(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記手動散水スイッチにより強制散水状態が設定されている間だけ、前記弁手段を開放状態となるように制御することを特徴とする請求項2に記載の廃棄物処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した先行技術においては、廃棄物の加熱処理が完了して、処理終了プロセスが開始されると、撹拌機構の駆動は維持された状態で、加熱バーナーの駆動が停止され、乾燥ドラムから処理済みの廃棄物の取り出しを可能とする乾燥ドラム内の温度の低下を待つことになる。そして、所定の処理終了温度に低下した時点から所定時間の経過を待って、処理終了プロセスが完了して、撹拌機構の駆動を含めて、全ての駆動が停止することになる。この全停止状態で、乾燥ドラムから処理済みの廃棄物が取り出し可能な状況となる。
【0009】
このように、従来の廃棄物処理装置においては、処理終了プロセスが開始してから、実際に処理済みの廃棄物を取り出すまでの間にかかる時間が、全体の廃棄物処理時間に大きく係わることとなり、処理効率向上の観点から、この処理終了プロセスに係る時間の短縮化が要望されていた。
【0010】
また、上述した処理終了プロセスが実施されている間は、処理済みの廃棄物自体の温度の放熱を促進させるために、撹拌機構は駆動され続けられている。一方で、処理済みの廃棄物は、水分が飛ばされて乾燥していて、所謂粒状を呈するものである。このような乾燥した粒状の処理済みの廃棄物を撹拌していると、これが巻き上げられて、所謂煙立った状態となり、処理終了プロセスが完了して処理済みの廃棄物を取り出す際に、作業性が悪くなる問題点が指摘されていた。
【0011】
この発明は、上記登録特許に係る発明を改良したものであり、処理終了プロセスの所要時間の短縮化を図ると共に、処理済みの廃棄物の煙立ちを防止することのできる廃棄物処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し目的を達成するために、この発明に係わる廃棄部処理装置は、請求項1の記載によれば、水分を含有する廃棄物を加熱して、前記廃棄物内の水分を蒸散させ、前記廃棄物を乾燥させる乾燥手段と、この乾燥手段で乾燥されている間、前記廃棄物を撹拌する撹拌手段と、前記乾燥手段に接続され、前記廃棄物から蒸散された蒸気/水分を前記乾燥手段の外部に取り出すための連通路と、前記連通路の出口に接続され、前記連通路の出口から取り出された前記蒸気/水分を燃焼して、前記蒸気/水分内に含有される臭い成分を脱臭する脱臭手段と、前記乾燥手段で乾燥され、前記撹拌手段により撹拌されて粒状となった処理済みの廃棄物に散水する散水手段とを具備することを特徴としている。
【0013】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項2の記載によれば、前記乾燥手段は、前記廃棄物が収容される乾燥ドラムと、この乾燥ドラムの外周を加熱する加熱手段と、この乾燥ドラムに前記廃棄物を投入するための投入口と、この投入口を開放可能に閉塞する扉手段とを備えることを特徴としている。
【0014】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項3の記載によれば、前記散水手段は、前記投入口の上側端面であって、閉塞状態にある前記扉手段よりも内側に開口する一端を有する散水管と、この散水管の一端開口に取り付けられ、これから放出される水を前記乾燥ドラム内に散水するための散水プラグと、前記散水管に連結され、散水プラグへの水の供給を断続させる弁手段とを備えることを特徴としている。
【0015】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項4の記載によれば、前記散水管の他端は、水道管に連結されることを特徴としている。
【0016】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項5の記載によれば、前記乾燥ドラム内の温度を検出する温度センサーと、前記弁手段に接続され、これの開閉を制御する制御手段とを更に具備し、この制御手段は、処理終了プロセスが開始されるまでは、前記弁手段を閉塞状態となし、処理終了プロセスの開始に伴い、前記温度センサーにより検出された前記乾燥ドラム内の温度が第1の所定温度になったことを検出したら、所定時間だけ、前記弁手段を開放状態となして前記散水手段をして散水させ、前記乾燥ドラム内の処理済みの廃棄物に水分を与えると共に、該乾燥ドラム内の温度を強制的に低下させるように制御することを特徴としている。
