(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光ビーコン車載機をダッシュボード上に取り付ける場合、光ビーコンから導出される電線は、ダッシュボードとフロントガラスとの境界部分に向かって配索され、インスツルメントパネル内に配設される。これは、電線を、乗員側に向かって、ダッシュボード上に配索することは、見栄えが良くないし、また、乗員が電線に引っかかることによって、光ビーコン車載機に不測の力が加えられる虞があるからである。
【0006】
一方、光ビーコン車載機がフロントガラスの上部に取り付けられる場合には、光ビーコン車載機から導出された電線は、フロントガラスと車室の天井との境界部分に向かって配索され、天井内に配設される。これは、電線を、フロントガラスの上部から下方に垂らして、フロントガラスとダッシュボードとの境界部分に向かって配索することは、やはり見栄えが良くないし、また、乗員の視界を妨げる虞があるからである。
【0007】
このように、光ビーコン車載機をダッシュボード上に取り付ける場合と、光ビーコン車載機をフロントガラスの上部に取り付ける場合とでは、光ビーコン車載機から導出される電線の配索方向を異ならせる必要がある。
【0008】
車両内の異なる場所に光ビーコン車載機を取り付ける場合、電線の配索方向に合わせて、光ビーコン車載機の姿勢を変更すれば足りるようにも思える。例えば、上記の場合であれば、光ビーコン車載機を上下反転させて車両に取り付けることが考えられる。
【0009】
しかし、光ビーコン車載機の姿勢を変更すると、道路上に設置した光ビーコンと、光ビーコン車載機の光通信素子との相対的な位置が変わってしまう。すると、光通信素子は指向性が高いため、光ビーコンと光ビーコン車載機との間の通信精度が低下することが懸念される。
【0010】
そこで、光ビーコン車載機からの電線の導出方向を異ならせるために、回路基板と電線との接続構造が異なる複数種類の回路基板(例えば、ダッシュボード取り付け用の回路基板と、フロントガラス取り付け用の回路基板)を用いることが考えられる。これにより、光ビーコンと、光通信素子との相対的な位置を変えることなく、車両における光ビーコン車載機の取り付け位置を変更すると共に電線の導出方向を変えることができると考えられる。
【0011】
しかし、複数種類の回路基板を用いることは製造コストの上昇を招くという問題がある。
【0012】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、光ビーコン車載機の製造コストを低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書に開示された技術は、光ビーコン車載機であって、光通信素子が実装された回路基板と、前記回路基板に実装されると共に、ワイヤーハーネスに接続可能な基板用コネクタと、を備え、前記基板用コネクタは、複数種類の基板用コネクタから選択された一の基板用コネクタであって、前記回路基板には、前記複数種類の基板用コネクタのそれぞれに対応する複数組の導電パターンが形成されており、前記複数組の導電パターンから選択された一組の導電パターンには、複数種類の基板用コネクタから選択された前記一の基板用コネクタが接続されて
おり、前記回路基板が収容されたケースを備え、前記ケース内には、前記複数種類の基板用コネクタから選択された内部配索コネクタに接続された前記ワイヤーハーネスが配索される配索部が形成されており、前記配索部には、前記ワイヤーハーネスを保持する保持部が形成されている。
【0014】
上記の構成によれば、1種類の回路基板に複数種類の基板用コネクタを選択的に実装できる。これにより、複数種類の基板用コネクタごとに回路基板を製造する必要がないので、光ビーコン車載機の製造コストを低減できる。
また、ワイヤーハーネスが引っ張られた時に、この力を保持部によって受けることができる。これにより、回路基板に実装された内部配索コネクタからワイヤーハーネスが外れることを抑制することができる。この結果、内部配索コネクタと、ワイヤーハーネスとの電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0015】
本明細書に開示された技術の実施態様としては以下の態様が好ましい。
【0018】
