(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記工程(2)において、画像処理ソフトを用い、前記製版データ1のデザインを強調させる部分をなぞり、当該部分のデザインを強調させた柄を有する製版データ2を作成する、請求項1に記載のエンボス版の製造方法。
前記金属基体が、銅、真鍮、亜鉛、アルミニウム、鉄、及びステンレス鋼からなる群から選択された少なくとも1種の金属により構成されている、請求項1または2に記載のエンボス版の製造方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
1.エンボス版の製造方法
本発明のエンボス版の製造方法は、下記工程(1)〜(4)を備えることを特徴としている。
工程(1):三次元表面を有する原稿の表面を撮像し、製版データ1(画像データ1)を取得する。
工程(2):前記製版データ1において、デザインを強調させる部分を選択し、当該部分のデザインを強調させた製版データ2(画像データ2)を作成する。
工程(3):前記製版データ1と前記製版データ2とを合成して、エンボス加工用データを作成する。
工程(4):前記エンボス加工用データに基づいて、金属基体の表面に凹凸形状を形成し、エンボス版を作製する。
以下、本発明のエンボス版の製造方法について、詳述する。
【0011】
工程(1)
工程(1)においては、三次元表面を有する原稿の表面を撮像し、製版データ1を取得する。三次元表面を有する原稿としては、特に制限されず、壁紙などの化粧シートの表面に表現したい意匠を有する原稿を用いる。原稿の具体例としては、織物、漆喰、石板、塗装板、左官塗り壁などが挙げられる。原稿としては、これらの実物を用いることが好ましい。
【0012】
また、本発明においては、三次元表面を有する原稿として、表面の最大高低差が1mm以上、さらには3mm超であるものを用いることもできる。エンボス版を用いて化粧シートの表面に形成できる凹凸形状の高低差は、化粧シートが発泡樹脂層を有する発泡積層シートの場合であってもせいぜい数百μm程度であるが、本発明の上記工程(1)〜(4)を備える製造方法によって製造されたエンボス版を用いることにより、壁紙等の化粧シートに対して、このような高低差の大きな原稿の立体的な意匠感を好適に反映させることができる。
【0013】
原稿の表面を撮像する方法としては、特に制限されず、例えば三次元スキャナーなどを用いて原稿表面をスキャンし、原稿表面の三次元データをコンピュータなどの記憶装置に記憶させればよい。
【0014】
製版データ1としては、原稿表面を撮像して得られる三次元データについてシームレス処理を施したものであってもよい。すなわち、工程(1)は、三次元表面を有する原稿の表面を撮像し、さらにシームレス処理を施して製版データ1を取得する工程であってもよい。シームレス処理を施すことにより、三次元スキャナーのサイズより大きな原稿を複数に分割して撮像した後に自然につなぎ合わせたり、ロール状のエンボス版を製造した際に周期ごとの継ぎ目を自然にしたり、2枚の化粧シートを並べて施工した際に化粧シート同士の継ぎ目を目立たなくしたりすることができる。また、シームレス処理は、市販の画像処理ソフトなどを用いて行うことができる。画像処理ソフトとしては、後述の工程(2)と同じものを用いることもできる。
【0015】
工程(2)
工程(2)においては、工程(1)で取得した製版データ1を用い、製版データ1の中でデザインを強調させる部分を選択し、当該部分のデザインを強調させた製版データ2を作成する。製版データ2は、製版データ1においてデザインを強調させたい部分のデザインを強調させたデータであり、製版データ1とは別のデータである。
【0016】
製版データ1の中でデザインを強調させる部分の選択及び付与するデザインは、例えばデザイナーが行うことができる。デザインを強調させる部分は、化粧シートに付与するデザインによって適宜選択することができる。壁紙などの化粧シートに対して、高い立体感を表出する意匠を付与し得るエンボス版を製造する観点から、デザインを強調させる部分は、特に、凹凸形状の立体感を強調させる部分を選択することが好ましい。
【0017】
工程(2)は、画像処理ソフトを用いて行うことが好ましい。画像処理ソフトとしては、特に制限されず、市販品を使用することができる。画像処理ソフトを用いることにより、製版データ1のデザインを強調させる部分をなぞり、当該部分のデザインを強調させた柄を有する製版データ2を作成することができる。例えば、厚みの最も小さい部分と最も大きい部分とが近接している場合に、見た目に大きな立体感が認識されやすい。よって、例えば間隔が5〜30mmの間に、厚みの最も小さい部分と最も大きい部分とが位置するようにデザインを付与することにより、立体感を向上させることができる。
