特許第6610099号(P6610099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6610099
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】ミラーユニット及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/12 20060101AFI20191118BHJP
   B60R 1/06 20060101ALI20191118BHJP
   B60Q 1/00 20060101ALI20191118BHJP
   G09F 13/18 20060101ALI20191118BHJP
   G09F 19/12 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   B60R1/12 Z
   B60R1/06 D
   B60Q1/00 G
   G09F13/18 Z
   G09F19/12 Z
【請求項の数】13
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2015-174796(P2015-174796)
(22)【出願日】2015年9月4日
(65)【公開番号】特開2017-47850(P2017-47850A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大角 吉正
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 勇司
(72)【発明者】
【氏名】田中 景一朗
(72)【発明者】
【氏名】山末 利紀
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−234022(JP,A)
【文献】 特表平01−502458(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0164230(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/12
B60Q 1/00
B60R 1/06
G09F 13/18
G09F 19/12
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付け可能なミラーユニットであって、
表面から進入した外部からの光を表面側へ反射するミラー部材と、
像を表示する表示装置と
を備え、
前記表示装置は、
光を発する光源と、
前記光源から入光した光を導く導光部材と
を備え、
前記導光部材は、
入光した光を出射する出射面と、
入光した光の光路を出射面側へ変更し、自部材の外部の収束点若しくは収束線に収束する方向、又は自部材の外部の収束点若しくは収束線から発散する方向へ出射して自部材の外部に結像させる複数の光収束部と
を有し、
前記ミラー部材の表面側に、前記光収束部が結像させるように、前記ミラー部材及び前記導光部材は配置されている
ことを特徴とするミラーユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のミラーユニットであって、
前記導光部材は、
面状をなし、
前記ミラー部材の表面側に、前記ミラー部材に重ねて配置されている
ことを特徴とするミラーユニット。
【請求項3】
請求項1に記載のミラーユニットであって、
前記ミラー部材は、
薄板状をなし、一方の面が前記表面となる透光部と、
前記透光部の他方の面に形成され、表面側から進入して透光部を透過した外部からの光を表面側へ反射する反射層と
を備え、
前記導光部材は、
前記ミラー部材の他方の面側に配置されている
ことを特徴とするミラーユニット。
【請求項4】
車両に取り付け可能なミラーユニットであって、
像を表示する表示装置を備え、
前記表示装置は、
光を発する光源と、
面状をなし、前記光源から入光した光を導く導光部材と
を備え、
前記導光部材は、
前記光源から入光した光を出射する出射面と、
前記光源から入光した光の光路を出射面側へ変更し、自部材の外部の収束点若しくは収束線に収束する方向、又は自部材の外部の収束点若しくは収束線から発散する方向へ出射して自部材の外部に結像させる複数の光収束部と
を有し、
前記導光部材の出射面と相対する反対側の面に形成され、出射面側から進入して前記導光部材を透過した外部からの光を出射面側へ反射する反射層を有する ことを特徴とするミラーユニット。
【請求項5】
車両に取り付け可能なミラーユニットであって、
像を表示する表示装置を備え、
前記表示装置は、
光を発する光源と、
面状をなし、前記光源から入光した光を導く導光部材と
を備え、
前記導光部材は、
前記光源から入光した光を出射する出射面と、
前記光源から入光した光の光路を出射面側へ変更し、自部材の外部の収束点若しくは収束線に収束する方向、又は自部材の外部の収束点若しくは収束線から発散する方向へ出射して自部材の外部に結像させる複数の光収束部と
を有し、
前記導光部材の出射面と相対する反対側の面に形成され、出射面側から進入して前記導光部材を透過した外部からの光を透過させる透光層と、
前記透光層を透過した外部からの光を、前記出射面側へ反射する反射層と
を有する
ことを特徴とするミラーユニット。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のミラーユニットであって、
前記光収束部は、
前記出射面と平行な方向以外の方向に広がりを有する像が表示されるように光を結像させる
ことを特徴とするミラーユニット。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のミラーユニットであって、
前記光収束部は、
方向を示す像が表示されるように光を結像させる
ことを特徴とするミラーユニット。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のミラーユニットであって、
前記導光部材を複数備え、
前記各導光部材は、それぞれ異なる像が表示されるように光を結像させる
ことを特徴とするミラーユニット。
【請求項9】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のミラーユニットであって、
前記導光部材を複数備え、
前記各導光部材は、それぞれ異なる方向を示す像が表示されるように光を結像させる
ことを特徴とするミラーユニット。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のミラーユニットであって、
一の前記導光部材に対して光を発する光源は複数であり、
前記導光部材が有する複数の光収束部は、
第1の光源から入光した光の光路を変更して第1の像が表示されるように光を結像させる第1の光収束部群と、前記第1と異なる第2の光源から入光した光の光路を変更して第2の像が表示されるように光を結像させる第2の光収束部群とを含む
ことを特徴とするミラーユニット。
【請求項11】
請求項10に記載のミラーユニットであって、 前記第1の光収束部群及び第2の光収束部群は、それぞれ異なる像が表示されるように光を結像させる
ことを特徴とするミラーユニット。
【請求項12】
請求項10に記載のミラーユニットであって、
前記第1の光収束部群及び第2の光収束部群は、それぞれ異なる方向を示す像が表示されるように光を結像させる
ことを特徴とするミラーユニット。
【請求項13】
車両に取り付けられたミラーユニットに収容可能な表示装置であって、
光を発する光源と、
前記光源から入光した光を導く導光部材と
を備え、
前記導光部材は、
入光した光を出射する出射面と、
入光した光の光路を出射面側へ変更し、自部材の外部の収束点若しくは収束線に収束する方向、又は自部材の外部の収束点若しくは収束線から発散する方向へ出射して自部材の外部に結像させる複数の光収束部と
を有する
ことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に取り付け可能なミラーユニット、及びそのようなミラーユニットを実現するための表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に取り付けられ、運転者に向けて警告光を発する表示装置付のミラーユニットが開発されている。例えば、特許文献1は、透明ガラス基板の背後に光指向筒を設け、光指向筒の後端にLEDを配置することにより、指向性を強め、運転者から視認し易く、他からは認識し難い警告シンボルを表示させる車両用後写鏡を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−83631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている車両用後写鏡等の従来のミラーユニットでは、鏡面に警告シンボルを表示させるため、短時間での情報の認識が要求される運転中においては、表現方法が限られることから、更なる改善が要求されていた。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、外部の収束点若しくは収束線に収束する方向、又は外部の収束点若しくは収束線から発散する方向へ出射して外部に結像させる複数の光収束部を設けることにより、情報伝達の表現を拡大することが可能なミラーユニットの提供を主たる目的とする。
【0006】
また、本発明は、本発明に係るミラーユニットを実現するための表示装置の提供を他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した問題を解決するため、本願記載のミラーユニットは、車両に取り付け可能なミラーユニットであって、表面から進入した外部からの光を表面側へ反射するミラー部材と、像を表示する表示装置とを備え、前記表示装置は、光を発する光源と、前記光源から入光した光を導く導光部材とを備え、前記導光部材は、入光した光を出射する出射面と、入光した光の光路を出射面側へ変更し、自部材の外部の収束点若しくは収束線に収束する方向、又は自部材の外部の収束点若しくは収束線から発散する方向へ出射して自部材の外部に結像させる複数の光収束部とを有し、前記ミラー部材の表面側に、前記光収束部が結像させるように、前記ミラー部材及び前記導光部材は配置されていることを特徴とする。
【0008】
また、本願記載のミラーユニットは、前記導光部材は、面状をなし、前記ミラー部材の表面側に、前記ミラー部材に重ねて配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、本願記載のミラーユニットは、前記ミラー部材は、薄板状をなし、一方の面が前記表面となる透光部と、前記透光部の他方の面に形成され、表面側から進入して透光部を透過した外部からの光を表面側へ反射する反射層とを備え、前記導光部材は、前記ミラー部材の他方の面側に配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、本願記載のミラーユニットは、像を表示する表示装置を備え、前記表示装置は、光を発する光源と、面状をなし、前記光源から入光した光を導く導光部材とを備え、前記導光部材は、前記光源から入光した光を出射する出射面と、前記光源から入光した光の光路を出射面側へ変更し、自部材の外部の収束点若しくは収束線に収束する方向、又は自部材の外部の収束点若しくは収束線から発散する方向へ出射して自部材の外部に結像させる複数の光収束部とを有し、前記導光部材の出射面と相対する反対側の面に形成され、出射面側から進入して前記導光部材を透過した外部からの光を出射面側へ反射する反射層を有することを特徴とする。
【0011】
また、本願記載のミラーユニットは、車両に取り付け可能なミラーユニットであって、像を表示する表示装置を備え、前記表示装置は、光を発する光源と、面状をなし、前記光源から入光した光を導く導光部材とを備え、前記導光部材は、前記光源から入光した光を出射する出射面と、前記光源から入光した光の光路を出射面側へ変更し、自部材の外部の収束点若しくは収束線に収束する方向、又は自部材の外部の収束点若しくは収束線から発散する方向へ出射して自部材の外部に結像させる複数の光収束部とを有し、前記導光部材の出射面と相対する反対側の面に形成され、出射面側から進入して前記導光部材を透過した外部からの光を透過させる透光層と、前記透光層を透過した外部からの光を、前記出射面側へ反射する反射層とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本願記載のミラーユニットは、前記光収束部は、前記出射面と平行な方向以外の方向に広がりを有する像が表示されるように光を結像させることを特徴とする。
【0013】
また、本願記載のミラーユニットは、前記光収束部は、方向を示す像が表示されるように光を結像させることを特徴とする。
【0014】
また、本願記載のミラーユニットは、前記導光部材を複数備え、前記各導光部材は、それぞれ異なる像が表示されるように光を結像させることを特徴とする。
【0015】
また、本願記載のミラーユニットは、前記導光部材を複数備え、前記各導光部材は、それぞれ異なる方向を示す像が表示されるように光を結像させることを特徴とする。
【0016】
また、本願記載のミラーユニットは、一の前記導光部材に対して光を発する光源は複数であり、前記導光部材が有する複数の光収束部は、第1の光源から入光した光の光路を変更して第1の像が表示されるように光を結像させる第1の光収束部群と、前記第1と異なる第2の光源から入光した光の光路を変更して第2の像が表示されるように光を結像させる第2の光収束部群とを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本願記載のミラーユニットは、前記第1の光収束部群及び第2の光収束部群は、それぞれ異なる像が表示されるように光を結像させることを特徴とする。
【0018】
また、本願記載のミラーユニットは、前記第1の光収束部群及び第2の光収束部群は、それぞれ異なる方向を示す像が表示されるように光を結像させることを特徴とする。
【0019】
更に、本願記載の表示装置は、車両に取り付けられたミラーユニットに収容可能な表示装置であって、光を発する光源と、前記光源から入光した光を導く導光部材とを備え、前記導光部材は、入光した光を出射する出射面と、入光した光の光路を出射面側へ変更し、自部材の外部の収束点若しくは収束線に収束する方向、又は自部材の外部の収束点若しくは収束線から発散する方向へ出射して自部材の外部に結像させる複数の光収束部とを有することを特徴とする。
【0020】
本願記載のミラーユニット等では、車両に取り付けられるミラーに複数の光収束部を有し、結像させた像を表示させることが可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、車両に取り付けられるミラーにおいて、入光した光の進路を出射面側へ変更し、外部の収束点若しくは収束線に収束する方向、又は外部の収束点若しくは収束線から発散する方向へ出射して外部に結像させる複数の光収束部を設ける。これにより、鏡面から離れた空間にも像を表示することができるので、運転中でも短時間で認識可能な情報の表示等の様々な表現を可能とする等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る表示装置を、空間上に形成される像と共に概略的に例示する説明図である。
図2】本発明に係る表示装置の断面及び光路の概略を模式的に例示する概念図である。
図3】本発明に係る表示装置の断面及び光路の概略を模式的に例示する概念図である。
図4】本発明に係るミラーユニットの外観及び表示される像の一例を示す概略斜視図である。
図5】本発明に係るミラーユニットを適用した車載システムの一例を示す概略平面図である。
図6】本発明に係るミラーユニットを適用した車載システムの制御構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係るミラーユニットの内部構造の一部を概略的に示す概略斜視図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係るミラーユニットの内部構造の一例を概略的に示す概略正面図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係るミラーユニットの内部構造の一例を概略的に示す概略断面図である。
図10】本発明の第1の実施形態に係るミラーユニットが備えるミラー部材の内部構造の一例を示す概略断面図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係るミラーユニットの内部構造の一例を概略的に示す概略断面図である。
図12】本発明の第1の実施形態に係るミラーユニットが備える表示装置に関する光路の例を示す概略模式図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係るミラーユニットの内部構造の一例を概略的に示す概略断面図である。
図14】本発明の第2の実施形態に係るミラーユニットの内部構造の一例を概略的に示す概略断面図である。
