(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0012】
以下に、本発明の実施形態の一例を説明する。
図1に示す内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡に対して、再生処理を施す装置である。ここでいう再生処理とは特に限定されるものではなく、水によるすすぎ処理、有機物等の汚れを落とす洗浄処理、所定の微生物を無効化する消毒処理、全ての微生物を排除もしくは死滅させる滅菌処理、またはこれらの組み合わせ、のいずれであってもよい。
【0013】
なお、以下の説明において、上方とは比較対象に対してより地面から遠ざかった位置のことを指し、下方とは比較対象に対してより地面に近づいた位置のことを指す。また、以下の説明における高低とは、重力方向に沿った高さ関係を示すものとする。
【0014】
内視鏡リプロセッサ1は、電源部6、制御部5、内視鏡情報読取部7a、報知部8、処理槽2、蓋3、ロック3a、水位調整部60、および水位判別部65を備える。本実施例では水位判別部65として水位センサを備えるが本発明はこれに限定されない。
【0015】
電源部6は、内視鏡リプロセッサ1の各部位に電力を供給する。本実施形態では一例として、電源部6は、商用電源等の外部から得た電力を各部位に分配する。なお、電源部6は、発電装置やバッテリーを備えていてもよい。
【0016】
制御部5は、演算装置(CPU)、記憶装置(RAM)、補助記憶装置、入出力装置および電力制御装置等を具備して構成することができ、内視鏡リプロセッサ1を構成する各部位の動作を、所定のプログラムに基づいて制御する構成を有している。以下の説明における内視鏡リプロセッサ1に含まれる各構成の動作は、特に記載がない場合であっても制御部5によって制御される。
【0017】
制御部5は、再生処理を施す対象の内視鏡が、挿入部の先端部に可動部を有する可動部付き内視鏡であるか、挿入部の先端部に可動部を有していない可動部無し内視鏡であるか、を判別する判別部5aを備える。可動部とは、例えば鉗子起上台である。
【0018】
判別部5aは、後述する操作部7に含まれる内視鏡情報読取部7aによって読み取られた内視鏡情報に基づいて、再生処理を施す対象の内視鏡が可動部付き内視鏡であるか可動部無し内視鏡であるかを判別する。内視鏡情報には、少なくとも判別部5aにおいて、再生処理を施す対象の内視鏡が可動部付き内視鏡であるか否かを判別するために必要な情報が含まれる。
【0019】
内視鏡情報の形態は特に限定されるものではない。例えば内視鏡情報は、可動部付き内視鏡であるか否かを示す1ビットのみの情報であってもよい。また例えば内視鏡情報は、内視鏡の製造者または使用者が個々の内視鏡に付した識別子の情報であってもよい。
【0020】
操作部7および報知部8は、内視鏡リプロセッサ1の本体部1aに設けられ、制御部5と使用者との間の情報の授受を行うユーザインターフェースを構成する。操作部7は、例えばプッシュスイッチやタッチセンサ等の、使用者からの動作指示を受け付ける操作部材を含む。使用者からの動作指示は、操作部7により電気信号に変換され、制御部5に入力される。使用者からの動作指示とは、例えば再生処理の開始指示等である。なお、操作部7は、制御部5との間で有線通信または無線通信を行う内視鏡リプロセッサ1の本体部1aと分離した電子機器に備えられる形態であってもよい。
【0021】
本実施形態の操作部7は、内視鏡情報読取部7aを備える。内視鏡情報読取部7aは、再生処理を施す対象の内視鏡の内視鏡情報の入力を受け付ける。内視鏡情報読取部7aへの内視鏡情報の入力の形態は特に限定されるものではない。例えば、内視鏡情報読取部7aは、近接する内視鏡から自動的に内視鏡情報を読み取る構成を有していてもよい。また例えば内視鏡情報読取部7aは、使用者からの内視鏡情報の入力を受け付けるスイッチを備える構成を有していてもよい。
【0022】
本実施形態では一例として、内視鏡情報は、内視鏡に内蔵または取り付けられたRFIDタグに記憶されており、内視鏡情報読取部7aは、このRFIDタグから内視鏡情報を読み取るRFIDタグリーダである。
【0023】
なお、内視鏡情報は、文字、バーコード、または2次元コード等により内視鏡の外表面または内視鏡に取り付けられたタグに表示されており、内視鏡情報読取部7aは、文字、バーコード、または2次元コードを認識して内視鏡情報を読み取る装置であってもよい。
【0024】
報知部8は、例えば画像や文字を表示する表示装置、光を発する発光装置、音を発するスピーカ、振動を発するバイブレータ、またはこれらの組み合わせ、を含む。報知部8は、制御部5から使用者に対して情報を出力する。なお、報知部8は、制御部5との間で有線通信または無線通信を行う内視鏡リプロセッサ1の本体部1aと分離した電子機器に備えられる形態であってもよい。
【0025】
処理槽2は、開口部を有する凹形状であり、内部に液体を貯留することが可能である。処理槽2内には、開口部を介して内視鏡を配置することができる。
【0026】
処理槽2の上部には、処理槽2の開口部を開閉する蓋3が設けられている。処理槽2内において内視鏡に再生処理を施す場合には、処理槽2の開口部は蓋3によって閉じられる。本実施形態では一例として、蓋3は、ヒンジ3cを介して本体部1aに接続されており、処理槽2の開口部を閉じる位置と、開口部を開放する位置との間でヒンジ3cを支点として揺動する。
【0027】
