(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6610072
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】積層コンデンサ、及び、配線基板
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20191118BHJP
H01G 2/06 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
H01G4/30 201Z
H01G2/06 Z
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-156836(P2015-156836)
(22)【出願日】2015年8月7日
(65)【公開番号】特開2017-37901(P2017-37901A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2018年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100122770
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】檜山 嘉雄
(72)【発明者】
【氏名】長橋 正明
【審査官】
多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−025856(JP,A)
【文献】
特開2007−250867(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0235550(US,A1)
【文献】
特開2001−189234(JP,A)
【文献】
特開平05−205966(JP,A)
【文献】
特開平06−053002(JP,A)
【文献】
米国特許第07265995(US,B1)
【文献】
米国特許第03519959(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体集積回路が実装されるとともに一方の面に複数のはんだボールが配設された配線基板に実装される積層コンデンサであって、
前記はんだボールの配置に対応して、複数の貫通孔が積層方向に形成された積層体を備え、
前記積層体の積層方向の厚みは、前記はんだボールの前記一方の面と垂直な方向の最大長よりも薄く、かつ、前記積層体に形成された前記貫通孔の直径は、前記はんだボールの前記一方の面と平行な方向の最大長よりも大きく、
前記積層体は、複数の貫通孔が形成された複数の内部電極と、複数の貫通孔が形成された複数の誘電体層とが交互に積層されて構成され、
前記内部電極に形成されたすべての貫通孔の直径は、前記誘電体層に形成されたすべての貫通孔の直径よりも大きく、前記内部電極が前記積層体に形成されたすべての貫通孔の内周面に露出していないことを特徴とする積層コンデンサ。
【請求項2】
前記積層体に形成されたすべての貫通孔の内周面が前記はんだボールと接触しないように、当該貫通孔の内周面とはんだボールとの間に隙間が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の積層コンデンサ。
【請求項3】
前記複数の内部電極それぞれは、複数に分割されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層コンデンサ。
【請求項4】
前記積層体の側面に形成された一対の外部電極を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層コンデンサ。
【請求項5】
前記積層体の側面に形成された二対以上の外部電極を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層コンデンサ。
【請求項6】
前記外部電極は、前記積層体の片側の側面に並べて配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の積層コンデンサ。
【請求項7】
前記外部電極は、前記積層体の対向する側面それぞれに対向して配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の積層コンデンサ。
【請求項8】
前記外部電極は、前記半導体集積回路のグランド端子と接続されるグランド用外部電極と、前記半導体集積回路の電源端子と接続される電源用外部電極とを含み、
前記グランド用外部電極と電源用外部電極とが交互に並べて配置されていることを特徴とする請求項7に記載の積層コンデンサ。
【請求項9】
