(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係るサーマルプリンター1(印刷装置)の機能ブロック図である。
サーマルプリンター1は、スマートデバイス2(外部装置)から入力されるデータに基づいて、記録媒体に文字や画像等を印刷する装置であり、商用交流電源5に接続するACアダプター4から電力の供給を受けて動作する。サーマルプリンター1は、本体に記録媒体として感熱ロール紙(不図示)を収容し、発熱素子を備えた後述するラインサーマルヘッドにより、感熱ロール紙の記録面に熱を加えることで文字や画像等を印刷する。
【0013】
スマートデバイス2は、ユーザーが持ち運び可能な端末であり、例えばスマートフォンやタブレット型端末等である。スマートデバイス2は、所定の通信規格に従ってデータの通信を行う通信部(不図示)を備え、通信部によりサーマルプリンター1と通信する。スマートデバイス2は、二次電池(電池)を備え、二次電池に充電された電力により動作する。スマートデバイス2は、後述するUSBコネクターから供給される5V(ボルト)の電圧値を示す電力により二次電池に充電が可能である。スマートデバイス2は、印刷データ作成用のアプリケーション(不図示)を搭載する。
また、スマートデバイス2は、ユーザーの指示等をトリガーとし、制御に係るコマンドと、印刷に係るコマンドとをサーマルプリンター1に送信する。サーマルプリンター1は、これらコマンドを受信すると、後述する受信バッファーに記憶する。制御に係るコマンドは、例えば、書式の設定を指示する設定コマンドや、サーマルプリンター1の状態を示す情報の要求を指示するステータス要求コマンドである。印刷に係るコマンドは、例えば、印字を指示する印字コマンドや、改行を指示する改行コマンド、行送りを指示する行送りコマンド、記録媒体の切断を指示するカッターコマンド等である。印刷に係るコマンドは、後述するラインサーマルヘッド、搬送モーター、及び、カッター駆動モーターの何れかの駆動の指示に相当するコマンドである。
また、スマートデバイス2は、ユーザーの指示等をトリガーとし、サーマルプリンター1が印刷する文字や画像等の印刷データを生成する。スマートデバイス2は、生成した印刷データを含む印字コマンドを、所定の通信規格に従ってサーマルプリンター1に送信する。サーマルプリンター1は、印字コマンドを実行し、印刷データに基づいて記録媒体に文字や画像等を印字する。
【0014】
ACアダプター4は、商用交流電源5にケーブルを介し接続され、例えば、交流100Vの商用交流電源5を整流、平滑、及び、電圧変換し、24Vの直流電力をサーマルプリンター1にケーブルを介し供給する。ACアダプター4は、サーマルプリンター1にコネクターを介して着脱可能に構成される。
【0015】
図1に示すように、サーマルプリンター1は、制御部11と、不揮発性メモリー12と、受信バッファー13と、電源回路14(電源部)と、USB(Universal Serial Bus)コネクター15(接続部)と、通信部16と、印刷部17(動作部)とを備える。
制御部11は、図示しない演算実行部としてCPU等を備える。制御部11には、ROM(不図示)が接続し、このROMがCPUによって実行可能な制御プログラム、及び、制御プログラムに係るデータ等を不揮発的に記憶する。制御部11は、ROMが記憶する制御プログラムを実行することによって、印刷部17による印刷の動作を制御するとともに、サーマルプリンター1の各部を制御する。
【0016】
不揮発性メモリー12は、EEPROMやフラッシュメモリー等の半導体記憶素子、或いは、ハードディスク等の記憶媒体を備え、各種データを書き換え可能に不揮発的に記憶する。
【0017】
受信バッファー13は、RAM(Random Access Memory)等の一時記憶領域であり、例えば半導体記憶デバイスで構成される。受信バッファー13は、制御部11の制御で、通信部16により外部装置から受信したコマンドを記憶する。
【0018】
電源回路14は、ACアダプター4に接続し、ACアダプター4から供給される電力に基づきサーマルプリンター1の各部に電力を供給する。
【0019】
USBコネクター15は、サーマルプリンター1の外部に露出し、USB規格に従い、例えば、2本の電力端子(VBUS/GND)と2本のデータ端子(D+/D−)との4本の端子を備える。USBコネクター15は、制御部11の制御で、2本の電力端子により、接続する外部装置に電力を供給する。以下、説明の便宜上、USBコネクター15から外部装置に供給する電圧をVBUSと表現する。USBコネクター15は、一般に、外部装置にVBUSが5Vの電圧値を示す電力を供給する。本実施形態では、USBコネクター15には、USBケーブル3を介しスマートデバイス2が接続し、スマートデバイスに電力を供給する。USBケーブル3は、USB規格に従うケーブルである。
