特許第6610053号(P6610053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6610053タッチパネルセンサ、タッチパネル装置および表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6610053
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】タッチパネルセンサ、タッチパネル装置および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20191118BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   G06F3/041 422
   G06F3/041 490
   G06F3/044 122
【請求項の数】5
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-147051(P2015-147051)
(22)【出願日】2015年7月24日
(65)【公開番号】特開2017-27466(P2017-27466A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】阿 部 真
【審査官】 原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−517355(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/083410(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0160372(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0009427(US,A1)
【文献】 特開2015−106240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の開口領域を画成する導電性メッシュを含む検出電極を、備え、
前記導電性メッシュは、互いに直交する第1方向および第2方向のそれぞれに一定のピッチで配列された六角形形状の開口領域を画成するパターンにて配置された導電性細線からな
前記第1方向に配列された複数の開口領域の中心は前記第1方向に平行に並び、
前記第2方向に配列された複数の開口領域の中心は前記第2方向に平行に並び、
前記パターンは、2つの分岐点の間を延びて前記開口領域を画成する複数の接続要素を含み、
前記第1方向に隣接する2つの前記開口領域は、2つの前記分岐点の間を延びる1つの第1の接続要素を共有し、且つ、前記第2方向に隣接する2つの前記開口領域は、2つの前記分岐点の間を延びる1つの第2の接続要素を共有する、タッチパネルセンサ。
【請求項2】
前記六角形形状の開口領域の前記第1方向への配列ピッチと、前記六角形形状の開口領域の前記第2方向への配列ピッチとが、同一である、請求項1に記載のタッチパネルセンサ。
【請求項3】
複数の検出電極が設けられ、
複数の検出電極に含まれる導電性メッシュは、互いに直交する第1方向および第2方向のそれぞれに一定のピッチで配列された六角形形状を画成する基準パターンに断線箇所を設けてなるパターンで配置された導電性細線によって、形成されている、請求項1または2に記載のタッチパネルセンサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のタッチパネルセンサを備えたタッチパネル装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のタッチパネルセンサを備えた表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出電極を有したタッチパネルセンサ、タッチパネルセンサを含むタッチパネル装置、ならびに、タッチパネルセンサを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、入力手段として、タッチパネル装置が広く用いられている。タッチパネル装置は、多くの場合、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の画像表示機構が組み込まれた種々の装置(例えば、券売機、ATM、金銭登録機、キオスク端末、携帯電話、タブレット端末、ゲーム機等)に対する入力手段として、画像表示機構とともに用いられている。このような装置において、タッチパネルセンサは画像表示機構の表示面上に配置され、これにより、タッチパネル装置は表示装置に対する極めて直接的な入力を可能にする。タッチパネルセンサのうちの画像表示機構の表示領域に対面する領域は透明になっており、タッチパネルセンサのこの領域が、接触位置(接近位置)を検出し得るアクティブエリアを構成するようになる。
【0003】
タッチパネル装置は、タッチパネルセンサ上への接触位置(接近位置)を検出する原理に基づいて、種々の形式に区別され得る。昨今では、種々の利点から、投影型容量結合方式のタッチパネル装置が普及している。投影型の容量結合方式のタッチパネル装置は、アクティブエリア内に配置された一対の検出電極群を含んでいる。例えば特許文献1に開示されたタッチパネルセンサでは、アクティブエリア内に位置する検出電極が、金属材料からなる導線で形成されている。このタッチパネルセンサでは、金属材料の導電率が高いことから、面抵抗率(単位:Ω/□)を十分小さくすることができる。その一方で、導電性に優れた金属材料は、不透明である。したがって、各検出電極は、多数の開口領域を画成するメッシュパターンにて金属導線を配置してなる導電性メッシュとして構成され、アクティブエリアでのタッチパネルセンサの可視光透過性を確保している。ただし、このような導電性メッシュは、モアレや濃淡むらといった不具合を引き起こすことが知られている。そして、このような不具合を解消するため、種々の研究が行われてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5224203号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
モアレは、明暗の筋模様が視認されるようになる現象であり、導電性メッシュのパターンの規則性(周期性)と、導電性メッシュと重ねられる他の部材のパターンの規則性(例えば、画像表示機構の画素配列の規則性)との干渉によって生じるとされている。このため、一般的には、導電性メッシュのパターンを不規則化することが、モアレの不可視化に有効であるとされてきた。
【0006】
一方、濃淡むらは、導電性メッシュの透過光量や導電性メッシュからの外光反射量が面内で不均一となり、明るく観察される部分が局所的に存在するようになる現象である。濃淡むらの発生は、導電性メッシュのパターンの局所的な不均一性が原因であると考えられている。
【0007】
すなわち、モアレの不可視化には、導電性メッシュのパターンの不規則化が有効であり、濃淡むらの不可視化には、導電性メッシュのパターンの規則化が有効である。このため、従来の技術では、モアレおよび濃淡むらの両方に対処できる導電性メッシュは存在しなかった。本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、モアレおよび濃淡むらの両方を目立たなくさせる導電性メッシュを含んだタッチパネルセンサを提供することを目的とする。また、本発明は、このタッチパネルセンサを含むタッチパネル装置および表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるタッチパネルセンサは、
