(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の需要家のなかに分散電源を備える需要家が存在する場合、ネットワークを介して該分散電源による電力供給を行わせる制御を行うことで、前記総電力需要を減少させる分散電源制御手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の電力需要誘導装置。
前記DR実施判定手段は、前記需要家グループの全需要家が前記デマンドレスポンス不実施とした場合の電力需要予測値の合計が、前記目標値を超えた場合に、デマンドレスポンスを実施すると判定することを特徴とする請求項1記載の電力需要誘導装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
尚、本説明では、一例として、主に電力価格型デマンドレスポンスを例にして説明するが、勿論、上記インセンティブ型デマンドレスポンスを用いても構わない。また、デマンドレスポンスを、DRと記す場合もあるものとする。
【0015】
本手法では、まず、任意の需要家グループに属する複数の需要家を、エネルギーマネジメント機能(EMS)の有無や、分散電源の有無によって分類する。
そして、任意の対象期間(例えば翌日や、翌日における所定の時間帯など)について、DRを実施すると判定した場合、DR実施を各需要家に通知するが、本手法では、EMS無しの需要家に対する通知タイミングと、EMS有りの需要家に対する通知タイミングとが、異なる。例えば一例としては、EMS無しの需要家に対しては事前に(例えば前日に)DR実施を通知して、当日(対象期間)における電力需要抑制を促す。通知の際に、対象時間帯の電気料金単価(通常より高額)も通知するようにしてもよい。
【0016】
これより、対象期間において電力需要が抑制されることが、ある程度は期待できるが、その一方で、実際に電力需要を抑制する行動を採るか否かは各需要家のユーザの自由である。このように、EMS無しの需要家に対しては、ある程度の電力需要抑制を期待することができるが、総電力需要が目標値近辺になる保証はない。尚、総電力需要は、上記需要家グループに属する複数の需要家の電力需要の合計である。
【0017】
一方で、上記EMS有りの需要家に対しては、例えば、上記対象期間中または対象期間の直前などに、DR実施を通知する。この通知を受信した各需要家のEMS機能により、自動的に、その需要家の負荷設備に係わる電力需要を抑制する制御を行う。EMS有りの需要家の場合には、この様に自動制御で電力需要を抑制できるので、DR実施通知タイミングが、事前ではなく直前であっても問題なく、且つ、確実に電力需要を抑制することができ、更に、電力需要変化量を精度よく制御可能となる。尚、直前に限らず対象期間中であっても、この様な自動的な電力需要抑制制御を、行うことができる。
【0018】
上述した自動制御も行われることで、上記総電力需要が目標値近辺となるようにすることが可能となる。
また、上記対象期間の直前に、その時点までの各需要家の負荷実績値(消費電力測定値)を、スマートメータ21から収集して、全体の総負荷実績値を求めることで、当該対象期間の直前までの負荷実績値等に基づいて、上記自動的な電力需要抑制制御を、行うようにしてもよい。例えば、上記対象期間の直前までの負荷実績値が、常に負荷予測値よりも大きければ、対象期間においても同様の傾向が続くことが予想される。これより、上記自動的な電力需要抑制制御において、電力需要変化量がより大きくなるように(負荷がより小さくなるように)制御すること等が考えられる。
【0019】
あるいは、上記対象期間の直前までの負荷実績値が、負荷予測値よりも非常に小さい場合には、上記EMS有りの需要家に対するDR実施の通知を、行わないようにしてもよい。このような場合には、EMS無しの需要家による電力需要抑制だけで、十分であると考えられるからである。
【0020】
尚、ここでは、太陽光発電等は除外して考え、火力発電等の発電量を制御可能な発電装置のみで構成するものとし、発電量は予定通りとなるものとするが、この例に限らない。
この場合には、上記対象期間の直前までの負荷実績値と、負荷予測値との差分(予測とのズレ量)に基づいて、上記自動的な電力需要抑制制御を、行わせるようにしてもよい。例えば、上記ズレ量を反映させる形で、EMS有りの需要家に対してDR実施(通知)するようにしてもよい。反映させる方法としては、例えば通知する電気料金単価に、反映させるようにしてもよい(実際の需要が予測より多いのであれば、電気料金単価を予定よりも高額にする等)。
【0021】
上記のようにすることで、精度よく電力需要をコントロールできるようにすることができる。
但し、EMS有りの需要家に対するDR実施を行っても、なお、電力需要が目標値よりも高い場合も起こり得る。一例としては、目標値=最大発電量の場合が考えられる。つまり、発電量を最大にしても、なお、電力需要の方が大きい(供給能力不足)となることが起こり得る。本手法では、この場合、更に、分散電源(ガスエンジン、燃料電池等)を有する需要家に発電を行わせる。これは、ネットワークを介して所定のコマンドを送信することで、自動的に発電制御が実現される(既存技術がある)。このように、電力需要を抑制するだけでは電力需要が目標値近辺にならない場合でも、分散電源(ガスエンジン、燃料電池等)を有する需要家を利用することで、電力需要が目標値近辺になるようにすることができる。
