特許第6609904号(P6609904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6609904
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】デジタルアンプ
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/217 20060101AFI20191118BHJP
   H03G 3/02 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   H03F3/217
   H03G3/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-210343(P2014-210343)
(22)【出願日】2014年10月15日
(65)【公開番号】特開2016-82338(P2016-82338A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年6月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】710014351
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川口 剛
(72)【発明者】
【氏名】中西 芳徳
【審査官】 石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−173612(JP,A)
【文献】 特開平04−123635(JP,A)
【文献】 特開昭52−013759(JP,A)
【文献】 国際公開第2000/070752(WO,A1)
【文献】 特開2008−160580(JP,A)
【文献】 特開2005−347833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00−3/45
H03F 3/50−3/52
H03F 3/62−3/64
H03F 3/68−3/72
H03G 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1ビットデジタル信号から、3値信号を生成する信号生成回路と、
前記信号生成回路が生成した前記3値信号の音量を調整する音量調整回路と、
前記音量調整回路が音量を調整した前記3値信号に基づいて、単電源に接続されたスピーカーを、正電流オン、負電流オン、及び、オフの3値の通電状態で選択的に駆動する1価3値駆動デルタシグマアンプと、
を備え、
前記信号生成回路は、クロック信号に基づいて、前記1ビットデジタル信号から、前記3値信号を生成し、
前記1ビットデジタル信号の論理値が1であって前記クロック信号の論理値が一方の論理値である場合に、論理値が1の信号を出力し、
前記1ビットデジタル信号の論理値が0であって前記クロック信号の論理値が一方の論理値である場合に、論理値が−1の信号を出力し、
前記1ビットデジタル信号の論理値が0又は1であって前記クロック信号の論理値が他方の論理値である場合に、論理値が0の信号を出力し、
前記信号生成回路は、駆動回路と、スイッチ群と、を備え、
前記スイッチ群は、
論理値1に対応する第1電位に接続された第1スイッチと、
論理値−1に対応する第2電位に接続された第2スイッチと、
論理値0に対応する第3電位に接続された第3スイッチと、を備え、
前記駆動回路は、
前記1ビットデジタル信号の論理値が1であって前記クロック信号の論理値が一方の論理値である場合に、前記第1スイッチをオンするための制御信号を出力し、
前記1ビットデジタル信号の論理値が0であって前記クロック信号の論理値が一方の論理値である場合に、前記第2スイッチをオンするための制御信号を出力し、
前記第3スイッチは、前記クロック信号の論理値が他方の論理値である場合にオンすることを特徴とするデジタルアンプ。
【請求項2】