複数の開口領域を画成する導電性メッシュを含む検出電極を、備え、
前記導電性メッシュは、互いに直交する第1方向および第2方向のそれぞれに一定のピッチで配列された六角形形状の開口領域を画成するパターンにて配置された導電性細線からなる。
【0009】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、前記六角形形状の開口領域の前記第1方向への配列ピッチと、前記六角形形状の開口領域の前記第2方向への配列ピッチとが、同一であってもよい。
【0010】
本発明によるタッチパネルセンサにおいて、複数の検出電極が設けられ、複数の検出電極に含まれる導電性メッシュは、互いに直交する第1方向および第2方向のそれぞれに一定のピッチで配列された六角形形状を画成する基準パターンに断線箇所を設けてなるパターンで配置された導電性細線によって、形成されていてもよい。
【0011】
本発明によるタッチパネル装置は、上述のタッチパネルセンサを備える。
【0012】
本発明による表示装置は、上述のタッチパネルセンサを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、モアレおよび濃淡むらの両方を目立たなくさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であって、タッチパネル装置を画像表示装置とともに概略的に示す斜視図である。
図2図2は、タッチパネルセンサの縦断面図である。
図3図3は、タッチパネル装置のタッチパネルセンサを示す平面図である。
図4図4は、図2のタッチパネルセンサ上の第1電極を示す平面図である。
図5図5は、図2のタッチパネルセンサ上の第2電極を示す平面図である。
図6図6は、タッチパネルセンサの導電性メッシュを作製するための基準パターンを示す平面図である。
図7図7は、基準パターンの決定方法を説明するための図であって、基準パターンを決定するための参照パターンを示す平面図である。
図8図8は、基準パターンの決定方法を説明するための図であって、基準パターンを参照パターンとともに示す平面図である。
図9図9は、図8の基準パターンおよび参照パターンを拡大して示す拡大図である。
図10図10は、図3のタッチパネルセンサの導電性メッシュの作製方法を説明するための図である。
図11図11は、図10の作製方法により作製されたタッチパネルセンサの導電性メッシュを示す図である。
図12図12は、図11の導電性メッシュのうち第1電極および第1配線のみを示す拡大図である。
図13図13は、図11の導電性メッシュのうち第2電極および第2配線のみを示す拡大図である。
図14図14は、図11の導電性メッシュのうちダミー電極のみを示す拡大図である。
図15図15は、タッチパネルセンサの製造方法の一例を説明するための図である。
図16図16は、タッチパネルセンサの製造方法の一例を説明するための図である。
図17図17は、タッチパネルセンサの製造方法の一例を説明するための図である。
図18図18は、タッチパネルセンサの製造方法の一例を説明するための図である。
図19図19は、タッチパネルセンサの製造方法の一例を説明するための図である。
図20図20は、タッチパネルセンサの製造方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0016】
本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「透明基材シート」は板やフィルムと呼ばれ得るような部材をも含む概念であり、したがって、「透明基材シート」は、「透明基材板(透明基板)」や「透明基材フィルム」と呼ばれる部材と、呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
【0017】
また、「シート面(板面、フィルム面)」とは、対象となるシート状(板状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材(板状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
【0018】
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0019】
図1図19は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1はタッチパネル装置および画像表示装置を概略的に示す図であり、図2図1のタッチパネル装置のタッチパネルセンサの縦断面図であり、図3は、タッチパネルセンサの平面図である。
【0020】
図1に示されたタッチパネル装置20は、静電容量結合方式として構成され、タッチパネル装置20への外部導体(例えば、人間の指)の接触位置を検出可能に構成されている。なお、静電容量結合方式のタッチパネル装置20の検出感度が優れている場合には、外部導体がタッチパネル装置に接近しただけで当該外部導体がタッチパネル装置のどの領域に接近しているかを検出することができる。このような現象にともなって、ここで用いる「接触位置」とは、実際には接触していないが位置を検出され得る接近位置を含む概念とする。
【0021】
図1に示すように、タッチパネル装置20は、画像表示機構(例えば液晶表示装置)12とともに組み合わせられて用いられ、表示装置10を構成している。図示された画像表示機構12は、一例としてフラットパネルディスプレイ、より具体的には液晶表示装置として構成されている。画像表示機構12は、映像を表示することができる表示領域A1と、表示領域A1を取り囲むようにして表示領域A1の外側に配置された非表示領域(額縁領域とも呼ばれる)A2と、を含んでいる。表示制御部13は、表示されるべき画像に関する情報を処理し、画像情報に基づいて画像表示機構12を制御する。画像表示機構12は、表示制御部13の制御信号により、所定の映像を表示面12aに表示するようになる。すなわち、画像表示機構12は、文字や図等の情報を映像として出力する出力装置としての役割を担っている。
【0022】
次に、タッチパネル装置20について説明する。タッチパネル装置20は、タッチパネルセンサ30と、タッチパネルセンサ30に接続された検出制御部21と、を有している。タッチパネルセンサ30は、画像表示機構12の表示面12aに対面する位置に配置されている。上述したように、タッチパネル装置20は、容量結合方式のタッチパネル装置として構成されており、情報を入力する入力装置としての役割を担っている。
【0023】
タッチパネル装置20の検出制御部21は、タッチパネルセンサ30に接続され、タッチパネルセンサ30へ入力された情報を処理する。具体的には、検出制御部21は、タッチパネル装置20へ外部導体(例えば、人間の指)が接触している際に、タッチパネル装置20への外部導体の接触位置を特定し得るように構成された回路(検出回路)を含んでいる。また、検出制御部21は、画像表示機構12の表示制御部13と接続され、処理した入力情報を表示制御部13へ送信することもできる。この際、表示制御部13は、入力情報に基づいた映像情報を作成し、入力情報に対応した映像を画像表示機構12に表示させることができる。
【0024】
次に、タッチパネルセンサ30について、詳述する。図2および図3に示すように、タッチパネルセンサ30は、透明基材シート32と、透明基材シート32上に設けられた検出電極40と、を含んでいる。なお、実際のタッチパネル装置としては、タッチパネルセンサに、検出電極側から、接着材や粘着材を含む接合層、および、ガラス板や樹脂フィルムで形成される透明カバー等が積層され、タッチパネルセンサを含む積層構造体として用いられることが多い。
【0025】
