特許第6609972号(P6609972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6609972
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20191118BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   F16K31/06 305D
   F16K31/06 305A
   H01F7/16 R
   H01F7/16 C
   H01F7/16 E
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-77913(P2015-77913)
(22)【出願日】2015年4月6日
(65)【公開番号】特開2016-105012(P2016-105012A)
(43)【公開日】2016年6月9日
【審査請求日】2018年3月8日
(31)【優先権主張番号】特願2014-237915(P2014-237915)
(32)【優先日】2014年11月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】藤田 かおり
(72)【発明者】
【氏名】村上 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】小野 樹
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−103219(JP,A)
【文献】 特開平10−196828(JP,A)
【文献】 特開2006−010045(JP,A)
【文献】 特開2014−027206(JP,A)
【文献】 特開2011−112076(JP,A)
【文献】 特開2004−150584(JP,A)
【文献】 特表2013−501879(JP,A)
【文献】 特開2008−267475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
H01F 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が流通する複数のポートが形成された円筒状のスリーブ、前記スリーブの内部における軸方向移動によって前記ポートを開放及び閉塞する軸状のスプール、及び前記スプールを前記スリーブに対して軸方向移動させるソレノイド部を備え、
前記ソレノイド部は、
電流の供給を受けて磁力を発生させる筒状の電磁コイルと、
前記電磁コイルを包囲する磁性体からなるカバー部材と、
前記電磁コイルの中心軸に沿って軸方向移動可能に支持され、前記スプールに軸方向の移動力を付与するシャフトと、
前記シャフトと共に軸方向移動可能なプランジャと、
前記電磁コイルに発生する磁力によって前記プランジャを吸引する磁性体コアと、を備え、
前記カバー部材は、前記電磁コイルの外周側を覆う外側筒部、前記電磁コイルの前記スリーブとは反対側の端部を覆う第1底部、前記電磁コイルの前記第1底部側の端部と前記プランジャとの間に介在する内側筒部、及び前記内側筒部よりも径方向内方に突出して形成され、前記プランジャと軸方向に対向する第2底部を有し、
前記磁性体コアは、前記シャフトと前記電磁コイルとの径方向間に介在して前記プランジャ及び前記カバー部材の前記内側筒部と軸方向に対向し、前記シャフトを挿通させる挿通孔が中心部に形成された円筒部、及び前記円筒部と前記カバー部材の前記外側筒部とを連結するフランジ部を有し、
前記シャフトは、前記磁性体コアに形成された第1軸受部と、前記カバー部材の前記第2底部に形成された第2軸受部とによって支持され、
前記第1軸受部は、前記磁性体コアの前記円筒部が軸方向の一部において前記シャフトの外周面に摺接するように径方向内方に突出して形成され、
前記第2軸受部は、前記カバー部材の前記第2底部に前記プランジャから突出した前記シャフトを摺動自在に保持する摺動孔を設けることによって形成され、前記摺動孔の内周面が前記シャフトの外周面に摺接する摺接面であり、
前記カバー部材の前記第2底部には、前記シャフトに沿って前記プランジャ側に突出した環状の突部が設けられると共に、前記摺動孔から外方に突出した前記シャフトの端部を収容する収容孔が形成されており、
前記突部は、その内面が前記摺接面に含まれ、
前記収容孔は、その内面が前記シャフトの前記端部の外周面に隙間を介して対向し、
前記シャフトは、前記端部が常に前記摺動孔から外方に突出し、かつ前記カバー部材における前記収容孔の開口端面から外方に突出しない、
