特許第6610043号(P6610043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6610043
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】ボールねじを有する工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 15/18 20060101AFI20191118BHJP
   B23Q 1/72 20060101ALI20191118BHJP
   B24B 49/14 20060101ALI20191118BHJP
   B24B 41/04 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   B23Q15/18
   B23Q1/72 B
   B24B49/14
   B24B41/04
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-136055(P2015-136055)
(22)【出願日】2015年7月7日
(65)【公開番号】特開2017-19022(P2017-19022A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】岩井 英樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雄二
(72)【発明者】
【氏名】桜井 康匡
(72)【発明者】
【氏名】廣田 育子
(72)【発明者】
【氏名】若杉 直矢
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−62717(JP,A)
【文献】 特開2010−5743(JP,A)
【文献】 実開平6−624(JP,U)
【文献】 特開2015−93359(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/157687(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 9/00 − 15/28
B23Q 1/00 − 1/76
B24B 41/00 − 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具を保持し、回転駆動される回転軸部材と、
前記回転軸部材を軸受により回転可能に支持する支持台と、
ねじ軸および前記ねじ軸の軸線方向に沿って移動可能なナット部材を有するボールねじと、
前記支持台と前記ナット部材とが重なる位置にて、前記支持台と前記ナット部材とを連結する連結部材と、を備えた工作機械であって、
前記連結部材における前記支持台に接続する支持台接続部と、前記連結部材における前記ナット部材に接続するナット接続部とは、前記ねじ軸の軸線方向に異なる位置に位置し、
前記支持台接続部は、前記ねじ軸の軸線上における前記回転軸部材の軸線の位置と、前記ねじ軸の軸線方向と垂直な方向において重なるように配設され、
前記連結部材は、熱変位の方向を前記ねじ軸の軸線方向に沿った方向とするように形成されている工作機械。
【請求項2】
前記連結部材は、前記ナット接続部と前記支持台接続部とを連結する連結本体部をさらに備え、
前記連結本体部は、前記ねじ軸の軸線方向に沿って延びるように形成されている請求項1の工作機械。
【請求項3】
前記連結本体部は、直方体状に形成されている請求項2の工作機械。
【請求項4】
前記連結部材は、前記支持台接続部以外の部位において、前記支持台との間に隙間を有している請求項1〜請求項3の何れか一項の工作機械。
【請求項5】
前記連結部材を形成する材料は、前記支持台を形成する材料より、熱膨張係数が小さい材料である請求項1〜請求項4の何れか一項の工作機械。
【請求項6】
前記連結部材を形成する材料は、インバーである請求項5の工作機械。
【請求項7】
前記工作機械は、
前記連結部材の温度を検出する温度センサと、
前記ナット部材の移動量を調整することにより、前記支持台の移動量を調整する制御装置と、をさらに備え、
前記制御装置は、
前記温度センサの検出結果に基づいて、前記連結部材における前記ねじ軸の軸線方向の熱変位量を推定する熱変位量推定部と、
前記熱変位量推定部の推定結果から前記ナット部材の移動量を補正する移動量補正部と、を備えている請求項1〜請求項6の何れか一項の工作機械。
【請求項8】
前記軸受は、静圧軸受であり、
前記工作機械は、
前記支持台に配設され、前記軸受に供給される液体を貯留するタンクと、
前記タンクと前記軸受との間にて前記液体を循環させる循環路と、をさらに備えている請求項1〜請求項7の何れか一項の工作機械。
【請求項9】
前記工具は、砥石車である請求項1〜請求項8の何れか一項の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールねじを有する工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械である研削盤の一形態として、特許文献1に示されているものが知られている。特許文献1の研削盤は、砥石車を回転させつつ工作物に対してボールねじを用いて移動させ、工作物と砥石車との接触部位に向けて研削液を供給しながら工作物を砥石車で研削する。砥石車の砥石軸部材は、高速かつ高精度に回転するため静圧軸受により支持されている。この静圧軸受は、作動流体として油を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−269411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
