(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
放電によりオゾンを生成する電極(31)を有したオゾナイザ(30)と、前記オゾナイザで生成されたオゾンを内燃機関(10)の排気通路(10ex)または吸気通路(10in)へ送風する送風機(50)と、を備えるオゾン供給装置を制御対象とするオゾン供給制御装置において、
前記オゾナイザおよび前記送風機を作動させることで、前記排気通路または前記吸気通路へオゾンを供給させるオゾン供給制御部(41a)と、
前記オゾナイザの温度が所定温度未満である低温状態であるか否かを判定する温度判定部(S23)と、
前記オゾン供給制御部によるオゾン供給を停止させるにあたり、前記オゾナイザの作動を停止させ、その後、前記温度判定部により前記低温状態であると判定されるまで前記送風機の作動を継続させた後に、前記送風機の作動を停止させる停止制御部(S2)と、
を備えるオゾン供給制御装置。
前記オゾナイザの作動を停止させた時点における前記オゾナイザの温度上昇速度が所定速度以上である温度急上昇状態であるか否かを判定する昇温判定部(S21c)を備え、
前記昇温判定部により前記温度急上昇状態と判定された場合には、前記所定温度を高温側へ変更させる請求項1〜3のいずれか1つに記載のオゾン供給制御装置。
オゾン供給が要求されていない期間中、前記所定温度よりも低温に設定された第2温度と比較して前記オゾナイザの温度が高くなっている場合に、前記オゾナイザの作動を停止させつつ前記送風機を作動させて前記オゾナイザを空冷する空冷制御部(S33)を備える請求項1〜4のいずれか1つに記載のオゾン供給制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において、先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において、構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を参照し適用することができる。
【0014】
(第1実施形態)
図1に示す燃焼システムは、以下に詳述する内燃機関(以下、エンジン10)、過給機11、NOx浄化装置12、微粒子捕集装置(以下、DPF13)、および還元剤添加装置を備える。燃焼システムは車両に搭載されたものであり、当該車両は、エンジン10の出力を駆動源として走行する。エンジン10は、圧縮自着火式のディーゼルエンジンであり、燃焼に用いる燃料には、炭化水素化合物である軽油を用いている。エンジン10は、基本的にはリーン状態で燃焼させるように作動する。つまり、燃焼室に噴射された燃料と燃焼室に吸入される空気との比率である空燃比が、空気過剰に設定された状態で燃焼(つまり、リーン燃焼)させている。
【0015】
過給機11は、タービン11a、回転軸11bおよびコンプレッサ11cを備える。タービン11aは、エンジン10の排気通路10exに配置され、排気の運動エネルギにより回転する。回転軸11bは、タービン11aおよびコンプレッサ11cの各インペラを結合することで、タービン11aの回転力をコンプレッサ11cに伝達する。コンプレッサ11cは、エンジン10の吸気通路10inに配置され、吸気を圧縮してエンジン10へ過給する。
【0016】
吸気通路10inのうちコンプレッサ11cの下流側には、コンプレッサ11cで圧縮された吸気(つまり、加圧空気)を冷却する、図示しない冷却器が配置されている。冷却器により冷却された圧縮吸気は、図示しないスロットルバルブにより流量調整され、エンジン10が有する複数の燃焼室へ分配される。排気通路10exのうちタービン11aの下流側にはNOx浄化装置12が配置され、さらにその下流側にはDPF13が配置されている。DPF13は、排気に含まれている微粒子を捕集する。
【0017】
排気通路10exのうちNOx浄化装置12の上流側には、還元剤添加装置の接続管23が接続されている。この接続管23から排気通路10exへ、還元剤添加装置により生成された改質燃料が還元剤として添加される。改質燃料とは、還元剤として用いる炭化水素化合物(燃料)を部分的に酸化して、アルデヒド等の部分酸化炭化水素に改質したものである。また、還元剤添加装置は、接続管23から排気通路10exへオゾンを供給する機能を有しており、オゾン供給装置を提供する。
【0018】
NOx浄化装置12は、ハウジング内にハニカム状の担体を収容して構成される。担体の表面にはコーティング材が設けられており、そのコーティング材には触媒が担持されている。NOx浄化装置12は、排気中のNOxを触媒上で改質燃料と反応させてN
2に還元することで、排気に含まれているNOxを浄化する。なお、排気中にはNOxの他にO
2(酸素)も含まれているが、改質燃料はO
2存在下においてNOxと選択的に反応する。
【0019】
触媒には、NOxを吸着する機能を有したものが用いられている。詳細には、還元反応が可能となる活性化温度よりも触媒温度Tcatが低い場合に、触媒は排気中のNOxを吸着する機能を発揮する。例えば、白金や銀等の還元触媒成分、およびバリウム等の吸着成分が担体に担持されており、これらの成分が、排気中のNOxを吸着して還元する触媒を提供する。触媒の吸着成分に吸着されていたNOxは、触媒温度Tcatが活性化温度以上の場合には、触媒から脱離する。そして、脱離したNOxは還元触媒成分上で改質燃料により還元されて浄化される。
【0020】
次に、改質燃料またはオゾンを生成して接続管23から排気通路10exへ添加する還元剤添加装置について説明する。還元剤添加装置は、以下に詳述する反応容器20、ヒータ21、噴射弁22、オゾナイザ30、送風機50、接続管23、送風配管26、開閉バルブ26vおよび電子制御装置(以下、ECU40)を備える。ECU40の制御対象にはオゾン供給装置が含まれており、ECU40はオゾン供給制御装置に相当する。また、オゾン供給システムは、オゾナイザ30、送風機50、送風配管26およびECU40を少なくとも備える。
【0021】
オゾナイザ30は、放電によりオゾンを生成する電極31と、高電圧を生成して電極31に印加する電源回路と、電源回路および電極31を内部に収容する電極収容ケース32とを有する。電極収容ケース32は内部に流通路32aを形成し、流通路32aには複数の電極31が配置されている。これらの電極31は、互いに平行に対向するように配置された平板形状であり、高電圧が印加される電極と接地電圧の電極とが交互に配置されている。
【0022】
電源回路は、
図2および