また、USBコネクター15は、外部装置の接続を検出する。検出信号は、制御部11に出力される。
【0020】
通信部16は、所定の通信規格に従い、USBコネクター15を介して、外部装置とデータの通信を行う。この場合に、通信部16は、USB規格に従って、外部装置とデータの通信を行う。また、通信部16は、USBコネクター15を介さず、外部装置とデータの通信を行うことも可能である。この場合、通信部16は、USB規格以外の規格である、例えば、Wi-Fi(登録商標)や、Bluetooth(登録商標)、Ethernet(登録商標)等の規格に従って、外部装置とデータの通信を行う。
【0021】
印刷部17は、制御部11の制御で、スマートデバイス2等の外部装置から受信する印刷データに基づく印刷を実行する。印刷部17は、ラインサーマルヘッド171と、印刷ヘッド駆動部173と、搬送モーター174、カッター駆動モーター175とを備える。
ラインサーマルヘッド171は、多数の発熱素子172を感熱ロール紙の搬送方向と直交する方向に配列して備え、発熱素子172に通電し感熱ロール紙の印刷面に熱を加えることによって、文字や画像等を印刷する。
印刷ヘッド駆動部173は、制御部11の制御で、ラインサーマルヘッド171の発熱素子172に対する通電を制御する。
搬送モーター174は、制御部11の制御で、搬送ローラー(不図示)を回転させ、感熱ロール紙を搬送する。
カッター駆動モーター175は、制御部11の制御で、可動刃(不図示)を固定刃(不図示)に向けてスライドするように駆動させ、感熱ロール紙を切断する。
【0022】
図1に示すように、印刷ヘッド駆動部173と、搬送モーター174と、カッター駆動モーター175とは、電源回路14に接続され、電源回路14から電力の供給を受けて動作する。
【0023】
ところで、スマートデバイス2は、サーマルプリンター1とともに、POS(Point Of Sale)システムとして利用される。POSシステムとは、ショッピングセンターや、百貨店、コンビニエンスストア、車内販売等の小売業や、レストランや、喫茶店、居酒屋等の飲食業等の業務に適用されるシステムである。POSシステムは、顧客が購入した商品に応じて会計を行う機能や、会計に応じてレシートを発行する機能等を有する。
ここで、POSシステムについて、POSシステムが飲食店等の店舗に適用される場合を例示する。店舗のスタッフは、スマートデバイス2が付与され、スマートデバイス2を携帯して店舗を移動する。そして、店舗のスタッフは、レシート等の発行が必要となった際に、スマートデバイス2を操作し、店舗内に設置されるサーマルプリンター1に印刷データを送信し、サーマルプリンター1に印刷データに基づく印刷を実行させる。これにより、サーマルプリンター1は、スマートデバイス2にて行われる操作に応じて、レシートを発行する。
【0024】
このように、スマートデバイス2をユーザーが携帯するためには、スマートデバイス2が備える二次電池に対する充電が必須となる。
本実施形態において、サーマルプリンター1は、USBコネクター15を介して、接続するスマートデバイス2にVBUSの電圧値が5Vを示す電力を供給する。そして、スマートデバイス2は、電力の供給を受け、二次電池に対して充電を行う。
しかしながら、スマートデバイス2に供給する電力の電圧値によっては、サーマルプリンター1が、印刷を実行する際、必要とする電力がACアダプター4の容量を上回ることがある。つまり、サーマルプリンター1が印刷を実行する際に、印刷部17を動作させる電力と、スマートデバイス2へ供給する電力との和が、ACアダプター4の容量に比べて大きい場合がある。この場合、サーマルプリンター1が印刷を実行できないだけでなく、サーマルプリンター1、および、ACアダプター4の故障の原因となる。
そこで、本実施形態のサーマルプリンター1は、必要とする電力がACアダプター4との容量を上回らないように以下に説明する動作を行う。
【0025】
図2は、本実施形態のサーマルプリンター1の動作を示すフローチャートであり、特に、制御部11の動作を示す。
図2の動作において、通信部16は、スマートデバイス2とのデータの通信を、USB規格以外の規格、例えば、Wi-Fi(登録商標)に従って行われる。つまり、USBコネクター15を用いるデータの通信は行われない。