ロック3aは、蓋3が処理槽2の開口部を閉じる位置に保持し蓋3の開放を抑制する固定状態と、蓋3の揺動を許容する開放状態とを切り替える。ロック3aは、制御部5に電気的に接続されており、ロック3aの切り替え動作は制御部5によって制御される。
【0028】
また、ロック3aには、蓋3が処理槽2の開口部を閉じる位置に位置していることを検知する蓋閉鎖検知部3bが設けられている。蓋閉鎖検知部3bは制御部5に電気的に接続されている。
【0029】
水位調整部60は、処理槽2内への液体の供給、および処理槽2内からの液体の排出を行う。水位調整部60の具体的な構成は後述するが、水位調整部60は、処理槽2内に洗浄液を供給する第1供給部61、処理槽2内に消毒液または滅菌液を供給する第2供給部、および処理槽2内に水を供給する第3供給部を含む。また、水位調整部60は、処理槽2内から液体を排出する排液口11および排液口11を開閉する切替バルブ22を含む。
【0030】
水位判別部65は、処理槽2内に配置されている。水位判別部65は、処理槽2内に貯留されている液体の液面の高さを判別する。水位判別部65は、制御部5に電気的に接続されており、検出結果の情報を制御部5に出力する。本実施形態では一例として、水位判別部65は、少なくとも、処理槽2内の液面が所定の第1水位L1に達しているか否か、および液面が所定の第2水位L2に達しているか否か、を判別する。第1水位L1および第2水位L2は異なる高さであり、第2水位L2の方が第1水位L1よりも低い。第1水位L1および第2水位L2の詳細については後述する。
【0031】
水位判別部65の構成は特に限定されるものではない。水位判別部65は、例えば離間して配設された複数の電極を備え、複数の電極が液体中に没しているか否かによって変化する複数の電極間の電気的な導通の有無に基づいて、液面が所定の水位に達しているか否かを検出する、いわゆる電極式水位センサであってもよい。また例えば、水位判別部65は、測定対象液に浮くフロートの上下動に応じて開閉するスイッチの動作状態に基づいて、測定対象液の液面が所定の水位に達しているか否かを検出する、いわゆるフロート式水位センサであってもよい。なお、水位判別部65による水位の判別は、水位センサによる水位の検出に限らず、処理槽2内からの液体の排出流量と排出時間から水位を推定したり、処理槽2内への液体の流入流量と流入時間から水位を推定したりする方法でもよい。この場合、内視鏡リプロセッサは、水位判別部65として、流量計または時間測定部の少なくとも一方を備える。
【0032】
処理槽2内には、洗浄液ノズル15、薬液ノズル12、排液口11、循環口13、循環ノズル14、内視鏡接続部16、付属品ケース17、および保持部70が設けられている。
【0033】
洗浄液ノズル15は、洗浄液管路51を介して洗浄液タンク50に連通する開口部である。洗浄液タンク50は、洗浄処理に用いられる洗浄液を貯留する。洗浄液管路51には、洗浄液ポンプ52が設けられている。
【0034】
洗浄液ポンプ52を運転することにより、洗浄液タンク50内の洗浄液が、洗浄液管路51および洗浄液ノズル15を経由して、処理槽2内に移送される。すなわち、洗浄液ノズル15、洗浄液管路51および洗浄液ポンプ52は、処理槽2内に洗浄液を供給する第1供給部61を構成する。
【0035】
洗浄液ポンプ52は制御部5に接続されており、洗浄液ポンプ52の動作は制御部5によって制御される。なお、洗浄液タンク50は、内視鏡リプロセッサ1に着脱可能な使い切りの容器であって、中身が空になった場合には洗浄液タンク50ごと取り替えられる形態であってもよい。
【0036】
薬液ノズル12は、薬液管路26を介して薬液タンク20に連通する開口部である。薬液タンク20は、薬液を貯留する。薬液は、消毒処理に用いられる消毒液、または滅菌処理に用いられる滅菌液である。薬液管路26には、薬液ポンプ27が設けられている。薬液ポンプ27を運転することにより、薬液タンク20内の薬液が、薬液管路26および薬液ノズル12を経由して、処理槽2内に移送される。
【0037】
すなわち、薬液ノズル12、薬液管路26および薬液ポンプ27は、処理槽2内に消毒液または滅菌液を供給する第2供給部62を構成する。薬液ポンプ27は制御部5に接続されており、薬液ポンプ27の動作は制御部5によって制御される。
【0038】
また、本実施形態では一例として、薬液は、薬液ボトル18から供給された消毒液の原液を、水によって所定の比率で希釈したものである。本実施形態の薬液タンク20は、薬液ボトル18から供給された消毒液の原液を薬液タンク20内に導入するボトル接続部19、および希釈用の水を薬液タンク20内に導入する希釈管路48に連通している。薬液ボトル18がボトル接続部19に接続されることにより、消毒液の原液が薬液タンク20内に導入される。希釈管路48から薬液タンク20内に水を導入する構成については後述する。
【0039】
なお、内視鏡リプロセッサ1は、薬液を水等によって希釈する構成を有していなくともよい。また、薬液が複数種類の原液を混合して使用されるものである場合には、ボトル接続部19は複数の薬液ボトル18に接続可能である。
【0040】
また、本実施形態では一例として、消毒は、濃度が薬効を有する所定の範囲内である場合には、再使用可能である。薬液タンク20は、薬液タンク20内から処理槽2内に移送された薬液を回収して再び貯留する薬液回収部を兼ねる。
【0041】
また、薬液タンク20には、排液部28が配設されている。排液部28は、薬液タンク20内から薬液または水等の液体を排出する。排液部28は、重力によって薬液タンク20内から液体を排出する構成であってもよいし、ポンプによって強制的に薬液タンク20内から液体を排出する構成であってもよい。