【0018】
本発明においては、製版データ1から、別個の製版データ2を作成し、製版データ1と製版データ2とを合成することにより、例えば製版データ1を直接編集する場合に比して、高い立体感が強調されたエンボス加工用データが得られる。さらに、製版データ2は、複数種類作成することもできる。製版データ2を製版データ1と別個のデータとし、複数種類の製版データ2を用いて、それぞれ、後述の行程(3)における合成を行うことができる。これにより、複数のエンボス加工用データを作製、比較して、最も好ましい最終製品用のエンボス加工用データを複数の中から選択することが可能となる。
【0019】
工程(3)
工程(3)においては、製版データ1と製版データ2とを合成して、エンボス加工用データを作成する。エンボス加工用データは、後述の工程(4)でエンボス版に形成する凹凸形状のデータである。工程(3)において、製版データ1と製版データ2とを合成して、エンボス加工用データを作成することにより、製版データ1に基づいて作成されたエンボス加工用データに比して、部分的にデザイン(特に、凹凸形状の立体感)が強調されたエンボス加工用データが得られる。
【0020】
製版データ1と製版データ2との合成は、エンボス加工用データとすることができれば特に制限されず、市販の画像処理ソフトなどを用いて行うことができる。画像処理ソフトとしては、前述の工程(2)と同じものを用いることもできる。
【0021】
工程(4)
工程(4)においては、工程(3)で得られたエンボス加工用データに基づいて、金属基体の表面に凹凸形状を形成し、エンボス版を作製する。エンボス加工用データに基づいて、金属基体の表面に凹凸形状を形成し、エンボス版を作製する方法としては、特に制限されず、従来公知の方法を採用することがきる。
【0022】
金属基体を構成する金属としては、特に制限されず、銅、真鍮、亜鉛、アルミニウム、鉄、及びステンレス鋼からなる群から選択された少なくとも1種の金属が挙げられる。これらの中でも、後述の腐食法によって金属基体の凹凸形状を形成した場合に、好適に凹凸形状を形成することができ、さらに、当該凹凸形状の安定性に優れるなど観点から、鉄、アルミニウム合金、銅が好ましい。
【0023】
金属基体の形状としては、特に制限されないが、ロール状(円柱状または円筒状)、板状などが挙げられる。また、金属基体の大きさについても、特に制限されないが、例えば、壁紙用のエンボス版に用いる、ロール状の金属基体を用いる場合であれば、ロールの円周600〜1300mm程度、幅500〜1400mm程度が挙げられる。
【0024】
金属基体の表面に凹凸形状を形成する方法としては、特に制限されず、例えば、腐食法、NC(数値制御)彫刻法、レーザー彫刻法などの公知の方法が挙げられる。
【0025】
例えば、腐食法により金属基体の表面に凹凸形状を形成する場合であれば、次のようにして凹凸形状を形成することができる。まず、金属基体の表面にレジスト液を塗布する。次に、市販のレーザー刷版装置を用い、エンボス加工用データを出力して、レジスト液の塗膜に柄パターンを形成する。次に、腐食(エッチング)、レジスト剥離を行うことにより、エンボス加工用データに対応した凹凸形状を金属基体の表面に形成することができる。レジスト液の塗布からレジスト剥離までの工程を柄の位置を合わせて繰り返し行なえば、より複雑な立体形状を作り出せる。
【0026】
また、例えば、彫刻法により金属基体の表面に凹凸形状を形成する場合であれば、市販の彫刻機にエンボス加工用データを入力し、エンボス加工用データに基づき、彫刻機を用いて金属機体表面を彫刻する。このような従来のNC彫刻法によっても、エンボス加工用データに対応した凹凸形状を金属基体の表面に形成することができる。なお、最近の技術では、レーザー彫刻によるエンボス版作りも実用化されており、NC彫刻よりも短時間に目的のエンボスロールを作ることができる。
【0027】
工程(4)において、金属基体の表面に形成される凹凸形状の最大高低差としては、特に制限されないが、通常、800μm以下、好ましくは500〜800μm程度が挙げられる。
【0028】
クロム層の積層
本発明のエンボス版の製造方法では、艶を制御する目的及び保護層としての機能を付与することなどを目的として、凹凸形状が形成された金属基体の表面に、クロム層を積層してもよい。エンボス版におけるクロム層の積層は、公知の方法を採用することができる。
【0029】
