(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、プローブピンが、その軸心方向に摺動するだけであるので、互いに圧接することがなく、所望の接触圧が得られない。
また、近年、半導体集積回路の小型化が進むにつれ、前記検査装置においても、半導体集積回路のより狭い間隔で配置された検査部位を検査できることが要請されている。このような要請に答えるべく、検査装置に使用されるプローブピンもさらなる小型化、薄型化が要請されている。
しかしながら、特許文献1のようなプローブピンにおいては、今後さらにプローブピンが小型化、薄型化した場合、増減できる接触面積に限りがある。このため、従来のプローブピンの構造では、接触安定性を確保できないという問題があった。
本発明は、前記問題点に鑑み、プローブピンを小型化、薄型化できるとともに、かつ、所望の接触安定性をも確保できる導電性接触子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るプローブピンは、前記課題を解決すべく、
中心軸に沿って伸縮する弾性筒状体と、
前記弾性筒状体の一端側から前記中心軸に沿って挿入される導電性の第1プランジャと、
前記弾性筒状体の他端側から前記中心軸に沿って挿入される導電性の第2プランジャと、を備え、
前記第1プランジャと前記第2プランジャとが、前記弾性筒状体の内部で前記中心軸に沿って相互に摺接可能に保持されるプローブピンであって、
前記第1プランジャは、
前記中心軸に沿って伸び、前記弾性筒状体の内部に位置する第1プランジャ本体と、
前記第1プランジャ本体の自由端部に向かって先細りになるように傾斜する傾斜面と、を備え、
前記第2プランジャが前記傾斜面を摺接することで、弾性変形する弾性部と、を備える構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第2プランジャが第1プランジャの傾斜面を摺接するにつれて、弾性部が弾性変形し、その復帰力によって第1プランジャと第2プランジャとの接触圧が高まるので、接触安定性が向上する。
また、第1プランジャが簡単な構成を採るため、幅、長さ等、プランジャの設計の自由度が増し、容易に小型化、薄型化に対応したプローブピンを提供できる。
【0007】
本発明の実施形態としては、
前記第1プランジャ本体は、
断面矩形状であって、
前記第1プランジャ本体の断面の短手方向の面に前記傾斜面を有し、
前記傾斜面の自由端部から突出する第1係合部を備え、
前記第2プランジャは、
前記第1係合部に係合する第2係合部を備え、
前記第2プランジャが、第1プランジャ本体の断面の長手方向の面と前記傾斜面との両方に接触するように、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合してもよい。
【0008】
本実施形態によれば、プローブピンの形状が複雑でないため、電鋳法以外の方法であっても容易に製造することができる。
また、第2プランジャが、第1プランジャ本体の断面の長手方向の面と前記傾斜面との両方に接触するように、第1係合部と第2係合部とが係合する。このため、第1,第2プランジャが相互に脱落しにくくなるとともに、接触面積が広くなるので、接触信頼性が向上する。
【0009】
本発明の他の実施形態としては、
前記第1プランジャ本体は、
断面矩形状であって、
前記第1プランジャ本体の断面の短手方向の面に前記傾斜面を有し、
前記傾斜面の自由端部から突出する第1係合部を備え、
前記第2プランジャは、
前記第1係合部に係合する第2係合部を備え、
前記第2プランジャが、前記第1プランジャ本体の断面の短手方向の面のみに接触するように、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合してもよい。
【0010】
本実施形態によれば、第1係合部と第2係合部とで付勢する方向が対向する。その結果、接触面に、より高い接触圧がかかり、接触安定性を向上させることができる。
【0011】
本発明の別の実施形態としては、
前記第1プランジャは、
前記第1プランジャ本体から前記中心軸に沿って前記弾性筒状体の外部へ伸びる第1端子部を備え、