【0042】
本実施形態では一例として、排液部28は、薬液タンク20の底面または底面付近に設けられた排液口20aに連通するドレーン管路28aと、ドレーン管路28aを開閉するドレーンバルブ28bと、を含む。ドレーンバルブ28bは、制御部5によって開閉の制御がなされる電磁開閉弁であってもよいし、使用者の手動操作によって開閉が行われるコックであってもよい。
【0043】
なお、薬液タンク20内から液体を排出する経路は、ドレーン管路28aのみに限られない。例えば、薬液ポンプ27の運転を開始することによって、薬液管路26および薬液ノズル12を経由して、薬液タンク20内から液体を処理槽2内に排出することも可能である。この場合、内視鏡リプロセッサ1は、
図1に示される排液口20a、ドレーン管路28a、およびドレーンバルブ28bを含まない構成であってもよい。
【0044】
排液口11は、処理槽2内の最も低い箇所に設けられた開口部である。排液口11は、排出管路21に接続されている。排出管路21は、排液口11と切替バルブ22とを連通している。切替バルブ22には、回収管路23および廃棄管路25が接続されている。切替バルブ22は、排出管路21を閉塞した状態、排出管路21と回収管路23とを連通した状態、または排出管路21と廃棄管路25とを連通した状態、に切り替え可能である。切替バルブ22は制御部5に接続されており、切替バルブ22の動作は制御部5によって制御される。
【0045】
回収管路23は、薬液タンク20と切替バルブ22とを連通している。また、廃棄管路25には排出ポンプ24が設けられている。排出ポンプ24は制御部5に接続されており、排出ポンプ24の動作は制御部5によって制御される。廃棄管路25は、内視鏡リプロセッサ1から排出される液体を受け入れるための排液設備に接続される。
【0046】
切替バルブ22を閉状態とすれば、処理槽2内に液体を貯留することができる。また、処理槽2内に薬液が貯留されている時に、切替バルブ22を排出管路21と回収管路23とが連通した状態とすれば、薬液が処理槽2から薬液タンク20に移送される。また、切替バルブ22を排出管路21と廃棄管路25とが連通した状態とし、排出ポンプ24の運転を開始すれば、処理槽2内の液体が廃棄管路25を経由して排液設備に送出される。このように、排液口11、排出管路21および切替バルブ22は、水位調整部60の一部を構成する。
【0047】
循環口13は、処理槽2の底面付近に設けられた開口部である。循環口13は、循環管路13aに連通している。循環管路13aは、内視鏡循環管路30および処理槽循環管路40の二つの管路に分岐している。
【0048】
内視鏡循環管路30は、循環管路13aと後述するチャンネルブロック32とを連通している。内視鏡循環管路30には、循環ポンプ33が設けられている。循環ポンプ33は、稼働することにより内視鏡循環管路30内の流体をチャンネルブロック32に向かって移送する。
【0049】
チャンネルブロック32には、前述の内視鏡循環管路30の他に、吸気管路34、アルコール管路38および送出管路31が接続されている。チャンネルブロック32は、送出管路31と、内視鏡循環管路30、吸気管路34およびアルコール管路38とを接続している。チャンネルブロック32は、内視鏡循環管路30、吸気管路34およびアルコール管路38のそれぞれから、チャンネルブロック32内へ向かう方向にのみ流体の流れを許容する逆止弁が設けられている。すなわち、チャンネルブロック32内から、内視鏡循環管路30、吸気管路34およびアルコール管路38に向かって流体が流れないようになっている。
【0050】
吸気管路34は、一方の端部が大気に開放されており、他方の端部がチャンネルブロック32に接続されている。なお、図示しないが、吸気管路34の一方の端部には、通過する気体を濾過するフィルタが設けられている。エアポンプ35は、吸気管路34に設けられており、稼働することにより吸気管路34内の気体をチャンネルブロック32に向かって移送する。
【0051】
アルコール管路38は、アルコールを貯留するアルコールタンク37とチャンネルブロック32とを連通している。アルコールタンク37内に貯留されるアルコールは、例えばエタノールが挙げられる。アルコール濃度については、適宜に選択することができる。アルコールポンプ39は、アルコール管路38に設けられており、稼働することによりアルコールタンク37内のアルコールをチャンネルブロック32に向かって移送する。
【0052】
循環ポンプ33、エアポンプ35およびアルコールポンプ39は、制御部5に接続されており、これらの動作は制御部5によって制御される。処理槽2内に液体が貯留されている場合に、循環ポンプ33の運転を開始すれば、処理槽2内の液体が、循環口13、循環管路13aおよび内視鏡循環管路30を経由して、送出管路31に送り込まれる。また、エアポンプ35の運転を開始すれば、空気が送出管路31に送り込まれる。また、アルコールポンプ39の運転を開始すれば、アルコールタンク37内のアルコールが送出管路31に送り込まれる。
【0053】
送出管路31は、内視鏡接続管路31bおよびケース接続管路31cに分岐している。内視鏡接続管路31bは、内視鏡接続部16に接続されている。また、ケース接続管路31cは、付属品ケース17に接続されている。
【0054】
