特許第6610048号(P6610048)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6610048
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】半導体装置および電子時計
(51)【国際特許分類】
   G04G 19/02 20060101AFI20191118BHJP
   G04C 10/00 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   G04G19/02 Z
   G04C10/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-140726(P2015-140726)
(22)【出願日】2015年7月14日
(65)【公開番号】特開2017-20975(P2017-20975A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】二ノ宮 正也
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第00/035062(WO,A1)
【文献】 特開2007−218733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 10/00 − 04
G04G 3/00
G04G 19/00 − 12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧で駆動される定電圧発生回路と、
前記定電圧発生回路の定電圧によって駆動されて、前記定電圧発生回路を制御する定電圧制御回路と、
前記電源電圧で駆動されて、前記定電圧発生回路が停止されている場合に、初期化信号に対応して前記定電圧発生回路を作動する制御信号を出力する起動回路と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記定電圧発生回路の定電圧によって駆動される発振回路を備え、
前記定電圧発生回路は、前記定電圧を、第1電圧と、前記第1電圧よりも高い第2電圧とに切り換え可能に構成され、前記起動回路から制御信号が入力されると、前記第2電圧とし、所定時間経過後に前記第1電圧とする
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の半導体装置を備えることを特徴とする電子時計。
【請求項4】
請求項3に記載の電子時計において、
前記起動回路に前記初期化信号を出力する初期化信号出力部を備える
ことを特徴とする電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
腕時計などの電子時計は、電源として一次電池や充電可能な二次電池を用い、電子回路が組み込まれた半導体装置を駆動している。電子時計として、省エネルギー化を実現するため、定電圧発生回路によって前記半導体装置の正常な動作が保証される一定電圧を発生し、この電圧の電力を、発振回路やCPUを含む定電圧駆動回路に供給するために制御を確実に行われるものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−153669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電源電圧が低下すると定電圧発生回路で発生される定電圧も低下し、発振回路やCPU等の最低駆動電圧を下回り、発振回路等の定電圧駆動回路の動作が不安定となったり、停止する。このため、電源電圧が低下した際に、定電圧発生回路を停止し、一次電池の交換や、二次電池の充電によって電源電圧が上昇した際に、定電圧発生回路を作動する定電圧制御回路を設けることが好ましい。
【0005】
この定電圧制御回路は、電源電圧で駆動されるが、さらなる省エネルギー化を実現するために、定電圧発生回路で発生される定電圧で定電圧制御回路を駆動することが考えられる。
しかしながら、定電圧制御回路を前記定電圧発生回路の定電圧で駆動すると、電源電圧が低下して定電圧発生回路を停止した際に、定電圧発生回路自体が作動しないと定電圧制御回路も作動できないために、いわゆるデッドロック状態となって定電圧制御回路および定電圧発生回路が動かないという新たな課題が生じる。
【0006】
