(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記頂部は、前記リードフレームの厚みの2.5%〜50%だけ前記コネクティングバーの前記一方の面から引っ込んでいることを特徴とする請求項3記載のリードフレーム。
前記コネクティングバーは、交差部において当該コネクティングバーに直交する方向に延びる他のコネクティングバーに連結され、当該コネクティングバーの前記突起部のうち少なくとも1つは、前記交差部で前記他のコネクティングバーの突起部に連結されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載のリードフレーム。
前記コネクティングバーは、前記コネクティングバーの長手方向に終端する終端部を有し、前記終端部は、当該コネクティングバーに直交する方向に延びる他のコネクティングバーから離間していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載のリードフレーム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態について、
図1乃至
図8を参照して説明する。以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また本明細書中、「表面」とは、半導体素子21が搭載される側の面(すなわち
図4の上方を向く面)のことをいい、「裏面」とは、半導体素子21が搭載される側の面と反対側の面(すなわち
図4の下方を向く面)のことをいう。
【0020】
リードフレームの構成
まず、
図1乃至
図5により、本実施の形態によるリードフレームの概略について説明する。
図1乃至
図5は、本実施の形態によるリードフレームを示す図である。
【0021】
図1乃至
図5に示すリードフレーム10は、半導体装置20(後述)を作製するために用いられるものであり、縦横にマトリックス状に配置された複数のリードフレーム要素14を備えている。
【0022】
各リードフレーム要素14は、それぞれ個々の半導体装置20に対応する領域である。このリードフレーム要素14は、半導体素子21(後述)を載置するダイパッド15と、ダイパッド15の周囲に設けられた複数のリード部16とを含んでいる。なお、
図1および
図2において、二点鎖線で囲まれた領域がそれぞれリードフレーム要素14に対応する。
【0023】
各ダイパッド15は、後述する半導体素子21を載置するためのものであり、平面正方形形状を有している。また、各リード部16は、後述するようにボンディングワイヤ22(後述)を介して半導体素子21に接続されるものであり、ダイパッド15との間に空間を介して配置されている。
図1および
図3に示すように、各リード部16は、矩形形状を有するとともにボンディングワイヤ22に接続される先端部16aと、先端部16aより幅の狭い基端部16bとを有している。
【0024】
ボンディングワイヤ22に接続される先端部16aには、ボンディングワイヤ22との密着性を向上させるめっき部25が設けられている。この場合、めっき部25を構成するめっき種は、ボンディングワイヤ22との密着性を確保できればその種類は問わないが、例えばAgやAuなどの単層めっきでもよいし、Ni/PdやNi/Pd/Auがこの順に積層される複層めっきでもよい。
【0025】
本実施の形態において、ダイパッド15およびリード部16にはハーフエッチング加工が施されておらず、加工前の金属基板と同等の厚みを有している。すなわちダイパッド15の表面とリード部16の表面とは互いに同一平面上に位置し、ダイパッド15の裏面とリード部16の裏面とは互いに同一平面上に位置している。ダイパッド15およびリード部16の厚みは、半導体装置20の構成にもよるが、0.05mm〜0.5mm(0.05mm以上0.5mm以下をいう。以下同様)とすることができる。しかしながら、これに限らず、ダイパッド15および/またはリード部16の一部が、ハーフエッチングにより薄肉化されていても良い。なお、本明細書中、ハーフエッチングとは、被エッチング材料をその厚み方向に途中までエッチングすることをいう。
【0026】
リードフレーム要素14の周囲には、複数のコネクティングバー17が格子状に配置されている。各コネクティングバー17の幅は、その表面側の幅と裏面側の幅のうち広い方で測定し、例えば0.10mm〜0.30mmとすることができる。なお、コネクティングバー17の幅は、計測するための照明を奥側からコネクティングバー17に当て、その幅を手前側から計測する、透過計測法を用いて測定することができる。
【0027】
コネクティングバー17は、ダイパッド15とリード部16とを支持するものであり、それぞれX方向、又はX方向に垂直なY方向に沿って延びている。各コネクティングバーは、それぞれ交差部42において、当該コネクティングバー17に直交する方向に延びる他のコネクティングバー17に連結されている。すなわち交差部42において、X方向に延びるコネクティングバー17と、Y方向に延びるコネクティングバー17とが交わっている。
