特許第6610029号(P6610029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6610029
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】冊子状送付物
(51)【国際特許分類】
   B42D 15/04 20060101AFI20191118BHJP
   B42D 11/00 20060101ALI20191118BHJP
   B65D 27/00 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   B42D15/04 A
   B42D11/00 Q
   B65D27/00 L
   B65D27/00 P
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-129619(P2015-129619)
(22)【出願日】2015年6月29日
(65)【公開番号】特開2017-13265(P2017-13265A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100164987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】榊原 真紀
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 寧
(72)【発明者】
【氏名】野田 智久
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−290581(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3057950(JP,U)
【文献】 実開昭55−121043(JP,U)
【文献】 特開2014−015010(JP,A)
【文献】 特表2004−508975(JP,A)
【文献】 実開昭48−093054(JP,U)
【文献】 特開2010−274919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 1/00−15/00
B42D 15/04−19/00
B65D 27/00−27/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の用紙を折り畳んでなる冊子状送付物であって、
前記用紙には、
前記用紙を上下に二分割する左右方向折り込み線と、
前記左右方向折り込み線に交差し、
前記用紙を左右に四分割以上の偶数に分割する上下方向折り込み線が形成され
8個以上の区画に区画されており、
前記左右方向折り込み線上において上側の左右両端区画間、及び下側の左右両端区画間に挟まれた上側区画と下側区画が接する部分にそれぞれ切込が設けられており、
上側の左右両端の一方の区画または下側の左右両端の一方の区画のいずれか1つの区画のみ、当該1つの区画を囲む4辺のうち左右方向で隣接する区画がない左辺または右辺のいずれか1辺のみから左右方向の外方に向かって糊代フラップが延設され、前記糊代フラップが、前記糊代フラップが延設された区画に左右方向で隣接する区画と接着されており、
前記糊代フラップが延設された区画、前記糊代フラップが延設された区画に左右方向で隣接する区画、前記糊代フラップが延設された区画に上下方向で隣接する区画、および前記糊代フラップが延設された区画に斜め方向で隣接する区画の左右方向の寸法が同じでその長さをX、それ以外の区画の左右方向の寸法が同じでその長さをYとしたとき、X>Yなる関係を満足する
ことを特徴とする冊子状送付物。
【請求項2】
1枚の用紙を折り畳んでなる冊子状送付物であって、
前記用紙には、
前記用紙を上下に二分割する左右方向折り込み線と、
前記左右方向折り込み線に交差し、
前記用紙を左右に四分割する上下方向折り込み線が形成され
8区画に区画されており、
前記左右方向折り込み線上において上側の左右両端区画間、及び下側の左右両端区画間に挟まれた上側区画と下側区画が接する部分にそれぞれ切込が設けられており、