また、送出管路31には、流路切替部31aが設けられている。流路切替部31aは、送出管路31と内視鏡接続管路31bとを常時接続するリリーフ弁であって、内視鏡接続管路31b内の圧力が所定の値を超えた場合に、送出管路31から流入する流体をケース接続管路31cに逃がす。すなわち、流路切替部31aは、内視鏡接続管路31b内の圧力を一定に保つ。
【0055】
内視鏡接続部16は、内視鏡に設けられた口金に接続される。内視鏡接続部16は、口金に直接接続される形態であってもよいし、接続チューブを介して口金に接続される形態であってもよい。付属品ケース17は、内視鏡の図示しない付属品を収容するかご状の部材である。
【0056】
チャンネルブロック32から送出管路31に送出された流体は、内視鏡接続部16および接続チューブを介して、内視鏡の口金に連通する管路内に導入される。管路内に導入される流体の圧力が、リリーフ弁である流路切替部31aが作動する値を超えると、当該流体は、内視鏡の管路内の他に、ケース接続管路31cを経由して付属品ケース17内にも導入される。
【0057】
処理槽循環管路40は、循環管路13aと循環ノズル14とを連通している。循環ノズル14は、処理槽2内に設けられた開口部である。処理槽循環管路40には、流液ポンプ41が設けられている。流液ポンプ41は制御部5に接続されており、流液ポンプ41の動作は制御部5によって制御される。
【0058】
また、処理槽循環管路40の流液ポンプ41と循環ノズル14との間には、三方弁42が設けられている。三方弁42には、給水管路43が接続されている。三方弁42は、循環ノズル14と処理槽循環管路40とを連通した状態、または循環ノズル14と給水管路43とを連通した状態、に切り替え可能である。
【0059】
給水管路43は、三方弁42と水供給源接続部46とを連通している。給水管路43には、給水管路43を開閉する水導入バルブ45および水を濾過する水フィルタ44が設けられている。水供給源接続部46は、例えばホース等を介して、水を送出する水道設備等の水供給源49に接続される。
【0060】
給水管路43の、水フィルタ44と三方弁42との間の区間には、希釈バルブ47が設けられている。希釈バルブ47には、希釈バルブ47と薬液タンク20とを連通する希釈管路48が接続されている。希釈バルブ47は、水フィルタ44と三方弁42とを連通した状態、または水フィルタ44と希釈管路48とを連通した状態、に切り替え可能である。三方弁42、水導入バルブ45および希釈バルブ47は、制御部5に接続されており、これらの動作は制御部5によって制御される。
【0061】
処理槽2内に液体が貯留されている場合に、三方弁42を循環ノズル14と処理槽循環管路40とを連通した状態とし、希釈バルブ47を水フィルタ44と三方弁42とを連通した状態として、流液ポンプ41の運転を開始すれば、処理槽2内の液体が、循環口13、循環管路13aおよび処理槽循環管路40を経由して、循環ノズル14から吐出される。
【0062】
また、三方弁42を、循環ノズル14と給水管路43とを連通した状態とし、希釈バルブ47を水フィルタ44と三方弁42とを連通した状態として、水導入バルブ45を開状態とすれば、水供給源49から供給された水が循環ノズル14から吐出される。循環ノズル14から吐出された液体は、処理槽2内に導入される。すなわち、循環ノズル14、給水管路43および水導入バルブ45は、処理槽2内に水を供給する第3供給部63を構成する。
【0063】
また、希釈バルブ47を水フィルタ44と希釈管路48とを連通した状態とし、水導入バルブ45を開状態とすれば、水供給源49から供給された水が薬液タンク20内に導入される。
【0064】
保持部70は、処理槽2内に配置された内視鏡を所定の姿勢で保持する。保持部70については後述する。
【0065】
次に、処理槽2内における所定の第1水位L1および第2水位L2と、保持部70の詳細について説明する。
【0066】
図2は、内部に内視鏡100が配置された処理槽2の垂直な平面による断面を示す図である。
図2において、図面に正対して図の上方が内視鏡リプロセッサ1の上方である。また、
図3は、内視鏡100が配置された処理槽2を、上方から見た斜視図である。
図3では蓋3の記載を省略してある。
【0067】
内視鏡100は、使用時に人体等の被検体内に挿入する細長の挿入部102と、挿入部102に接続された操作部101と、を備える。操作部101には、操作ハンドル101aが設けられた側面である第1面101bが設けられている。操作ハンドル101aは、第1面101bから突出している。操作ハンドル101aは、複数の操作部材を含んでおり、内視鏡100が可動部付き内視鏡である場合には、可動部を動かすための操作部材を含む。
【0068】
操作部101の、第1面101bを除く側面には、口金103が設けられている。口金103は、内視鏡100内に挿通された管路に連通する開口部を有する。処理槽2内に配置された内視鏡100の口金103には、接続チューブ71が接続される。接続チューブ71は、口金103と、処理槽2内に設けられた内視鏡接続部16とを連通する。内視鏡100の構成は公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0069】
保持部70は、内視鏡100の操作部101を所定の姿勢で所定の位置に保持する。具体的には、保持部70は、操作部101の第1面101bが略上方を向くように、操作部101を保持する。すなわち、保持部70は、操作ハンドル101aが略上方に向かって突出するように、操作部101を保持する。保持部70が操作部101を保持した状態では、操作部101に設けられた口金103は、第1面101bよりも低い位置に位置する。