図3に示す昇圧回路33およびスイッチ回路34を有する。昇圧回路33は、車両に搭載されたバッテリから供給される電力の電圧を昇圧する。スイッチ回路34は、昇圧された電圧を所定周期で電極31へ印加する。昇圧回路33およびスイッチ回路34は、ECU40が備えるマイクロコンピュータ(以下、マイコン41)により制御される。これにより、所望の電圧が所望の周期で電極31へ印加される。電極収容ケース32の内部は、仕切壁32cにより、流通路32aおよび回路収容室32bに区画されている。流通路32aには、送風機50により送風された空気が流入する。
【0023】
電極31へ電圧を印加して電極31間で放電させると、電極間通路31aを流通する酸素分子がオゾンに変化する。要するに、電極31に電圧を印加して送風機50を作動させた状態にすれば、各々の電極31間において、高活性物質であるオゾンが生成される。生成されたオゾンは、送風機50の送風圧力により電極間通路31aおよび流通路32aから流出する。
【0024】
送風機50は、ブロワケース内に収容されたファンを電動モータで回転駆動させることで空気を送風する構造である。送風機50から吹き出された空気はオゾナイザ30へ供給され、電極収容ケース32の内部、つまり電極31が配置されている流通路32aへ供給される。送風機50による送風量は、電動モータへの通電をマイコン41が制御することで調節される。例えば、電動モータへの供給電力量をマイコン41がデューティ制御することで送風量を制御する。
【0025】
オゾナイザ30は、送風配管26を介して反応容器20に接続される。送風配管26には、電磁駆動式の開閉バルブ26vが取り付けられている。開閉バルブ26vは反応容器20の上流側に位置する。開閉バルブ26vの開閉駆動はマイコン41により制御される。詳細には、開閉バルブ26vの弁体は全開位置と全閉位置とに切り替え制御され、送風配管26を開閉する。
【0026】
したがって、送風機50を駆動させて開閉バルブ26vを開弁作動させると、オゾナイザ30から流出したオゾンを含む空気は、送風配管26、反応容器20および接続管23を順に流通して排気通路10exへ流入することとなる。また、排気圧力が高い場合に開閉バルブ26vを閉弁させることで、排気が送風配管26を逆流してオゾナイザ30へ流れ込むことを抑制できる。よって、排気に含まれる煤等の異物が電極31に付着することを抑制でき、異物付着により放電が妨げられることを抑制できる。
【0027】
反応容器20には、ヒータ21および噴射弁22が取り付けられており、反応容器20の内部には、流入口20inおよび流出口20outと連通する反応室20aが形成されている。ヒータ21は、通電により発熱する発熱部を有し、発熱部への通電はマイコン41により制御される。具体的には、発熱部への電力供給量をマイコン41がデューティ制御することにより、発熱量が制御される。発熱部は反応室20aに配置され、噴射弁22から反応室20aへ噴射された燃料を加熱する。反応室20aの温度は反応室温度センサ27により検出される。反応室温度センサ27は、検出した反応室温度ThをECU40へ出力する。
【0028】
噴射弁22は、噴孔が形成されたボデー、電気アクチュエータおよび弁体を有する。電気アクチュエータを通電オンさせると、弁体が開弁作動して噴孔から反応室20aへ燃料が噴射され、通電オフさせると弁体が閉弁作動して燃料噴射が停止される。マイコン41は、電気アクチュエータへの通電を制御することで、反応室20aへの単位時間当たりの燃料噴射量を制御する。図示しない燃料タンク内の液体燃料は、図示しない燃料ポンプにより噴射弁22へ供給される。燃料タンク内の燃料は、先述した燃焼用の燃料としても用いられており、エンジン10の燃焼に用いる燃料と、還元剤として用いる燃料は共用される。
【0029】
噴射弁22から反応室20aへ噴射された燃料は、ヒータ21に衝突し、加熱されて気化する。気化した燃料は、流入口20inから反応室20aへ流入した空気と混合される。その結果、空気中の酸素により気体燃料が部分的に酸化され、アルデヒド等の部分酸化炭化水素に改質される。このように改質された気体燃料(つまり、改質燃料)は、接続管23を通じて排気通路10exに流入する。
【0030】
反応室20aでは以下に詳述する冷炎反応が生じている。この冷炎反応は、流入口20inから流入する空気中の酸素により気体燃料が部分的に酸化される反応である。このように部分的に酸化された燃料(つまり、改質燃料)の具体例として、燃料(炭化水素化合物)の一部がアルデヒド基(つまり、CHO)に酸化された状態の部分酸化物(例えば、アルデヒド)が挙げられる。また、反応室20aへ供給される空気にオゾンが多く含まれているほど、燃料が部分酸化される反応が促進される。つまり、部分酸化されずに反応室20aから流出してしまう燃料(つまり、非改質燃料)が少なくなる。
【0031】
ECU40が備えるマイコン41は、プログラムを記憶する記憶装置と、記憶されたプログラムにしたがって演算処理を実行する中央演算処理装置としてのプロセッサと、を備える。ECU40は、単位時間当りのエンジン回転数およびエンジン負荷等の各種検出値に基づき、エンジン10の作動を制御する。
【0032】
エンジン回転数は、エンジン10の出力軸近傍に取り付けられたクランク角センサ14により検出される。エンジン負荷を表わす物理量としては、吸気圧、吸気量、アクセルペダル踏込量等が挙げられる。吸気圧は、吸気通路10inのうちコンプレッサ11cの下流側部分に取り付けられた吸気圧センサ15により検出される。吸気量は、吸気通路10inのうちコンプレッサ11cの上流側部分に取り付けられたエアフロメータ16により検出される。アクセルペダル踏込量は、アクセルペダルに取り付けられたアクセルセンサ17により検出される。
【0033】
ECU40は、エンジン回転数やエンジン負荷等のエンジン10の作動状態の検出値に加え、以下の各種センサにより検出された物理量を取得し、これらの物理量に基づき、還元剤添加装置の作動を制御する。具体的には、反応室温度センサ27、触媒温度センサ42、排気温度センサ43、排気圧センサ44、送風量センサ45、送風圧センサ46およびオゾナイザ温度センサ30tにより検出された物理量を取得する。
【0034】
触媒温度センサ42は、NOx浄化装置12に取り付けられ、触媒の雰囲気温度(つまり、触媒温度Tcat)を検出する。排気温度センサ43は、排気通路10exに取り付けられて排気温度を検出する。排気圧センサ44は、排気通路10exに取り付けられて排気圧力を検出する。排気温度センサ43および排気圧センサ44は、排気通路10exのうちNOx浄化装置12の上流側、かつタービン11aの下流側に取り付けられている。送風量センサ45は、送風配管26のうちオゾナイザ30の上流側かつ送風機50の下流側に取り付けられており、送風機50により送風される空気の量である送風量を検出する。送風圧センサ46は、送風配管26のうち反応容器20の上流側かつオゾナイザ30の下流側に取り付けられており、送風配管26内の空気の圧力である送風圧力を検出する。