図15】本発明の第2の実施形態に係るミラーユニットが備える表示装置に関する光路の例を示す概略模式図である。
図16】本発明の第3の実施形態に係るミラーユニットの内部構造の一例を概略的に示す概略断面図である。
図17】本発明の第3の実施形態に係るミラーユニットが備える表示装置に関する光路の例を示す概略模式図である。
図18】本発明の第4の実施形態に係るミラーユニットが備える表示装置に関する光路の例を示す概略模式図である。
図19】本発明の第5の実施形態に係る表示装置を、空間上に形成される像と共に概略的に例示する説明図である。
図20】本発明の第5の実施形態に係るミラーユニットの外観及び表示される像の一例を示す概略斜視図である。
図21】本発明の第5の実施形態に係るミラーユニットの内部構造の一例を概略的に示す概略断面図である。
図22】本発明の第6の実施形態に係るミラーユニットの内部構造の一例を概略的に示す概略断面図である。
図23】本発明の第7の実施形態に係るミラーユニットの内部構造の一例を概略的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具現化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0024】
<表示装置の原理>
本発明に係るミラーユニットは、乗用車等の車両に、例えばドアミラーとして搭載され、内蔵している表示装置により、鏡面から離れた空間にも光を収束させて像を形成することができる。先ず、空間上に像を形成する原理について説明する。図1は、本発明に係る表示装置を、空間上に形成される像と共に概略的に例示する説明図である。なお、分かり易く説明することを目的として、説明に用いる図は、概略的、かつ模式的に示している。また、説明に用いる図は、各部材の縦横比、部材間の大きさの比等も含め実際のスケール比で描かれていない場合がある。
【0025】
表示装置1は、光を発する光源10と、光源10から入光した光を導く導光板(導光部材)11とを備えている。光源10は、LED等の発光素子を用いて構成されており、発光により発せられた光は、導光板11に入光する。導光板11は、透明で屈折率が高いポリカーボネート樹脂(PC)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)等の樹脂材料、ガラス等の無機材料等の材料を用いて、可撓性を有する薄膜状、硬質の板状等の長方形の面状に形成されている。ここでいう面状とは、図1に例示するように、二次元に広がる面方向(XY面)に比べ、その方向に直交する厚さ方向(Z軸方向)の長さ(厚み)が小さい形状を示す。即ち、導光板11は、直方体状に形成されているが、二次元に広がる面状となる長手方向(X軸方向)及び短手方向(Y軸方向)に比べて、厚み方向(Z軸方向)の長さが小さい形状となっている。
【0026】
導光板11の長手方向の一端側の面、即ち、長方形の短辺及び厚み方向の辺により構成される面のうちの一方は、光源10が取り付けられた入光端面12となっており、光源10から発せられた光は、入光端面12から導光板11内に入光する。導光板11は、入光端面12から導光板11内に入光した光を、面状に広げて導く。また、面状をなす導光板11は、光源10から入光した光を出射する出射面13と、出射面13に相対する反対側の背面14とを有する。
【0027】
なお、以降の説明において、必要に応じてX軸、Y軸及びZ軸の右手系の直交座標系を用いる。X軸は、導光板11の短手方向、即ち、長方形の短辺方向である。Y軸は、導光板11の長手方向、即ち、長方形の長辺方向であり、入光端面12側から相対する端面への方向を正方向とする。Z軸は、導光板11の厚み方向であり、背面14から出射面13への方向を正方向とする。なお、導光板11を折り曲げて使用する等、平面的な使用ではない場合、出射面13の主要部分を含む面又はその面に近似される面を基準にX軸、Y軸及びZ軸を用いるものとする。
【0028】
導光板11の背面14には、図中、光収束部15a,15b,15c,…として示す複数の光収束部15が形成されている。各光収束部15は、入光端面12から入光した光の進路、即ち光路を出射面13側へ変更する部位である。ここでは光収束部15として、入光端面12から入光した光を反射する反射面150(図2の150x,150y、図3の150x1,150x2,150x3参照)等の光学面を導光板11内に形成した形態を示しており、例えば、背面14に斜交する切り欠きを形成することにより、切り欠きによる斜面が反射面150として機能する。光収束部15の反射面150はX軸方向に実質的に連続して形成されている。具体的には、複数の光収束部15aが、線16aに沿って形成され、複数の光収束部15bが、線16bに沿って形成され、複数の光収束部15cが、線16cに沿って形成されている。図示しない他の光収束部15についても同様である。ここで、線16(線16a,16b,16c,…)は、背面14においてX軸に略平行に延びる仮想上の直線である。任意の光収束部15,15,…は、X軸に略平行な直線16に沿って実質的に連続的に形成されており、導光板11に入光した光は、X軸方向に並ぶ各光収束部15,15,…へと導かれる。
【0029】
光収束部15は、光路を変更する反射面150等の構成を有しており、光収束部15の反射面150に入射した光の進路を変更し、出射面13から出射して各光収束部15にそれぞれ対応する収束点Pに実質的に収束させる。図1では、光収束部15の一部として、光収束部15a,15b,15c,…を例示しており、光収束部15a,15b,15c,…のそれぞれにおいて、光収束部15a,15b,15c,…のそれぞれにて光路を変更された複数の光線が収束点Pa,Pb,Pc,…にそれぞれ収束する様子が示されている。そして、各光収束部15が各収束点Pに光線を収束させて結像することにより、像17が形成される。
【0030】
具体的には、線16a,16b,16c,…のうちの任意の線16上の複数の光収束部15は、像17上の収束点Pに対応する。任意の線16上の複数の光収束部15の各位置からの光線は、例えば、各反射面150等の光学面での反射によりそれぞれ光路が変更され出射面13から出射して収束点Pに収束する。従って、複数の光収束部15からの光の波面は、収束点Pから発するような光の波面となる。例えば、線16a上の複数の光収束部15aは、像17上の収束点Paに対応する。線16a上の複数の光収束部15aへそれぞれ導かれる光線は、各光収束部15aにて光路が変更され出射面13から出射して収束点Paに収束する。他の線16上の複数の光収束部15にて反射される光も同様に収束点Pに収束する。これにより、任意の光収束部15によって、対応する収束点Pから光が発するような光の波面を提供できる。各光収束部15が対応する収束点Pは互いに異なり、光収束部15にそれぞれ対応する複数の収束点Pの集まりによって、空間上に認識される像17が形成される。このようにして、表示装置1は空間上に立体像として像17を投影する。なお、図1に例示した像17は、線で描かれる立体像であり、像17を描く線は、光収束部15にそれぞれ対応する複数の収束点Pの集まりによって形成される。
【0031】
表示装置1は、出射面13から出射する光を結像することにより、立体像としての像17を形成する。像17は、視認者によって空間上に認識される立体像である。なお、本願において説明する立体像とは、表示装置1の外部で出射面13とは異なる位置にあるように認識される像17をいう。立体像は、三次元像だけでなく、例えば、表示装置1の出射面13から離れた位置に認識される二次元像をも含む。即ち、本願でいう立体像とは、立体的な形状として認識される像17だけでなく、表示装置1の出射面13上とは異なる位置に認識される二次元の形状の像17も含む概念であり、表示装置1の導光板11から飛び出した様に視認される像17を示している。
【0032】
導光板11によって導かれている光は、導光板11内の各位置と光源10とを結ぶ方向に指向性を有し、導光板11内の各位置と光源10とを結ぶ方向に直交する広がりを有しない。光収束部15が光源10から離れた位置に設けられている場合、導光板11によって導かれている光は、光収束部15が設けられた位置において、概ねY軸方向に指向性を有し、X軸方向に広がりを有しない。従って、例えば収束点Pを含みXZ平面に平行な面では、光収束部15からの光は実質的に1つの収束点Pに収束する。
【0033】
なお、光収束部15に入射する光にZ軸方向に広がりがある場合、光収束部15からの光は、空間上の収束点Pを含む、Y軸に沿う収束線上に収束する。しかしながら、実施形態を分かり易く説明することを目的として、適宜、XZ面内における光の収束に注目し、光収束部15からの光が収束点Pに収束するとして説明する。