上側の左右両端の一方の区画または下側の左右両端の一方の区画のいずれか1つの区画のみ、当該1つの区画を囲む4辺のうち左右方向で隣接する区画がない左辺または右辺のいずれか1辺のみから左右方向の外方に向かって糊代フラップが延設され、前記糊代フラップが、前記糊代フラップが延設された区画に左右方向で隣接する区画と接着されており、
下側の左右方向の区画が、糊代フラップ側より第1頁、第8頁、第7頁、第6頁の順に配置され、上側の左右方向の区画が、糊代フラップ側より第2頁、第3頁、第4頁、第5頁の順に配置されており、
前記糊代フラップが、前記第1頁の左右方向の外方に向かって延設されており、
第1頁、第2頁、第3頁および第8頁の左右方向の寸法が同じでその長さをX、第4頁、第5頁、第6頁および第7頁の左右方向の寸法が同じでの長さをYとしたとき、X>Yなる関係を満足する
ことを特徴とする冊子状送付物。
【請求項3】
1枚の用紙を折り畳んでなる冊子状送付物であって、
前記用紙には、
前記用紙を上下に二分割する左右方向折り込み線と、
前記左右方向折り込み線に交差し、
前記用紙を左右に六分割する上下方向折り込み線が形成され
12区画に区画されており、
前記左右方向折り込み線上において上側の左右両端区画間、及び下側の左右両端区画間に挟まれた上側区画と下側区画が接する部分にそれぞれ切込が設けられており、
上側の左右両端の一方の区画または下側の左右両端の一方の区画のいずれか1つの区画のみ、当該1つの区画を囲む4辺のうち左右方向で隣接する区画がない左辺または右辺のいずれか1辺のみから左右方向の外方に向かって糊代フラップが延設され、前記糊代フラップが、前記糊代フラップが延設された区画に左右方向で隣接する区画と接着されており、
下側の左右方向の区画が、糊代フラップ側より第1頁、第12頁、第11頁、第10頁、第9頁、第8頁の順に配置され、上側の左右方向の区画が、糊代フラップ側より第2頁、第3頁、第4頁、第5頁、第6頁、第7頁の順に配置されており、
前記糊代フラップが、前記第1頁の左右方向の外方に向かって延設されており、
第1頁、第2頁、第3頁および第12頁の左右方向の寸法が同じでその長さをX、第4頁、第5頁、第6頁、第7頁、第8頁、第9頁、第10頁および第11頁の左右方向の寸法が同じでその長さをYとしたとき、X>Yなる関係を満足する
ことを特徴とする冊子状送付物。
【請求項4】
前記糊代フラップには、上下方向に接着部と非接着部が設けられ、前記非接着部が、前記糊代フラップが延設された区画側に位置し上下方向に連通して設けられており、前記非接着部内に前記糊代フラップを左右に分割するジッパーが形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の冊子状送付物。
【請求項5】
前記上下方向折り込み線に沿って上下方向のミシン目が形成されており、
前記左右方向折り込み線に沿って左右方向のミシン目が形成されており、
前記上下方向折り込み線と前記用紙の外周との交点を含むその近傍の領域においては、前記上下方向のミシン目が存在せず、
前記左右方向折り込み線と前記用紙の外周との交点を含むその近傍の領域においては、前記左右方向のミシン目が存在せず、
前記上下方向折り込み線と前記切込みとの交点を含むその近傍の領域においては、前記上下方向のミシン目が存在しない、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の冊子状送付物。
【請求項6】
前記切込が左右両端の上側区画と下側区画が接する部分に設けられた前記左右方向折り込み線側にそれぞれ少し伸びて形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の冊子状送付物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1枚の用紙を折り畳んでなる冊子状送付物に関し、郵送、宅配等にて送付可能な冊子状送付物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品カタログ、パンフレット等と共に顧客への特典情報を綴じ込み、冊子状送付物としてダイレクトメール等に利用することは広く知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の冊子状送付物は商品カタログ、パンフレット、特典情報等を冊子とすることにより、デパートや旅行会社、通販会社といった送り手側にとって一度に多くの情報を顧客に提供することができ、一方、冊子を受け取った顧客側にとっては、カタログ、パンフレット、特典情報が散逸することがないので便利なものである。