【0035】
図1〜3に示すように、オゾナイザ温度センサ30tは、電極収容ケース32に取り付けられており、オゾナイザ30の温度を検出する。具体的には、オゾナイザ温度センサ30tは、流通路32aのうち電極31の下流側部分の空気温度を、オゾナイザ温度Tozとして検出する。
【0036】
電極31で放電させると電極31が発熱して温度上昇する。電極31は、送風機50の作動により電極間通路31aを流れる空気により冷却(空冷)される。また、昇圧回路33およびスイッチ回路34等の電源回路を構成する各種の電子素子も、通電により発熱して温度上昇する。電極収容ケース32は熱伝導性の良い材質(例えば金属)で形成されているため、電源回路の熱は電極収容ケース32に伝わり、流通路32aを流れる空気により冷却(空冷)される。また、電極収容ケース32の熱は外部空気との熱交換により放熱される。つまり、電極31および電源回路の熱は、流通路32aを流れる空気および外部空気へ放熱される。
【0037】
概略、ECU40は以下のように還元剤添加装置の作動を制御する。すなわち、反応室温度Thに基づき、排気通路10exへ還元剤を供給する還元剤供給制御と、排気通路10exへオゾンを供給するオゾン供給制御とを切り替える。また、還元剤添加制御を実施するにあたり、反応室温度Thに基づき、強酸化制御、弱酸化制御および酸化停止制御を切り替える。
【0038】
具体的には、
図4に示す手順のプログラムをマイコン41が所定周期で繰り返し実行することで、還元剤添加装置の作動を制御する。先ず、
図4のステップS10において、エンジン10が運転中であるか否かを判定する。運転中でないと判定された場合、浄化対象となるNOxが排気通路10exに存在しないとみなし、ステップS19において還元剤添加装置の作動を停止させる全停止制御を実施する。全停止制御は、オゾンおよび還元剤のいずれについても排気通路10exへの供給を停止させる制御である。つまり、送風機50、オゾナイザ30、ヒータ21、噴射弁22を全て停止させ、開閉バルブ26vを閉弁作動させる。
【0039】
一方、ステップS10によりエンジン10が運転中であると判定された場合、ステップS11において、触媒温度Tcatが第1所定温度T1より高温であるか否かを判定する。第1所定温度T1より低温であると判定された場合、続くステップS12において、触媒温度Tcatが第2所定温度T2より高温であるか否かを判定する。第2所定温度より低温であると判定された場合、続くステップS13において、触媒温度Tcatが第3所定温度T3より高温であるか否かを判定する。
【0040】
第1所定温度T1および第2所定温度T2は、第3所定温度T3より高温に設定されている。第1所定温度T1は、第2所定温度T2より高温に設定されている。例えば、第3所定温度T3が200℃である場合、第2所定温度T2を350℃、第1所定温度T1を400℃に設定する。ここで、第3所定温度T3とは、触媒上でNOxを還元浄化できる最低温度(つまり、活性化温度)のことである。
【0041】
ステップS11、S12、S13の判定により、触媒温度Tcatが第3所定温度T3より低温と判定された場合、ステップS15にてオゾン供給制御を実施する。触媒温度Tcatが第3所定温度T3より高温、かつ第2所定温度T2より低温と判定された場合、ステップS16にて強酸化制御を実施する。触媒温度Tcatが第2所定温度T2より高温、かつ第1所定温度T1より低温と判定された場合、ステップS17にて弱酸化制御を実施する。触媒温度Tcatが第1所定温度T1より高温と判定された場合、ステップS18にて酸化停止制御を実施する。
【0042】
さて、噴射した燃料と供給される空気の比率である当量比、および噴射された燃料の雰囲気温度を所定範囲に調整すると、噴射された燃料は、熱炎反応に達することなく冷炎反応する。熱炎反応とは、燃料が完全燃焼して二酸化炭素および水が生成される反応である。冷炎反応とは、空気中の酸素により燃料が部分的に酸化される反応である。このように部分的に酸化された燃料である改質燃料の具体例として、炭化水素化合物である燃料の一部が、アルデヒド基(CHO)に酸化された状態の部分酸化物(例えばアルデヒド)が挙げられる。この知見に基づいて、ステップS16、S17、S18に係る強酸化制御、弱酸化制御、酸化停止制御では、改質燃料が触媒に供給されるように、当量比および雰囲気温度を調整している。
【0043】
ステップS16に係る強酸化制御では、オゾナイザ30で生成されたオゾン、空気中の酸素、およびヒータ21により気化された燃料が混合され、オゾンが存在する環境下で燃料が冷炎反応して部分酸化される。
【0044】
具体的には、反応室温度センサ27による検出値である反応室温度Thが、予め設定しておいた目標温度Ttrgと一致するよう、ヒータ21をフィードバック制御する。目標温度Ttrgは、熱炎反応に達することなく冷炎反応させる雰囲気温度(例えば370℃)となるように設定されている。
【0045】
さらに、上記強酸化制御では、NOx浄化装置12へ流入したNOxの全てを還元するにあたり、過不足なくNOx浄化装置12へ供給するための還元剤添加量を、目標燃料量Ftrgとして算出する。例えば、単位時間当たりにNOx浄化装置12へ流入するNOx流入量および触媒温度Tcatに基づき、目標燃料量Ftrgを設定する。NOx流入量は、エンジン10の運転状態に基づき推定される。NOx流入量が多いほど、目標燃料量Ftrgを増大させる。また、触媒温度Tcatに応じて触媒上でNOxが還元される量(つまり還元力)が異なってくるので、触媒温度Tcatによる還元力の違いに応じて目標燃料量Ftrgを設定する。そして、算出した目標燃料量Ftrgに基づき、噴射弁22の作動を制御して燃料噴射を実施する。
【0046】
さらに、上記強酸化制御では、反応室温度Thに基づき、冷炎反応を生じさせるように目標当量比φtrgを算出する。そして、目標当量比φtrgおよび目標燃料量Ftrgに基づき、目標空気量(つまり目標風量Atrg)を算出する。具体的には、目標燃料量Ftrgによる燃料の噴射量と目標風量Atrgによる空気の量との比率が目標当量比φtrgとなるように、目標風量Atrgを算出する。そして、目標風量Atrgに基づき送風機50の作動を制御する。上述のごとく反応室温度Thおよび当量比を制御することで、冷炎反応を生じさせて改質燃料が生成される。
【0047】
