特許第6609916号(P6609916)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6609916
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20191118BHJP
   F16H 57/023 20120101ALI20191118BHJP
【FI】
   H02K7/116
   F16H57/023
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-243339(P2014-243339)
(22)【出願日】2014年12月1日
(65)【公開番号】特開2016-105676(P2016-105676A)
(43)【公開日】2016年6月9日
【審査請求日】2017年10月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 靖英
(72)【発明者】
【氏名】柴田 弘平
(72)【発明者】
【氏名】根木 崇文
【審査官】 三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−529731(JP,A)
【文献】 特開2011−010537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/116
F16H 57/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有するモータと、
前記回転軸と同軸上に配置された出力軸と、
前記回転軸と一体回転可能に設けられた回転軸側ギヤと、
前記出力軸と一体回転可能に設けられた出力軸側ギヤと、
前記回転軸側ギヤと前記出力軸側ギヤとの間に設けられ、前記回転軸側ギヤと噛み合う第1中間ギヤと、前記第1中間ギヤと一体回転可能に設けられていると共に前記出力軸側ギヤと噛み合う第2中間ギヤと、を有する中間ギヤ構成体と、
前記中間ギヤ構成体の端部に設けられ、該中間ギヤ構成体の回転数を検出する被検出部と、
を備え
前記中間ギヤ構成体は、軸方向と直交する方向の一方側及び他方側に前記第1中間ギヤ及び前記第2中間ギヤがそれぞれ設けられたシャフト部を備えており、
前記シャフト部の前記第1中間ギヤ側の端部及び前記第2中間ギヤ側の端部は、第1軸受及び第2軸受にそれぞれ支持されており、
前記被検出部は、前記第2軸受に対して前記第1軸受とは反対側に配置された状態で前記シャフト部の端部に取付けられているアクチュエータ。
【請求項2】
前記回転軸側ギヤ、前記第1中間ギヤ、前記第2中間ギヤ及び前記出力軸側ギヤは、前記モータの軸方向一方側に設けられたギヤ収容室内に配置されており、
前記被検出部を検出する検出部が、前記ギヤ収容室の外側に配置されている請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記中間ギヤ構成体の軸方向一方側には、前記被検出部を検出する検出部が実装された回路基板が設けられており、
前記回路基板に取付けられた回路基板取付部品と前記出力軸側ギヤとが、前記出力軸の軸方向にオーバーラップして配置されている請求項1又は請求項2記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、減速機構を備えたアクチュエータが開示されており、このアクチュエータは、DCモータと、DCモータの回転軸の回転数を所定の減速比で減速して出力軸に伝達する減速機構と、を備えている。また、減速機構は、DCモータの回転軸に設けられたウォームと、ウォームと噛み合うウォーム歯車と、ウォーム歯車と同軸上に設けられていると共にウォーム歯車と一体回転可能とされたべベル歯車と、出力軸と一体回転可能に設けられていると共にべベル歯車と噛み合うクラウン歯車と、を含んで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2003−529731号公報