【0028】
また、各リードフレーム要素14において、ダイパッド15は、ダイパッド15の角部から延びる4本の吊りリード43と、各吊りリード43に連結された連結部材44とを介して、コネクティングバー17に連結されている。
【0029】
さらに、隣接するリードフレーム要素14間において、対応する一対のリード部16がコネクティングバー17を介して連結されている。各コネクティングバー17は、隣接するリードフレーム要素14間において、当該コネクティングバー17に連結されたリード部16の長手方向に対して直交して延びている。
【0030】
本実施の形態において、
図1および
図3に示すように、各コネクティングバー17は、複数のリード連結部18と、リード連結部18間に位置する複数のリード非連結部19とを有している。
【0031】
このうち各リード連結部18は、隣接するリードフレーム要素14同士の間であって、対応する一対のリード部16の間に位置している。例えば
図3において、リード連結部18は、上下に配置された一対のリード部16間に配置されている。
【0032】
また、各リード非連結部19は、隣接するリード連結部18同士の間に位置している。
図1および
図3に示すように、これらリード連結部18およびリード非連結部19は、コネクティングバー17の長手方向に沿って、交互に配置されている。
【0033】
ところで、本実施の形態において、各コネクティングバー17は、コネクティングバー17の表面(一方の面)17a側からコネクティングバー17の長手方向に沿って薄肉化された薄肉部51を有している。本実施の形態において、薄肉部51は、コネクティングバー17の幅方向および長手方向全域にわたって形成されているが、これに限らず、コネクティングバー17の幅方向の一部および/または長手方向の一部のみに形成されていても良い。一方、コネクティングバー17の裏面17bは、ハーフエッチングにより薄肉化されることなく、平坦面となっている。
【0034】
薄肉部51の表面には、複数の突起部52が形成されている。各突起部52は、それぞれコネクティングバー17の長手方向に沿って稜線状に延びている。突起部52は、それぞれ薄肉部51からコネクティングバー17の表面17a側に向けて突出している。本実施の形態では、各コネクティングバー17にそれぞれ2本ずつ突起部52が形成されている。
【0035】
図4および
図5に示すように、一対の突起部52は、各コネクティングバー17の幅方向中央部Cに対して略対称に配置されている。各突起部52は、それぞれ断面が幅を持たない鋭角的な頂部52aを有している。この頂部52aは、コネクティングバー17の表面17aよりも裏面17b側に引っ込んでいる。すなわち頂部52aは、コネクティングバー17の表面17aと同一平面上には位置していない。
【0036】
この場合、頂部52aは、リードフレーム10の厚み(リードフレーム10のうち薄肉化されていない部分(フルメタル部)の厚み)tの2.5%〜50%だけコネクティングバー17の表面17aから引っ込んでいることが好ましい。すなわち
図4において、頂部52aが引っ込んでいる距離をdとしたとき、0.025t<d<0.50tとなっていることが好ましい。このように、頂部52aがコネクティングバー17の表面17aよりも裏面17b側に引っ込んでいることにより、ソーイング加工時(
図8(e))にブレード38に加わる負荷を低減し、切断性を向上させるとともに、ブレード38の摩耗を抑えることができる。なお、頂部52aがリードフレーム10の厚みtの2.5%以上引っ込んでいる場合、頂部52aの高さがリードフレーム10の表面の高さ位置と明確に異なるので、本願発明の効果が得られやすい。また、頂部52aがリードフレーム10の厚みtの50%以下引っ込んでいる場合、コネクティングバー17の厚みがリードフレーム10の厚みの半分以上となるので、エッチング加工時の強度が維持され、リードフレーム10の作成が困難になるおそれがない。
【0037】
なお、リードフレーム10の厚みt(
図4および
図5)は、例えば0.05mm〜0.5mmとすることができる。
【0038】
図4に示すように、リード連結部18において、各コネクティングバー17は、一対の突起部52と、一対の突起部52間に形成された中央溝53と、各突起部52とリード部16との間に形成された側方溝54とを有している。このうち中央溝53および側方溝54は、それぞれコネクティングバー17の裏面17b方向に向けて湾曲するように凹んでいる。各突起部52の高さhは、中央溝53の底面を基準とした場合に、5μm〜15μmとすることが好ましい。
【0039】