【0026】
サーマルプリンター1の制御部11は、USBコネクター15から出力された検出信号に基づいて、スマートデバイス2が接続されたか否かを判別する(ステップS1)。制御部11は、スマートデバイス2が接続されたと判別すると(ステップS1:YES)、電源回路14によりUSBコネクター15を介し、VBUSの電圧値が5Vを示す電力をスマートデバイス2に供給する(ステップS2)。この電力の供給により、スマートデバイス2は、二次電池に対し充電を行う。
【0027】
次いで、制御部11は、通信部16によってスマートデバイス2から受信したコマンドを受信バッファー13から読み出し(ステップS3)、読み出したコマンドを解析する(ステップS4)。制御部11は、コマンドの解析により、読み出したコマンドが印刷に係るコマンドでないと判別した場合(ステップS5:NO)、そのコマンドを実行する(ステップS6)。例えば、読み出したコマンドがステータス要求コマンドである場合、制御部11は、スマートデバイス2に、サーマルプリンター1の状態を示すステータス情報を出力する。
一方で、読み出したコマンドが印刷に係るコマンドであると判別した場合(ステップS5:YES)、制御部11は、印刷開始と判定する(ステップS7)。上述した通り、印刷に係るコマンドは、印字コマンド、改行コマンド、行送りコマンド、及び、カッターコマンドである。印字コマンド、改行コマンド、及び、行送りコマンドは、印刷開始の指示に相当するコマンドである。一方で、カッターコマンドは、印刷終了の指示に相当するコマンドである。しかしながら、制御部11は、ステップS3でカッターコマンドを読み出した場合であっても、ステップS7において印刷開始と判定する。
【0028】
制御部11は、印刷開始と判定すると、VBUSの電圧値を5Vから0Vに切り替えるようVBUSを制御する制御信号を生成し、電源回路14に制御信号を送信する(ステップS8)。電源回路14は、制御信号を受信すると、制御信号に基づいてVBUSの電圧値を5Vから0Vに切り替える。ここで、VBUSの電圧値を切り替る方法について、2つの例を説明する。
【0029】
図3は、電源回路14の構成例を示す図であり、
図3(A)は第1の構成例を示し、
図3(B)は第2の構成例を示す。
【0030】
<第1の方法>
図3(A)の例では、電源回路14は、D/Aコンバーター101と、DC/DCコンバーター102と、を備える。D/Aコンバーター101は、デジタル信号をアナログ信号に変換する装置である。DC/DCコンバーター102は、直流電圧を、電圧値の異なる直流電圧に変換する装置であり、VBUSとして5Vの電圧を出力する。DC/DCコンバーター102は、基準電圧を有しており、出力電圧と基準電圧との比較によって、出力電圧を制御する。第1の方法は、制御信号が入力されるD/Aコンバーター101によって、DC/DCコンバーター102の基準電圧を変化させ、出力電圧の電圧値を切り替える。
【0031】
<第2の方法>
図3(B)の例では、電源回路14は、DC/DCコンバーター102と、DC/DCコンバーター102が備える基準電圧を分圧する分圧回路103とを備える。分圧回路103は、抵抗R1〜R3、FET等により構成されるスイッチSW1〜SW2、及び、ロジック回路104を備える。抵抗R1の一端は、基準電圧を分圧する分圧位置P1において、抵抗R2と抵抗R3との一端が接続する。抵抗R2と抵抗R3とは、並列に接続する。抵抗R2の他端には、スイッチSW1が直列に接続する。また、抵抗R3の他端には、スイッチSW2が直列に接続する。スイッチSW1及びスイッチSW2は、ロジック回路104に接続する。制御信号が入力されるロジック回路104は、入力される信号に基づいて「High」レベル、又は、「Low」レベルの信号を出力する。第2の方法は、ロジック回路104により制御部11からの信号を「High」レベル又は「Low」レベルの信号に変換し、スイッチSW1又は/及びスイッチSW2に出力する。つまり、第2の方法は、スイッチSW1及びスイッチSW2のオンオフによって、分圧位置P1において基準電圧を分圧により変化させ、出力電圧の電圧値を切り替える。
【0032】
このように、電源回路14は、制御信号が入力されると、VBUSの電圧値を切り替える。なお、VBUSの電圧値の切り替える方法は、上述した方法に限定されない。
【0033】