【0022】
また、事前に(前日などに)需要予測しても、当日の実際の需要は予測値からズレてくるのが普通である。ズレ量は、当日の電力需要値の計測結果に基づいて推測できる。例えば、現在が当日の11時である場合、当日の11時までの電力需要計測値(予測値とのズレ量)に基づいて、直後の時間帯(11時1分〜12時)における電力需要値(予測値とのズレ量)を推測することは、既存技術により実現できる。電力需要計測値(例えば1時間単位)は、各需要家のスマートメータから取得できる。尚、ここでは発電量は計画通りとなるものとするが、この例に限らない。例えば、太陽光発電等も含まれる場合には、当然、発電量が計画通りにならない場合があり得る。
【0023】
エネルギーマネジメント機能(EMS)は、例えばHEMS(ヘムス;Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)等の既存技術(製品)がある。よく知られているように、HEMS(ヘムス)は、家庭で使うエネルギーを節約するための管理システムであり、家電や電気設備と接続して、電気やガスなどの使用量をモニター画面に表示したり、家電機器を「自動制御」する機能を有する。この「自動制御」は、例えば、電気料金(単価)が安い時間帯に、洗濯機、食器洗い機等を自動運転する。また、電気料金が高い時間帯にも使用しなければならないエアコンなどは、設定温度を自動制御する。つまり、電気料金(単価)が高い時間帯には、例えば、洗濯機、食器洗い機等は運転しないようにし、エアコンの設定温度は高くすることが考えられる。
【0024】
例えば後述するステップS14の処理によって、後述するエネルギーマネジメントシステム10から後述するユーザ端末(EMS機能付き)24に対して、ネットワークを介してDR実施が通知され、これに伴って対象期間の電気料金単価(通常より高額)が通知されてきた場合には、ユーザ端末(EMS機能付き)24は上記EMS機能による制御を行うことになり、自動的に電力需要を低減することになる。
【0025】
また、HEMS(ヘムス)の機能としては、更に、太陽光発電装置の発電量の監視と発電効率化の為の制御、燃料電池の発電量の監視と発電効率化の為の制御、家庭用蓄電器(分散蓄電)の蓄電量の監視と充放電の制御等を行う機能も知られている。後述する分散電源25の制御の際には、この様なHEMS(ヘムス)の機能を利用するようにしてもよい。エネルギーマネジメントシステム10がユーザ端末(EMS機能付き)24に要求して、後述する分散電源25の制御を行わせることができる。
【0026】
但し、この例に限らない。上記分散電源25の制御を含むEMS機能実現の為には、例えばBEMS(ベムズ;ビル内のエネルギー監理システム)等の既存技術(製品)を利用するようにしてもよい。あるいは、フェムス(FEMS;Factory Energy Management System)を利用するようにしてもよい。
【0027】
図1は、本例の電力需要誘導装置を含む電力管理システム1の全体構成図である。
尚、図示のエネルギーマネジメントシステム10が、電力需要誘導装置の一例である。
図示の例の電力管理システム1は、エネルギーマネジメントシステム10と、各スマートメータ21A、21Bと、各ユーザ端末23、24と、がネットワーク2を介して通信可能に接続されて構成される。またネットワーク2には、気象情報提供装置3が通信可能に接続されている。
【0028】
また、図示の例では、任意の需要家グループに属する複数の需要家として、需要家A,Bを示すが、これは複数の需要家の一部のみを示してあり、他の需要家は省略していると見做しても構わない。
【0029】
図示の一例では、各需要家A、B(オフィス、工場、一般家庭等)は、両方とも、スマートメータ21、電力消費装置22(負荷設備;例えば各種家電製品など)を有する。そして、需要家Aはユーザ端末23を有し、需要家Bはユーザ端末24を有する。ユーザ端末23とユーザ端末24との違いは、ユーザ端末23はEMS機能を備えていないが、ユーザ端末24はEMS機能を備えている点である。これより、明確に区別して記載する為に、以下の説明では、ユーザ端末24は、ユーザ端末(EMS機能付き)24と記すものとする。尚、EMS機能は、エネルギーマネジメント機能の略である。
【0030】
また、図示の一例では、需要家Bは、更に分散電源25を備えている。分散電源25は、例えば小型の発電機等であり、一例としては一般家庭向けのガスエンジン発電や燃料電池であるが、この例に限らない。
【0031】
ここで、本例では、各需要家は、以下の3つのパターンの何れかの構成を有するものとする。
・パターンA;ユーザ端末23を備える。
・パターンB;ユーザ端末(EMS機能付き)24を備え、分散電源25は備えない。
・パターンC;ユーザ端末(EMS機能付き)24を備え、分散電源25も備える。
【0032】
よって、
図1には、パターンAとパターンCの需要家を示すが、パターンBの需要家は示されていないことになるが、勿論、パターンBの需要家も更に存在していてよい。また、この例に限らず、例えば、ユーザ端末23を備え、分散電源25を備えるパターンもあってもよい。