本発明の目的は、定電圧制御回路を定電圧発生回路の定電圧で駆動でき、停止状態の定電圧発生回路を作動できる半導体装置およびこの半導体装置を有する電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の半導体装置は、電源によって駆動する定電圧発生回路と、前記定電圧発生回路で発生された定電圧によって駆動されて、前記定電圧発生回路を制御する定電圧制御回路と、前記定電圧発生回路が停止されている場合に、外部から入力される初期化信号に対応して前記定電圧発生回路を作動する制御信号を出力する起動回路と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明では、定電圧発生回路を制御する定電圧制御回路を、定電圧発生回路で発生された定電圧によって駆動しているので、定電圧制御回路を電源電圧よりも低い電圧で駆動できて消費電力を低減できる。
また、半導体装置の外部から入力される初期化信号に対応して、定電圧発生回路を作動する制御信号を出力する起動回路を設けたので、定電圧発生回路が停止された際に、半導体装置の外部から初期化信号を入力することで、起動回路から制御信号を出力できて定電圧発生回路を作動できる。したがって、定電圧発生回路および定電圧制御回路がデッドロック状態となっても、定電圧制御回路とは別の起動回路から制御信号を出力して定電圧発生回路を確実に作動できる。
また、定電圧発生回路が作動すれば、定電圧制御回路も作動するため、起動回路は初期化信号の入力に対応して制御信号を出力する機能のみ有していればよい。このため、起動回路を電源電圧で駆動しても電力消費は小さいため、定電圧制御回路を定電圧で駆動することで半導体装置全体での省電力化を実現できる。
【0009】
本発明の半導体装置において、前記定電圧発生回路で発生された定電圧によって駆動される発振回路を備え、前記定電圧発生回路は、第1電圧と、前記第1電圧よりも高い第2電圧とを切り換えて前記定電圧として発生可能に構成され、前記起動回路から制御信号が入力されると、前記第2電圧を発生し、所定時間経過後に前記第1電圧に切り換えることが好ましい。
【0010】
本発明では、定電圧発生回路は、通常動作用の第1電圧と、第1電圧よりも高い起動開始用の第2電圧とを発生できる。そして、定電圧発生回路は、起動回路から制御信号が入力されると、最初に第2電圧を発生する。このため、発振回路に第1電圧よりも高い第2電圧を印加でき、発振回路を早期にかつ確実に作動できる。また、定電圧発生回路は、所定時間経過後に、発生する定電圧を第2電圧から第1電圧に切り換えるため、発振回路を通常動作状態にでき、消費電力も低減できる。
【0011】
本発明の電子時計は、前記半導体装置を備えることを特徴とする。
本発明の電子時計は、前記半導体装置を備えるため、省電力化を実現できて持続時間を長くすることができる。
【0012】
本発明の電子時計において、操作部材と、前記操作部材の操作に応じて、前記起動回路に前記初期化信号を出力する初期化信号出力部とを備えることが好ましい。
本発明では、りゅうずやボタンなどの操作部材をユーザーが操作することで、初期化信号出力部から初期化信号が出力される。この初期化信号は、前記半導体装置の起動回路に入力され、起動回路は制御信号を定電圧発生回路に出力する。
したがって、電源電圧の低下等によって、定電圧発生回路および定電圧制御回路が停止している場合に、りゅうずやボタンなどの操作部材をユーザーが操作することで、定電圧発生回路を作動し、これにより定電圧制御回路や発振回路などを作動できる。定電圧発生回路が停止している場合には、発振回路等も停止し、指針の駆動も停止する。この場合、ユーザーは、一次電池の交換や、二次電池を充電し、さらに指針を現時刻に合わせるために、操作部材を操作する。このため、ユーザーの現時刻合わせなどの操作が、前記初期化信号を出力させる操作となり、ユーザーが特別な操作を行う必要が無いため、操作性が低下することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の電子時計を示す正面図である。
図2】本発明の半導体装置の要部を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の半導体装置10を備える電子時計1について説明する。
電子時計1は、図1に示すように、ユーザーの手首に装着される腕時計であり、外装ケース2と、円板状の文字板3と、図示略のムーブメントと、ムーブメント内に設けられたモーターで駆動される秒針5、分針6、時針7と、操作部材であるりゅうず8とを備える。