【0003】
一方、文面をワープロ印字できる特殊封筒も開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、特許文献2はワープロ印字できるように展開された状態で販売されるものであり、ワープロ印字後展開された状態から使用者が折り畳み糊付けする構成となっており、一枚の用紙で構成されているが折り畳み糊付けする手作業が必要であり、個人が使用する用途のものであり、大量生産が要求される用途には不向きである。しかも、折り畳まれた封筒を開封しても冊子状にはならないので記載できる情報量が少なく、例えば、会社が多数の個人宛に提供する送付物には適した形態ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−6666号公報
【特許文献2】特開平7−309347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、多くの情報が提供できる1枚の用紙を折り畳んでなる冊子状送付物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明の冊子状送付物は、1枚の用紙を折り畳んでなる冊子状送付物であって、前記用紙には、前記用紙を上下に二分割する左右方向折り込み線と、前記左右方向折り込み線に交差し、前記用紙を左右に四分割以上の偶数に分割する上下方向折り込み線が形成され8個以上の区画に区画されており、前記左右方向折り込み線上において上側の左右両端区画間、及び下側の左右両端区画間に挟まれた上側区画と下側区画が接する部分にそれぞれ切込が設けられており、上側の左右両端の一方の区画または下側の左右両端の一方の区画のいずれか1つの区画のみ、当該1つの区画を囲む4辺のうち左右方向で隣接する区画がない左辺または右辺のいずれか1辺のみから左右方向の外方に向かって糊代フラップが延設され、前記糊代フラップが、前記糊代フラップが延設された区画に左右方向で隣接する区画と接着されており、前記糊代フラップが延設された区画、前記糊代フラップが延設された区画に左右方向で隣接する区画、前記糊代フラップが延設された区画に上下方向で隣接する区画、および前記糊代フラップが延設された区画に斜め方向で隣接する区画の左右方向の寸法が同じでその長さをX、それ以外の区画の左右方向の寸法が同じでその長さをYとしたとき、X>Yなる関係を満足することを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項2記載の本発明の冊子状送付物は、1枚の用紙を折り畳んでなる冊子状送付物であって、前記用紙には、前記用紙を上下に二分割する左右方向折り込み線と、前記左右方向折り込み線に交差し、前記用紙を左右に四分割する上下方向折り込み線が形成され8区画に区画されており、前記左右方向折り込み線上において上側の左右両端区画間、及び下側の左右両端区画間に挟まれた上側区画と下側区画が接する部分にそれぞれ切込が設けられており、上側の左右両端の一方の区画または下側の左右両端の一方の区画のいずれか1つの区画のみ、当該1つの区画を囲む4辺のうち左右方向で隣接する区画がない左辺または右辺のいずれか1辺のみから左右方向の外方に向かって糊代フラップが延設され、前記糊代フラップが、前記糊代フラップが延設された区画に左右方向で隣接する区画と接着されており、下側の左右方向の区画が、糊代フラップ側より第1頁、第8頁、第7頁、第6頁の順に配置され、上側の左右方向の区画が、糊代フラップ側より第2頁、第3頁、第4頁、第5頁の順に配置されており、前記糊代フラップが、前記第1頁の左右方向の外方に向かって延設されており、第1頁、第2頁、第3頁および第8頁の左右方向の寸法が同じでその長さをX、第4頁、第5頁、第6頁および第7頁の左右方向の寸法が同じでの長さをYとしたとき、X>Yなる関係を満足することを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項