特許第6610054号(P6610054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6610054
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】車載装置および運行データ管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20191118BHJP
   G07C 5/00 20060101ALN20191118BHJP
【FI】
   G08G1/00 D
   !G07C5/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-148472(P2015-148472)
(22)【出願日】2015年7月28日
(65)【公開番号】特開2017-27545(P2017-27545A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】武井 祐一
(72)【発明者】
【氏名】木村 圭介
【審査官】 岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−096054(JP,A)
【文献】 特開2004−227207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G07C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運行データを取得するデータ取得部と、
入力操作により入力された運転者の識別情報と、前記データ取得部により取得された前記運行データとの第一の紐付けを行って所定の記憶部に記憶させ、前記運転者の識別情報に基づいて特定された前記運転者の氏名情報を出力する制御を行った後で前記氏名情報の承認操作が行われた場合、前記運転者の識別情報と前記運行データの第二の紐付けを行って前記所定の記憶部に記憶させるデータ処理部と、
前記第二の紐付けが行われた前記運転者の識別情報と前記運行データを運行管理装置へ送信する制御を行う送信制御部と、を有
前記データ処理部は、
前記運転者の氏名情報を出力する制御を行った後で前記運転者の識別情報の修正操作が行われた場合、前記第一の紐付けが行われた前記運転者の識別情報を前記修正操作により入力された運転者の識別情報に更新する、
車載装置。
【請求項2】
前記送信制御部は、
前記運転者の識別情報の入力操作が行われた場合、前記運転者の識別情報を前記運行管理装置へ送信する制御を行い、
前記データ処理部は、
前記運行管理装置が前記運転者の識別情報に基づいて特定した前記運転者の氏名情報を前記運行管理装置から受信した場合、前記氏名情報を出力する制御を行う、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記送信制御部は、
始業の操作が行われてから終業の操作が行われる間の所定のタイミングで、前記氏名情報を出力する制御を行う、
請求項1または2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記送信制御部は、
終業の操作が行われた後の所定のタイミングで、前記氏名情報を出力する制御を行う、
請求項1または2に記載の車載装置。
【請求項5】
前記データ処理部は、
前記氏名情報の出力後の所定時間内に前記承認操作が行われなかった場合、前記運転者の識別情報の入力操作を再度行うように前記運転者に促す制御を行う、
請求項1から4のいずれか1項に記載の車載装置。
【請求項6】
車両の運行データを取得する車載機器と、前記車載機器と通信を行う運行管理装置とを備えた運行データ管理システムであって、
前記車載機器は、
運転者の識別情報の入力操作が行われた場合、入力された運転者の識別情報と、取得された前記運行データとの第一の紐付けを行って所定の記憶部に記憶させ、
前記運転者の識別情報を前記運行管理装置へ送信し、
前記運行管理装置が前記運転者の識別情報に基づいて特定した前記運転者の氏名情報を、前記運行管理装置から受信した場合、前記氏名情報を出力し、
前記氏名情報の出力後に前記運転者の識別情報の修正操作が行われた場合、前記第一の紐付けが行われた前記運転者の識別情報を前記修正操作により入力された運転者の識別情報に更新し、
前記氏名情報の出力後に前記氏名情報の承認操作が行われた場合、前記運転者の識別情報と前記運行データの第二の紐付けを行って前記所定の記憶部に記憶させ、
前記第二の紐付けが行われた前記運転者の識別情報と前記運行データを前記運行管理装置へ送信する、
