特許第6610367号(P6610367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6610367
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】被検査対象物の検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/952 20060101AFI20191118BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20191118BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20191118BHJP
   G06T 3/00 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   G01N21/952
   G01B11/30 A
   G06T1/00 300
   G06T3/00 730
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-57318(P2016-57318)
(22)【出願日】2016年3月22日
(65)【公開番号】特開2017-173048(P2017-173048A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】近藤 貴哉
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−201742(JP,A)
【文献】 特開2013−253801(JP,A)
【文献】 特開2014−190884(JP,A)
【文献】 特開2010−135872(JP,A)
【文献】 特開2002−354331(JP,A)
【文献】 米国特許第05936725(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
G06T 1/00− 1/60
G06T 3/00− 3/60
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状又は円柱状の被検査対象物を軸線周りに回転させる回転駆動機構と、
前記被検査対象物の1回転につき前記被検査対象物の外周面と両側一対の軸方向端面とを同時に複数回撮像して、複数の外周面画像と複数の一対の軸方向端面画像とを得るカメラと、
前記カメラの各撮像時における前記被検査対象物の軸線の傾きを各撮像時にて得られた前記一対の軸方向端面画像の位置に基づいて算出する算出部と、
各撮像時に前記一対の軸方向端面画像と同時に得られた前記外周面画像の各々について前記外周面画像の周方向の一部を前記被検査対象物の軸線の傾きに基づいて抽出して、複数の部分画像を生成する抽出部と、
前記複数の部分画像を合成して、前記被検査対象物の外周面の全周に相当する合成画像を生成する合成部と、
を備える被検査対象物の検査装置。
【請求項2】
前記被検査対象物の軸方向両側に配置された一対のミラーをさらに備え、
前記カメラは、前記被検査対象物の外周面と、前記一対のミラーに映る前記両側一対の軸方向端面の鏡像とを同時に撮像する、
請求項1に記載の被検査対象物の検査装置。
【請求項3】
前記回転駆動機構は、前記カメラの光軸と直交するX−Y平面のY軸に沿う方向を前記被検査対象物の軸線方向として、前記被検査対象物を軸線周りに回転させ、
前記算出部は、前記一対の軸方向端面画像の各々の重心における前記X−Y平面のX軸方向への位置ずれに基づいて前記X−Y平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きを算出すると共に、前記外周面画像の軸方向両端部の位置に基づいて前記被検査対象物のY軸方向の位置を算出し、
前記抽出部は、前記X−Y平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きと、前記被検査対象物のY軸方向の位置とに基づいて、前記外周面画像の周方向の一部を抽出して、前記部分画像を生成する、
請求項2に記載の被検査対象物の検査装置。
【請求項4】
前記回転駆動機構は、前記カメラの光軸と直交するX−Y平面のY軸に沿う方向を前記被検査対象物の軸線方向として、前記被検査対象物を軸線周りに回転させ、
前記算出部は、前記一対の軸方向端面画像の各々の重心における前記X−Y平面のY軸方向への位置ずれに基づいて前記X−Y平面と直交するY−Z平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きを算出すると共に、前記外周面画像の軸方向両端部の位置に基づいて前記被検査対象物のY軸方向の位置を算出し、
前記抽出部は、前記Y−Z平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きと、前記被検査対象物のY軸方向の位置とに基づいて、前記外周面画像の周方向の一部を抽出して、前記部分画像を生成する、
請求項2又は請求項3に記載の被検査対象物の検査装置。
【請求項5】
前記Y−Z平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きに起因して台形状に得られる前記部分画像を前記Y−Z平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きに基づいて長方形状に補正する補正部をさらに備える、
請求項4に記載の被検査対象物の検査装置。