クロム層の積層に用いるクロムの種類としては、特に制限されない。クロムの種類としては、光沢を有するものや、完全に艶消しのものなど、多数が存在するため、化粧シート等に付与するデザインに応じて、適宜選択すればよい。また、クロム層の厚みとしては、特に制限されないが、好ましくは5〜40μm程度が挙げられる。
【0030】
2.化粧シートの製造方法
本発明の化粧シートの製造方法は、前述のエンボス版の製造方法によって得られたエンボス版を用いて、エンボス加工を行う工程を備えることを特徴としている。使用するエンボス版については、前述の通りである。以下、本発明の化粧シートの製造方法について詳述する。
【0031】
本発明の化粧シートの製造方法において、エンボス加工を施す対象は、エンボス加工を施す前の化粧シートである。当該化粧シートとしては、特に制限されないが、基材上に少なくとも発泡樹脂層を有する発泡積層シートであることが好ましい。発泡積層シートはエンボス加工による凹凸形状の賦型性が良好であり、また施工される下地の形状の隠蔽性にも優れることから、壁紙や天井材などの用途に適している。以下、エンボス加工を施す対象となる発泡積層シートの好ましい構成について説明する。
【0032】
発泡積層シートの積層構造
エンボス加工を施す対象となる当該発泡積層シートは、基材上に少なくとも発泡樹脂層が積層された積層体により構成されている。発泡樹脂層の上には、必要に応じて、非発泡樹脂層Aが積層されていてもよい。また、基材と発泡樹脂層との間には、必要に応じて、非発泡樹脂層Bが積層されていてもよい。また、非発泡樹脂層Aの上には、必要に応じて、絵柄模様層が積層されていてもよい。また、非発泡樹脂層Aの上(絵柄模様層を有する場合には、絵柄模様層の上)には、必要に応じて、艶消し層が積層されていてもよい。さらに、発泡積層シートの最表面(基材とは反対側の表面)には、必要に応じて、表面保護層が積層されていてもよい。
【0033】
発泡積層シートを構成する各層の構成
(基材)
基材の材質は、化粧シートなどの基材として適した機械強度、耐熱性等を有する限り特に限定されず、繊維質シートが一般に使用できる。
【0034】
具体的には、繊維質シートの中でも、壁紙用一般紙(パルプ主体のシートを既知のサイズ剤でサイズ処理したもの);難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの);水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙;上質紙;薄用紙;繊維混抄紙(パルプと合成繊維とを混合して抄紙したもの)などが挙げられる。なお、本発明に使用される繊維質シートには、分類上、不織布に該当しているものも包含される。
【0035】
基材の坪量は限定的ではないが、50〜300g/m
2程度が好ましく、50〜130g/m
2程度がより好ましい。
【0036】
(非発泡樹脂層B)
本発明では、基材と発泡樹脂層との間に非発泡樹脂層Bが必要に応じて形成されていてもよい。特に、非発泡樹脂層Bが接着剤層として形成される場合は、優れた密着性を得ることができる。非発泡樹脂層Bとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)等を好適に用いることができる。非発泡樹脂層Bは樹脂成分以外に公知の添加剤を含んでもよいが、樹脂成分の含有量が70〜100質量%となるように配合することが好ましい。
【0037】
非発泡樹脂層Bの厚みは限定的ではないが、3〜50μm程度が好ましく、5〜20μm程度がより好ましい。
【0038】
(発泡樹脂層)
発泡樹脂層は、発泡剤含有樹脂層が発泡することにより形成された層である。発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂成分としては、従来から壁装材に用いられている塩化ビニル樹脂、オレフィン系樹脂等が広く採用できるが、塩化ビニル樹脂は可塑剤が経時的にブリードするおそれがあることから、積層シートの耐久性を高める観点では塩化ビニル樹脂よりもオレフィン系樹脂が好ましい。また、エンボス賦型が容易である点からも、塩化ビニル樹脂よりもオレフィン系樹脂が好ましく、特にエチレン系樹脂を含有することが好ましい。
【0039】
エチレン系樹脂としては、特に1)ポリエチレン及び2)エチレンとエチレン以外の成分とをモノマーとするエチレン共重合体(以下、「エチレン共重合体」と略記する)の少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0040】
ポリエチレンは、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が広く使用できるが、この中でも低密度ポリエチレンが好ましい。
【0041】