前記ワイヤーハーネスには被保持部材が外嵌されており、前記保持部は、前記被保持部材に対して、前記ワイヤーハーネスの延びる方向の前方及び後方から当接することが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、ワイヤーハーネスの延びる方向についてワイヤーハーネスを位置決めすることができるので、ワイヤーハーネスを確実に保持することができる。また、ワイヤーハーネスに被保持部材を外嵌させるという簡易な手法により、ワイヤーハーネスとケースとの保持構造を形成することができるので、製造コストを削減することができる。
【0020】
前記内部配索コネクタから前記ワイヤーハーネスが導出される方向と、前記ケースから前記ワイヤーハーネスが導出される方向とが異なっていることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、ケースの配索部内でワイヤーハーネスを配索することにより、ケースからのワイヤーハーネスの導出方向を自由に設定することができる。これにより、1種類の回路基板によって、ケースからワイヤーハーネスを複数の方向に導出することができるので、光ビーコン車載機の製造コストを削減することができる。
【0022】
前記複数種類の基板用コネクタのそれぞれは、複数の端子と、前記端子が取り付けられたハウジングと、を備えており、前記複数組の導電パターンのそれぞれは、前記複数の端子に対応する複数の個別パターンを有することが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、複数の端子と、これらに対応する複数の個別パターンを、それぞれ接続することにより、回路基板と端子とを電気的に接続することができる。
【0024】
前記複数組の導電パターンから選択される一の組の導電パターンに含まれる個別パターンと、前記複数組の導電パターンから選択される他の組の導電パターンに含まれる個別パターンとは、補助パターンによって接続されていることが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、複数組の導電パターンに含まれる個別パターン同士を、補助パターンによって電気的に接続することができる。これにより、複数組の導電パターンの個別パターンを、複数組の導電パターンごとに独立に形成する場合に比べて、全体として導電パターンを簡略化できる。
【0026】
本明細書に開示された技術は、光ビーコン車載機であって、光通信素子が実装された回路基板と、前記回路基板に実装されると共に、ワイヤーハーネスに接続可能な基板用コネクタと、を備え、前記基板用コネクタは、複数種類の基板用コネクタから選択された一の基板用コネクタであって、前記回路基板には、前記複数種類の基板用コネクタのそれぞれに対応する複数組の導電パターンが形成されており、前記複数組の導電パターンから選択された一組の導電パターンには、複数種類の基板用コネクタから選択された前記一の基板用コネクタが接続されており、前記回路基板が収容されたケースを備え、前記複数種類の基板用コネクタから選択された外部配索コネクタは、前記ワイヤーハーネスの端末に接続された電線用コネクタと嵌合する開口部を有しており、前記開口部は前記ケースから露出している
。
【0027】
上記の構成によれば、複数種類の基板用コネクタから選択された外部配索コネクタの開口部がケースの外部に露出する構成を採用することができる。これにより、ワイヤーハーネスを光ビーコン車載機の外部に配索することができる。これにより、光ビーコン車載機の設計の自由度を向上させることができる。
【0028】
前記外部配索コネクタは前記回路基板に向かって突出する固定金具を有し、前記回路基板には、前記固定金具が挿通されるスルーホールが形成されており、前記固定金具と前記スルーホールの内面とは半田を介して固定されていることが好ましい。
【0029】
外部配索コネクタには、ワイヤーハーネスの端末に接続された電線用コネクタが嵌合され、又は離脱される。このとき、外部配索コネクタにはワイヤーハーネスを介して力が加えられる。上記の構成によれば、電線用コネクタを嵌合し、又は離脱する際にワイヤーハーネスに加えられる力を、固定金具を介して回路基板によって受けることができる。これにより、ワイヤーハーネスに加えられた力によって、外部配索コネクタと回路基板との電気的な接続信頼性が低下することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0030】
本明細書に開示された技術によれば、光ビーコン車載機の製造コストを低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<実施形態1>
本明細書に開示された技術の実施形態1を、