3記載の本発明の冊子状送付物は、1枚の用紙を折り畳んでなる冊子状送付物であって、前記用紙には、前記用紙を上下に二分割する左右方向折り込み線と、前記左右方向折り込み線に交差し、前記用紙を左右に六分割する上下方向折り込み線が形成され12区画に区画されており、前記左右方向折り込み線上において上側の左右両端区画間、及び下側の左右両端区画間に挟まれた上側区画と下側区画が接する部分にそれぞれ切込が設けられており、上側の左右両端の一方の区画または下側の左右両端の一方の区画のいずれか1つの区画のみ、当該1つの区画を囲む4辺のうち左右方向で隣接する区画がない左辺または右辺のいずれか1辺のみから左右方向の外方に向かって糊代フラップが延設され、前記糊代フラップが、前記糊代フラップが延設された区画に左右方向で隣接する区画と接着されており、下側の左右方向の区画が、糊代フラップ側より第1頁、第12頁、第11頁、第10頁、第9頁、第8頁の順に配置され、上側の左右方向の区画が、糊代フラップ側より第2頁、第3頁、第4頁、第5頁、第6頁、第7頁の順に配置されており、前記糊代フラップが、前記第1頁の左右方向の外方に向かって延設されており、第1頁、第2頁、第3頁および第12頁の左右方向の寸法が同じでその長さをX、第4頁、第5頁、第6頁、第7頁、第8頁、第9頁、第10頁および第11頁の左右方向の寸法が同じでその長さをYとしたとき、X>Yなる関係を満足することを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項4記載の本発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の冊子状送付物において、前記糊代フラップには、上下方向に接着部と非接着部が設けられ、前記非接着部が、前記糊代フラップが延設された区画側に位置し上下方向に連通して設けられており、前記非接着部内に前記糊代フラップを左右に分割するジッパーが形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項5記載の本発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の冊子状送付物において、前記上下方向折り込み線に沿って上下方向のミシン目が形成されており、前記左右方向折り込み線に沿って左右方向のミシン目が形成されており、前記上下方向折り込み線と前記用紙の外周との交点を含むその近傍の領域においては、前記上下方向のミシン目が存在せず、前記左右方向折り込み線と前記用紙の外周との交点を含むその近傍の領域においては、前記左右方向のミシン目が存在せず、前記上下方向折り込み線と前記切込みとの交点を含むその近傍の領域においては、前記上下方向のミシン目が存在しない、ことを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項6記載の本発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載の冊子状送付物において、前記切込が左右両端の上側区画と下側区画が接する部分に設けられた前記左右方向折り込み線側にそれぞれ少し伸びて形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、1枚の用紙に上下に二分割する左右方向折り込み線と、左右に三分割以上に分割する上下方向折り込み線を形成し、6個以上の区画に区画されており、左右方向折り込み線上に切込が設けられた構成とすることにより、冊子状に折り畳むことができ、上側の左右両端の一方の区画または下側の左右両端区画の一方の区画のいずれかに左右方向の外方に向かって糊代フラップが延設された構成とすることにより、糊代フラップが、糊代フラップが延設された区画に隣接する左右方向の区画と接着され、封緘されるので郵送することが可能である。また、1枚の用紙からなるので例えば、表紙片、裏紙片等の別部品が不要となるので部品コストの削減ができ、別部品との丁合する工程が省略できるので工程の簡略化が可能となり、さらに別部品の管理が不要となるので管理コストの削減が図れる等の効果が得られる。さらに、冊子の頁数の増減も容易であり、目的に応じて適切な情報量が提供できる。また、折り畳んだサイズを小さくコンパクトにできるので郵送コストの削減も可能となる。