【0017】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項6の記載によれば、前記散水手段は、これを強制的に散水状態とするための手動散水スイッチを更に備え、前記制御手段は、前記手動散水スイッチにより前記散水手段が強制散水状態が設定された場合に、前記温度センサーにより検出された前記乾燥ドラム内の温度が、前記第1の所定の温度よりも所定の温度幅だけ高い第2の所定温度以下である場合に、前記弁手段を開放状態となるように制御することを特徴としている。
【0018】
また、この発明に係わる廃棄物処理装置は、請求項7の記載によれば、前記制御手段は、前記手動散水スイッチにより強制散水状態が設定されている間だけ、前記弁手段を開放状態となるように制御することを特徴としている。
【0019】
上記請求項1に記載の課題解決手段による作用は次の通りである。即ち、乾燥手段で乾燥され、撹拌手段により撹拌されて粒状となった処理済みの廃棄物は、散水手段により散水され、水分を与えられることになるので、これの気化熱で処理水の廃棄物は冷却されて、全体の冷却時間が短縮化されることになると共に、水分を与えられた処理済みの廃棄物の煙立ちは効果的に防止されることになる。
【0020】
また、請求項2に記載の課題解決手段によれば、乾燥手段として備えられる乾燥ドラム内における処理済みの廃棄物は、散水手段により散水され、水分を与えられることになるので、これの気化熱で処理水の廃棄物は冷却されて、全体の冷却時間が短縮化されることになると共に、水分を与えられた処理済みの廃棄物の煙立ちは効果的に防止されることになる。
【0021】
また、請求項3に記載の課題解決手段によれば、散水手段として備えられた散水プラグが、投入口の上側端面であって、閉塞状態にある扉手段よりも内側に開口する一端に備えられているため、散水プラグからの水は、乾燥ドラム内の処理済みの廃棄物に確実に散水されることになる。
【0022】
また、請求項4に記載の課題解決手段によれば、散水管の他端は水道管に連結されているために、安価に散水の水源を確保することが出来ることになる。
【0023】
また、請求項5に記載の課題解決手段によれば、処理終了プロセスが開始されるまでは、弁手段を閉塞状態となし、処理終了プロセスの開始に伴い、温度センサーにより検出された乾燥ドラム内の温度が第1の所定温度になったことを検出したら、所定時間だけ、弁手段を開放状態となして散水手段をして散水させ、乾燥ドラム内の処理済みの廃棄物に水分を与えると共に、乾燥ドラム内の温度を強制的に低下させるようにしているので、散水効果がより効果的に達成されることになる。
【0024】
また、請求項6に記載の課題解決手段によれば、手動散水スイッチを設けているので、処理終了プロセスが始まる少し前の段階から散水作業を行うことが出来ることになる。
【0025】
また、請求項7に記載の課題解決手段によれば、手動散水スイッチによりky法性散水状態が設定されている間だけ散水が行われるので、処理状況に応じた散水量を規定することが出来ることになる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、この発明に係わる廃棄物処理装置によれば、処理終了プロセスの所要時間の短縮化を図ると共に、処理済みの廃棄物の煙立ちを防止することのできる廃棄物処理装置が提供されることになる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係わる廃棄物処理装置の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。
【0029】
図1は、廃棄物処理装置を
図2のI−Iに沿って断面して示す側断面図、
図2は廃棄物処理装置を
図1のII−IIに沿って断面して示す正面断面図である。
【0030】
