果は表1に示す。
【0107】
(実施例A−10)
トリアセチンを22重量部に変更した以外は実施例A−1と同様にして混練物を得、得られた混錬物のペレットを34重量部、ポリビニルアルコールを66重量部に変更した以外は、実施例A−1と同様にして分散体を形成し、得られた分散体が5重量%以下となるよう純水と合せ、温度80℃で5時間、実施例A−1の2倍の回転数(200rpm)で強攪拌した以外は、実施例A−1と同様にしてセルロースアセテート粒子を得た。
【0108】
上記の測定方法により、得られたセルロースアセテート粒子の各物性を評価した。結果は表1に示す。
【0109】
(実施例A−11)
実施例A−1と同様にして混練物を得、得られた混錬物のペレットを32重量部、水溶性高分子として熱可塑性デンプン(三和澱粉工業社製:アルファ化タピオカ澱粉)80部にグリセリン20部を混合したものを100部とし、概水溶性高分子68重量部に変更した以外は、実施例A−1と同様にして分散体を形成し、得られた分散体が5重量%(分散体の重量/(分散体の重量+純水の重量)×100)以下となるよう純水と合せ、温度80℃で5時間、実施例A−1の5倍の回転数(500rpm)で強攪拌した以外は、実施例A−1と同様にしてセルロースアセテート粒子を得た。
【0110】
上記の測定方法により、得られたセルロースアセテート粒子の各物性を評価した。結果は表1に示す。
【0111】
(比較例A−1)
アクリル粒子は、マツモトマイクロスフェアー(登録商標)M−100(松本油脂製薬株式会社製)を使用した。上記の測定方法により、この粒子の各物性を評価した。結果は表1に示す。
【0112】
(比較例A−2)
ナイロン粒子は、東レナイロン(登録商標)ナイロン12 SP−500(東レ株式会社製)を使用した。上記の測定方法により、この粒子の各物性を評価した。結果は表1に示す。
【0113】
(比較例A−3)
シリコーン粒子は、KMP−591(信越化学工業株式会社製)を使用した。上記の測定方法により、この粒子の各物性を評価した。結果は表1に示す。
【0114】
(比較例A−4)
セルロース粒子は、セルロスクラブ(LESSONIA社製)を使用した。上記の測定方法により、この粒子の各物性を評価した。結果は表1に示す。
【0115】
(比較例A−5)
セルロースアセテート粒子は、セルフローTA−25(JNC社製)を使用した。上記の測定方法により、この粒子の各物性を評価した。結果は表1に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
表1に示すとおり、実施例のセルロースアセテート粒子は、いずれも優れた生分解性及び優れた触感を有する。
【0118】
(実施例B−1)
リキッドファンデーションの調製
表2に示す各成分を混合後、良く攪拌し、容器に充填してリキッドファンデーションを調製した。得られたリキッドファンデーションの触感を下記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【表2】
【0119】
<触感>
粒子を配合して調製した組成物について、20人のパネルテストにより官能評価を行なった。各組成物を使用させ、なめらかさ及びしっとり感の両方を総合的に、5点満点として、以下の基準により評価した。20人の平均点を算出した。
良い:5、やや良い:4、普通:3、やや悪い:2、悪い:1
【0120】
(実施例B−2)
日焼け止めの調製
表3に示す各成分を混合後、良く攪拌し、容器に充填して日焼け止めを調製した。得られた日焼け止めの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【表3】
【0121】
(実施例B−3)
パウダーファンデーションの調製
表4に示す成分Aを粗混合した後、均一に溶解した成分Bを加えて良く撹拌した後に、容器に充填してパウダーファンデーションを調製した。得られたパウダーファンデーションの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【表4】
【0122】
(実施例B−4)
化粧下地の調製
表5に示す成分Cを成分Aに分散し、よく攪拌した。成分Bを添加し、攪拌し、容器に充填し、化粧下地を調製した。得られた化粧下地の触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【表5】
【0123】
(実施例B−5)
口紅用下地料の調製
表6に示す成分Bを60℃に加熱し、良く混合した。ここに成分Cを加えて良く分散させた。さらに、成分Aを加え、電子レンジを用いて溶解させた後、良く混合した。そして、再度電子レンジを用いて加熱溶解させ、金型に流し込み、冷却固化させた。これを口紅容器にセットして口紅用下地料を調製した。得られた口紅用下地料の触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【表6】
【0124】
(実施例B−6)
ボディーパウダーの調製
表7に示す成分Aをミキサーを用いて良く混合した。得られた粉体を容器に充填し、ボディーパウダーを調製した。得られたボディーパウダーの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【表7】
【0125】
(実施例B−7)
固形白粉の調製
本件発明の固形白粉は、通常の化粧料の製造方法に準ずる。すなわち、表8に示す、タルク、着色顔料をブレンダーで混合した。また、セルロースアセテート粒子および先にブレンダーで混合した着色顔料とタルクを含む全ての粉体部分について、ヘンシェルミキサーを用いて攪拌した。その後、油分(結合剤)を添加し70℃に加温し、さらに攪拌を行ったのち、必要に応じて粉砕工程を行った。これを金皿の容器中に圧縮成形して固形白粉を調製した。得られた固形白粉の触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【表8】
【0126】
(実施例B−8)
固形粉末アイシャドーの調製
表9に示す粉体をよく混合した後、結合剤を均一に溶解して、粉末部に加えてさらに混合後、圧縮成形し、固形粉末アイシャドーを調製した。得られた固形粉末アイシャドーの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【表9】