図1から
図17を参照しつつ説明する。本実施形態に係る光ビーコン車載機10,50は、車両(図示せず)に搭載されて、道路に設置された光ビーコン(図示せず)と双方向の光通信を行う。以下の説明においては、X方向を右方とし、Y方向を前方とし、Z方向を上方として説明する。なお、上記の方向は説明の便宜のために用いるのであって、光ビーコン車載機10は、光ビーコンとの光通信が可能な範囲内で、車両内に任意の姿勢で取り付けることができる。
【0033】
光ビーコン車載機10,50は、図示しないフロントガラスの上部に取り付けられる第1形態と、図示しないダッシュボードの上に取り付けられる第2形態のいずれか一方が選択されるようになっている。本実施形態に係る光ビーコン車載機10,50においては、第1形態及び第2形態の双方に、同一の回路基板11が用いられるようになっている。
【0034】
(第1形態)
図1から
図7に、第1形態に係る光ビーコン車載機10を示す。第1形態に係る光ビーコン車載機10は、光ビーコンと双方向の光通信を行う光通信素子12が実装された回路基板11がケース13内に収容されてなる。ケース13は、ロアケース14と、ロアケース14の前面を覆うアッパーケース15と、を備える。
【0035】
(ケース13)
ロアケース14は、光通信に使用される光を透過しない合成樹脂製であって、前方から見て、角の丸められた長方形状をなしている。光通信に使用される光の波長は、800nm〜1000nmである。
【0036】
ロアケース14は、底壁16と、底壁16の側縁から前方に延びる側壁17と、を備える。底壁16には前方に突出する円柱状をなすボス18が形成されている。ボス18にはネジ孔19が形成されている。側壁17の外面には複数のロック部20が形成されている。
【0037】
アッパーケース15は、上壁21と、上壁21の側縁から後方に延びる側壁22と、を備える。アッパーケース15は、光通信に使用される光を透過する合成樹脂からなる。アッパーケース15の側壁22には、ロアケース14のロック部20と対応する位置に、ロック部20と弾性的に係合する複数のロック受け部23が形成されている。ロック部20とロック受け部23とが弾性的に係合することにより、ロアケース14とアッパーケース15とが一体に組み付けられるようになっている。
【0038】
(回路基板11)
回路基板11は、前方から見て略長方形状をなしている。回路基板11はロアケース14の、底壁16と側壁17によって囲まれた収容部24内に収容される。
【0039】
回路基板11の前面には、上下方向に間隔を空けて2つの光通信素子12が並んで実装されている。上下に並ぶ2つの光通信素子12の双方に、光送信素子と光受信素子とが含まれる構成としてもよいし、上下に並ぶ2つの光通信素子12の一方に光送信素子が配されて、他方に光受信素子が配される構成としてもよい。
【0040】
発光素子は、発光ダイオード等、公知の発光素子を用いることができる。また、受光素子は、フォトダイオード等、公知の受光素子を用いることができる。
【0041】
回路基板11にはボルト25が挿通される挿通孔26が貫通されている。回路基板11は、挿通孔26内に挿通されたボルト25が、ロアケース14に形成されたボス18のネジ孔19に螺合されることにより、ロアケース14に固定されている。
【0042】
(外部配索コネクタ27)
回路基板11の後面であって、且つ右上隅部には、外部配索コネクタ27(基板用コネクタの一例)が実装されている。外部配索コネクタ27は、絶縁性の合成樹脂製のハウジング28と、ハウジング28に取り付けられた複数(本実施形態では5つ)の金属製の端子29と、を備える。
【0043】
ハウジング28は概ねブロック状をなしている。ハウジング28は上方に開口する開口部30を有する。開口部30内には、ワイヤーハーネス31の端末に接続された電線用コネクタ32が内嵌されるようになっている。外部配索コネクタ27と、電線用コネクタ32とは、図示しない公知のロック構造により抜け止めされるようになっている。
【0044】
外部配索コネクタ27の右側面と左側面には、それぞれ、右方及び左方に突出する固定部33が形成されている。固定部33には、金属製であって、前後方向に延びる板状をなす固定金具34が埋設されている。固定金具34は、固定部33の前端部から、回路基板11に向かって突出している。本実施形態においては、1つの固定部33に3つの固定金具34が、上下方向に間隔を空けて並んで配されている。固定金具34を固定部33に埋設するには、固定金具34を固定部33に圧入してもよいし、また、固定金具34を合成樹脂材によってインサート成形してもよい。