砥石軸部材の静圧軸受に供給される油は、砥石軸部材の高速回転に伴うせん断発熱により温度上昇する。これにより、静圧軸受から熱が伝達して、砥石軸部材を支持する支持台の温度分布が不均一となる場合がある。この場合、支持台の熱変形が生じることにより、加工精度が低下する。
これに対して、支持台の熱変位を推定(計算)し、支持台の移動方向(ボールねじのねじ軸の軸線方向)の移動量を補正することが考えられる。しかし、熱変位を推定する基準となるボールねじのナット部材が接続された支持台の位置と、砥石車の回転中心となる静圧軸受が配設された位置との間における温度分布が複雑である場合、支持台の移動方向の熱変位の推定精度が低下して、支持台の移動量の補正精度が低下するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであって、軸受を支持する支持台の温度分布が複雑となる場合においても、支持台の熱変位の推定を比較的容易に行うことができる工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、請求項1の工作機械は、工具を保持し、回転駆動される回転軸部材と、回転軸部材を軸受により回転可能に支持する支持台と、ねじ軸およびねじ軸の軸線方向に沿って移動可能なナット部材を有するボールねじと、支持台とナット部材とが重なる位置にて、支持台とナット部材とを連結する連結部材と、を備えた工作機械であって、連結部材における支持台に接続する支持台接続部と、連結部材におけるナット部材に接続するナット接続部とは、ねじ軸の軸線方向に異なる位置に位置し、支持台接続部は、ねじ軸の軸線上における回転軸部材の軸線の位置と、ねじ軸の軸線方向と垂直な方向において重なるように配設され、連結部材は、熱変位の方向をねじ軸の軸線方向に沿った方向とするように形成されている。
【発明の効果】
【0007】
上述した工作機械によれば、熱変位を推定する基準となるナット部材と、支持台とを連結する連結部材は、支持台接続部とナット接続部とをねじ軸の軸線方向に異なる位置に位置されるとともに、支持台接続部を、ねじ軸の軸線上における回転軸部材の軸線の位置と、ねじ軸の軸線方向と垂直な方向において重なるように配設された状態にて、ねじ軸の軸線方向に沿った方向に熱変位する。これにより、支持台の移動方向、すなわち、ねじ軸の軸線方向における支持台の熱変位の推定を、連結部材の熱変位を推定することによって行うことができる。また、連結部材は、ねじ軸の軸線方向に沿った方向に熱変位するため、熱変位の推定が比較的容易である。よって、支持台の温度分布が複雑となる場合においても、支持台の熱変位の推定を比較的容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による工作機械の第一実施形態の研削盤の平面図である。
図2図1に示すII−II線に沿った砥石台および砥石台トラバースベースの断面図である。
図3図2に示す連結部材の斜視図である。
図4】本発明による工作機械の第二実施形態の横型マシニングセンタの側面図である。
図5図4に示す横型マシニングセンタの部分正面図である。
図6図4に示す横型マシニングセンタの部分側面図である。
図7】本発明に係る第一実施形態の変形例を示す図である。
【0009】
<第一実施形態>
(1.工作機械の概要)
本発明の工作機械の第一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本第一実施形態における工作機械は、図1に示す研削盤1である。研削盤1は、具体的には、軸状の工作物の研削が可能な砥石台トラバース型円筒研削盤である。なお、図1において、Z軸方向は、トラバース方向であり、X軸方向は、トラバース方向と直角な水平方向であり、Y軸方向は、トラバース方向と直角な鉛直方向である。
図1に示すように、研削盤1は、主として、ベッド10、主軸台20、心押台30、砥石支持装置40および制御装置50を備える。
【0010】
ベッド10は、平面矩形状に形成され、設置面(床)上に固定される。このベッド10の上面には、砥石支持装置40を構成する砥石台トラバースベース41を摺動可能とする一対のZ軸ガイドレール11a,11bが、Z軸方向に延びるように、且つ、相互に平行に配置固定されている。一対のZ軸ガイドレール11a,11bの間には、砥石台トラバースベース41をZ軸方向に駆動するためのZ軸ボールねじ11cが配置され、このZ軸ボールねじ11cを回転駆動するZ軸モータ11dが配置固定されている。
【0011】
主軸台20は、主軸台本体21、主軸22、主軸モータ23および主軸センタ24を備えている。主軸台本体21には、主軸22が回転可能に挿通支持されている。主軸台本体21は、主軸22の軸方向がZ軸方向を向き、且つ一対のZ軸ガイドレール11a,11bと平行になるようにベッド10の上面に固定されている。
【0012】
主軸22の左端には、主軸モータ23が設けられ、主軸22は、主軸モータ23により主軸台本体21に対してZ軸回りに回転駆動される。この主軸モータ23には、主軸モータ23の回転角を検出可能なエンコーダが備えられている。また、主軸22の右端には、軸状の工作物Wの軸方向一端を支持する主軸センタ24が取り付けられている。
【0013】