エチレン共重合体は融点及びMFR(メルトフローレート)の観点で押出し製膜に適している。エチレン共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。
【0042】
これらのエチレン共重合体は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらのエチレン共重合体の中でも特にエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体の少なくとも1種が好ましく、これらと他の樹脂とを併用する場合には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体及びエチレン−メタクリル酸共重合体の少なくとも1種の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
【0043】
また、エチレン共重合体は、エチレン以外のモノマーの含有量としては、5〜25質量%が好ましく、9〜20質量%がより好ましい。このような共重合比率を採用することにより、押出し製膜性がより高まる。具体例としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの共重合比率(VA量)としては9〜25質量%が好ましく、9〜20質量%がより好ましい。エチレン−メチルメタクリレート共重合体は、メチルメタクリレートの共重合比率(MMA量)としては5〜25質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。また、エチレン−メタクリル酸共重合体は、メタクリル酸の共重合比率(MAA量)としては2〜15質量%が好ましく、5〜11質量%がより好ましい。
【0044】
発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂成分は、JIS K 6922に記載の190℃、荷重21.18Nの条件で測定したMFRが10〜25g/10分であることが好ましい。MFRが上記範囲内の場合には、発泡剤含有樹脂層を押出製膜により形成する際の温度上昇が少なく、非発泡状態で製膜できるため、後に絵柄模様層を形成する場合に平滑な面に印刷処理することができて柄抜け等が少ない。MFRが大きすぎる場合は、樹脂が軟らかすぎることにより、形成される発泡樹脂層の耐傷性が不十分となるおそれがある。
【0045】
発泡剤含有樹脂層に含まれる発泡剤としては、熱分解型発泡剤が好ましく挙げられる。熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド等のアゾ系;オキシベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジド系などが挙げられる。熱分解型発泡剤の含有量は、発泡剤の種類、発泡倍率等に応じて適宜設定できる。発泡倍率の観点からは、3倍以上、好ましくは7〜10倍程度であり、熱分解型発泡剤は、樹脂成分100質量部に対して、1〜20質量部程度とすることが好ましい。
【0046】
発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物としては、例えば、上記樹脂成分、ワックス、無機充填剤、顔料、架橋助剤等を含む樹脂組成物を好適に使用できる。その他にも、安定剤、滑剤等を添加剤として使用できる。
【0047】
ワックスとしては特に限定されず、従来公知のワックスを用いることができる。このようなワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等が使用できるが、中でも、ポリエチレンワックスが好ましい。
【0048】
ワックスの重量平均分子量(Mw)は、1,000〜10,000であることが好ましく、1,500〜5,000であることがより好ましい。なお、当該ワックスは、上記樹脂成分として用いられる樹脂とは、MFR及び重量平均分子量により区別される。即ち、ワックスは極めて低分子量のものであり、MFRが測定できない程流動性が高い。このため、上記樹脂成分として用いられる樹脂と、上記ワックスとは異なるものを示している。
【0049】
ワックスの含有量は、樹脂成分100質量部に対して0.1〜10質量部程度が好ましく、0.5〜5質量部程度がより好ましい。
【0050】
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物等が挙げられる。無機充填剤を含むことにより、目透き抑制効果、表面特性向上効果等が得られる。無機充填剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して0〜100質量部程度が好ましく、20〜70質量部程度がより好ましい。