また、コネクティングバー17の幅方向中央部Cには中央溝53が設けられており、突起部52は、幅方向中央部Cには設けられていない。このため、ソーイング加工時(
図8(e))に、ブレード38が最初に中央溝53に当接する。これにより、ブレード38が最初に突起部52に当接する場合と比較して、ブレード38の摩耗を抑えることができる。
【0040】
図5に示すように、リード非連結部19において、各コネクティングバー17は、一対の突起部52と、一対の突起部52間に形成された中央溝53と、各突起部52の側方に形成された側方面55とを有している。このうち中央溝53は、コネクティングバー17の裏面17b方向に湾曲するように凹んでいる。一方、各側方面55は、各突起部52からコネクティングバー17の裏面17b側に向けてなだらかに傾斜している。このように、とりわけリード非連結部19において、実質板厚の厚い部分が頂部52aの裾野の領域に形成されることにより、コネクティングバー17の強度を向上させることができる。
【0041】
再度
図1を参照すると、コネクティングバー17の突起部52のうち少なくとも1つは、交差部42において他のコネクティングバー17の突起部52に連結されている。例えば、Y方向に延びるコネクティングバー17の一対の突起部52のうち一方の突起部52は、交差部42からX方向プラス側に延びる他のコネクティングバー17の突起部52に連結されている。また、当該一対の突起部52のうち他方の突起部52は、交差部42からX方向マイナス側に延びる他のコネクティングバー17の突起部52に連結されている。これにより、交差部42で直交するコネクティングバー17同士の強度を高め、コネクティングバー17同士が互いに対して変形する不具合を防止することができる。
【0042】
このようなリードフレーム10は、後述するように金属基板31をエッチング加工することにより形成されたものである。リードフレーム10(金属基板31)の材料としては、例えば銅、銅合金、42合金(Ni42%のFe合金)等を挙げることができる。とりわけ、リードフレーム10のうちコネクティングバー17等の細い部分の変形を防止するため、リードフレーム10(金属基板31)の材料として、例えば引張強度が750MPa〜1100MPaの高強度材を用いることが好ましい。
【0043】
半導体装置の構成
次に、
図6により、本実施の形態によるリードフレームを用いて作製された半導体装置について説明する。
図6は、半導体装置を示す断面図である。
【0044】
図6に示す半導体装置20は、ダイパッド15およびリード部16と、ダイパッド15上に載置された半導体素子21と、リード部16と半導体素子21の電極21aとを電気的に接続するボンディングワイヤ(導電部)22とを備えている。
【0045】
また、ダイパッド15、リード部16、半導体素子21、およびボンディングワイヤ22は、封止樹脂部24によって封止されている。
【0046】
ダイパッド15およびリード部16は、上述したリードフレーム10(
図1乃至
図5)のリードフレーム要素14内に含まれるものと同様であり、その構成については既に説明したので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0047】
半導体素子21としては、従来一般に用いられている各種半導体素子を使用することが可能であり、特に限定されないが、例えば集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード等を用いることができる。
【0048】
また、半導体素子21は、例えばダイボンディングペースト等の固着材26により、ダイパッド15上に固定されている。なお、固着材26がダイボンディングペーストからなる場合、例えばエポキシ樹脂やシリコーン樹脂からなるものを選択することが可能である。
【0049】
各ボンディングワイヤ22は、例えば金、銅等の導電性の良い材料からなっている。各ボンディングワイヤ22は、それぞれその一端が半導体素子21の電極21aに接続されるとともに、その他端が各リード部16にそれぞれ接続されている。なお、リード部16には、ボンディングワイヤ22と密着性を向上させるめっき部25が設けられている。
【0050】
また、封止樹脂部24としては、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、あるいはPPS樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。封止樹脂部24全体の厚みは、300μm〜2700μm程度とすることができる。また、封止樹脂部24の一辺(半導体装置20の一辺)は、例えば8mm〜16mmすることができる。
【0051】
リードフレームの製造方法
次に、
図1乃至
図5に示すリードフレーム10の製造方法について、
図7(a)−(f)を用いて説明する。