電磁弁。
【請求項2】
前記磁性体コアには、前記電磁コイルへの通電時に前記プランジャの端部が嵌入する凹部が形成され、
前記第1軸受部の軸方向中心位置と前記第2軸受部の軸方向中心位置との中間点である軸受間中心位置が前記凹部の軸方向範囲内にある、
請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記カバー部材の前記内側筒部は、その内周面が前記プランジャの外周面と直接対向する、
請求項1又は2に記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルに供給される電流に応じて作動流体の圧力を制御する電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁力を発生するソレノイド部と、弁孔を有する筒状のスリーブと、弁孔内で軸方向移動する軸状のスプールとを備え、スプールの軸方向移動によって、作動流体の圧力を制御する電磁弁が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の電磁弁は、電磁コイルに供給される電流に応じて軸方向移動するプランジャを有するソレノイド部と、プランジャと同軸上に配置された内筒状のスリーブと、スリーブに形成された弁孔に収容され、プランジャの軸方向移動に伴ってスリーブの内面を摺動するスプールとを有する。
【0004】
ソレノイド部は、電磁コイルと、電磁コイルを支持する磁性体からなる筒状のカバー部材(ソレノイドケース)と、磁性体からなるコア部材(ソレノイドコア)と、カバー部材に対して軸方向移動するプランジャとを有する。コア部材は、その中心部に軸方向に貫通した貫通孔を有し、この貫通孔に軸状のシャフトが挿通されている。また、コア部材におけるスリーブとは反対側の端部には、プランジャの一端部が嵌入する凹部が形成された円筒ヨーク部が設けられている。
【0005】
電磁コイルに通電されると、プランジャが電磁力によってコア部材の円筒ヨーク部における凹部の底面に向かって軸方向に吸引される。凹部の内周面とプランジャの外周面との間には、僅かな隙間(エアギャップ)が形成され、電磁コイルで発生した磁束は、このエアギャップを含む磁路に沿って電磁コイルの周囲を周回する。
【0006】
プランジャは、電磁コイルの磁力によってシャフトと共に軸方向に進退移動し、シャフトを介してスプールを押圧することで、スプールを弁孔内で移動させる。これにより、弁孔内における作動流体の流路が切り替わり、制御対象装置への作動流体の供給圧力が変化する。
【0007】
シャフトは、コア部材の貫通孔内に配置された第1の軸受ブッシュによって軸方向に移動可能に支持されている。また、プランジャは、カバー部材の内部に配置された第2の軸受ブッシュによって軸方向移動可能に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014−105726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように構成された電磁弁では、プランジャ及びシャフトを円滑に軸方向移動させるために、第1の軸受ブッシュとシャフトとの間、及び第2の軸受ブッシュとプランジャとの間には、僅かな隙間が形成されている必要がある。この隙間が大きいと、コア部材及びカバー部材に対するプランジャ及びシャフトのガタが大きくなり、コア部材における凹部の内周面とプランジャの外周面との間のエアギャップの幅が変動してしまい、電磁コイルに供給される電流に応じたスプールの押圧力が得られないおそれがある。一方、第1及び第2の軸受部ブッシュとプランジャ及びシャフトとの間の隙間が小さいと、プランジャ及びシャフトの円滑な摺動性が損なわれる。
【0010】
特許文献1に記載の電磁弁では、コア部材及びカバー部材の内側に第1の軸受ブッシュ及び第2の軸受ブッシュが電磁コイルで発生する磁束の磁路中に配置されるので、磁気効率の低下を招来している。また、コア部材及びカバー部材の加工誤差に加え、第1及び第2の軸受ブッシュの径方向の寸法誤差が第1及び第2の軸受ブッシュとプランジャ及びシャフトとの隙間の大きさに影響する。このため、プランジャ及びシャフトの円滑な軸方向移動を確保するため、コア部材及びカバー部材に対するプランジャ及びシャフトのガタを許容し、これに伴ってコア部材における凹部の内周面とプランジャの外周面との間のエアギャップを大きく設定する必要があった。
【0011】