前記第1プランジャ本体の前記弾性部は、
前記第1プランジャ本体の基部に、前記中心軸と直交する方向にせり出すように湾曲する細首部を有していてもよい。
【0012】
本実施形態によれば、形状によって第1プランジャに弾性を持たせられるので、弾性力の小さい材質でもよい。したがって、材料選択の自由度が増す。
【0013】
本発明の異なる実施形態としては、
前記第1プランジャは、
前記第1プランジャ本体から前記中心軸に沿って前記弾性筒状体の外部へ伸びる第1端子部を備え、
前記第1プランジャ本体の前記弾性部は、
前記第1プランジャ本体の基部から前記中心軸の軸心方向に沿って蛇行する蛇腹形状を有していてもよい。
【0014】
本実施形態によれば、弾性部が蛇腹形状に形成されるので、小さな付勢力で弾性変形できる。また、弾性部にかかる応力が分散しやすいので寿命の長いプローブピンが得られる。
【0015】
本発明の他の実施形態としては、
前記第1プランジャは、
前記第1プランジャ本体から前記中心軸に沿って前記弾性筒状体の外部へ伸びる第1端子部を備え、
前記第1プランジャ本体の前記弾性部は、
前記第1プランジャ本体の基部から前記中心軸に対して直交する方向に沿って蛇行する蛇腹形状を有していてもよい。
【0016】
本実施形態によれば、弾性部が蛇腹形状に形成されるので、小さな付勢力で弾性変形できる。また、弾性部にかかる応力が分散しやすいので寿命の長いプローブピンが得られる。
【0017】
本発明の別の実施形態としては、
前記第1プランジャは、
前記第1プランジャ本体から前記中心軸に沿って前記弾性筒状体の外部へ伸びる第1端子部を備え、
前記第1プランジャ本体は、
その基部から前記中心軸の軸心方向に沿って伸びるスリットを有していてもよい。
【0018】
本実施形態によれば、スリットの長さに応じて弾性力を調整することができるので、検査装置ごとに適切な弾性力のプローブピンを提供できるという効果がある。
【0019】
本発明の異なる実施形態としては、
前記第1プランジャは、
前記第1プランジャ本体から前記中心軸に沿って前記弾性筒状体の外部へ伸びる第1端子部を備え、
前記第1端子部は、
断面矩形状であって、
前記第1端子部の基部の断面の短手方向の面から突出し、前記弾性筒状体の端部を保持する保持部を設けてもよい。
【0020】
本実施形態によれば、弾性筒状体がプローブピンから脱落することがなく、組立工程における取り扱いが容易である。
【0021】
本発明の他の実施形態としては、
前記第2プランジャは、
前記中心軸に沿って伸び、かつ、前記弾性筒状体の内部で前記第1プランジャに摺接する断面矩形状の第2プランジャ本体と、
前記第2プランジャ本体から前記中心軸に沿って前記弾性筒状体の外部へ伸びる第2端子部と、を備えていてもよい。
【0022】
本実施形態によれば、第1プランジャと第2プランジャとをコイルばね内部で係合させる必要がないので、プローブピンの生産効率が高まるという効果がある。
【0023】
本発明の別の実施形態としては、
前記第1プランジャ本体と前記第2プランジャ本体との前記中心軸の軸心方向の長さ寸法が異なっていてもよい。
【0024】
本実施形態によれば、一方のプランジャの長さ寸法を大きくすることで、弾性部の長さを大きく採れるので、弾性部の応力を分散でき、寿命の長いプローブピンが得られる。
【0025】
本発明の異なる実施形態としては、
前記第2プランジャが、前記請求項1ないし10のいずれかに記載の第1プランジャと同一形状を有していてもよい。
【0026】
本実施形態によれば、第2プランジャの形状を種々変更することができるので、任意の弾性力に応じて、第2プランジャの形状を柔軟に変更することができる。
【0027】
本発明の検査装置は、ハウジング内に請求項1ないし11のいずれかに記載のプローブピンの一部が収納されていてもよい。
【0028】
本発明によれば、従来のプローブピンよりもさらに小型化、薄型化したプローブピンを生産できるので、半導体集積回路のより狭い間隔で配置された検査部位も検査できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に示す第1実施形態を示すプローブピンを組み込んだ検査装置の断面図である。