図7(a)−(f)は、本実施の形態によるリードフレームの製造方法を示す断面図であって、
図1のVII−VII線断面図に対応する図である。
【0052】
まず
図7(a)に示すように、平板状の金属基板31を準備する。この金属基板31としては、上述のように銅、銅合金、42合金(Ni42%のFe合金)等からなる基板を使用することができる。なお金属基板31は、その両面に対して脱脂等を行い、洗浄処理を施したものを使用することが好ましい。
【0053】
次に、金属基板31の表裏全体にそれぞれ感光性レジスト32a、33aを塗布し、これを乾燥する(
図7(b))。なお感光性レジスト32a、33aとしては、従来公知のものを使用することができる。
【0054】
続いて、この金属基板31に対してフォトマスクを介して露光し、現像することにより、所望の開口部32b、33bを有するエッチング用レジスト層32、33を形成する(
図7(c))。
【0055】
具体的には、金属基板31の表面側において、貫通エッチングを行う部分に対応する部分、およびハーフエッチング加工を行う部分に開口部32bが形成される。他方、金属基板31の裏面側において、貫通エッチングを行う部分に開口部33bが形成される。また、コネクティングバー17の突起部52に対応する位置に、コネクティングバー17の長手方向に沿って部分レジスト32cを設けておく。
【0056】
次に、エッチング用レジスト層32、33を耐腐蝕膜として金属基板31に腐蝕液でエッチングを施す(
図7(d))。腐蝕液は、使用する金属基板31の材質に応じて適宜選択することができる。例えば、金属基板31として銅を用いる場合、通常、塩化第二鉄水溶液を使用し、これは金属基板31の両面からスプレーエッチングにて行うことができる。
【0057】
これにより金属基板31に、それぞれ半導体素子21を載置するダイパッド15と、ダイパッド15の周囲に設けられた複数のリード部16とを含む、複数のリードフレーム要素14が形成される。
【0058】
またこのとき、隣接するリードフレーム要素14同士の間に、複数のリード連結部18と複数のリード非連結部19とを有するコネクティングバー17が形成される。この際、コネクティングバー17に、コネクティングバー17の長手方向に沿って薄肉部51が形成される。
【0059】
さらに、上述したように、コネクティングバー17の表面17a側には、予め部分レジスト32cが設けられている。これにより、金属基板31に対して腐蝕液でエッチングを行った際、部分レジスト32cの両側から腐蝕液が回り込んで、薄肉部51に突起部52が形成される(
図7(d))。なお、部分レジスト32cは、金属基板31が浸食されるのに伴って、エッチングの途中で除去される。このようにして、薄肉部51の表面に、コネクティングバー17の長手方向に沿って延びる複数の突起部52が形成される。
【0060】
次いで、エッチング用レジスト層32、33を剥離して除去する(
図7(e))。なお、本実施の形態においては、金属基板31の両面側からスプレーエッチングを行う場合を例にとって説明したが、これに限られるものではない。例えば、金属基板31の片面ずつ2段階のスプレーエッチングを行っても良い。
【0061】
次に、ボンディングワイヤ22とリード部16との密着性を向上させるため、リード部16にメッキ処理を施し、めっき部25を形成する(
図7(f))。この場合、選択されるメッキ種は、ボンディングワイヤ22との密着性を確保できればその種類は問わないが、たとえばAgやAuなどの単層めっきでもよいし、Ni/PdやNi/Pd/Auがこの順に積層される複層めっきでもよい。また、めっき部25は、リード部16のうちボンディングワイヤ22との接続部のみに施してもよいし、リードフレーム10の全面に施してもよい。
【0062】
このようにして、
図1乃至
図5に示すリードフレーム10が得られる。
【0063】
半導体装置の製造方法
次に、
図6に示す半導体装置20の製造方法について、
図8(a)−(f)により説明する。
図8(a)−(f)は、本実施の形態による半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0064】
まず、例えば上述した工程により(
図7(a)−(f))、ダイパッド15と、ダイパッド15の周囲に設けられた複数のリード部16とを備えたリードフレーム10を作製する(
図8(a))。
【0065】
次に、リードフレーム10のダイパッド15上に、半導体素子21を搭載する。この場合、例えばダイボンディングペースト又は半田等の固着材26を用いて、半導体素子21をダイパッド15上に載置して固定する(ダイアタッチ工程)(
図8(b))。
【0066】
次いで、半導体素子21の電極21aと、リードフレーム10の各リード部16とを、それぞれボンディングワイヤ22によって互いに電気的に接続する(ワイヤボンディング工程)(
図8(c))。
【0067】