図2に戻り、制御部11は、電源回路14によって、VBUSの電圧値を5Vから0Vに切り替え、USBコネクター15を介してのスマートデバイス2への電力の供給を停止する(ステップS9)。次いで、制御部11は、印刷に係るコマンドを実行し(ステップS10)、印刷部17により印刷を実行する。印字コマンドを実行する場合、制御部11は、印刷ヘッド駆動部173により印字を実行する。改行コマンドを実行する場合、制御部11は、搬送モーター174を駆動させ改行を実行する。行送りコマンドを実行する場合、制御部11は、搬送モーター174を駆動させ行送りを実行する。カッターコマンドを実行する場合、制御部11は、カッター駆動モーター175により、記録媒体を切断する。
【0034】
このように、印刷を実行し、印刷ヘッド駆動部173、搬送モーター174、及び、カッター駆動モーター175の消費電力が増大する前に、制御部11は、電源回路14によってスマートデバイス2への電力の供給を停止する。そのため、制御部11は、サーマルプリンター1が必要とする電力を低減できる。これにより、サーマルプリンター1が必要とする電力が、ACアダプター4の容量を上回る電力となることを抑制でき、印刷部17への電力の供給に影響を与えることがない。したがって、制御部11は、印刷部17により、適切な印刷ができる。また、印刷終了の指示に相当するコマンドを誤って読み出した場合でも、サーマルプリンター1が必要とする電力を低減できる。
一般に、USB規格に従ってデータを通信する場合、スマートデバイス2に供給する電力を停止すると、データの通信は停止する。本実施形態では、USBコネクター15を介しデータの通信を行わないため、USB規格に従うデータの通信について考慮する必要がない。つまり、サーマルプリンター1は、スマートデバイス2に供給する電力を停止しても、印刷に係るコマンドを受信して印刷が実行できる。そして、電力を停止するため、サーマルプリンター1が必要とする電力を確実に低減できる。したがって、印刷を実行する際に、電力の供給を停止することは、USBコネクター15によりデータの通信をしない場合における電力の供給の制御として優位性がある。
【0035】
制御部11は、受信バッファー13から通信部16により受信した次のコマンドを読み出し(ステップS11)、読み出すコマンドを解析する(ステップS12)。制御部11は、コマンドの解析により、読み出したコマンドが印刷終了の指示に相当するコマンドであるか否かを判別する(ステップS13)。印刷終了の指示に相当するコマンドとは、本実施形態においてカッターコマンドを示す。制御部11は、印刷終了の指示に相当するコマンドでないと判別した場合(ステップS13:NO)、読み出したコマンドを実行する。
一方で、印刷終了の指示に相当するコマンドであると判別した場合(ステップS13:YES)、制御部11は、印刷終了と判定する(ステップS14)。制御部11は、印刷終了と判定すると、電源回路14にVBUSが0Vから5Vに切り替えるようVBUSの電圧値を制御する制御信号を生成し、電源回路14に送信する(ステップS15)。次いで、制御部11は、電源回路14によって、VBUSの電圧値を0Vから5Vに切り替え、スマートデバイス2に電力の供給を開始する(ステップS16)。
【0036】
次いで、制御部11は、USBコネクター15からの検出信号に基づいて、スマートデバイス2がサーマルプリンター1との接続を解消したか否かを判別する(ステップS17)。接続が解消していないと判別した場合(ステップS17:NO)、制御部11は、電源回路14により電力の供給を継続する。一方、接続を解消したと判別すると(ステップS17:YES)、制御部11は、電力の供給を終了する(ステップS18)。
【0037】
次に、スマートデバイス2が接続された状態において印刷を実行する場合のサーマルプリンター1の動作について説明する。
図4は、サーマルプリンター1が供給する電圧の変化の例を示す図表である。
図4(A)はVBUSの電圧値の図表であり、
図4(B)は印刷部17の動作状態および非動作状態を模式的に表す図表である。
図4(A)において、縦軸はVBUSの電圧値を示す。また、
図4(A)及び
図4(B)において、横軸は時間を示す。
【0038】
サーマルプリンター1の制御部11は、タイミングt1において、受信バッファー13から読み出したコマンドが印刷に係るコマンドであり、印刷開始と判定すると、電源回路14によりVBUSの電圧値を5Vから0Vに切り替えて、電力の供給を停止する。タイミングt1以降は、電力の供給の停止が保たれる。
【0039】