また、図3に示すように、タッチパネルセンサ30は、画像表示機構12から出射する画像光が透過する表示領域A3と、表示領域A3に隣接する非表示領域A4と、を含んでいる。とりわけ図示された例では、タッチパネルセンサ30の表示領域A3は、画像表示機構12の表示領域A1に対応する領域を占めている。また、図示された例では、タッチパネルセンサ30の表示領域A3は、タッチパネルセンサ30においてタッチ位置を検出され得る領域、いわゆるアクティブエリアに対応している。一方、非表示領域A4は、矩形状の表示領域A3の周縁部を四方から周状に取り囲むように、言い換えると、額縁状に形成されている。この非表示領域A4は、画像表示機構12の非表示領域A2に対応する領域に形成されている。
【0026】
透明基材シート32は、検出電極40を支持する基材として機能する。表示領域Va1を介して画像表示機構12の画像を観察することができるよう、透明基材シート32は、透明または半透明となっている。透明基材シート32は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、84%以上であることがより好ましい。なお、透明基材シート32の可視光透過率は、分光光度計((株)島津製作所製「UV−3100PC」、JIS K 0115準拠品)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される。
【0027】
透明基材シート32は、例えばガラスや樹脂の板、シートまたはフィルムから構成され得る。樹脂フィルムとしては、光学部材の基材として使用されている種々の樹脂フィルムを好適に用いることができる。一例として、トリアセチルセルロースに代表されるセルロースエステル樹脂を透明基材シート32として用いることができる。他の例として、安価で安定性に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂を、透明基材シート32として用いることができる。ポリエステル樹脂フィルムは、吸湿性が低く、高温多湿の環境化においても変形等が生じ難いといった利点を有している。
【0028】
次に、透明基材シート32上に設けられた検出電極40について説明する。図2および図3に示されているように、透明基材シート32の一方の面側(片面側)に、検出電極40、ダミー電極48および端子部49が設けられている。検出電極40は、複数の第1電極41と、複数の第2電極42と、複数の第1配線45と、複数の第2配線46と、を有している。第1電極41、第2電極42およびダミー電極48は、透明基材シート32上の表示領域A3内に設けられている。また、第1配線45は、表示領域A3内の第1電極41から非表示領域A4内の端子部49にかけて延在している。同様に、第2配線46は、表示領域A3内の第2電極42から非表示領域A4内の端子部49にかけて延在している。なお、図3図5に示された例では、端子部49は、フレキシブルプリント基板(FPC)22を介して、検出制御部21に接続される。
【0029】
図4は、図2に示した第1電極41、第1配線45および端子部49を示したものである。図5は、図2に示した第2電極42、第2配線46および端子部49を示す図である。なお、図が見づらくなることを避けるために、図3図5では、第1電極41の各第1検出部43および第2電極42の各第2検出部44を単純な矩形で図示している。また、同様に、図が見づらくなることを避けるために、図3図5では、ダミー電極48をその外形のみで図示している。各検出部43,45およびダミー電極48の詳細な形状については、図10図14を参照して後述する。
【0030】
図3では、第1電極41と第2電極42とを区別して理解しやすくするため、第1電極41の各第1検出部43にハッチングを行っている。また、図4では、一部の第1電極41を、他の第1電極41と区別して理解しやすくするため、一部の第1電極41の各第1検出部43にハッチングを行っている。さらに、図5では、一部の第2電極42を、他の第2電極42と区別して理解しやすくするため、一部の第2電極42の各第2検出部44にハッチングを行っている。
【0031】
図3および図4に示された例では、透明基材シート32上の表示領域A3内に、複数の第1電極41が第1方向(X)に沿って配列されている。また、各第1電極41は、第1方向(X)と非平行な第2方向(Y)に沿って配列された複数の第1検出部43を有している。とりわけ図示された例では、第1方向(X)と第2方向(Y)とは直交している。
【0032】
まず、検出電極40の一部をなす第1電極41および第1配線45について説明する。各第1電極41に対応して第1配線45がそれぞれ設けられている。図3および図4に示された例では、各第1配線45は、第2方向(Y)に沿って配列された一群の第1検出部43を有する第1電極41に接続され、表示領域A3から非表示領域A4まで延びている。また、第1配線45は、それぞれの対応する第1電極41の複数の第1検出部43の列に沿うように第2方向(Y)に延びている。したがって、第1方向(X)に配列された複数の第1電極41に対応して、複数の第1配線45が第1方向(X)に配列され、各第1配線45は第2方向(Y)に延びている。また、第1配線45は、非表示領域A4内において、端子部49に接続されている。
【0033】
次に、検出電極40の一部をなす第2電極42および第2配線46について説明する。図3および図5に示された例では、透明基材シート32上の表示領域A3内に、複数の第2電極42が第2方向(Y)に沿って配列されている。各第2電極42は、第1方向(X)に沿って配列された複数の第2検出部44を有している。
【0034】
各第2電極42に対応して第2配線46がそれぞれ設けられている。図3および図5に示された例では、各第2配線46は、第2電極42の第1方向(X)に沿って配列された各第2検出部44に接続されている。1つの第2電極42に対応した第2配線46は、表示領域A3内の各第2検出部44から非表示領域A4までそれぞれ延びる複数の引出配線461と、非表示領域A4内で各引出配線461および端子部49を接続する接続配線462とを有している。
【0035】
図3および図5に示された例では、第2配線46の各引出配線461は、第2方向(Y)に沿って延びる第1部分461aを1つまたは複数含んでいる。さらに、第1部分461aを複数含む引出配線461は、隣接する第1部分461aどうしを接続し、第1方向(X)に沿って延びる第2部分461bを1つまたは複数含んでいる。図示された例では、第1部分461aを複数含む引出配線461は、第2方向(Y)に沿って第2方向(Y)の一方側に延びる第1部分461aと、この第1部分461aに接続され、第1方向(X)に沿って第1方向(X)の一方側に延びる第2部分461bと、が繰り返し配置されている。そして、各引出配線461は、互いから離間し、全体として第2方向(Y)に沿って延在している。一つの第2検出部44に対応して設けられた複数の引出配線461及び複数の接続配線462は、フレキシブルプリント基板(FPC)22において、互いに接続されている。
【0036】
この例においては、検出電極40をなす第1電極41および第2電極42を用いて、外部導体(例えば、人間の指)がタッチパネルセンサ30に接近した際に生じる静電容量の変化を検知する。すなわち、外部導体がタッチパネルセンサ30に接近すると、接近した箇所に対応する第1電極41と第2電極42との間の静電容量が変化する。したがって、静電容量が変化した第1電極41および第2電極42を特定することで、タッチパネルセンサ30における、外部導体が接近した位置を特定することができる。
【0037】
検出電極40には、静電容量の変化に起因する電流を検知可能なレベルで流すことができる程度の導電性が求められる。このような検出電極40を構成するための材料として、優れた導電性を有する金属材料、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、および、これらの合金の一以上を用いることができる。