運行データ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置および運行データ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運行データ(例えば、走行距離のデータ、走行速度のデータ等)を取得する車載装置が知られている。この車載装置では、運転者が、始業開始の際、自分の識別情報(例えば、複数の数字で構成されるID)を入力することが一般的である。入力された識別情報は、運行データに紐付けられ、その運行データは、例えば、車載装置と通信を行う運行管理装置に記憶される。
【0003】
特許文献1には、車載装置が、運転者により入力された運転者の識別情報を運行管理装置へ送信し、運行管理装置が識別情報を基に特定した運転者の氏名の情報を受信し、その氏名の情報を表示する技術が開示されている。これにより、運転者は、自分が入力した識別情報が正しいか否かを確認できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−96054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、運転者が誤った識別情報を入力し、氏名の表示前に車両の走行を開始した場合、誤って入力された識別情報が運行データと紐付けられてしまうという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、運転者の識別情報と運行データをより正確に紐付けることができる車載装置および運行データ管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車載装置は、車両の運行データを取得するデータ取得部と、入力操作により入力された運転者の識別情報と、前記データ取得部により取得された前記運行データとの第一の紐付けを行って所定の記憶部に記憶させ、前記運転者の識別情報に基づいて特定された前記運転者の氏名情報を出力する制御を行った後で前記氏名情報の承認操作が行われた場合、前記運転者の識別情報と前記運行データの第二の紐付けを行って前記所定の記憶部に記憶させるデータ処理部と、前記第二の紐付けが行われた前記運転者の識別情報と前記運行データを運行管理装置へ送信する制御を行う送信制御部と、を有前記データ処理部は、前記運転者の氏名情報を出力する制御を行った後で前記運転者の識別情報の修正操作が行われた場合、前記第一の紐付けが行われた前記運転者の識別情報を前記修正操作により入力された運転者の識別情報に更新する
【0008】
本発明の運行データ管理システムは、車両の運行データを取得する車載機器と、前記車載機器と通信を行う運行管理装置とを備えた運行データ管理システムであって、前記車載機器は、運転者の識別情報の入力操作が行われた場合、入力された運転者の識別情報と、取得された前記運行データとの第一の紐付けを行って所定の記憶部に記憶させ、前記運転者の識別情報を前記運行管理装置へ送信し、前記運行管理装置が前記運転者の識別情報に基づいて特定した前記運転者の氏名情報を、前記運行管理装置から受信した場合、前記氏名情報を出力し、前記氏名情報の出力後に前記運転者の識別情報の修正操作が行われた場合、前記第一の紐付けが行われた前記運転者の識別情報を前記修正操作により入力された運転者の識別情報に更新し、前記氏名情報の出力後に前記氏名情報の承認操作が行われた場合、前記運転者の識別情報と前記運行データの第二の紐付けを行って前記所定の記憶部に記憶させ、前記第二の紐付けが行われた前記運転者の識別情報と前記運行データを前記運行管理装置へ送信する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運転者の識別情報と運行データをより正確に紐付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る車載装置の構成の一例を示すブロック図
図2】本発明の一実施の形態に係る車載装置の動作の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
<車載装置の構成>
まず、本発明の一実施の形態に係る車載装置100の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る車載装置100の構成の一例を示すブロック図である。なお、図1に示す車載装置100と運行管理装置200を合わせて「運行データ管理システム」と呼ぶことができる。
【0013】
車載装置100は、例えば、ディーゼルエンジン(内燃機関)を搭載したトラックなどの大型車両(以下、車両という)に搭載され、車両に搭載された各種装置やセンサ(図示略)から運行データを取得する装置である。