【0051】
顔料については、無機顔料として、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム、コバルトグリーン、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン、硫化亜鉛等が挙げられる。また、有機顔料として、例えば、アニリンブラック、ペリレンブラック、アゾ系(アゾレーキ、不溶性アゾ、縮合アゾ)、多環式(イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ジブロムアンザントロン、ジオキサジン、チオインジゴ、フタロシアニン、インダントロン、ハロゲン化フタロシアニン)等が挙げられる。顔料の含有量は、樹脂成分100質量部に対して10〜50質量部程度が好ましく、15〜30質量部程度がより好ましい。
【0052】
発泡剤含有樹脂層の厚みは限定的ではないが、40〜100μm程度が好ましい。また、発泡後の発泡樹脂層の厚さは300〜700μm程度が好ましい。
【0053】
発泡剤含有樹脂層を発泡させる方法としては、後述の製造方法に記載された方法に従って実施すればよい。
【0054】
(非発泡樹脂層A)
発泡樹脂層の上には、非発泡樹脂層Aが形成されていることが好ましい。非発泡樹脂層Aは、主として発泡樹脂層を保護するものである。本発明では、アクリル酸(CH
2=CHCOOH)及びメタクリル酸(CH
2=C(CH
3)COOH)の少なくとも1種をモノマーとして得られる重合体を樹脂成分として含む樹脂組成物により形成された層を非発泡樹脂層Aとすることが好ましい。
【0055】
前記樹脂成分としては、例えばアクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種のモノマーとエチレンとの組み合わせにより得られる共重合体を樹脂成分として好適に用いることができる。より具体的には、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸共重合体及びアイオノマー樹脂の少なくとも1種を用いることが望ましい。アイオノマー樹脂としては、エチレン−メタクリル酸共重合体及び/又はエチレン−アクリル酸共重合体の分子間をナトリウム、亜鉛等の金属のイオンで分子間結合した構造を有する樹脂が使用できる。このような樹脂成分を用いる場合には、特に樹脂中の水素結合等に起因する強固な層を形成することができるので、優れた耐スクラッチ性、耐摩耗性等を得ることができる。これらは、公知又は市販のものを使用することができる。
【0056】
前記共重合体におけるアクリル酸又はメタクリル酸の含有量は4〜15質量%程度であることが好ましい。このような樹脂も市販品を使用することができる。前記樹脂組成物には、公知の添加剤を配合することもできる。
【0057】
非発泡樹脂層Aの厚みは限定的ではないが、2〜50μm程度が好ましく、5〜20μm程度がより好ましい。
【0058】
また、樹脂組成物中の前記樹脂成分の含有量は限定的ではないが、通常70〜100質量%の範囲内で適宜設定することが好ましい。
【0059】
(艶消し層)
非発泡樹脂層Aの上には、必要に応じて、艶消し層が積層されていてもよい。艶消し層は、発泡壁紙の表面の艶を低くするために設けられる。
【0060】
艶消し層は、平均粒子径が3〜20μm(好ましくは3〜10μm)のアクリル粒子を2〜10質量%(好ましくは3〜6質量%)含有する。ここで、アクリル粒子は、アクリル樹脂の粒子である。アクリル粒子の平均粒子径は、アクリル粒子を走査型電子顕微鏡により観察し、100個以上の粒子の粒子径を測定した場合の平均値である。このような艶消し層を有することにより、発泡壁紙の表面の艶が十分に低く抑えられる。
【0061】
また、上記含有量であれば、非発泡樹脂層Aと艶消し層との間に絵柄模様層を更に有する場合でも、絵柄模様層の視認性を阻害しない。
【0062】
艶消し層は、例えば、上記アクリル粒子を含む塗工剤を非発泡樹脂層Aの上に塗工後、乾燥させることにより形成することができる。塗工剤としては、例えば、上記アクリル粒子,アクリル粒子以外の樹脂成分,液体成分などを含有する組成物が挙げられる。より具体的には、上記アクリル粒子,水性ウレタン樹脂,水及び/又はアルコールなどを含む組成物がある。また、艶消し層の表面滑性の調整を目的としてシリコーン粒子を更に加えてもよい。シリコーン粒子を加えることにより、艶消し層の表面の引っかかりや摩擦が低減するため、表面の耐スクラッチ性を向上させることができる。