【0045】
固定金具34の前端部は、回路基板11に形成されたスルーホール35に挿通されている。本実施形態においては、固定金具34に対応する位置に、上下方向に並んだ3つのスルーホール35の列が、左右方向に間隔を空けて2列形成されている。
【0046】
スルーホール35の内面と、孔縁部には、金属層36が形成されている。金属層36は、電気メッキ、化学メッキ等の公知の手法により形成することができる。スルーホール35の内面と、固定金具34の前端部とは、溶融後に固化した半田により固定されている。本実施形態においては、スルーホール35内に固定金具34の前端部を挿通した後、公知のフロー半田付け工程を実行することにより、スルーホール35の内面と固定金具34の前端部とを半田付けにより固定している。
【0047】
ロアケース14の側壁17のうち、右上隅部には、外部配索コネクタ27との干渉を避ける逃げ凹部37が形成されている。ロアケース14とアッパーケース15とが一体に組み付けられた状態で、外部配索コネクタ27の開口部30は、逃げ凹部37から外部に露出するようになっている。
【0048】
(ワイヤーハーネス31)
外部配索コネクタ27の開口部30内には、ワイヤーハーネス31の端末に接続された電線用コネクタ32が嵌合するようになっている。電線用コネクタ32は、絶縁性の合成樹脂からなるハウジング38を有する。ハウジング38の上端部からは、複数(本実施形態では4つ)の電線39が導出されている。本実施形態に係るワイヤーハーネス31は、4つの電線39と、電線39の一方の端末に接続された電線用コネクタ32と、を備える。電線39の他方の端末は、フロントガラス(図示せず)の上端部から、フロントガラスと車室(図示せず)の天井(図示せず)との境界部分に向かって上方に配索され、天井内に配設される。
【0049】
(第2形態)
次に、第2形態に係る光ビーコン車載機50について、
図8から
図16を参照しつつ説明する。
【0050】
第2形態に係る光ビーコン車載機50は、光ビーコンと双方向の光通信を行う光通信素子12が実装された回路基板11がケース53内に収容されてなる。ケース53は、ロアケース54と、ロアケース54の前面を覆うアッパーケース55と、を備える。
【0051】
(ケース53)
ロアケース54は、光通信に使用される光を透過しない合成樹脂製であって、前方から見て、角の丸められた長方形状をなしている。光通信に使用される光の波長は、800nm〜1000nmである。
【0052】
ロアケース54は、底壁56と、底壁56の側縁から前方に延びる側壁57と、を備える。底壁56には前方に突出する円柱状をなすボス58が形成されている。ボス58にはネジ孔59が形成されている。側壁57の外面には複数のロック部60が形成されている。
【0053】
アッパーケース55は、上壁61と、上壁61の側縁から後方に延びる側壁62と、を備える。アッパーケース55は、光通信に使用される光を透過する合成樹脂からなる。アッパーケース55の側壁62には、ロアケース54のロック部60と対応する位置に、ロック部60と弾性的に係合する複数のロック受け部(図示せず)が形成されている。ロック部60とロック受け部とが弾性的に係合することにより、ロアケース54とアッパーケース55とが一体に組み付けられるようになっている。
【0054】
(回路基板11)
回路基板11については、第1形態において使用されたものと同一なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0055】
(内部配索コネクタ67)
回路基板11の後面であって、且つ右上隅部には、内部配索コネクタ67(基板用コネクタの一例)が実装されている。内部配索コネクタ67は、絶縁性の合成樹脂製のハウジング68と、ハウジング68に取り付けられた複数(本実施形態では4つ)の端子69と、を備える。
【0056】
ハウジング68は概ねブロック状をなしている。ハウジング68は右方に開口する開口部70を有する。開口部70内には、ワイヤーハーネス71の端末に接続された電線用コネクタ72が内嵌されるようになっている。これにより、ワイヤーハーネス71は、内部配索コネクタ67の右方から導出される。内部配索コネクタ67と、電線用コネクタ72とは、図示しない公知のロック構造により抜け止めされるようになっている。
【0057】