【
図2】
図2Aは、本発明に係る第1実施形態のプローブピンを示す斜視図である。
図2Bは、
図2Aに示す第1実施形態を示すプローブピンからコイルばねを除いた斜視図である。
図2Cは、
図2Bに示す第1プランジャの第1係合部と第2プランジャの第2係合部との係合状態を表す部分拡大斜視図である。
【
図3】
図2Aに示すプローブピンの分解斜視図である。
【
図4】
図4Aは、本発明に係る第2実施形態のプローブピンを示す斜視図である。
図4Bは、
図4Aに示す第2実施形態を示すプローブピンからコイルばねを除いた斜視図である。
図4Cは、
図4Bに示す第1プランジャの第1プランジャ本体と第2プランジャの第2プランジャ本体との係合状態を表す部分拡大斜視図である。
【
図5】
図4Aに示すプローブピンの分解斜視図である。
【
図6】
図6Aは、本発明に係る第3実施形態のプローブピンを示す斜視図である。
図6Bは、
図6Aに示す第3実施形態を示すプローブピンからコイルばねを除いた斜視図である。
図6Cは、
図6Bに示す第1プランジャの第1係合部と第2プランジャの第2係合部との係合状態を表す部分拡大斜視図である。
【
図7】
図6Aに示すプローブピンの分解斜視図である。
【
図8】
図8Aは、本発明に係る第4実施形態のプローブピンを示す斜視図である。
図8Bは、
図8Aに示す第4実施形態を示すプローブピンからコイルばねを除いた斜視図である。
図8Cは、
図8Bに示す第1プランジャの第1係合部と第2プランジャの第2係合部との係合状態を表す部分拡大斜視図である。
【
図9】
図8Aに示すプローブピンの分解斜視図である。
【
図10】
図10Aは、本発明に係る第5実施形態のプローブピンを示す斜視図である。
図10Bは、
図10Aに示す第5実施形態を示すプローブピンからコイルばねを除いた斜視図である。
図10Cは、
図10Bに示す第1プランジャの第1係合部と第2プランジャの第2係合部との係合状態を表す部分拡大斜視図である。
【
図12】
図12Aは、本発明に係る第6実施形態のプローブピンを示す斜視図である。
図12Bは、
図12Aに示す第6実施形態を示すプローブピンからコイルばねを除いた斜視図である。
図12Cは、
図12Bに示す第1プランジャの第1係合部と第2プランジャの第2係合部との係合状態を表す部分拡大斜視図である。
【
図14】
図14Aは、本発明に係る第7実施形態のプローブピンを示す斜視図である。
図24Bは、
図14Aに示す第7実施形態を示すプローブピンからコイルばねを除いた斜視図である。
図14Cは、
図14Bに示す第1プランジャの第1係合部と第2プランジャの第2係合部との係合状態を表す部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態を説明するにあたり、図面に表された構成を説明する上で、X,Y,Z方向等の方向を表す用語、および、その他方位を示す別の用語を使用するが、これらの用語を使用する目的は図面を通じて実施形態の理解を容易にするためである。したがって、これらの用語は本発明の実施形態が実際に使用されるときの方向を示すものとは限らない。また、これらの用語によって特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲が限定的に解釈されるべきではない。
【0031】
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態のプローブピン15を組み込んだ検査装置10について添付図面に従って説明する。
なお、本実施形態に係る検査装置10は、例えば、ICチップなどの半導体集積回路の電気特性を高い検査精度で検査するものである。
【0032】
本実施形態に係る検査装置10は、
図1に示すように、ハウジング20とプローブピン15とを有する。ハウジング20は、ベース21とカバー25とを有し、これらによってプローブピン15が保持されている。
【0033】
ベース21には、