【0014】
運行データは、例えば、車両の走行速度のデータ、車両の走行距離のデータ、車両の加速度のデータ、車両の地理的位置のデータ、運転操作のデータ、燃料噴射量のデータなどである。
【0015】
図1に示すように、車載装置100は、操作部10、通信部11、表示部12、記憶部13、制御部14を有する。
【0016】
操作部10は、物理ボタンを含む操作装置である。操作部10は、運転者の操作を受け付け、受け付けた操作の内容を制御部14に出力する。なお、操作部10は、物理ボタンの代わりにタッチパネルを含む装置でもよいし、または、物理ボタンとタッチパネルの両方を含む装置でもよい。
【0017】
例えば、操作部10は、始業の操作、終業の操作、イベント(例えば、休憩、積卸など)の開始の操作、イベントの終了の操作、運転者の識別情報(以下、識別情報という)の入力操作、表示部12に表示された運転者の氏名の情報(以下、氏名情報という)の承認操作などを受け付ける。これらの操作は、例えば、運転者が操作内容に対応するボタン(物理ボタンまたはタッチパネルに表示されたボタン)を押下する操作である。
【0018】
上記識別情報とは、予め各運転者に割り当てられた運転者を識別可能な情報(ID)であり、例えば、複数の数字で構成される。なお、運転者の識別情報は、数字の他に、アルファベット、記号などを含んでもよい。
【0019】
通信部11は、アンテナ、送信回路、受信回路などを含む通信装置である。通信部11は、制御部14の制御により、所定の無線ネットワーク(例えば、パケット通信網)を介して運行管理装置200と所定の情報の送受信を行う。
【0020】
例えば、通信部11は、操作部10が受け付けた識別情報、制御部14が取得した運行データなどを運行管理装置200へ送信する。また、例えば、通信部11は、運行管理装置200から送信された氏名情報などを受信する。
【0021】
ここで、車載装置100と通信を行う運行管理装置200について説明する。
【0022】
運行管理装置200は、例えば、事業所などに設置されるパーソナルコンピュータまたはサーバなどである。
【0023】
運行管理装置200は、車載装置100から識別情報を受信し、その識別情報を基に運転者の氏名を特定し、氏名情報を車載装置100へ送信する。この氏名情報は、車載装置100の表示部12(詳細は後述)に表示される。
【0024】
また、運行管理装置200は、車載装置100から受信した運行データを記憶する。この運行データは、例えば、運転日報の作成に用いられる。
【0025】
以上、運行管理装置200について説明した。以下、車載装置100の説明に戻る。
【0026】
表示部12(出力部の一例)は、ディスプレイなどの表示装置である。表示部12は、制御部14の制御により、所定の情報の表示を行う。
【0027】
例えば、表示部12は、通信部11が運行管理装置200から受信した氏名情報などを表示する。
【0028】
記憶部13は、メモリ(例えば、ROM、RAM)またはハードディスク装置などの記憶デバイスであり、所定の情報を記憶する。
【0029】
例えば、記憶部13は、操作部10が受け付けた識別情報、通信部11が受信した氏名情報、制御部14が取得した運行データなどを記憶する。
【0030】
制御部14は、プロセッサ(例えば、CPU)などの制御デバイスであり、車載装置100が行う各処理を制御する。
【0031】
例えば、制御部14は、所定の期間(例えば、操作部10が始業の操作を受け付けてから終業の操作を受け付けるまでの業務時間)において、車両に搭載された各種装置(図示略)からCAN(Controller Area Network)を介して運行データを取得する。そして、制御部14は、取得した運行データを記憶部13に記憶させる。なお、制御部14は、CANを介さずに、各種センサ(例えば、車速センサ等)から運行データを取得してもよい。
【0032】
また、例えば、制御部14は、操作部10が識別情報の入力操作を受け付けた場合、その識別情報を、記憶部13に記憶させる。そして、制御部14は、所定のタイミング(例えば、操作部10が始業の操作を受け付けたタイミング)で記憶部13から識別情報を読み出し、その識別情報を、運行管理装置200へ送信するように通信部11を制御する。
【0033】
また、例えば、制御部14は、通信部11が運行管理装置200から氏名情報を受信した場合、その氏名情報を記憶部13に記憶させる。そして、制御部14は、所定のタイミング(例えば、操作部10が終業の操作を受け付けたタイミング)で記憶部13から氏名情報を読み出し、その氏名情報を表示するように表示部12を制御する。
【0034】