【0063】
艶消し層の厚さは限定的ではないが、艶消し層の表面からアクリル粒子の一部が突出していることが好ましい。つまり、アクリル粒子以外の成分による厚さが2〜10μm程度(特に2〜5μm程度)であることが好ましい。
【0064】
(絵柄模様層)
本発明では、非発泡樹脂層Aと艶消し層との間に、必要に応じて、さらに絵柄模様層を有してもよい。
【0065】
絵柄模様層は、発泡壁紙に意匠性を付与する。絵柄模様としては、例えば木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。絵柄模様は、発泡壁紙の種類に応じて選択できる。
【0066】
絵柄模様層は、例えば、非発泡樹脂層の上に絵柄模様を印刷することで形成できる。なお、絵柄模様層を形成する際には、必要に応じてあらかじめプライマー層を形成してもよい。印刷手法としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。印刷インキとしては、着色剤、結着材樹脂、溶剤(又は分散媒)を含む印刷インキが使用できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用してもよい。
【0067】
着色剤としては、例えば、発泡剤含有樹脂層で使用されるような顔料を適宜使用することができる。
【0068】
結着材樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。
【0069】
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水などが挙げられる。
【0070】
絵柄模様層の厚みは、絵柄模様の種類より異なるが、一般には0.1〜10μm程度とすることが好ましい。
【0071】
(表面保護層)
発泡壁紙は、最表面(基材とは反対側の表面)に表面保護層を形成してもよい。表面保護層の種類は限定的ではない。艶調整を目的とする表面保護層であれば、例えば、シリカなどの既知フィラーを含む表面保護層がある。表面保護層の形成方法としては、グラビア印刷などの公知の方法が採用できる。なお、表面保護層の下に位置する層(例えば、絵柄模様層)と表面保護層との密着性が十分に得られない場合には、絵柄模様層の表面を易接着処理(プライマー処理)した後に表面保護層を設けることもできる。
【0072】
発泡壁紙の表面強度(耐スクラッチ性など)、耐汚染性、絵柄模様層の保護等を目的として表面保護層を形成する場合には、電離放射線硬化型樹脂を樹脂成分として含有するものが好適である。電離放射線硬化型樹脂としては、電子線照射によってラジカル重合(硬化)するものが好ましい。
【0073】
電離放射線硬化型樹脂を含有する表面保護層を形成した場合には、電子線照射によって表面保護層を硬化させることができる。このような電子線照射は、発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂を架橋させるために行う電子線照射と同時(同処理)とできる。つまり、発泡剤含有樹脂層、絵柄模様層及び電離放射線硬化型樹脂を含有する表面保護層を順に形成後、電子線照射を行って、発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂を架橋するとともに表面保護層に含まれる樹脂を硬化させることができる。
【0074】
表面保護層の厚みは、適宜設定することができ、好ましくは0.1〜15μm程度である。
【0075】
(エンボス加工)
前述の通り、本発明の壁紙の製造方法においては、発泡壁紙に対して、エンボス加工を行い、表面に凹凸形状を付与する。この場合、最表面側(基材とは反対側)からエンボス加工を行えばよい。エンボス加工においては、前述のエンボス版を用いる。エンボス版の押圧等の条件は、従来公知の条件を適宜採用すればよい。例えば、発泡壁紙の表面を加熱軟化させた後、エンボス版を押圧することにより、所望の凹凸形状を付与できる。エンボス加工によって付与される凹凸形状は、前述した、織物、漆喰、石板、塗装板、左官塗り壁などの模様が挙げられる。
【0076】
発泡壁紙の製造方法
発泡壁紙の製造方法は特に限定されない。例えば、基材上に発泡樹脂層、非発泡樹脂層Aを順に有する発泡壁紙を製造するには、Tダイ押出し機により発泡剤含有樹脂層と非発泡樹脂層Aの2層を同時押出しすることが好ましい。2つの層に対応する溶融樹脂を同時に押出すことにより2層の同時成膜が可能なマルチマニホールドタイプのTダイを用いることができる。この場合、発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物及び非発泡樹脂層Aを形成するための樹脂組成物をそれぞれ別個のシリンダー中に入れ、2種2層を同時に押出し成膜・積層すればよい。この方法では、同時押出し積層体は、基材上に同時積層(成膜)する。基材上に押出しと同時に積層された樹脂層は、熱溶融により接着性を有するため基材と接着される。