廃棄物処理装置は、水分を含有する廃棄物を加熱して、廃棄物内の水分を蒸散させ、廃棄物を乾燥させる乾燥機構を構成する乾燥室1と、この乾燥機構で乾燥されている間、廃棄物を撹拌する撹拌機構を構成する撹拌具2と、乾燥室1に接続され、廃棄物から蒸散された蒸気/水分を乾燥室1の外部に取り出すための連通路17と、連通路17の出口に接続され、連通路17の出口から取り出された蒸気/水分を燃焼して、蒸気/水分内に含有される臭い成分を脱臭する脱臭機構を構成する脱臭室18とを基本的に備えて構成されている。
【0031】
撹拌機構を構成する撹拌具2は、乾燥室1に回転可能に収納された三角状の撹拌翼と、この撹拌翼が一体的に取り付けられた撹拌具軸3と、撹拌具軸3の一端に同軸に固定されたギヤ4と、駆動モーター6と、駆動モーター6の駆動軸jとギヤとをエンドレスに連結するチェーン5とを備えている。
【0032】
また、乾燥室1には、簡素湿1に開口して形成された廃棄物投入口8と、この廃棄物投入口8の周縁を取り囲むように取り付けられた廃棄物投入筒7と、この廃棄物投入筒7の外側の開口面を開放可能に閉塞する開閉扉9と、乾燥室1の一側面の下部に形成された処理済みの廃棄物(以下、処理物という。)を取り出すための処理物取出口10と、この処理物取出口10を開放可能に閉塞する開閉扉11とが設けられている。乾燥機構は、加熱用バーナー14と冷却用ブロワー15と耐火断熱材16とを更に備えて構成されている。
【0033】
連通路17はガス上昇管(内管)1aと排ガス上昇管13a(外管)と耐火断熱材12と空気流入孔28とから構成される。脱臭機構は、脱臭室18の他に、仕切板18a、18b、18cと開口部18dと耐火断熱材19と送風通路部20とスリーブ21と脱臭用バーナー23と噴射孔23aと脱臭用ブロワー24と送風口25と排気口29と筒状規制部30とL状規制部31とを備えて構成される。
【0034】
有機質の廃棄物を収納する乾燥室1は横倒しの有蓋円筒形に形成されており、内部に三角柱状の撹拌具2が回転自在に設けられている。撹拌具2は低速で回転し廃棄物を撹拌して細かくするとともに、ガスの発生を促すものであり、その撹拌具軸3は乾燥室1の1端面から突出して設けられている。この撹拌具軸3にはギヤ4が設けられており、チェーン5を介してモータ6に連動連結されている。7は乾燥室1の上部周面に連通して設けられた廃棄物投入筒であり、この廃棄物投入筒7の廃棄物投入口8には開閉扉9が設けられている。また、10は乾燥室1の底部周面に開口した処理物取出口であり、開閉扉11が設けられている。
【0035】
上記乾燥室1の外側には加熱室13が囲んで設けられている。この加熱室13は乾燥室1に対し、下側で広い間隔を存し上側で狭い間隔を存して偏心して有蓋円筒形に形成されており一端面は乾燥室1の一端面と面一に配置され、この一端面で乾燥室1を宙釣り状態に固定している。加熱室13の他端面には底部側に位置して内部に向けて燃焼する加熱用バーナー14及び内部に送風する冷却用ブロワー15が設けられている。耐火断熱材16が加熱室13の内部全壁に亘って設けられている。
【0036】
なお、乾燥室1の加熱温度は乾燥室1に設けられた温度センサー(図示省略)の検知により加熱用バーナー14の火力を制御することにより自動的に行われる。また、乾燥室1、加熱室13は有蓋円筒形に形成されたものを示したが、矩形箱状のものでもよく、その形状は限定されない。
【0037】
上記乾燥室1及び加熱室13の上部には乾燥室1及び加熱室13と後述する脱臭室18との間を連通接続する連通路17が設けられている。この連通路17は乾燥室1及び加熱室13の排気口としての役目を果たすものであり、乾燥室1の上部周面に連通接続するガス上昇管(内管)1aとガス上昇管1aの周囲を囲んで配置され加熱室13と連通する排ガス上昇管13a(外管)とから二重に形成されている。耐火断熱材12が排ガス上昇管13aの内側に設けられている。
【0038】
上記乾燥室1及び加熱室13の上部には連通路17を介し連通接続して脱臭室18が設けられている。脱臭室18の外側には後述する脱臭用ブロワー24からの空気の通風路となる送風通路部20が構成されており、全体として箱状の二重構造に形成されている。この送風通路部20の内側、すなわち、脱臭室18の内壁全域には耐火断熱材19が張り巡らされている。この耐火断熱材19には適宜間隔を存して吹出孔25が複数個貫通形成され、この吹出口25は脱臭室18の内壁、すなわち、送風通路部20と繋がり形成されている。
【0039】