電子時計1は、図2に示すように、電源である二次電池80と、二次電池80を充電する発電装置81および充電制御回路82とが設けられる。発電装置81は、時計用に用いられる各種の発電装置が利用できる。例えば、回転錘等で運動エネルギーを発生させ、そのエネルギーでロータを回転させて発電する回転型の発電装置や、ソーラーパネルなどで光エネルギーを捉えて発電するソーラー型の発電装置などが利用できる。なお、電源としては、二次電池80に限らず、ボタン型等の一次電池を用いることもできる。
【0015】
ムーブメントは、図示略の回路基板を備え、回路基板には本発明の半導体装置(半導体素子、IC)10が取り付けられている。
半導体装置10は、図2に示すように、定電圧発生回路11、制御ロジック回路20、発振回路30、発振停止検出回路40、定電流発生回路50、起動回路60を備えている。定電圧発生回路11、発振停止検出回路40、定電流発生回路50、起動回路60は、二次電池80の電源ライン(電圧VDDの電源ラインと、電圧VSSの電源ライン)に接続されて駆動される。
【0016】
定電圧発生回路11は、電圧VDDよりも低い定電圧を発生させ、制御ロジック回路20、発振回路30に供給する。本実施形態では、定電圧発生回路11は、第1電圧VREG1と、第1電圧VREG1よりも高い第2電圧VREG2との二段階の定電圧を発生する。第1電圧VREG1および第2電圧VREG2の電圧値は、定電圧を印加する発振回路30などに応じて適宜設定される。例えば、第1電圧VREG1は、0.9〜1.0V程度に設定され、第2電圧VREG2は1.2〜1.3V程度に設定される。
【0017】
定電圧発生回路11には、後述する制御ロジック回路20から定電圧イネーブルコントロール信号が入力される制御端子111と、電圧コントロール信号が入力される制御端子112と、起動回路60から制御信号が入力される制御端子113とを備える。
制御ロジック回路20は、定電圧イネーブルコントロール信号および電圧コントロール信号を、それぞれHighレベル(以下、Hレベルという)およびLowレベル(以下Lレベルという)の二段階の電圧に切り換えて出力する。
【0018】
定電圧発生回路11は、例えば、制御端子111にLレベルの信号が入力されると作動状態となり、Hレベルの信号が入力されると停止状態となる。
定電圧発生回路11は、例えば、制御端子112にHレベルの信号が入力されると定電圧として第1電圧VREG1を発生し、Lレベルの信号が入力されると定電圧として第2電圧VREG2を発生する。
なお、本実施形態では、1つの定電圧発生回路11を設け、制御ロジック回路20および発振回路30に共通の定電圧を印加するが、各回路用に別々の定電圧発生回路を設けてもよい。
【0019】
発振回路30は、水晶振動子等を備えており、所定周波数のクロック信号(CLK)を出力する。発振回路30は、停止時に第2電圧VREG2が印加されることで、早期にかつ確実に作動し、作動を開始すれば第2電圧VREG2よりも低い第1電圧VREG1の印加で作動を継続できるものである。
【0020】
制御ロジック回路20は、ゲートアレイで構成され、発振回路30から供給されるクロック信号で動作する。また、制御ロジック回路20には、発振停止検出回路40から出力される発振停止検出信号が入力される。
制御ロジック回路20は、定電圧発生回路11、発振停止検出回路40、定電流発生回路50に対して制御信号を出力する。すなわち、制御ロジック回路20は、定電圧発生回路11に対しては、前述した定電圧イネーブルコントロール信号と、電圧コントロール信号とを出力し、発振停止検出回路40および定電流発生回路50に対しては、各回路の作動を制御する制御信号を出力する。したがって、制御ロジック回路20は、定電圧発生回路11を制御する定電圧制御回路である。
【0021】
また、制御ロジック回路20は、後述するように発振停止検出回路40からの発振停止検出信号によって、発振回路30の停止状態が解除されたことが通知されると、電圧コントロール信号をLレベル(第2電圧用)からHレベル(第1電圧用)に変更する。このため、定電圧発生回路11が発生する定電圧は、第1電圧VREG1に変更される。
【0022】
発振停止検出回路40は、定電圧発生回路11から入力される制御信号で作動が制御される。発振停止検出回路40の構成は、発振回路30の発振停止を検出できる回路であればよく、例えば、スイッチとして機能するトランジスターと、コンデンサー(容量素子)とを組み合わせたものなどで構成できる。この発振停止検出回路40は、発振回路30が停止すると、発振停止検出信号を制御ロジック回路20に出力する。