心押台30は、心押台本体31および心押センタ32を備えている。心押台本体31には、心押センタ32が回転可能に挿通支持されている。心押台本体31は、心押センタ32の軸方向がZ軸方向を向くように、且つ心押センタ32の回転軸が主軸22の回転軸と同軸となるようにベッド10の上面に固定されている。
すなわち、心押センタ32は、主軸センタ24と工作物Wの軸方向両端を支持してZ軸回りに回転可能なように配置されている。心押センタ32は、工作物Wの長さに応じて心押台本体31の右端面からの突出量の変更が可能に構成されている。
【0014】
砥石支持装置40は、砥石台トラバースベース41、砥石台42(60)および円盤状の砥石車43(本発明の工具に相当)を備えている。砥石台トラバースベース41は、矩形の平板状に形成されており、ベッド10の上面において一対のZ軸ガイドレール11a,11b上を摺動可能に配置されている。
【0015】
砥石台トラバースベース41は、Z軸ボールねじ11cのZ軸ナット部材(図示なし)に連結されており、Z軸モータ11dの駆動により一対のZ軸ガイドレール11a,11bに沿って移動される。このZ軸モータ11dには、Z軸モータ11dの回転角を検出可能なエンコーダが備えられている。
【0016】
砥石台トラバースベース41の上面には、砥石台42を摺動可能とする一対のX軸ガイドレール41a,41bが、X軸方向に延びるように、且つ、相互に平行に配置固定されている。砥石台トラバースベース41の上面の一対のX軸ガイドレール41a,41bの間には、X軸ボールねじ41c(本発明のボールねじに相当)およびX軸モータ41dが配設されている。
【0017】
X軸ボールねじ41cは、図2に示すように、X軸ねじ軸41c1(本発明のねじ軸に相当)およびX軸ナット部材41c2(本発明のナット部材に相当)を備えている。
X軸ねじ軸41c1は、砥石台42をX軸方向に駆動するために、X軸方向に沿って配設されている。
X軸ナット部材41c2は、X軸ねじ軸41c1が回転することにより、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向(X軸方向)に沿って移動可能なものである。
X軸モータ41dは、X軸ねじ軸41c1を回転駆動するものである。このX軸モータ41dには、X軸モータ41dの回転角を検出可能なエンコーダが備えられている。
【0018】
砥石台42は、砥石台トラバースベース41の上面の一対のX軸ガイドレール41a,41b上を摺動可能に配置されている。砥石台42は、X軸ナット部材41c2に連結部材66(後述する)を介して連結されており、X軸モータ41dの駆動により一対のX軸ガイドレール41a,41bに沿って移動される。
つまり、砥石台42は、ベッド10、主軸台20および心押台30に対して、X軸方向(切込み方向)およびZ軸方向(トラバース送り方向)に相対移動可能に構成されている。
砥石台42(60)の詳細は、後述する。
【0019】
制御装置50は、工作物Wに対する砥石車43のZ軸方向およびX軸方向の相対的な位置を変更して、工作物Wの外周面の研削を行う装置である。制御装置50は、具体的には、各モータを制御して、工作物Wおよび砥石車43をZ軸回りに回転させるとともに、Z軸ナット部材およびX軸ナット部材41c2の移動量を調整することにより、砥石台42の移動量を調整する。制御装置50の詳細は後述する。
【0020】
(2.砥石台60の詳細)
砥石台60は、図2に示すように、砥石台本体61(本発明の支持台に相当)、回転軸部材62、軸受63、タンク64、循環路65、連結部材66および温度センサ67を備えている。以下、図2において、X軸方向における図2の右側を前方、同じく左側を後方とし、Y軸方向における図2の上側を上方、同じく下側を下方とし、Z軸方向における図2の紙面奥側を左方、同じく紙面手前側を右方として説明する。
【0021】
砥石台本体61は、回転軸部材62を軸受63により回転可能に支持するものである。
回転軸部材62は、砥石車43を保持し、回転駆動されるものである。回転軸部材62は、砥石台本体61の上面にて、Z軸方向に沿った回転軸部材62の軸線L2周りに回転可能に支持されている。回転軸部材62の一端には、円盤状の砥石車43が同軸で取り付けられている。また、砥石台本体61の上面には、ベルト・プーリ機構68(図1参照)を介して回転軸部材62を砥石車43とともに回転駆動するための砥石回転用モータ69が固定されている。
【0022】
軸受63は、回転軸部材62を回転可能に支持するものである。軸受63は、静圧軸受である。軸受63には、タンク64に貯留されている油(本発明の液体に相当)が供給される。
タンク64は、砥石台本体61に配設され、軸受63に供給される油を貯留するものである。タンク64は、砥石台本体61の上部に配設されている。タンク64は、具体的には、砥石台本体61の上面から下方に向かって凹むように、かつ、上方を開放するように形成されている。また、タンク64は、軸受63の下方に位置する部位を有するように形成されている。
【0023】
循環路65は、タンク64と軸受63との間にて油を循環させる流路である。循環路65は、流通路65aおよび還流路65bを備えている。
流通路65aは、タンク64に貯留されている油を軸受63に流通させる流路である。流通路65aには、ポンプ65a1が配設されている。ポンプ65a1の吸込口65a2が、タンク64に貯留された油に浸漬している。ポンプ65a1は、制御装置50と電気的に接続されている。
還流路65bは、軸受63から排出された油をタンク64に還流させる流路である。還流路65bは、軸受63の下端部を、タンク64に向けて開放することにより形成されている。これにより、軸受63を通過した油が、還流路65bを介してタンク64に自重にて排出される。