図1に示すように、2つの収納孔22と第1端子孔23とが設けられている。2つの収納孔22は、2つの第1端子孔23にそれぞれ連通している。収納孔22と第1端子孔23とは、ベース21のY1,Y2方向に沿って平行に設けられ、ベース21を貫通している。また、収納孔22と第1端子孔23とは、その横断面が円形に形成されている。そして、収納孔22の直径は第1端子孔23の直径よりも大きい。これにより、収納孔22に、後述のプローブピン15の第1保持部36を収納できる。また第1端子孔23の開口縁部24に、後述のプローブピン15の第2保持部46を保持できる。なお、ベース21は、例えば、耐熱性を備えた樹脂成形品である。
【0034】
カバー25は、
図1に示すように、ベース21のY1方向の面を被覆する平面形状を有する板状の樹脂成形品である。そして、カバー25は、所定の位置に2つの第2端子孔26が設けられている。第2端子孔26は、その横断面が円形に形成され、その直径がベース21の収納孔22よりも小さい。収納孔22と第2端子孔26とは、ベース21とカバー25を重ね合せたときに連通する。これにより、後述のプローブピン15の第1保持部36をベース21の収納孔22内に収納すると、第2端子孔26の開口縁部27で第1保持部36を係止できる。
【0035】
本実施形態に係るプローブピン15は、
図2ないし
図3に示すように、第1プランジャ30と、第2プランジャ40と、コイルばね50とで構成されている。また、プローブピン15は、コイルばね50の中心軸aに沿って第1プランジャ30と第2プランジャ40とをコイルばね50の両端から挿入することにより、その先端がコイルばね50の内部で係合している。
【0036】
第1プランジャ30は、
図3に示すように、導電性を有する断面矩形状の金属部材であって、第1プランジャ本体31と、第1端子部32と、第1保持部36とを備える。第1端子部32は、Z1方向に伸び、その先端部分が尖っている。第1保持部36は、第1プランジャ本体31と第1端子部32との境界からX1,X2方向に各々突出している。これにより、第1保持部36は、第1端子部32よりも巾広い巾寸法を有している。
【0037】
第1プランジャ本体31は、
図3に示すように、第1端子部32の中央からZ2方向に向かって突出する略直線形状を有している。そして、第1プランジャ本体31は、第1弾性部33と、第1傾斜面35と、第1係合部34と、第1接触面37とを備えている。
すなわち、第1弾性部33は、第1プランジャ本体31の基部、すなわち第1プランジャ本体31が突出する根元の部分、に設けられ、X1方向にせり出すように湾曲している。また、第1弾性部33は、そのY1方向の面のX1,X2方向の幅が狭く形成されており、ばね性を有する。第1傾斜面35は、第1プランジャ本体31のX2方向の面の自由端部側、すなわち第1プランジャ本体31の先端側、に設けられている。そして、第1傾斜面35は、第1プランジャ本体31の自由端部に向かって先細りになるように傾斜している。第1係合部34は、第1傾斜面35の自由端部からX2方向に向けて略三角形に突出している。第1接触面37は、
図3に示すように、第1係合部34のY1方向に向いた面に形成されている。
なお、第1プランジャ本体31全体が、第1弾性部33から自由端部にかけて略直線形状を有するが、X2方向に向かって傾斜していてもよい。また、第1傾斜面35と第1係合部34との境界部分が、少なくとも中心軸aよりもX2方向に位置するように設計されていてもよい。なお、第1プランジャ30および第1プランジャ本体31の各部分は一体成形されている。
【0038】
第2プランジャ40は、
図3に示すように、第1プランジャ30と同一の形状を有する。すなわち、第2プランジャ40は、第2プランジャ本体41と、第2端子部42と、第2保持部46とを備える。また、第2プランジャ本体41は、第2弾性部43と、第2傾斜面45と、第2係合部44と、第2接触面47とを有する。
そして、
図2Cに示すように、第1プランジャ30の第1係合部34と第2プランジャ40の第2係合部44とが係合する。なお、このとき、第1プランジャ本体31と第2プランジャ本体41とは、第1傾斜面35と第2接触面47とで圧接していてもよい。同時に、第2傾斜面45と第1接触面37とで圧接していてもよい。
【0039】
コイルばね50は、