また、例えば、制御部14は、操作部10が表示部12に表示された氏名情報の承認操作を受け付けた場合、記憶部13に記憶させた識別情報と運行データとを紐付ける。そして、制御部14は、所定のタイミングで、識別情報が紐付けられた運行データを記憶部13から読み出し、その運行データを運行管理装置200へ送信するように通信部11を制御する。
【0035】
また、例えば、制御部14は、操作部10が始業の操作、終業の操作、イベント(例えば、休憩、積卸)の開始の操作、または、イベントの終了の操作を受け付けた場合、それらの操作が行われた日時(例えば、年月日および時刻)を示す日時情報を記憶部13に記憶させる。
【0036】
上記日時情報は、例えば、始業の操作が行われた日時(以下、始業日時という)の情報、終業の操作が行われた日時(以下、終業日時という)の情報、イベントの開始の操作が行われた日時(以下、イベント開始時日時という)の情報、イベントの終了の操作が行われた日時(以下、イベント終了日時という)の情報などである。
【0037】
このように、制御部14は、主に、車両の運行データを取得するデータ取得部、各種情報(例えば、識別情報、氏名情報、日時情報等)および運行データについて所定の処理を行うデータ処理部、各種情報(例えば、識別情報、日時情報等)および運行データの運行管理装置200への送信を制御する送信制御部として機能する。
【0038】
なお、制御部14の動作は、上記に限定されない。上記以外の制御部14の動作については、図2を用いて後述する。
【0039】
<車載装置の動作>
まず、本発明の一実施の形態に係る車載装置100の動作について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の一実施の形態に係る車載装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0040】
まず、車載装置100の制御部14は、操作部10が識別情報の入力操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS1)。
【0041】
操作部10が識別情報の入力操作を受け付けていない場合(ステップS1:NO)、フローはステップS1へ戻る。
【0042】
一方、操作部10が識別情報の入力操作を受け付けた場合(ステップS1:YES)、制御部14は、識別情報を記憶部13に記憶させる。そして、フローはステップS2へ進む。
【0043】
次に、制御部14は、操作部10が始業の操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS2)。
【0044】
操作部10が始業の操作を受け付けていない場合(ステップS2:NO)、フローはステップS2へ戻る。
【0045】
一方、操作部10が始業の操作を受け付けた場合(ステップS2:YES)、制御部14は、始業日時の情報を記憶部13に記憶させる。そして、フローはステップS3へ進む。
【0046】
次に、制御部14は、記憶部13から識別情報を読み出し、その識別情報を運行管理装置200へ送信するように通信部11を制御する。これにより、通信部11は、識別情報を運行管理装置200へ送信する(ステップS3)。運行管理装置200は、車載装置100から受信した識別情報に基づいて運転者の氏名を特定し、特定した氏名を示す氏名情報を車載装置100へ送信する。
【0047】
また、制御部14は、運行データの取得を開始する(ステップS3)。そして、制御部14は、取得した運行データを記憶部13に記憶させる。このとき、制御部14は、記憶部13に記憶させた識別情報と運行データの仮の紐付け(仮登録)を行う。
【0048】
また、運行データの取得開始後、制御部14は、記憶部13に記憶させた始業日時の情報と識別情報とを紐付ける。
【0049】
また、運行データの取得開始後、制御部14は、操作部10がイベントの開始の操作を受け付けた場合、イベント開始日時の情報を、記憶部13に記憶させた識別情報に紐付けて記憶部13に記憶させる。
【0050】
また、運行データの取得開始後、制御部14は、操作部10がイベントの終了の操作を受け付けた場合、イベント終了日時の情報を、記憶部13に記憶させた識別情報に紐付けて記憶部13に記憶させる。
【0051】
次に、通信部11が運行管理装置200から氏名情報を受信すると、その氏名情報を記憶部13に記憶させる(ステップS4)。
【0052】
次に、制御部14は、操作部10が終業の操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS5)。
【0053】
操作部10が終業の操作を受け付けていない場合(ステップS5:NO)、フローはステップS5へ戻る。