【0038】
一方、これらの金属材料は、可視光に対して遮光性を有している。そこで、検出電極40は、導電性細線51が多数の開口領域52を画成するメッシュパターンにて配置されている導電性メッシュ50を含んでいる。導電性メッシュ50は、互いに直交する第1方向(X)および第2方向(Y)のそれぞれに一定のピッチで配列された六角形形状の開口領域52を画成するパターンにて配置された導電性細線51を有している。
【0039】
複数の検出電極40をなすメッシュ状導電体が、表示領域A3に広がる基準パターンに断線箇所53を設けてなるパターンで設けられた導電性細線51によって、形成されている。断線箇所53は、各検出電極40の輪郭に対応して設けられ、断線箇所53によってその他の部分から区画されたメッシュ状導電体の一部分が、各検出電極40の導電性メッシュ50を構成している。ここで、各導電性メッシュ50は、多数の開口領域52を画成している。そして、導電性メッシュ50は、2つの分岐点54の間を延びて開口領域52を画成する多数の接続要素55を含んでいる。すなわち、分岐点54は、3つ以上の接続要素55の一端が合流している点である。
【0040】
ところで、タッチパネルセンサと重ねて配置される画像表示機構の表示領域には、画像を形成するための画素が規則的に配列されている。一般的には、画像表示機構の設置状態における水平方向および水平方向に直交する方向(例えば鉛直方向)の両方に、一定のピッチで画素が配列されている。この画素配列を有する画像表示機構に、例えば、水平方向に沿って延びる接続要素および水平方向に直交する方向に沿って延びる接続要素で開口領域が画成された規則的な格子配列状の導電性メッシュを有したタッチパネルセンサが積層されると、画素の規則的(周期的)パターンと導電性メッシュの接続要素の規則的配列パターンとに起因した縞状の模様、すなわちモアレが視認される可能性がある。
【0041】
一般的に、導電性メッシュのパターンを不規則化することが、モアレの不可視化に有効であると考えられてきた。しかしながら、本件発明者らが検討を行ったところ、導電性メッシュの接続要素の配列の規則性を大きく崩すことによって、すなわち、接続要素を不規則的に配列することによってモアレを目立たなくすることはできるが、その一方で、接続要素の密度のバラツキに起因した濃淡むらが視認されてしまうことが知見された。また従来、モアレまたは濃淡むらの不可視化対策が種々研究されてきたが、モアレおよび濃淡むらの双方を効果的に目立たなくさせるには至っていなかった。
【0042】
一方、本件発明者らは、開口領域を画成する接続要素の配列に着目して、鋭意研究を重ねた。その結果として、本件発明者らは、接続要素の配列の不規則化に制約を課すことにより、モアレを極めて効果的に目立たなくさせること、および、濃淡むらを極めて効果的に目立たなくさせること、を両立させることが可能となることを知見した。このような作用効果は、モアレの不可視化として単にパターンの不規則化を実施し、その一方で、濃淡むらの不可視化として単にパターンの規則化を実施し、結果として、モアレおよび濃淡むらの双方を不可視化することができていなかった従来の技術水準からして、予測される範囲を超えた顕著な効果であると言える。
【0043】
図6に導電性メッシュ50を作製するための基準パターン60を示す。図示された例では、基準パターン60は、第1方向(X)に一定のピッチPで配列され且つ第2方向(Y)に一定のピッチPで配列された六角形形状の開口領域62を画成するパターンを有している。また、第1方向(X)と第2方向(Y)とは、互いに直交している。さらに、図示された例では、六角形形状の開口領域62の第1方向(X)への配列ピッチPと、六角形形状の開口領域52の第2方向(Y)への配列ピッチPとが、同一となっている。基準パターン60は、2つの分岐点64の間を延びて六角形形状の開口領域62を画成する多数の接続要素65を含んでいる。
【0044】
図6に示された例では、基準パターン60の六角形形状の複数の開口領域62は、それぞれ同一の形状および同一の面積を有している。すなわち、基準パターン60は、第1方向(X)に一定のピッチPで配列され且つ第2方向(Y)に一定のピッチPで配列された、同一の形状および同一の面積を有する六角形形状の開口領域62を画成するパターンを有している。したがって、基準パターン60は、六角形形状の開口領域62が、第1方向(X)および第2方向(Y)に規則的に配列されてなる、言い換えると第1方向(X)および第2方向(Y)に周期性を有して配列されてなる、パターンを有している。
【0045】
図6に示された例では、基準パターン60の第1方向(X)に隣接する2つの開口領域621,622は、2つの分岐点(641,642)および2つの分岐点(641,642)の間を延びる1つの接続要素651を共有している。また、第2方向(Y)に隣接する2つの開口領域(621,623)は、2つの分岐点(643,644)および2つの分岐点(643,644)の間を延びる1つの接続要素652を共有している。とりわけ、図示された例では、基準パターン60の第1方向(X)に隣接する2つの開口領域621,622は、2つの分岐点(641,642)および2つの分岐点(641,642)の間を延びる1つの接続要素651を共有し、且つ、第2方向(Y)に隣接する2つの開口領域(621,623)は、2つの分岐点(643,644)および2つの分岐点(643,644)の間を延びる1つの接続要素652を共有している。
【0046】
また、図6に示された例では、基準パターン60の六角形形状の複数の開口領域62は、それぞれ、3組の対辺がそれぞれ平行である、いわゆる平行六辺形をなしている。とりわけ図示された例では、六角形形状の複数の開口領域62は、それぞれ、3組の対辺がそれぞれ等しい長さを有する平行六辺形をなしている。
【0047】
さらに、図6に示された例では、基準パターン60の六角形形状の複数の開口領域62は、それぞれ、すべての内角の大きさが180°未満となっている。すなわち、基準パターン60の開口領域62は、いわゆる凸多角形(凸六角形)形状をなしている。とりわけ図示された例では、開口領域62は、それぞれ、すべての内角の大きさが90°より大きく180°未満となっている。
【0048】
次に、以上に説明した基準パターン60の決定方法の一例について説明する。以下に説明する方法では、まず2つの交点74の間を延びて開口領域72を画成する複数の線分75から形成された参照メッシュパターン70を決定し、次に参照メッシュパターン70の交点74に基づいて基準パターン60の分岐点64の位置を決定し、その後、決定された基準パターン60の分岐点64および参照メッシュパターン70の線分75に基づき、基準パターン60の接続要素65の位置を決定する。図7は、参照パターン70を示す図であり、図8は、基準パターン60と参照パターン70とを重ねて示す図である。
【0049】
図7および図8に示された例では、参照パターン70は、2つの交点74の間を延びて開口領域72を画成する複数の線分75から形成されている。この参照パターン70において、一定形状の開口領域72が、第1方向(X)および第2方向(Y)に規則的に配列されている。とりわけ図示された例では、第1方向(X)と第2方向(Y)とは互いに直交している。
【0050】
図7および図8に示すように、図示された参照パターン70では、一定の四角形形状の開口領域72が、隙間なく敷き詰められたパターンとなっている。開口領域72は、互いに直交する第1方向(X)および第2方向(Y)にそれぞれ一定ピッチで配列されている。とりわけ、図示された参照パターン70は、第2方向(Y)に直線状に延び且つ第1方向(X)に一定ピッチPで配列された複数の第1の直線70a群と、第1方向(X)に直線状に延び且つ第2方向(Y)に一定ピッチPで配列された第2の直線70b群と、によって画成されている。とりわけ図示された例では、第1の直線70a群の配列ピッチPと第2の直線70b群の配列ピッチPとは、同一となっている。結果として、参照パターン70に含まれる開口領域72は、すべて同一の四角形形状、とりわけ正方形形状に形成されている。