【0070】
また、保持部70は、挿入部102の先端部102aを、口金103と同じ高さ、または口金103よりも低い位置に保持する先端部保持部70aを備える。
【0071】
処理槽2内において、第1水位L1は、第2水位L2よりも高い。第1水位L1は、処理槽2内に配置された内視鏡100の最も高い箇所よりも高い。したがって、処理槽2内において第1水位L1まで液体を貯留した場合には、内視鏡100の全体が液体中に没する。
【0072】
第2水位L2は、処理槽2内に配置された内視鏡100の操作部101から略上方に突出する操作ハンドル101aの頂部よりも低く、口金103よりも高い。
図4は、処理槽2内に内視鏡100を配置し、液体72を第2水位L2まで貯留した状態を示す斜視図である。
【0073】
図4に示すように、処理槽2内において第2水位L2まで液体72を貯留した場合には、操作ハンドル101aの少なくとも一部が、液体72の液面上に露出する。そして、処理槽2内において第2水位L2まで液体72を貯留した場合には、口金103および挿入部102の先端部102aは、液体72中に没する。
【0074】
なお、
図2および
図4では、第2水位L2が、処理槽2内に配置された内視鏡100の操作部101の第1面101bよりも高い様子を示しているが、第2水位L2は、第1面101bより低くてもよい。
【0075】
次に、制御部5による制御に基づく内視鏡リプロセッサ1の動作を説明する。以下に説明する動作は、制御部5の制御によって実行される。
図5は、内視鏡リプロセッサ1が実行する再生処理のフローチャートである。
【0076】
再生処理では、まず、ステップS11において、内視鏡情報読取部7aを経由した内視鏡情報の入力を受け付ける。本実施形態では一例として、使用者が内視鏡100に付されたRFIDタグを内視鏡情報読取部7aに近接させることによって、内視鏡情報が内視鏡情報読取部7aを介して制御部5に入力される。使用者は、内視鏡情報を内視鏡情報読取部7aに読み取らせた後に、内視鏡100を処理槽2内に配置する。
【0077】
次に、ステップS12において、使用者からの再生処理開始の動作指示の操作部7への入力を受け付ける。再生処理開始の動作指示が操作部7に入力された場合には、ステップS13に移行する。
【0078】
ステップS13では、蓋3が処理槽2の開口部を閉じる閉鎖位置に位置しているか否かを、蓋閉鎖検知部3bによって確認する。蓋3が閉鎖位置に無い場合には、使用者によって蓋3が閉鎖位置に動かされるまで待機する。蓋3が閉鎖位置にあることを確認した後は、ステップS14に移行する。
【0079】
ステップS14では、ロック3aを固定状態として蓋3を処理槽2の開口部を閉じる位置に保持する。ステップS14の実行により、蓋3の開放位置への移動が抑制される。
【0080】
次に、ステップS15において、洗浄処理を実行する。洗浄処理は、処理槽2内において、内視鏡100を洗浄液を含む液体中に水没させ、内視鏡100の外側の表面や管路内の表面等と液体とを接触させる液没処理である。本実施形態の洗浄処理では、第1供給部61により洗浄液を処理槽2内に供給し、また第3供給部63により水を処理槽2内に供給することにより、洗浄液と水を混合した液体を用いて、
図6に示すフローチャートの液没処理を実行する。液没処理の詳細については後述する。
【0081】
ステップS15の洗浄処理の実行後は、ステップS16に移行してすすぎ処理を実行する。すすぎ処理は、処理槽2内において、内視鏡100を水である液体中に水没させ、内視鏡100の外側の表面や管路内の表面等と液体とを接触させる液没処理である。ステップS16のすすぎ処理の実行により、内視鏡100に付着する洗浄液が流し落とされる。
【0082】
ステップS16のすすぎ処理の実行後は、ステップS17に移行して消毒処理または滅菌処理を実行する。消毒処理または滅菌処理は、処理槽2内において、内視鏡100を消毒液または滅菌液である液体中に水没させ、内視鏡100の外側の表面や管路内の表面等と液体とを接触させる液没処理である。本実施形態の消毒処理または滅菌処理では、第3供給部63により消毒液を処理槽2内に供給し、消毒液を用いて
図6に示すフローチャートの液没処理を実行する。液没処理の詳細については後述する。
【0083】
ステップS17の消毒処理または滅菌処理の実行後は、ステップS18に移行してすすぎ処理を実行する。すすぎ処理は、処理槽2内において、内視鏡100を水である液体中に水没させ、内視鏡100の外側の表面や管路内の表面等と液体とを接触させる液没処理である。ステップS18のすすぎ処理の実行により、内視鏡100に付着する消毒液または滅菌液が流し落とされる。
【0084】
ステップS15からステップS18の液没処理の実行により、処理槽2内に配置された内視鏡100に対する再生処理が完了する。ステップS15からステップS18の液没処理の実行後は、ステップS19に移行し、ロック3aを開放状態とする。ステップS19の実行により、蓋3の開放位置への移動が可能となるため、使用者は再生処理が施された内視鏡100を処理槽2内から取り出すことができる。
【0085】
次に、内視鏡リプロセッサ1が実行する液没処理の動作について説明する。
図6は、液没処理のフローチャートである。
【0086】