【0077】
なお、予め2種2層を同時成膜した積層体を用意して、それを基材上に載せて、熱ラミネートすることにより基材と接着してもよい。
【0078】
なお、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に無機充填剤が含まれる場合であって、発泡剤含有樹脂層を押出し成形により形成する場合には、押出し成形機の押出し口(いわゆるダイス)に無機充填剤の残渣(いわゆる目やに)が発生し易く、これがシート表面の異物となり易い。そのため、発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物に無機充填剤が含まれる場合には、上記非発泡樹脂層A及び非発泡樹脂層Bを、発泡剤含有樹脂層とともに同時押出し成形することが好ましい。このように発泡剤含有樹脂層を非発泡樹脂層によって挟み込んだ態様で同時押出し成形することにより、前記目やにの発生を抑制できる。
【0079】
次いで、発泡剤含有樹脂層を加熱することにより発泡樹脂層を形成する。加熱条件は、熱分解型発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件ならば限定されない。加熱温度は210〜240℃程度が好ましく、加熱時間は20〜80秒程度が好ましい。
【0080】
前記加熱処理の前に、電子線照射を行ってもよい。これにより樹脂成分を架橋できるため、発泡壁紙の表面強度、発泡程度等を制御することができる。電子線のエネルギーは、150〜250kV程度が好ましい。照射量は、1〜7Mrad程度が好ましい。電子線源としては、公知の電子線照射装置が使用できる。なお、架橋は、化学架橋剤(架橋剤又は架橋助剤ともいう。)を用いて実施することもできる。
【0081】
電子線照射を行う場合には、前記組成物中に架橋剤を含有してもよい。架橋剤としては、電子線照射による架橋を促進するものであればよい。例えば、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の多官能性モノマー、オリゴマーなどが挙げられる。架橋剤は、樹脂成分100質量部に対して0〜10質量部程度とすることが好ましく、特に1〜4質量部とすることがより好ましい。
【0082】
絵柄模様層を有する発泡壁紙を製造する場合には、上記加熱処理前に非発泡樹脂層Aの表面に絵柄模様層を形成することが好ましい。絵柄模様層の形成方法は、前記の通りとすればよい。
【実施例】
【0083】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0084】
(実施例1)エンボス版の作製
以下の工程により、エンボス版を製造した。基材(石膏ボード)に、左官職人が漆喰のコテ塗りを実施し、職人の感性で凹凸模様を形成した。出来上がった漆喰パネルの表面凹凸は最大で3mmを超えた。表面凹凸の高低差は、左官職人の腕の長さほどをピッチとして広い範囲で凹凸が変化していた。次に、市販の3次元入力機のXYテーブルにセットできる大きさに漆喰パネルをカットした。次に、3次元入力機の入力解像度635dpiとし、先にカットした複数の原稿を各々入力した。入力した複数の画像を画像処理ソフト(アドビ社製のフォトショップ)でつなぎ合わせ、シームレス画像A(製版データ1)を作成した。
【0085】
次に、シームレス画像Aを画面に表示した状態で、これとは別のレイヤーを使い、デザイナーによって適所に明暗の諧調ある画像を書き入れた。なお、明部は後にエンボス版で彫りこまれる箇所となり、暗部は後にエンボス版の基材を残す場所となる。明暗の中間色は、その濃度に応じてエンボス版の深度が変わることになる。職人の漆喰コテ塗りに含まれるわずかな凹凸を基に、同調または非同調で約1cmの帯状に明部を描き、その明部に接するように暗部を0.5cmの帯状に描いた。明部と暗部はなめらかにグラデーションで切り替わるよう描いた。これを繰り返し、幅1cmの明部、幅0.5cmの暗部からなる流れ模様をシームレス画像のほぼ全域に設けた。以上のようにして、明暗が約1.5cmの周期で切り替わる画像B(製版データ2)を作成した。シームレス画像Aでは、最明部と最暗部が隣接している箇所が少なかったが、画像Bにおいて、1.5mm周期で明暗の繰り返しを与えることで、最終製品(壁紙)に立体感を感じやすくした。
【0086】