【0033】
尚、需要家Aが備えるスマートメータ21をスマートメータ21A、需要家Bが備えるスマートメータ21をスマートメータ21Bと記すものとする。他の構成についても同様である。尚、勿論、
図1に示す需要家Aや需要家Bの他にも需要家は存在し、需要家Aや需要家Bは需要家の一例である。
【0034】
スマートメータ21Aは、需要家A(オフィス、工場、一般家庭等)が有する電力消費装置22Aの電力消費量(以下、電力需要あるいは電力使用量とも記す)を定期的に計測し、計測結果をエネルギーマネジメントシステム10やユーザ端末23に所定時間ごとに送信する機能を有する計測器である。
【0035】
ユーザ端末23は、需要家Aが有するコンピュータや携帯電話機、スマートフォン、宅内表示器(In-Home Display)等の情報処理装置である。尚、ユーザ端末(EMS機能付き)24は、この様なユーザ端末23の機能に加えて、更にEMS機能を備えるものと見做しても構わない。
【0036】
スマートメータ21Bは、需要家B(オフィス、工場、一般家庭等)が有する電力消費装置22Bの電力消費量を定期的に計測し、計測結果をエネルギーマネジメントシステム10やユーザ端末24に所定時間ごとに送信する機能を有する計測器である。
【0037】
ユーザ端末(EMS機能付き)24は、需要家Bが有するコンピュータや携帯電話機、スマートフォン、宅内表示器(In-Home Display)等の情報処理装置であって、エネルギーマネジメント機能も有している。尚、ユーザ端末23とユーザ端末(EMS機能付き)24との違いは、上記の通り、エネルギーマネジメント機能を有しているか否かの違いである。
【0038】
分散電源25は、需要家Bが所有する電源であり、需要家Bの所内電力の一部を供給する。分散電源には、太陽光発電装置、風力発電装置、燃料電池、蓄電池、ガスエンジン、ディーゼル発電機などがある。エネルギーマネジメントシステム10は、ユーザ端末(EMS機能付き)24を介して分散電源25を制御することで、需要家Bの実質的な電力需要を制御することが可能である。尚、一例としては「実質的な電力需要=電力需要−分散電源25による供給電力」と見做しても構わない。分散電源25を運転することで、実質的な電力需要を下げることができる。
【0039】
また、分散電源25による供給電力量は、エネルギーマネジメントシステム10が決定してユーザ端末(EMS機能付き)24に通知することで、ユーザ端末(EMS機能付き)24がこの供給電力量の分だけ、分散電源25による発電等を行わせるようにしてもよい。分散電源25による供給電力量の決定方法は、様々であってよく、ここでは特に説明しない。
【0040】
尚、上記の例に限らず、例えば、ユーザ端末24を介することなく、エネルギーマネジメントシステム10がネットワーク2を介して直接的に分散電源25を制御する構成であっても構わない。
【0041】
また、尚、エネルギーマネジメントシステム10は、ユーザ端末(EMS機能付き)24を介して、需要家Bの電力消費装置22Bを制御することもできる。
エネルギーマネジメントシステム10は、詳細は後述するが、需要家Aや需要家Bなどの複数の電力需要家の電力消費量を、事前に定められた所定の目標値である電力目標値に誘導するための電力消費量誘導装置である。例えば、複数の需要家から成る需要家グループ全体の電力消費量(総電力需要)を、事前に定められた所定の目標値である電力目標値に誘導するための電力消費量誘導装置である。
【0042】
尚、ここでは、需要家の電力消費量を所定の電力目標値に誘導する為に何等かのことを行うことを、デマンドレスポンス(DR)を実施すると言うものとする。
デマンドレスポンスを行うか否かは、対象期間の各時間帯における電力消費量の予測値や各地の発電所の稼働状況、気象予測などから判定される。例えば、その時間帯に必要となる電力需要を賄えるだけの発電量が十分に確保できる場合には、デマンドレスポンスを行わないでもよい。一方、その時間帯に十分な発電量を確保することが困難な場合には、デマンドレスポンスを行うものと判定される。
【0043】
デマンドレスポンスを行う場合には、上記時間帯の電力需要の予測値や発電可能量などを考慮して、電力消費量(総電力需要など)の目標値である電力目標値が設定される。
気象情報提供装置3は、気温や天気、湿度、日射量、風速等の各種気象情報を提供するコンピュータである。エネルギーマネジメントシステム10は、気象情報提供装置3からこれら様々な気象情報を取得して電力需要の予測値や、発電可能量の予測値を算出する。ネットワーク2は、インターネットや専用回線等の通信網である。
【0044】
ここで、上記デマンドレスポンスを行うか否かの判定処理自体は、従来と略同様であってよい。本手法では、デマンドレスポンスを行うと決めた場合の上記総電力需要を所定の電力目標値に誘導する方法が、従来とは異なる。すなわち、本手法では、基本的には例えば需要家AのようにEMS機能付きの端末を備えていない需要家に対しては、事前に(前日等に)DR実施を需要家に通知することで需要家による省エネ行動を期待し、例えば需要家BのようにEMS機能付きの端末を備える需要家に対しては、当日にエネルギーマネジメントシステム10がユーザ端末(EMS機能付き)24を介して需要家Bの電力消費装置を制御する。更に、場合によっては、分散電源25を制御して、発電量を増加させることで、不足分を補うようにしてもよい。