上記連通路17から延長して脱臭室18の入口には耐火材により形成された円筒状のスリーブ21が設けられている。スリーブ21は脱臭室18の入口から若干上方に配置され、その一端は脱臭用バーナー23の噴射孔23aに接しており、他端は仕切板18aの開口部18dとの間に空間が設けられるよう配置されている。連通路17のガス上昇管(内管)1aと排ガス上昇管13a(外管)からのガスは、スリーブ21と連通路17の出口に生じている隙間から高温になったスリーブ21に接触し、高温の燃焼し易いガスになる。
【0040】
さらに、このガスはスリーブ21の他端と仕切板18aの開口部18dとの間に設けられている空間で、スリーブ21内を噴射される燃焼ガスで燃焼される。この空間で燃焼されたガスは仕切板18aの開口部18dを通過し、仕切板18aに対しスリーブ21とは反対側に設けられた筒状規制部30内に送り込まれる。筒状規制部30の入口に乱流発生部30eが設けられており熱風は筒状規制部30内で一様な乱流状態となる。この一様な乱流となった熱風は、筒状規制部30の入口から筒状規制部30の出口の間で、スリーブ21の他端と仕切り板18aの開口部18dとの間に設けられている空間で燃焼し切れなかった未燃焼ガスを再度燃焼させる。この再度燃焼されたガスは、出口から脱臭室18内へ送出され、上部にL状規制部31があるため、筒状規制部30の外側側面に沿って仕切板18a方向に戻り、さらに仕切板18aに沿って上昇し、L状規制部31の上部を通り排気口29に到達し、外部に排出される。
【0041】
上記脱臭室18の入口側の側面には内部に向けて燃焼する脱臭用バーナー23と共に送風通路部20に送風する脱臭用ブロワー24が設けられている。脱臭用バーナー23及び脱臭用ブロワー24は連動して始動するようになっている。また、図示は省略するが、乾燥室1及び脱臭室18の適宜位置には温度センサーが設けられており、温度検出により脱臭室18の温度が一定温度以上にならないように、加熱用バーナー14及び脱臭用バーナー23を制御する。
【0042】
また、連通路17を構成する外側の排ガス上昇管13aが脱臭室18と接続される付近には、外側から内側に斜め上方に向けて空気流入孔28が複数個形成されている。この空気流入孔28は上記送風通路部20と連通しており、脱臭用ブロワー24から空気が送風される。
【0043】
なお、上記乾燥室1、加熱室13及び脱臭室18は図示を省略するがハウジング内に収納されており、このハウジング内において脱臭室18は水平に配置される一方、乾燥室1及び加熱室13は一端面(処理物取出口8が位置する面)を高く他端面(加熱用バーナー14、冷却用バーナー15が位置する面)を低く傾斜して配置されている。これにより、加熱用バーナー14の火力が乾燥室1を底面側から加熱しやすくなっているとともに、加熱室13が加熱バーナー14の排ガスの排気筒として排ガス上昇管13aへ上昇しやすくなっている。なお、処理物取出口8が位置する加熱室13の一端面側は高くなっているが、処理物はかき出すことにより容易に取り出すことができる。
【0044】
図3は廃棄物処理装置を
図1のIII−IIIに沿って断面して示す平面図である。脱臭室18は仕切板18a、18b、18cと開口部18dと耐火断熱材19と送風通路部20とスリーブ21と脱臭用バーナー23と噴射孔23aと筒状規制部30と熱風出口31cと乱流発生部30eとから構成される。スリーブ21は脱臭室18内で仕切板18a、18b、18cで仕切られている。仕切板18aとスリーブ21の間には空間が設けられており、仕切板18b、仕切板18cはスリーブ21を横から挟むように縦に設けられている。
【0045】
脱臭用バーナー23の噴射孔23aから放出される熱風は連通路17のガス上昇管(内管)から上昇してくる水分に影響されずにスリーブ21内を通り、仕切板18aとスリーブ21の間に設けられている空間で、連通路17からのガスを燃焼させる。さらにこの燃焼ガスは、仕切板18aの開口部18dを通過し、仕切板18aに対しスリーブ21とは反対側に設けられた筒状規制部30内に送り込まれる。筒状規制部30の入口に乱流発生部30eが設けられており熱風は筒状規制部30内で一様な乱流状態となる。この一様な乱流となった熱風は筒状規制部30内で未燃焼ガスを再燃焼させ、筒状規制部30の熱風出口30cから脱臭室18内に放出される。
【0046】
図4は廃棄物処理装置を