【0051】
次に、参照パターン70の交点74および線分75に基づいて、基準パターン60の分岐点64の位置を決定する。具体的には、参照パターン70の四角形形状の開口領域721を画成する複数の線分75のうち、第1方向(X)に延び、交点741および交点742を結ぶ線分751について、基準パターン60の2つの分岐点641,642の位置を決定する。
【0052】
図9は、基準パターン60の各分岐点64および各接続要素65の位置の決定方法を説明するための図である。まず、線分751に対して第2方向(Y)における一側となる交点741の近傍領域A1に分岐点641を配置する。ここで、領域A1は、線分751に対する第2方向(Y)一側のうち、交点741と交点742の中点M1よりも交点741側、且つ、交点741と、交点741に第2方向(Y)における一側から隣接する交点743と、の中点M2よりも交点741側、の領域を指す。言い換えると、領域A1は、四角形形状の開口領域721の重心G1を通り、第1方向(X)に延びる直線L1と、開口領域721の重心G1を通り、第2方向(Y)に延びる直線L2と、で分割された開口領域721の4つの領域のうち、交点741を含む領域を指す。
【0053】
次に、線分751に対して第2方向(Y)における他側となる交点742の近傍領域A2に分岐点642を配置する。ここで、領域A2は、線分751に対する第2方向(Y)他側のうち、交点741と交点742の中点M1よりも交点742側、且つ、交点742と、交点742に第2方向(Y)における他側から隣接する交点744と、の中点M3よりも交点742側、の領域を指す。言い換えると、領域A2は、四角形形状の開口領域722の重心G2を通り、第1方向(X)に延びる直線L3と、開口領域722の重心G2を通り、第2方向(Y)に延びる直線L4と、で分割された開口領域722の4つの領域のうち、交点742を含む領域を指す。以上の手順をすべての線分75について行い、すべての分岐点64の位置を決定する。
【0054】
次に、参照パターン70の各開口領域72に対応して、基準パターン60の六角形形状の各開口領域62が形成されるように、2つの分岐点64の間を延びる複数の接続要素65を配置する。具体的には、分岐点641−642−643−644−645−646−641を順に結ぶように複数の接続要素65を配置する。以上の手順をすべての開口領域72について行い、基準パターン60の開口領域62を画成するすべての接続要素65の位置を決定する。
【0055】
図8および図9に示された例では、基準パターン60の開口領域62の第1方向(X)への配列ピッチPと、参照パターン70の第1の直線70aの第1方向(X)への配列ピッチPとは、同一となっている。また、基準パターン60の開口領域62の第2方向(Y)への配列ピッチPと、参照パターン70の第2の直線70bの第2方向(Y)への配列ピッチPとは、同一となっている。とりわけ図示された例では、基準パターン60の開口領域62の第1方向(X)への配列ピッチPと、基準パターン60の開口領域62の第2方向(Y)への配列ピッチPと、参照パターン70の第1の直線70aの第1方向(X)への配列ピッチPと、参照パターン70の第2の直線70bの第2方向(Y)への配列ピッチPとは、すべて同一となっている。
【0056】
導電性メッシュ50のパターンは、以上のようにして決定された基準パターン60を断線箇所53にて断線していくことによって区画された複数のメッシュ状のパターンとなっているまた、導電性メッシュ50は、2つの分岐点54の間を延びて開口領域52を画成する多数の接続要素55を含んでいる。
【0057】
図10図14を参照して、各検出電極40をなす導電性メッシュ50について説明する。図10は、図3に示したタッチパネルセンサ30の導電性メッシュ50の作製方法を説明するための図である。図11は、図10の作製方法により作製されたタッチパネルセンサ30の導電性メッシュ50を示す図である。図12は、図11に示した導電性メッシュ50のうち第1電極41を示したものである。図13は、図11に示した導電性メッシュ50のうち第2電極42を示す図である。図14は、図11に示した導電性メッシュ50のうちダミー電極48を示す図である。
【0058】
図11では、第1電極41を、第2電極42およびダミー電極48と区別して理解しやすくするため、第2電極42およびダミー電極48よりも太い線で図示している。また、図13では、一部の第2電極42を、他の第2電極42と区別して理解しやすくするため、他の第2電極42よりも太い線で図示している。これらはいずれも図の理解を助けるためのものであり、パターンの実際の太さの大小を反映したものではない。
【0059】
図10に示すように、基準パターン60を有するメッシュ状導電体において、検出電極40となるべき領域の輪郭68に沿って、断線箇所53を設ける。そして、この輪郭68をなす複数の断線箇所53で囲まれた領域が、それぞれ各検出電極40となる。また、検出電極40となる部分以外の領域に、ダミー電極48が形成される。言い換えると、検出電極40に、輪郭68をなす複数の断線箇所53を介して隣り合うようにして、ダミー電極48が形成される。
【0060】
検出電極40の一部をなす第1電極41について説明する。図3および図4に示された例では、透明基材シート32上の表示領域A3内に、複数の第1電極41が第1方向(X)に沿って配列されている。各第1電極41は、第1方向(X)と非平行な第2方向(Y)に沿って配列された複数の第1検出部43を有している。とりわけ図示された例では、第1方向(X)と第2方向(Y)とは直交している。
【0061】
図11および図12に示された例では、各第1検出部43は、第1配線45から延び出た第1幹要素43aと、第1幹要素43aから延び出た複数の第1枝要素43bと、第1枝要素43bから延び出た複数の第1小枝要素43cと、を有している。とりわけ、図示された例では、第1幹要素43aは、第1配線45から第1方向(X)に延び出し、第1枝要素43bは、第1幹要素43aから第2方向(Y)に延び出し、第1小枝要素43cは、第1枝要素43bから第1方向(X)に延び出している。また、第1幹要素43a、第1枝要素43b、第1小枝要素43cの延び出る方向は、この例に限られず、第1方向(X)や第2方向(Y)に対して傾斜した方向に延び出していてもよい。なお、本明細書では「配線」から延び出た要素を「幹要素」、「幹要素」から延び出た要素を「枝要素」、「枝要素」から延び出た要素を「小枝要素」と呼ぶ。すなわち、「幹要素」、「枝要素」および「小枝要素」の用語は、それぞれの要素の大小を示すものではない。したがって、「枝要素」が「幹要素」より大きくてもよいし、「小枝要素」が「幹要素」や「枝要素」より大きくてもよい。
【0062】
図11および図12に示された例では、各第1検出部43の各第1幹要素43aは、それぞれ同一の長さを有して第1配線45から第1方向(X)に沿って第1方向(X)の一方側に延びている。とりわけ図示された例では、すべての第1幹要素43aが、第1配線45に対して第1方向(X)の同じ側(一方側)に延びている。また、各第1検出部43の複数の第1幹要素43aは、それぞれ同一の間隔を有して第2方向(Y)に沿って配列されている。また、各第1幹要素43aから第2方向(Y)に沿って第2方向(Y)の一方側および他方側にそれぞれ複数の第1枝要素43bが伸びている。とりわけ図示された例では、第1枝要素43bは、それぞれ同一の間隔を有して第1方向(X)に沿って配列されている。