【0034】
図2及び図3は、本発明に係る表示装置1の断面及び光路の概略を模式的に例示する概念図である。図2は、YZ面に平行な断面を示しており、図3は、XZ面に平行な断面を観察者によって視認される像17と共に示している。図2及び図3は、導光板11の出射面13側(Z軸正方向)だけで無く、背面14側(Z軸負方向)にも広がる矢印を模した像17を形成する例について示している。図2及び図3に示す例では、矢印を模した像17は、矢印の前部が出射面13側から飛び出し、矢印の後部が背面14側から飛び出しているように視認される。
【0035】
図2に示すように、光源10は、導光板11の入光端面12に取り付けられており、また、入光端面12と、出射面13とは略直交している。また出射面13に相対する面は背面14となっており、背面14も入光端面12と略直交している。背面14は、出射面13に略平行で平坦な面と、光収束部15(15x,15y)の反射面150(150x,150y)を形成する傾斜した面とを備えている。背面14の平坦な面は、出射面13と共に、入光端面12から導光板11が入光した光を双方で全反射させながら導き、導光板11内の光を面状に広げる機能を有している。光収束部15の傾斜した反射面150は、導光板11が入光した光を反射させ、出射面13側へ光路を変更させる。
【0036】
即ち、光源10から発せられ、導光板11が入光端面12から入光した光は、出射面13及び背面14の間で全反射を繰り返しながら、導光板11内に閉じ込められた状態で導かれ面状に伝搬する。また、導光板11内で伝搬する光が光収束部15を形成する反射面150のいずれかに達した場合、反射面150で反射され、光は出射面13から外部へ出射される。
【0037】
図2及び図3に示すように、一の線16上に位置する複数の光収束部15x(光収束部15x1,15x2,15x3,…)は、それぞれ反射面150x1,150x2,150x3,…を含む。一の線16上に位置する複数の光収束部15xのそれぞれの反射面150x1,150x2,150x3,…は、出射面13側の収束点P1に収束する方向へ向けて出射面13側へ光を反射させる。また、他の線16上に位置する複数の光収束部15y(光収束部15y1,15y2,15y3,…)は、それぞれ反射面150y1,150y2,150y3,…を含む。また、他の線16上に位置する複数の光収束部15yのそれぞれの反射面150y1,150y2,150y3,…は、背面14側の収束点P2から発散する方向となるように、出射面13側へ光を反射させる。従って、図3のうち括弧書きで記載した光収束部15y2の反射面150y2及び光収束部15y3の反射面150y3の傾きは、図3とは反対となり、導光板11の端部側に向けて傾斜する。
【0038】
反射面150x1,150x2,150x3,…等の反射面150xは、光源10からの光を、各反射面150x上の点と収束点P1とを結ぶ直線に沿う方向へそれぞれ反射させる。各反射面150xが反射した光線は、収束点P1に収束する。このように、各光収束部15xがそれぞれ含む複数の反射面150xは、光源10から入光した光を、それぞれの反射面150x上の点と収束点P1とを結ぶ直線に沿う方向に反射させる。従って、表示装置1は、収束点P1から、位置V2から位置V1を通って位置V3までの範囲内のどの位置へも向かう光を提供することができる。このような収束点P1は、出射面13側に飛び出したように認識される像17を形成する。
【0039】
反射面150y1,150y2,150y3,…等の反射面150yは、光源10から入光した光を、反射面150y上の点と収束点P2とを結ぶ直線に沿う方向へそれぞれ反射させる。各反射面150yが反射した光線を、それぞれ光線の進む方向と反対の方向へ延長した場合、各光線の延長線は、収束点P2に収束する。このように、各光収束部15yがそれぞれ含む複数の反射面150yは、光源10から入光した光を、それぞれの反射面150y上の点と収束点P2とを結ぶ直線に沿う方向に反射させる。従って、表示装置1は、収束点P2から、位置V2から位置V1を通って位置V3までの範囲内のどの位置へも向かう光を提供することができる。このような収束点P2は、出射面13の反対側(背面14側)に飛び出したように認識される像17を形成する。
【0040】
以上のように、導光板11は、互いに異なる点を収束点Pとする光収束部15を複数有しており、収束点P1及び収束点P2を含む複数の収束点Pの集まりによって、立体像として像17を形成することができる。即ち、導光板11は、入光した光の進路を出射面13側へ変更し、外部の収束点P1若しくは収束線に収束する方向、又は外部の収束点P2若しくは収束線から発散する方向へ出射して外部に結像させる複数の光収束部15を備えている。そして、表示装置1は、複数の収束点P又は収束線の集まりにより、観察者から視認可能な立体像として像17を導光板11の外部に結像させることができる。
【0041】
換言すれば以下のように表現することができる。即ち、光源10から発せられた光が入光する導光板11は、出射面13に平行な面内で光を導く。導光板11には、出射面13に並行な面内において導光板11の導光方向(Y軸方向)に直交する方向(X軸方向)に長さをもった複数の光収束部15が形成されている。複数の光収束部15のそれぞれは、出射面13に並行な面に投影した法線の方向がそれぞれの光収束部15の長さ方向(X軸方向)に沿って連続的又は断続的に変化する光学面を有している。導光板11によって導かれた光は、光学面で反射されることによって空間上の一つの収束点P若しくは収束線に実質的に収束する又は空間上の一つの収束点P若しくは収束線から実質的に発散する方向の出射光として出射面13から出射される。収束点P若しくは収束線は、Y軸上の位置が異なる複数の光収束部15のそれぞれの間で互いに異なり、複数の収束点P若しくは収束線の集まりによって空間上に像17が形成される。
【0042】
なお、図2及び図3並びにこれらの図を用いた説明では、立体像を形成する基本原理を説明するため、出射面13側及び背面14側の双方に飛び出すように視認される立体像について説明したが、図1に例示するように一方の側の面からのみ飛び出すように視認される立体像を形成するようにしても良い。
【0043】
また、ここでは、光収束部15として、反射面150を形成する形態を示したが、導光板11が入光した光の進路を変更することが可能であれば、様々な光収束部15を形成することが可能である。例えば、光収束部15をシリンドリカル型等の形式のフルネルレンズにて形成し、フルネルレンズの屈折面(プリズム面)による屈折作用により、入光した光の進路を変更することも可能である。また、その場合、フルネルレンズを、それぞれ間隙を有する複数の部位にて構成するようにしても良い。また、光収束部15を回折格子にて形成し、回折作用により、入光した光の進路を変更することも可能である。更には、プリズムの反射作用又は屈折作用により、入光した光の進路を変更することも可能である。
【0044】
また、全ての収束点Pと出射面13との距離が一定ではない場合、例えば、三次元に広がる像17を形成する場合、また、出射面13と斜交する平面に含まれる二次元の像17を形成する場合、出射面13からの距離が長くなるほど、収束される光の密度が高くなるように構成する。これにより、形成される像17に生じるボケが略一定となり、視認する観察者に違和感を生じさせない像17を形成することができる。
【0045】
更に、光源10から発せられた光が、導光板11の長手方向の一端側の面である入光端面12から導光板11に入光する形態を示したが、これに限るものではない。例えば、背面14を入光面とし、背面14から入光する等、適宜、設計することが可能である。
【0046】
<車載システムへの適用>
以上のように構成された表示装置1を備えるミラーユニットを車載システムに適用した例について説明する。図4は、本発明に係るミラーユニットの外観及び表示される像17の一例を示す概略斜視図である。図4は、乗用車等の車両2(図5参照)のドアミラーとして搭載されるミラーユニット20を示している。図4に例示するミラーユニット20は、それぞれ異なる像17が表示されるように光を結像させる2枚の導光板11を重ねた表示装置1を備えている。表示される像17は、矢印等の方向を示す立体像であり、図4(a)は車両2の後方を示す像17を示しており、図4(b)は車両2の前方を示す像17を示している。いずれの像17もミラーユニット20の鏡面から飛び出して車両2の前方又は後方を指示する矢印の立体像として表示されている。ドアミラーの鏡面に矢印を表示する場合、前後を示す矢印であっても、矢印の先が上下に向かうように表示される。これに対して、本発明に係る表示装置1を備えたミラーユニット20は、鏡面と平行な方向以外に広がりを有する立体像を形成することができるので、矢印の先が前後に向かう像17を表示することができる。表示される像17の観察者となる車両2の運転者は、上下の方向を示す矢印から前後の方向を認識する場合と比べ、前後の方向を示す矢印から前後の方向を認識する方が短時間での認識が可能と推認される。従って、本発明に係るミラーユニット20により、運転者は運転中に短時間で情報を認識することが可能である等の優れた効果を奏する。