サーマルプリンター1は、タイミングt2において、受信バッファー13から読み出したコマンドが印刷終了の指示に相当するコマンドであり、印刷終了と判定する。そして、サーマルプリンター1は、電源回路14によりVBUSの電圧値を0Vから5Vに切り替えて、電力の供給を開始する。これにより、サーマルプリンター1は、印刷終了するタイミングのときに、電力の供給を再開するため、印刷が終了した後、スマートデバイス2に電力を供給することができる。つまり、スマートデバイス2は、印刷が終了した後、USBコネクター15を介してのスマートデバイス2の二次電池に対し充電を行うことができる。
【0040】
また、タイミングt3において、再度、受信バッファー13から読み出すコマンドに基づいて印刷開始と判定すると、サーマルプリンター1は、電源回路14により、VBUSの電圧値を5Vから0Vに切り替えて、電力の供給を停止する。タイミングt3以降は、電力の供給の停止が保たれる。そして、タイミングt4において、受信バッファー13から読み出すコマンドに基づいて印刷終了と判定すると、サーマルプリンター1は、電源回路14により、VBUSの電圧値を0Vから5Vに切り替えて、電力の供給を開始する。
【0041】
このように、サーマルプリンター1は、印刷開始のタイミングのときに、VBUSの電圧値を5Vから0Vに切り替え、また、印刷終了のタイミングのときに、VBUSの電圧値を0Vから5Vに切り替える。これにより、印刷開始又は終了のタイミングのときに電圧値を切り替えるため、印刷を実行する間、サーマルプリンター1が必要とする電力を確実に低減できる。そして、サーマルプリンター1は、印刷実行時に必要となる電力がACアダプター4の容量を上回る電力になることを抑制でき、印刷部17に十分な電力を供給できる。
また、サーマルプリンター1は、スマートデバイス2が接続された状態において、印刷を実行する間、印刷部17に十分な電力を供給し、印刷を実行しない間、スマートデバイス2に電力を供給する。そのため、スマートデバイス2は、サーマルプリンター1に接続された状態でも、サーマルプリンター1によって適切な印刷でき、二次電池に対して充電ができる。
【0042】
以上、説明したように、本実施形態のサーマルプリンター1は、スマートデバイス2(外部装置)に接続するUSBコネクター15(接続部)と、電源回路14(電源部)と、電源回路14から電力の供給を受けて動作する印刷部17(動作部)と、スマートデバイス2と通信する通信部16と、通信部16によりスマートデバイス2から印刷部17の動作開始又は終了の指示を受信し、印刷部17が動作開始又は終了するタイミングに応じて、電源回路14からスマートデバイス2への電力の供給を制御する制御部11と、を備える。
これにより、印刷部17の動作開始又は終了のタイミングによってスマートデバイス2への電力の供給を制御するため、印刷部17への電力の供給に影響を与えることなく、スマートデバイス2に電力を供給できる。
【0043】
また、本実施形態の制御部11は、通信部16によりスマートデバイス2から印刷部17の印刷開始の指示として印刷開始コマンドを受信し、また、印刷終了の指示として印刷終了コマンドを受信する。そして、制御部11は、印刷部17が印刷開始又は終了するタイミングに応じて、電源回路14からスマートデバイス2への電力の供給を制御する。
これにより、コマンドに基づく印刷開始又は終了のタイミングによってスマートデバイス2への電力の供給を制御することにより、印刷部17への電力の供給に影響を与えることなく、スマートデバイス2に電力を供給できる。
【0044】
また、本実施形態の制御部11は、印刷部17が印刷を開始する場合に、電源回路14からスマートデバイス2への電力の供給を停止し、印刷部17が印刷を終了する場合に、電源回路14からスマートデバイス2への電力の供給を開始する。
これにより、スマートデバイス2への電力の供給を、電力の停止又は開始によって制御できる。本実施形態では、通信部16は、USB規格以外の規格に従って、データの通信を実行する。そのため、スマートデバイス2に供給する電力を停止しても、印刷に係るコマンドを受信して印刷が実行できる。
【0045】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態におけるサーマルプリンター1の構成は、第1実施形態の構成と同一であるため、図示及び説明を省略する。