【0063】
図11および図12に示された例では、各第1検出部43の各第1枝要素43bから第1方向(X)に沿って第1方向(X)の一方側および他方側にそれぞれ複数の第1小枝要素43cが伸びている。とりわけ図示された例では、第1小枝要素43cは、それぞれ同一の間隔を有して第2方向(Y)に沿って配列されている。
【0064】
各第1電極41に対応して第1配線45がそれぞれ設けられている。図3および図4に示された例では、各第1配線45は、第2方向(Y)に沿って配列された一群の第1検出部43を有する第1電極41に接続され、表示領域A3から非表示領域A4まで延びている。また、第1配線45は、それぞれの対応する第1電極41の複数の第1検出部43の列に沿うように第2方向(Y)に延びている。したがって、第1方向(X)に配列された複数の第1電極41に対応して、複数の第1配線45が第1方向(X)に配列され、各第1配線45は第2方向(Y)に延びている。また、第1配線45は、非表示領域A4内において、端子部49に接続されている。
【0065】
次に、導電性メッシュ50の一部をなす第2電極42について説明する。図3および図5に示された例では、透明基材シート32上の表示領域A3内に、複数の第2電極42が第2方向(Y)に沿って配列されている。各第2電極42は、第1方向(X)に沿って配列された複数の第2検出部44を有している。
【0066】
図11および図13に示された例では、各第2検出部44は、第2配線46から延び出た第2幹要素44aと、第2幹要素44aから延び出た複数の第2枝要素44bと、第2枝要素44bから延び出た複数の第2小枝要素44cと、を有している。とりわけ、図示された例では、第2幹要素44aは、第2配線46から第1方向(X)に延び出し、第2枝要素44bは、第2幹要素44aから第2方向(Y)に延び出し、第2小枝要素44cは、第2枝要素44bから第1方向(X)に延び出している。なお、第2幹要素44a、第2枝要素44b、第2小枝要素44cの延び出る方向は、この例に限られず、第1方向(X)や第2方向(Y)に対して傾斜した方向に延び出していてもよい。
【0067】
図11および図13に示された例では、各第2検出部44の各第2幹要素44aは、それぞれ同一の長さを有して、第2配線46から第1方向(X)に沿って延びている。上述のように、各第1検出部43の各第1幹要素43aは、第1配線45から第1方向(X)に沿って第1方向(X)の一方側に延びている。一方、各第2検出部44の各第2幹要素44aは、第2配線46から第1方向(X)に沿って第1方向(X)の一方側とは反対の他方側に延びている。とりわけ図示された例では、すべての第2幹要素44aが、第2配線46に対して第1方向(X)の同じ側(他方側)に延びている。また、各第2検出部44の複数の第2幹要素44aは、それぞれ同一の間隔を有して第1方向(X)に沿って配列されている。また、各第2幹要素44aから第2方向(Y)に沿って第2方向(Y)の一方側および他方側にそれぞれ複数の第2枝要素44bが伸びている。とりわけ図示された例では、第2枝要素44bは、それぞれ同一の間隔を有して第1方向(X)に沿って配列されている。
【0068】
図11および図13に示された例では、各第2検出部44の各第2枝要素44bから第1方向(X)に沿って第1方向(X)の一方側および他方側にそれぞれ複数の第2小枝要素44cが伸びている。とりわけ図示された例では、第2小枝要素44cは、それぞれ同一の間隔を有して第2方向(Y)に沿って配列されている。
【0069】
各第2電極42に対応して第2配線46がそれぞれ設けられている。図3および図5に示された例では、各第2配線46は、第2電極42の第1方向(X)に沿って配列された各第2検出部44に接続されている。1つの第2電極42に対応した第2配線46は、表示領域A3内の各第2検出部44から非表示領域A4まで延びる複数の引出配線461と、非表示領域A4内で各引出配線461および端子部49を接続する接続配線462とを有している。
【0070】
図3および図5に示された例では、第2配線46の各引出配線461は、第2方向(Y)に沿って延びる第1部分461aを1つまたは複数含んでいる。さらに、第1部分461aを複数含む引出配線461は、隣接する第1部分461aどうしを接続し、第1方向(X)に沿って延びる第2部分461bを1つまたは複数含んでいる。図示された例では、第1部分461aを複数含む引出配線461は、第2方向(Y)に沿って第2方向(Y)の一方側に延びる第1部分461aと、この第1部分461aに接続され、第1方向(X)に沿って第1方向(X)の一方側に延びる第2部分461bと、が繰り返し配置されている。そして、各引出配線461は、互いから離間し、全体として第2方向(Y)に沿って延在している。
【0071】
図11に示された例では、第1検出部43の第1幹要素43aおよび第2検出部の第2幹要素44aは、第2方向(Y)に交互に配列されている。また、第1検出部43の第1枝要素43bおよび第2検出部の第2枝要素44bは、第1方向(X)に交互に配列されている。
【0072】
各第1電極41に接続される各第1配線45は、それぞれ複数の引出導線45aを含み、各第2電極42に接続される各第2配線46は、それぞれ複数の引出導線46aを含む。図11図13に示した例では、各第1配線45は、それぞれ2本の引出導線45aを含み、各第2配線46は、それぞれ2本の引出導線46aを含んでいる。また、複数の引出導線45aは、少なくとも表示領域A3内において、それぞれ互いから離間しており、複数の引出導線46aは、少なくとも表示領域A3内において、それぞれ互いから離間している。すなわち、お互いに交差または接触しないように配置されている。
【0073】
各第1配線45は、少なくとも表示領域A3内において、複数の引出導線45aのうちの少なくとも2つを連結する少なくとも1つの連結導線45bをさらに含み、各第2配線46は、少なくとも表示領域A3内において、複数の引出導線46aのうちの少なくとも2つを連結する少なくとも1つの連結導線46bをさらに含んでいる。とりわけ図11図13に示した例では、各第1配線45には、2本の引出導線45aを連結する多数の連結導線45bが設けられ、各第2配線46には、2本の引出導線46aを連結する多数の連結導線46bが設けられている。また、複数の連結導線45bは、それぞれ互いから離間し、複数の連結導線46bは、それぞれ互いから離間している。すなわち、お互いに交差または接触しないように配置されている。
【0074】
なお、配線45,46における、非表示領域A4内に配置されている部分は、必ずしも複数の引出導線45a,46aを含まなくてもよい。非表示領域A4内では配線45,46の不可視化を図る必要がないことから、引出導線45a,46aよりも幅太のベタ金属パターンで配線45,46を形成してもよい。ベタ金属パターンの利用は、抵抗値の低減に有効である。
【0075】
また、各第1幹要素43aは、それぞれ複数の幹導線43a1を含み、各第2幹要素44aは、それぞれ複数の幹導線44a1を含む。図11図13に示した例では、各第1幹要素43aは、それぞれ2本の幹導線43a1を含み、各第2幹要素44aは、それぞれ2本の幹導線44a1を含んでいる。また、複数の幹導線43a1は、それぞれ互いから離間しており、複数の幹導線44a1は、それぞれ互いから離間している。すなわち、お互いに交差または接触しないように配置されている。
【0076】