【0054】
一方、操作部10が終業の操作を受け付けた場合(ステップS5:YES)、終業日時の情報を、記憶部13に記憶させた識別情報に紐付けて記憶部13に記憶させる。そして、フローはステップS6へ進む。
【0055】
次に、制御部14は、記憶部13から氏名情報を読み出し、その識別情報を表示するように表示部12を制御する。これにより、表示部12は、氏名情報を表示する(ステップS6)。
【0056】
ここで、運転者は、表示された氏名情報が自分の名前である場合、氏名情報の承認操作を行う。一方、表示された氏名情報が自分の名前ではない場合、再度、識別情報の入力操作(以下、修正操作という)を行うことになる。
【0057】
次に、制御部14は、操作部10が(例えば、所定時間内に)氏名情報の承認操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS7)。
【0058】
操作部10が氏名情報の承認操作を受け付けなかった場合(ステップS7:NO)、制御部14は、識別情報の修正操作を行うように運転者に催促する(ステップS8)。例えば、制御部14は、識別情報の修正操作を行うように催促する旨のメッセージを表示するように表示部12を制御する。これにより、表示部12は、上記メッセージを表示する。
【0059】
そして、操作部10が識別情報の修正操作を受け付けると、制御部14は、記憶部13に記憶させた識別情報を修正された識別情報に更新するとともに、修正後の識別情報を運行管理装置200へ送信するように通信部11を制御する。これにより、通信部11は、修正後の識別情報を運行管理装置200へ送信する(ステップS9)。運行管理装置200は、車載装置100から受信した識別情報に基づいて運転者の氏名を特定し、特定した氏名を示す氏名情報を車載装置100へ送信する。
【0060】
次に、通信部11が運行管理装置200から氏名情報を受信すると、その氏名情報を記憶部13に記憶させる(ステップS10)。そして、フローは、ステップS6へ戻る。
【0061】
操作部10が氏名情報の承認操作を受け付けた場合(ステップS7:YES)、制御部14は、記憶部13に記憶させた識別情報と運行データ(各種日時の情報を含む)の正式な紐付け(本登録)を行う(ステップS11)。
【0062】
次に、制御部14は、正式に紐付けた識別情報と運行データ(各種日時の情報を含む)を記憶部13から読み出し、読み出した識別情報と運行データを運行管理装置200へ送信するように通信部11を制御する。これにより、通信部11は、識別情報と運行データ(各種日時の情報を含む)を運行管理装置200へ送信する(ステップS12)。運行管理装置200は、車載装置100から受信した識別情報と運行データを記憶する。
【0063】
上述した車載装置100の各機能は、コンピュータプログラムにより実現され得る。例えば、CPUが、記憶装置(例えば、ROM、ハードディスク装置等)に記憶されたプログラムをRAMにコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAMから順次読み出して実行することにより、上述した各機能が実現される。
【0064】
<本実施の形態の効果>
以上のように、本実施の形態に係る車載装置100は、氏名情報の表示の後で氏名情報の承認操作が行われた場合に識別情報と運行データを正式に紐付けて記憶し、その識別情報と運行データを運行管理装置200へ送信する。
【0065】
これにより、本実施の形態に係る車載装置100は、運転者の識別情報と運行データをより正確に紐付けることができる。また、運行管理装置200は、運転者の識別情報と運行データが正確に紐付けられた状態で記憶(管理)することができる。よって、従来では、運行管理装置200において運転者の識別情報と運行データが間違って紐付けられた状態で記憶されてしまうことがあり、その場合、管理者が紐付けの修正を行う手間がかかったが、本実施の形態によれば、その手間を省くことができる。
【0066】
<本実施の形態の変形例>
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【0067】
例えば、上記実施の形態では、運転者が各種操作(例えば、始業の操作、終業の操作、イベントの開始の操作、イベントの終了の操作、運転者の識別情報の入力操作、運転者の氏名情報の承認操作など)を行う場合、操作内容に対応するボタンを押下する例を挙げたが、これに限定されない。例えば、運転者は、各種操作を行う場合、マイク(図示略)に対して操作内容に対応する発声を行ってもよい。マイクに入力された音声は、制御部14において認識され、操作内容が特定される。