制御ロジック回路20は、発振停止検出信号が入力されると、定電圧発生回路11に定電圧イネーブルコントロール信号および電圧コントロール信号を出力し、定電圧発生回路11を作動状態として、第2電圧VREG2を発生させ、発振回路30の発振を開始させる。
発振停止検出回路40には、発振停止検出回路40内のコンデンサーの電荷を放電するためのnチャネルトランジスタ等で構成されるスイッチ41が接続されている。このスイッチ41は、定電流発生回路50が作動している場合にオン状態とされる。
【0023】
定電流発生回路50は、定電流源51と、pチャネルトランジスタやnチャネルトランジスタ等で構成されるスイッチ52、53とを備える。
スイッチ52は、制御ロジック回路20からの制御信号でオン・オフが制御され、定電圧発生回路11が停止している場合には、スイッチ52もオフ状態に制御され、これによりスイッチ53もオフ状態となるため、定電流発生回路50も停止する。
また、制御ロジック回路20が定電圧発生回路11を作動している場合には、スイッチ52もオン状態に制御される。スイッチ52がオン状態に制御されると、定電流源51も作動され、スイッチ53もオン状態に制御される。このため、定電流発生回路50が作動される。
【0024】
起動回路60は、複数(例えば5個)のD型のフリップフロップ61を備えている。各フリップフロップ61は、電源電圧VDD、VSSで駆動され、1番目のフリップフロップ61の入力端子(D端子)に電源電圧VDDが入力されている。1番目のフリップフロップ61の出力端子(Q端子)は、2番目のフリップフロップ61の入力端子に接続されている。以降、各フリップフロップ61の出力端子が次のフリップフロップ61の入力端子に接続され、最後のフリップフロップ61の出力端子は定電圧発生回路11の制御端子113に接続されている。したがって、最後のフリップフロップ61の出力端子の出力が、制御端子113に入力される制御信号である。
各フリップフロップ61のクロック入力端子には、発振回路30から出力されるクロック信号が入力され、リセット端子(R端子)には、後述する初期化信号出力部90から初期化信号が入力されるように構成されている。
フリップフロップ61は、リセット端子に初期化信号が入力されると、出力端子からLレベル信号を出力する。したがって、制御端子113に入力される制御信号もLレベルの信号となる。
その後、クロック入力によって1番目のフリップフロップ61から出力が順次Hレベルに変化する。このため、起動回路60からLレベルの制御信号が出力されてから、Hレベルの制御信号に切り替わるまでの所定時間は、フリップフロップ61の数(段数)と、クロック信号の周期によって設定できる。
【0025】
半導体装置10の外部には、前記りゅうず8の操作を検出して初期化信号を出力する初期化信号出力部90が設けられている。初期化信号出力部90は、例えば、りゅうず8に連動するおしどり等の部品と、りゅうず8を引いた際に前記部品が接触するフレキシブル基板などの端子とを備え、前記部品および端子が接触した際、つまり、りゅうず8を引いた際に初期化信号を出力する回路で構成できる。
なお、初期化信号出力部90は、りゅうず8を回した際に初期化信号を出力するように構成してもよい。さらに、操作部材としてボタンが設けられている場合には、初期化信号出力部90は、ボタンが操作されたことを検出して初期化信号を出力するように構成してもよい。
【0026】
[定電圧発生回路の制御処理]
次に、本実施形態における定電圧発生回路11の制御処理に関して説明する。
電源電圧が低下すると、制御ロジック回路20は、定電圧イネーブルコントロール信号を、定電圧発生回路11の停止を指示する状態、例えばHレベルに変更する。また、制御ロジック回路20は、定電流発生回路50に対してスイッチ52をオフ状態にする制御信号を出力する。
定電圧発生回路11は、制御端子111に入力される信号がHレベルとなると、停止状態(ディセーブル;disable)となる。このため、発振回路30および制御ロジック回路20も停止状態となる。
また、スイッチ52をオフ状態にする制御信号が入力されるため、定電流発生回路50も停止され、スイッチ41,53は共にオフ状態とされる。
発振回路30が停止されると、発振停止検出回路40は、発振停止検出信号を制御ロジック回路20に出力する。
【0027】
発振回路30および制御ロジック回路20が停止されると、発振回路30から出力されるクロック信号で作動する各種制御回路等も停止し、秒針5、分針6、時針7等を駆動するステップモーターの駆動回路等も停止する。このため、電子時計1において、指針の運針が停止する。