各第1幹要素43aは、複数の幹導線43a1のうちの少なくとも2つを連結する少なくとも1つの連結導線43a2をさらに含み、各第2幹要素44aは、複数の幹導線44a1のうちの少なくとも2つを連結する少なくとも1つの連結導線44a2をさらに含んでいる。とりわけ図11図13に示した例では、各第1幹要素43aには、2本の幹導線43a1を連結する多数の連結導線43a2が設けられ、各第2幹要素44aには、2本の幹導線44a1を連結する多数の連結導線44a2が設けられている。また、複数の連結導線43a2は、それぞれ互いから離間し、複数の連結導線44a2は、それぞれ互いから離間している。すなわち、お互いに交差または接触しないように配置されている。
【0077】
このような例によれば、配線(45,46)および幹要素(43a,44a)が、それぞれ引出導線(45a,46a)または幹導線(43a1,44a1)を複数備えていることにより、複数の引出導線または幹導線の一部に断線等が起こったとしても、他の引出導線または幹導線により導通が確保される。さらに、複数の引出導線または幹導線を連結する連結導線(45b,46b,43a2,44a2)を備えていることにより、複数の引出導線または幹導線に断線等が起こっても、連結導線を経由して、引出導線または幹導線の断線等の箇所を迂回するようにして、導通を確保することができる。したがって、引出導線または幹導線の断線等により検出電極が機能しなくなる事態を回避することができ、これにより検出電極が配列されたタッチパネルセンサ30に、検出感度および検出精度の安定性を付与することができる。
【0078】
次に、ダミー電極48について説明する。図3に示された例では、透明基材シート32上の表示領域A3内に、複数のダミー電極48が第1方向(X)に沿って配列されている。図10および図11に示されているように、ダミー電極48は、基準パターン60に、ダミー電極48が形成される領域の輪郭68に沿って、断線箇所53を設けることによって形成される。
【0079】
次に、導電性メッシュ50の断面形状について説明する。図2は、厚さ方向に沿った断面において、タッチパネルセンサ30が示されている。ここで厚さ方向とは、シート状(フィルム状、板状、パネル状)からなるタッチパネルセンサ30のシート面(フィルム面、板面、パネル面)への法線方向に沿った断面のことを指す。ここで、シート面(フィルム面、板面、パネル面)とは、対象となるシート状(フィルム状、板状、パネル状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指している。そして、本実施の形態においては、透明基材シート32が一対の主面を有するシート状の形状を有している。したがって、本実施の形態では、厚さ方向に沿った断面とは、透明基材シート32の面への法線方向に沿った断面と一致する。
【0080】
図2に示すように、透明基材シート32上に、導電性メッシュ50が形成されている。導電性メッシュ50は、透明基材シート32上に設けられた導電性金属層80と、導電性金属層80上に設けられた暗色層81とを含んでいる。言い換えると、暗色層81は、導電性メッシュ50を構成する接続要素55の長手方向に直交する断面において導電性金属層80を上側、すなわち透明基材シート32とは反対の側から覆っている。
【0081】
ここで導電性金属層80は、高導電率を有した金属材料を用いて形成された層であり、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、および、これらの合金の一以上からなる層である。なお、導電性金属層80は、単層である必要はなく、異なる材料または同一の材料からなる複数の層として構成されていてもよい。
【0082】
金属材料からなる導電性金属層80は、優れた導電率を有する反面、比較的高い反射率を呈する。そして、タッチパネルセンサ30の導電性メッシュ50をなす導電性金属層80によって外光が反射されると、タッチパネル装置20の表示領域A3を介して観察される画像表示機構12の画像コントラストが低下してしまう。そこで、暗色層81が、導電性金属層80の観察者側に配置されている。この暗色層81によって、画像のコントラストを向上させ、画像表示機構12によって表示される画像の視認性を改善することができる。すなわち、暗色層81は、黒色等の暗色の層であり、隣接する導電性金属層80よりも低反射率の層である。なお、暗色層81は、導電性金属層80の上面だけでなく、導電性金属層80の両側面にも形成することができる。この場合、傾斜した方向からの外光の反射も効果的に防止できる。
【0083】
暗色層81としては、種々の既知の層を用いることができる。導電性金属層80をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、導電性金属層80をなしていた一部分から、金属酸化物や金属硫化物からなる暗色層81を形成してもよい。また、暗色材料の塗膜や、ニッケルやクロム等のめっき層等のように、導電性金属層80上に暗色層81を設けるようにしてもよい。また、ここで用いる暗色層81とは、暗色化(黒化)された層のみでなく、粗化された層も含む。なお、第1配線45および第2配線46における、非表示領域A4内に配置されている部分には、必ずしも暗色層81を設けなくてもよい。
【0084】
このような構成からなる導電性メッシュ50において、接続要素55の幅(最大幅)W、すなわち透明基材シート32のシート面に沿った幅(最大幅)Wを1μm以上5μm以下とし、且つ、高さ(厚さ)H、すなわち、透明基材シート32のシート面への法線方向に沿った高さ(厚さ)Hを0.1μm以上3μm以下とすることが好ましい。このような寸法の導電性メッシュ50によれば、その接続要素55が十分に細線化されているので、導電性メッシュ50をなす、第1電極41、第2電極42およびダミー電極48を極めて効果的に不可視化することができる。同時に、断面形状において十分な高さを有するようになり、すなわち、接続要素55の断面形状のアスペクト比(H/W)が十分に大きくなり、高い導電性を有するようになる。
【0085】
次に、図15〜20を参照して、タッチパネルセンサ30の製造方法の一例について説明する。図15〜20は、タッチパネルセンサ30の製造方法の一例を順に示す断面図である。
【0086】
まず、図15に示すように、透明基材シート32を準備する。透明基材シート32は、例えばガラスや樹脂の板、シートまたはフィルムである。
【0087】
次に、図16に示すように、透明基材シート32上に導電性金属層80を形成する。導電性金属層80は、上述したように、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、パラジウム、インジウム、および、これらの合金の一以上からなる層である。導電性金属層80は、公知の方法で形成され得る。例えば、銅箔等の金属箔を貼着する方法、電界めっきおよび無電界めっきを含むめっき法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、イオンプレーティング法、またはこれらの2以上を組み合わせた方法を採用することができる。
【0088】
次に、図17に示すように、導電性金属層80上に暗色層81を形成する。暗色層81は、例えば導電性金属層80をなす材料の一部分に暗色化処理(黒化処理)を施して、導電性金属層80をなしていた一部分から、金属酸化物や金属硫化物からなる暗色層81を形成することができる。また、暗色材料の塗膜や、ニッケルやクロム等のめっき層等のように、導電性金属層80上に暗色層81を設けるようにしてもよい。また、導電性金属層80の表面を粗化して暗色層81を設けるようにしてもよい。
【0089】
次に、図18に示すように、暗色層81にレジストパターン82を形成する。最終的に導電性メッシュ50をなす、第1電極41、第2電極42およびダミー電極48となる箇所、および端子部49となる箇所の上にのみ、レジストパターン82が形成されるようにする。このレジストパターン82は、公知のフォトリソグラフィー技術を用いたパターニングにより形成することができる。
【0090】