【0047】
図5は、本発明に係るミラーユニット20を適用した車載システムの一例を示す概略平面図である。図5は、本発明に係るミラーユニット20を車載システムに適用した車両2を上方から示している。車両2は、前部左端、前部右端、後部左端及び後部右端に車両センサ3を備えており、車両センサ3は、車外の検知対象物として車両の接近を検知することができる。なお、ここでは車両センサ3として説明するが、人物、障害物等の衝突の可能性がある様々なものを検知対象物とすることが可能である。
【0048】
図6は、本発明に係るミラーユニット20を適用した車載システムの制御構成の一例を概略的に示すブロック図である。車両2は、ミラーユニット20が備える表示装置1を制御する電子制御装置(ECU:Electric Control Unit )等の制御装置4を備えており、制御装置4は、車両2の前部左端及び後部左端に配設された車両センサ3と接続されている。車両センサ3は、近傍の車両等の検知対象物を検知した場合、検知信号を制御装置4へ送信する。制御装置4は、前後の車両センサ3と表示装置1が備える二の導光板11にそれぞれ取り付けられた光源10とを予め対応付けて管理しており、車両センサ3から検知信号を受信した場合、送信元の車両センサ3に予め対応付けられている光源10に対して、発光命令信号を送信する。発光命令信号を受信した光源10は発光し、発光した光源10を取り付けられた導光板11は、方向を示す矢印の像17を表示する。このようにして、ミラーユニット20は、前方に車両を検知した場合は、前方を示す矢印の像17を表示し、後方に車両を検知した場合は、後方を示す矢印の像17を表示する。なお、ここでは、右座席に乗車する運転者にとって把握し難い左側の制御系統のみを記載しているが、右側にも同様の制御系統が設けられる。また、車両2内の電子制御装置を統合する車内LANの一部として、本発明に係るミラーユニット20を適用した車載システムを搭載する様にしても良い。
【0049】
このような車載システムに搭載することが可能で、複数の立体像を表示することが可能なミラーユニット20は、様々な形態で実現することが可能である。以降では、ミラーユニット20を実現するための様々な内部構造の実施形態について説明する。
【0050】
<第1の実施形態>
図7は、本発明の第1の実施形態に係るミラーユニット20の内部構造の一部を概略的に示す概略斜視図である。図8は、本発明の第1の実施形態に係るミラーユニット20の内部構造の一例を概略的に示す概略正面図である。図9は、本発明の第1の実施形態に係るミラーユニット20の内部構造の一例を概略的に示す概略断面図である。図10は、本発明の第1の実施形態に係るミラーユニット20が備えるミラー部材21の内部構造の一例を示す概略断面図である。図7は、ミラーユニット20から、鏡となる表示装置1、ミラー部材21等の一部部材を取り除いて内部を視認可能とした状態を示している。なお、ミラーユニット20の説明においては、ミラー部材21が配置された方向を前面として説明する。なお、表示装置1は、ミラー部材21の前方へ向けて光を出射するため、ミラー部材21の前方がZ軸の正方向となる。図8は、ミラー部材21を透過してミラーユニット20の内部構造を示す正面図であり、図9及び図10は、図8のA−A方向の断面図によりミラーユニット20の内部構造を示している。また、図9は、ミラーユニット20内の配置を示しており、図10は、導光板11、ミラー部材21等の部材の構成を拡大して示している。
【0051】
ミラーユニット20は、表示装置1、ミラー部材21等の各種部材を収納するハウジング22を備えている。ハウジング22の前面は、開口しており、縁部に隙間を空けて、ミラー部材21が遊嵌された状態で、ハウジング22の開口を塞いでいる。ハウジング22は、ミラー部材21の角度を変更可能な駆動機構23を備えており、ミラー部材21は駆動機構23に固定されている。また、ハウジング22は、取付部24により車両2に取り付けられており、取付部24の内部には、ミラーユニット20内の表示装置1の光源10、駆動機構23等の各種電装部品と車両2内の制御装置4等のユニットとを結びつける各種通信線が通っている。そして、運転者は、運転席近傍に配設された各種操作ボタンを操作することにより、駆動機構23を駆動してミラー部材21の角度を調整することが可能である。
【0052】
ハウジング22内では、枠状をなし、導光板11及びミラー部材21を駆動機構23に固定する固定枠25が配設されており、固定枠25内に収容された導光板11及びミラー部材21により、ハウジング22の前面の開口を塞いでいる。固定枠25は、後方に固定板を有し、固定板を駆動機構23に固定することで、収容されている導光板11及びミラー部材21が駆動機構23に固定される。更に、ハウジング22内では、駆動機構23の後方に表示装置1の光源10が2個配設されており、それぞれの光源10に取り付けられた可撓性を有する2枚の薄膜状の導光板11がミラー部材21の固定枠25内に上方から挿入されている。各導光板11の先端は固定枠25の下部まで達している。また、導光板11は、駆動機構23の側方を通ってミラー部材21の側部に配置されており、駆動機構23の動作に影響しないようになっている。
【0053】
固定枠25内では、ミラー部材21の後方に2枚の導光板11が重ねられた状態で配設されている。なお、ミラー部材21及び導光板11は、必要に応じて接着剤により固定板に接着固定される。ミラー部材21は、光が進入する表面21aを前方に有する透光部21bと、透光部21bの後方側の面に形成され、表面21aから進入して透光部21bを透過した光を表面21a側へ反射する反射層21cとを備えている。透光部21bは、透明なポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等の樹脂材料、ガラス等の無機材料等の材料を用いて形成される。反射層21cは、アルミニウム、銀等の金属を用い、鍍金、蒸着等の方法により形成された鍍金層、蒸着膜等の層である。そして、ミラー部材21の表面21aから進入した光が反射層21cにて反射することにより、ミラー部材21は鏡として機能する。
【0054】
このように、本発明の第1の実施形態に係るミラーユニット20は、ミラー部材21の後方に2枚の導光板11を重ねて配置してなる。更に詳細には、ミラー部材21及びミラー部材21の後方の2枚の導光板11は、それぞれの面状部分が並行となるように重畳配置されている。即ち、ミラー部材21は、簿板状をなし、一方の面である前面が表面21aとなる透光部21bと、透光部21bの他方の面である後面に形成され、表面21aから進入して透光部21bを透過した光を表面21a側へ反射する反射層21cとを備えている。そして、複数の導光板11は、ミラー部材21の他方の面側に重畳配置されている。なお、本発明の第1の実施形態は、ミラー部材21及びミラー部材21の後方の2枚の導光板11を、それぞれの面状部分が並行となるように重畳して配置するのであれば、様々形態に変形することが可能である。
【0055】
図11は、本発明の第1の実施形態に係るミラーユニット20の内部構造の一例を概略的に示す概略断面図である。図11は、第1の実施形態に係るミラーユニット20の変形例の一つを例示した概略断面図である。図11は、ミラー部材21の上部に表示装置1の2個の光源10を配設し、それぞれの光源10に下方に延びる導光板11をそれぞれ取り付け、導光板11がミラー部材21の後方に位置するように配置した形態である。このような形態で実現する場合、導光板11が可撓性を有しない硬質の材料で形成することも可能である。
【0056】
以上のように構成された本発明の第1の実施形態に係る光学的機能について説明する。図12は、本発明の第1の実施形態に係るミラーユニット20が備える表示装置1に関する光路の例を示す概略模式図である。図12は、第1の実施形態に係る表示装置1の概略断面図に重畳して、光源10から発せられた光の進路を矢符付き実線及び一点鎖線で示し、外部から進入する外光の進路を矢符付き二重線で示している。光源10から発せられた光は、上方から導光板11内に入光する。導光板11は、光源10から入光した光を、出射面13及び背面14の間で全反射を繰り返しながら導き、光収束部15(図12では省略)で反射させ、出射面13から出射させる。導光板11の出射面13から出射した光は、ミラー部材21を透過し、ミラーユニット20の外部で結像し、矢印等の方向を示す立体像を形成する。なお、一点鎖線にて示す後方に配置された導光板11から出射された光は、前方に重畳されている他の導光板11を透過し、更にミラー部材21を透過する。