前述のように、液没処理とは、処理槽2内において、内視鏡100を所定の液体中に水没させる処理の総称である。本実施形態では一例として、液没処理には、洗浄処理と、すすぎ処理と、消毒処理または滅菌処理と、が含まれる。洗浄処理では、洗浄液および水を混合した液体中に、内視鏡100を水没させる。また、すすぎ処理では、水である液体中に内視鏡100を水没させる。また、消毒処理または滅菌処理では、消毒液または滅菌液である液体中に内視鏡100を水没させる。
【0087】
液没処理の開始時点においては、ステップS14で説明したように、ロック3aは、蓋3を処理槽2の開口部を閉じる位置に保持する固定状態である。
【0088】
液没処理では、まずステップS101において、判別部5aにより処理槽2内に配置されている内視鏡100が可動部付き内視鏡であるか、または可動部無し内視鏡であるか、を判別する。前述のように、判別部5aは、内視鏡情報に基づいて、内視鏡100が可動部付き内視鏡であるか否かを判別する。
【0089】
ステップS101において、判別部5aが、内視鏡100は可動部無し内視鏡であると判別した場合には、ステップS102へ移行する。
【0090】
ステップS102では、処理槽2内に液体を導入し、第1水位L1まで液体が貯留されるように水位調整部60を制御する第1水位制御を実行する。具体的には、第1水位制御では、切替バルブ22を閉状態とした後に、水位調整部60により液体を処理槽2内に導入する。そして、水位判別部65により液面の高さが第1水位L1に達したことを検出したら、水位調整部60による液体の導入を停止する。
【0091】
ステップS102の実行により、処理槽2内に配置された内視鏡100の全体が液体中に没する。ステップS102の実行後は、ステップS103に移行する。
【0092】
ステップS103では、循環ポンプ33および流液ポンプ41を所定の時間運転し、処理槽2内に貯留されている液体を循環させる。前述のように、循環ポンプ33を運転することにより、処理槽2内の液体は、循環口13から吸い込まれた後に、内視鏡接続部16、接続チューブ71および口金103を経由して内視鏡100の管路内に送り込まれる。内視鏡100の管路内に送り込まれた液体は、管路を通過した後に処理槽2内に戻る。また、流液ポンプ41を運転することにより、処理槽2内の液体は、循環口13から吸い込まれた後に、処理槽循環管路40および循環ノズル14を経由して処理槽2内に戻る。
【0093】
ステップS103の実行により、内視鏡100の外側および管路内において液体の流れが生じるため、内視鏡の外側の表面および管路の表面が液体と接触する。例えば、液体が洗浄液および水を混合したものであれば、ステップS103により、内視鏡100に対する洗浄処理が行われる。また例えば、液体が水であれば、ステップS103により、内視鏡100に対するすすぎ処理が行われる。また例えば、液体が消毒液または滅菌液であれば、ステップS103により、内視鏡100に対する消毒処理または滅菌処理が行われる。ステップS103の実行後は、ステップS104に移行する。
【0094】
ステップS104では、水位調整部60により、処理槽2内の液体を排出する。具体的には、排液口11、排出管路21および切替バルブ22を経由して、処理槽2内の液体を処理槽2外に排出する。
【0095】
処理槽2内に貯留されている液体が、例えば水や洗浄液のように再使用しない液体である場合には、切替バルブ22を排出管路21と廃棄管路25とが連通した状態とし、排出ポンプ24の運転を開始し、処理槽2内の液体を廃棄管路25に排出する。また例えば、処理槽2内に貯留されている液体が、再使用可能な消毒液である場合には、切替バルブ22を排出管路21と回収管路23とが連通した状態とし、処理槽2内の液体を薬液タンク20に移送する。
【0096】
ステップS104の実行により、処理槽2内に貯留されている液体が全て排出され、液没処理が終了する。
【0097】
次に、ステップS101において、判別部5aが、内視鏡100は可動部付き内視鏡であると判別した場合の液没処理について説明する。ステップS101において、判別部5aが、内視鏡100は可動部付き内視鏡であると判別した場合には、ステップS111へ移行する。
【0098】
ステップS111では、処理槽2内に液体を導入し、第1水位L1まで液体が貯留されるように水位調整部60を制御する第1水位制御を実行する。具体的には、第1水位制御では、切替バルブ22を閉状態とした後に、水位調整部60により液体を処理槽2内に導入する。そして、水位判別部65により液面の高さが第1水位L1に達したことを検出したら、水位調整部60による液体の導入を停止する。
【0099】
ステップS111の実行により、処理槽2内に配置された内視鏡100の全体が液体中に没する。ステップS111の実行後は、ステップS112に移行する。
【0100】
ステップS112では、循環ポンプ33および流液ポンプ41を所定の時間運転し、処理槽2内に貯留されている液体を循環させる。前述のように、循環ポンプ33を運転することにより、処理槽2内の液体は、循環口13から吸い込まれた後に、内視鏡接続部16、接続チューブ71および口金103を経由して内視鏡100の管路内に送り込まれる。内視鏡100の管路内に送り込まれた液体は、管路を通過した後に処理槽2内に戻る。また、流液ポンプ41を運転することにより、処理槽2内の液体は、循環口13から吸い込まれた後に、処理槽循環管路40および循環ノズル14を経由して処理槽2内に戻る。
【0101】
ステップS112の実行により、内視鏡100の外側および管路内において液体の流れが生じるため、内視鏡の外側の表面および管路の表面が液体と接触する。