前記1ビットデジタル信号は、PDM信号であることを特徴とする請求項1に記載のデジタルアンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルアンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1ビットデジタル信号を音量調整し、1ビットデジタルアンプに入力することが記載されている。ここで、1ビットデジタルアンプにおいて、1ビットデジタル信号のまま、スピーカーを駆動しようとすると、スピーカーに常にパルス波形が入力されることになり、消費電力が増大するという問題がある。そこで、出願人は、単電源に接続されたスピーカーを正電流で駆動する状態(正オン)、負電流で駆動する状態(負オン)、及びオフ状態の3つの駆動状態を実現することで、無信号(オフ)時に消費電力を抑制することができることを見出した。そして、スピーカーを正電流で駆動する状態(正オン)、負電流で駆動する状態(負オン)、及びオフ状態の3つの駆動状態を実現する1価3値駆動デルタシグマアンプ(信号変調回路)を発明した(特願2014−009807号等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3698917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、1価3値駆動デルタシグマアンプは、通常、単電源での動作となっている。このため、入力されるデジタル信号と、デジタル信号の音量を調整する音量調整回路と、1価3値駆動デルタシグマアンプと、の基準点を一致させなければ、DCオフセット等によるノイズが発生するという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、入力されるデジタル信号と、音量調整回路と、1価3値駆動デルタシグマアンプと、の基準点を一致可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明のデジタルアンプは、1ビットデジタル信号から、3値信号を生成する信号生成回路と、前記信号生成回路が生成した前記3値信号の音量を調整する音量調整回路と、前記音量調整回路が音量を調整した前記3値信号に基づいて、単電源に接続されたスピーカーを、正電流オン、負電流オン、及び、オフの3値の通電状態で選択的に駆動する1価3値駆動デルタシグマアンプと、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明では、信号生成回路は、1ビットデジタル信号から、3値信号を生成する。このため、1ビットデジタル信号から生成された3値信号と、音量調整回路と、1価3値駆動デルタシグマアンプと、の基準点を一致させることができる。これにより、DCオフセット等によるノイズを抑制することができる。
【0008】
また、本発明によれば、入力からスピーカーまで、フルデジタルの装置を実現することができる。
【0009】
また、本発明では、1価3値駆動デルタシグマアンプは、単電源に接続されたスピーカーを、正電流オン、負電流オン、及び、オフの3値の通電状態で選択的に駆動しているため、無信号(オフ)時にスイッチングが行われず、2値信号でスピーカーを駆動するデジタルアンプに比べて、消費電力を小さく抑えることができる。
【0010】
第2の発明のデジタルアンプは、第1の発明のデジタルアンプにおいて、前記信号生成回路は、クロック信号に基づいて、前記1ビットデジタル信号から、前記3値信号を生成し、前記1ビットデジタル信号の論理値が1であって前記クロック信号の論理値が一方の論理値である場合に、論理値が1の信号を出力し、前記1ビットデジタル信号の論理値が0であって前記クロック信号の論理値が一方の論理値である場合に、論理値が−1の信号を出力し、前記1ビットデジタル信号の論理値が0又は1であって前記クロック信号の論理値が他方の論理値である場合に、論理値が0の信号を出力することを特徴とする。
【0011】
本発明では、信号生成回路は、1ビットデジタル信号の論理値が1であってクロック信号の論理値が一方の論理値(例えば、1)である場合に、論理値が1の信号を出力する。また、信号生成回路は、1ビットデジタル信号の論理値が0であってクロック信号の論理値が一方の論理値(例えば、1)である場合に、論理値が−1の信号を出力する。また、信号生成回路は、1ビットデジタル信号の論理値が0又は1であってクロック信号の論理値が他方の論理値(例えば、0)である場合に、論理値が0の信号を出力する。ここで、クロック信号は、一方の論理値と他方の論理値とが交互になっている。このため、3値信号は、1から0、0から1、−1から0、0から−1というように変化する。すなわち、3値信号は、1から−1に変化することはない。
【0012】