【0024】
ここで、砥石台本体61の熱変形について説明する。制御装置50は、各モータを制御して、上述したように、工作物Wの外周面の研削を行う場合、ポンプ65a1を制御して、タンク64から軸受63に油を供給する。軸受63が静圧軸受であるため、回転軸部材62の回転によって油が繰り返しせん断されることにより、油の温度が上昇する。この油が軸受63からタンク64に排出され、さらに軸受63とタンク64との間を循環することにより、タンク64に貯留している油の温度が上昇する。この油の熱がタンク64から砥石台本体61に伝達するため、砥石台本体61に温度勾配が生じる。砥石台本体61の構造が比較的複雑であることにより、砥石台本体61の温度勾配が比較的複雑となる。よって、砥石台本体61の熱変形が複雑となるため、砥石台本体61の熱変形量の推定精度が低下する。
【0025】
図2に戻って、砥石台60の構成について説明を続ける。
連結部材66は、砥石台本体61とX軸ナット部材41c2とが重なる位置にて、砥石台本体61とX軸ナット部材41c2とを連結するものである。砥石台本体61とX軸ナット部材41c2とは、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向と垂直な方向(本実施形態においては上下方向)に重なる位置にて、連結部材66によって連結されている。連結部材66は、前端部にて上方に向けて突出する部位を有する側面視L字状に形成されている。連結部材66は、図3に示すように、ナット接続部66a、砥石台接続部66b(本発明の支持台接続部に相当)および連結本体部66cを備えている。ナット接続部66a、砥石台接続部66bおよび連結本体部66cは、一体的に形成されている。
【0026】
ナット接続部66aは、連結部材66におけるX軸ナット部材41c2と接続する部位である。ナット接続部66aは、連結部材66の後端部に設けられ、X軸ナット部材41c2と接触する接触面66a1を下方に有する部位である。ナット接続部66aは、具体的には、直方体状に形成されている。ナット接続部66aは、X軸ナット部材41c2と接続して固定されるためのボルト(図示なし)を通す貫通穴66a2が形成されている。
【0027】
砥石台接続部66bは、連結部材66における砥石台60と接続する部位である。砥石台接続部66bは、上述した上方に向けて突出する部位を有する前端部に設けられ、砥石台60と接触する接触面66b1を上方に有する部位である。砥石台接続部66bは、具体的には、直方体状に形成されている。また、砥石台接続部66bは、具体的には、砥石台本体61の底壁に接続する。
【0028】
砥石台接続部66bとナット接続部66aとは、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に異なる位置に位置している。砥石台接続部66bは、具体的には、図2に示すように、X軸ねじ軸41c1の軸線L1上における回転軸部材62の軸線L2の位置(図2における点Aに相当)と、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向と垂直な方向において重なるように配設されている。本実施形態においては、砥石台接続部66bは、回転軸部材62の軸線L2の直下に位置するように配設されている。また、砥石台接続部66bは、図3に示すように、砥石台本体61と接続して固定されるためのボルト(図示なし)を通す貫通穴66b2が形成されている。砥石台接続部66bは、この貫通穴66b2の軸線L4上に点Aを位置させるように形成されている。
【0029】
連結本体部66cは、ナット接続部66aと砥石台接続部66bとを連結する部位である。連結本体部66cは、同一の断面形状にて、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向(X軸方向)に沿って延びるように形成されている。連結本体部66cは、本実施形態において断面矩形状に形成されている。すなわち、連結本体部66cは、直方体状に形成されている。連結本体部66cのX軸方向に垂直な断面形状および断面積は、連結本体部66cの剛性が十分に高くなる大きさに設定されている。連結部材66の剛性は、X軸ナット部材41c2がX軸ねじ軸41c1上を移動して、連結部材66を介して砥石台60が移動したときに、連結部材66に作用する外力によるX軸方向の変形量が、使用者が所望する加工精度に影響を及ぼさない程度の変形量となるように設定されている。
【0030】
また、連結部材66は、図2に示すように、砥石台接続部66b以外の部位において、砥石台本体61との間に隙間Gを有している。砥石台接続部66bは、連結部材66においてナット接続部66aおよび連結本体部66cより、上方に突出する部位を有している。これにより、ナット接続部66aおよび連結本体部66cと砥石台本体61の底面との間に隙間Gが形成される。
【0031】
また、連結部材66を形成する材料は、砥石台本体61を形成する材料(例えばFC200等の鋳鉄)より、熱膨張係数が小さい材料である。連結部材66を形成する材料は、本実施形態においては、インバー(不変鋼)である。インバーは、常温付近で熱膨張率が比較的小さい合金であり、スーパーインバー、ステンレスインバー、Fe−Pt合金、Fe−Pd合金、36%ニッケル鋼などが知られている。ちなみに、36%ニッケル鋼の線膨張係数は、1.4×10−6/℃である。
【0032】