図1のIV−IVに沿って断面して示す脱臭室の正面図である。この脱臭室の正面図は、耐火断熱材19と送風通路部20とスリーブ21と筒状規制部30とL状規制部31と水平片31aと垂直片31bと半円切込部31cとから構成され、示される。L状規制部31の水平片31aは垂直部31bと仕切板18aの間の空間を残し、脱臭室18の上部を仕切るように設けられている。また、垂直部31bの半円切込部31cが筒状規制部30の外側上半部に密着している。そのため、筒状規制部30の噴出出口30cから送出された熱風は、L状規制部31の水平片31aに遮られて、筒状規制部30の外側を仕切板18aの方向に流れ、さらに垂直部31bと仕切板18aの間を上昇し、水平片31aの上部空間に到達し、そのまま排気口29から排出される。
【0047】
図5はスリーブの斜視図である。スリーブ21は円筒状のスリーブ本体21aと噴射吹込口21bと噴射出口21cとから構成される。スリーブ21の一端の噴射出口21cは脱臭用バーナー23の噴射孔23aに接しており、他端の噴射出口21cは仕切板18aの開口部18dとの間に空間が設けられるように配置されている。このスリーブ21により、脱臭用バーナー23は連通路17から上昇してくる水分に影響されずに完全燃焼し、仕切り板18aの開口部18dを通過する。
【0048】
図6は筒状規制部の斜視図であり、
図6(a)は右方向から、
図6(b)は左方向から見た斜視図である。筒状規制部30は筒本体30aと熱風入口30bと熱風出口30cと上部ストッパー30dと乱流発生部30eとから構成される。脱臭用バーナー23の噴射孔23aから放出される熱風はスリーブ21内を通り、仕切板18aの開口部18dを通過し、仕切板18aに対しスリーブ21とは反対側に設けられた筒状規制部30内に送り込まれる。筒状規制部30の入口に乱流発生部30eが設けられており熱風は筒状規制部30内で一様な乱流状態となる。この一様な乱流となった熱風は、筒状規制部30内で未燃焼ガスを再度燃焼させて筒状規制部30の熱風出口から脱臭室18内に送られる。なお、筒状規制部30は円筒形に形成されたものを示したが、矩形状の筒のものでもよく、その形状は限定されない。
【0049】
図7はL状規制部の斜視図である。L状規制部31は水平片31aと垂直片31bと半円切込部31cとから構成される。L状規制部31の水平片31aは垂直部31bと仕切板18aの間の空間を残し、脱臭室18の上部を仕切るように設けられている。また、垂直部31bの半円切込部31cが筒状規制部30の外側上半部に密着している。そのため、筒状規制部30の噴出出口30cから送出された熱風は、L状規制部31の水平片31aに遮られて、筒状規制部30の外側を仕切板18aの方向に流れ、さらに垂直部31bと仕切板18aの間を上昇し、水平片31aの上部空間に到達し、そのまま排気口29から排出される。
【0050】
次に、この発明の特長をなす散水機構40について説明する。この散水機構40は、乾燥室1内で乾燥され、撹拌具2により撹拌されて粒状となった処理済みの廃棄物に散水して、これに水分を与えて撹拌に伴う煙立ちを防止すると共に、乾燥室1内の温度の低下を促進して、終了プロせず時間の短縮化を図るためのもので、
図1及び
図2に示すように、廃棄物投入口8の上側端面であって、閉塞状態にある開閉扉9よりも内側に開口する一端を有する散水管42と、この散水管42の一端開口に取り付けられ、これから放出される水を乾燥室1内に散水するための散水プラグ44と、散水管42に連結され、散水プラグ44への水の供給を断続させる散水弁46とを備えて構成されている。
【0051】
また、散水管42の他端は、加熱室13の外周壁を貫通して水道管48に連結されている。このように、この実施例においては、散水機構40の水源として水道を利用しているので、途切れることなく確実に水が供給される状態が確保されるものである。
【0052】
尚、散水プラグ44は、
図8に取出して示すように、散水管42の一端開口に、着脱自在に螺着されるもので、円形状の中央孔44aと、この中央孔44aを間に挟む状態で両側に位置して一対の円弧状の散水溝44bとが形成されている。このように、この実施例においては、単に散水管42の一端を廃棄物投入口8の上側端面に直接に開口させるのではなく、散水プラグ44を用いてこれを介して水を放出するようにしているので、水は単に散水管42の一端から放水されずに散水プラグ44の中央孔44aと一対の散水水44bとから放水されることになるので、単に流下するのではなく、周囲に散水された状態で広い範囲に放水されることとなる。