さらに、上記強酸化制御では、開閉バルブ26vを開弁制御するとともに、反応容器20内での燃料の濃度に応じて、オゾナイザ30への供給電力を制御する。詳細には、目標燃料量Ftrgに基づき目標オゾン量Otrgを算出する。具体的には、反応室20aにおけるオゾン濃度の燃料濃度に対する比率が所定値(例えば0.2)となるように、目標オゾン量Otrgを算出する。例えば、所定時間(例えば0.02秒)内に冷炎反応を完了させるよう、上記比率を設定する。また、触媒が低温であるほど目標オゾン量Otrgを増加させるように設定する。
【0048】
そして、目標風量Atrgおよび目標オゾン量Otrgに基づき、オゾナイザ30への目標通電量Ptrgを算出する。具体的には、目標風量Atrgが多いほど、電極間通路31aでの空気の滞留時間が短くなるので、目標通電量Ptrgを大きくする。また、目標オゾン量Otrgが多いほど、目標通電量Ptrgを大きくする。次に、目標通電量Ptrgに基づき、オゾナイザ30への通電量を制御する。具体的には、目標通電量Ptrgが大きいほど、オゾナイザ30への通電デューティ比を増大させる。或いは、今回の通電終了から次回の通電開始までのインターバルを短くする。
【0049】
このような処理を実行することにより、オゾンが生成され、そのオゾンが反応容器20内に供給されるので、冷炎反応の開始時期の早期化と冷炎反応時間の短縮化が図られる。よって、反応容器20内での燃料の滞留時間が短くなるように反応容器20を小型化しても、上記滞留時間内に冷炎反応が完了するようにできる。よって、反応容器20の小型化を図ることができる。
【0050】
このように、ステップS16の強酸化制御によれば、オゾンが存在する環境下で燃料が部分酸化される。これに対し、ステップS17による弱酸化制御では、オゾナイザ30を停止させてオゾン生成を停止させることで、オゾンが存在しない環境下で燃料が部分酸化される。つまり、ヒータ制御、燃料噴射制御、送風機制御および開弁制御を実施する。但し、放電制御を実施せず、オゾナイザ30への通電を停止させてオゾン生成を停止させる。
【0051】
ステップS17の弱酸化制御によれば、ヒータ制御による加熱を実施して部分酸化させている。これに対し、ステップS18による酸化停止制御では、オゾナイザ30およびヒータ21を停止させて、オゾン生成と燃料加熱を停止させる。これにより、酸素やオゾンによる酸化が為されることなく部分酸化していない燃料が、排気通路10exへ添加され、排気通路10exまたはNOx浄化装置12の内部で高温の排気に晒されて部分酸化する。
【0052】
ステップS18による酸化停止制御では、燃料噴射制御、送風機制御および開弁制御を実施する。但し、放電制御を実施せず、オゾナイザ30への通電を停止させてオゾン生成を停止させ、かつ、ヒータ制御を実施せず、ヒータ21への通電を停止させて燃料の加熱を停止させる。
【0053】
図4のステップS15に係るオゾン供給制御では、概略、ヒータ21への通電を停止させるとともに、噴射弁22への通電を停止させて燃料噴射を停止させた状態で、オゾナイザ30でオゾンを生成する。そして、開閉バルブ26vを開弁作動させた状態で送風機50を作動させることで、生成したオゾンを、送風配管26および接続管23を通じて排気通路10exへ供給する。これにより、NOx浄化装置12の触媒が活性化していない場合において、排気中のNOがオゾンによりNO
2に酸化されて、触媒へのNOx吸着量が増大する。
【0054】
このように、ステップS15の処理を実行している時のマイコン41は、触媒温度Tcatが活性化温度未満である場合に排気通路10exへオゾンを供給して排気中のNOを酸化させるNO酸化制御部に相当する。また、このようにオゾンを供給している時の還元剤添加装置は、排気通路10exへオゾンを供給するオゾン供給装置に相当する。また、オゾン供給装置の作動を制御して排気通路10exへのオゾン供給量を制御している時のECU40は、オゾン供給制御装置に相当する。
【0055】
オゾン供給制御では、ECU40はエンジン10の運転状態を取得する。運転状態には、エンジン負荷、エンジン回転数および排気温度Texが含まれる。ECU40は、運転状態に基づき、単位時間当たりの排気量および排気中のNO濃度を算出し、これらの値から、単位時間あたりにNOx浄化装置12へ流入するNO量を推定する。このようにして推定されたNO量に基づき、ECU40は、排気中のNOを酸化させるのに必要なオゾン量を目標オゾン量Otrgとして算出する。そして、目標オゾン量Otrgのオゾンを生成して供給するように、オゾナイザ30への供給電力および送風機50による送風量を制御する。
【0056】
なお、本実施形態に反してオゾン供給制御時にヒータ21への通電を実施すると、オゾンは加熱されて崩壊する。また、燃料噴射を実施するとオゾンは燃料と反応してしまう。これらの点を鑑み、オゾン供給制御時には、ヒータ21による加熱を停止させ、かつ、燃料噴射を停止させる。これにより、オゾンが燃料と反応することや加熱崩壊を回避でき、生成したオゾンがそのまま排気通路10exへ添加されることとなる。
【0057】
図4のステップS15、S16によりオゾン供給を実行している時のマイコン41は、オゾナイザ30および送風機50を作動させることで排気通路10exへオゾンを供給させるオゾン供給制御部41a(
図1参照)として機能する。ステップS16の強酸化制御を実行している場合には、目標燃料量Ftrgを冷炎反応させるのに必要なオゾン量を要求オゾン量と呼ぶ。ステップS15のオゾン供給制御を実行している場合には、排気中のNOを酸化させるのに必要なオゾン量を要求オゾン量と呼ぶ。
【0058】
図5のオゾン供給停止処理は、マイコン41が所定周期で繰り返し実行する処理であり、先ずステップS20において、オゾン供給制御部41aによるオゾン供給を停止させる要求があるか否かを判定する。例えば、エンジン10始動からの時間経過に伴い、触媒温度Tcatが上昇して第2所定温度T2に達した時点で、ステップS16による強酸化制御からステップS17による弱酸化制御に切り替わり、オゾン供給停止要求が為される。
【0059】
図5のステップS20にてオゾン供給停止要求が為されていると判定された場合、続くステップS21において、電極31への通電を停止させてオゾナイザ30の作動を停止させる。続くステップS22では、オゾナイザ温度センサ30tから出力される検出信号に基づき、オゾナイザ温度Tozを取得する。続くステップS23では、ステップS22で取得したオゾナイザ温度Tozが所定温度未満であるか否かを判定する。この判定に用いられる上記所定温度は、活性化温度T3よりも低い温度(例えば100℃)に設定されており、以下、第4所定温度T4と記載する。