【特許文献2】特開2014−42431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載されたアクチュエータの出力軸の回転数や回転角度を検出するために、上記特許文献2に記載されたセンサマグネットを出力軸の一端に取付けることが考えられる。しかしながら、この場合、センサマグネットの磁気を検出するための素子が実装された回路基板を出力の軸方向一方側に設けることが必要になり、アクチュエータが軸方向へ大型化する。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、軸方向への大型化を抑制することができるアクチュエータを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のアクチュエータは、回転軸を有するモータと、前記回転軸と同軸上に配置された出力軸と、前記回転軸と一体回転可能に設けられた回転軸側ギヤと、前記出力軸と一体回転可能に設けられた出力軸側ギヤと、前記回転軸側ギヤと前記出力軸側ギヤとの間に設けられ、前記回転軸側ギヤと噛み合う第1中間ギヤと、前記第1中間ギヤと一体回転可能に設けられていると共に前記出力軸側ギヤと噛み合う第2中間ギヤと、を有する中間ギヤ構成体と、前記中間ギヤ構成体の端部に設けられ、該中間ギヤ構成体の回転数を検出する被検出部と、を備え、前記中間ギヤ構成体は、軸方向と直交する方向の一方側及び他方側に前記第1中間ギヤ及び前記第2中間ギヤがそれぞれ設けられたシャフト部を備えており、前記シャフト部の前記第1中間ギヤ側の端部及び前記第2中間ギヤ側の端部は、第1軸受及び第2軸受にそれぞれ支持されており、前記被検出部は、前記第2軸受に対して前記第1軸受とは反対側に配置された状態で前記シャフト部の端部に取付けられている
【0007】
請求項1記載のアクチュエータによれば、モータの回転軸が回転すると、回転軸側ギヤが回転する。また、回転軸側ギヤが回転すると、当該回転軸側ギヤと噛み合う第1中間ギヤが第2中間ギヤと共に回転する。すなわち、中間ギヤ構成体が回転する。さらに、中間ギヤ構成体が回転すると、当該中間ギヤ構成体の第2中間ギヤと噛み合う出力軸側ギヤが回転する。これにより、出力軸が回転する。ここで、本発明では、中間ギヤ構成体の回転数を検出する被検出部が、中間ギヤ構成体の端部に設けられている。これにより、上記被検出部を出力軸の一端に設けた場合に比して、アクチュエータが軸方向へ大型化することを抑制することができる。
また、請求項1記載のアクチュエータによれば、被検出部の配置を上記のように設定することにより、第1軸受及び第2軸受が中間ギヤ構成体に取付けられた状態で、被検出部を中間ギヤ構成体に取付けることが可能となる。これにより、第2軸受の内径に拘束されない被検出部の形状とすることができる。すなわち、被検出部の設計自由度(特に大きさ)を持たせることができる。
【0008】
請求項2記載のアクチュエータは、請求項1記載のアクチュエータにおいて、前記回転軸側ギヤ、前記第1中間ギヤ、前記第2中間ギヤ及び前記出力軸側ギヤは、前記モータの軸方向一方側に設けられたギヤ収容室内に配置されており、前記被検出部を検出する検出部が、前記ギヤ収容室の外側に配置されている。
【0009】
請求項2記載のアクチュエータによれば、検出部が配置されるスペースをギヤ収容室内に設けることが不要になる。これにより、ギヤ収容室の大容量化を抑制することができ、ひいては、アクチュエータが軸方向へ大型化することをより一層抑制することができる。
【0012】
請求項記載のアクチュエータは、請求項1又は請求項2記載のアクチュエータにおいて、前記中間ギヤ構成体の軸方向一方側には、前記被検出部を検出する検出部が実装された回路基板が設けられており、前記回路基板に取付けられた回路基板取付部品と前記出力軸側ギヤとが、前記出力軸の軸方向にオーバーラップして配置されている。
【0013】
請求項記載のアクチュエータによれば、回路基板に取付けられた回路基板取付部品と出力軸側ギヤとをオーバーラップして配置することにより、アクチュエータの径方向への大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】アクチュエータ出力軸側から見た分解斜視図である。
図2図1に示されたアクチュエータを分解して示す分解斜視図である。
図3】モータを示す斜視図である。
図4】減速機構を示す斜視図である。
図5】減速機構を示す平面図である。
図6図1に示された6−6線に沿って切断したアクチュエータの断面を示す側断面図である。
図7A図1に示された7A−7A線に沿って切断したアクチュエータの断面を示す平断面図である。
図7B図7Aに示された7B−7B線に沿って切断したアクチュエータの一部の断面を拡大して示す拡大側断面図である。
図8A】出力軸の回転数を検出するためのセンサマグネット及びホール素子が実装された回路基板等を示す平面図である。
図8B】センサマグネットが設けられた部位を拡大して示す図7Bに対応する拡大側断面図である。