【0053】
この結果、処理終了プロセスが実施される状況において、散水処理が実施されることにより、末だ撹拌具3により撹拌されている最中の処理物の煙立ちが確実に防止されることになると共に、処理物に適量の水が振りかけられて気化熱により乾燥室1内の温度が効果的に低下せしめられることになり、処理終了プロセスの工程時間の短縮化、ひいては、全体の処理時間の短縮化を図ることが出来ることになる。
【0054】
次に、上記構成からなる廃棄物処理手順を説明する。廃棄物投入口8から乾燥室1に廃棄物を投入し開閉扉9を密封した後、乾燥室1の加熱温度を設定するとともに、タイマーの設定により処理時間を設定する。設定温度は廃棄物の種類により異なるが、およそ300°Cに設定する。ついで、撹拌具2を回転させるとともに、加熱用バーナー14及び脱臭用バーナー23とを始動させる。この際、脱臭用バーナー23の始動に連動して脱臭用ブロワー24も同時に始動する。
【0055】
加熱用バーナー14により外部から乾燥室1が加熱され温度が上昇するにつれて、含水量が多い廃棄物はまず水分が蒸発して乾燥が始まる。また、廃油、合成樹脂等油性の廃棄物の場合はガスの発生が多いが、乾燥室1及び脱臭室18に設けられた温度センサーの検知により加熱用バーナー14の火力を制御することにより、脱臭室18の温度が一定温度以上にならないよう乾燥室1の温度が制御される。そして、ガスの発生が少なくなると、乾燥室1の設定温度により乾燥室1の加熱温度が自動的に制御されて一定温度に保持される。
【0056】
乾燥室1で発生したガスは、連通路17のガス上昇管1aを上昇してガス脱臭室18内のスリーブ21の外側を流れるとともに、加熱用バーナー14から発生した排ガスは加熱室13を排気筒として流れさらに連通路17の排ガス上昇管13aを上昇して脱臭室18のスリーブ21の外側を流れる。この際、排ガス上昇管13aを上昇する排ガスの気流及び脱臭用ブロワー24からの強制送風による送風通路部20からの空気が空気流入孔28から排ガス上昇管13aに吸引され、排ガス自体の流れが速くなって上昇し滞留することなく脱臭室18内のスリーブ21の外側を円滑に流れるとともに、この排ガス及び空気流入孔28から流入した空気の合流による吸引力により排ガス上昇管13aに囲まれた内側のガス上昇管1aを通過する乾燥室1からのガスが吸引されて滞留することなく脱臭室18内のスリーブ21の外側を円滑に流れる。
【0057】
スリーブ21では噴射孔23aから噴射吹込口21bを介してガス脱臭用バーナー23の火力が吹き込まれており、この火力によりスリーブ21の噴射出口21cの外側の空間で連通路17から流入したガス及び排ガスは燃焼する。また、この燃焼は気体だけの燃焼であり固形物を含まないので、火の粉や煤塵等の排出物が発生しない。このスリーブ21の噴射出口21cで連通路17からのガスと燃焼されたガスはさらに仕切板18aの開口部21dを通過し、脱臭室18の筒状規制部30に流入する。
【0058】
さらに、この燃焼ガスは筒状規制部30の熱風入口30b付近に設けられた乱流発生部30eで乱流状態となり、筒状規制部30内で未燃焼ガスを再度燃焼させ、熱風出口30cから脱臭室18内へ送出される。熱風出口30cの上部には上部ストッパー30dが設けられており、燃焼ガスは下部から脱臭室18内へ送出される。ガス及びガスの燃焼による排ガスはさらに、筒状規制部30の外側の側面部を仕切板18a方向に進み、次に仕切板18aとL状規制部31の垂直片31bの間を上に上昇し、次にL状規制部31の水平片31aに沿って排気口29に到達し、排気口29から外部に排気される。筒状規制部30内ではスリーブ21の噴射出口21cで十分燃焼し切れなかったガスが燃焼し、さらに筒状規制部30から脱臭室18内に再び送出された燃焼ガスが、吹出孔25から流入する空気と撹拌されながら十分燃焼することとなるのでより一層完全燃焼することになる。
【0059】
この場合、ガス及びガスの燃焼による排ガスはこの区間でさらに完全燃焼しており、煙、粉塵、火の粉等の排出物を排出しないので、外部を汚染したり、燃やしたりするような不都合は全くない。このように、ガスが完全に燃焼するため、臭い成分が全くなくなり燃焼ガスは完全に脱臭される。そのため、この脱臭されたガスをそのまま排気口29から排出でき、脱臭のための触媒は全く必要が無くなる。
【0060】