【0045】
尚、上記DR実施を通知する際に、通知には、例えば上記DR実施する時間帯における電気料金単価を、通常よりも高くする旨のメッセージ等が含まれていてもよい。あるいは、上記DR実施する時間帯における電気料金単価(通常より高い)を、一緒に通知するようにしてもよい。これによって、通知を受けた需要家が、上記時間帯における電力需要を抑える行動を採ることが期待できる。この様なこと自体は、従来と同じであると見做して構わない。
【0046】
上記のように、各時間帯に、電力需要の予測値や発電可能量(最大発電量)などを考慮して、電力消費量の目標値である電力目標値が設定される。例えば、電力目標値≒発電可能量(最大発電量など)とするが、この例に限らない。
【0047】
例えば、需要家を複数のグループに分けて、各グループ毎に、電力目標値の設定や、DRの実施/不実施の決定等を行うようにしてもよい。この例の場合、各グループ毎に、そのグループの総電力需要が、そのグループの電力目標値近辺となるように、上記処理を行うことになる。また、この例の場合、各グループ毎の電力目標値は、例えば単純な例では、グループ数がNである場合には、全グループで“電力目標値=発電可能量÷N”等としてもよいが、勿論、この例に限らない。
【0048】
上記本手法に関しては、後に更に詳細に説明するものとし、以下、ハードウェア構成等、システムの構成について、説明するものとする。
図2に、エネルギーマネジメントシステム10のハードウェア構成の一例を示す。
【0049】
エネルギーマネジメントシステム10は、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、通信装置13、記憶装置14、入力装置15、出力装置16、記録媒体読取装置17等を有して構成されるコンピュータである。
【0050】
CPU11は、エネルギーマネジメントシステム10の全体の制御を司る演算プロセッサ等である。記憶装置14には、例えば
図4に示すように、本実施形態に係る各種の動作を行うためのコードから構成されるエネルギーマネジメントシステム制御プログラム41が、予め記憶されている。CPU11が、この制御プログラム41をメモリ12に読み出して実行することにより、エネルギーマネジメントシステム10としての各種機能が実現される。
【0051】
例えば、詳細は後述するが、CPU11によりエネルギーマネジメントシステム制御プログラム41が実行され、メモリ12や通信装置13、記憶装置14等のハードウェア機器と協働することにより、
図3に示す需要反応データ記憶部31、需要家選択部32、通信部33などの各種機能が実現される。尚、
図3は、エネルギーマネジメントシステム10の機能ブロック図である。
【0052】
尚、需要反応データ記憶部31は、例えば
図4に示す需要家グループ管理データベース42、電力使用実績データベース43等を記憶するものである。また、通信部33は、ネットワーク2を介して外部のコンピュータ等(例えば各スマートメータ21やユーザ端末24等)との通信を行う機能部である。需要家選択部32は、例えば後述する
図10の処理によって、DR実施を行う機能部である。
【0053】
ここで、需要家選択部32は、一例としては、不図示の下記のDR実施判定部、第1通知部、第2通知部を有するものと見做しても構わない。エネルギーマネジメントシステム10は、例えば、所定の対象期間に係わる複数の需要家からなる需要家グループの総電力需要に関して、デマンドレスポンスによって前記総電力需要を目標値に誘導するための電力需要誘導装置である。
【0054】
DR実施判定部は、上記所定の対象期間に関してデマンドレスポンスを実施するか否かを判定する。
第1通知部は、上記DR実施判定部によってデマンドレスポンスを実施すると判定した場合、上記複数の需要家のなかでエネルギーマネジメント機能(EMS)を有しない需要家に対して、デマンドレスポンス実施を通知する。例えば、
図1の需要家Aに対して、デマンドレスポンス実施を通知することになる。
【0055】
第2通知部は、上記DR実施判定部によってデマンドレスポンスを実施すると判定した場合、上記複数の需要家のなかで上記エネルギーマネジメント機能(EMS)を有する需要家に対して、デマンドレスポンス実施を通知することで、各エネルギーマネジメント機能にその需要家における電力需要を制御させる。
【0056】
そして、上記第1通知部が上記通知を行うタイミングと、上記第2通知部が上記通知を行うタイミングとが、異なることを、本手法の基本的な特徴とする。
これは、例えば、第1通知部は、上記対象期間より前に事前に、上記通知を行う。例えば、対象期間(任意の日)の前日に、通知を行う。
【0057】
一方、上記第2通知部は、上記対象期間中または対象期間の直前に、通知を行う。通知先の需要家のEMSが、この通知に応じて、当該需要家の負荷設備(電力消費装置22)の制御を、自動的に行う。これは、例えば、負荷設備の消費電力を抑制する為の自動制御を行うものである。
【0058】