図9】変形例に係るアクチュエータの回路基板及びハウジング本体等を示す図8Aに対応する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図8Aを用いて本発明の実施形態に係るアクチュエータ10について説明する。なお、図中に適宜示す矢印Z方向、矢印R方向及び矢印C方向は、アクチュエータの一部を構成するモータ12の軸方向、径方向及び周方向をそれぞれ示すものとする。また以下、単に軸方向、径方向、周方向を示す場合は、特に断りのない限り、モータ12の軸方向、径方向、周方向を示すものとする。さらに、モータ12の軸方向、径方向及び周方向は、当該モータ12の回転軸14及びアクチュエータ10の出力軸16の軸方向、径方向及び周方向とそれぞれ一致している。
【0016】
図1及び図2に示されるように、本実施形態のアクチュエータ10は、モータ12の回転軸14と出力軸16とが同軸上に配置されたタイプのアクチュエータであり、図2に示されるように、このアクチュエータ10は、モータ12と、モータ12の回転軸14の回転を所定の減速比で減速して出力軸16に伝達する減速機構18と、を備えている。
【0017】
図3に示されるように、モータ12は、インナロータタイプである10極12スロットのブラシレスモータであり、このモータ12は、回転磁界を発生させる固定子20と、固定子20が界磁する回転磁界によって回転する回転子22と、を含んで構成されている。
【0018】
固定子20は、周方向に沿って等間隔に配列された12個のティース部24を有する固定子コア26と、固定子コア26の各々のティース部24に導電性の巻線が巻回される(集中巻される)ことによって形成された12個のコイル28と、を含んで構成されている。そして、各々のコイル28への通電が切替えられることによって、回転磁界が生じるようになっている。また、固定子20は、軸方向一方側(矢印Z方向側)が開放されたハット型に形成されたモータハウジング30に固定されており、図1及び図2に示されるように、モータハウジング30は後述するギヤハウジング54にボルト32を介して固定されている。また、図3に示されるように、本実施形態では、固定子20の軸方向への寸法Hが、当該固定子20の径方向への寸法Dに比して短く設定されている。
【0019】
図6に示されるように、固定子20の径方向内側に配置された回転子22は、円柱状に形成された回転子コア34と、回転子コア34の軸心部に固定された回転軸14と、固定子コア26の外周部に固定された10個のマグネット27(図6参照)と、を含んで構成されている。また、回転子22は、2つのベアリング36を介してモータハウジング30及び後述するギヤハウジング54に支持されている。なお、本実施形態では、マグネット27を回転子コア34の外周面に固定する表面磁石型(SPM:Surface Permanent Magnet)としたが、本発明はこれに限定されず、マグネット27を回転子コア34の内部に埋設した埋込磁石型(IPM:Interior permanent Magnet)とすることもできる。
【0020】
図2に示されるように、減速機構18は、回転軸14と一体回転可能に設けられた回転軸側ギヤ38と、出力軸16と一体回転可能に設けられた出力軸側ギヤ40と、回転軸側ギヤ38と出力軸側ギヤ40との間に設けられていると共に回転軸側ギヤ38と噛み合う第1中間ギヤ42及び出力軸側ギヤ40と噛み合う第2中間ギヤ44を有する一対の中間ギヤ構成体46と、を含んで構成されている。
【0021】
図3及び図4に示されるように、回転軸側ギヤ38は、一例として金属製の回転軸14の軸方向一方側の端部に転造加工が施されることによって形成されたウォームである。なお、樹脂材料等を用いて形成されたウォームを回転軸14の軸方向の端部に取付けた構成としてもよい。
【0022】
図4及び図5に示されるように、出力軸側ギヤ40は、出力軸16の軸方向他方側の端部に設けられた円板部16Aの外周部に設けられており、これにより、出力軸側ギヤ40と出力軸16とが一体に回転することが可能となっている。また、出力軸側ギヤ40は、歯数が45歯とされていると共に側面視で軸方向他方側に向かうにつれて緩やかに窄まるように形成されたハイポイドギヤである。さらに、本実施形態では、出力軸側ギヤ40の軸方向他方側の端、すなわち、出力軸側ギヤ40の軸方向他方側の端(出力軸側ギヤ40の歯先40A)が、出力軸16の円板部16Aの軸方向他方側の面に対して軸方向他方側に位置している。