【請求項6】
コンピュータに、
円筒状又は円柱状の被検査対象物が軸線周りに回転するように、回転駆動機構を作動させ、
前記被検査対象物の1回転につき前記被検査対象物の外周面と両側一対の軸方向端面とが同時に複数回撮像されて、複数の外周面画像と複数の一対の軸方向端面画像とが得られるように、カメラを作動させ、
前記カメラの各撮像時における前記被検査対象物の軸線の傾きを各撮像時にて得られた前記一対の軸方向端面画像の位置に基づいて算出し、
各撮像時に前記一対の軸方向端面画像と同時に得られた前記外周面画像の各々について前記外周面画像の周方向の一部を前記被検査対象物の軸線の傾きに基づいて抽出して、複数の部分画像を生成し、
前記複数の部分画像を合成して、前記被検査対象物の外周面の全周に相当する合成画像を生成する、
ことを含む処理を実行させる被検査対象物の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の開示する技術は、被検査対象物の検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
円筒状又は円柱状の被検査対象物の外観を検査する一手法としては、人手による目視検査が想定される。ところが、人手による目視検査では、人件費が嵩んで製造コストが上がると共に、欠陥の見逃しによって検査精度が低下する虞がある。
【0003】
そこで、省人化による低コスト化と、欠陥の見逃し防止による検査精度向上を実現するために、外観検査の自動化が検討される。この外観検査を自動で行う自動検査装置としては、例えば、被検査対象物を軸線周りに回転させる回転駆動機構と、被検査対象物の外観を撮像するカメラとを備えるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−51620号公報
【特許文献2】特開平11−201742号公報
【特許文献3】特開2007−17194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、被検査対象物を軸線周りに回転させながら被検査対象物の外観を撮像する場合に、被検査対象物の軸線が正規の位置に対して傾いている場合、被検査対象物の外観の正規の位置を撮像できない可能性があり、検査精度を確保できない虞がある。
【0006】
そこで、本願の開示する技術は、一つの側面として、被検査対象物の外観検査を自動化する場合の検査精度を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願の開示する技術の一観点によれば、回転駆動機構と、カメラと、算出部と、抽出部と、合成部とを備える被検査対象物の検査装置が提供される。回転駆動機構は、円筒状又は円柱状の被検査対象物を軸線周りに回転させる。カメラは、前記被検査対象物の1回転につき前記被検査対象物の外周面と両側一対の軸方向端面とを同時に複数回撮像して、複数の外周面画像と複数の一対の軸方向端面画像とを得る。算出部は、前記カメラの各撮像時における前記被検査対象物の軸線の傾きを各撮像時にて得られた前記一対の軸方向端面画像の位置に基づいて算出する。抽出部は、各撮像時に前記一対の軸方向端面画像と同時に得られた前記外周面画像の各々について前記外周面画像の周方向の一部を前記被検査対象物の軸線の傾きに基づいて抽出して、複数の部分画像を生成する。合成部は、前記複数の部分画像を合成して、前記被検査対象物の外周面の全周に相当する合成画像を生成する。
【発明の効果】
【0008】
上記本願の開示する技術の一観点によれば、被検査対象物の外観検査を自動化する場合の検査精度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】被検査対象物の検査装置の一例を示す側面図である。
図2図1に示される検査装置の平面図である。
図3】被検査対象物の検査装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図4】被検査対象物の検査装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5】被検査対象物の検査方法における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6図5に示される処理の流れの続きを示すフローチャートである。
図7】被検査対象物を回転させる回転制御処理から被検査対象物の外観を撮像する撮像制御処理までの一例を説明する図である。
図8】X−Y平面上で被検査対象物の軸線がY軸に対して傾いている例を示す二面図である。
図9図8に示される例に対して被検査対象物の軸線の傾きとY軸方向の位置とを算出する算出処理から外周面画像の周方向の一部を抽出して部分画像を生成する抽出処理までの一例を説明する図である。
図10】Y−Z平面上で被検査対象物の軸線がY軸に対して傾いている例を示す二面図である。
図11図10に示される例に対して被検査対象物の軸線の傾きとY軸方向の位置とを算出する算出処理から外周面画像の周方向の一部を抽出して部分画像を生成する抽出処理までの一例を説明する図である。
図12図11に示される台形状に得られた部分画像を長方形状に補正する補正処理の一例を説明する図である。
図13】複数の部分画像を合成して合成画像を生成する合成処理の一例を説明する図である。
図14】合成画像を形成する複数の部分画像を並び替えて検査画像を生成する並替処理の一例を説明する図である。