【0057】
ミラー部材21は、外部から表面21aを通って進入し、透光部21bを透過した光を反射層21cにて、表面21aを透過して外部へ反射させることにより、鏡として機能する。なお、外部から進入した光は導光板11の影響を受けないため、鏡として機能する上で反射した像17が歪むことはない。
【0058】
以上のように構成される第1の実施形態は、ミラーユニット20に、2枚の導光板11を備える表示装置1を用い、外部からの信号に応じた立体像、即ち、接近する他の車両等の障害物の位置に応じた方向を示す矢印を、実際の方向である前方又は後方に向けて表示することが可能である。また、ミラーユニット20に収納されたミラー部材21は、導光板11の前方に配置されるため、ミラー部材21により反射される像17が、導光板11の影響による歪み等の現象を生じさせることがない。
【0059】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、第1の実施形態において、ミラーユニット20が備える導光板11とミラー部材21との位置を入れ替えた形態である。第2の実施形態において、導光板11とミラー部材21との位置以外の他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、他の構成については第1の実施形態を参照するものとし、その説明を省略する。また、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の構成に対しては、第1の実施形態と同様の符号を付すものとする。
【0060】
図13は、本発明の第2の実施形態に係るミラーユニット20の内部構造の一例を概略的に示す概略断面図である。第2の実施形態においては、ハウジング22内において、駆動機構23の後方に表示装置1の光源10が2個配設されており、それぞれの光源10に取り付けられた可撓性を有する2枚の薄膜状の導光板11が固定枠25内に上方から挿入されている。各導光板11の先端は固定枠25の下部まで達している。また、導光板11は、駆動機構23の側方を通ってミラー部材21の側部に配置されており、駆動機構23の動作に影響しないようになっている。なお、第1の実施形態と異なり、固定枠25内では、ミラー部材21の前方に2枚の導光板11が重ねられた状態で配設されている。
【0061】
このように、本発明の第2の実施形態に係るミラーユニット20は、ミラー部材21の前方に2枚の導光板11を重ねて配置してなる。更に詳細には、ミラー部材21及びミラー部材21の前方の2枚の導光板11は、それぞれの面状部分が並行となるように重畳配置されている。即ち、ミラー部材21は、簿板状をなし、一方の面である前面が表面21aとなる透光部21bと、透光部21bの他方の面である後面に形成され、表面21aから進入して透光部21bを透過した光を表面21a側へ反射する反射層21cとを備えている。そして、複数の導光板11は、ミラー部材21の表面21aが光を反射する側に重畳配置されている。なお、本発明の第2の実施形態は、ミラー部材21及びミラー部材21の前方の2枚の導光板11を、それぞれの面状部分が並行となるように重畳して配置するのであれば、様々な変形をすることが可能である。
【0062】
図14は、本発明の第2の実施形態に係るミラーユニット20の内部構造の一例を概略的に示す概略断面図である。図14は、第2の実施形態に係るミラーユニット20の変形例の一つを例示した概略断面図である。図14は、ミラー部材21の上部に表示装置1の2個の光源10を配設し、それぞれの光源10に下方に延びる導光板11をそれぞれ取り付け、導光板11がミラー部材21の前方に位置するように配置した形態である。このような形態で実現する場合、導光板11が可撓性を有しない硬質の材料で形成することも可能である。
【0063】
以上のように構成された本発明の第2の実施形態に係る光学的機能について説明する。図15は、本発明の第2の実施形態に係るミラーユニット20が備える表示装置1に関する光路の例を示す概略模式図である。図15は、第2の実施形態に係る表示装置1の概略断面図に重畳して、光源10から発せられた光の進路を矢符付き実線及び一点鎖線で示し、外部から進入する外光の進路を矢符付き二重線で示している。光源10から発せられた光は、上方から導光板11内に入光する。導光板11は、光源10から入光した光を、出射面13及び背面14の間で全反射を繰り返しながら導き、光収束部15で反射させ、出射面13から出射させる。導光板11の出射面13から出射した光は、ミラーユニット20の外部で結像し、矢印等の方向を示す立体像を形成する。なお、後方に配置された導光板11から出射された光は、前方に重畳されている他の導光板11を透過し、ミラーユニット20の外部で結像する。なお、結像により表示される像17は、ミラー部材21の反射層21cを透過する必要が無いため、第2の実施形態に係る表示装置1は、明るい像17を表示することが可能である。
【0064】
ミラー部材21は、外部から2枚の導光板11を透過し、更に、表面21aを通って進入し、透光部21bを透過した光を反射層21cにて、表面21a側へ反射し、2枚の導光板11を透過して、外部へ出射させることにより、鏡として機能する。なお、ミラー部材21により反射させる光は、導光板11を透過することになるが、表面21aの面積に比して、光収束部15の反射面の面積を小さく(反射面の個数を少なく)することにより、鏡として機能する上で反射した像の歪みを、観察者が認識できない程度に抑制することが可能である。
【0065】
以上のように構成される第2の実施形態は、ミラーユニット20に、2枚の導光板11を備える表示装置1を用い、外部からの信号に応じた立体像、即ち、接近する他の車両等の障害物の位置に応じた方向を示す矢印を、実際の方向である前方又は後方に向けて表示することが可能である。また、ミラーユニット20に収納された導光板11は、ミラー部材21の前方に配置されるため、導光板11の結像により形成される像17を明るく表示することが可能である。更に、表示装置1が備える光収束部15を適切に設計することにより、ミラー部材21が鏡として機能する上で反射した像の歪みを、観察者が認識できない程度に抑制することが可能である。
【0066】
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、第1の実施形態において、ミラーユニット20が備える表示装置1の導光板11を、ミラー部材21としても用いる形態である。第3の実施形態において、導光板11及びミラー部材21以外の他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、他の構成については第1の実施形態を参照するものとし、その説明を省略する。また、第3の実施形態において、第1の実施形態と同様の構成に対しては、第1の実施形態と同様の符号を付すものとする。
【0067】
図16は、本発明の第3の実施形態に係るミラーユニット20の内部構造の一例を概略的に示す概略断面図であり、図17は、本発明の第3の実施形態に係るミラーユニット20が備える表示装置1に関する光路の例を示す概略模式図である。図17は、第3の実施形態に係る表示装置1の概略断面図に重畳して、光源10から発せられた光の進路を矢符付き実線及び一点鎖線で示し、外部から進入する外光の進路を矢符付き二重線で示している。
【0068】
第3の実施形態においては、ハウジング22内において、駆動機構23の前面に固定された固定枠25内に、2枚の導光板11が上方から挿入されており、各導光板11の上部には、それぞれ光源10が取り付けられている。導光板11は、前後に重ねられた状態で配設されており、後方の導光板11がミラー部材としての機能を兼ね備えており、専用のミラー部材21は配置されていない。
【0069】
本発明の第3の実施形態に係るミラーユニット20は、2枚の導光板11のそれぞれの面状部分が並行となるように重畳配置されており、専用のミラー部材21は配置されていない。後方の導光板11は、後方側の面に、アルミニウム、銀等の金属を用い、鍍金、蒸着等の方法により形成された鍍金層、蒸着膜等の反射層18が形成されている。このため、前方の導光板11の出射面13から外光が進入した場合、進入した外光は、後方の導光板11の反射層18で反射するため、後方の導光板11は、ミラー部材としても機能する。