温度センサ67は、連結部材66の温度を検出するものである。温度センサ67は、連結本体部66cの右側面中央部に配設されている。温度センサ67の検出温度は、制御装置50に送信される。
【0033】
(3.制御装置50の詳細)
制御装置50は、熱変位量推定部51および移動量補正部52を備えている。
熱変位量推定部51は、温度センサ67の検出結果に基づいて、連結部材66におけるX軸ねじ軸41c1の軸線L1方向の熱変位量ΔLを推定するものである。熱変位量推定部51は、具体的には、以下の式1に示す計算式に基づいて、熱変位量ΔLを推定(算出)する。後述するように、連結部材66は、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向(X軸方向)に沿った方向に熱変形するため、熱変位量ΔLは、線膨張係数を用いて表すことができる。
【0034】
(数1)
ΔL=α×L×ΔT
αは、連結部材66を形成する材料の線膨張係数である。Lは、連結部材66が所定温度(例えば20℃)であるときにおける連結部材66のX軸方向の長さである。連結部材66の長さは、砥石台接続部66bの貫通穴66b2の軸線L4と、ナット接続部66aの貫通穴66a2の軸線L3とのX軸方向の距離である。ΔTは、温度センサ67の検出温度と所定温度との差である。
【0035】
移動量補正部52は、工作物Wの研削を行っているときにおける砥石台60のX軸方向(X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向)の移動量に対して、砥石台本体61が上述した熱変形をすることにより生じる砥石台本体61のX軸方向の熱変位量を補正量として補正する熱変位補正制御を行うものである。この補正量は、熱変位量を推定するための基準位置と、砥石車43を同軸に取り付けられている回転軸部材62の軸線L2との間におけるX軸方向長さの変化量に相当する。熱変位量を推定するための基準位置は、砥石台60のX軸方向の移動量がX軸ナット部材41c2の移動量によって調整されるため、砥石台本体61とX軸ナット部材41c2との接続位置となる。この接続位置は、砥石台本体61とX軸ナット部材41c2とが連結部材66を介して接続されているため、連結部材66のナット接続部66aの貫通穴66a2の軸線L3に相当する。
【0036】
一方、X軸方向における回転軸部材62の軸線L2の位置は、点Aを含む砥石台接続部66bの貫通穴66b2の軸線L4に相当する。よって、補正量は、ナット接続部66aの貫通穴66a2の軸線L3と、砥石台接続部66bの貫通穴66b2の軸線L4との間におけるX軸方向長さの変化量となる。また、このX軸方向長さの変化量は、上述した熱変位量推定部51によって推定される連結部材66におけるX軸ねじ軸41c1の軸線L1方向の熱変位量ΔLと同一となる。したがって、移動量補正部52は、砥石台60のX軸方向の移動量(X軸ナット部材41c2の移動量)に対して、熱変位量ΔLを補正量として補正する。すなわち、移動量補正部52は、熱変位量推定部51の推定結果から、X軸ナット部材41c2の移動量を補正するものである。
【0037】
(4.動作)
次に、上述した制御装置50が熱変位補正制御を行う場合における研削盤1の動作について説明する。制御装置50は、工作物Wの外周面の研削を行う場合、熱変位補正制御を行う。
【0038】
工作物Wの研削の開始時点からポンプ65a1が起動されて、軸受63にタンク64に貯留されている油が供給される。上述したように、軸受63にて油の温度が上昇し、タンク64に貯留している油の温度が上昇することにより、砥石台本体61に温度勾配が生じるため、砥石台本体61に熱変形が生じる。
【0039】
一方、タンク64に貯留されている熱は、連結部材66に、砥石台60と接触している砥石台接続部66bから連結本体部66c、ナット接続部66aの順に伝達する。連結部材66の連結本体部66cが、砥石台60との間に隙間Gを有しているとともに、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に沿って延びるように形成されているため、熱は、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に沿って伝達する。よって、連結部材66に温度勾配が生じる場合においても、連結部材66の温度勾配は、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に沿って生じるため、連結部材66の熱変位の方向は、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に沿った方向となる。したがって、上述した式1によって連結部材66の熱変位量ΔLを推定することができる。
【0040】
制御装置50は、所定時間(例えば1秒)毎に、温度センサ67の検出温度を取得し、その温度センサ67の検出温度から式1に基づいて、連結部材66の熱変位量ΔLを推定する(熱変位量推定部51)。そして、制御装置50は、所定時間(例えば1秒)毎に、上述したように、連結部材66の熱変位量ΔLを補正量として、X軸ナット部材41c2の移動量の補正を行う(移動量補正部52)。このように、制御装置50は、砥石台本体61の熱変位量に関わらず、連結部材66の熱変位量ΔLを補正量として、熱変位補正を行う。
【0041】
(5.まとめ)