しかし、コア部材における凹部の内周面とプランジャの外周面との間のエアギャップを大きく設定すると、電磁コイルで発生する磁束の磁路における磁気抵抗が大きくなり、磁気効率の低下を招来するため、例えば電磁コイルにおける巻線の巻き数を多くすること等により、電磁コイルで発生し得る磁力を高める必要がある。このことは、電磁弁の小型化を図る上での制約となっていた。
【0012】
そこで、本発明は、プランジャ及びシャフトの円滑な摺動性を確保しながら、小型化を図ることが可能な電磁弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記目的を達成するために、作動流体が流通する複数のポートが形成された円筒状のスリーブ、前記スリーブの内部における軸方向移動によって前記ポートを開放及び閉塞する軸状のスプール、及び前記スプールを前記スリーブに対して軸方向移動させるソレノイド部を備え、前記ソレノイド部は、電流の供給を受けて磁力を発生させる筒状の電磁コイルと、前記電磁コイルを包囲する磁性体からなるカバー部材と、前記電磁コイルの中心軸に沿って軸方向移動可能に支持され、前記スプールに軸方向の移動力を付与するシャフトと、前記シャフトと共に軸方向移動可能なプランジャと、前記電磁コイルに発生する磁力によって前記プランジャを吸引する磁性体コアと、を備え、前記カバー部材は、前記電磁コイルの外周側を覆う外側筒部、前記電磁コイルの前記スリーブとは反対側の端部を覆う第1底部、前記電磁コイルの前記第1底部側の端部と前記プランジャとの間に介在する内側筒部、及び前記内側筒部よりも径方向内方に突出して形成され、前記プランジャと軸方向に対向する第2底部を有し、前記磁性体コアは、前記シャフトと前記電磁コイルとの径方向間に介在して前記プランジャ及び前記カバー部材の前記内側筒部と軸方向に対向し、前記シャフトを挿通させる挿通孔が中心部に形成された円筒部、及び前記円筒部と前記カバー部材の前記外側筒部とを連結するフランジ部を有し、前記シャフトは、前記磁性体コアに形成された第1軸受部と、前記カバー部材の前記第2底部に形成された第2軸受部とによって支持され、前記第1軸受部は、前記磁性体コアの前記円筒部が軸方向の一部において前記シャフトの外周面に摺接するように径方向内方に突出して形成され、前記第2軸受部は、前記カバー部材の前記第2底部に前記プランジャから突出した前記シャフトを摺動自在に保持する摺動孔を設けることによって形成され、前記摺動孔の内周面が前記シャフトの外周面に摺接する摺接面であり、前記カバー部材の前記第2底部には、前記シャフトに沿って前記プランジャ側に突出した環状の突部が設けられると共に、前記摺動孔から外方に突出した前記シャフトの端部を収容する収容孔が形成されており、前記突部は、その内面が前記摺接面に含まれ、前記収容孔は、その内面が前記シャフトの前記端部の外周面に隙間を介して対向し、前記シャフトは、前記端部が常に前記摺動孔から外方に突出し、かつ前記カバー部材における前記収容孔の開口端面から外方に突出しない、電磁弁を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プランジャ及びシャフトの円滑な摺動性を確保しながら、小型化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁の構成例における断面図であり、(a)は電磁コイルが通電された通電状態における断面図であり、(b)は非通電状態における断面図である。
図2】第1の実施の形態に係る電磁弁におけるソレノイド部及びその周辺部の拡大図である。
図3】(a)は図1(a)のA−A線断面図であり、(b)は図1(a)のB−B線断面図であり、(c)は図1(a)のC−C線断面図であり、(d)は図1(a)のD−D線断面図である。
図4】本発明の第2の実施の形態に係る電磁弁の構成例における断面図である。
図5】(a)及び(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る電磁弁における第2軸受部の周辺部を拡大して示す拡大図であり、(a)は通電状態を、(b)は非通電状態を、それぞれ示す。(c)は(a)のE−E線断面図である。