【0068】
例えば、上記実施の形態では、氏名情報を表示部12に表示する例を挙げたが、氏名情報はスピーカ部(図示略。出力部の一例)から音声出力されてもよい。また、氏名情報は、表示部12に表示され、かつ、スピーカ部から音声出力されてもよい。
【0069】
また、例えば、上記実施の形態では、氏名情報の表示は、操作部10が終業の操作を受け付けた後に行われる例を挙げたが、氏名情報の表示は、始業の操作が受け付けられてから終業の操作の受け付けられる間に行われてもよい。その場合でも、制御部14は、操作部10が氏名情報の承認操作を受け付けたことを条件として、識別情報と運行データの正式な紐付けを行う。そして、例えば、操作部10が終業の操作を受け付けた後で、制御部14は、正式に紐付けた識別情報と運行データを運行管理装置200へ送信するように通信部11を制御する。
【0070】
また、例えば、上記実施の形態では、各種情報(例えば、識別情報、氏名情報、日時情報等)と運行データが車載装置100に内蔵された記憶部13に記憶される例を挙げたが、制御部14の制御により、車載装置100の外部に設けられた、車載装置100と通信可能な記憶装置に記憶されてもよい。この場合、制御部14は、その記憶装置から必要に応じて各種情報、運行データを読み出し、上述した各種制御を行う。
【0071】
<本発明のまとめ>
本発明の車載装置は、車両の運行データを取得するデータ取得部と、入力操作により入力された運転者の識別情報と、前記データ取得部により取得された前記運行データとの第一の紐付けを行って所定の記憶部に記憶させ、前記運転者の識別情報に基づいて特定された前記運転者の氏名情報を出力する制御を行った後で前記氏名情報の承認操作が行われた場合、前記運転者の識別情報と前記運行データの第二の紐付けを行って前記所定の記憶部に記憶させるデータ処理部と、前記第二の紐付けが行われた前記運転者の識別情報と前記運行データを運行管理装置へ送信する制御を行う送信制御部と、を有前記データ処理部は、前記運転者の氏名情報を出力する制御を行った後で前記運転者の識別情報の修正操作が行われた場合、前記第一の紐付けが行われた前記運転者の識別情報を前記修正操作により入力された運転者の識別情報に更新する
【0072】
なお、上記車載装置において、前記送信制御部は、前記運転者の識別情報の入力操作が行われた場合、前記運転者の識別情報を前記運行管理装置へ送信する制御を行い、前記データ処理部は、前記運行管理装置が前記運転者の識別情報に基づいて特定した前記運転者の氏名情報を前記運行管理装置から受信した場合、前記氏名情報を出力する制御を行ってもよい。
【0073】
また、上記車載装置において、前記送信制御部は、始業の操作が行われてから終業の操作が行われる間の所定のタイミングで、前記氏名情報を出力する制御を行ってもよい。
【0074】
また、上記車載装置において、前記送信制御部は、終業の操作が行われた後の所定のタイミングで、前記氏名情報を出力する制御を行ってもよい。
【0075】
また、上記車載装置において、前記データ処理部は、前記氏名情報の出力後の所定時間内に前記承認操作が行われなかった場合、前記運転者の識別情報の入力操作を再度行うように前記運転者に促す制御を行ってもよい。
【0076】
本発明の運行データ管理システムは、車両の運行データを取得する車載機器と、前記車載機器と通信を行う運行管理装置とを備えた運行データ管理システムであって、前記車載機器は、運転者の識別情報の入力操作が行われた場合、入力された運転者の識別情報と、取得された前記運行データとの第一の紐付けを行って所定の記憶部に記憶させ、前記運転者の識別情報を前記運行管理装置へ送信し、前記運行管理装置が前記運転者の識別情報に基づいて特定した前記運転者の氏名情報を、前記運行管理装置から受信した場合、前記氏名情報を出力し、前記氏名情報の出力後に前記運転者の識別情報の修正操作が行われた場合、前記第一の紐付けが行われた前記運転者の識別情報を前記修正操作により入力された運転者の識別情報に更新し、前記氏名情報の出力後に前記氏名情報の承認操作が行われた場合、前記運転者の識別情報と前記運行データの第二の紐付けを行って前記所定の記憶部に記憶させ、前記第二の紐付けが行われた前記運転者の識別情報と前記運行データを前記運行管理装置へ送信する。

【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の車載装置は、車両の運行データを取得する車載装置および運行データ管理システムとして有用である。
【符号の説明】
【0078】
10 操作部
11 通信部
12 表示部
13 記憶部
14 制御部
100 車載装置
200 運行管理装置
図1
図2