半導体集積回路が実装されるとともに一方の面に複数のはんだボールが配設された配線基板において、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層コンデンサが前記一方の面に実装されていることを特徴とする配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コンデンサ、及び、該積層コンデンサが実装された配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル回路では、ICやLSIの動作中の負荷変動を吸収したり、ノイズを除去するため、電源−グランド間にデカップリングコンデンサが挿入される。その際、電圧変動を抑制する観点から、電源インピーダンスは低い方がよく、よってデカップリングコンデンサのインピーダンスも低い方が望ましいため、ICなどが必要とする電源インピーダンスに応じて十分な静電容量を持ったコンデンサが使用される。
【0003】
ところが、数MHz以上の高周波領域では、ICなどの電源端子とコンデンサとをつなぐ配線のインダクタンスの影響により、静電容量だけではインピーダンスが下がらなくなる。そこで、ICやLSIなどの半導体集積回路素子の近傍にコンデンサを配置し、半導体集積回路素子の電源およびグランドラインからコンデンサまでの配線引き回しを最短にすることにより、インダクタンスを低減することが試みられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ここで、特許文献1には、絶縁基板を貫通し、電気回路用および接地回路用として供する複数のビアホール導体を有する半導体素子収納用パッケージと、該半導体素子収納用パッケージ上に搭載された半導体素子とが複数のビアホール導体上にそれぞれ形成された複数のはんだボールにより接続され、さらに、これら複数のはんだボール間を架橋するように積層型セラミックコンデンサが設けられた電子部品実装基板が開示されている。
【0005】
この電子部品実装基板によれば、半導体素子収納用パッケージから積層型セラミックコンデンサに至る配線、および積層型セラミックコンデンサから半導体素子に至る配線がはんだボールの長さ分だけであるために、基板に発生するインダクタンスを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−340535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の電子部品実装基板(配線基板)では、積層型セラミックコンデンサを実装する際に、該積層型セラミックコンデンサの大きさに応じた所定の間隔が必要となる。そのため、例えば、はんだボール間に積層型セラミックコンデンサが納まらない場合には、間隔を確保するために、はんだボールの配置や個数を変更することが必要となる。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、はんだボールの配置を変更したり、はんだボールを取り除いたりすることなく、複数のはんだボールが配設された配線基板に直接実装することが可能な積層コンデンサ、及び該積層コンデンサが実装された配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る積層コンデンサは、半導体集積回路が実装されるとともに一方の面に複数のはんだボールが配設された配線基板に実装される積層コンデンサであって、はんだボールの配置に対応して、複数の貫通孔が積層方向に形成された積層体を備え、積層体の積層方向の厚みが、はんだボールの上記一方の面と垂直な方向の最大長よりも薄く、かつ、積層体に形成された貫通孔の直径が、はんだボールの上記一方の面と平行な方向の最大長よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る積層コンデンサによれば、複数の貫通孔がはんだボールの配置に対応して積層方向に形成されており、かつ、貫通孔の直径が上記一方の面と並行な方向のはんだボールの最大長よりも大きいため、該積層コンデンサを配線基板に実装する際に、貫通孔の内部にはんだボールが嵌まり込むように収まることとなる。また、積層体の積層方向の厚みが上記一方の面と垂直な方向のはんだボールの最大長よりも薄いため、はんだボールを用いて、配線基板を、例えばメイン基板等に実装することができる。その結果、はんだボールの配置を変更したり、はんだボールを取り除いたりすることなく、複数のはんだボールが配設された配線基板に直接実装することが可能となる。
【0011】
本発明に係る積層コンデンサでは、積層体が、複数の貫通孔が形成された複数の内部電極と、複数の貫通孔が形成された複数の誘電体層とが交互に積層されて構成され、内部電極に形成された貫通孔の直径が、誘電体層に形成された貫通孔の直径よりも大きいことが好ましい。
【0012】