第3の発明のデジタルアンプは、第2の発明のデジタルアンプにおいて、前記信号生成回路は、駆動回路と、スイッチ群と、を備え、前記スイッチ群は、論理値1に対応する第1電位に接続された第1スイッチと、論理値−1に対応する第2電位に接続された第2スイッチと、論理値0に対応する第3電位に接続された第3スイッチと、を備え、前記駆動回路は、前記1ビットデジタル信号の論理値が1であって前記クロック信号の論理値が一方の論理値である場合に、前記第1スイッチをオンするための制御信号を出力し、前記1ビットデジタル信号の論理値が0であって前記クロック信号の論理値が一方の論理値である場合に、前記第2スイッチをオンするための制御信号を出力し、前記第3スイッチは、前記クロック信号の論理値が他方の論理値である場合にオンすることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、駆動回路と、スイッチ群と、を備えた簡易な回路により、3値信号を生成することができる。
【0014】
第4の発明のデジタルアンプは、第1〜第3の発明のいずれかのデジタルアンプにおいて、前記1ビットデジタル信号は、PDM信号であることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、2値のPDM信号から、3値のPDM信号を生成し、スピーカーを駆動させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、入力されるデジタル信号と、音量調整回路と、1価3値駆動デルタシグマアンプと、の基準点を一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るデジタルアンプの基本構成を示すブロック図である。
図2】信号生成回路の基本構成を示す図である。
図3】信号生成回路の回路構成を示す図である。
図4】信号のタイミングチャートを示す図である。
図5】1価3値駆動デルタシグマアンプの基本構成を示すブロック図である。
図6】1価3値波形生回路、及び、ドライバ回路の回路構成を示す図である。
図7】スピーカー駆動状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、デジタルアンプの基本構成を示すブロック図である。デジタルアンプ1は、信号生成回路2、音量調整回路3、1価3値駆動デルタシグマアンプ4を備える。本実施形態では、1ビットデジタル信号として、DSD(Direct Stream Digital)データのデータ信号、すなわち、2値のPDM(Pulse Density Modulation)信号が入力される。
【0019】
(信号生成回路)
信号生成回路2は、クロック信号に基づいて、1ビットデジタル信号(0、1)から、3値信号(+1、0、−1)を生成する。本実施形態では、上述のように、1ビットデジタル信号は、DSDデータのデータ信号である。信号生成回路2は、DSDデータのクロック信号に基づいて、2値のPDM信号(DSDデータのデータ信号)から3値のPDM信号を生成する。以下では、DSDデータのデータ信号を、単に「データ信号」、DSDデータのクロック信号を、単に「クロック信号」という。
【0020】
図2は、信号生成回路2の基本構成を示す図である。図2に示すように、信号生成回路2は、駆動回路21、スイッチ群SWを備える。スイッチ群SWは、3つのスイッチSW1(第1スイッチ)、SW2(第2スイッチ)、SW3(第3スイッチ)を備える。
【0021】
スイッチSW1とスイッチSW2とは、互いに直列に接続されている。スイッチSW1の一方の端子は、第1電位に設定されている。スイッチSW1の他方の端子は、スイッチSW2の一方の端子に接続されている。また、スイッチSW2の他方の端子は、第2電位に接続されている。また、スイッチSW3の一方の端子は、スイッチSW1とスイッチSW2との接続接点に接続されている。スイッチSW3の他方の端子は、第3電位に接続されている。スイッチSW1とスイッチSW2との接続接点から、信号生成回路2の出力信号が出力される。ここで、
第1電位>第3電位>第2電位
である。また、3値信号のうち、第1電位が、+1に対応し、第2電位が、−1に対応し、第3電位が、0に対応する。
【0022】
駆動回路21は、データ信号、クロック信号に基づき、スイッチSW1〜SW3にそれぞれ制御信号を出力し、スイッチSW1〜SW3を以下のように、オン又はオフに制御する。
<データ信号が論理値1(Hi)でクロック信号1(Hi)の場合>
スイッチSW1:オン
スイッチSW2:オフ
スイッチSW3:オフ
この場合、出力電位は、第1電位(+1)に設定される。
<データ信号が論理値0(Low)でクロック信号1(Hi)の場合>
スイッチSW1:オフ
スイッチSW2:オン
スイッチSW3:オフ
この場合、出力電位は、第2電位(−1)に設定される。