【0023】
一対の中間ギヤ構成体46は、回転軸側ギヤ38と出力軸側ギヤ40との間に設けられており、一対の中間ギヤ構成体46は、軸方向視で回転軸14及び出力軸16の中心を対象中心とする点対象に配置されていると共に互いに平行に配置されている。また、中間ギヤ構成体46は、軸方向と直交する方向に延びる金属製の棒状のシャフト部48と、シャフト部48の長手方向一方側及び他方側にそれぞれ設けられた第1中間ギヤ42及び第2中間ギヤ44と、を備えている。
【0024】
シャフト部48の長手方向一方側の端部は、第1軸受としての第1ベアリング50のインナレースが圧入により固定される第1軸受固定部48Aとされており、シャフト部48の長手方向他方側の端部は、第1ベアリング50よりも大径とされた第2軸受としての第2ベアリング52のインナレースが圧入により固定される第2軸受固定部48Bとされている。なお、本実施形態では、シャフト部48の軸方向の両端部が周方向に沿って4か所かしめられることによって、第1ベアリング50及び第2ベアリング52が第1軸受固定部48A及び第2軸受固定部48Bから外れないようになっている(図7B参照)。また、シャフト部48において第1中間ギヤ42が設けられた部位と第2中間ギヤ44が設けられた部位との中間部は、第1中間ギヤ42及び第2中間ギヤ44の外径よりも小径とされた接続部48Cとされている。また、図7Bに示されるように、本実施形態では、第2ベアリング52のアウタレース52Aの軸方向一方側の端部にフランジ部52Bが形成されている。
【0025】
図4及び図5に示されるように、第1中間ギヤ42は、歯数が17歯とされていると共に回転軸側ギヤ38と噛み合うウォームホイールであり、この第1中間ギヤ42は、シャフト部48の第1軸受固定部48Aに対して当該シャフト部48の長手方向他方側(第2軸受固定部48B側)に設けられている。また、本実施形態では、第1中間ギヤ42は樹脂製とされており、この第1中間ギヤ42がシャフト部48に取付固定されることによって、第1中間ギヤ42がシャフト部48と共に一体回転することが可能となっている。さらに、モータ12の出力軸16が軸方向一方側から見て時計回りに回転すると(矢印CW方向に回転すると)、回転軸側ギヤ38と第1中間ギヤ42とが噛み合うことによるスラスト力F1が中間ギヤ構成体46に生じる。このスラスト力F1の方向は、シャフト部48の長手方一方側から他方側(第1軸受固定部48A側から第2軸受固定部48B側)に向かう方向となるように、回転軸側ギヤ38の回転軸14の軸方向に対する角度及び第1中間ギヤ42のシャフト部48の軸方向に対する角度が設定されている。
【0026】
第2中間ギヤ44は、歯数が13歯とされていると共に出力軸側ギヤ40と噛み合うハイポイドピニオンギヤであり、この第2中間ギヤ44は、シャフト部48の長手方向一方側(第1軸受固定部48A側)に向かうにつれて窄まるように形成されている。また、第2中間ギヤ44は、シャフト部48の第2軸受固定部48Bに対して当該シャフト部48の長手方向一方側(第1軸受固定部48A側)に設けられている。また、本実施形態では、シャフト部48の一部に転造加工が施されることによって、第2中間ギヤ44がシャフト部48における上記の部位に形成されている。さらに、モータ12の出力軸16が軸方向一方側から見て時計回りに回転すると(矢印CW方向に回転すると)、第2中間ギヤ44と出力軸側ギヤ40とが噛み合うことによるスラスト力F2が中間ギヤ構成体46に生じる。このスラスト力F2の方向は、シャフト部48の長手方他方側から一方側(第2軸受固定部48B側から第1軸受固定部48A側)に向かう方向となるように、第2中間ギヤ44のシャフト部48の軸方向に対する角度及び出力軸側ギヤ40の出力軸16の径方向に対する角度が設定されている。すなわち、中間ギヤ構成体46に生じるスラスト力F2の方向とスラスト力F1の方向とが反対方向となるように、回転軸側ギヤ38、第1中間ギヤ42、第2中間ギヤ44及び出力軸側ギヤ40の上記角度が設定されている。また、本実施形態では、アクチュエータ10の作動時において、中間ギヤ構成体46に生じるスラスト力F1がスラスト力F2に比して小さくなっている。
【0027】
図6に示されるように、以上説明した減速機構18は、モータ12の軸方向一方側に設けられたギヤハウジング54内に形成されたギヤ収容室56内に配置されている。ギヤ収容室56を形成するギヤハウジング54は、出力軸16側が開放された箱状に形成されたギヤハウジング本体58と、ギヤハウジング本体58の開放端を閉止するギヤハウジングカバー60と、を備えている。