第1実施形態では、サーマルプリンター1が、USB規格以外の規格に従って、USBコネクター15を介することなくスマートデバイス2とデータの通信を行う場合における電力の供給について説明した。第2実施形態では、USB規格に従ってスマートデバイス2とデータの通信を行う場合における電力の供給について説明する。
【0046】
第2実施形態では、サーマルプリンター1の不揮発性メモリー12は、予め、スマートデバイス2が充電の動作を停止する電圧値を示す第1閾値Vth1と、通信の動作を停止する電圧値を示す第2閾値Vth2とを記憶する。
第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2は、5Vより低く設定される。そして、第1閾値Vth1は、第2閾値Vth2より高く設定される。
【0047】
図5は、第2実施形態に係るサーマルプリンター1の動作を示すフローチャートである。
図5のフローチャートにおいて、
図2で説明した処理と同一の処理には同一のステップ番号を付して、説明を省略する。
図5に示すように、制御部11は、受信バッファー13から通信部16により受信したコマンドを読み出し(ステップS3)、読み出すコマンドを解析する(ステップS4)。制御部11は、コマンドの解析により、読み出したコマンドが印刷に係るコマンドであると判別した場合(ステップS5:YES)、印刷開始と判定する(ステップS7)。制御部11は、印刷開始と判定すると、VBUSの電圧値を5Vから第1閾値Vth1を下回り第2閾値Vth2を上回る電圧値Va(第1電圧値)に切り替えるように制御する制御信号を生成し、電源回路14に制御信号を送信する(ステップS19)。次いで、制御部11は、VBUSが電圧値Vaを示す電力をスマートデバイス2に供給する(ステップS20)。
また、制御部11は、印刷に係るコマンドを実行すると(ステップS10)、受信バッファー13からコマンドを読み出し(ステップS11)、読み出したコマンドを解析する(ステップS12)。制御部11は、コマンドの解析により、読み出したコマンドが印刷終了の指示に相当するコマンドであると判別した場合に(ステップS13:YES)、印刷終了と判定する(ステップS14)。制御部11は、印刷終了と判定すると、VBUSの電圧値を電圧値Vaから5Vに切り替えように制御する制御信号を生成し、電源回路14に制御信号を送信する(ステップS21)。そして、制御部11は、VBUSの電圧値が5Vを示す電力を供給する(ステップS16)。
【0048】
このように、印刷を実行し、印刷ヘッド駆動部173、搬送モーター174、及び、カッター駆動モーター175の消費電力が増大する前に、制御部11は、電源回路14によってVBUSの電圧値を5Vから電圧値Vaに切り替え、VBUSが電圧値Vaの電力をスマートデバイス2に供給する。電圧値Vaは5Vより低く設定されるため、サーマルプリンター1が必要とする電力が、ACアダプター4の容量を上回る電力になることを抑制でき、印刷部17への電力の供給に影響を与えることがない。
また、電圧値Vaは、第1閾値Vth1を下回り第2閾値Vth2を上回るVBUSの電圧値である。そのため、サーマルプリンター1は、VBUSが電圧値Vaを示す電力を供給によって、USB規格に従う通信により印刷に係るコマンドを受信して印刷が実行できる。換言すると、第1実施形態のように電力の供給を停止すると、印刷が実行できない。したがって、印刷を実行する際に、VBUSが電圧値Vaを示す電力を供給することは、USBコネクター15によってデータを通信する場合における電力の供給として優位性がある。
【0049】
次に、スマートデバイス2が接続された状態において印刷を実行する場合のサーマルプリンター1の動作について説明する。
図6は、サーマルプリンター1が供給する電圧の変化の例を示す図表である。
図6(A)はVBUSの電圧値の図表であり、
図6(B)は印刷部17の動作状態および非動作状態を模式的に表す図表である。
図6(A)において、縦軸はVBUSの電圧値を示す。また、
図6(A)及び
図6(B)において、横軸は時間を示す。
【0050】
サーマルプリンター1は、タイミングt1において、受信バッファー13から読み出したコマンドが印刷に係るコマンドであり、印刷開始と判定すると、電源回路14によりVBUSの電圧値を5Vから電圧値Vaに切り替えて、VBUSが電圧値Vaを示す電力の供給を停止する。上述の通り、電圧値Vaは、第1閾値Vth1を下回り第2閾値Vth2を上回る電圧値である。タイミングt1以降は、VBUSが電圧値Vaを示す電力の供給が保たれる。
【0051】