<データ信号が論理値0(Low)でクロック信号0(Low)の場合>
スイッチSW1:オフ
スイッチSW2:オフ
スイッチSW3:オン
この場合、出力電位は、第3電位(0)に設定される。
<データ信号が論理値1(Hi)でクロック信号0(Low)の場合>
スイッチSW1:オフ
スイッチSW2:オフ
スイッチSW3:オン
この場合、出力電位は、第3電位(0)に設定される。
【0023】
以上のようにして、データ信号の論理値とクロック信号の論理値とに応じて、+1(第1電位)、−1(第2電位)、及び、0(第3電位)の3つのいずれかの値を有する3値信号が出力される。
【0024】
以上が信号生成回路2の基本的な動作原理である。以下、信号生成回路2の回路構成を図3に基づいて説明する。信号生成回路2は、駆動回路21、3つのスイッチSW1〜S3(スイッチ群SW)を備える。駆動回路21は、2つのD型フリップフロップ21a、21bを備える。以下、「D型フリップフロップ」を「DFF」と表記する。スイッチSW1は、入力端子が第1電位(例えば、5V(Vcc))に接続されたスリーステートバッファである。スイッチSW2は、入力端子が第2電位(例えば、0V(接地))に接続されたスリーステートバッファである。スイッチSW3は、入力端子が第3電位(例えば、2.5V(Vref)に接続されたアナログスイッチである。上述のように、第1電位>第3電位>第2電位である。
【0025】
DFF21aの入力端子(D)には、データ信号VAが入力される。DFF21aのクロック端子(CP)及びクリア端子(Cバー)には、クロック信号VBが入力される。DFF21aのセット端子(Sバー)は、所定電位(VCC(例えば、5V))に接続されている。DFF21aの出力端子(Q)は、スイッチSW1の制御端子に接続されている。DFF21aは、制御信号VCをスイッチSW1の制御端子に出力する。
【0026】
DFF21bの入力端子(D)には、データ信号VAが入力される。DFF21bのクロック端子(CP)及びセット端子(Sバー)には、クロック信号VBが入力される。DFF21bのクリア端子(Cバー)は、所定電位(VCC(例えば、5V))に接続されている。DFF21bの反転出力端子(Qバー)は、スイッチSW2の制御端子に接続されている。DFF21bは、制御信号VDをスイッチSW2の制御端子に出力する。
【0027】
スイッチSW3には、クロック信号VBが入力される。
【0028】
図4は、信号VA〜VEのタイミングチャートを示す図である。信号VAはデータ信号、信号VBはクロック信号、信号VCはDFF21aの出力信号、信号VDはDFF21bの出力信号、信号VEは信号生成回路2からの出力信号である。DFF21a、21bは、クロック端子(CP)に入力されたクロック信号VBの立ち上がりエッジで信号を出力する。具体的には、DFF21aは、クロック信号VBの立ち上がりエッジでデータ信号VAが「0」(論理値)の場合、出力端子(Q)に、信号VCとして「0」を出力する(例えば、図4の(1))。また、DFF21aは、クロック信号VBの立ち上がりエッジでデータ信号VAが「1」の場合、出力端子(Q)に、信号VCとして「1」を出力する(例えば、図4の(2))。ここで、DFF21aは、クリア端子(Cバー)に「0」が入力されると、出力端子(Q)に、信号VCとして「0」を出力する(例えば、図4の(3))。クロック信号VBは、「1」と「0」が交互となっているため、DFF21aは、クロック信号VBの半周期「1」を出力した後、必ず「0」を出力する。
【0029】
また、DFF21bは、クロック信号VBの立ち上がりエッジでデータ信号VAが「0」の場合、反転出力端子(Qバー)に、信号VDとして「1」を出力する(例えば、図4の(4))。また、DFF21bは、クロック信号VBの立ち上がりエッジでデータ信号VAが「1」の場合、反転出力端子(Qバー)に、信号VDとして「0」を出力する(例えば、図4の(5))。ここで、DFF21bは、プリセット端子(Sバー)に「0」が入力されると、反転出力端子(Qバー)に、信号VCとして「0」を出力する。クロック信号VBは、「1」と「0」が交互となっているため、DFF21bは、クロック信号VBの半周期「1」を出力した後、必ず「0」を出力する。
【0030】
図4に示すように、結果的には、DFF21aは、データ信号VAの論理値が「1」であってクロック信号VBの論理値が「1」である場合に、論理値「1」の信号VCを出力する。これ以外の場合は、DFF21aは、論理値「0」の信号VCを出力する。また、DFF21bは、データ信号VAの論理値が「0」であってクロック信号の論理値が「1」である場合に、論理値「1」の信号VDを出力する。これ以外の場合は、DFF21bは、論理値「0」の信号VDを出力する。