【0028】
ギヤハウジング本体58の径方向の中心部には、回転軸14が挿通される回転軸挿通孔58Aが形成されている。また、図7Aに示されるように、ギヤハウジング本体58において回転軸挿通孔58Aの中心を挟んで径方向一方側及び他方側には、前述の一対の中間ギヤ構成体46が収容される一対の中間ギヤ構成体収容部58Bが設けられている。また、中間ギヤ構成体収容部58Bの一端(径方向内側)には、第1ベアリング50のアウタレースが遊挿される第1ベアリング支持孔58Cが形成されている。さらに、図7Bに示されるように、中間ギヤ構成体収容部58Bの他端(径方向外側)には、第2ベアリング52のアウタレース52Aにおいてフランジ部52Bが形成されていない部位52Cが遊挿される第2ベアリング支持孔58Dが形成されている。そして、第1ベアリング50及び第2ベアリング52が取付けられた中間ギヤ構成体46が、第2ベアリング支持孔58Dに挿通されて、第2ベアリング52のフランジ部52Bが第2ベアリング支持孔58Dの周縁部58Eに当接することによって、第2ベアリング52のギヤハウジング54の内側への移動(第1中間ギヤ42側への移動)が規制されるようになっている。また、ベアリング押さえ部材としての第2ベアリング押さえ部材62がボルト64(図2参照)を介してギヤハウジング本体58に固定されることによって、第2ベアリング52のフランジ部52Bが、第2ベアリング支持孔58Dの周縁部58Eと第2ベアリング押さえ部材62との間に配置されるようになっている。これにより、第1ベアリング50及び第2ベアリング52が固定された中間ギヤ構成体46が、ギヤハウジング本体58に取付けられるようになっている。また、第2ベアリング52のフランジ部52Bが、第2ベアリング支持孔58Dの周縁部58Eと第2ベアリング押さえ部材62との間に配置されることによって、シャフト部48の長手方向一方側及び他方側へのスラスト力を第2ベアリング52で受け持つことが可能となっている。なお、図1に示されるように、ギヤハウジング本体58の外周部には、剛性調整用の下段リブ58Fが立設されている。
【0029】
また、図6に示されるように、ギヤハウジングカバー60の径方向の中心部には、出力軸16を支持すると共に軸方向に隣り合って配置された一対のベアリング66が固定されている。また、一対のベアリング66のうち軸方向他方側に配置されたベアリング66と出力軸16の軸方向他方側に設けられた円板部16Aとの間には、ワッシャ68が介装されている。また、出力軸16が一対のベアリング66に挿通された状態において、出力軸16には、保持部材70が取付けられるようになっている。当該保持部材70が出力軸16に取付けられることによって、出力軸16が一対のベアリング66から抜け出さないようになっている。また、ギヤハウジングカバー60には、出力軸16が挿通される挿通孔を有するキャップ72が取付けられている。これにより、アクチュエータ10に付着した水滴等がベアリング66側に向けて浸入することが抑制されている。なお、図1に示されるように、ギヤハウジングカバー60には、一対のベアリング66が固定された部位を補強する上段リブ60Aが立設されている。また、ギヤハウジングカバー60には、周方向に沿って間隔をあけて配置された3つのボス部60Bが立設されている。そして、図示しないボルトが3つのボス部60Bに螺入されることによって、アクチュエータ10を車両の被固定部等に固定することが可能となっている。
【0030】
以上説明したギヤハウジングカバー60がボルト74(図2参照)を介してギヤハウジング本体58に固定されることによって、ギヤハウジングカバー60とギヤハウジング本体58との間に、減速機構18を構成する回転軸側ギヤ38、中間ギヤ構成体46及び出力軸側ギヤ40が収容されるギヤ収容室56が形成されている。そして、回転軸側ギヤ38、中間ギヤ構成体46及び出力軸側ギヤ40がギヤ収容室56に収容された状態において、第1中間ギヤ42における出力軸16側の端(第1中間ギヤ42の歯先42A)が、出力軸側ギヤ40におけるモータ側の端(出力軸側ギヤ40の歯先40A)に対して出力軸16側に配置されている。
【0031】
また、図8Aに示されるように、本実施形態では、出力軸16の回転数及び回転角度を検出するための被検出部としてのセンサマグネット76及びセンサマグネット76の磁気を検出する検出部としてのホール素子78が実装された回路基板80が設けられている。
【0032】