なお、制御ロジック回路20は、電源電圧低下時に、定電圧発生回路11を停止させる制御をしなくてもよい。この場合、電源電圧低下がユーザーにわかるように、例えば秒針5を2秒運針させ、ある時間後に運針を停止すればよい。
【0028】
電子時計1のユーザーは、運針が停止するため、発電装置81による充電を行い、さらに、りゅうず8を引き出して指針を現時刻に合わせる操作を行う。りゅうず8が引き出される等の操作が行われると、初期化信号出力部90は初期化信号を出力する。
初期化信号は、起動回路60のフリップフロップ61のリセット端子に入力され、フリップフロップ61はリセットされて出力端子からLレベル信号を出力する。このため、制御端子113には、制御信号としてLレベル信号が入力される。なお、制御ロジック回路20が停止しているため、制御端子111、112には、信号が入力されていない。
この状態で、制御端子113にLレベル信号が入力されると、定電圧発生回路11は、定電圧発生回路11を作動状態(イネーブル;enable)とし、さらに定電圧発生回路11が第2電圧VREG2を発生する。
このため、停止状態の発振回路30に第2電圧VREG2が印加され、発振回路30は早期にかつ確実に作動を開始する。また、制御ロジック回路20にも第2電圧VREG2が印加されるため、作動を開始した発振回路30からクロック信号が入力されると、制御ロジック回路20も作動を開始する。
【0029】
作動を開始した制御ロジック回路20は、定電流発生回路50に対してスイッチ52をオン状態にする制御信号を出力し、定電流発生回路50は作動状態となり、スイッチ53、41もオン状態となる。また、制御ロジック回路20は、発振停止検出回路40に対して制御信号を出力し、発振停止検出回路40を作動状態に設定する。
【0030】
起動回路60は、クロック信号が入力される毎に各フリップフロップ61の出力が順次Hレベルに変化し、すべてのフリップフロップ61の出力がHレベルに変化すると、制御端子113に入力される制御信号もHレベルとなる。
この場合、定電圧発生回路11は、制御ロジック回路20から制御端子111、112に入力される信号によって制御される。すなわち、発振回路30が発振し、発振停止検出回路40が発振状態を検出すると、制御ロジック回路20は、制御端子111に入力する定電圧イネーブルコントロール信号は、定電圧発生回路11を作動する状態(Lレベル)に制御する。また、制御端子112に入力する電圧コントロール信号は、定電圧発生回路11で発生する定電圧を第1電圧VREG1に設定する状態(Hレベル)に制御する。このため、定電圧発生回路11は、通常の作動状態とされる。すなわち、定電圧発生回路11が停止されている状態から、りゅうず8が操作されると、起動回路60から出力される制御信号によって、定電圧発生回路11は強制的に作動されて第2電圧VREG2を発生する。そして、所定時間、具体的には起動回路60からの制御信号がHレベルに切り替わる状態になるまでの時間が経過すると、定電圧発生回路11は制御ロジック回路20で制御され、第1電圧VREG1を発生する通常状態で作動する。
【0031】
なお、定電圧発生回路11が正常に作動している状態で、りゅうず8が操作されて初期化信号出力部90から初期化信号が出力された場合には、起動回路60のフリップフロップ61がリセットされて、Lレベルの制御信号が制御端子113に入力される。この場合、制御ロジック回路20から制御端子111、制御端子112に制御信号が入力されているため、定電圧発生回路11は制御ロジック回路20からの制御信号を優先し、制御端子113に入力される制御信号を無視する。したがって、定電圧発生回路11で発生する定電圧が第2電圧VREG2に切り替わることはない。
また、りゅうず8が操作されて、定電圧発生回路11で発生する第2電圧VREG2に切り替わったとしても動作として問題ない。
【0032】
[実施形態の作用効果]
半導体装置10は、定電圧発生回路11を制御する定電圧制御回路である制御ロジック回路20を、定電圧発生回路11で発生された定電圧(第1電圧VREG1)によって駆動する。このため、制御ロジック回路20を電源電圧VDDよりも低い電圧で駆動できて消費電力を低減できる。特に、制御ロジック回路20は、定電圧発生回路11の制御用だけでなく、発振停止検出回路40や定電流発生回路50等の様々な回路の制御用として用いられるため、第1電圧VREG1で駆動することで、省電力化の効果を高めることができる。
【0033】