図3に示すように、弾性を有する金属線材からなり、螺旋状に巻いて形成されている。そして、コイルばね50は、第1、第2プランジャ30,40の第1,第2プランジャ本体31,41がそれぞれ挿入可能な内径を有し、かつ、第1プランジャ30の第1保持部36の巾寸法よりも小さい内径を有する。そして、コイルばね50の直径は一様であり、巻線のピッチは均一である。なお、コイルばね50の内部において、第1プランジャ30および第2プランジャ40が相互に係合したとき、付勢力が第1,第2プランジャ30,40に加わるように、ばね長を調整してもよい。
【0040】
なお、第1、第2プランジャ30,40は各々導電性を有しており、例えば、それぞれ一枚の板材から打ち抜いて形成してもよく、あるいは、電気鋳造で形成してもよい。また、第1、第2プランジャ30,40は、必要に応じ、非導電性材料の表面に金属めっき、あるいは、導電材コーティング等の表面処理を行い、形成してもよい。
【0041】
また、コイルばね50は、弾性筒状体であればよく、導電性を有していなくてもよい。例えば、樹脂ばねや非導電性の弾性体の表面に金属めっき、あるいは、導電材コーティング等の表面処理を行って形成してもよい。その他、ゴムチューブで構成していてもよい。
【0042】
次に、プローブピン15の組み立て方法を、
図3を用いて説明する。
【0043】
まず、
図3に示すように、第1プランジャ30の第1プランジャ本体31をコイルばね50の一端から中心軸aに沿って挿入し、第1保持部36をコイルばね50の一端に当接させる。
【0044】
一方、コイルばね50の他端から中心軸aに沿って第2プランジャ40の第2プランジャ本体41を挿入する。このとき、第1プランジャ本体31の第1傾斜面35と第2プランジャ本体41の第2接触面47と、および、第1プランジャ本体31の第1接触面37と第2プランジャ本体の第2傾斜面45とがそれぞれ接触するように調整しながら挿入する。
換言すれば、第1傾斜面35と、第2プランジャ本体41の第2係合部44を設けたY2方向に向いた面とが直交するように調整しながら挿入する。
これにより、
図2Cに示すように、コイルばね50の内部で第1プランジャ30の第1係合部34と第2プランジャ40の第2係合部44とが係合する。
【0045】
以上により、第1,第2プランジャ30,40は一体となって中心軸aに沿って摺接できる。また、このとき、第1弾性部33と第2弾性部43とはそれぞれX1,Y1方向に弾性変形する。
この場合、第1プランジャ30と第2プランジャ40とは、第1傾斜面35と第2接触面47と、および、第2傾斜面45と第1接触面37とがそれぞれで圧接し、第1,第2プランジャ30,40間に安定した電気的接続状態を維持できる。
【0046】
なお、プローブピン15は、その初期状態(係合状態)のときに、コイルばね50が圧縮された状態であってもよい。すなわち、コイルばね50の復帰力により、コイルばね50の両端が第1プランジャ30の第1保持部36と第2プランジャの第2保持部46とをZ1,Z2方向に付勢していてもよい。
【0047】
次に、検査装置10の製造方法について
図1を用いて説明する。
【0048】
まず、上述のように組み立て作られた2本のプローブピン15をベース21の収納孔22に組み込む。
すなわち、ベース21の収納孔22に第2プランジャ40の第2端子部42を挿入し、第1端子孔23の開口縁部24に第2保持部46を当接させ、プローブピン15を保持する。このとき、コイルばね50も一緒に収納孔22内部に収納される。なお、
図1に示すように、ベース21の底面の厚さ寸法は、第2端子部42の先端がベース21の下面から突出するように設計されている。
【0049】
次に、カバー25をベース21のY1方向の面に重ね合せる。このとき、カバー25の2つの第2端子孔26にプローブピン15の第1端子部32を挿入し、第2端子孔26の開口縁部27で第1保持部36を保持する。また、ベース21の収納孔22は、カバー25の第2端子孔26と連通している。そして、図示しない公知の固定方法によってベース21とカバー25が固定される。これにより、ハウジング20内で2つのプローブピン15がY1,Y2方向へ移動可能に支持される。なお、
図1に示すように、カバー25の厚さ寸法は、第1端子部32の先端がカバー25のY1方向の面から突出するように設計されている。