【0060】
オゾナイザ温度Tozが第4所定温度T4未満でないと判定された場合には、ステップS22に戻り、ステップS22、S23の処理を繰り返し実行する。オゾナイザ温度Tozが第4所定温度T4未満であると判定された場合には、オゾナイザ30が低温状態であるとみなしてステップS24に進み、送風機50への通電を停止させて送風停止させる。続くステップS25では、開閉バルブ26vを閉弁させる。これにより、送風機50の送風を停止させた後に、排気通路10exから送風配管26へ排気が逆流することが防止される。
【0061】
なお、ステップS23の処理を実行している時のマイコン41は、オゾナイザ温度Tozが所定温度未満である低温状態であるか否かを判定する温度判定部に相当する。ステップS22、S23、S24の処理を実行している時のマイコン41は、オゾン供給を停止させるにあたりオゾナイザ30を停止させた後、低温状態になるまで送風機50の作動を継続させた後に、送風機50の作動を停止させる停止制御部S2に相当する。
【0062】
オゾナイザ30を作動させると、電極31および電源回路での発熱によりオゾナイザ温度Tozが上昇することは先述した通りである。よって、オゾン供給制御部41aによるオゾン供給時には、オゾナイザ温度Tozが上昇する蓋然性が高い。例えば、オゾン供給停止要求が為された時点で、オゾナイザ温度Tozが第4所定温度T4以上にまで上昇していた場合、
図5のステップS22、S23の処理が繰り返されることとなり、送風機50の作動は継続される。つまり、オゾナイザ30を停止させて電極31および電源回路での発熱が生じていない状態で、オゾナイザ温度Tozが第4所定温度T4に低下するまでの期間、送風が継続されることにより、その送風によりオゾナイザ30が冷却(つまり空冷)されることとなる。
【0063】
この送風継続期間での送風機50による送風量は、例えば、送風機50が送風可能な最大風量に設定される。或いは、ステップS21によるオゾナイザ30停止時点での風量をそのまま継続させるように設定される。
【0064】
以上により、本実施形態によれば、オゾン供給制御部41aと、ステップS23による温度判定部と、停止制御部S2とを備える。そして、オゾン供給制御部41aによるオゾン供給を停止させるにあたり、オゾナイザ30の作動を停止させた後、低温状態になるまで送風機50の作動を継続させた後に、送風機50の作動を停止させる。これによれば、オゾン生成により温度上昇したオゾナイザ30は、作動停止後に、送風機50の継続作動により低温状態になるまで冷却されるので、オゾナイザ30の高温化を抑制できる。
【0065】
ここで、電極31の温度が高いほど、放電に要する電力が多くなり、電力消費量が多くなる。そのため、電極31の温度をできるだけ低くしておくことが望ましい。これに対し本実施形態では、上述の如く、オゾナイザ30停止後に空冷して温度低下させておくので、次回、オゾナイザ30の作動を開始させる時点において、電極31の温度をできるだけ低くした状態で再開できる。よって、オゾナイザ30の電力消費量を低減できる。
【0066】
なお、オゾナイザ30を停止させてから再開させるまでの期間が十分に長い場合には、送風機50による送風が無くても自然に放熱して、電極31温度が外気温度にまで低下していることが期待できる。しかし、オゾナイザ30停止から再開までの期間が短い場合には、本実施形態による空冷が無いと、オゾナイザ30の作動再開時点で電極31温度が高いままとなっていることが懸念される。したがって、上記期間が短い場合に、本実施形態による空冷の効果が顕著に発揮される。
【0067】
さらに本実施形態では、上昇していく触媒温度が活性化温度に達した以降は、強酸化制御により冷炎反応を生じさせる時に、オゾナイザ30により生成されたオゾンを供給する。そのため、冷炎反応の開始時期の早期化と、冷炎反応時間の短縮化を図ることができる。よって、反応室20aでの燃料の滞留時間が短くなるように反応容器20を小型化しても、上記滞留時間内に冷炎反応が完了するようにできる。よって、反応容器20の小型化を図ることができる。
【0068】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、還元剤添加装置がオゾン供給装置として機能しており、還元剤添加装置がオゾン供給制御装置(つまりECU40)の制御対象である。これに対し本実施形態では、
図1に示す反応容器20、ヒータ21および噴射弁22を廃止しており、
図6に示すオゾン供給装置をECU40の制御対象としている。このオゾン供給装置は、オゾナイザ30、送風機50、送風配管26、接続管23および開閉バルブ260vを備える。
【0069】
図1に示す開閉バルブ26vは、送風配管26の開閉を切り替える二方弁であるのに対し、本実施形態での
図6に示す開閉バルブ260vは、送風配管26の開閉を切り替えることに加え、大気への開放/非開放を切り替えることもできる三方弁である。換言すれば、開閉バルブ260vは、送風配管26により形成されるオゾン送風通路26aを大気へ開放する大気開放状態と、大気開放させない非開放状態とを切り替える大気開放バルブとして機能する。さらに開閉バルブ260vは、オゾン送風通路26aを排気通路10exと連通させる連通状態と、その連通を遮断する連通遮断状態とを切り替える連通遮断バルブとしても機能する。より具体的には、大気開放状態の場合には連通遮断状態となり、非開放状態の場合には連通状態となるよう、開閉バルブ260vは構成されている。
【0070】
図1に示すNOx浄化装置12は、O
2存在下において還元剤をNOxと選択的に反応させる触媒を採用している。これに対し、本実施形態に係るNOx浄化装置12Aは、O
2存在下であるリーン環境でNOxを吸蔵し、リッチ環境で還元剤をNOxと反応させる触媒を採用している。
【0071】
本実施形態による制御では、
図4に示す処理内容を次のように変更している。すなわち、
図4に示すステップS11、S12の判定を廃止するとともに、ステップS16、S17、S18による還元剤供給の制御を廃止する。なお、ステップS13にて触媒温度Tcatが第3所定温度T3より大きいと判定された場合には、ステップS19の全停止制御を実施する。そして、触媒へのNOx吸着量が閾値に達した時点で、十分な量の未燃燃料が排気中に含まれるようにエンジン10の作動を制御する。この未燃燃料は、還元剤として触媒上でNOxと反応し、NOxを還元浄化させる。
【0072】
また、本実施形態では、第1実施形態に係る
図5の処理を、
図7に示す処理に変更している。