内部配索コネクタ67の上側の側壁と、下側の側壁とに金属製の固定金具(図示せず)が埋設されている。固定金具は、廃部配索コネクタのハウジング68の前面から露出している。固定金具をハウジング68に埋設するには、固定金具をハウジング68に圧入してもよいし、また、固定金具を合成樹脂材によってインサート成形してもよい。
【0058】
固定金具の前端部は、回路基板11に形成された固定用パターン75に半田を介して固定されている。固定用パターン75は、プリント配線技術を用いて回路基板11の後面に形成されている。
【0059】
固定用パターン75と、固定金具34とは、公知のリフロー半田付け工程を実行することにより、半田付けされる。
【0060】
ロアケース54の右側壁57A及び底壁56と、回路基板11の右側縁と、アッパーケース55の右側壁62A及び上壁61との間にはワイヤーハーネス71が配索される配索部80が形成されている。配索部80は、上下方向に延びて形成されている。
【0061】
配索部80の下端部の位置は、ロアケース54の下側の側壁57Bから下方に延びる半円筒形状をなすロア側導出部81が形成されている。一方、アッパーケース55の右下端部には、ロア側導出部81に対応する位置に、ロア側導出部81に前側から組み付けられるアッパー側導出部82が形成されている。ロア側導出部81とアッパー側導出部82とが組み付けられることによって、ケース53の外部にワイヤーハーネス71が導出される導出孔83が形成されるようになっている。導出孔83の断面はほぼ円形状をなしている。導出孔83は、ケース53の内部と外部とを連通している。
【0062】
ワイヤーハーネス71は、導出孔83から、ケース53の下方に導出されている。上記したように、ワイヤーハーネス71は、内部配索コネクタ67の開口部70からは右方に導出され、ケース53からは下方に導出されている。
【0063】
ワイヤーハーネス71のうち、ケース53の配索部80内に配された部分には、金属製の帯状をなす被保持部材84が、4つの電線79の外側に外嵌されている。詳細には、被保持部材84は、4つの電線79の外周に巻き付くように圧着されている。これにより、被保持部材84は、4つの電線79の束の径方向外方に突出している。
【0064】
ロアケース54には、底壁56から前方に突出すると共に上下に間隔を空けて並ぶ1対の保持部85が設けられている。保持部85は左右方向に延びる壁状をなしている。1対の保持部85の上下方向の間隔は、被保持部材84の上下方向の長さ寸法と、同じか、僅かに大きく設定されている。1対の保持部85の上下方向の間には、被保持部材84が収容されている。これにより、1対の保持部85のうち上側の保持部85は被保持部材84に対して上方から当接し、また、下側の保持部85は被保持部材84に対して下方から当接している。これにより、ワイヤーハーネス71は上下方向(ワイヤーハーネス71の延びる方向)について位置決め保持されている。
【0065】
(ワイヤーハーネス71)
本実施形態に係るワイヤーハーネス71は、4つの電線79と、電線79の一方の端末に接続された電線用コネクタ72と、を備える。電線79の他方の端末は、導出孔83からケース53の外部に導出され、ダッシュボードの上を、フロントガラスとダッシュボードとの境界部分に向かって配索され、図示しないインスツルメントパネル内に配設される。
【0066】
(導電パターン)
図17に示すように、回路基板11の後面には、右端部寄りの位置であって、上下方向の略中央位置に、左右方向に間隔を空けて5つの第1個別パターン90(個別パターンの一例)が、プリント配線技術により形成されている。第1個別パターン90のそれぞれは、第1形態が選択された場合における光ビーコン車載機10において、外部配索コネクタ27の端子29がそれぞれ接続されるようになっている。5つの第1個別パターン90によって、外部配索コネクタ27の端子29が接続される1組の第1導電パターン91(導電パターンの一例)が形成されている。
【0067】
回路基板11の後面には、第1導電パターン91の上方の位置に、上下方向に間隔を空けて4つの第2個別パターン92(個別パターンの一例)が、プリント配線技術により形成されている。第2個別パターン92のそれぞれは、第2形態が選択された場合における光ビーコン車載機50において、内部配索コネクタ67の端子69がそれぞれ接続されるようになっている。4つの第2個別パターン92によって、内部配索コネクタ67の端子69が接続される1組の第2導電パターン93(導電パターンの一例)が形成されている。
【0068】
上記したように、本実施形態に係る回路基板11には、第1導電パターン91と、第2導電パターン93の2組の導電パターンが形成されている。