この場合、内部電極に形成された貫通孔の直径が、誘電体層に形成された貫通孔の直径よりも大きいため、内部電極が貫通孔の内周面に露出することが防止される。よって、積層コンデンサの内部電極とはんだボールとが短絡することを防止することが可能となる。
【0013】
本発明に係る積層コンデンサでは、複数の内部電極それぞれが、複数に分割されていることが好ましい。
【0014】
この場合、複数の内部電極それぞれが、複数に分割されているため、1つの積層体中に複数のコンデンサを形成することができる。よって、1つの部品で、異なる複数の電圧系統に対応することが可能となる。
【0015】
本発明に係る積層コンデンサは、積層体の側面に形成された一対の外部電極を備えることが好ましい。
【0016】
この場合、積層体の側面に一対の外部電極が形成される構成のため、比較的、容易に製作することが可能となる。
【0017】
本発明に係る積層コンデンサは、積層体の側面に形成された二対以上の外部電極を備えることが好ましい。
【0018】
この場合、積層体の側面に二対以上の外部電極が形成されるため、例えば、一方の対になっている外部電極と他方の対になっている外部電極とで電流の流れる向きが逆になるように配置することにより、該電流によって生じる磁界(磁束)を互いに打消し合うようにでき、インダクタンスをより低減することが可能となる。
【0019】
本発明に係る積層コンデンサでは、外部電極が、積層体の片側の側面に並べて配置されていることが好ましい。
【0020】
この場合、外部電極が、積層体の片側の側面に並べて配置されるため、配置の自由度を高めることが可能となる。
【0021】
本発明に係る積層コンデンサでは、外部電極が、積層体の対向する側面それぞれに対向して配置されていることが好ましい。
【0022】
この場合、外部電極が、積層体の対向する側面それぞれに対向して配置されるため、例えば、一方の対になっている外部電極と他方の対になっている外部電極とで電流の流れる向きが逆になるように配置し易くなる。
【0023】
また、本発明に係る積層コンデンサでは、外部電極が、半導体集積回路のグランド端子と接続されるグランド用外部電極と、半導体集積回路の電源端子と接続される電源用外部電極とを含み、グランド用外部電極と電源用外部電極とが交互に並べて配置されていることが好ましい。
【0024】
この場合、外部電極が、半導体集積回路のグランド端子と接続されるグランド用外部電極と、半導体集積回路の電源端子と接続される電源用外部電極とを含み、グランド用外部電極と電源用外部電極とが交互に並べて配置されている。そのため、寄生インダクタンスにより生じる磁界(磁束)が互いに打ち消し合い、インダクタンスを低減することができる。よって、高周波領域の電源インピーダンスをより低減することが可能となる。
【0025】
本発明に係る配線基板は、半導体集積回路が実装されるとともに一方の面に複数のはんだボールが配設された配線基板であって、上記いずれかの積層コンデンサが上記一方の面に実装されていることを特徴とする。
【0026】
本発明に係る配線基板によれば、上記いずれかの積層コンデンサが一方の面に実装されるため、はんだボールの配置や個数を変更することなく(すなわち、はんだボールの配置を変更したり、はんだボールを取り除いたりすることなく)、積層コンデンサを直接実装することができ、電源インピーダンスをより低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、はんだボールの配置を変更したり、はんだボールを取り除いたりすることなく、複数のはんだボールが配設された配線基板に積層コンデンサを直接実装することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施形態に係る積層コンデンサ、及び該積層コンデンサが実装されたインターポーザの構成を示す底面図である。
【
図2】実施形態に係る積層コンデンサ、及び該積層コンデンサが実装されたインターポーザの構成を示す側面図である。
【
図3】実施形態に係る積層コンデンサの内部電極及び外部電極の構成を示す図である。
【
図4】変形例に係る積層コンデンサの内部電極及び外部電極の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0030】
まず、
図1〜
図3を併せて用いて、実施形態に係る積層コンデンサ1及び積層コンデンサ1が実装されたインターポーザ(特許請求の範囲に記載の配線基板に相当)10の構成について説明する。
図1は、積層コンデンサ1及び積層コンデンサ1が実装されたインターポーザ10の構成を示す底面図である。
図2は、積層コンデンサ1及び積層コンデンサ1が実装されたインターポーザ10の構成を示す側面図である。また、
図3は、積層コンデンサ1の内部電極4,5及び外部電極6,7の構成を示す図である。