図15】良品画像から検査画像を差分した差分画像を生成する差分処理から差分画像に基づいて被検査対象物の外周面における欠陥の有無を判定する判定処理までの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の開示する技術の一実施形態を説明する。
【0011】
図1に示される本実施形態に係る検査装置10は、本願の開示する技術における「被検査対象物の検査装置」の一例であり、被検査対象物12の外観検査を実施する。本実施形態では、円筒状の乾電池を被検査対象物12とする例を説明する。被検査対象物12が乾電池である場合、この被検査対象物12の外周面12Aは、例えばラベルの貼付や印刷等が施された状態とされる。この被検査対象物12の外観検査を実施する検査装置10は、回転駆動機構14と、一対のミラー16と、カメラ18と、制御部20とを備える。
【0012】
回転駆動機構14は、被検査対象物12を軸線周りに回転させるものである。図2に示されるように、この回転駆動機構14は、モータ22と、一対のローラ24とを備える。モータ22の出力軸は、一対のローラ24と動力伝達機構を介して連結されている。図2に示されるX−Y平面は、図1に示されるカメラ18の光軸18Aと直交しており、一対のローラ24は、X−Y平面のY軸に沿って延びる回転軸を中心に回転可能に支持されている。
【0013】
また、一対のローラ24は、互いに離間して配置されており、一対のローラ24の間の離間距離は、被検査対象物12の直径未満に設定されている。この一対のローラ24の間の凹部には、被検査対象物12が配置される。モータ22が作動すると、一対のローラ24が同方向に同期して回転し、Y軸に沿う方向を被検査対象物12の軸線方向として、被検査対象物12が軸線周りに回転する。なお、一対のローラ24のうち一方のローラ24が駆動し他方のローラ24が従動しても良い。
【0014】
一対のミラー16は、被検査対象物12の軸方向両側に配置される。各ミラー16は、被検査対象物12の軸方向端面12Bかつカメラ18の側を向くように、X−Y平面に対して傾斜している。この各ミラー16の傾斜角度は、一対のミラー16に映る被検査対象物12の軸方向端面12Bの鏡像がカメラ18の撮像範囲に入るように設定されている。
【0015】
カメラ18は、被検査対象物12に対する一対のローラ24と反対側で、かつ、一対のミラー16の間の中央部に配置されている。このカメラ18の向きは、このカメラ18の光軸18Aが、図2に示されるX−Y平面と直交するように設定されている。
【0016】
このカメラ18は、被検査対象物12の外周面12Aと、一対のミラー16に映る両側一対の軸方向端面12Bの鏡像とを同時に撮像する。また、このカメラ18は、被検査対象物12の1回転につき複数回撮像可能となっている。
【0017】
カメラ18が、被検査対象物12の外周面12Aと、一対のミラー16に映る両側一対の軸方向端面12Bの鏡像とを複数回撮像することで、複数の外周面画像と、複数の一対の軸方向端面画像とが得られる。外周面画像は、被検査対象物12の外周面12Aを撮像したものであり、一対の軸方向端面画像は、一対のミラー16に映る両側一対の軸方向端面12Bの鏡像を撮像したものである。
【0018】
制御部20は、例えば、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置により実現される。図3に示されるように、この制御部20は、機能部別には、回転制御部32と、撮像制御部34と、算出部36と、抽出部38と、補正部40と、合成部42と、並替部44と、差分部46と、判定部48とを有する。これら回転制御部32等の各機能部の機能については、後述する被検査対象物の検査方法で説明する制御部20の動作と併せて説明する。
【0019】
上述の回転制御部32等の各機能部を有する制御部20は、より具体的には、図4に示されるコンピュータ50で実現される。コンピュータ50は、CPU(Central Processing Unit)52と、一時記憶領域としてのメモリ54と、不揮発性の記憶部56とを備える。また、コンピュータ50は、入出力I/F(interface)58を備える。入出力I/F58には、キーボード、カードリーダ、ディスプレイ等の入出力装置60と、上述のカメラ18及びモータ22とが接続される。
【0020】
また、コンピュータ50は、記憶媒体62に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するR/W(Read/Write)部64と、インターネット等のネットワークに接続されるネットワークI/F66とを備える。CPU52、メモリ54、記憶部56、入出力I/F58、R/W部64、及び、ネットワークI/F66は、バス68を介して互いに接続される。
【0021】
記憶部56は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶部56は、本願の開示する技術における「記憶媒体」の一例であり、この記憶部56には、コンピュータ50を制御部20として機能させるための検査プログラム70が記憶されている。
【0022】
検査プログラム70は、本願の開示する技術における「被検査対象物の検査プログラム」の一例である。この検査プログラム70は、回転制御プロセス72と、撮像制御プロセス74と、算出プロセス76と、抽出プロセス78と、補正プロセス80と、合成プロセス82と、並替プロセス84と、差分プロセス86と、判定プロセス88とを有する。
【0023】