その後、リードフレーム10に対して熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を射出成形またはトランスファ成形することにより、封止樹脂部24を形成する(
図8(d))。このようにして、封止樹脂部24を用いてダイパッド15、リード部16、半導体素子21、およびボンディングワイヤ22を封止する。
【0068】
次に、各リードフレーム要素14間のコネクティングバー17をソーイングすることにより、リードフレーム10を各リードフレーム要素14毎に分離する(
図8(e))。
【0069】
このとき、まずリードフレーム10をテープ37上に載置して固定する。その後、例えばダイヤモンド砥石等からなるブレード38をコネクティングバー17の長手方向に沿って移動することにより、各リードフレーム要素14間のコネクティングバー17および封止樹脂部24が切断される。本実施の形態において、コネクティングバー17の幅方向中央部Cには中央溝53が設けられており、突起部52は、幅方向中央部Cには設けられていない。このため、コネクティングバー17を切断する際、ブレード38は、最初に突起部52間に位置する中央溝53に当接する。これにより、ブレード38が最初に突起部52に当接する場合と比較して、ブレード38による力が一箇所に集中することなく、ブレード38の摩耗を軽減することができる。
【0070】
このようにして、
図2に示す半導体装置20を得ることができる(
図8(f))。
【0071】
本実施の形態の作用効果
本実施の形態によれば、コネクティングバー17の薄肉部51に、コネクティングバー17の長手方向に沿って延びる複数の突起部52が形成されている。すなわち、コネクティングバー17の一部の板厚を、加工前の金属基板31に近い厚みまで残すことにより、コネクティングバー17の強度を維持している。これにより、例えばエッチング工程(
図7(d))の後、あるいはめっき処理工程(
図7(f))の後に、コネクティングバー17が変形してしまう不具合を防止することができる。とりわけ、本実施の形態において、各コネクティングバー17にそれぞれ2本ずつ突起部52が形成されていることにより、突起部52をブレード38が当接する位置から外すことができる。また、コネクティングバー17の断面積を増やすことができる。特に、上述したように、突起部52の頂部52aをリードフレーム10の表面よりも低くした場合にも、その分の断面積の損失を補うことができる。
【0072】
一方、比較例として、コネクティングバー17の幅を広くすることも考えられる。しかしながら、この場合、ソーイングするためのブレード38の幅を広くする必要が生じ、製造コストが上昇したり、ブレード38の消耗につながったりするおそれがある。本実施の形態においては、コネクティングバー17の薄肉部51上に突起部52を形成し、コネクティングバー17の厚みが厚い部分を多く残すことにより、コネクティングバー17の幅を広くしなくても、その変形を抑制することができる。
【0073】
また本実施の形態によれば、各コネクティングバー17に、それぞれコネクティングバー17の長手方向に沿って薄肉化された薄肉部51が形成されている。このことにより、コネクティングバー17の全長に渡ってその垂直断面の面積を減少させ、ソーイング加工時にリード部16の周囲に生じるバリの量を減少させることができる。
【0074】
とりわけ、多ピン化により半導体装置20のパッケージサイズを大型化した場合(例えば5mm□以上とした場合)、これに伴いコネクティングバー17の長さも長くなるため、上述したコネクティングバー17の変形防止という効果を顕著に得ることができる。このように、本実施の形態によれば、ソーイング加工時におけるバリの発生を抑えつつ、コネクティングバー17の変形を防止することが可能となる。
【0075】
さらに本実施の形態によれば、突起部52がコネクティングバー17の表面側に設けられている。このため、ダイシングによりコネクティングバー17を切断する際、ブレード38(
図8(e))は、まず突起部52に当接し、その後徐々に広い面積で金属部分に接触するように厚み方向に進入する。これにより、ブレード38による切断の負荷を最小限に抑えることができる。
【0076】
本実施の形態においては、突起部52は稜線状に形成されており、コネクティングバーの幅方向に沿って幅を有していない。そのため、ブレード38(
図8(e))が初めに当接する際のブレード38とコネクティングバーの接触面積を小さくすることができる。これにより、ブレード38による切断の負荷を最小限に抑えることができる。
【0077】
変形例
次に、
図9乃至
図14により、本実施の形態によるリードフレームの変形例について説明する。
図9および
図14において、
図1乃至
図8に示す実施の形態と同一部分には同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0078】