サーマルプリンター1は、タイミングt2において、受信バッファー13から読み出したコマンドが印刷終了の指示に相当するコマンドであり、印刷終了と判定する。そして、サーマルプリンター1は、電源回路14によりVBUSの電圧値を電圧値Vaから5Vに切り替えて、VBUSが5Vの電圧値を示す電力の供給をする。これにより、サーマルプリンター1は、印刷を終了するタイミングのときに、第1閾値Vth1を上回る電圧値を示す電力を供給する。そのため、印刷が終了した後、スマートデバイス2は、二次電池に対し電力を充電できる。
【0052】
また、タイミングt3において、再度、受信バッファー13から読み出すコマンドに基づいて印刷開始と判定すると、サーマルプリンター1は、電源回路14により、VBUSの電圧値を5Vから電圧値Vaに切り替えて、電圧値Vaを示す電力を供給する。タイミングt3以降は、VBUSが電圧値Vaを示す電力の供給の停止が保たれる。そして、タイミングt4において、受信バッファー13から読み出すコマンドに基づいて印刷終了と判定すると、サーマルプリンター1は、電源回路14により、VBUSの電圧値を電圧値Vaから5Vに切り替えて、VBUSが5Vを示す電力の供給を開始する。
【0053】
このように、サーマルプリンター1は、印刷開始のタイミングのときに、VBUSの電圧値を5Vから電圧値Vaに切り替え、また、印刷終了のタイミングのときに、VBUSの電圧値を電圧値Vaから5Vに切り替える。これによって、印刷を実行する際に、サーマルプリンター1が必要となる電力がACアダプター4の容量を上回る電力になることを抑制でき、印刷部17への電力の供給に影響を与えることがない。つまり、制御部11は、印刷部17により適切な印刷ができる。
また、サーマルプリンター1は、スマートデバイス2が接続した状態において、印刷を実行する間、印刷部17に十分な電力を供給し、印刷を実行しない間、スマートデバイスに電力を供給する。そのため、スマートデバイス2は、サーマルプリンター1に接続された状態でも、サーマルプリンター1によって適切な印刷ができ、二次電池に対して充電ができる。
【0054】
以上、説明したように、本実施形態の制御部11は、印刷部17が動作を開始する場合に、電源回路14から供給する電圧値を電圧値Va(第1電圧値)に切り替え、印刷部17が動作を終了する場合に電源回路14から供給する電圧値を、電圧値Vaを上回る電圧値に切り替える。
特に、制御部11は、電源回路14からスマートデバイス2が備える二次電池(電池)に行う充電用の電力を供給する。制御部11は、スマートデバイス2が二次電池の充電の動作を停止する電圧値を示す第1閾値Vth1と、スマートデバイス2が通信の動作を停止する電圧値を示す第2閾値Vth2と、を有する。制御部11は、印刷部17が動作を開始する場合に、第1閾値Vth1を下回り第2閾値Vth2を上回る電圧値Vaに切り替え、印刷部17の動作が終了する場合に、電源回路14から供給する電圧値を、第1閾値Vth1を上回る電圧値に切り替える。
これにより、電圧値を切り替えることによって、スマートデバイス2への電力の供給を制御できる。また、印刷を実行する際に、第1閾値Vth1を下回り第2閾値Vth2を上回る電圧値Vaを示す電力を供給するため、サーマルプリンター1は、印刷部17への電力の供給に影響を与えることない。また、サーマルプリンター1は、電圧値Vaの電力の供給を行うため、スマートデバイス2とUSB規格に従うデータの通信ができる。
【0055】
なお、上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、第1実施形態において、サーマルプリンター1がスマートデバイス2からUSB規格以外の規格に従ってデータを通信する構成を例示したが、スマートデバイス2に限定されない。例えば、スマートデバイス2以外の外部装置とデータを通信する構成でもよい。
【0056】
また、例えば、第2実施形態において、サーマルプリンター1が第1閾値Vth1及び第2閾値Vth2を予め記憶する構成を例示したが、スマートデバイス2から取得する構成であってもよい。
【0057】
例えば、本実施形態において、印刷装置をサーマルプリンター1として例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、印刷装置は、インクジェットプリンターや、ドットインパクトプリンター、レーザープリンター等の他のプリンターでもよい。また、プリンターに限定されず、その他の機能を有する電子機器或いは電機であってもよく、USBコネクター15から電力を供給する装置であれば本発明を適用できる。