【0031】
このような構成において、信号VC、VD、VBは、スイッチSW1〜SW3のそれぞれの制御信号として機能し、スイッチSW1〜SW3の状態は以下のように変化する。
【0032】
<データ信号VAが「1」、クロック信号VBが「1」の場合>
データ信号VAが「1」、クロック信号VBが「1」の場合、DFF21aからの出力信号VCは、「1」となる。信号VCが「1」であるから、スイッチSW1は、オンとなる。また、データ信号VAが「1」、クロック信号VBが「1」の場合、DFF21bからの出力信号VDは、「0」となる。信号VDが「0」であるから、スイッチSW2は、オフとなる。また、クロック信号VBが「1」である場合、スイッチSW3は、オフとなる。従って、スイッチSW1:オン、スイッチSW2:オフ、スイッチSW3:オフとなり、出力電位は、第1電位(+1)に設定される。
【0033】
<データ信号VAが「0」、クロック信号VBが「1」の場合>
データ信号VAが「0」、クロック信号VBが「1」の場合、DFF21aからの出力信号VCは、「0」となる。信号VCが「0」であるから、スイッチSW1は、オフとなる。また、データ信号VAが「0」、クロック信号VBが「1」の場合、DFF21bからの出力信号VDは、「1」となる。信号VDが「1」であるから、スイッチSW2は、オンとなる。また、クロック信号VBが「1」である場合、スイッチSW3は、オフとなる。従って、スイッチSW1:オフ、スイッチSW2:オン、スイッチSW3:オフとなり、出力電位は、第2電位(−1)に設定される。
【0034】
<データ信号VAが「0」、クロック信号VBが「0」の場合>
データ信号VAが「0」、クロック信号VBが「0」の場合、DFF21aからの出力信号VCは、「0」となる。信号VCが「0」であるから、スイッチSW1は、オフとなる。また、データ信号VAが「0」、クロック信号VBが「0」の場合、DFF21bからの出力信号VDは、「0」となる。信号VDが「0」であるから、スイッチSW2は、オフとなる。また、クロック信号VBが「0」である場合、スイッチSW3は、オンとなる。従って、スイッチSW1:オフ、スイッチSW2:オフ、スイッチSW3:オンとなり、出力電位は、第3電位(0)に設定される。
【0035】
<データ信号VAが「1」、クロック信号VBが「0」の場合>
データ信号VAが「1」、クロック信号VBが「0」の場合、DFF21aからの出力信号VCは、「0」となる。信号VCが「0」であるから、スイッチSW1は、オフとなる。また、データ信号VAが「1」、クロック信号VBが「0」の場合、DFF21bからの出力信号VDは、「0」となる。信号VDが「0」であるから、スイッチSW2は、オフとなる。また、クロック信号VBが「0」である場合、スイッチSW3は、オンとなる。従って、スイッチSW1:オフ、スイッチSW2:オフ、スイッチSW3:オンとなり、出力電位は、第3電位(0)に設定される。
【0036】
図4に示すタイミングチャートに基づいて、信号生成回路2から出力される信号VEについて説明する。
【0037】
データ信号VAが「1」、クロック信号VBが「1」の場合、上述のとおり、信号VCは「1」、信号VDは「0」、信号VBは「1」であるから、
スイッチSW1:オン
スイッチSW2:オフ
スイッチSW3:オフ
となり、信号生成回路2の出力信号VEは、+1(第1電位)に設定される(例えば、図4の(7))。
【0038】
データ信号VAが「0」、クロック信号VBが「1」の場合、上述のとおり、信号VCは「0」、信号VDは「1」、信号VBは「1」であるから、
スイッチSW1:オフ
スイッチSW2:オン
スイッチSW3:オフ
となり、信号生成回路2の出力信号VEは、−1(第2電位)に設定される(例えば、図4の(8))。
【0039】
データ信号VAが「0」、クロック信号VBが「0」の場合、上述のとおり、信号VCは「0」、信号VDは「0」、信号VBは「0」であるから、
スイッチSW1:オフ
スイッチSW2:オフ
スイッチSW3:オン
となり、信号生成回路2の出力信号VEは、0(第3電位)に設定される。
【0040】
データ信号VAが「1」、クロック信号VBが「0」の場合、上述のとおり、信号VCは「0」、信号VDは「0」、信号VBは「0」であるから、
スイッチSW1:オフ
スイッチSW2:オフ
スイッチSW3:オン
となり、信号生成回路2の出力信号VEは、0(第3電位)に設定される。