変形例1
図9は、本実施の形態の変形例(変形例1)を示す部分拡大平面図である。
図9において、
図1乃至
図8に示す実施の形態と異なり、コネクティングバー17は、その長手方向に終端する終端部17cを有している。この場合、コネクティングバー17の終端部17cは、それぞれ連結部材44に連結されている。また終端部17cは、当該コネクティングバー17に直交する方向に延びる他のコネクティングバー17から離間して配置されている。すなわち連結部材44によって囲まれた開口領域45が形成されており、X方向およびY方向に延びる合計4本のコネクティングバー17の終端部17cが、開口領域45周縁に配置されている。これにより、コネクティングバー17の終端部17cの周囲に存在する金属量を減らし、ソーイング時におけるブレード38の消耗を抑えることができる。
【0079】
変形例2
図10は、本実施の形態の変形例(変形例2)を示す断面図(
図4に対応する図)である。
図10において、
図1乃至
図8に示す実施の形態と異なり、薄肉部51は、コネクティングバー17の裏面17bに形成されている。この場合、ソーイング時に発生するバリが、半導体装置20の裏面側に突出することを抑えることができる。
【0080】
変形例3
図11は、本実施の形態の変形例(変形例3)を示す断面図(
図4に対応する図)である。
図11において、
図1乃至
図8に示す実施の形態と異なり、コネクティングバー17に4本の突起部52が形成されている。なお、各コネクティングバー17に形成される突起部52の本数は、3本あるいは5本以上としても良い。
【0081】
変形例4
図12は、本実施の形態の変形例(変形例4)を示す断面図(
図4に対応する図)である。
図12において、
図1乃至
図8に示す実施の形態と異なり、コネクティングバー17に1本の突起部52が形成されている。この場合、ソーイング加工時に、ブレード38の面方向内側部分のみがリードフレーム10と当接するため、ブレード38の摩耗を低減することができる。
【0082】
変形例5
図13および
図14(a)(b)は、本実施の形態の変形例(変形例5)を示す図である。本変形例において、各コネクティングバー17には、1本の突起部52が形成されている。
図13に示すように、コネクティングバー17のうち、互いに隣接するリード部16同士の間には端子間領域Raが形成され、コネクティングバー17のうち、交差部42と、交差部42に最も近いリード部16との間には端子外領域Rbが形成されている。
【0083】
この場合、コネクティングバー17は、長さ方向に沿って異なる幅を有している。具体的には、コネクティングバー17の幅は、端子間領域Ra(幅w
a)よりも、端子外領域Rb(幅w
b)の方が広くなっている(w
b>w
a)。これにより、コネクティングバー17のうち、リード部16が連結されておらず、変形が生じやすい箇所である端子外領域Rbを強化することができる。なお、コネクティングバー17は、長さ方向中央部側から交差部42に近づくにつれて、徐々に太くなるように形成されていても良い。また、上記に限らず、端子外領域Rbの幅w
bは、端子間領域Raの幅w
aの80%〜120%としてもよい(0.80w
a≦w
b≦1.20w
a)。
【0084】
また、突起部52の頂部52aは、長さ方向に沿って異なる高さを有している。具体的には、
図14(a)(b)に示すように、コネクティングバー17の裏面17bから測定した突起部52の頂部52aの高さは、端子間領域Ra(高さh
a)よりも、端子外領域Rb(高さh
b)の方が高くなっている(h
a<h
b)。これにより、コネクティングバー17のうち、変形が生じやすい箇所である端子外領域Rbを強化することができ、コネクティングバー17の変形を防止することができる。なお、突起部52の頂部52aは、長さ方向中央部側から交差部42に近づくにつれて、徐々に高さが高くなるように形成されていても良い。
【0085】
また、本実施の形態において、突起部52の頂部52aの高さは、リード連結部18よりも、リード非連結部19の方が高くなっていることが好ましい。これにより、リード部16が連結されておらず、変形が生じやすい箇所であるリード連結部18における強度を向上させることができ、コネクティングバー17の変形を防止することができる。
【0086】
なお、
図13および
図14(a)(b)において、各コネクティングバー17に形成される突起部52は2本以上であっても良い。また、
図13および
図14(a)(b)に示すコネクティングバー17を、
図1乃至
図12に示す各リードフレーム10に適用しても良い。
【0087】
図9乃至
図14に示す各変形例においても、
図1乃至
図8に示す実施の形態と同様、ソーイング加工時におけるバリの発生を抑えつつ、コネクティングバー17の変形を防止することができる。