【0069】
第1導電パターン91を構成する第1個別パターン90のそれぞれと、第2導電パターン93を構成する第2個別パターン92のそれぞれとは、回路基板11の後面にプリント配線技術により形成された補助パターン94によって接続されている。
【0070】
詳細には、左端部に位置する第1個別パターン90と、下端部に位置する第2個別パターン92とが接続されており、左から2番目に位置する第1個別パターン90と、下から2番目に位置する第2個別パターン92とが接続されており、左から3番目に位置する第1個別パターン90と、下から3番目に位置する第2個別パターン92とが接続されており、左から4番目に位置する第1個別パターン90と、下から4番目(最上部)に位置する第2個別パターン92とが接続されている。
【0071】
なお、左から5番目(右端部)に位置する第1個別パターン90は、いずれの第2個別パターン92とも接続されていない。左から5番目(右端部)に位置する第1個別パターン90は、外部配索コネクタ27に配された端子29と接続されて、外部配索コネクタ27と回路基板11との接続強度向上に寄与するようになっている。上記したように、ワイヤーハーネス31は4つの電線39を備える。このため、外部配索コネクタ27に取り付けられた5つの端子29のうち、右端部に配された端子29には、電線39が接続されていない。
【0072】
図6に示すように、第1形態が選択された場合には、第1導電パターン91の第1個別パターン90のそれぞれは、外部配索コネクタ27に配された端子29と半田を介して接続されている。第1個別パターン90と、端子29とは、公知のリフロー半田付けにより接続することができる。
【0073】
図16に示すように、第2形態が選択された場合には、第2導電パターン93の第2個別パターン92のそれぞれは、内部配索コネクタ67に配された端子69と半田を介して接続されている。第2個別パターン92と、端子29とは、公知のリフロー半田付けにより接続することができる。
【0074】
(実施形態の作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、1種類の回路基板11に対して、外部配索コネクタ27又は内部配索コネクタ67を選択的に実装できる。これにより、外部配索コネクタ27及び内部配索コネクタ67のそれぞれに対応する回路基板11を製造する必要がないので、光ビーコン車載機10,50の製造コストを低減できる。
【0075】
また、本実施形態によれば、回路基板11が収容されたケース53を備え、ケース53内には、内部配索コネクタ67に接続されたワイヤーハーネス71が配索される配索部80が形成されており、配索部80には、ワイヤーハーネス71を保持する保持部85が形成されている。
【0076】
上記の構成によれば、ワイヤーハーネス71が引っ張られた時に、この力を保持部85によって受けることができる。これにより、回路基板11に実装された内部配索コネクタ67からワイヤーハーネス71が外れることを抑制することができる。この結果、内部配索コネクタ67と、ワイヤーハーネス71との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、ワイヤーハーネス71には被保持部材84が外嵌されており、保持部85は、被保持部材84に対して、ワイヤーハーネス71の延びる方向の前方及び後方から当接する。
【0078】
上記の構成によれば、ワイヤーハーネス71の延びる方向についてワイヤーハーネス71を位置決めすることができるので、ワイヤーハーネス71を確実に保持することができる。また、ワイヤーハーネス71に被保持部材84を外嵌させるという簡易な手法により、ワイヤーハーネス71とケース53との保持構造を形成することができるので、光ビーコン車載機50の製造コストを削減することができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、内部配索コネクタ67からワイヤーハーネス71が導出される方向と、ケース53からワイヤーハーネス71が導出される方向とが異なっている。本実施形態においては、ワイヤーハーネス71は内部配索コネクタ67から右方に導出されており、また、ワイヤーハーネス71はケース53から下方に導出されている。
【0080】