【0127】
(実施例B−9)
表2における実施例A−1:セルロースアセテート粒子を、実施例A−5:セルロースアセテート粒子に変更した以外は、実施例B−1と同様にして、リキッドファンデーションを調製した。得られたリキッドファンデーションの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0128】
(実施例B−10)
表3における実施例A−1:セルロースアセテート粒子を、実施例A−5:セルロースアセテート粒子に変更した以外は、実施例B−2と同様にして、日焼け止めを調製した。得られた日焼け止めの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0129】
(実施例B−11)
表4における実施例A−1:セルロースアセテート粒子を、実施例A−5:セルロースアセテート粒子に変更した以外は、実施例B−3と同様にして、パウダーファンデーションを調製した。得られたパウダーファンデーションの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0130】
(実施例B−12)
表5における実施例A−1:セルロースアセテート粒子を、実施例A−5:セルロースアセテート粒子に変更した以外は、実施例B−4と同様にして、化粧下地を調製した。得られた化粧下地の触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0131】
(実施例B−13)
表2における実施例A−1:セルロースアセテート粒子を、実施例A−6:セルロースアセテート粒子に変更した以外は、実施例B−1と同様にして、リキッドファンデーションを調製した。得られたリキッドファンデーションの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0132】
(実施例B−14)
表3における実施例A−1:セルロースアセテート粒子を、実施例A−6:セルロースアセテート粒子に変更した以外は、実施例B−2と同様にして、日焼け止めを調製した。得られた日焼け止めの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0133】
(実施例B−15)
表2における実施例A−1:セルロースアセテート粒子を、実施例A−7:セルロースアセテート粒子に変更した以外は、実施例B−1と同様にして、リキッドファンデーションを調製した。得られたリキッドファンデーションの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0134】
(実施例B−16)
表3における実施例A−1:セルロースアセテート粒子を、実施例A−7:セルロースアセテート粒子に変更した以外は、実施例B−2と同様にして、日焼け止めを調製した。得られた日焼け止めの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0135】
(実施例B−17)
表2におけるシクロペンタシロキサンをドデカン(PARAFOL 12−97(Sasol))、及びCetiol Ultimate(ウンデカン:トリデカン=65重量%:35重量%、BASF社製)をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更し、イソノナン酸イソノニルをカプリル酸ヤシ油アルキル(セチオール C5(BASF))、(カプリル/カプリン酸)ヤシアルキル(セチオール C5C(BASF))、及び炭酸ジカプリリル(セチオール CC(BASF))をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更し、さらにマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルをツバキ油(純椿油(日興リカ))に変更した以外は、実施例B−1と同様にして、リキッドファンデーションを調製した。得られたリキッドファンデーションの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0136】
(実施例B−18)
表3におけるイソドデカンをドデカン(PARAFOL 12−97(Sasol))、及びCetiol Ultimate(ウンデカン:トリデカン=65重量%:35重量%、BASF社製)をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更し、セバシン酸ジイソプロピルをカプリル酸ヤシ油アルキル(セチオール C5(BASF))、(カプリル/カプリン酸)ヤシアルキル(セチオール C5C(BASF))、及び炭酸ジカプリリル(セチオール CC(BASF))をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更した以外は、実施例B−2と同様にして、日焼け止めを調製した。得られた日焼け止めの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0137】
(実施例B−19)
表4におけるジメチコンをドデカン(PARAFOL 12−97(Sasol))、及びCetiol Ultimate(ウンデカン:トリデカン=65重量%:35重量%、BASF社製)をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更し、オクチルドデシルオレアートをカプリル酸ヤシ油アルキル(セチオール C5(BASF))、(カプリル/カプリン酸)ヤシアルキル(セチオール C5C(BASF))、及び炭酸ジカプリリル(セチオール CC(BASF))をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更した以外は、実施例B−3と同様にして、パウダーファンデーションを調製した。得られたパウダーファンデーションの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0138】