【0070】
光源10から発せられた光は導光板11内に入光する。導光板11は、光源10から入光した光を、出射面13及び背面14の間で全反射を繰り返しながら導き、光収束部15で反射させ、出射面13から出射させる。導光板11の出射面13から出射した光は、ミラーユニット20の外部で結像し、矢印等の方向を示す立体像を形成する。即ち、表示装置1の重畳配置された複数の導光板11は、光源10から入光した光を出射する出射面13と、光源10から入光した光の進路を出射面13側へ変更し、ミラーユニット20の外部の収束点P若しくは収束線に収束する方向、又はミラーユニット20の外部の収束点P若しくは収束線から発散する方向へ出射して外部に結像させる複数の光収束部15とを有する。これにより、それぞれの導光板11は、光源10が発光した場合に、それぞれ異なる立体像を形成し、方向を示す矢印等の画像を表示することが可能である。なお、結像により表示される像17は、第2の実施形態のようにミラー部材21の反射層21cを透過しないため、第3の実施形態に係る表示装置1は、明るい像17を表示することが可能である。
【0071】
しかも後方に配設された導光板11は、前方側の面である出射面13と相対する後方側の背面14に形成され、出射面13から進入して前方の導光板11及び自らを透過した外光を出射面13側へ反射する反射層18を有している。そして、反射層18にて反射した外光は、出射面13から出射し、前方の導光板11を透過して前方の導光板11の出射面13から出射する。これにより、後方の導光板11は、鏡としても機能する。なお、後方の導光板11により反射させる光は、前方の導光板11を透過することになるが、透過する導光板11は1枚であるため、2枚の導光板11を透過する場合と比べても、鏡として機能する上で反射した像の歪みを抑制することが可能である。
【0072】
以上のように構成される第3の実施形態は、ミラーユニット20に、2枚の導光板11を備える表示装置1を用い、外部からの信号に応じた立体像、即ち、接近する他の車両等の障害物の位置に応じた方向を示す矢印を、実際の方向である前方又は後方に向けて表示することが可能である。また、後方の導光板11には反射層18が形成されており、ミラー部材としての機能をも有しているため、導光板11の結像により形成される像17を明るく表示することが可能である。更に、後方の導光板11により反射させる光は、前方の導光板11のみを透過するため、2枚の導光板11を透過する場合と比べても、鏡として機能する上で反射した像の歪みを抑制することが可能である。
【0073】
<第4の実施形態>
第4の実施形態は、第3の実施形態において、後方の導光板11に表面保護のための層を設ける形態である。第4の実施形態において、新たに設ける層以外の他の構成は、第3の実施形態と同様であるので、他の構成については第3の実施形態を参照するものとし、その説明を省略する。また、第4の実施形態において、第3の実施形態と同様の構成に対しては、第3の実施形態と同様の符号を付すものとする。
【0074】
図18は、本発明の第4の実施形態に係るミラーユニット20が備える表示装置1に関する光路の例を示す概略模式図である。図18は、第4の実施形態に係る表示装置1の概略断面図に重畳して、光源10から発せられた光の進路を矢符付き実線及び一点鎖線で示し、外部から進入する外光の進路を矢符付き二重線で示している。
【0075】
第4の実施形態においては、ハウジング22内において、駆動機構23の前面に固定された固定枠25内に、2枚の導光板11が上方から挿入されており、各導光板11の上部には、それぞれ光源10が取り付けられている。導光板11は、前後に重ねられた状態で配設されており、後方の導光板11の後方の面に、当該後面を保護する層が形成されている。形成された層は、透明なポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等の樹脂材料を用いた透光層19に、更にアルミニウム、銀等の金属を用い、鍍金、蒸着等の方法により形成された鍍金層、蒸着膜等の反射層18が重畳されている。なお、透光層19は、後方の導光板11に対して、光収束部15が形成されていない平坦な部分で熱処理等の処理により一体化されている。このため、導光板11の出射面13から外光が進入した場合、進入した光は、重畳配置されている2枚の導光板11を透過し、更に、透光層19を透過して反射層18で反射するため、透光層19及び反射層18を有する保護層は、ミラー部材として機能する。
【0076】
光源10から発せられた光は、上方から導光板11内に入光する。導光板11は、光源10から入光した光を、出射面13及び背面14の間で全反射を繰り返しながら導き、光収束部15で反射させ、出射面13から出射させる。導光板11の出射面13から出射した光は、ミラーユニット20の外部で結像し、矢印等の方向を示す立体像を形成する。即ち、表示装置1の重畳配置された複数の導光板11は、光源10から入光した光を出射する出射面13と、光源10から入光した光の進路を出射面13側へ変更し、ミラーユニット20の外部の収束点P若しくは収束線に収束する方向、又はミラーユニット20の外部の収束点P若しくは収束線から発散する方向へ出射して外部に結像させる複数の光収束部15とを有する。これにより、それぞれの導光板11は、光源10が発光した場合に、それぞれ異なる立体像を形成し、方向を示す矢印等の画像を表示することが可能である。なお、結像により表示される像17は、第1の実施形態のようなミラー部材21の反射層21cを透過しないため、第4の実施形態に係る表示装置1は、明るい像17を表示することが可能である。しかも、後方の導光板11は、例えば、導光板11の後面に切り欠きとして形成される光収束部15に反射層18が形成されていないことから、反射層18による影響を受けることがないため、第3の実施形態に係る表示装置1と比べても、明るい像17を表示することが可能である。
【0077】
このように後方に配設された導光板11は、出射面13と相対する後方側の背面14に、出射面13から進入して重畳配置された導光板11を透過した外光を透過させる透光層19と、透光層19を透過した外光を、出射面13側へ反射する反射層18とを有している。そして、反射層18にて反射した外光は、透光層19を透過し、重畳配置された導光板11を透過して前方の導光板11の出射面13から出射する。これにより、透光層19は、鏡としても機能する。
【0078】
以上のように構成される第4の実施形態は、ミラーユニット20に、2枚の導光板11を備え、後方の導光板11に透光層19及び反射層18を形成した表示装置1を用い、外部からの信号に応じた立体像、即ち、接近する他の車両等の障害物の位置に応じた方向を示す矢印を、実際の方向である前方又は後方に向けて表示することが可能である。また、透光層19及び反射層18が形成されており、ミラー部材21としての機能をも有しているため、導光板11の結像により形成される像17を明るく表示することが可能である。
【0079】
<第5の実施形態>
第5の実施形態は、第1の実施形態において、ミラーユニット20が備える表示装置1の導光板11を1枚とし、1枚の導光板11を用いて複数種類の像17を形成させる形態である。導光板11及び光源10以外の他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、他の構成については第1の実施形態を参照するものとし、その説明を省略する。また、第5の実施形態においても、第1の実施形態と同様の構成に対しては、第1の実施形態と同様の符号を付すものとする。
【0080】
図19は、本発明の第5の実施形態に係る表示装置1を、空間上に形成される像と共に概略的に例示する説明図である。図19は、第5の実施形態に係る表示装置1を模式的に示している。第5の実施形態に係る表示装置1は、1枚の導光板11と、第1の光源10a及び第2の光源10bとを備えている。また、導光板11には、光収束部15aa,15ba,15ca,…として示す複数の光収束部15を含む第1の光収束部群と、光収束部15ab,15bb,15cb,…として示す複数の光収束部15を含む第2の光収束部群とが形成されている。光収束部15aa,15ba,15ca,…は、それぞれ線16aa,16ba,16ca,…に沿って形成されており、光収束部15ab,15bb,15cb,…は、それぞれ線16ab,16bb,16cb,…に沿って形成されている。
【0081】