CPU52は、検査プログラム70を記憶部56から読み出してメモリ54に展開し、検査プログラム70が有する上述の複数のプロセスを順次実行する。CPU52は、上述の複数のプロセスの各々を実行することで、図3に示される回転制御部32、撮像制御部34、算出部36、抽出部38、補正部40、合成部42、並替部44、差分部46、判定部48のそれぞれとして動作する。
【0024】
すなわち、CPU52は、回転制御プロセス72を実行することで回転制御部32として動作し、CPU52は、撮像制御プロセス74を実行することで撮像制御部34として動作する。また、CPU52は、算出プロセス76を実行することで算出部36として動作し、CPU52は、抽出プロセス78を実行することで抽出部38として動作する。
【0025】
さらに、CPU52は、補正プロセス80を実行することで補正部40として動作し、CPU52は、合成プロセス82を実行することで合成部42として動作する。また、CPU52は、並替プロセス84を実行することで並替部44として動作し、CPU52は、差分プロセス86を実行することで差分部46として動作する。また、CPU52は、判定プロセス88を実行することで判定部48として動作する。
【0026】
なお、上述の制御部20における回転制御部32等の各機能部は、検査プログラム70により実現される以外に、例えば、半導体集積回路、より詳しくはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で実現することが可能である。
【0027】
次に、上記検査装置10を用いた被検査対象物の検査方法を説明する。
【0028】
本実施形態の被検査対象物の検査方法では、図5図6の各ステップにて示される複数の処理が制御部20の各機能部によって実行される。以下、複数の処理の各々について順に詳述する。以下の説明における各ステップの番号及び内容については、図5図6を適宜参照することにする。
【0029】
(回転制御処理)
回転制御処理は、ステップS11にて実行される。ステップS11では、図7の上図に示されるように、回転制御部32が、モータ22を作動させる。モータ22が作動すると、一対のローラ24が同方向に同期して回転し、Y軸に沿う方向を被検査対象物12の軸線方向として、被検査対象物12が軸線周りに回転する。
【0030】
(撮像制御処理)
撮像制御処理は、ステップS12にて実行される。ステップS12では、図7の上図に示されるように、撮像制御部34が、被検査対象物12の1回転につき、カメラ18を複数回作動させる。カメラ18が作動する毎に、被検査対象物12の外周面12Aと、一対のミラー16に映る両側一対の軸方向端面12Bの鏡像16Aとがカメラ18によって同時に撮像される。
【0031】
これにより、図7の下図に示されるように、撮像毎に、被検査対象物12の外周面12Aを撮像した外周面画像92Aと、一対のミラー16に映る両側一対の軸方向端面12Bの鏡像16Aを撮像した一対の軸方向端面画像92Bとが得られる。この撮像制御処理では、被検査対象物12の1回転につき複数回撮像することで、複数の外周面画像92Aと、複数の一対の軸方向端面画像92Bとが得られる。被検査対象物12の1回転あたりの撮像回数は、任意に設定可能である。
【0032】
(算出処理)
算出処理は、ステップS13〜ステップS16にて実行される。ステップS13では、算出部36が、各撮像時に得られた一対の軸方向端面画像92Bについて、この一対の軸方向端面画像92Bの各々の重心の位置ずれを算出する。
【0033】
ここで、一対の軸方向端面画像92Bに重心の位置ずれが生じる状況は、次の通りである。一つ目は、図8に示されるように、X−Y平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸に対して傾いている場合である。二つ目は、図10に示されるように、Y−Z平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸に対して傾いている場合である。X−Y平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸に対して傾くと同時に、Y−Z平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸に対して傾く場合もある。
【0034】
図8に示されるように、X−Y平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸に対して傾いている場合には、図9の上図に示されるように、一対の軸方向端面画像92Bの各々の重心92CがX軸方向へ位置ずれする。
【0035】
一方、図10に示されるように、Y−Z平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸に対して傾いている場合には、図11の上図に示されるように、一対の軸方向端面画像92Bの各々の重心92CがY軸方向へ位置ずれする。
【0036】
被検査対象物12の軸線12Cの傾きは、例えば、被検査対象物12の外周面12Aに貼られたラベルの継ぎ目がローラ24と接触することによる反動で被検査対象物12が動くこと、一対のローラ24の偏芯、被検査対象物12の歪み等に起因して生じる。この被検査対象物12の軸線12Cの傾きは、被検査対象物12の回転中に変動することがある。
【0037】
そして、ステップS13では、算出部36が、一対の軸方向端面画像92Bの各々の重心92CにおけるX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方への位置ずれを算出する。
【0038】