図7のオゾン供給停止処理は、先ずステップS20において、オゾン供給制御部41aによるオゾン供給を停止させる要求があるか否かを判定する。例えば、エンジン10始動からの時間経過に伴い、触媒温度Tcatが上昇して第3所定温度T3に達した時点で、
図4のステップS15によるオゾン供給化制御が終了し、オゾン供給停止要求が為される。ステップS20にてオゾン供給停止要求があると判定されたことに伴い、ステップS21でオゾナイザ30を停止させた場合、続くステップS21aにおいて、大気開放状態かつ連通遮断状態となるように開閉バルブ260vを制御する。なお、
図4のステップS15、S16、S17、S18のいずれかにおいて送風機50を作動させている場合には、非開放状態かつ連通状態となるように開閉バルブ260vは制御される。したがって、このステップS21aでは、非開放状態から大気開放状態へと開閉バルブ260vの弁体位置が切り換えられる。よって、オゾナイザ30の停止後に送風機50の作動を継続させる期間では、大気開放状態となっているため、オゾナイザ30の空冷に用いられる送風空気は排気通路10exへ送風されずに大気へと抜け出る。
【0073】
要するに、ステップS21aの処理を実行している時のマイコン41は、大気開放バルブおよび連通遮断バルブとして機能する開閉バルブ260vの作動を制御する、バルブ制御部に相当する。バルブ制御部は、オゾン供給制御部41aによりオゾンを供給させている場合には、非開放状態かつ連通状態に開閉バルブ260vを作動させる。また、停止制御部S2により送風機50の作動を継続させている場合には、大気開放状態かつ連通遮断状態に開閉バルブ260vを作動させる。
【0074】
そして、本実施形態に係るオゾン供給システムは、オゾナイザ30、送風機50、送風配管26およびECU40等を備えるとともに、大気開放バルブおよび連通遮断バルブとして機能する開閉バルブ260vを備える。さらに、オゾン供給システムは、
図6に示すオゾン供給制御部41a、ステップS21aによるバルブ制御部、およびステップS2による停止制御部を少なくとも備える。
【0075】
以上により、本実施形態によれば、大気開放バルブおよび連通遮断バルブとして機能する開閉バルブ260vを備え、停止制御部S2により送風機50を継続作動させている場合には、大気開放状態かつ連通遮断状態に開閉バルブ260vを作動させる。そのため、上記継続作動時には、オゾン送風通路26aと排気通路10exとの連通が遮断されるので、排ガスがオゾン送風通路26aへ逆流するおそれを回避しつつ、大気開放状態になる。よって、逆流しないように送風機50の風量を十分に大きくすることを不要にしつつ、大気開放状態での送風によりオゾナイザ30の空冷を実現できるので、送風機50の負荷を軽減でき、ひいては、送風機50での消費電力を低減できる。
【0076】
(第3実施形態)
上記第2実施形態では、三方弁である開閉バルブ260vを用いて、大気開放状態と非開放状態との切り替えを可能にしている。これに対し本実施形態では、
図8に示すように、
図1と同様の二方弁である開閉バルブ26vと、その上流側に配置された大気開放バルブ261vと、を備える。開閉バルブ26vは、オゾン送風通路26aを排気通路10exと連通させる連通状態と、その連通を遮断する連通遮断状態とを切り替える連通遮断バルブとして機能する。大気開放バルブ261vは、オゾン送風通路26aを大気へ開放する大気開放状態と、大気開放させない非開放状態とを切り替える。
【0077】
本実施形態に係るマイコン41は、
図7のステップS21aの制御を次のように変更させている。すなわち、停止制御部S2により送風機50を継続作動させている場合には、大気開放状態となるように大気開放バルブ261vを作動させ、かつ、連通遮断状態となるように開閉バルブ26vを作動させる。なお、オゾン供給制御部41aによりオゾンを供給させている場合には、非開放状態となるように大気開放バルブ261vを作動させ、かつ、連通状態となるように開閉バルブ26vの作動を制御する。
【0078】
以上により、本実施形態によれば、停止制御部S2により送風機50を継続作動させている期間に、大気開放状態かつ連通遮断状態にすることを、開閉バルブ26vおよび大気開放バルブ261vの2つのバルブにより実現させている。そのため、開閉バルブ26vおよび大気開放バルブ261vのいずれについても二方弁を採用することができる。よって、三方弁を採用する上記第2実施形態に比べて安価なバルブで、消費電力低減のための大気開放状態を実現できる。
【0079】
(第4実施形態)
本実施形態では、
図9に示すように、オゾナイザ30のうち電極31が配置された流通路32aへ送風機50から送風するとともに、昇圧回路33およびスイッチ回路34等の電源回路が配置された回路収容室32bへも送風可能に構成されている。
【0080】
具体的には、送風機50から流通路32aへ送風する通路から分岐する分岐通路26dが備えられており、この分岐通路26dの下流端が回路収容室32bに接続されている。分岐通路26dには、分岐通路26dを開閉する分岐開閉弁262vが設けられている。電極収容ケース32には、回路収容室32bを大気に開放させる大気開放口32dが形成されている。分岐開閉弁262vを開弁させると、送風機50からの送風空気の一部が回路収容室32bへ流入し、大気開放口32dから流出する。
【0081】
要するに本実施形態では、
図8に示す上記第3実施形態に対して、分岐通路26dを設けるように変更するとともに、
図8に示す大気開放バルブ261vを分岐開閉弁262vに変更している。そして、本実施形態に係るマイコン41は、停止制御部S2により送風機50を継続作動させている場合には、大気開放状態となるように分岐開閉弁262vを開弁させ、かつ、連通遮断状態となるように開閉バルブ26vを作動させる。なお、オゾン供給制御部41aによりオゾンを供給させている場合には、非開放状態となるように大気開放バルブ261vを閉弁させ、かつ、連通状態となるように開閉バルブ26vの作動を制御する。
【0082】
以上により、本実施形態では、オゾナイザ30の発熱源となっている電源回路が、大気開放バルブ261vにより大気へ開放される送風空気により冷却される位置に配置されている。そのため、停止制御部S2により送風機50を継続作動させている期間に、電極31に加えて電源回路も空冷される。よって、上記期間におけるオゾナイザ温度Tozの低下を促進できる。
【0083】
(第5実施形態)
本実施形態に係るECU40は、オゾナイザ30の作動を停止させた時点におけるオゾナイザ温度Tozの上昇速度ΔTozが所定速度TH以上である温度急上昇状態であるか否かを判定する昇温判定部を備える。そして、昇温判定部により温度急上昇状態と判定された場合には、停止制御部S2により送風機50を継続作動させるか否かの判定に用いる第4所定温度T4を、高温側へ変更させる。