上記の構成によれば、ケース53の配索部内でワイヤーハーネス71を配索することにより、ケース53からのワイヤーハーネス71の導出方向を自由に設定することができる。これにより、1種類の回路基板11によって、ケース53からワイヤーハーネス71を複数の方向に導出することができるので、光ビーコン車載機50の製造コストを削減することができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、外部配索コネクタ27と内部配索コネクタ67のそれぞれは、複数の端子29,69と、端子29,69が取り付けられたハウジング28,68と、を備えており、第1導電パターン91及び第2導電パターン93のそれぞれは、複数の端子29,69に対応して、第1個別パターン90及び第2個別パターン92を有する。
【0082】
上記の構成によれば、複数の端子29,69と、これらに対応する複数の個別パターン90,92を、それぞれ接続することにより、回路基板11と端子29,69とを電気的に接続することができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、第1導電パターン91に含まれる第1個別パターン90と、第2導電パターン93に含まれる第2個別パターン92とは、補助パターン94によって接続されている。
【0084】
上記の構成によれば、第1導電パターン91及び第2導電パターン93に含まれる個別パターン同士を、補助パターン94によって電気的に接続することができる。これにより、第1導電パターン91及び第2導電パターン93それぞれの個別パターンを、第1導電パターン91及び第2導電パターン93ごとに独立に形成する場合に比べて、全体として導電パターンを簡略化できる。
【0085】
また、本実施形態によれば、回路基板11が収容されたケース13を備え、外部配索コネクタ27は、ワイヤーハーネス31の端末に接続された電線用コネクタ32と嵌合する開口部30を有しており、開口部30はケース13から露出している。
【0086】
上記の構成によれば、複数種類の基板用コネクタから選択された外部配索コネクタ27の開口部30がケース13の外部に露出する構成を採用することができる。これにより、ワイヤーハーネス31を光ビーコン車載機10の外部に配索することができる。これにより、光ビーコン車載機10の設計の自由度を向上させることができる。
【0087】
また、本実施形態によれば、外部配索コネクタ27は回路基板11に向かって突出する固定金具34を有し、回路基板11には、固定金具34が挿通されるスルーホール35が形成されており、固定金具34とスルーホール35の内面とは半田を介して固定されている。
【0088】
外部配索コネクタ27には、ワイヤーハーネス31の端末に接続された電線用コネクタ32が嵌合され、又は離脱される。このとき、外部配索コネクタ27にはワイヤーハーネス31を介して力が加えられる。上記の構成によれば、電線用コネクタ32を嵌合し、又は離脱する際にワイヤーハーネス31に加えられる力を、固定金具34を介して回路基板11によって受けることができる。これにより、ワイヤーハーネス31に加えられた力によって、外部配索コネクタ27と回路基板11との電気的な接続信頼性が低下することを抑制することができる。
【0089】
<他の実施形態>
本明細書に開示された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に開示された技術の技術的範囲に含まれる。
【0090】
(1)光ビーコン車載機から電線が導出される方向は、上方及び下方に限られず、前方、後方、左方、右方等、必要に応じて任意の方向を選択することができる。
【0091】
(2)本実施形態においては、回路基板11には2組の導電パターンが形成される構成としたが、これに限られず、3組以上の導電パターンが形成される構成としてもよい。
【0092】
(3)本実施形態においては、基板用コネクタとして、外部配索コネクタ27と、内部配索コネクタ67とを選択する構成としたが、これに限られず、複数の外部配索コネクタ27からいずれか一つを選択する構成としてもよいし、また、複数の内部配索コネクタ67からいずれか一つを選択する構成としてもよい。
【0093】
(4)基板用コネクタと、回路基板11とは、ボルト締結により固定される構成としてもよいし、接着剤によって固定される構成としてもよく、必要に応じて任意の手段により固定される。
【0094】
(5)保持部85、及び被保持部材84は省略してもよい。
【0095】
(6)本実施形態においては、被保持部材84は金属製であったが、これに限られず、被保持部材84は合成樹脂製であってもよく、必要に応じて任意の材料により形成することができる。また、被保持部材84の形状についても、任意の形状とすることができる。