図6】(a)〜(f)は、第3の実施の形態の変形例における突起を、第2底部の内面の平面視で示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態に係る電磁弁の構成及び動作について図1乃至図3を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る電磁弁の構成例を示す断面図であり、図1(a)は通電状態を示し、図1(b)は非通電状態を示している。図2は、図1(a)に示す電磁弁におけるソレノイド部及びその周辺部の拡大図である。図3(a)は、図1(a)のA−A線断面図であり、図3(b)は図1(a)のB−B線断面図であり、図3(c)は図1(a)のC−C線断面図であり、図3(d)は、図1(a)のD−D線断面図である。なお、図3(a)では、シャフト、プランジャ、及びカバー部材の一部のみを図示し、図3(b)では、シャフト、プランジャ、及びコア部材の一部のみを図示している。
【0017】
電磁弁1は、電磁コイル20に供給される電流に応じて軸方向移動するプランジャ24を有するソレノイド部2と、プランジャ24と同軸上に配置された筒状のスリーブ4と、スリーブ4に形成された弁孔4aに収容され、プランジャ24の軸方向移動に伴ってスリーブ4の内面を摺動するスプール3とを有して構成されている。
【0018】
スリーブ4は、図略のオイルポンプから供給される作動流体が流通する複数のポートが形成された円筒状の部材である。より具体的には、スリーブ4は、作動流体が供給される供給ポート41と、ソレノイド部2の非通電状態において供給ポート41と連通し、作動流体を制御対象(例えば電子制御式自動変速装置のクラッチ)に出力する出力ポート42と、ソレノイド部2の通電状態において出力ポート42と連通し、作動流体を排出する排出ポート43と、出力ポート42から流出した作動流体の一部がフィードバックポート孔44aを介して流入するフィードバックポート44と、コイルばね6を収容するばね室45aを内部に有する筒部45とを有している。
【0019】
筒部45は、スリーブ4におけるソレノイド部2とは反対側の端部に設けられ、その開口45bが蓋部材7によって閉塞されている。蓋部材7は、その外周面に形成された雄ねじが筒部45の内周面に形成された雌ねじ部に螺合しており、スリーブ4に対する軸方向の位置が調整可能に取り付けられている。
【0020】
スプール3は、スリーブ4の内部における軸方向移動によって供給ポート41,出力ポート42,排出ポート43,及びフィードバックポート44を開放及び閉塞する軸状の部材である。また、スプール3は、ソレノイド部2側から順に、第1ランド部31と、第1ランド部31よりも大径の第2ランド部32と、第2ランド部32よりも細径の細径部33と、第3ランド部34とを有している。
【0021】
また、スプール3は、第3ランド部34のソレノイド部2と反対側の軸方向端面に当接するコイルばね6によって弾性的にソレノイド部2側に付勢されている。第1ランド部31のソレノイド部2側の軸方向端面には、ソレノイド部2側に配置されたシャフト22の先端部221が常時、当接している。
【0022】
ソレノイド部2は、電流の供給を受けて磁力を発生させる筒状の電磁コイル20と、電磁コイル20を包囲する筒状のカバー部材21と、電磁コイル20の中心軸Cに沿って軸方向移動可能に支持され、スプール3に移動力を付与するシャフト22と、電磁コイル20に発生する磁力によってプランジャ24を吸引する磁性体コアとしてのコア部材23と、カバー部材21及びコア部材23に対して軸方向移動するプランジャ24とを有する。カバー部材21,コア部材23及びプランジャ24は磁性体からなり、電磁コイル20が発生する磁束の磁路Gを構成する。
【0023】
電磁コイル20は、カバー部材21に形成された環状のコイル収容空間21aに収容され、かつ、樹脂からなるボビン20aによって封止されている。電磁コイル20は、カバー部材21の外周に固定されたコネクタ部201から励磁電流の供給を受けて磁束を発生させる。
【0024】
カバー部材21は、図2に示すように、電磁コイル20の外周側を覆う外側筒部210と、電磁コイル20のスリーブ4とは反対側の端部を覆う第1底部211と、電磁コイル20の第1底部211側の端部とプランジャ24との間に介在する内側筒部213と、内側筒部213よりも径方向内方に突出して形成され、プランジャ24と軸方向に対向する第2底部214とを一体に有している。第2底部214には、シャフト22に沿ってプランジャ24側に突出した環状の突部215が設けられている。突部215の先端面215aには、電子コイル20への非通電状態において、プランジャ24の第2底部214側の端面24cが当接する。
【0025】