本第一実施形態によれば、研削盤1は、砥石車43を保持し、回転駆動される回転軸部材62と、回転軸部材62を軸受63により回転可能に支持する砥石台本体61と、X軸ねじ軸41c1およびX軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に沿って移動可能なX軸ナット部材41c2を有するX軸ボールねじ41cと、砥石台本体61とX軸ナット部材41c2とが重なる位置にて、砥石台本体61とX軸ナット部材41c2とを連結する連結部材66と、を備えた研削盤1であって、連結部材66における砥石台本体61に接続する砥石台接続部66bと、連結部材66におけるX軸ナット部材41c2に接続するナット接続部66aとは、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に異なる位置に位置し、砥石台接続部66bは、X軸ねじ軸41c1の軸線L1上における回転軸部材62の軸線L2の位置と、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向と垂直な方向において重なるように配設され、連結部材66は、熱変位の方向をX軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に沿った方向とするように形成されている。
これによれば、熱変位を推定する基準となるX軸ナット部材41c2と、砥石台本体61とを連結する連結部材66は、砥石台接続部66bとナット接続部66aとをX軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に異なる位置に位置されるとともに、砥石台接続部66bを、X軸ねじ軸41c1の軸線L1上における回転軸部材62の軸線L2の位置と、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向と垂直な方向において重なるように配設された状態にて、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に沿った方向に熱変位する。これにより、砥石台60の移動方向、すなわち、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向における砥石台60の熱変位の推定を、連結部材66の熱変位を推定することによって行うことができる。また、連結部材66は、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に沿った方向に熱変位するため、熱変位の推定が比較的容易である。よって、砥石台本体61の温度分布が複雑となる場合においても、砥石台本体61の熱変位の推定を比較的容易に行うことができる。
また、連結部材66を有さない既存の砥石台60において、X軸ナット部材41c2と回転軸部材62とがX軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に異なる位置に位置する場合、連結部材66を追加することにより、上述したように、砥石台本体61の熱変位の推定を比較的容易にすることができる。
【0042】
また、連結部材66は、ナット接続部66aと砥石台接続部66bとを連結する連結本体部66cをさらに備え、連結本体部66cは、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に沿って延びるように形成されている。
これによれば、連結部材66の熱変位の方向を、より確実に、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に沿った方向にすることができる。
【0043】
また、連結本体部66cは、直方体状に形成されている。
これによれば、連結本体部66cを比較的簡便に形成することができる。
【0044】
また、連結部材66は、砥石台接続部66b以外の部位において、砥石台本体61との間に隙間Gを有している。
これによれば、連結部材66における砥石台本体61と隙間Gを有する部位が断熱されるため、連結部材66に伝達する熱の方向を、確実に、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に沿った方向にすることができる。よって、連結部材66の熱変位の方向を、さらに確実に、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に沿った方向にすることができる。
【0045】
連結部材66を形成する材料は、砥石台本体61を形成する材料より、熱膨張係数が小さい材料である。
これによれば、砥石台本体61の熱変位量より連結部材66の熱変位量ΔLを小さくすることができる。よって、砥石台本体61の熱変位の推定をさらに容易に行うことができる。
【0046】
また、連結部材66を形成する材料は、インバーである。
インバーの線膨張係数が比較的小さいため、連結部材66の熱変位量ΔLを、確実に小さくすることができる。
【0047】
また、研削盤1は、連結部材66の温度を検出する温度センサ67と、X軸ナット部材41c2の移動量を調整することにより、砥石台本体61の移動量を調整する制御装置と、をさらに備え、制御装置は、温度センサ67の検出結果に基づいて、連結部材66におけるX軸ねじ軸41c1の軸線L1方向の熱変位量ΔLを推定する熱変位量推定部51と、熱変位量推定部51の推定結果からX軸ナット部材41c2の移動量を補正する移動量補正部52と、を備えている。