【0013】
また、糊代フラップには、上下方向に接着部と非接着部が設けられ、非接着部が、糊代フラップが延設された区画側に位置し上下方向に連通して設けられており、非接着部内に糊代フラップを左右に分割するジッパーが形成されている構成とすることにより、容易に開封でき、開封された送付物を冊子として閲覧ができる。
【0014】
また、切込が左右両端の上側区画と下側区画が接する部分に設けられた左右折り込み線側にそれぞれ少し伸びて形成されている構成とすることにより、折り込み易くなると共に折り込まれたときの角部が破れ難くなる効果が得られ耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の冊子状送付物の第一実施形態を示し、(イ)が正面図、(ロ)が背面図、(ハ)がX−X線断面図である。
図2】本発明の第一実施形態の冊子状送付物を展開した状態で外面から見た平面図である。
図3】本発明の第一実施形態の冊子状送付物を展開した状態で内面から見た平面図である。
図4】第一実施形態の冊子状送付物の折り込み方法の一例及び開封状態を示す説明図である。
図5】本発明の第二実施形態の冊子状送付物を展開した状態で外面から見た平面図である。
図6】第二実施形態の冊子状送付物の折り込み方法の一例及び開封状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について、説明する。
図1は本発明の冊子状送付物の第一実施形態を示し、(イ)が正面図、(ロ)が背面図、(ハ)がX−X線断面図、図2は本発明の第一実施形態の冊子状送付物を展開した状態で外面から見た平面図、図3は本発明の第一実施形態の冊子状送付物を展開した状態で内面から見た平面図、図4は第一実施形態の冊子状送付物の折り込み方法の一例及び開封状態を示す説明図、図5は本発明の第二実施形態の冊子状送付物を展開した状態で外面から見た平面図、図6は第二実施形態の冊子状送付物の折り込み方法の一例及び開封状態を示す説明図を示す。図中の1は冊子状送付物、1’は開封された冊子状送付物、2は用紙、3は左右方向折り込み線、4は上下方向折り込み線、5Lは上側の左端区画、5Rは上側の右端区画、6Lは下側の左端区画、6Rは下側の右端区画、7は切込、8は糊代フラップ、81は接着部、82は非接着部、83はジッパー、9は送り先、宛名記載部、Xは第一実施形態において第1頁、第2頁、第3頁および第8頁の左右方向の長さ、並びに、第二実施形態において第1頁、第2頁、第3頁および第12頁の左右方向の長さ、Yは第一実施形態において第4頁、該5頁、第6頁および第7頁の左右方向の長さ、並びに、第二実施形態において第4頁、第5頁、第6頁、第7頁、第8頁、第9頁、第10頁および第11頁の左右方向の長さをそれぞれ示す。
【0017】
図1は本発明の冊子状送付物の第一実施形態を示し、(イ)が正面図、(ロ)が背面図、(ハ)がX−X線断面図であって、(イ)、(ロ)は外面側から見た平面図である。図1に示すように本発明の冊子状送付物1は、1枚の用紙を折り畳んで構成され、矩形状の外観を有している。図1はダイレクトメールに用いた例を示し、第1頁の外面には受取人である顧客の送り先、宛名記載部9や図示しないが提供する情報等が表示されている。
【0018】
また、図1(ロ)に示すように冊子状送付物1は第1頁の外方に向かって延設された糊代フラップ8を折り返して第1頁に隣接した第8頁の外面に重ね合わせて接着され、封緘されている。
【0019】
つぎに図1(ロ)、(ハ)を参照しながら糊代フラップ8について説明する。糊代フラップ8には、外端から上下方向に接着部81と非接着部82が順に帯状に設けられ、非接着部82は第1頁と隣接しており、上下方向に連通して設けられている。非接着部82内に上下方向に糊代フラップ8を左右に分割するジッパー83が形成されている。ジッパー83は左右方向に所定の間隔をあけて2本のミシン目線が上下方向に形成された構成である。なお、ミシン目線は切目と非切目からなり、切目の形状は特に限定されるものではなく、線状、くの字状、Z字状、S字状等を使用できる。重要なのは、糊代フラップ8の上端または下端に設けられる開封開始部において、切目(カット)が糊代フラップ8の上端縁または下端縁に接続させて形成することである。ジッパー8を形成するミシン目線の左右方向の間隔は非接着部82内に収まるように適宜設定することができる。糊代フラップ8の外郭は上下の端縁が傾斜した台形状に形成するのが好ましい。