続いて、図9の上図に示されるように、X軸方向への重心92Cの位置ずれがある場合には、ステップS14で、算出部36が、各撮像時におけるX−Y平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾き(図9の中図参照)を算出する。このとき、算出部36は、上述のステップS13で算出したX軸方向への重心92Cの位置ずれに基づいて、X−Y平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きを算出する。
【0039】
また、図11の上図に示されるように、Y軸方向への重心92Cの位置ずれがある場合には、ステップS14で、算出部36が、各撮像時におけるY−Z平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾き(図11の中図参照)を算出する。このとき、算出部36は、上述のステップS13で算出したY軸方向への重心92Cの位置ずれに基づいて、Y−Z平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きを算出する。
【0040】
また、ステップS15では、算出部36が、各撮像時に得られた外周面画像92A(図9の上図、図11の上図参照)について、軸方向両端部92Dの位置を算出する。そして、ステップS16では、外周面画像92Aの軸方向両端部92Dの位置に基づいて、各撮像時における被検査対象物12のY軸方向の位置を算出する。
【0041】
(抽出処理)
抽出処理は、ステップS17〜ステップS19にて実行される。ステップS17では、抽出部38が、図11の中図に示されるY−Z平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きが有るか否かを判断する。
【0042】
ここで、抽出部38が、Y−Z平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きが無いと判断した場合、すなわち、Y−Z平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸と平行である場合には、ステップS18に進む。Y−Z平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸と平行である場合は、図9の中図に示されている。
【0043】
ステップS18では、抽出部38が、図9の中図に示されるX−Y平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きと、被検査対象物12のY軸方向の位置とに基づいて、図9の下図に示される外周面画像92Aの周方向の一部を抽出する。この外周面画像92Aの周方向の一部は、図9の下図の長方形状の太枠部で示される。このとき、抽出部38は、X−Y平面上において外周面画像92Aの軸線方向を太枠部の長手方向とすると共に太枠部の短手方向の中心が外周面画像92Aの軸線上に位置する長方形状の太枠部を外周面画像92Aの周方向の一部として抽出する。
【0044】
そして、抽出部38は、抽出した外周面画像92Aの周方向の一部から各撮像時の部分画像94を生成する。この部分画像94は、外周面画像92Aの軸方向一端部から他端部に亘って得られる。
【0045】
なお、X−Y平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きが無いがある。この場合、抽出部38は、X−Y平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きの値がゼロであるとして、上記と同様の要領で外周面画像92Aの周方向の一部を抽出する。
【0046】
一方、図11の中図に示されるように、Y−Z平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きが有る場合、抽出部38は、Y−Z平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きが有ると判断する。そして、抽出部38は、ステップS19に進む。
【0047】
ステップS19では、抽出部38が、図11の中図に示されるY−Z平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きと、被検査対象物12のY軸方向の位置とに基づいて、図11の下図に示される外周面画像92Aの周方向の一部を抽出する。この外周面画像92Aの周方向の一部は、図11の下図の台形状の太枠部で示される。このとき、抽出部38は、X−Y平面上において外周面画像92Aの軸線方向を太枠部の高さ方向とすると共に太枠部の横幅方向の中心が外周面画像92Aの軸線上に位置する台形状の太枠部を外周面画像92Aの周方向の一部として抽出する。
【0048】
そして、抽出部38は、抽出した外周面画像92Aの周方向の一部から各撮像時の部分画像94を生成する。この部分画像94は、外周面画像92Aの軸方向一端部から他端部に亘って得られる。
【0049】
なお、X−Y平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸に対して傾くと同時に、Y−Z平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸に対して傾く場合がある。この場合には、X−Y平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きと、Y−Z平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きと、被検査対象物12のY軸方向の位置とに基づいて、外周面画像92Aの周方向の一部が抽出される。