図8Bに示されるように、センサマグネット76は、一の中間ギヤ構成体46のシャフト部48の長手方向他方側の端部(第2軸受固定部48B側の端部)にセンサマグネット支持部材90を介して固定されている。センサマグネット支持部材90は、シャフト部48の長手方向他方側の端部に形成された圧入孔48Dに圧入される円柱状の圧入部90Aを備えている。また、センサマグネット支持部材90は、圧入部90Aの一端に設けられ、当該圧入部90Aの軸方向を軸方向とする円板状に形成された円板部90Bと、円板部90Bの外周部に形成された爪部90Cと、を備えている。そして、センサマグネット76が爪部90C及び円板部90Bによって保持されることによって、センサマグネット76がセンサマグネット支持部材90に固定される。また、センサマグネット76がセンサマグネット支持部材90に固定された状態で、センサマグネット支持部材90の圧入部90Aがシャフト部48の長手方向他方側の端部に形成された圧入孔48Dに圧入される。これにより、センサマグネット76がシャフト部48に固定されて、センサマグネット76がシャフト部48と共に一体回転することが可能となっている。
【0033】
また、回路基板80は、ギヤハウジング54の外側(ギヤ収容室56の外側)に配置された状態で図示しない回路基板支持部材を介してギヤハウジング本体58に固定されている。また、ギヤハウジング本体58には、図示しない回路基板カバー部材が取付けられており、これにより、回路基板80がギヤハウジング本体58と回路基板カバー部材との間に形成された密閉空間内に配置されるようになっている。また、回路基板80がギヤハウジング本体58に固定された状態において、回路基板80に実装されたホール素子78が、中間ギヤ構成体46のシャフト部48の軸方向他方側に配置されると共にセンサマグネット76と所定のクリアランスを有して配置されるようになっている。
【0034】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0035】
図1図3に示されるように、本実施形態のアクチュエータ10によれば、モータ12の回転軸14が回転すると、回転軸側ギヤ38が回転軸14と共に回転する。また、回転軸側ギヤ38が回転すると、当該回転軸側ギヤ38と噛み合う第1中間ギヤ42が第2中間ギヤ44と共に回転する。すなわち、中間ギヤ構成体46が回転する。さらに、中間ギヤ構成体46が回転すると、当該中間ギヤ構成体46の第2中間ギヤ44と噛み合う出力軸側ギヤ40が回転する。これにより、出力軸16が回転する。
【0036】
ところで、中間ギヤ構成体46が片持ち支持されている構成においては、アクチュエータ10の作動時における中間ギヤ構成体46の芯ずれを抑制するために、中間ギヤ構成体46を支持する部分の厚みを増やす、或いは、中間ギヤ構成体46の径を太くすること等による剛性アップが必要になることが考えられる。
【0037】
しかしながら、本実施形態では、図7Aに示されるように、中間ギヤ構成体46における第1中間ギヤ42側の端部及び第2中間ギヤ44側の端部が、第1ベアリング50及び第2ベアリング52にそれぞれ支持されている。すなわち、中間ギヤ構成体が、第1ベアリング50及び第2ベアリング52によって両持ち支持されている。このため、中間ギヤ構成体46が片持ち支持されている構成に比して、中間ギヤ構成体46を支持する部分が大型化する、或いは、中間ギヤ構成体46が径方向に太くなることが抑制される。これにより、本実施形態では、アクチュエータ10の体格が大型化することを抑制することができる。
【0038】
また、本実施形態では、中間ギヤ構成体46に生じるスラスト力を支持する第2ベアリング52の径を、第1ベアリング50の径よりも大径に設定することにより、アクチュエータ10の耐久性を向上させることができる。
【0039】
さらに、本実施形態では、中間ギヤ構成体46に生じるスラスト力F2の方向とスラスト力F1の方向とが反対方向となるように、回転軸側ギヤ38、第1中間ギヤ42、第2中間ギヤ44及び出力軸側ギヤ40の所定の軸に対する角度が設定されていることにより、中間ギヤ構成体から第2ベアリング52に入力されるスラスト力(スラスト力F1とスラスト力F2との合力)を低減することができる。これにより、本実施形態では、アクチュエータ10の耐久性を向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態では、図6に示されるように、回転軸側ギヤ38、中間ギヤ構成体46及び出力軸側ギヤ40がギヤ収容室56に収容された状態において、第1中間ギヤ42における出力軸16側の端(第1中間ギヤ42の歯先42A)が、出力軸側ギヤ40におけるモータ側の端(出力軸側ギヤ40の歯先40A)に対して出力軸16側に配置されている。第1中間ギヤ42と出力軸側ギヤ40とを上記のように配置することにより、モータ12と出力軸側ギヤ40との間のクリアランスが広くなることを抑制することができる。これにより、本実施形態では、アクチュエータ10の軸方向への寸法が増加することを抑制することができる。