【0020】
本願明細書において、外面とは図1(イ)、(ロ)に示すように外側から見えている面を指し、外側から見えている面側である用紙の一方の面を表側面と呼び、図1において外側から見えない面側である用紙の他方の面を裏側面と呼ぶこととする。
図2は本発明の第一実施形態の冊子状送付物1を展開した状態で表側面から見た平面図である。図2に示すように第一実施形態の冊子状送付物1は、用紙2を上下に二分割する左右方向折り込み線3と、左右方向折り込み線3に略直交するように交差し、用紙2を左右に四分割する3本の上下方向折り込み線4が形成され、左右方向折り込み線3と上下方向折り込み線4により上下2列、左右4列の8区画に区画された例を示している。
【0021】
下側の左右方向の区画が、糊代フラップ8側より第1頁、第8頁、第7頁、第6頁の順に配置され、上側の左右方向の区画が、糊代フラップ8側より第2頁、第3頁、第4頁、第5頁の順に配置されており、糊代フラップ8が、第1頁の右方向の外方に向かって延設されており、第1頁、第2頁、第3頁および第8頁の左右方向の長さをX、第4頁、該5頁、第6頁および第7頁の左右方向の長さをYとしたとき、X>Yなる関係を満足している。左右方向折り込み線3上において上側の左端区画5L(第5頁)と右端区画5R(第2頁)間、及び下側の左端区画6L(第6頁)と右端区画6R(第1頁)間に挟まれた上側区画(第4頁、第3頁の2区画)と下側区画(第7頁、第8頁の2区画)が接する部分にそれぞれ切込7が設けられている。
【0022】
切込7は左右方向に連続している。また、切込7の左端は、上側の左端区画5L(第5頁)と下側の左端区画6L(第6頁)が接する部分に設けられた左右折り込み線3側に少し伸びて形成されており、切込7の右端は、上側の右端区画5R(第2頁)と下側の右端区画6R(第1頁)が接する部分に設けられた左右折り込み線3側に少し伸びて形成されている。つまり切込7の左端は第5頁と第4頁及び第6頁と第7頁とを区画する上下方向折り込み線4を超え少し左端側に伸びており、切込7の右端は第3頁と第2頁及び第8頁と第1頁とを区画する上下方向折り込み線4を超え少し右端側に伸びている。そうすることにより後述する折り込み易くなる効果と折り込まれたときの角部が破れにくいという効果が得られるので好ましい。
【0023】
図2において用紙2の各区画が折り畳まれて各頁となる面付及び区画数は一例を示すものでこれに限定されるものではない。また、図2に示すように上側の左端より第5、第4、第3、第2頁が順に配置され、下側には左端より順に第6、第7、第8、第1頁が配置され、天部(折り畳んで冊子としたときの上部となる部分をいう。)突合せとなっている。また各頁の左右方向の長さの関係をX>Yとすることにより左右方向折り込み線3、上下方向折り込み線4で折り畳んだとき、各頁が重なり送付物の厚さが増加するが、XとYの寸法差があるので増加した各頁の厚さ分をXとYの寸法差で吸収することができるので折り皺が発生することもなく綺麗に折り畳める。
【0024】
また、左右方向折り込み線3及び上下方向折り込み線4は、ミシン目で形成することが好ましい。ただし、左右方向折り込み線3及び上下方向折り込み線4と用紙2の外周との8箇所の交点においてミシン目はアンカットになるようにすることが好ましい。さらに上下方向折り込み線4と切込7との3箇所の交点はアンカットとすることが好ましい。そうすることにより用紙2を折り畳む操作と一枚に広げる操作とを繰り返しても角部から破れることが防げる。前者のアンカット例の拡大図を(イ)の円内に示し、後者のアンカット例の拡大図を(ロ)の円内に示す。なお、図2に示すように折り込み用ミシン目線において、山折りとなる部分を破線で示し、谷折りとなる部分を一点鎖線で示した。
【0025】