また、需要家選択部32は、更に、不図示の分散電源制御部も有するものであってもよい。分散電源制御部は、上記複数の需要家のなかに分散電源を備える需要家が存在する場合、ネットワークを介して該分散電源による電力供給を行わせる制御を行うことで、総電力需要を減少させる。分散電源による電力供給によってこの需要家の実質的な電力需要が減少することで、実質的な総電力需要(発電装置によって賄うべき電力需要)を減少させることができる。
【0059】
DR実施判定部は、上記需要家グループの全需要家が上記デマンドレスポンス不実施とした場合の電力需要予測値の合計が、上記目標値を超えた場合に、デマンドレスポンスを実施すると判定する。但し、これは電力需要抑制の為のデマンドレスポンスを想定したものであり、この例に限らない。例えば深夜などに電力需要を増加させる為のデマンドレスポンスがあっても構わない。
【0060】
図2において、メモリ12は、例えば半導体記憶装置により構成することができる。
通信装置13は、ネットワークカードなどのネットワークインタフェースである。通信装置13は、ネットワーク2を介して不図示の他のコンピュータから送信されたデータを受信し、受信したデータを記憶装置14やメモリ12に記憶する。また通信装置13は、記憶装置14やメモリ12に記憶されているデータを、ネットワーク2を介して他のコンピュータへ送信する。
【0061】
入力装置15は、キーボードやマウス、マイク等の装置であり、エネルギーマネジメントシステム10の操作者による情報の入力を受け付けるための装置である。出力装置16は、LCD(Liquid Crystal Display)やプリンタ、スピーカ等の装置であり、情報を出力するための装置である。
【0062】
記憶装置14は、例えばハードディスク装置や半導体記憶装置等により構成することができる。記憶装置14は、各種プログラムやデータ、テーブル等を記憶するための物理的な記憶領域を提供する装置である。
【0063】
記憶装置14には、例えば
図4に示すように、エネルギーマネジメントシステム制御プログラム41、需要家グループ管理データベース42、電力使用実績データベース43等のプログラム/データ等が記憶されている。詳細は後述する。
【0064】
記憶装置14は、エネルギーマネジメントシステム10に内蔵されている形態とすることもできるし、外付されている形態とすることもできる。
なお、エネルギーマネジメントシステム制御プログラム41、需要家データ管理データベース42、電力使用実績データベース43は、記録媒体読取装置17を用いて、可搬型の記録媒体18(各種の光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリ等)から記憶装置14に読み出すことで、エネルギーマネジメントシステム10に格納されるようにすることもできる。あるいは、エネルギーマネジメントシステム制御プログラム41、需要家データ管理データベース42、電力使用実績データベース43は、通信装置13を介して通信可能に接続される他のコンピュータから取得することで、エネルギーマネジメントシステム10に格納されるようにすることもできる。
【0065】
上記通信装置13を用いる場合には、エネルギーマネジメントシステム10は、記憶装置14を備えずに、上記他のコンピュータに記憶されている上記のプログラムやテーブル等の各種データを用いて、エネルギーマネジメントシステム10としての機能を実現する形態も可能である。
【0066】
図5は、ユーザ端末23またはユーザ端末(EMS機能付き)24のハードウェア構成例を示す図である。
尚、ユーザ端末23とユーザ端末(EMS機能付き)24とは、ハードウェア的には同様の構成であってよく、また上記エネルギーマネジメントシステム10と略同様のハードウェア構成であってもよい。
【0067】
ユーザ端末23またはユーザ端末(EMS機能付き)24は、CPU51、メモリ52、通信装置53、記憶装置54、入力装置55、出力装置56、記録媒体読取装置57等を有して構成されるコンピュータである。
【0068】
CPU51は、ユーザ端末23またはユーザ端末(EMS機能付き)24の全体の制御を司る演算プロセッサである。
記憶装置54には、例えば
図6に示すように、本実施形態に係るユーザ端末23またはユーザ端末(EMS機能付き)24の各種の動作を行うためのコードから構成されるユーザ端末制御プログラム61が、予め記憶されている。CPU51が、この制御プログラム61をメモリ52に読み出して実行することにより、ユーザ端末23またはユーザ端末(EMS機能付き)24としての各種機能が実現される。
【0069】
メモリ52は、例えば半導体記憶装置により構成することができる。
通信装置53は、ネットワークカードなどのネットワークインタフェースである。通信装置53は、ネットワーク2を介して不図示の他のコンピュータから送信されたデータを受信し、受信したデータを記憶装置54やメモリ52に記憶する。また通信装置53は、記憶装置54やメモリ52に記憶されているデータを、ネットワーク2を介して他のコンピュータへ送信する。
【0070】
入力装置55は、キーボードやマウス、マイク等の装置であり、ユーザ端末23またはユーザ端末(EMS機能付き)24の操作者による情報の入力を受け付けるための装置である。出力装置56は、LCDやプリンタ、スピーカ等の装置であり、情報を出力するための装置である。
【0071】