【0031】
インターポーザ10は、端子ピッチが異なるLSIチップ12とメイン基板20とを双方の間で中継するプリント基板(配線基板)である。インターポーザ10は、上面にLSIチップ(特許請求の範囲に記載の半導体集積回路に相当)12が搭載され、下面(特許請求の範囲に記載の一方の面に相当)に複数の半球形のはんだボール11が格子状に並べられている。すなわち、インターポーザ10は、BGA(Ball Grid Array)タイプのプリント基板である。なお、
図1,2では、図面を見易くするために、インターポーザ10に対する積層コンデンサ1やはんだボール11の縮尺比率を適宜変更して示した。
【0032】
インターポーザ10の下面(底面)には、上記LSIチップ12の動作中の負荷変動を吸収したり、ノイズを除去するため、電源−グランド間にデカップリングコンデンサとして機能する積層コンデンサ1が実装されている。すなわち、積層コンデンサ1は、インターポーザ10とメイン基板20との間に挿入されるように実装されている。
【0033】
積層コンデンサ1は、直方体形状に形成された積層体2と、積層体2の両側面に形成された4対の外部電極6,7を備えている。
【0034】
積層体2は、矩形に形成された複数の誘電体層3と、複数の内部電極4,5とが交互に積層されることにより構成されている。誘電体層3は、例えば、BaTiO
3、CaTiO
3、SrTiO
3、CaZrO
3などを主成分とする誘電体セラミックから形成される。なお、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分が添加されていてもよい。
【0035】
特に、積層体2では、複数(
図1の例では8個)の貫通孔8が、はんだボール11の配置やピッチに対応して積層方向に形成されている。ここで、積層体2(積層コンデンサ1)に形成された各貫通孔8の直径は、インターポーザ10の下面と平行な方向のはんだボール11の最大長φ2よりも大きく形成される。よって、積層コンデンサ1をインターポーザ10に実装する際に、はんだボール11が貫通孔8の内側に収まることとなる。
【0036】
より詳細には、積層体2は、複数(8個)の貫通孔8Bが形成された複数の内部電極4,5と、複数(8個)の貫通孔8が形成された複数の誘電体層3とが交互に積層されて構成されている。ここで、内部電極4,5に形成された貫通孔8Bの直径は、誘電体層3に形成された貫通孔8(誘電体層3の貫通孔の直径が積層体2の貫通孔の直径となるため、便宜上同一の符号を用いることとする)の直径よりも大きく形成される。
【0037】
また、積層体2(積層コンデンサ1)の積層方向の厚みは、インターポーザ10の下面と垂直な方向のはんだボール11の最大長φ1よりも薄く形成される。よって、積層コンデンサ1を実装した状態で、インターポーザ10をメイン基板20に実装することができる。
【0038】
内部電極4,5は、矩形の薄膜状に形成されている。内部電極4と、内部電極5とは、誘電体層3を介して互いに対向するように、交互に積層されている。内部電極4,5それぞれは、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Auなどから形成される。内部電極4,5は、積層体2の両側面に引き出されている。
【0039】
積層体2の両側面には、4対の外部電極6,7が形成されている。すなわち、外部電極6と外部電極7とは、積層体2を挟んで対向するように、該積層体2の側面に並んで形成されている。外部電極6,7は、例えば、銀を主成分とする導電性材料から形成されている。外部電極6は、上述した内部電極4の引き出し部と接続されている。一方、外部電極7は、内部電極5の引き出し部と接続されている。
【0040】
より具体的には、外部電極6,7は、LSIチップ12のグランド端子(より詳細には、該端子とビアを介して接続されたはんだボール11)と接続されるグランド用外部電極6と、LSIチップ12の電源(又は信号)端子(より詳細には、該端子とビアを介して接続されたはんだボール11)と接続される電源(又は信号)用外部電極7とを含み、グランド用外部電極6と電源用外部電極7とは交互に並べて配置されている。なお、LSIチップ12の端子(上記はんだボール11)と外部電極6,7とは、例えば、プリント配線を介して接続されていてもよいし、直接、接触(接続)するように構成されていてもよい。
【0041】
ここで、外部電極6,7の対数は、4対には限られることなく、例えば、1対でもよい。また、外部電極6,7を積層体2の片側の側面にのみ配置する構成としてもよい。
【0042】
次に、積層コンデンサ1の製造方法について説明する。まず、チタン酸バリウム系の誘電体材料などを主成分とする誘電ペーストがスクリーン印刷により塗布され、誘電体層3が形成される。
【0043】