図3は本発明の冊子状送付物1の第一実施形態の用紙2の他方の面の平面図であって、図2に示す用紙2を左右に反転させた状態の裏側面を示す。図3に示すように用紙2の裏側面には、例えば、島めぐりのマップが全面に掲載されている。折り畳むと表側面の各頁が順に重ねられた冊子となり、広げると裏側面の全面に島のマップが広がり一目で一覧できるようになっている。用紙2の表側面の第2頁〜第7頁には図示しないが各頁に島の観光スポット、お食事処、宿、土産物等の情報やクーポン券等の特典情報が掲載され折り畳まれると外部からは見えない構成となっている。第1頁及び第8頁は冊子状送付物1の外面になり、第1頁には送り先、宛名記載部9が設けられ、第8頁には図示しないが送り主の会社名やオープン情報等が記載されている。
【0026】
図4は第一実施形態の冊子状送付物1の折り込み方法の一例及び開封状態を示す説明図である。図4(イ)に示すように用紙2を上下方向折り込み線4で谷折り(一点鎖線で示す。)、山折り(破線で示す。)し、第5〜第3頁、第6〜8頁を折り重ねる。つぎに左右方向折り込み線3で山折りし、第1頁を第2頁に折り重ね、折り重ねられた第8〜第6頁の第6頁を折り重ねられた第3〜第5頁の第5頁に折り重ね図4(ロ)の状態にする。つぎに重ねられた上下方向折り込み線4を回転軸として回動して折り曲げ折り重ねられた第1、第2頁の第2頁と折り重ねられた第3〜第8頁の第3頁とを重ねて折り畳み、最後に糊代フラップ8を山折りし、第8頁の外面に重ねて接着部81で糊付けして接着されることにより操作が完了となり、図4(ハ)に示す8頁からなる冊子状送付物1が形成される。
【0027】
本発明の冊子状送付物1は大きさや頁数は特に限定されるものではなく、また、郵便メール、宅配メール等に限定されるものではないが、折り畳まれた冊子状送付物1が郵便法で定める第一種郵便物であり、日本郵便株式会社で規定する定形郵便物として送付可能であることが好ましい形態である。郵便の場合には、図示していないが用紙2の第1頁に郵便書簡として所定の料金額を示す所定のマークが印刷されたり、重量や外形寸法に応じて定められる所定の料金額の切手が貼られたりする。完成した冊子状送付物1は郵便、宅配、ポスティング等により顧客に届けられる。
【0028】
冊子状送付物1を受け取った顧客は、図4(ハ)に示すように開封開始部よりジッパー83の端部を摘みジッパー83を引っ張ると所定の間隔をあけて上下方向に形成された2本のミシン目線に沿って用紙2を引き破ることができ、開封できる。図4(ニ)は開封された状態の冊子状送付物1’を示しており、丸数字で示した第2頁、第4頁、第5頁、第7頁が見えている。冊子状送付物1’の各頁に記載された送り手側が顧客に提供したい情報等を閲覧した後、広げると用紙2の裏側面には一面に記載された例えば、島のマップ等の特典情報等がパノラマ状に広がり(図3参照)見やすく、また左右方向折り込み線3、上下方向折り込み線4により折り畳むとコンパクトになり携帯に便利である。
【0029】
図5は本発明の第二実施形態の冊子状送付物1を展開した状態で表側面から見た平面図である。図5に示すように第二実施形態の冊子状送付1は、用紙2を上下に二分割する左右方向折り込み線3と、左右方向折り込み線3に略直交するように交差し、用紙2を左右に六分割する5本の上下方向折り込み線4が形成され、左右方向折り込み線3と上下方向折り込み線4により上下2列、左右6列の12区画に区画された例を示している。
【0030】
下側の左右方向の区画が、糊代フラップ8側より第1頁、第12頁、第11頁、第10頁、第9頁、第8頁の順に配置され、上側の左右方向の区画が、糊代フラップ8側より第2頁、第3頁、第4頁、第5頁、第6頁、第7頁の順に配置されており、糊代フラップ8が、第1頁の右方向の外方に向かって延設されており、第1頁、第2頁、第3頁および第12頁の左右方向の長さをX、第4頁、第5頁、第6頁、第7頁、第8頁、第9頁、第10頁および第11頁の左右方向の長さをYとしたとき、X>Yなる関係を満足している。
【0031】
切込7は左右方向に連続している。また、切込7の左端は、上側の左端区画5L(第7頁)と下側の左端区画6L(第8頁)が接する部分に設けられた左右折り込み線3側に少し伸びて形成されており、切込7の右端は、上側の右端区画5R(第2頁)と下側の右端区画6R(第1頁)が接する部分に設けられた左右折り込み線3側に少し伸びて形成されている。つまり切込7の左端は第7頁と第6頁及び第8頁と第9頁とを区画する上下方向折り込み線4を超え少し左端側に伸びており、切込7の右端は第3頁と第2頁及び第12頁と第1頁とを区画する上下方向折り込み線4を超え少し右端側に伸びている。第二実施形態の冊子状送付物は左右に六分割された点で左右に四分割された第一実施形態の冊子状送付物と構成が異なるだけでその他については第一実施形態と同様であり同じ符号を付して説明を省略する。