【0041】
さらに、本実施形態では、図3に示されるように、固定子20の軸方向への寸法Hが、当該固定子20の径方向への寸法Dに比して短く設定されている。モータ12の固定子20の寸法を上記のように設定することにより、アクチュエータ10の軸方向への寸法が増加することを抑制することができる。
【0042】
また、本実施形態では、図4図8Aに示されるように、一対の中間ギヤ構成体46が、回転軸側ギヤ38と出力軸側ギヤ40との間に設けられていることにより、回転軸側ギヤ38の駆動力を一対の中間ギヤ構成体46に分散して出力軸側ギヤ40に伝達することができる。これにより、本実施形態では、減速機構18のトルクの伝達容量を大きくすることができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、図8Aに示されるように、出力軸16の回転数及び回転角度を検出するためのセンサマグネット76が、中間ギヤ構成体46の端部に設けられている。これにより、上記センサマグネット76を出力軸16の軸方向他方側の端部(円板部16A)に設けた場合に比して、アクチュエータ10の軸方向への寸法が増加することを抑制することができる。なお、出力軸16の回転数及び回転角度は、第2中間ギヤ44と出力軸側ギヤ40とのレシオを中間ギヤ構成体46の回転数及び回転角度に乗じることによって算出される。また、当該計算により出力軸16の回転数及び回転角度を算出することにより、出力軸16の回転数及び回転角度の検出精度(分解能)を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、センサマグネット76が、第2ベアリング52に対して第1ベアリング50とは反対側に配置された状態で中間ギヤ構成体46の第2中間ギヤ44側の端部にセンサマグネット支持部材90を介して取付けられている。これにより、第1ベアリング50及び第2ベアリング52を中間ギヤ構成体46に取付けられた状態で、センサマグネット76を中間ギヤ構成体46に取付けることが可能となる。これにより、第2ベアリング52の内径に拘束されないセンサマグネット76の形状とすることができる。すなわち、本実施形態では、センサマグネット76の設計自由度(特に大きさ)を持たせることができる。
【0045】
さらに、本実施形態では、回路基板80及び当該回路基板80に実装されたホール素子78が配置されるスペースをギヤ収容室56内に設けない構成とすることにより、ギヤ収容室56の大容量化を抑制することができ、ひいては、アクチュエータ10の軸方向への寸法が増加することを抑制することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、出力軸16の回転数及び回転角度を検出するためのセンサマグネット76及びセンサマグネット76の磁気を検出するホール素子78が実装された回路基板80を設けた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、出力軸16の回転数及び回転角度を制御することが不要なアクチュエータにおいては、センサマグネット76及びホール素子78が実装された回路基板80を設けない構成とすることもできる。
【0047】
また、本実施形態では、一対の中間ギヤ構成体46を回転軸側ギヤ38と出力軸側ギヤ40との間に設けた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、単一の中間ギヤ構成体46を回転軸側ギヤ38と出力軸側ギヤ40との間に設けてもよい。このように、中間ギヤ構成体46の数は減速機構18のトルクの伝達容量等を考慮して適宜設定すればよい。
【0048】