記憶装置54は、例えばハードディスク装置や半導体記憶装置等により構成することができる。記憶装置54は、各種プログラムやデータ、テーブル等を記憶するための物理的な記憶領域を提供する装置である。
【0072】
本実施形態では、
図6に示すように、記憶装置54には、ユーザ端末制御プログラム61が記憶されている。
記憶装置54は、ユーザ端末23に内蔵されている形態とすることもできるし、外付されている形態とすることもできる。
【0073】
なお、ユーザ端末制御プログラム61は、記録媒体読取装置57を用いて、可搬型の記録媒体58から記憶装置54に読み出すことで、ユーザ端末23またはユーザ端末(EMS機能付き)24に格納されるようにすることもできる。あるいは、ユーザ端末制御プログラム61は、通信装置53を介して通信可能に接続される不図示の他のコンピュータから取得することで、ユーザ端末23またはユーザ端末(EMS機能付き)24に格納されるようにすることもできる。また、通信装置53を用いる場合、ユーザ端末23またはユーザ端末(EMS機能付き)24は、記憶装置54を備えずに、上記他のコンピュータに記憶されている上記のプログラムやテーブル等の各種データを用いて、ユーザ端末23またはユーザ端末(EMS機能付き)24としての機能を実現する形態も可能である。
【0074】
図7に、スマートメータ21のハードウェア構成例を示す。
図7に示すように、スマートメータ21は、メータ部21a、制御部21b等を備えて構成される計測器である。本実施形態に係るスマートメータ21は、制御部21bに、不図示のCPUやメモリ、通信装置等が含まれており、メモリに記憶されている制御プログラムをCPUが実行することで、本実施形態におけるスマートメータ21としての機能を実現するコンピュータである。
【0075】
メータ部21aは、需要家が有する電力消費装置22の電力消費量を定期的に計測する。また、制御部21bは、メータ部21aが計測した電力消費量を、ネットワーク2を介して所定時間毎にエネルギーマネジメントシステム10に送信する
次に、以下、上記
図4に示した各種データベースのデータ構成例について、
図8、
図9を参照して説明する。
【0076】
図8は、上記需要家グループ管理データベース42のデータ構成例である。
図8に示すように、需要家グループ管理データベース42は、需要家グループを規定し、グループに属する各需要家の情報を記録したデータベースである。
【0077】
需要家グループ管理データベース42は、グループ名71、“グループに属する需要家ID”72、EMSの有無73、分散電源の有無74等の各データ項目を有する。
ここでは一例として、管理対象となる多数の需要家を、複数のグループに分類して、各グループには任意のグループ名が予め付与されているものとする。グループ名71には、任意のグループのグループ名が格納される。“グループに属する需要家ID”72には、グループ名71のグループに属する任意の需要家の識別情報(ID)が格納される。
【0078】
そして、“グループに属する需要家ID”72の各需要家毎に、その需要家が上記ユーザ端末(EMS機能付き)24を備えているか否かを示す情報がEMSの有無73に格納され、その需要家が上記分散電源25を備えているか否かを示す情報が分散電源の有無74に格納される。
【0079】
EMSの有無73が“なし”で、分散電源の有無74も“なし”の需要家が、上記パターンAの需要家であり、一例が
図1に示す需要家Aである。
EMSの有無73が“あり”で、分散電源の有無74も“あり”の需要家が、上記パターンCの需要家であり、一例が
図1に示す需要家Bである。
【0080】
EMSの有無73が“あり”で、分散電源の有無74が“なし”の需要家が、上記パターンBの需要家であり、これに応じた具体例は
図1には示されていない。
図9は、電力使用実績データベース43のデータ構成例である。
【0081】
電力使用実績データベース43は、各需要家のスマートメータ21からエネルギーマネジメントシステム10に所定時間毎に送信されてくる電力消費量に関するデータを、需要家毎に記録したデータベースである。
図9には、一例として需要家a1について記録した電力使用実績データベース43(テーブル)を示す。尚、当該各需要家毎に設けられる各テーブルには、対応する需要家の需要家IDが、予め割付けられている。
【0082】
図9に示す電力使用実績データベース43は、日時81、ベースライン負荷82、消費電力83、変化量84、変化率85、DR86、電力価格単価87、インセンティブ係数88の各データ項目を有する。
【0083】
日時81の欄には、スマートメータ21が需要家a1の電力消費量を計測した日時等が記録される。消費電力83の欄には、この日時81における上記電力消費量の計測値が格納される。図示の各データ項目のうち、少なくとも日時81と消費電力83のデータは、スマートメータ21から送られてきたものである。
【0084】
ベースライン負荷82の欄には、デマンドレスポンスを行わない場合の需要家a1の電力消費量であるベースライン負荷が格納される。例えば、デマンドレスポンスを行わなかった過去の所定期間における需要家a1の電力消費量の平均値が記録される。具体例としては、エネルギーマネジメントシステム10は、同一需要家のデマンドレスポンスを行わなかった直近の過去5日分の同一時刻の電力消費量を、電力使用実績データベース43から読み出して、これらの平均値をベースライン負荷として算出する。過去の電力消費量は、電力使用実績データベース43の消費電力83から取得できる。また過去にデマンドレスポンスを行ったか否かは、電力使用実績データベース43のDR86から取得できる。