そして、一定時間が経過し、廃棄物の乾燥が進むとガスの発生が少なくなるが、回転している乾燥室1の撹拌具2により、ガスの発生が促進されるとともに、乾燥した廃棄物は細かく粉砕されて粉状となる。
【0061】
この後、廃棄物処理時間を設定する図示しないタイマーで予め設定された処理時間が経過すると、終了処理プロセスが起動するが、以下、終了処理プロセスを実行する制御系の制御手順を、
図9(A),
図9(B)に示すフローチャートを用いて説明するが、これに先だち、
図10を参照して、この終了処理プロセスを実行する制御系の概略構成を説明する。
【0062】
図10に示すように、この制御系は、制御機構50を中心に構成され、この制御機構50は詳細は図示していないが、CPU、ROM,RAM等を備えて構成されてい
度情報に基づき、加熱用バーナー14、冷却用ブロワー15、脱臭用バーナー23、脱臭用ブロワー24、散水弁46の駆動を制御する制御手順を実行するように構成されている。
【0063】
以上のように構成される制御系において、制御機構50は、
図9(A),
図9(B)に示すように、終了処理プロセスが起動する(S10)と、最初に加熱用バーナー14を停止する(S12)と共に、冷却用ブロワー15を始動して(S14)、乾燥室1の冷却を開始する。そして、乾燥室1の温度P1が予め設定した所定の散水開始温度PS以下まで低下するまで待つ(S16,S18)。即ち、ガス脱臭用バーナー23、脱臭用ブロワー24、撹拌具2の作動は継続される。
【0064】
この後、S18において,乾燥室1の温度P1が所定の散水開始温度PSまで下降したことが検知されると、図示しない散水タイマーを起動して(S20)、所定の散水時間だけ散水弁46を開放駆動して、散水作業を実行する(S22)。この散水作業は、散水タイマーがタイムアップするまで継続する(S24)。そして、散水タイマーがタイムアップしたことが検出されると、散水弁46を閉塞駆動して(S26)、散水作業を停止する。
【0065】
このように、散水作業が所定の時間だけ実行されることにより、乾燥室1内の廃棄物には水道水が散水されて、この結果、水分を含む状態となり、撹拌具2により撹拌が継続される中で、粉状に粉々になされた処理物が煙立つことが効果的に防止され、この後、終了処理プロセスが完了して、乾燥室1内の廃棄物を取り出すべく、作業者が取出口10の扉11を開したた際に、粉状の廃棄物をしっとりした状態で書き出すことが可能jとなり、作業者による作業効率が極めて向上することになる。
【0066】
一方で、散水作業が所定の時間だけ実行されることにより、乾燥室1内の温度が気化熱により低下して、冷却時間の短縮化、即ち、廃棄物処理時間の短縮化を図ることが出来ることになる。尚、この廃棄物処理装置は、本来、廃棄物に含まれる水分を、乾燥室1の外側から所謂「蒸し焼き」状態に加熱することにより、この水分を効果的に飛ばすことで、減容処理するものであり、散水機構40を介しての散水動作と、一見、矛盾するように思われるが、この散水作業は、あくまでも一連の廃棄物処理プロセスが終了したのちの終了処理プロセスの一環として行われるもので、何ら矛盾しないものである。
【0067】
一方、上述したように散水作業が終了する状況において、乾燥室1の温度P1が所定の冷却停止温度PTまで低下したかを待つ(S28)。そして、乾燥室1の温度P1が所定の冷却停止温度PTまで低下したことが検出されると、モーター6の駆動を停止して、撹拌具2による撹拌動作を修了する(S30)と同時に、脱臭室18の冷却時間を規定する冷却タイマーを起動する(S32)。これは、乾燥室1が所定の例約停止温度PTまで低下したとしても、脱臭室18においては、未だ脱臭室温度が高温に維持されている状況にあるので、この脱臭室18の温度の低下を時間で管理するために実行される制御手順である。
【0068】
そして、冷却タイマーがステップS32で設定した冷却時間が経過するの待ち(S34)、冷却タイマーがタイムアップしたことが検出されると、これで一連の終了処理プロセスが完了したことになるので、全ての駆動系を停止させる(S36)。これにより、廃棄物処理における全ての制御手順が終了し、作業者は開閉扉11を開いて、処理物取出し口10を開放し、ここから処理済みの廃棄物としての粉状の処理物を取り出す作業を開始し、乾燥室1内から全ての処理物の取り出しが終了した時点で、全ての作業が完了する。
【0069】