【0032】
図6は第二実施形態の冊子状送付物の折り込み方法の一例及び開封状態を示す説明図である。図6(イ)に示すように用紙2を上下方向折り込み線4で谷折り(一点鎖線で示す。)、上下方向折り込み線4で山折り(破線で示す。)し、第3頁〜第7頁、第12頁〜第8頁を折り重ねる。つぎに左右方向折り込み線3、3で山折りし、第1頁を第2頁に折り重ね、折り重ねられた第12頁〜第8頁の第7頁側を折り重ねられた第3頁〜第7頁の第7頁側に折り重ね図6(ロ)の状態にする。
つぎに重ねられた上下方向折り込み線4を回転軸として回動して折り曲げ折り重ねられた第1頁と第2頁側の第2頁と、折り重ねられた第3頁〜第12頁側の第3頁と、を重ねて折り畳み、最後に糊代フラップ8を山折りし、第12頁の外面に重ねて接着部81で糊付けして接着されることにより操作が完了となり、図6(ハ)に示す12頁からなる冊子状送付物1が形成される。なお、図6(ロ)に示された白抜き数字は第1頁、第8頁の用紙2の裏側面を示している。
【0033】
冊子状送付物の開封方法は、図6(ハ)に示すように開封開始部よりジッパー83の端部を摘みジッパー83を引っ張ると所定の間隔をあけて上下方向に形成された2本のミシン目線に沿って用紙2を引き破ることができ、開封できる。図6(ニ)は開封された状態の冊子状送付物1’を示しており、丸数字で示した第2頁、第4頁、第6頁、第7頁、第9頁、第11頁が見えている。その他は第一実施形態と同じである。
【実施例】
【0034】
〔実施例1〕
用紙2に坪量90kg/四六判(104.7g/m2 )の上質紙を用い、展開された大きさがA3サイズの1枚の用紙を折り畳んで上下寸法148.5mm、左右寸法97mmの図1に示す冊子状送付物1を作製した。
1枚の展開された用紙2には左右折り込み線3、上下折り込み線4、切込7を設け、8区画とし、各区画には図2に示すように各頁を割り付けし、第1頁、第2頁、第3頁、第8頁の左右寸法は97mmとし、第4頁〜第7頁の左右寸法は93mmとし、糊代フラップ8の左右寸法は40mmとして第1頁に隣接して設けた。左右折り込み線3、上下折り込み線4はカット1mm、アンカット1mmのミシン目線とした。糊代フラップ8にはアンカット0.5mm、カット2mmのミシン目線が2本からなるジッパー9を形成した。ジッパー9の開封開始部を糊代フラップ8の上端とし、糊代フラップ8の上端縁にカット(切目)を接続させて形成した。上記用紙2を左右折り込み線3、上下折り込み線4で折り畳み、糊代フラップ8の接着部81を第8頁の外面に糊付けして封緘した。
【0035】
実施例1で作製した冊子状送付物1のジッパー83の上端の開封開始部を摘み、2本のミシン目線に沿ってジッパー83を切り離し取り除くと冊子となり、各頁を捲りながら閲覧をすることができた。また、開封された冊子状送付物を広げると1枚の用紙となり、裏側面に記載された内容を読み取ることができた。さらに左右折り込み線3、上下折り込み線4により折り畳む動作と1枚に広げる動作を繰り返したが冊子に折り皺が発生することなく綺麗に折り畳め、また、角部も破れることもなかった。
【符号の説明】
【0036】
1 冊子状送付物
1’ 開封された冊子状送付物
2 用紙
3 左右方向折り込み線
4 上下方向折り込み線
5L 上側の左端区画
5R 上側の右端区画
6L 下側の左端区画
6R 下側の右端区画
7 切込
8 糊代フラップ
81 接着部
82 非接着部
83 ジッパー
9 送り先、宛名記載部
X 第一実施形態において第1頁、第2頁、第3頁
および第8頁の左右方向の長さ
Y 第一実施形態において第4頁、該5頁、第6頁
および第7頁の左右方向の長さ
X 第二実施形態において第1頁、第2頁、第3頁
および第12頁の左右方向の長さ
Y 第二実施形態において第4頁、第5頁、第6頁、第7頁、
第8頁、第9頁、第10頁および第11頁の左右方向の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6