内側筒部213は、図3(a)に示すように、その内周面213aがプランジャ24の外周面24aと直接対向する。ここで、「直接対向する」とは、内外周面間に他の部材が介在することなく、両周面が直に向かい合うことをいう。プランジャ24の外周面24aとカバー部材21の内側筒部213の内周面213aとの間の隙間をHとすると、プランジャ24の外径が10mm程度である場合、Hは、例えば0.2mmである。
【0026】
コア部材23は、シャフト22を挿通させる挿通孔231aが中心部に形成された円筒部231と、円筒部231とカバー部材21の外側筒部210とを連結するフランジ部232と、円筒部231のフランジ部232側とは反対側の端部における周縁部から軸方向に突出して形成された鍔部233とを一体に有している。円筒部231は、シャフト22と電磁コイル20との径方向間に介在し、かつプランジャ24及びカバー部材21の内側筒部213と軸方向に対向している。
【0027】
鍔部233は、図3(b)に示すように、その内周面233aがプランジャ24の外周面24aと直接対向する円筒状である。プランジャ24の外周面24aとコア部材23における鍔部233の内周面233aとの間の隙間をHとすると、Hは、例えば0.1mmである。
【0028】
鍔部233の内周側の空間は、プランジャ24の軸方向におけるスリーブ4側の端部241が嵌入する凹部234として形成されている。コア部材23の円筒部231とカバー部材21の第2底部214との軸方向間には、プランジャ24が収容される収容空間2aが形成されている。
【0029】
プランジャ24は、シャフト22に外嵌され、シャフト22と共に軸方向移動可能に収容空間2a内に収容されている。プランジャ24には、中心部に軸方向に貫通した貫通孔24bが形成され、この貫通孔24b内にはシャフト22が圧入されている。
【0030】
シャフト22は、コア部材23の円筒部231に形成された第1軸受部51と、カバー部材21の第2底部214に形成された第2軸受部52とによって軸方向移動可能に支持されている。ここで、シャフト22の表面硬度は、第1軸受部51及び第2軸受部52の表面硬度よりも大きく設定されている。これにより、シャフト22は円滑に摺動する。
【0031】
シャフト22は、コア部材23における円筒部231の挿通孔231aを挿通し、その軸方向におけるスプール3側の先端部221がコア部材23のフランジ部232側から突出する。コア部材23のフランジ部232から突出したシャフト22の先端部221は、スプール3の一端に当接し、スプール3をその中心軸Cに沿って軸方向の一側に押圧する。これにより、スプール3に軸方向の移動力が付与される。
【0032】
また、シャフト22には、その外周にプランジャ24がコア部材23に当接した際の衝撃を緩和するスペーサ220が固定されている。
【0033】
第1軸受部51は、コア部材23の円筒部231が軸方向の一部においてシャフト22の外周面22aに摺接するように径方向内方に突出して形成され、その突出部の内面がシャフト22の外周面22aと摺接する摺接面51aとして形成されている。第1軸受51の内径は、シャフト22の外径よりも僅かに大きく形成されている。
【0034】
第2軸受部52は、プランジャ24から突出したシャフト22を摺動自在に保持する摺動孔214aをカバー部材21の第2底部214に設けることによって形成されている。また、第2軸受部52の内周面は、シャフト22の外周面22aと摺接する摺接面52aとして形成されている。この摺動孔214aは、カバー部材21の第2底部214を軸方向に貫通して形成され、プランジャ24から突出したシャフト22が摺動孔214aを貫通し、シャフト22の基端部222がカバー部材21から外方に露呈している。第2軸受52の内径は、シャフト22の外径よりも僅かに大きく形成されている。
【0035】
本実施の形態では、摺動孔214aの内面が環状の突部215の内面を含んでおり、突部215の内面は、第2軸受部52の摺接面52aの一部となっている。すなわち、第2軸受部52は、突部215を含んで、摺動孔214aを内周面とする円筒状に第2底部214から突出して形成されている。つまり、本実施の形態では、第2軸受部52が、第2底部214の厚みと、突部215の底部214からの突出高さ分の長さに形成されている。
【0036】
第1軸受部51及び第2軸受部5の内径は、略同等に設定されており、第1軸受部51及び第2軸受部52の内径とシャフト22の外径との差は、シャフト22の外径が4mm程度である場合、例えば0.02mmである。
【0037】