尚、脱臭室18に筒状規制部30とL状規制部31を設け、排気経路の延長距離を長くすることにより、乾燥室1で乾燥された廃棄物から発生したガス及び加熱用バーナー14の排ガスは脱臭室18内で十分燃焼し、煙、火の粉、粉塵、煤塵等の排出物を発生させずに完全燃焼するので、周囲を汚すことが全くなく、また、廃棄物は乾燥されガス及び排ガスだけを燃焼させるので、燃料費が少なくて済むとともに処理時間が短縮することになる。
【0070】
また、ガス及び排ガスは脱臭室18内のスリーブ21の噴射出口21cの空間で集中的に燃焼し、ガス及び排ガスは脱臭室18内への拡散が防止されるばかりでなく脱臭室18内で燃焼するガス及び排ガスの量が少なくなるので、従来のように触媒を必要とすることなく脱臭効果が発揮され排気される。そのため、従来より加熱温度を高温にでき処理時間の短縮を図ることができ、しかも、脱臭室18内でのガス及び排ガスの処理量が減少するので、脱臭室18を小型にすることができ、これにより装置全体をより一層小型化することができるものである。
【0071】
また、加熱用バーナー14の排ガスは加熱室13を排気筒として流れ、さらに排ガス上昇管13aの位置で空気流入孔28から空気を吸引し、排ガス自体の流れが速くなって上昇し滞留なく排気口部21に流入するとともに、この排ガス及び空気流入孔28から流入した空気の合流による吸引力によりガス上昇管1aを通過する乾燥室1からのガスが吸引されて滞留することなくスリーブ21の外側を流れるので、ガス抜きのための高い排気筒が不要になる効果がある。
【0072】
また、空気流入孔28は排ガス上昇管13a、すなわち、スリーブ21の上流側に外側から内側に斜め上方に向けて形成されており、排ガスの上昇流にそって空気流入孔28から外部の空気が流入することとなり、排ガスの上昇流がさらに高速になり、ガスの上昇流もさらに高速となるので、より一層両ガスを停留させることなく円滑にスリーブ21の外側を流れて燃焼を促進させることができる効果が達成される。
【0073】
さらに、廃油、合成樹脂等油性の廃棄物の処理については、直接燃焼させるのではなく乾燥させてガスだけを燃焼させることにより、高温となることがないので、装置内へ散水したり、装置内への投入を定量的に行う必要がなく、材質や構造上の問題がなくなり、製造コストを低減することができるばかりでなく、装置も小型化することができることになる。
【0074】
なお、この発明は、上述した一実施例の構成に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることは言うまでもない。
【0075】
例えば、散水機構40として
図9に示す散水プラグ44を散水管42の先端に取り付けるように説明したが、この発明はこのような構成に限定されることなく、他の構造の散水プラグを用いることも可能であることは言うまでもないし、そもそも、散水管42の一端の形状を加工することにより、散水プラグを用いない構成も可能であることは言うまでもない。要は、散水動作が開始された状態で、乾燥室1内に所定量の水が散水されて、気化熱により乾燥室1内の温度の下降を促進させると共に、乾燥室1内の処理物に散水してこれの水分を増やして、撹拌に伴う煙立ちが防止されるものであれば、何でもよい。
【0076】
また、上記実施例においては、処理終了プロセスを制御機構50に内蔵されたソフトウエアーによる制御手順として実行するように説明したが、このような制御手順に限られることなく、シーケンサーを用いた制御手順として実行するように構成することも出来る事は言うまでもない。
【0077】
また、上記実施例では空気流入孔28を脱臭用ブロワー24からの空気を送風する送風通路部20と連通し脱臭用ブロワー24からの空気を強制的に流入させるものを示したが、これに限定されるものではなく、送風通路部20と連通させず外部と単に連通させるだけでもよく、要は排ガス流入管13aに空気流入孔28が形成されるものであればよい。
【0078】
また、空気流入孔28は外側の排ガス上昇管13aに外側から内側に斜め上方に向けて形成されたものを示したが、これに限定されるものではなく、外側から内側に斜め上方に向けることなく形成されるものでもよい。
【0079】
また、処理物取出口10には電気掃除機に使用されるようなゴミ収納袋を取り付けることにより、取出時に周囲を汚すことなく、短時間のうちに取り出すことができる。