【0085】
尚、ベースライン負荷の算出方法は、上記平均値の例に限らず、例えば最大値や最小値、中央値など様々な方法を用いることができる。また、
図9に示すベースライン負荷82には、消費電力が示されているが、所定時間当たり(例えば1時間当たりあるいは30分当たり)の消費電力量に換算された値を用いてもよい。
【0086】
消費電力83の欄には、スマートメータ21によって計測された需要家a1の電力消費量が格納される。また、
図9に示す消費電力83には、消費電力が示されているが、所定時間当たり(例えば1時間当たりあるいは30分当たり)の消費電力量に換算された値を用いてもよい。
【0087】
尚、基本的には、日時81と消費電力83が、スマートメータ21から送信されてくる計測データに相当する。他のデータ項目は、基本的には、エネルギーマネジメントシステム10側で算出したものが格納されるものとするが、この例に限らない。例えば、ベースライン負荷82は上記のように算出され、変化量84、変化率85は下記のように算出される。
【0088】
変化量84の欄には、ベースライン負荷82(デマンドレスポンスを行わない場合の需要家a1の電力消費量など)と、消費電力83に格納されている電力消費量との差分である電力消費量の変化量が、算出されて格納される。図示の例では、変化量84=消費電力83−ベースライン負荷
82であるが、この例に限らない。
【0089】
デマンドレスポンスを実施した場合には、変化量84の欄には、デマンドレスポンスを行ったことによる需要家a1の電力消費量の変化量が記録されることになる。
変化率85の欄には、ベースライン負荷82(デマンドレスポンスを行わない場合の需要家a1)の電力消費量に対する、変化量84(電力消費量の変化量)の割合が、算出されて格納される。図示の例では、変化率85=(変化量84÷ベースライン負荷82)×100であるが、この例に限らない。
【0090】
DR86の欄には、日時81の欄に格納された日時にデマンドレスポンスが実施されていたか否かを示す情報が、格納される。
電力価格単価87の欄には、日時81の欄に格納された日時に需要家a1に適用されていた電気料金の単価が、格納される。
【0091】
インセンティブ係数88の欄には、日時81の欄に格納された日時に需要家a1に適用されていたインセンティブの単価が記録される。
尚、電力価格単価87とインセンティブ係数88の何れか一方にのみデータが格納されていてもよい。つまり、上述した電力価格型デマンドレスポンスでは電力価格単価を変化させるので電力価格単価87にデータが格納され、上述したインセンティブ型デマンドレスポンスではインセンティブ支払い金を変化させるのでインセンティブ係数88にデータが格納される。
【0092】
図10は、エネルギーマネジメントシステム10の処理フローチャート図である。
これは、デマンドレスポンス実施に係わる処理の流れを示すものである。
エネルギーマネジメントシステム10は、例えば定期的にデマンドレスポンス実施内容を決定する為に
図10の処理を実行する。尚、
図10の処理は、例えば主に上記需要家選択部32が実行するものと見做しても良いが、この例に限らない。また、
図10におけるステップS13、S14の処理の際には、通信部33によってネットワーク2を介して、DR実施対象の需要家のユーザ端末23またはユーザ端末(EMS機能付き)24へ、DR実施を通知する。あるいは、ステップS15やステップS16の制御処理も、通信部33によってネットワーク2を介して行うことになる。
【0093】
図10の処理例では、処理開始すると、まず、任意の需要家グループの需要家グループ管理データベース42を読み込み、この需要家グループに属する各需要家の上記情報を取得する(ステップS11)。尚、この取得データに基づいて、各需要家を上記パターンA,B,Cの何れかに分類することができる。
【0094】
次に、対象期間すなわち未来の所定期間に関して、デマンドレスポンスを実施するか否かを決定する(ステップS12)。デマンドレスポンスを実施する場合にはステップS13以降の処理を実行するが、DR実施しない場合にはステップS13以降の処理は実施しなくても構わない。
【0095】
上記ステップS12の処理は、既存技術によって実現してよい。
以下、上記ステップS12の処理について簡単に説明する。
ステップS12の処理では、エネルギーマネジメントシステム10は、まず、上記対象期間すなわち未来の所定期間(例えば翌日の13時から17時の時間帯)において、デマンドレスポンスを実施した場合、およびデマンドレスポンスを実施しなかった場合の両ケースについて、各需要家の電力消費量(電力需要)の予測値を算出する。エネルギーマネジメントシステム10は、気象情報提供装置3から取得した各種気象データや、過去の電力消費量の実績データなどを用いて、電力消費量の予測値を求める。
【0096】