【0102】
ステップS111およびステップS112は、判別部5aが、内視鏡100は可動部無し内視鏡であると判別した場合に実行されるステップS102およびステップS103と同一である。したがって、例えば、液体が洗浄液および水を混合したものであれば、ステップS112により、内視鏡100に対する洗浄処理が行われる。また例えば、液体が水であれば、ステップS112により、内視鏡100に対するすすぎ処理が行われる。また例えば、液体が消毒液または滅菌液であれば、ステップS112により、内視鏡100に対する消毒処理または滅菌処理が行われる。ステップS112の実行後は、ステップS13に移行する。なお、S101で可動部付き内視鏡であると判別した場合に、ステップS111とS112を省略してステップS113に移行しても良い。
【0103】
ステップS113では、第2水位L2まで液体が貯留されるように水位調整部60を制御する第2水位制御を実行する。本実施形態では、ステップS113の実行前の時点において、処理槽2内には第2水位L2よりも高い第1水位L1まで液体が貯留されている。したがって、第2水位制御では、水位調整部60により処理槽2内の液体を排出する動作を開始する。そして、水位判別部65により液面の高さが第2水位L2に達したことを検出したら、水位調整部60による液体の排出を停止する。ステップS111とS112を省略してステップS113に移行する場合はステップS113の実行前の時点において、処理槽2内には液体が貯留されていない。したがって、第2水位制御では、水位調整部60により処理槽2内に液体を供給する動作を開始する。そして、水位判別部65により液面の高さが第2水位L2に達したことを検出したら、水位調整部60による液体の供給を停止する。
【0104】
なお、ステップS113の第2水位制御の実行前に、処理槽2内の液体を全て排出する動作を行ってもよい。この場合には、第2水位制御では、切替バルブ22を閉状態とした後に、水位判別部65により液面の高さが第2水位L2に達したことを検出するまで、水位調整部60により液体を処理槽2内に導入する。
【0105】
ステップS113の第2水位制御の実行により、処理槽2内に貯留されている液体の液面は第2水位L2となる。すなわち、ステップS113の第2水位制御の実行後は、
図4に示すように、内視鏡100の操作ハンドル101aの少なくとも一部が、液体72の液面上に露出し、口金103および挿入部102の先端部102aは、液体72中に没する。ステップS113の実行後は、ステップS114に移行する。
【0106】
ステップS114では、ロック3aを開放状態とする。したがって、ステップS114の実行により、蓋3を処理槽2の開口部を開放する位置に移動させることが可能となる。ステップS114の実行後は、ステップS115に移行する。
【0107】
ステップS115では、報知部8を駆動して、第2水位制御が完了し、ロック3aが開放状態となったことを、使用者に報知する。例えば、ステップS115では、報知部8を駆動することによってスピーカから所定の音を発生させる。ステップS115の実行後は、ステップS116に移行する。
【0108】
ステップS116では、蓋閉鎖検知部3bにより、蓋3が処理槽2の開口部を閉じる位置から一度移動した後に、再び蓋3が処理槽2の開口部を閉じる位置に位置したことを検知するまで待機する。すなわち、ステップS116では、使用者によって蓋3が操作されて処理槽2の開口部が開放された後に、再び閉じられるまで待機する。ステップS114からステップS116は、蓋3を使用者の操作によって処理槽2の開口部を開放する位置に移動させることが可能な状態とする蓋開放制御である。
【0109】
ステップS116の内視鏡リプロセッサ1が待機中となる期間中においては、使用者は蓋3を操作して処理槽2の開口部を開放することができる。また、ステップS116の期間中は、処理槽2内の第2水位L2まで液体が貯留された状態であるから、内視鏡100の操作ハンドル101aの少なくとも一部が、液体の液面上に露出しており、口金103および挿入部102の先端部102aは、液体中に没している。
【0110】
このため、ステップS116の期間中では、使用者は、処理槽2内に配置された内視鏡100の操作ハンドル101aを例えば手袋を装着した手指によって操作し、内視鏡100の挿入部102の先端部102aに設けられた可動部を動かすことが可能となる。このとき、先端部102aは液体中に没した状態であることから、可動部が液体中において動作するため、可動部を重点的に液体に接触させることができ、可動部に対して消毒処理、すすぎ処理、消毒処理または滅菌処理を重点的に施すことができる。
【0111】
また、フローチャートには示さないが、内視鏡リプロセッサ1は、使用者による操作部7への動作指示の入力に応じて、内視鏡接続部16から液体を送出してもよい。例えば、操作部7は液体送出スイッチを備えており、制御部5は、液体送出スイッチが操作された場合に、循環ポンプ33を運転して処理槽2内の液体を、循環口13、内視鏡接続部16、接続チューブ71および口金103を経由して内視鏡100の管路内に送り込む。管路の一部は、可動部である鉗子起上台に向かって開口していることから、内視鏡接続部16から送出された液体は、可動部に向かって吹き付けられるように流れる。
【0112】
このように、ステップS116の期間中において、操作部7への入力に応じて内視鏡接続部16から液体を送出する構成を有した内視鏡リプロセッサ1であれば、可動部をより重点的に液体に接触させることができる。