【0041】
(音量調整回路)
音量調整回路3は、信号生成回路2が生成した3値信号の音量を調整する。音量調整回路3は、例えば、電子ボリュームICである。ここで、音量調整回路3には、従来の電子ボリュームICを用いればよいため、詳細な説明は省略する。
【0042】
(1価3値駆動デルタシグマアンプ)
1価3値駆動デルタシグマアンプ4は、音量調整回路3が音量を調整した3値信号に基づいて、単電源に接続されたスピーカー5を、正電流オン、負電流オン、及び、オフの3値の通電状態で選択的に駆動する。「1価3値」とは、単電源で駆動されるスピーカー5に対し、正電流で駆動する状態(正オン)、負電流で駆動する状態(負オン)、オフの状態の3つの駆動状態を実現することを意味する。正電流、及び、負電流は、スピーカー5を流れる電流の向きが互いに逆であることを意味する。
【0043】
図5は、1価3値駆動デルタシグマアンプの基本構成を示すブロック図である。図5に示すように、1価3値駆動デルタシグマアンプ4は、減算器43と、積分器44と、位相反転回路45と、バイアス生成回路46a、46bと、DFF47a、47bと、クロック信号源48及び遅延回路49と、1価3値波形生成回路41と、ドライバ回路42と、パルス合成回路50と、を備える。1価3値駆動デルタシグマアンプ4には、音量調整回路3が音量を調整した3値信号が入力される。
【0044】
減算器43は、入力信号と帰還信号の差分を算出して積分器44に出力する。積分器44は、差分信号を積分してバイアス生成回路46a及び位相反転回路45に出力する。位相反転回路45は、積分器44の出力の位相を反転してバイアス生成回路46bに出力する。バイアス生成回路46a、46bは、それぞれ、積分器44の出力、及び、位相反転回路45の出力に、所定のバイアスを印加してDFF47a、47bに出力する。バイアス生成回路46a、46bは、積分器22の出力動作点を調整する。これは、無信号状態において、確実にゼロレベル(ゼロ電圧)としてスイッチングしない状態を実現するためである。
【0045】
DFF47a、47bは、それぞれ、バイアス生成回路46a、46bの出力を1ビットデジタル信号に変換して出力する。この際、DFF47a、47bは、リセット端子にクロック信号が供給されるタイミングにおいてゼロレベルを挿入しつつ、1ビットデジタル信号に変換する。
【0046】
1価3値波形生成回路41は、DFF46aからの出力、すなわち+1、0の2値信号と、DFF46bからの出力、すなわち−1、0の2値信号から、1価3値波形信号を生成する。ドライバ回路42は、1価3値波形生成回路41からの1価3値波形信号を用いてスピーカー5を駆動する。ドライバ回路42からの駆動信号は、スピーカー5に供給されるとともに、パルス合成回路50にも供給される。
【0047】
パルス合成回路50は、ドライバ回路42からの駆動信号を合成して帰還信号を生成して減算器43に帰還させる。
【0048】
図6は、1価3値波形生回路、及び、ドライバ回路の回路構成を示す図である。1価3値波形生成回路41は、NORゲート41a、41b、及び4つのNOTゲート41c〜41fから構成される。NOTゲート41c、41dには、NORゲート41aの出力信号が供給される。NOTゲート41e、41fには、NORゲート41bの出力信号が供給される。NOTゲート41c〜41fは、それぞれの入力信号を反転し、出力信号をそれぞれドライバ回路42に供給する。
【0049】
なお、NORゲート41aは、DFF47aの反転出力端子(Qバー)からの信号とDFF47bの出力端子(Q)からの信号を論理演算して出力する。また、NORゲート41bは、DFF47aの出力端子(Q)からの信号とDFF47bの反転出力端子(Qバー)からの信号を論理演算して出力する。
【0050】
ドライバ回路42は、レベルシフト回路42a1、42a2、ゲート駆動回路42b1〜42b4、スイッチングFET42c1〜42c4を備える。図7は、単電源でのスピーカー駆動の原理を説明するための図である。4つのスイッチングFET42c1〜42c4は、それぞれ、図7における4つのスイッチSW11〜SW14に対応する。スイッチングFET42c1、42c3は、PチャンネルFETである。スイッチングFET42c2、42c4は、NチャンネルFETである。
【0051】