ここで、第1軸受部51の摺接面51aにおける軸方向距離Lの中間点である軸方向中心位置をO、第2軸受部52の摺接面52aにおける軸方向距離Lの中間点である軸方向中心位置をOとすると、図2に示すように、軸方向中心位置O及び軸方向中心位置Oとの中間点である軸受間中心位置Mが凹部234の軸方向範囲内にあるように構成されている。ここで、「軸方向範囲内」とは、コア部材23の円筒部231の軸方向におけるプランジャ24側の端面231bから鍔部233の先端部までの軸方向距離Lの範囲内をいう。端面231bは、凹部234の底面として形成されている。
【0038】
次に、電磁弁1の動作について説明する。電磁コイル20に電流が供給されると、図1(a)及び図2に示すように、カバー部材21、コア部材23、及びプランジャ24を磁束が通過する磁路Gが形成される。
【0039】
この磁路Gにおける磁束の経路は、コア部材23のフランジ部232→カバー部材21の外側筒部210→カバー部材21の第1底部211→カバー部材21の内側筒部213→プランジャ24の外周部→コア部材23の鍔部233→コア部材23の円筒部231の外周部→コア部材23のフランジ部232となる。
【0040】
このように形成された磁路Gを通過する磁束に応じて電磁力が発生し、この電磁力によってプランジャ24が軸方向におけるスリーブ4側に吸引され、シャフト22がスプール3を押圧する。そして、スプール3が図1(a)に示すように筒部45側に軸方向移動するため、供給ポート41と出力ポート42との連通がスプール3の第2ランド部32によって遮断される一方、出力ポート42と排出ポート43とがスプール3の細径部33の外周側を介して連通する。
【0041】
一方、電磁コイル20へ電流の供給を停止すると、スプール3が図1(b)に示すようにソレノイド部2側へ移動するため、供給ポート41と出力ポート42とが細径部33の外周側を介して連通する一方、出力ポート42と排出ポート43との連通がスプール3の第3ランド部34によって遮断される。すなわち、電磁弁1は、スプール3の軸方向移動によって、供給ポート41、出力ポート42、及び排出ポート43の間の連通状態を切り替えている。
【0042】
このように、電磁弁1は、供給ポート41と出力ポート42との間の作動流体の流路面積、及び出力ポート42と排出ポート43との間の流路面積を変化させることにより、電磁弁1を通過する作動流体の圧力を制御する。
【0043】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下の作用及び効果を得ることができる。
【0044】
(1)電磁弁1は、シャフト22がコア部材23に形成された第1軸受部51と、カバー部材21の第2底部214に形成された第2軸受部52とによって支持されているので、例えば特許文献1に記載の電磁弁のように第1及び第2の軸受ブッシュを備えている場合に比較して、径方向における寸法誤差が低減され、プランジャ24及びシャフト22のガタが抑制される。これにより、プランジャ24の外周面24aとコア部材23における鍔部233の内周面233aとの間のエアギャップを小さくできる。すなわち、プランジャ24及びシャフト22の円滑な摺動性を確保しつつ、電磁弁1の小型化を図ることができる。
【0045】
(2)第2軸受部52が、第2底部214側に摺動孔214aを設けることによって形成されているので、例えば特許文献1に記載の電磁弁のようにカバー部材とプランジャと間に配置された第2の軸受ブッシュが磁束を通過させる磁路上に介在することによる磁束密度の低下を防止することができ、磁気抵抗を低減できる。これにより、電磁弁1の大型化を抑制することができる。
【0046】
(3)軸方向中心位置O及び軸方向中心位置Oとの中間点である軸受間中心位置Mが凹部234の軸方向範囲内にあるので、プランジャ24の端部241に作用する磁気吸引力によるシャフト22への荷重を第1軸受部51及び第2軸受部52において略均等に分散することができる。これにより、プランジャ24及びシャフト22の径方向におけるガタが防止され、シャフト22の軸方向における円滑な摺動性が確保される。
【0047】
(4)カバー部材21の内側筒部213は、その内周面213aがプランジャ24の外周面24aと直接対向しているので、例えば内側筒部213と外周面24aとの間に特許文献1に記載の第1及び第2の軸受ブッシュが介在している場合に比較して、カバー部材21とプランジャ24との間のエアギャップを小さくすることができる。すなわち、電磁弁1の小型化を図ることができる。
【0048】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る変形例について図4を参照して説明する。図4は、第2の実施の形態に係る電磁弁1のソレノイド部2及びその周辺部の構成例を示している。