続いて、例えば銀を主成分とする導電ペーストがスクリーン印刷により塗布され、孔の空いた導電ペースト層、すなわち、貫通孔8Bを有する内部電極4(5)が形成される。その後、同様にして、各層が順次積層、すなわち、誘電体層3と内部電極4,5とが交互に積層される。
【0044】
そして、全ての層が形成された後、積層体2の積層方向に貫通孔8が形成される。その後、ダイシング等により、個々の積層コンデンサ毎にカットされる。そして、所定の条件で焼成された後、外部電極6,7に例えばSnめっき又はNiめっきが施される。以上のようにして、積層コンデンサ1が製造される。
【0045】
本実施形態によれば、複数(8個)の貫通孔8がはんだボール11の配置やピッチに対応して積層方向に形成されており、かつ、貫通孔8の直径がインターポーザ10の下面と平行な方向のはんだボール11の最大長φ2よりも大きいため、積層コンデンサ1をインターポーザ10に実装する際に、貫通孔8の内部にはんだボール11が嵌まり込むように収まることとなる。その結果、はんだボール11の配置を変更したり、はんだボール11を取り除いたりすることなく、積層コンデンサ1を、複数のはんだボール11が配設されたインターポーザ10に直接実装することが可能となる。なお、積層体2の積層方向の厚みがインターポーザ10の下面と垂直な方向のはんだボール11の最大長φ1よりも薄いため、はんだボール11を用いて、積層コンデンサ1が実装されたインターポーザ10をメイン基板20に実装することができる。
【0046】
本実施形態によれば、内部電極4,5に形成された貫通孔8Bの直径が、誘電体層3に形成された貫通孔8の直径よりも大きいため、内部電極4,5が貫通孔8の内周面に露出することが防止される。よって、積層コンデンサ1の内部電極4,5とはんだボール11とが短絡することを防止することが可能となる。
【0047】
本実施形態によれば、4対の外部電極6,7が、積層体2の対向する側面それぞれに並べて配置され、かつ、グランド用外部電極6と電源用外部電極7とが交互に配置されている。そのため、寄生インダクタンスにより生じる磁界(磁束)が互いに打ち消し合い、インダクタンスを低減することができる。よって、高周波領域の電源インピーダンスをより低減することが可能となる。
【0048】
(変形例)
上記実施形態では、各内部電極4,5が一枚の(すなわち分割されていない)電極からなっていたが、
図4に示されるように、内部電極4B,5Bが複数(本実施形態では4つ)に分割された内部電極4a,4b,4c,4d、及び内部電極5a,5b,5c,5dからなる構成としてもよい。ここで、
図4は、変形例に係る積層コンデンサ1Bの内部電極4B,5B及び外部電極6,7の構成を示す図である。なお、この場合、電源用外部端子7、グランド用外部端子6は、積層体2Bの両側面に、交互に並んで配置されることが好ましい。その他の構成は、上述した積層コンデンサ1と同等又は同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0049】
本変形例によれば、複数の内部電極4B,5Bそれぞれが、複数に分割されているため、1つの積層体2B中に複数のコンデンサを形成することができる。よって、1つの部品で、異なる複数の電圧系統に対応することが可能となる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、積層コンデンサ1をインターポーザ10に実装(適用)したが、インターポーザ以外のプリント基板(配線基板)に適用することもできる。
【0051】
また、図面に示した積層コンデンサ1の貫通孔8の配置や数、及び、インターポーザ10のはんだボール11の配置や数は例示であり、任意に設定することができる。さらに、積層コンデンサ1の外部電極6,7の数も上記実施形態には限られない。
【0052】
また、上記実施形態では、外部電極6がLSIチップ12のグランド端子(より詳細には、該端子とビアを介して接続されたはんだボール11)に接続され、外部電極7がLSIチップ12の電源(又は信号)端子(より詳細には、該端子とビアを介して接続されたはんだボール11)と接続される構成としたが、それぞれ逆、すなわち、外部電極6が電源(又は信号)端子と接続され、外部電極7がグランド端子と接続される構成としてもよい。
【0053】
さらに、上記実施形態では、インターポーザ10に1個の積層コンデンサ1が実装された場合を例にして説明したが、インターポーザ10に実装される積層コンデンサ1の個数は、2個以上であってもよく、要件等に応じて任意に設定することができる。
【符号の説明】
【0054】
1,1B 積層コンデンサ
2,2B 積層体
3 誘電体層
4,5,4B,5B 内部電極
6,7 外部電極
8 貫通孔
8B 貫通孔
10 インターポーザ
11 はんだボール
12 LSIチップ
20 メイン基板