スピーカー5は、互いに直列接続されたスイッチングFET42c1、42c2の接続接点に、一端が接続されている。また、スピーカー5は、互いに直列接続されたスイッチングFET42c3、42c4の接続接点に、他端が接続されている。スイッチングFET42c1、42c3は、単電源の正極側に接続されている。スイッチングFET42c2、42c4は、単電源の負極側に接続されている。従って、スイッチングFET42c1がオンし、スイッチングFET42c2がオフし、かつ、スイッチングFET42c3がオフし、スイッチングFET42c4がオンすると、
スイッチングFET42c1→スピーカー5→スイッチングFET42c4
と電流が流れ、正オン状態となる(図7(a)参照。)。
【0052】
また、スイッチングFET42c1がオフし、スイッチングFET42c2がオンし、かつ、スイッチングFET42c3がオンし、スイッチングFET42c4がオフすると、
スイッチングFET42c3→スピーカー5→スイッチングFET42c2
と電流が流れ、負オン状態となる(図7(b)参照。)。
【0053】
また、スイッチングFET42c1がオフし、スイッチングFET42c2がオンし、かつ、スイッチングFET42c3がオフし、スイッチングFET42c4がオンすると、スピーカー5には、電流が流れず、オフ状態(ショートによるオフ状態)となる(図7(c)参照。)。同様に、スイッチングFET42c1がオンし、スイッチングFET42c2がオフし、かつ、スイッチングFET42c3がオンし、スイッチングFET42c4がオフすると、スピーカー5には、電流が流れず、オフ状態(ショートによるオフ状態)となる(図7(d)参照。)。
【0054】
NOTゲート41c〜41fの出力信号は、4つのスイッチングFET42c1〜42c4を駆動するためのそれぞれのゲート駆動回路42b1〜42b4に供給される。すなわち、NOTゲート41cの出力信号は、レベルシフト回路42a1を介して、ゲート駆動回路42b1に供給され、スイッチングFET42c1を駆動する。NOTゲート41dの出力信号は、ゲート駆動回路42b2に供給され、スイッチングFET42c2を駆動する。NOTゲート41fの出力信号は、レベルシフト回路42a2を介して、ゲート駆動回路42b3に供給され、スイッチングFET42c3を駆動する。NOTゲート41eの出力信号は、ゲート駆動回路42b4に供給され、スイッチングFET42c4を駆動する。
【0055】
NORゲート41a、41bの出力が、それぞれ、「1」、「0」である場合、NOTゲート41c、41dの出力信号は、「1」を反転した「0」となり、NOTゲート41e、41fの出力信号は、「0」を反転した「1」となる。この場合、PチャンネルのスイッチングFET42c1はオン、NチャンネルのスイッチングFET42c2はオフ、PチャンネルのスイッチングFET42c3はオフ、NチャンネルのスイッチングFET42c4はオンとなり、電流は、
スイッチングFET42c1→スピーカー5→スイッチングFET42c4
と流れる(正オン状態。図7(a)参照。)。
【0056】
NORゲート41a、41bの出力が、それぞれ、「0」、「1」である場合、NOTゲート41c、41dの出力信号は、「0」を反転した「1」となり、NOTゲート41e、41fの出力信号は、「1」を反転した「0」となる。この場合、PチャンネルのスイッチングFET42c1はオフ、NチャンネルのスイッチングFET42c2はオン、PチャンネルのスイッチングFET42c3はオン、NチャンネルのスイッチングFET42c4はオフとなり、電流は、
スイッチングFET42c3→スピーカー5→スイッチングFET42c2
と流れる(負オン状態。図7(b)参照。)。
【0057】
NORゲート41a、41bの出力が、それぞれ、「1」である場合、NOTゲート41c〜41fの出力信号は、「1」を反転した「0」となる。この場合、PチャンネルのスイッチングFET42c1はオン、NチャンネルのスイッチングFET42c2はオフ、PチャンネルのスイッチングFET42c3はオン、NチャンネルのスイッチングFET42c4はオフとなり、スピーカー5に電流は流れない(オフ状態。図7(d)参照。)。
【0058】
NORゲート41a、41bの出力が、それぞれ、「0」である場合、NOTゲート41c〜41fの出力信号は、「0」を反転した「1」となる。この場合、PチャンネルのスイッチングFET42c1はオフ、NチャンネルのスイッチングFET42c2はオン、PチャンネルのスイッチングFET42c3はオフ、NチャンネルのスイッチングFET42c4はオンとなり、スピーカー5に電流は流れない(オフ状態。図7(c)参照。)。
【0059】