次に、図19に示すように、レジストパターン82をマスクとして、導電性金属層80をエッチングする。このエッチングにより、導電性金属層80がレジストパターン82と略同一のパターンにパターニングされる。エッチング方法は特に限られることはなく、公知の方法が採用できる。公知の方法としては、例えば、エッチング液を用いるウェットエッチングや、プラズマエッチングなどが挙げられる。
【0091】
最後に、図20に示すように、レジストパターン82を除去する。これにより、透明基材シート32上に、パターニングされた導電性金属層80によって形成された導電性メッシュ50および端子部49を有するタッチパネルセンサ30を得ることができる。
【0092】
なお、上記では導電性金属層80をエッチングしてパターニングする、いわゆるサブトラクト法により各金属導線を形成する例を示したが、この方法に限らず、アディティブ法やセミアディティブ法を用いて各金属導線を形成してもよい。
【0093】
以上のように、本実施の形態によるタッチパネルセンサ30は、複数の開口領域52を画成する導電性メッシュ50を含む検出電極40を、備え、導電性メッシュ50は、互いに直交する第1方向(X)および第2方向(Y)のそれぞれに一定のピッチで配列された六角形形状の開口領域52を画成するパターンにて配置された導電性細線51からなる。このようなタッチパネルセンサ30によれば、導電性メッシュ50は、開口領域52の配列方向に対して傾斜した接続要素55を含む導電性細線51からなるので、開口領域の配列方向に沿って配置された多数の接続要素を含む導電性メッシュのパターンの規則性(周期性)と、導電性メッシュと重ねられる他の部材のパターンの規則性(例えば、画像表示機構の画素配列の規則性)との干渉によって生じるモアレを、効果的に抑制することができる。また、導電性メッシュ50は、いわゆるボロノイメッシュのような全体として不均一なパターンではなく、全体として均一のパターンを有しているので、導電性メッシュのパターンの局所的な不均一性によって生じる濃淡むらを効果的に抑制することができる。
【0094】
また、本実施の形態によるタッチパネルセンサ30は、複数の検出電極40が設けられ、複数の検出電極40に含まれる導電性メッシュ50は、互いに直交する第1方向(X)および第2方向(Y)のそれぞれに一定のピッチで配列された六角形形状を画成する基準パターン60に断線箇所53を設けてなるパターンで配置された導電性細線51によって、形成されている。このようなタッチパネルセンサ30によれば、検出電極40をなす各電極41,42が、いずれも同様のパターンから形成されるので、検出電極40の存在が視認されてしまうことを効果的に防止することができる。また、複数の検出電極40およびダミー電極48に含まれる導電性メッシュ50が、基準パターン60に断線箇所53を設けてなるパターンで配置された導電性細線51によって形成されている場合、検出電極40をなす各電極41,42およびダミー電極48が、いずれも同様のパターンから形成されるので、検出電極40およびダミー電極48の存在が視認されてしまうことを効果的に防止することができる。
【0095】
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。
【0096】
上述した実施の形態では、各接続要素55の中間部、すなわち端部以外の部分に断線箇所53を形成した、言い換えると、1つの接続要素55を断線箇所53で分断して1つの接続要素55から2つの小枝要素43c,44cを形成したが、これに限られず、各接続要素55の端部に断線箇所53を形成し、1つの接続要素55から1つの小枝要素43cまたは44cが形成されるようにしてもよい。
【0097】
上述した実施の形態では、基準パターン60を有するメッシュ状導電体に、各検出電極40の輪郭に対応して、メッシュ状導電体をなす導電性細線51に、直線状に配列された断線箇所53を設けることにより、各検出電極40をなす導電性メッシュ50が形成されたが、これに限られず、隣接する3以上の断線箇所53の少なくとも1つが、他の2以上の断線箇所53を結ぶ仮想直線からずれた位置に配置されるようにしてもよい。すなわち、隣接する3以上の断線箇所53が一直線上に並ばないようにしてもよい。
【0098】
上述した実施の形態のタッチパネルセンサ30の製造方法の一例における、図19に示した導電性金属層60のパターニング工程において、エッチング液を用いるウェットエッチングにより導電性金属層60のパターニングを行う場合、断線箇所53が3以上直線状に並んだ導電性メッシュ50を作製しようとすると、この直線状に並ぶ複数の断線箇所53を通るエッチング液の流れが他の部分を通るエッチング液の流れに比べて速くなり、すなわち直線状に並んだ複数の断線箇所53を有する領域では、その他の領域に比べてエッチングが大きく進行し、断線箇所53周辺の導線が細くなる。これにより、直線状に並んだ複数の断線箇所53を有する領域とそれ以外の領域との間で濃淡むらを生じる問題がある。
【0099】
一方、隣接する3以上の断線箇所53が一直線上に並ばないように配置することにより、隣接する3以上の断線箇所53を通るエッチング液の流れの速さを抑え、隣接する複数の断線箇所53を有する領域におけるエッチングの進行を適切に制御して、断線箇所53周辺の接続要素54が細くなることを防止することができる。したがって、隣接する複数の断線箇所を有する領域とそれ以外の領域との間で生じる濃淡むらを効果的に抑制することができる。
【0100】
ダミー電極48の内部に、複数の断線箇所を設けるようにしてもよい。これにより、ダミー電極48の内部に断線箇所が設けられていない場合と比較して、ダミー電極48が全体として黒く(暗く)見えてしまうことを防止できる。したがって、隣接する、各検出電極40の間に多数の断線箇所53が形成された領域と、ダミー電極48との間で生じる濃淡むらを効果的に抑制することができる。
【0101】
上述した実施の形態では、配線(45,46)および幹要素(43a,44a)が、それぞれ引出導線(45a,46a)または幹導線(43a1,44a1)を2本備えたものを示したが、これに限られず、配線(45,46)および幹要素(43a,44a)が、それぞれ引出導線(45a,46a)または幹導線(43a1,44a1)を3本以上備えていてもよい。
【0102】
また、枝要素(43b,44b)や小枝要素(43c,44c)が、それぞれ複数の導線を備えるようにしてもよいし、この場合、さらに複数の導線を備える枝要素(43b,44b)や小枝要素(43c,44c)の当該複数の導線を連結する1以上の連結導線を備えるようにしてもよい。
【0103】
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0104】
10 表示装置
12 画像表示機構
13 表示制御部
20 タッチパネル装置
21 検出制御部
22 フレキシブルプリント基板
30 タッチパネルセンサ
32 透明基材シート
40 検出電極
41 第1電極
42 第2電極
43 第1検出部
43a 第1幹要素
43b 第1枝要素
43c 第1小枝要素
44 第2検出部
44a 第2幹要素
44b 第2枝要素
44c 第2小枝要素
45 第1配線
45a 引出導線
45b 連結導線
46 第2配線
46a 引出導線
46b 連結導線
48 ダミー電極
50 導電性メッシュ
51 導電性細線
52 開口領域
53 断線箇所
54 分岐点
55 接続要素
60 基準パターン
62 開口領域
64 分岐点
65 接続要素
68 輪郭
70 参照パターン
72 開口領域
74 交点
75 線分
80 導電性金属層
81 暗色層
82 レジストパターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20