【0050】
次に、検査装置10の使用方法について、
図1を用いて説明する。
【0051】
まず、上述のように組み立てられた検査装置10のZ2方向に図示しない回路基板を配置する。一方、Z1方向に図示しない検査対象物であるICチップを配置する。このとき、回路基板は、その導電部が、第2プランジャ40の第2端子部42の先端の下方に配置される。また、ICチップは、その被検査面が、第1プランジャ30の第1端子部32の先端の上方に配置される。
【0052】
次に、回路基板がZ1方向に、および、ICチップがZ2方向にそれぞれ移動し、検査装置10を挟み込む。このとき、回路基板の導電部が第2端子部42の先端に接触するとともに、ICチップの被検査面が第1端子部32の先端に接触する。さらに、回路基板とICチップとを移動させ、第1端子部32の先端と第2端子部42の先端とをハウジング20内部に押し込むことで、第1プランジャ30と第2プランジャ40とが互いに摺動する。このとき、第1係合部34と第2係合部44との係合が解除される。そして、
図3に示すように、第1プランジャ30の第1傾斜面35上を第2プランジャ40の第2接触面47がZ1方向に摺接する。また、同様に、第2プランジャ40の第2傾斜面45上を第1プランジャ30の第1接触面37がZ2方向に摺接する。
【0053】
そして、第1傾斜面35は、第1プランジャ本体31の第1係合部34に向かって広がるように傾斜している。このため、第2接触面47がZ1方向に摺動するにつれ、その接触圧が高まる。同様に、第1接触面37がZ2方向に摺動するにつれ、第2傾斜面45と第1接触面37との接触圧が高まる。
このとき、第1プランジャ本体31の第1弾性部33と第2プランジャ本体41の第2弾性部43とは、第1,第2プランジャ30,40の摺動によって弾性変形し、接触圧を維持する。
【0054】
これにより、2つのプローブピン15を介して回路基板の導電部とICチップの被検査部とが電気的に接続され、ICチップに電流が流れる。その結果、ICチップの内部回路が正常に導通するか否かを検査でき、ICチップが不良品か否かを判別できる。また、従来のプローブピンよりもさらに小型化、薄型化したプローブピン15を生産できる。このため、半導体集積回路のより狭い間隔で配置された検査部位も検査できる。
【0055】
[第2実施形態]
図4,5は、本発明にかかるプローブピン15の第2実施形態を示している。前記第1実施形態と相違する点は、第1プランジャ30および第2プランジャ40の自由端部に、第1係合部34および第2係合部44をそれぞれ設けていない点である。また、他の相違点は、第2プランジャ本体41に、第2弾性部43および第2傾斜面45を設けていない点である。
すなわち、
図5に示すように、第1プランジャ本体31は、その自由端部に向かって先細りになるように第1傾斜面35が伸びている。また、第2プランジャ本体41は、中心軸aに沿って伸びる断面矩形状の平板で構成されている。そして、第1,第2プランジャ30,40が相互に摺動することによって、第1プランジャ30の第1傾斜面35に第2プランジャ本体41の平坦面47aが摺接し、第1弾性部33を弾性変形させる。なお、以下の実施形態において、前記第1実施形態と同一の部分には同一の参照番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0056】
これにより、第1プランジャ30と第2プランジャ40とをコイルばね50の内部で係合させる必要がないので、組立作業が容易となり、プローブピン15の生産効率が高まる。
【0057】
[第3実施形態]
図6,7は、本発明にかかるプローブピン15の第3実施形態を示している。なお、第3実施形態は、説明の便宜上、第1プランジャ30と第2プランジャ40との位置関係を上下逆に図示してある。
第3実施形態が前記第1実施形態と相違する点は、第2プランジャ40に第2弾性部を設けていない点である。さらに、他の相違点は、第2保持部46の中央からではなく、中心軸aからX1方向に偏心した位置から直線形状の第2プランジャ本体41をZ2方向に沿って伸ばした点である。なお、第2プランジャ40は剛体である。
【0058】