以上説明したように、本実施形態では、信号生成回路2は、1ビットデジタル信号から、3値信号を生成する。このため、1ビットデジタル信号から生成された3値信号と、音量調整回路3と、1価3値駆動デルタシグマアンプ4と、の基準点を一致させることができる。これにより、DCオフセット等によるノイズを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、入力からスピーカー5まで、フルデジタルの装置を実現することができる。
【0061】
また、本実施形態では、1価3値駆動デルタシグマンプ4は、単電源に接続されたスピーカー5を、正電流オン、負電流オン、及び、オフの3値の通電状態で選択的に駆動しているため、無信号(オフ)時にスイッチングが行われず、2値信号でスピーカーを駆動するデジタルアンプに比べて、消費電力を小さく抑えることができる。
【0062】
また、本実施形態では、信号生成回路2は、データ信号の論理値が1であってクロック信号の論理値が1である場合に、論理値が1の信号を出力する。また、信号生成回路2は、データ信号の論理値が0であってクロック信号の論理値が1である場合に、論理値が−1の信号を出力する。また、信号生成回路2は、データ信号の論理値が0又は1であってクロック信号の論理値が0である場合に、論理値が0の信号を出力する。ここで、クロック信号は、0と1が交互になっている。このため、3値信号は、1から0、0から1、−1から0、0から−1というように変化する(図4のVE参照。)。すなわち、3値信号は、1から−1に変化することはない。
【0063】
また、本実施形態によれば、駆動回路21と、スイッチ群SWと、を備えた簡易な回路により、3値信号を生成することができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、2値のPDM信号から、3値のPDM信号を生成し、スピーカー5を駆動することができる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【0066】
上述の実施形態においては、信号生成回路2は、データ信号の論理値が1であってクロック信号の論理値が1である場合に、論理値が1の信号を出力する。また、信号生成回路2は、データ信号の論理値が0であってクロック信号の論理値が1である場合に、論理値が−1の信号を出力する。また、信号生成回路2は、データ信号が0又は1であってクロック信号の論理値が0である場合に、論理値が0の信号を出力する。このように、クロック信号が1(High)で判定しているが、論理は逆であってもよい。
【0067】
すなわち、信号生成回路2は、データ信号の論理値が1であってクロック信号の論理値が0である場合に、論理値が1の信号を出力するようになっていてもよい。また、信号生成回路2は、データ信号の論理値が0であってクロック信号の論理値が0である場合に、論理値が−1の信号を出力するようになっていてもよい。また、信号生成回路2は、データ信号が0又は1であってクロック信号の論理値が1である場合に、論理値が0の信号を出力するようになっていてもよい。
【0068】
上述の実施形態においては、DFF21a、21bを備える駆動回路21を例示した。これに限らず、駆動回路は、1ビットデジタル信号(データ信号)が双方の入力端子に入力され、論理演算を行って信号を出力する第1NORゲートと、第1NORゲートが出力する1ビットデジタル信号の反転信号と、クロック信号と、が入力端子に入力され、論理演算を行ってスイッチSW1(第1スイッチ)の制御端子に信号を出力する第2NORゲートと、1ビットデジタル信号と、クロック信号と、が入力端子に入力され、論理演算を行ってスイッチSW2(第2スイッチ)の制御端子に信号を出力する第3NORゲートと、を備えるものであってもよい。
【0069】
上述の実施形態においては、1価3値駆動デルタシグマアンプとして、出願人による特願2014−009807号の信号変調回路(特に、図2)を例示した。これに限らず、1価3値駆動デルタシグマアンプは、出願人による、他の特許出願(例えば、特願2013−123047号、特願2014−009841号等)の信号変調回路であってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 デジタルアンプ
2 信号生成回路
3 音量調整回路
4 1価3値駆動デルタシグマアンプ
5 スピーカー
21 駆動回路
SW スイッチ群
SW1 スイッチ(第1スイッチ)
SW2 スイッチ(第2スイッチ)
SW3 スイッチ(第3スイッチ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7