電力需要予測は、様々な手法を用いて行うことが可能である。例えば、非特許文献3に記載されているように、過去の電力消費量の実績データや、天候、気温、季節、曜日、電力価格単価等を入力データとして電力消費量の予測値を出力とするような需要予測モデルを構築することにより、DRを実施した場合とDRを実施しなかった場合の電力消費量の予測値を算出することができる。
【0097】
次に、エネルギーマネジメントシステム10は、上記対象期間の電力消費量の目標値を算出する。電力消費量の目標値は、上記対象期間の電力消費量の予測値や発電可能量などを考慮して、各需要家グループに対して設定される。目標値の算出方法については、例えば、「目標値=発電可能量÷グループ数」等としてもよいが、この例に限らない。
【0098】
尚、発電可能量は、例えば電力会社の不図示の発電設備による最大発電量であり、既存の一般的な方法で得られるので、ここでは特に説明しない。
そして、上記対象期間に関して、電力需要に関する予測値が目標値を上回る場合には、電力需要を抑制し、電力需要が目標値以下となるように誘導する必要があることになり、デマンドレスポンスを実施すると判定することになる。
【0099】
以上、ステップS12の処理の一例について説明したが、この例に限らない。
そして、上述したように、デマンドレスポンスを実施すると判定した場合には、ステップS13以降の処理を実施する。
【0100】
すなわち、まず、上記パターンAの需要家全てに対して、DRの実施を通知する(ステップS13)。これは、事前に通知するものである。例えば、上記対象期間の前日の任意のときに通知するものであり、例えばステップS12の処理後、直ちに通知するものであっても構わない。勿論、この例に限らない。
【0101】
また、ステップS13の通知の際に、上記対象期間における電気料金単価あるいはインセンティブ係数などを通知するようにしてもよい。上記パターンAの需要家が、この様な通知を受けることで、このような電気料金単価の変化やインセンティブ係数の変化に応じて、対象期間において、電力需要を低減するように何等かの省エネ行動をとったり、その逆に需要を増加させるように電気機器を稼働したりして、電力需要を変化させることが、期待できる。つまり、人間が電力消費行動を変化させることが期待できる。しかし、実際にどの様な行動を採るのかは、各需要家のユーザの自由であり、期待通りにならないかもしれない。
【0102】
これに対して、
図1の需要家Bのようなユーザ端末(EMS機能付き)24を有する需要家に対しては、当該ユーザ端末(EMS機能付き)24を利用することで、リアルタイムで電力消費装置22の稼働状態を制御し、以ってリアルタイムで電力需要をコントロールすることが可能となる。尚、リアルタイムとは、例えば対象期間中であることを意味するが、この例に限らない。
【0103】
エネルギーマネジメントシステム10は、ユーザ端末(EMS機能付き)24を有する需要家(需要家B等)に対しても、DRの実施を通知するが(ステップS14)、これは上記対象期間の直前であっても構わないし、対象期間中であっても構わない。
【0104】
そして、この通知によって、ユーザ端末(EMS機能付き)24に電力消費装置22の稼働状態を制御させ、以って自動的に上記対象期間中における例えば需要家Bの電力需要を変化させる(ステップS15)。
【0105】
上記のようにして、需給バランスを精度よく保つように需要を誘導することが可能となる。
しかし、エネルギーマネジメントシステム10が管理している不図示の発電装置として、例えば太陽光発電などの再生可能エネルギー発電装置がある場合には、天候等により発電量が時々刻々と変化するので、デマンドレスポンス実施中も電力需要の調整が必要になる。しかしながら、上記ユーザ端末(EMS機能付き)24によるリアルタイムの電力需要調整だけでは、対応できない状況となる場合もあり得る。例えば、上記発電装置による発電量が、電力需要未満となる場合(電力供給不足となる)場合があり得る。
【0106】
そこで、次に、エネルギーマネジメントシステム10は、分散電源25を備える需要家に対して、そのユーザ端末(EMS機能付き)24へネットワーク2を介して所定のコマンドを送信する等して、分散電源25を制御する(ステップS16)。例えば、分散電源25の運転を開始させ、発電開始させる。分散電源25による発電量の分だけ、実質的な負荷(電力需要)を低減させることができる。これにより、需給バランスを精度よく保つように需要を誘導することが可能となる。
【0107】
このような処理を行うことで,需要家グループの需要変化量を精度よく制御可能なデマンドレスポンスの実施が可能となる。
以上、本実施形態に係るエネルギーマネジメントシステム10によれば、需要変化量を精度よく制御可能なデマンドレスポンスの実施を可能とし、デマンドレスポンスのより一層の普及促進を図ることも可能となる。
【0108】
尚、ユーザ端末23のユーザ端末制御プログラム61による処理は、例えば、上記エネルギーマネジメントシステム制御プログラム41の処理と、略同様であってもよい。つまり、ユーザ端末23が、エネルギーマネジメントシステム10と略同様の機能を有するものであっても構わない。尚、これを実現するために必要な各種データは、ユーザ端末23が記憶していてもよいし、エネルギーマネジメントシステム10から取得してもよい。
【0109】
尚、本説明における“/”は、OR条件(“または”や“あるいは”)を意味するものとする。