定電圧発生回路11が停止された際に、りゅうず8を操作して半導体装置10の外部から初期化信号を入力することで、起動回路60から制御信号を出力して定電圧発生回路11を強制的に作動できる。したがって、定電圧発生回路11および制御ロジック回路20が共に停止してデッドロック状態となっても、制御ロジック回路20とは別の起動回路60から制御信号を出力でき、定電圧発生回路11を確実に作動できる。
さらに、初期化信号出力部90から初期化信号を出力するための操作は、指針を現時刻に合わせるための操作であるため、ユーザーは特別な操作を行う必要が無く、操作性が低下することを防止できる。
【0034】
定電圧発生回路11が作動すれば、制御ロジック回路20も作動するため、起動回路60は初期化信号の入力に対応して制御信号を出力する機能のみ有していればよい。このため、起動回路60を複数のフリップフロップ61のみで構成でき、電源電圧VDDで駆動しても低い電力消費量にできる。したがって、制御ロジック回路20を第1電圧VREG1で駆動し、起動回路60を電源電圧VDDで駆動すれば、制御ロジック回路20を電源電圧VDDで駆動する場合に比べて、半導体装置10の省電力化を実現できる。
【0035】
定電圧発生回路11は、通常動作用の第1電圧VREG1と、第1電圧VREG1よりも高い起動開始用の第2電圧VREG2とを発生でき、起動回路60から制御信号が入力されると、最初に第2電圧VREG2を発生する。このため、発振回路30に第2電圧VREG2を印加できるため、発振回路30を早期にかつ確実に作動できる。また、定電圧発生回路11は、発振回路30が確実に作動できる所定時間経過後に、発生する定電圧を第2電圧VREG2から第1電圧VREG1に切り換えるため、発振回路30の作動が開始した後は発振回路30を第1電圧VREG1で作動でき、消費電力も低減できる。
【0036】
[他の実施形態]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、定電圧発生回路11は、第1電圧VREG1、第2電圧VREG2を出力可能なものに限定されず、第1電圧VREG1のみを出力可能なものでもよいし、第3電圧も出力可能なものでもよい。すなわち、定電圧発生回路11は、半導体装置10において、必要な定電圧を発生できるものであればよい。
【0037】
定電圧発生回路11は、3つの制御端子111、112、113を備えるものに限定されず、制御端子111、制御端子112の2つの端子を備えるものでもよい。この場合、起動回路60から出力される制御信号を、制御ロジック回路20から出力される各信号とAND回路などを用いて合成して制御端子111、112に入力するようにすればよい。すなわち、定電圧発生回路11が停止状態の場合には、起動回路60からの制御信号を優先し、定電圧発生回路11が作動した後は、制御ロジック回路20からの信号を優先するように設定すればよい。
【0038】
制御ロジック回路20は、ゲートアレイで構成されるものに限定されない。ただし、ゲートアレイで構成すれば、様々な種類の電子時計に容易に対応できる利点がある。
初期化信号出力部90は、りゅうず8等の操作部材の操作に応じて初期化信号を出力するものに限定されず、例えば、一次電池の交換作業に応じて初期化信号を出力してもよい。
また、発電装置81として、りゅうず8を回すことで発電する装置が組み込まれている場合には、初期化信号出力部90は、りゅうず8による発電状態を検出すると初期化信号を出力するように構成してもよい。
【0039】
また、本発明の電子時計1は、指針を有するアナログ時計に限らず、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子泳動ディスプレイ等の各種の表示パネルを有する時計でもよい。
さらに、本発明の電子時計1は、腕時計に限らず、懐中時計、置時計、掛け時計などの他の時計にも適用できるし、時計以外の各種の電子機器にも適用できる。
さらに、本発明は、半導体装置(半導体素子、IC)10をパッケージ化して外販し、各電子機器の製造メーカーにおいて、本発明の半導体装置10を組み込んで使用してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…電子時計、8…操作部材であるりゅうず、10…半導体装置、11…定電圧発生回路、20…制御ロジック回路、30…発振回路、40…発振停止検出回路、50…定電流発生回路、60…起動回路、61…フリップフロップ、80…電源である二次電池、81…発電装置、90…初期化信号出力部。
図1
図2