【0113】
また、内視鏡接続部16から液体を送出した場合、液体は、口金103と接続チューブ71と接続部に生じる隙間、および管路の開口部、を経由して処理槽2内に送出される。ここで、本実施形態では、液体が送出される箇所である口金103および管路の開口部の存在する先端部102aは、液体中に没している。このため、口金103および管路の開口部から送出される液体が空中に飛散することを防止できる。
【0114】
なお、ステップS116の期間中においては、使用者はシリンジを用いて液体を可動部に向かって吹き付けながら、操作ハンドル101aを操作して可動部を動作させてもよい。
【0115】
使用者は、内視鏡100が備える可動部を例えば所定の回数以上動作させた後に、蓋3を処理槽2の開口部を閉鎖する位置に移動させる。制御部5は、蓋閉鎖検知部3bにより、蓋3が処理槽2の開口部を閉じる位置に位置したことを検知したら、ステップS117へ移行する。
【0116】
ステップS117では、ロック3aを固定状態として蓋3を処理槽2の開口部を閉じる位置に保持する。ステップS117の実行により、蓋3の開放位置への移動が抑制される。
【0117】
次にステップS118において、処理槽2内に液体を導入し、第1水位L1まで液体が貯留されるように水位調整部60を制御する第1水位制御を実行する。具体的には、第1水位制御では、切替バルブ22を閉状態とした後に、水位調整部60により液体を処理槽2内に導入する。そして、水位判別部65により液面の高さが第1水位L1に達したことを検出したら、水位調整部60による液体の導入を停止する。ステップS118の実行により、処理槽2内に配置された内視鏡100の全体が液体中に没する。ステップS118の実行後は、ステップS119に移行する。
【0118】
ステップS119では、循環ポンプ33および流液ポンプ41を所定の時間運転し、処理槽2内に貯留されている液体を循環させる。
【0119】
ステップS118およびステップS119の実行により、ステップS116において内視鏡100の空気中に露出した箇所、および使用者の手指等と接触した箇所を、液体に接触させることができる。すなわち、ステップS118およびステップS119を実行することによって、ステップS116において異物等が付着した可能性のある箇所に、液体を接触させ、消毒処理、すすぎ処理、消毒処理または滅菌処理を施すことができる。なお、ステップS118およびステップS119は省略されてもよい。
【0120】
ステップS119の実行後は、ステップS120に移行する。ステップS120では、水位調整部60により、処理槽2内の液体を排出する。具体的には、排液口11、排出管路21および切替バルブ22を経由して、処理槽2内の液体を処理槽2外に排出する。
【0121】
処理槽2内に貯留されている液体が、例えば水や洗浄液のように再使用しない液体である場合には、切替バルブ22を排出管路21と廃棄管路25とが連通した状態とし、排出ポンプ24の運転を開始し、処理槽2内の液体を廃棄管路25に排出する。また例えば、処理槽2内に貯留されている液体が、再使用可能な消毒液である場合には、切替バルブ22を排出管路21と回収管路23とが連通した状態とし、処理槽2内の液体を薬液タンク20に移送する。
【0122】
ステップS120の実行により、処理槽2内に貯留されている液体が全て排出され、液没処理が終了する。
【0123】
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、処理槽2の開口部を覆う蓋3を固定するロック3aと、処理槽2内に洗浄液、消毒液、滅菌液および水のうちの少なくとも一つの液体を供給および排液する水位調整部60と、処理槽2内において内視鏡100の全体が水没する第1水位L1、および内視鏡100の一部が露出する第2水位L2を少なくとも検知する水位判別部65と、を備え、処理槽2内において液体中に内視鏡100を水没させる液没処理を実施する。
【0124】
また、内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡100の内視鏡情報を読み取る内視鏡情報読取部と、内視鏡情報に基づいて内視鏡が可動部付き内視鏡であるか否かを判別する判別部5aと、を備える。
【0125】
そして、内視鏡リプロセッサ1の制御部5は、判別部5aが可動部付き内視鏡であると判別した内視鏡100に対して液没処理を実施する場合に、当該液没処理の途中において、処理槽2内の液体の水位を第2水位L2として内視鏡100の一途を液面上に露出させる第2水位制御と、第2水位制御の後にロック3aによる蓋3の固定を解除する蓋開放制御と、を実行する。
【0126】
このような構成を有する本実施形態の内視鏡リプロセッサ1によれば、蓋開放制御の実行後に、使用者による操作ハンドル101aの操作によって、液体中に没した状態の可動部を動作させることができるため、可動部に対して重点的に液体による再生処理を施すことが可能となる。また、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、電動モータ等の可動部を自動的に動作させるための機構が不要であるため、簡易な構成で安価に実現することができる。
【0127】
本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内視鏡リプロセッサもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。