これによれば、上述したように、連結部材66のX軸ねじ軸41c1の軸線L1方向の熱変位量ΔLの推定が比較的容易であるため、砥石台本体61のX軸ねじ軸41c1の軸線L1方向の熱変位量を推定する場合に比べて、X軸ナット部材41c2の移動量の補正を精度よく行うことができる。また、連結部材66の熱変位量ΔLの推定が比較的容易であるため、連結部材66の温度を検出する温度センサ67の個数を低減することができる。
【0048】
また、軸受63は、静圧軸受であり、研削盤1は、砥石台本体61に配設され、軸受63に供給される油を貯留するタンク64と、タンク64と軸受63との間にて油を循環させる循環路65と、をさらに備えている。
これによれば、軸受63によって温度上昇する油を貯留するタンク64が砥石台本体61に形成され、このタンク64が熱源となることにより、砥石台本体61の温度分布が複雑となる場合においても、砥石台本体61の熱変位の推定を比較的容易に行うことができる。
【0049】
また、工具は、砥石車43である。
これによれば、工具が砥石車43である場合、X軸ねじ軸41c1の軸線L1方向が砥石車43の工作物Wに対する切込み方向となる。よって、砥石台本体61のX軸ねじ軸41c1の軸線L1方向の熱変位の推定が比較的容易となることにより、研削の加工精度を向上することができる。
【0050】
<第二実施形態>
(6.工作機械の概要)
本発明の工作機械の第二実施形態について、主として上述した第一実施形態と異なる部分について、図面を参照して説明する。なお、本第二実施形態における工作機械は、図4に示す横型マシニングセンタ2である。横型マシニングセンタ2は、駆動軸として、相互に直交する3つの直進軸(X,Y,Z軸)および鉛直方向の回転軸(B軸)を有する工作機械である。以下、図4において、Z軸方向における図4の左側を前方、同じく後側を後方とし、Y軸方向における図4の上側を上方、同じく下側を下方とし、X軸方向における図4の紙面奥側を右方、同じく紙面手前側を左方として説明する。
【0051】
図4に示すように、横型マシニングセンタ2は、ベッド110、コラム120、サドル130(本発明の支持台に相当)、主軸140、スライドテーブル150、回転テーブル170および制御装置180を備えている。
ベッド110は、設置面(床)上に配置される。ベッド110の上面には、コラム120がX軸方向に直動可能に設けられる。コラム120は、X軸モータ121によりX軸ボールねじ(図示せず)を介して駆動される。コラム120の側面には、サドル130がY軸方向に直動可能に設けられる。
【0052】
サドル130は、一対のY軸モータ131a、131bにより一対のY軸ボールねじ132a,132b(図5および図6参照)を介して駆動される。サドル130およびY軸ボールねじ132a,132bの詳細は後述する。サドル130には、主軸140が回転可能に設けられる。主軸140は、主軸モータ141により駆動される。主軸140の先端には、回転工具142が着脱可能に固定される。主軸140と回転工具142とは、Z軸方向に沿った回転軸線L12が一致するよう固定される。回転工具142は、例えば、ボールエンドミル、エンドミル、ドリル、タップ等である。
【0053】
また、ベッド110の上面には、スライドテーブル150がZ軸方向に直動可能に設けられる。スライドテーブル150は、Z軸モータ151によりZ軸ボールねじ(図示せず)を介して駆動される。スライドテーブル150の上面には、回転テーブル170がB軸回転(Y軸回りの回転)を可能に設けられる。回転テーブル170の上面には、工作物Wが固定される。回転テーブル170は、B軸モータ171により駆動される。
【0054】
制御装置180は、指令値に従って、主軸モータ141を制御して回転工具142を回転させ、かつ、各軸モータ121,131,151,171を制御して、工作物Wと回転工具142とを相対移動させることにより、工作物Wの加工を行なう。
【0055】
(7.サドル130およびY軸ボールねじ132,133の詳細)
Y軸ボールねじ132a,132b(本発明のボールねじに相当)は、図5および図6に示すように、Y軸ねじ軸132a1,132b1(本発明のねじ軸に相当)およびY軸ナット部材132a2,132b2(本発明のナット部材に相当)を備えている。
Y軸ねじ軸132a1,132b1は、サドル130をY軸方向に駆動するために、Y軸方向に沿って延びるように、且つ、相互に平行に配置固定されている。
Y軸ナット部材132a2,132b2は、Y軸ねじ軸132a1,132b1が回転することにより、Y軸ねじ軸132a1,132b1の軸線方向L11a,L11b(Y軸方向)に沿って移動可能なものである。Y軸ナット部材132a2,132b2それぞれとサドル130とが連結部材166a,166bを介して連結されている。
【0056】
連結部材166a,166bは、サドル130とY軸ナット部材132a2,132b2とを連結するものである。サドル130とY軸ナット部材132a2,132b2とは、左右両側方において、Y軸方向と垂直な方向(本実施形態においては前後方向)に重なる位置にて、連結部材166a,166bによって連結されている。連結部材166a,166bは、下端部にて前方に向けて突出する部位を有する側面視L字状に形成されている。連結部材166a,166bは、ナット接続部166a1,166b1、サドル接続部166a2,166b2(本発明の支持台接続部に相当)および連結本体部166a3,166b3を備えている。サドル接続部166a2,166b2は、上述した第一実施形態における砥石台接続部66bに相当する。以下、連結部材166a,166bについては、構成が同じであるため、連結部材166aについてのみ説明する。
【0057】