次に、シームレス画像Aと画像Bを合成し、1枚のシームレス合成画像を作成した。これによりシームレス画像Aにはなかった約1.5mm周期の抑揚のある画像とした。当該画像はポジ画像であり、エンボスロールはネガ版にする必要があるため、画像のネガポジ反転を行い、最終製版画像C(エンボス加工用データ)とした。
【0087】
次に、面長1100mmの中空円柱状の鉄基材に対して、市販のレーザー彫刻機を用いて、最終製版画像Cを最大深度700μmにて彫刻した。彫刻後はサンドブラスト(アルミナ#220)にて表面仕上げを行い、さらにクロームメッキを厚み10μm施し、実施例1のエンボス版を得た。
【0088】
(比較例1)エンボス版の作製
以下の工程により、エンボス版を製造した。実施例1と同様にして、シームレス画像A(製版データ1)を作成した。次に、シームレス画像Aに、画像処理ソフトを用いて、トーンカーブ、シャープネスなどによって絵柄にメリハリをつけて画像Bとした。画像Bは、ポジ画像であり、エンボスロールはネガ版にする必要があるため、画像Bのネガポジ反転を行い、最終製版画像C(エンボス加工用データ)とした。
【0089】
次に、面長1100mmの中空円柱状の鉄基材に対して、市販のレーザー彫刻機を用いて、最終製版画像Cを最大深度700μmにて彫刻した。彫刻後はサンドブラスト(アルミナ#220)にて表面仕上げを行い、さらにクロームメッキを厚み10μm施し、比較例1のエンボス版を得た。
【0090】
(実施例2)発泡壁紙の作製
3種3層マルチマニホールドTダイ押出し機を用いて、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bの順に厚み10μm/100μm/10μmになるように裏打紙に押出し製膜した。これにより、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層B/裏打紙からなる積層体を得た。裏打紙としては、「NI−65A(日本製紙製)」を用意し、これを90℃に加熱した後、上記3層を押出し製膜した。押出し条件は、非発泡樹脂層Aを形成するための樹脂を収容したシリンダー温度は115℃とし、発泡剤含有樹脂層を形成するための樹脂組成物を収容したシリンダー温度は110℃とし、非発泡樹脂層Bを形成するための樹脂を収容したシリンダー温度は100℃とした。また、ダイス温度はいずれも110℃とした。
【0091】
上記積層体に対して、非発泡樹脂層Aの側から電子線(200KV,3Mrad)を照射して特に非発泡樹脂層Aを樹脂架橋した。また、非発泡樹脂層A上にコロナ放電処理を行った。次に、非発泡樹脂層A上にEVA系水性エマルジョンを塗布(2g/m
2)してプライマー層を形成し、更に水性インキ「ハイドリック」(大日精化工業製)により布目絵柄を印刷した。次に、布目絵柄を印刷した積層体を加熱炉(250℃×約30秒)し、発泡剤含有樹脂層を発泡させた。最後に、上記発泡体に対して実施例1で製作したエンボス版を用いて凹凸形状を付与し、発泡壁紙を得た。
【0092】
発泡壁紙の各層は、それぞれ以下の成分を用いて形成した。
・非発泡樹脂層Aは、EMAA「ニュクレルN1560(MAA含有量:15重量%、MFR:60g/10分)、三井・デュポン ポリケミカル製」により形成した。
・発泡剤含有樹脂層は、EVA「エバテートH4011(VA含有量:20重量%)、住友化学製」90重量部、水添石油樹脂「アルコンP−100、荒川化学製」10重量部、炭酸カルシウム「ホワイトンH、東洋ファインケミカル製」40重量部、二酸化チタン「R−108、デュポン製」20重量部、ADCA発泡剤「ビニホールAC#3、永和化成工業製」4重量部、安定剤「アデカスタブCPL−19、ADEKA製」0.6重量部及び発泡助剤「ステアリン酸亜鉛」3.3重量部からなる樹脂組成物により形成した。
・非発泡樹脂層Bは、EVA「エバフレックスEV150(VA含有量:33重量%)、三井・デュポン ポリケミカル製」により形成した。
【0093】
(比較例2)発泡壁紙の作製
実施例1で作製したエンボス版の代わりに、比較例1で作製したエンボス版を用いた以外、実施例2と同様にして発泡壁紙を作製した。
【0094】
<立体感の評価>
以下の基準に従い、実施例2及び比較例2で得られた発泡壁紙の立体感を評価した。一般住宅のリビングーム壁面幅約3600mm、床から天井高さ2400mmの一面に実施例2の壁紙を施工した。また、同じ間取り(窓の方角も同じ)のリビングルームに比較例2の壁紙を施工した。次に、一般からランダムに選出した30代から50代の男女各50人に自分の家に施工したい壁面はどちらか質問した。その結果、88%の人が、実施例2で得られた発泡壁紙を選んだ。