【0049】
第2の実施の形態に係る電磁弁は、その第2底部214Aが本実施の形態に係る第2底部214と形状が異なる他は本実施の形態に係る電磁弁1と同様に構成されている。図4において、第1の実施の形態について説明したものと実質的に同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0050】
本変形例に係る第2底部214Aには、摺動孔214aから外方に突出したシャフト22の基端部222を収容する収容孔214Bが形成され、収容孔214Bの内面がシャフト22の基端部222における外周面22aと隙間を介して対向している。
【0051】
シャフト22は、摺動孔214aを挿通し、第2軸受部52から外方に向かって軸方向に突出している。第2軸受部52から突出したシャフト22の基端部222は、収容孔214B内に配置され、その外周面22aが収容孔214Bの内面と隙間を介して対向している。すなわち、シャフト22の基端部222は、収容孔214Bの開口端面214Cから突出せずに、収容孔214B内に収容されている。
【0052】
このように構成された変形例に係る電磁弁によれば、第1の実施の形態について述べた作用及び効果に加え、プランジャ24が収容空間2a内において最も第2底部214A側に移動した場合にも、シャフト22がカバー部材21における開口端面214Cから突出しないので、例えば電磁弁を取付対象装置に組付ける際に、不用意にシャフト22へ衝撃を加え、ソレノイド部2の機能を損ねてしまうことがない。これにより、電磁弁を取付対象装置に安全に取り付けることができる。
【0053】
[第3の実施の形態]
次に本発明の第3の実施の形態について、図5を参照して説明する。図5において、第1の実施の形態について説明したものと実質的に同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0054】
図5(a)及び(b)は、本実施の形態に係る電磁弁における第2軸受部52の周辺部を拡大して示す拡大図であり、(a)は通電状態を、(b)は非通電状態を、それぞれ示す。図5(c)は、図5(a)のE−E線断面図である。
【0055】
第1の実施の形態では、カバー部材21の第2底部214からシャフト22に沿って、環状の突部215が突出して設けられていたが、本実施の形態では、環状の突部215に替えて、カバー部材21の第2底部214の収容空間2a側の面に複数の島状の突起216が設けられている。この突起216は、例えば鍛造によって形成することができる。
【0056】
本実施の形態に係る電磁弁は、環状の突部215に替えて突起216が設けられた他は、第1の実施の形態と同様に構成されている。また、本実施の形態では、第2軸受部52が環状の突部215を含まないため、シャフト22の軸方向における第2軸受部52の長さが第1の実施の形態よりも短く形成されている。
【0057】
突起216は、摺動孔214aの径方向外側、すなわち第2軸受部52の外側に設けられている。第2底部214の内面214bからの突起216の高さは、例えば第1の実施の形態における環状の突部215と同じ高さである。本実施の形態では、第2底部214に2つの突起216が設けられているが、突起216の数は1つでもよく、3つ以上でもよい。また、本実施の形態では、突起216が円柱状であり、その先端面216aが平坦な面であるが、突起216は半球形状であってもよい。突起216が円柱状である場合、その先端面216aの直径は、環状に形成された第2底部214の内面214bの径方向幅の3分の2以下であることが望ましい。
【0058】
プランジャ24の端面24cは、電磁コイル20に通電されると突起216から離間し、電磁コイル20への非通電時には、コイルばね6の付勢力によって突起216の先端面216aに押し付けられる。すなわち、突起216は、カバー部材21の第2底部214においてコイルばね6の付勢力をシャフト22及びプランジャ24を介して受ける受け部として機能する。
【0059】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態について述べた作用及び効果に加え、第2軸受部52の摺接面52aとシャフト22の外周面22aとの間の僅かな隙間等から収容空間2aに進入した作動流体の表面張力により、プランジャ24の円滑な移動が妨げられることが抑制される。つまり、例えばカバー部材21の第2底部214に突起216が設けられていない場合には、第2底部214の内面214bにプランジャ24の端面24cが広い面積で接触し、電磁コイル20への通電時に、第2底部214の内面214bとプランジャ24の端面24cとの間の作動流体の表面張力によってプランジャ24の移動が妨げられるおそれがあるが、本実施の形態によれば、プランジャ24の移動が円滑になる。これにより、プランジャ24及びシャフト22の動作のスムース化ならびに高応答化が可能となる。