これにより、第2プランジャ40の形状が簡単になり、電鋳法以外の方法であっても容易に製造することができる。
【0059】
[第4実施形態]
図8,9は、本発明にかかるプローブピン15の第4実施形態を示している。前記第1実施形態と相違する点は、第1プランジャ本体31の第1傾斜面35に設けた第1係合部34と、第2プランジャ本体41の第2係合部44を設けた第2傾斜面45とが対向する点である。なお、本実施形態では、第1傾斜面35と第2係合部44の第2先端面47bと、および、第2傾斜面45と第1係合部34の第1先端面37bとが圧接する。
【0060】
これにより、第1係合部34と第2係合部44とを付勢する方向が対向する。その結果、第1傾斜面35と第2先端面47bとの間、および、第2傾斜面45と第1先端面37bとの間で、第1弾性部33および第2弾性部43のばね力により、高い接触圧を確保でき、接触安定性を向上できる。
【0061】
[第5実施形態]
図10,11は、本発明にかかるプローブピン15の第5実施形態を示している。前記第1実施形態と相違する点は、第1弾性部33aおよび第2弾性部43aが中心軸aの軸心方向に沿って蛇行する蛇腹形状を有する点である。
【0062】
これにより、弾性部が蛇腹形状に形成されているので、弾性部にかかる応力集中が生じにくく、寿命の長いプローブピン15が得られる。
【0063】
[第6実施形態]
図12,13は、本発明にかかるプローブピン15の第6実施形態を示している。前記第1実施形態と相違する点は、第1弾性部33bおよび第2弾性部43bが中心軸aに対して直交する方向に沿って蛇行する蛇腹形状を有する点である。
【0064】
これにより、弾性部が蛇腹形状に形成されているので、弾性部にかかる応力が分散しやすく、応力集中が生じにくいので、寿命の長いプローブピン15が得られる。
【0065】
[第7実施形態]
図14,15は、本発明にかかるプローブピン15の第7実施形態を示している。前記第1実施形態と相違する点は、第1プランジャ本体31および第2プランジャ本体41に、第1スリット33cおよび第2スリット43cを、中心軸aに沿ってそれぞれ設けた点である。
【0066】
これにより、本実施形態によれば、第1スリット33c、第2スリット43cの長さを調整して弾性力を調整できる。このため、検査装置に応じて適切な弾性力を有するプローブピン15を提供できる。
【0067】
以上のように本発明の実施形態に係るプローブピン15を第1実施形態から第7実施形態まで具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば、次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0068】
検査装置10は、そのハウジング20に多数の孔を設けておき、多数本のプローブピン15を組み込めるようにしてもよい。
【0069】
また、ベース21とカバー25とは、着脱可能な構造を有していてもよい。これにより、プローブピン15が1本だけ壊れた場合にベース21からカバー25を取外し、破損したプローブピン15を交換できる。
【0070】
第1プランジャ本体31は、略直線形状に限らない。例えば、第1プランジャ本体31は、その基部から自由端部まで湾曲した形状を有していてもよい。なお、第1プランジャ本体31は、第1プランジャ本体31の少なくとも一部に弾性部を設け、第2プランジャ40に付勢する構造としてもよい。そして、前記第1,第2プランジャ本体31,41は、断面矩形状であってもよく、例えば、断面長方形に限らず、断面正方形であってもよい。
【0071】
また、第1,第2端子部32,42は、先端が尖った形状に限らない。例えば、波形状、半円形状であってもよく、被検査物の被検査部の形状に合わせて種々の形状を選択できる。
【0072】
また、第1プランジャ本体31と第2プランジャ本体41とは、中心軸aの軸心方向の長さ寸法が異なっていてもよい。これにより、一方のプランジャの長さ寸法を大きくすることで、弾性部の長さを大きくできる。このため、弾性部の応力を分散でき、寿命の長いプローブピンが得られる。
【0073】
また、被検査物は、ICチップ以外に、例えば、CPUチップ等の電子部品であってもよい。