【0084】
具体的には、
図5に示す上記第1実施形態の制御内容を、本実施形態では
図10に示す制御内容に変更させている。すなわち、
図10のステップS21にてオゾナイザ30を停止させた後、ステップS21bにおいて、上述した上昇速度ΔTozを取得する。例えば、オゾナイザを停止させる前後においてオゾナイザ温度Tozを所定時間で逐次取得しておき、オゾナイザ停止時を含む所定時間におけるオゾナイザ温度Tozの変化量を、上昇速度ΔTozとして算出する。
【0085】
続くステップS21cでは、ステップS21bで取得した上昇速度ΔTozが、予め設定しておいた所定速度TH以上であるか否かを判定する。このステップS21cの処理を実行している時のマイコン41は、昇温判定部に相当する。所定速度TH以上であると判定された場合には、続くステップS21dにて第4所定温度T4の値を120℃に設定する。所定速度TH以上でないと判定された場合には、続くステップS21eにて第4所定温度T4の値を、ステップS21dで設定した温度よりも低い値(例えば100℃)に設定する。
【0086】
続くステップS22、S23、S24による停止制御部S2では、
図5と同様にして、オゾン供給制御部41aによるオゾン供給を停止させるにあたり、オゾナイザ停止後に、低温状態になるまで送風機50の作動を継続させる。そして、低温状態であるか否かの判定に用いる第4所定温度T4には、ステップS21d、S21eで設定された値が用いられる。
【0087】
ここで、上昇速度ΔTozが速いほど、触媒温度Tcatの上昇速度も速くなっている蓋然性が高く、その場合には、オゾン供給停止要求が為された後、触媒温度Tcatが第2所定温度T2や第3所定温度T3よりも低温になりにくい。よって、オゾン供給停止要求が為されてから再度オゾン要求が為されるまでの時間が長くなる蓋然性が高い。このように、オゾナイザ30を停止させてから再始動させるまでの時間が十分に長い場合には、送風機50による継続作動の空冷でオゾナイザ温度Tozを十分に低下させておかなくても、再始動までの長い時間のうちに、自然放熱でオゾナイザ温度Tozが低下していくことが期待できる。
【0088】
この点を鑑み、本実施形態では、オゾナイザ30の作動停止時点におけるオゾナイザ温度Tozの上昇速度ΔTozが所定速度TH以上である温度急上昇状態であるか否かを判定する昇温判定部を備える。そして、温度急上昇状態と判定された場合には、第4所定温度T4を高温側へ変更させる。これによれば、温度急上昇状態である場合には、停止制御部S2により送風機50を継続作動させて空冷する時間が短くなる。よって、必要以上に送風機50で空冷させることを抑制でき、送風機50での消費電力を低減できる。
【0089】
(第6実施形態)
本実施形態に係るECU40は、オゾン供給が要求されていない期間中、オゾナイザ温度Tozが第5所定温度T5以上高くなっている場合に、オゾナイザ30の作動を停止させつつ送風機50を作動させてオゾナイザ30を空冷する空冷制御部を備える。上記第5所定温度T5は、特許請求の範囲に記載の第2温度に相当し、継続空冷の終了判定に用いる第4所定温度T4よりも低温に設定されている。
【0090】
図11の処理は、マイコン41により所定周期で繰り返し実行されるものであり、エンジン10が停止中であっても実行される。先ず、
図11のステップS30において、エンジン10からNOxが排出されている状態であるか否かを判定する。例えば、エンジン停止中であればNOx排出中でないと判定される。或いは、エンジン作動中であっても加速走行の要求がなく燃料噴射が停止された状態であれば、燃焼していないのでNOx排出中でないと判定される。
【0091】
NOx排出中でないと判定された場合、続くステップS31において、
図5のステップS22と同様にしてオゾナイザ温度Tozを取得する。続くステップS32では、ステップS31で取得したオゾナイザ温度Tozが第5所定温度T5以上であるか否かを判定する。第5所定温度T5以上であると判定された場合には、続くステップS33において、以下に説明する空冷制御を実行する。なお、このステップS33の処理を実行している時のマイコン41は、空冷制御部に相当する。
【0092】
空冷制御では、例えば
図6に示すオゾン供給装置を制御対象とした場合、開閉バルブ260vを大気開放状態に制御し、オゾナイザ30の作動を停止させつつ、送風機50を作動させる。これにより、オゾナイザ30が空冷され、オゾナイザ温度Tozが低下することとなる。NOx排出中でない場合には、オゾン供給が要求されることはないので、オゾナイザ30の作動を停止させつつ送風機50を作動させることができる。
【0093】
以上により、本実施形態では、オゾン供給が要求されていない期間中、オゾナイザ温度Tozが第5所定温度T5以上高くなっている場合に、オゾナイザ30の作動を停止させつつ送風機50を作動させてオゾナイザ30を空冷する空冷制御部を備える。
【0094】
そのため、オゾン供給が要求されるに先立ち、オゾナイザ温度Tozを予め低下させておくことができる。その結果、上述した継続空冷で要求される温度低下量を低減することができ、送風機50に要求される最大送風量を少なくできる。よって、送風機50の小型化を図ることができる。
【0095】
(第7実施形態)
第1実施形態に係るオゾン供給制御部41aは、要求オゾン量に相当する目標オゾン量Otrgに基づき目標風量Atrgを設定しており、この目標風量Atrgとなるように送風機50を作動させている。そして、本実施形態に係るECU40は、オゾナイザ温度Tozが第6所定温度T6以上になっている場合に、要求オゾン量に対応する風量よりも多い風量に目標風量Atrgを設定する風量増大制御部を備える。上記第6所定温度T6は、特許請求の範囲に記載の第3温度に相当し、継続空冷の終了判定に用いる第4所定温度T4よりも低温に設定されている。
【0096】
図12の処理は、マイコン41により所定周期で繰り返し実行されるものである。先ず、
図12のステップS40において、オゾン供給中であるか否かを判定する。例えば、
図4のステップS15によるオゾン供給制御や、ステップS16による強酸化制御を実行している場合に、オゾン供給中であると判定される。
【0097】
オゾン供給中であると判定された場合、続くステップS41において、