さらに、本実施形態では、固定子20の軸方向への寸法Hが、当該固定子20の径方向への寸法Dに比して短く設定されているモータ12を用いてアクチュエータ10を構成した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、固定子の軸方向への寸法が、当該固定子の径方向への寸法に比して長く設定されているモータを用いてアクチュエータを構成してもよい。また、アウタロータタイプのブラシレスモータやブラシ付きの直流モータ等を用いてアクチュエータを構成することもできる。
【0049】
また、本実施形態では、中間ギヤ構成体46に生じるスラスト力F2の方向とスラスト力F1の方向とが反対方向となるように、回転軸側ギヤ38、第1中間ギヤ42、第2中間ギヤ44及び出力軸側ギヤ40の所定の軸に対する角度を設定した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。中間ギヤ構成体46に生じるスラスト力F2の方向及びスラスト力F1の方向は、減速機構18を構成する各ギヤの加工コスト等を考慮して適宜設定すればよい。
【0050】
さらに、本実施形態では、第2ベアリング52の径を第1ベアリング50の径よりも大径に設定した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。第1ベアリング50及び第2ベアリング52径は、当該第1ベアリング50及び第2ベアリング52に要求される寿命等を考慮して適宜設定すればよい。
【0051】
また、本実施形態では、回転軸側ギヤ38、中間ギヤ構成体46及び出力軸側ギヤ40がギヤ収容室56に収容された状態において、第1中間ギヤ42における出力軸16側の端(第1中間ギヤ42の歯先42A)が、出力軸側ギヤ40におけるモータ側の端(出力軸側ギヤ40の歯先40A)に対して出力軸16側に配置されている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。第1中間ギヤ42と出力軸側ギヤ40とを上記のように配置するか否かについては、減速機構18の減速比等を考慮して適宜設定すればよい。
【0052】
(上記実施形態の変形例)
次に、図9を用いて上記実施形態の変形例に係るアクチュエータ82について説明する。なお、上記実施形態と同一の機能を有する部材及び部分については、上記実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0053】
図9に示されるように、本変形例に係るアクチュエータ82は、モータ12の回転を制御するモータ駆動制御部84と出力軸16の回転数及び回転角度を検出する出力軸角検出部86と、を有する回路基板80を備えている。また、モータ駆動制御部84におけるギヤハウジング本体58側の面には、回路基板取付部品としてのコンデンサ88が取付けられている(実装されている)。そして、モータ駆動制御部84に取付けられたコンデンサ88と出力軸側ギヤ40とが、軸方向にオーバーラップして配置されている。また、本実施形態では、上記実施形態のギヤ収容室56の一部が狭められることにより、コンデンサ88がギヤ収容室56の外側において一の中間ギヤ構成体46の側方側(一の中間ギヤ構成体46の径方向外側)に配置されるようになっている。
【0054】
以上説明した本変形例では、回路基板80に取付けられたコンデンサ88と出力軸側ギヤ40とを軸方向にオーバーラップして配置することにより、コンデンサ88が回路基板80に対してアクチュエータ10の径方向外側に突出することが抑制される。これにより、アクチュエータ10の径方向への大型化を抑制することができる。
【0055】
なお、本変形例では、回路基板80に取付けられたコンデンサ88と出力軸側ギヤ40とを軸方向にオーバーラップして配置した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、回路基板80に取付けられたヒートシンクやトランジスタ等と出力軸側ギヤ40とを軸方向にオーバーラップして配置することによっても、アクチュエータ10の径方向への大型化を抑制することができる。
【0056】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
10…アクチュエータ,12…モータ,14…回転軸,16…出力軸,20…固定子,22…回転子,38…回転軸側ギヤ,40…出力軸側ギヤ,42…第1中間ギヤ,44…第2中間ギヤ,46…中間ギヤ構成体,56…ギヤ収容室,76…センサマグネット(被検出部),78…ホール素子(検出部),80…回路基板,88…コンデンサ(回路基板取付部品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9