(実施例B−20)
表5におけるシクロメチコンをドデカン(PARAFOL 12−97(Sasol))、及びCetiol Ultimate(ウンデカン:トリデカン=65重量%:35重量%、BASF社製)をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更し、イソノナン酸イソノニルをカプリル酸ヤシ油アルキル(セチオール C5(BASF))、(カプリル/カプリン酸)ヤシアルキル(セチオール C5C(BASF))、及び炭酸ジカプリリル(セチオール CC(BASF))をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更した以外は、実施例B−4と同様にして、化粧下地を調製した。得られた化粧下地の触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0139】
(実施例B−21)
表4におけるマイカY−2300Xをマイカ(マイカ Y−2300X(ヤマグチマイカ))、合成マイカ(PDM−10L(トピー工業))及び(フッ化/水酸化/酸化)/(Mg/K/ケイ素)(ミクロマイカ MK−200K(片倉コープアグリ))をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更し、セリサイトを硫酸バリウム(板状硫酸バリウムH(堺化学工業社製))及び窒化ホウ素(SHP−6(水島合金鉄))をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更し、さらにタルクをセルロース(NPファイバー W−06MG(日本製紙))及びシリカ(ゴッドボール E−16C(鈴木油脂工業))をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更した以外は、実施例B−3と同様にして、パウダーファンデーションを調製した。得られたパウダーファンデーションの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0140】
(実施例B−22)
表7におけるタルクをセルロース(NPファイバー W−06MG(日本製紙))及びシリカ(ゴッドボール E−16C(鈴木油脂工業))をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更した以外は、実施例B−6と同様にして、ボディーパウダーを調製した。得られたボディーパウダーの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0141】
(実施例B−23)
表9におけるマイカY−2300Xをマイカ(マイカ Y−2300X(ヤマグチマイカ))、合成マイカ(PDM−10L(トピー工業))及び(フッ化/水酸化/酸化)/(Mg/K/ケイ素)(ミクロマイカ MK−200K(片倉コープアグリ))をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更し、セリサイトを硫酸バリウム(板状硫酸バリウムH(堺化学工業社製))及び窒化ホウ素(SHP−6(水島合金鉄))をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更した以外は、実施例B−8と同様にして、固形粉末アイシャドーを調製した。得られた固形粉末アイシャドーの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0142】
(実施例B−24)
表2におけるBGをグリセリン及びペンチレングリコール(ジオール PD(高級アルコール工業))をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更した以外は、実施例B−1と同様にして、リキッドファンデーションを調製した。得られたリキッドファンデーションの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0143】
(実施例B−25)
表3におけるBGをグリセリン及びペンチレングリコール(ジオール PD(高級アルコール工業))をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更した以外は、実施例B−2と同様にして、日焼け止めを調製した。得られた日焼け止めの触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0144】
(実施例B−26)
表5における1.3−ブチレングリコールをグリセリン及びペンチレングリコール(ジオール PD(高級アルコール工業))をそれぞれ同じ重量混合した混合物に変更した以外は、実施例B−4と同様にして、化粧下地を調製した。得られた化粧下地の触感を上記の方法で評価した。結果は表10に示す。
【0145】
(比較例B−1〜8)
比較例B−1〜8は、表2〜9における実施例A−1:セルロースアセテート粒子を、比較例A−1:アクリル粒子に変更した以外は、それぞれ実施例B−1〜8と同様にして、リキッドファンデーション、日焼け止め、パウダーファンデーション、化粧下地、口紅用下地、ボディーパウダー、固形白粉、及び固形粉末アイシャドーを調製した。それぞれについて、触感を上記の方法で評価した。結果は表11に示す。
【0146】
【表10】
【0147】
【表11】
【0148】
表10及び11に示すように、実施例B−1〜26のセルロースアセテート粒子を含有する化粧品組成物の触感は、いずれも4.0以上であり優れたものである。また、いずれもセルロースアセテート粒子を含有するものであるため、優れた生分解性を有する。
【要約】
生分解性及び触感に優れた微粒子を提供することを目的とする。
セルロースアセテート粒子であって、前記セルロースアセテート粒子は、平均粒子径が80nm以上100μm以下、及び真球度が0.7以上1.0以下、表面平滑度が80%以上100%以下であり、前記セルロースアセテートのアセチル総置換度が0.7以上2.9以下である、セルロースアセテート粒子。
図1
図2