図5のステップS22と同様にしてオゾナイザ温度Tozを取得する。続くステップS42では、ステップS41で取得したオゾナイザ温度Tozが第6所定温度T6以上であるか否かを判定する。第6所定温度T6以上であると判定された場合には、続くステップS43において、以下に説明する風量増大制御を実行する。なお、このステップS43の処理を実行している時のマイコン41は、風量増大制御部に相当する。
【0098】
風量増大制御では、例えば強酸化制御の実行時においては、還元剤の改質に必要なオゾン量(つまり要求オゾン量)に対応する風量よりも多い風量に目標風量Atrgを設定し、その風量増大分で、オゾナイザ30の空冷を促進させる。或いは、例えばオゾン供給制御の実行時においては、排気中のNOの酸化に必要なオゾン量(つまり要求オゾン量)に対応する風量よりも多い風量に目標風量Atrgを設定し、その風量増大分で、オゾナイザ30の空冷を促進させる。但し、改質に必要な風量やNO酸化に必要な風量が送風機50の最大風量である場合には、風量増大制御を実行しない。
【0099】
以上により、本実施形態では、オゾン供給制御部41aは、要求オゾン量に基づき設定された目標風量Atrgとなるよう送風機50を作動させる。そして、所定温度よりも低温に設定された第3温度と比較してオゾナイザ温度Tozが高くなっている場合に、要求オゾン量に対応する風量よりも多い風量に目標風量Atrgを設定する風量増大制御部を備える。
【0100】
そのため、オゾナイザ30の作動中に、風量増大によりオゾナイザ30の空冷が促進される。そのため、停止制御部S2によりオゾナイザ30を停止させた時点でのオゾナイザ温度Tozを低くさせておくことができる。よって、上述した継続空冷で要求される温度低下量を低減することができ、送風機50に要求される最大送風量を少なくできる。よって、送風機50の小型化を図ることができる。
【0101】
(他の実施形態)
以上、発明の好ましい実施形態について説明したが、発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、以下に例示するように種々変形して実施することが可能である。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0102】
上記各実施形態では、ステップS23による昇温判定部を備え、オゾナイザ温度Tozが所定温度未満である低温状態であるか否かを判定している。これに対し、上記昇温判定部を廃止して、オゾナイザ30の停止時点から所定時間が経過するまでの期間、送風機50の運転を継続させ、所定時間経過時点で送風機50を停止させるようにしてもよい。この所定時間は、オゾナイザ温度Tozが所定温度(例えば第4所定温度T4)にまで低下するのに要すると予想される時間に設定されている。
【0103】
また、
図5、7、10に示す停止制御部S2では、ステップS23(昇温判定部)によりオゾナイザ温度Tozが第4所定温度T4まで低下したと判定されるまで、送風機50の作動を継続させている。これに対し、以下のタイムアウト処理を停止制御部S2に追加してもよい。すなわち、オゾナイザ30を停止させてから所定時間が経過したか否かを判定する判定処理を追加し、その判定処理により所定時間が経過したと判定された場合に、昇温判定部の判定結果に拘らず送風機50を強制的に停止させる。この判定処理では、タイマーにより所定時間を計測してもよいし、ステップS23で繰り返し否定判定された回数が所定回数を超えた場合に所定時間が経過したと判定してもよい。このようなタイムアウト処理を追加した上記変形例によれば、例えばオゾナイザ温度センサ30tの故障等に起因してステップS23で肯定判定できなくなった場合であっても、上記判定処理の条件を満たせば送風機50は強制停止される。そのため、実際にはオゾナイザ温度Tozが第4所定温度T4まで低下しているにも拘らず送風機50が作動を継続させている、といった状況に陥る期間を短くできる。
【0104】
図10に示す上記第5実施形態では、オゾナイザ温度Tozの上昇速度ΔTozが所定速度TH以上である場合に、ステップS23での判定に用いる所定温度である第4所定温度T4を高温側へ変更させている。これに対し、オゾナイザ温度Tozの上昇速度ΔTozが所定速度TH以上である場合に、停止制御部による送風機50の継続作動を禁止して、オゾナイザ30停止と同時に、送風機50を停止させて開閉バルブ260vを閉弁作動させてもよい。
【0105】
図12に示す上記第7実施形態では、送風機50で継続空冷するにあたり、還元剤の改質に必要なオゾン量、または排気中のNOの酸化に必要なオゾン量(つまり要求オゾン量)に対応する風量よりも多い風量に、送風機50の目標風量を増大させている。これに対し、継続空冷時には、要求オゾン量の値に拘らず、送風機50の最大風量に目標風量を設定してもよい。
【0106】
上記各実施形態では、オゾナイザ30の電極収容ケース32に取り付けられたオゾナイザ温度センサ30tにより、オゾナイザ温度Tozを検出している。これに対し、電極31の温度を検出する温度センサを用いてもよい。
【0107】
オゾナイザ温度センサ30tは、送風配管26のうち電極収容ケース32の下流側に取り付けられていても良い。但し、送風配管26のうち開閉バルブ26vの上流側に取り付けられていることが望ましい。
【0108】
図1および
図8に示す実施形態では、送風機50の下流側にオゾナイザ30を配置しているが、送風機50の上流側にオゾナイザ30を配置してもよい。
【0109】
上記各実施形態に係るECU40(オゾン供給制御装置)は、エンジン10の排気通路10exへオゾンを供給するオゾン供給装置を制御対象としている。これに対し、エンジン10の吸気通路10inへオゾンを供給するオゾン供給装置を制御対象としてもよい。吸気通路10inへオゾンを供給する用途の一例としては、燃焼室での混合気の着火性を向上させることが挙げられる。
【0110】
図1に示す実施形態では、圧縮自着火式のディーゼルエンジンにオゾン供給装置を適用させており、燃焼用の燃料として用いる軽油を還元剤として用いている。これに対し、点火着火式のガソリンエンジンにオゾン供給装置を適用させて、燃焼用の燃料として用いるガソリンを還元剤として用いてもよい。
【0111】
オゾン供給制御装置としてのECU40が提供する手段および/または機能は、実体的な記憶媒体に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御装置がハードウェアである回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって提供することができる。また、ECU40に替えてマイコン41がオゾン供給制御装置を提供してもよいし、マイコン41が有するプロセッサがオゾン供給制御装置を提供してもよい。