第1の光源10aから発せられた光は、導光板11内に入光し、光収束部15aa,15ba,15ca,…として示す複数の光収束部15を含む第1の光収束部群により、光路を変更され、第1の像17aが形成される。第2の光源10bから発せられた光は、導光板11内に入光し、光収束部15ab,15bb,15cb,…として示す複数の光収束部15を含む第2の光収束部群により、光路を変更され、第2の像17bが形成される。即ち、第1の光源10aが発光した場合には、第1の像17aが表示され、第2の光源10bが発光した場合には、第2の像17bが表示される。
【0082】
なお、第1の光源10a及び第2の光源10bから発せられる光は、指向性が強くなるように絞り込むことにより、例えば、第1の光源10aから発せられた光が第2の光収束部群に入射することを抑制することができる。また、仮に、第1の光源10aから発せられた光が第2の光収束部群に入射したとしても、運転席から視認可能な方向へ結像することは無いため、相互の影響を抑制することができる。第2の光源10bから発せられた光についても同様である。
【0083】
図20は、本発明の第5の実施形態に係るミラーユニット20の外観及び表示される像の一例を示す概略斜視図である。図20に例示するミラーユニット20は、それぞれ異なる第1の像17a及び第2の像17bが表示されるように光を結像させることができる。図20に例示したミラーユニット20は、第1の光源10aが発光した場合、後ろ向きの矢印を示す第1の像17aが表示され、第2の光源10bが発光した場合、前向きの矢印を示す第2の像17bが表示される。
【0084】
図21は、本発明の第5の実施形態に係るミラーユニット20の内部構造の一例を概略的に示す概略断面図である。第5の実施形態に係るミラーユニット20には、駆動機構23に固定する固定枠25が配設されており、固定枠25内に導光板11及びミラー部材21が収容されている。固定枠25内では、ミラー部材21の後方に1枚の導光板11が配設されており、導光板11の上部には第1の光源10a及び第2の光源10bが取り付けられている。
【0085】
このように、本発明の第5の実施形態に係るミラーユニット20は、1枚の導光板11に対して複数の光源10、ここでは第1の光源10a及び第2の光源10bが取り付けられている。そして、導光板11は、光収束部15として、第1の光源10aから入光した光の光路を変更して第1の像17aが表示されるように光を結像させる第1の光収束部群と、第2の光源10bから入光した光の光路を変更して第2の像17bが表示されるように光を結像させる第2の光収束部群とを含んでいる。これにより、第1の光源10aが発光した場合には、第1の像17aが表示され、第2の光源10bが発光した場合には、第2の像17bが表示される。したがって、1枚の導光板11で異なる複数の像17を表示させることが可能である。
【0086】
<第6の実施形態>
第6の実施形態は、第5の実施形態において、ミラーユニット20が備える導光板11とミラー部材21との位置を入れ替えた形態である。第6の実施形態において、導光板11とミラー部材21との位置以外の他の構成は、第5の実施形態と同様であるので、他の構成については第5の実施形態を参照するものとし、その説明を省略する。また、第6の実施形態において、第5の実施形態と同様の構成に対しては、第5の実施形態と同様の符号を付すものとする。
【0087】
図22は、本発明の第6の実施形態に係るミラーユニット20の内部構造の一例を概略的に示す概略断面図である。第6の実施形態に係るミラーユニット20には、駆動機構23に固定する固定枠25が配設されており、固定枠25内に導光板11及びミラー部材21が収容されている。固定枠25内では、ミラー部材21の前方に1枚の導光板11が配設されており、導光板11の上部には第1の光源10a及び第2の光源10bが取り付けられている。
【0088】
このように、本発明の第6の実施形態に係るミラーユニット20は、1枚の導光板11で異なる複数の像17を表示させることが可能である。
【0089】
<第7の実施形態>
第7の実施形態は、第5の実施形態において、ミラーユニット20が備える表示装置1の導光板11をミラー部材21としても用いる形態である。第7の実施形態において、導光板11及びミラー部材21以外の他の構成は、第5の実施形態と同様であるので、他の構成については第5の実施形態を参照するものとし、その説明を省略する。また、第7の実施形態において、第5の実施形態と同様の構成に対しては、第5の実施形態と同様の符号を付すものとする。
【0090】
図23は、本発明の第7の実施形態に係るミラーユニット20の内部構造の一例を概略的に示す概略断面図である。第7の実施形態に係るミラーユニット20には、駆動機構23に固定する固定枠25が配設されており、固定枠25内に導光板11が収容されている。導光板11の上部には第1の光源10a及び第2の光源10bが取り付けられている。導光板11は、ミラー部材としての機能を兼ね備えており、専用のミラー部材21は配置されていない。なお、導光板11をミラー部材として兼用する方法については、第3の実施形態及び第4の実施形態を参照するものとし、その説明を省略する。
【0091】
このように、本発明の第7の実施形態に係るミラーユニット20は、1枚の導光板11で異なる複数の像17を表示させることが可能である。
【0092】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形態で実施することが可能である。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形及び変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0093】
例えば、前記第1乃至第4の実施形態では、導光板11を2枚重畳して用いる形態を示したが、本発明はこれに限らず、立体像を形成する導光板11を1枚だけとしても良く、3枚以上の導光板11を用いても良い等、様々な形態に展開することが可能である。しかも、複数の導光板11を用いる場合、全ての導光板11を、運転者を観察者とする方向へ光を出射するように構成する必要は無い。具体的には、運転者を観察者とし、方向を指示する立体像を形成する導光板11を2枚重畳配置し、更に、それらの導光板11に重畳して後方の車両の運転者を観察者とする方向へ光を出射する導光板11を配置するように構成する。後方の車両の運転者を観察者とする方向へ光を出射する導光板11には、車両2に搭載されている方向指示灯(ターンシグナルランプ)と連動する光源10を取り付け、車両2の右左折及び進路変更の際に光を出射するように構成する。この場合、後方の車両の運転者を観察者とするのであるから、必ずしも立体像を表示させる必要は無く、そのため導光板11内には、出射する光を収束させるのではなく、それぞれ同じ方向へ平行な光路を辿るように反射面を形成すれば良い。このように形成された導光板11を配設したミラーユニット20は、搭載している車両2の運転者からは、方向を指示する立体像を観察することができ、後方の車両の運転者からは進路を変更する方向のミラー部材21の発光を観察することができる。また、そのような構成を第3の実施形態、第4の実施形態等の形態に適用する場合であって、立体像を形成する導光板11の後方に他の導光板11を配設するときは、他の導光板11の後方側の面に透光層19、反射層18等の層を形成するようにしても良い。
【0094】
さらに、第5乃至第7の実施形態について、3以上の光源10を備えさせ、3以上の像を表示するように構成することも可能であり、そして、複数の光源10を備えて複数の像を表示する導光板11を、複数枚重畳して用いることも可能である。
【0095】
また、前記実施形態では、ドアミラーに搭載する形態を示したが、本発明はこれに限らず、車内のバックミラー等の様々なミラーに搭載することが可能である。
【0096】
さらに、前記実施形態では、方向を示す矢印を表示する形態を示したが、本発明はこれに限らず、矢印以外の方法で方向を示す像17、更には方向以外の情報を示す像17を表示する等、様々な形態に展開することが可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 表示装置
10,10a,10b
光源
11 導光板(導光部材)
12 入光端面
13 出射面
15(15a,15b,…,15x1,…,15y3,15aa,…,15ba,…)
光収束部
17,17a,17b

P(Pa,Pb,…,P1,P2)
収束点
18 反射層
19 透光層
2 車両
20 ミラーユニット
21 ミラー部材
21a 表面
21b 透光部
21c 反射層
3 車両センサ
4 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23