ナット接続部166a1は、連結部材166aにおけるY軸ナット部材132a2と接続する部位である。
サドル接続部166a2は、連結部材166aにおけるサドル130と接続する部位である。サドル接続部166a2は、具体的には、サドル130の後側面にて接続する。サドル接続部166a2とナット接続部166a1とは、Y軸ねじ軸132a1の軸線L11a方向に異なる位置に位置している。サドル接続部166a2は、具体的には、Y軸ねじ軸132a1の軸線L11a上における回転軸線L12の位置(図6における点Bに相当)と、Y軸ねじ軸132a1の軸線L11a方向と垂直な方向(本実施形態においては前後方向)において重なるように配設されている。
【0058】
連結本体部166a3は、ナット接続部166a1とサドル接続部166a2とを連結する部位である。連結本体部166a3は、Y軸ねじ軸132a1の軸線L11a方向に沿って延びるように形成されている。連結本体部166a3の断面形状や剛性については、上述した第一実施形態の連結部材と同様に形成されている。また、連結部材166aは、サドル130との間に隙間Gを有するように形成さされている。また、本第二実施形態においては、連結部材166a,166bの熱変位の方向は、Y軸ねじ軸132a1の軸線L11a方向に沿った方向となる。
さらに、連結部材166a,166bには、連結部材166a,166bの温度を検出する温度センサ167a,167bが配設されている。
【0059】
制御装置180は、所定時間(例えば1秒)毎に、温度センサ167a,167bの検出温度を取得し、その検出温度から上述した第一実施形態と同様に、連結部材166a,166bそれぞれの熱変位量ΔLを推定する。そして、制御装置180は、所定時間(例えば1秒)毎に、連結部材166a,166bの熱変位量ΔLを補正量として、Y軸ナット部材132a2,132b2の移動量の補正を行う。
【0060】
(8.まとめ)
横型マシニングセンタ2においては、サドル130が繰り返しY軸方向に移動するため、Y軸ねじ軸132a1,132b1との摩擦によって、Y軸ナット部材132a2,132b2の温度が上昇する。これにより、Y軸ナット部材132a2,132b2とサドル130とが連結部材166a,166bを介さずに直接接続されている場合、サドル130にこの熱が伝達して、サドル130に温度分布が生じる。この温度分布が複雑となるときには、サドル130の熱変位の推定精度が低下する。これに対して、上述したように、Y軸ナット部材132a2,132b2とサドル130とを連結部材166a,166bにて連結した場合、連結部材166a,166bがY軸方向に沿って熱変位するため、サドル130のY軸方向の熱変位の推定を精度良く行なうことができる。
【0061】
(9.変形例)
なお、上述した各実施形態において、工作機械の一例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の構成を採用することもできる。例えば上述した第一実施形態において、連結部材66と砥石台本体61との間に隙間Gが形成されているが、これに代えて、図7に示すように、連結部材266と砥石台本体61との間に隙間Gを形成しないようにしても良い。この場合、連結部材266は、全体としてX軸ねじ軸41c1の軸線L1方向に沿って延びる直方体状に形成されている。なお、第二実施形態における連結部材166a,166bについてもサドル130との隙間Gを形成しないように形成しても良い。
【0062】
また、上述した各実施形態において、連結部材66,166a,166bの材料は、インバーであるが、これに代えて、例えばCFRP等の炭素繊維強化プラスチックなどの低線膨張率かつ高剛性の材料にしても良い。さらに、連結部材66,166a,166bの材料は、砥石台本体61(サドル130)より熱膨張係数の小さい材料に限定されず、砥石台本体61と同材料や、砥石台本体61より熱膨張係数の大きい材料を選定しても良い。
また、上述した各実施形態において、制御装置50,180は、連結部材66,166a,166bの熱変位量ΔLに基づいて、ナット部材41c2,132a2,132b2の移動量を補正しているが、連結部材66,166a,166bの材料を上述した低線膨張率かつ高剛性の材料を選定することにより、使用者の所望する加工精度に対して熱変位量ΔLが十分小さい場合には、ナット部材41c2,132a2,132b2の移動量の補正を行わないようにしても良い。
【0063】
また、上述した実施形態においては、研削盤1および横型マシニングセンタ2を工作機械の例として挙げて説明しているが、これに代えて、工作機械を旋盤としても良い。
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、連結部材66,166a,166bの形状、温度センサ67,167a,167bの配設位置や個数等を変更しても良い。
【符号の説明】
【0064】
1…研削盤(工作機械)、2…横型マシニングセンタ(工作機械)、40…砥石支持装置、41c…X軸ボールねじ(ボールねじ)、41c1…X軸ねじ軸(ねじ軸)、41c2…X軸ナット部材(ナット部材)、42…砥石台、43…砥石車(工具)、50…制御装置、51…熱変位量推定部、52…移動量補正部、61…砥石台本体(支持台)、62…回転軸部材、63…軸受、64…タンク、66…連結部材、66a…ナット接続部、66b…砥石台接続部(支持台接続部)、66c…連結本体部、67…温度センサ、G…隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7