【0060】
また、本実施の形態によれば、第2底部214に摺動孔214aを形成する際に収容空間2a側にバリが発生したとしても、突起216により、このバリがプランジャ24に接触してしまうことを抑制できる。これにより、バリ取り加工を簡略化することも可能となる。
【0061】
[第3の実施の形態の変形例]
次に、図6(a)〜(f)を参照して、突起216の配置を変形した第3の実施の形態の複数の変形例について説明する。図6(a)〜(f)は、各変形例における突起216を、図5(a)のE−E線断面で見た第2底部214の内面214bの平面視で示す説明図である。
【0062】
図6(a)は、第2底部214の内面214bから突出して形成された突起216の数を3つにした変形例を示す。この3つの突起216のそれぞれには、電磁コイル20への非通電時に、プランジャ24の端面24cが当接する。このように3つ以上の突起216を設ける場合には、第2底部214の内面214bをその正面から見たとき、これらの突起216の中心点を結んだ多角形の中に摺動孔214aの少なくとも一部が含まれるようにすることが望ましい。このように複数の突起216を配置することにより、電磁コイル20の非通電時におけるプランジャ24の傾きが抑制される。
【0063】
図6(b)は、2つの突起216を第2底部214の内面214bの外縁に設けた変形例である。このような突起216の配置によっても、第3の実施の形態と同様の作用及び効果が得られる。
【0064】
図6(c)は、1つの突起216を第2底部214の摺動孔214aの近傍に設けた変形例であり、図6(d)は、1つの突起216を第2底部214の内面214bの外縁に設けた変形例である。このように、1つの突起216を設けた場合でも、作動流体の表面張力によってプランジャ24の移動が妨げられることを抑制することができる。
【0065】
図6(e)及び(f)は、複数の突起216を摺動孔214aの周囲に設ける場合において、第2底部214に摺動孔214aを形成する前後の状態を示す。図6(e)は、摺動孔214aを形成する前の状態を示している。この状態において、第2底部214の内面214bには、円柱状の第1突部217aと、この第1突部217aを挟むように形成された第2突部217b及び第3突部217cとを有する突起217が形成されている。そして、第1突部217aが形成された部分にドリル等の切削工具によって摺動孔214aを形成すると、第2突部217b及び第3突部217cの部分が切削されずに残ることにより、図6(b)に示すように2つの突起216が形成される。このように複数の突起216を形成することにより、カバー部材21の加工が容易となる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…電磁弁、2…ソレノイド部、2a…収容空間、3…スプール、4…スリーブ、4a…弁孔、7…蓋部材、20…電磁コイル、20a…ボビン、21…カバー部材、21a…コイル収容空間、22…シャフト、22a…外周面、23…コア部材、24…プランジャ、24a…外周面、24b…貫通孔、31…第1ランド部、32…第2ランド部、33…細径部、34…第3ランド部、41…供給ポート、42…出力ポート、43…排出ポート、44…フィードバックポート、44a…フィードバックポート孔、45…筒部、45a…ばね室、45b…開口、51…第1軸受部、51a…摺接面、52…第2軸受部、52a…摺接面、201…コネクタ部、210…外側筒部、211…第1底部、213…内側筒部、213a…内周面、214…第2底部、214a…摺動孔、214b…内面、214A…底部、214B…収容孔、214C…開口端面、215…突部、216…突起、216a…先端面、217…突起、217a…第1突部、217b…第2突部、217c…第3突部、220…スペーサ、221…先端部、222…基端部、231…円筒部、231a…挿通孔、231b…端面、232…フランジ部、233…鍔部、233a…内周面、234…凹部、241…端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6