【0050】
(補正処理)
補正処理は、ステップS20にて実行される。ステップS20では、補正部40が、Y−Z平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きに起因して台形状に得られる部分画像94を、図12に示されるように長方形状に補正する。
【0051】
このとき、補正部40は、台形状の部分画像94を、図11の中図に示されるY−Z平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きに基づいて長方形状に補正する。つまり、補正部40は、台形状に得られた部分画像94を、Y−Z平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸に対して傾いていなければ得られたであろう長方形状に補正する。
【0052】
(合成処理)
合成処理は、ステップS21〜ステップS22にて実行される。ステップS21では、図13に示されるように、合成部42が、上述のステップS20にて得られた部分画像94を、その一つ前のルーチンにおいて得られた部分画像94の隣に合成する。なお、初回のルーチンでは、合成部42が、ステップS21をスキップする。
【0053】
図13の左図には、各撮像時に得られた部分画像94が示されており、図13の中図には、複数の部分画像94が合成される様子が示されており、図13の右図には、全数の部分画像94が合成された様子が示されている。図13には、一例として、撮像された順番である「1」〜「30」が複数の部分画像94のそれぞれに付されている。なお、ステップS21では、部分画像94が得られる毎に部分画像94の合成が行われる以外に、複数の部分画像94が全て得られた段階で、複数の部分画像94が撮像順に隣り合わせで合成されても良い。
【0054】
続いて、ステップS22では、合成部42が、全数の部分画像94、すなわち、被検査対象物12の外周面12A(図7参照)の全周に相当する分の部分画像94の合成が完了したか否かを判断する。
【0055】
ここで、合成部42が、全数の部分画像94の合成を完了していないと判断した場合には、上述のステップS13に戻す。そして、合成部42が、全数の部分画像94の合成を完了したと判断するまで、上述のステップS13〜ステップS22の処理が繰り返し実行される。
【0056】
一方、上述のステップS13〜ステップS22の処理が繰り返し実行されることにより、全数の部分画像94が合成されると、ステップS22で、合成部42が、全数の部分画像94の合成を完了したと判断する。全数の部分画像94の合成が完了すると、被検査対象物12の外周面12A(図7参照)の全周に相当する合成画像96が合成部42によって生成される。
【0057】
(並替処理)
並替処理は、ステップS23〜ステップS24にて実行される。ステップS23では、図14に示されるように、並替部44が、合成画像96における特徴キー位置をテンプレートマッチングで特定する。そして、ステップS24では、並替部44が、合成画像96を形成する複数の部分画像94を予め規定された順番に並び替えて検査画像98を生成する。
【0058】
図14の左図には、複数の部分画像94が並び替えられる前の合成画像96の一例が示されており、図14の右図には、複数の部分画像94が並び替えられた後の検査画像98の一例が示されている。本実施形態では、例えば、合成画像96における「+ abcdefg −」が特徴キー位置として指定されており、この特徴キー位置が所定の位置に配置されるように複数の部分画像94が並び替えられる。
【0059】
(差分処理)
差分処理は、ステップS25にて実行される。ステップS25では、図15に示されるように、差分部46が、予め規定された良品画像100から検査画像98を差分した差分画像102を生成する。図15に示される例では、検査画像98の一部に欠陥部分104が含まれている。欠陥部分104は、例えば、傷、色抜け、凹み等に起因して生じる。図15に示される例では、検査画像98の一部に欠陥部分104が含まれているため、差分画像102においても欠陥部分104が出現する。差分画像102における欠陥部分104は、周囲との輝度差となって現れる。
【0060】
(判定処理)
判定処理は、ステップS26にて実行される。ステップS26では、図15に示されるように、差分画像102において欠陥部分104が有る場合には、判定部48が、図7に示される被検査対象物12の外周面12Aに欠陥が有ると判定する。一方、差分画像102において欠陥部分104が無い場合には、判定部48が、図7に示される被検査対象物12の外周面12Aに欠陥が無いと判定する。
【0061】
次に、本実施形態の作用及び効果を説明する。
【0062】
本実施形態では、図9図11に示されるように、各撮像時に得られた外周面画像92Aの周方向の一部を被検査対象物12の軸線12Cの傾きに基づいて抽出して部分画像94を生成する。そして、図13に示されるように、複数回の撮像により得られた複数の部分画像94を合成して合成画像96を生成する。したがって、図8図10に示されるように、被検査対象物12の軸線12Cが正規の位置に対して傾いている場合でも、被検査対象物12の軸線12Cの傾きの影響を排除することができる。これにより、被検査対象物12の外観検査を自動化する場合の検査精度を確保することができる。
【0063】
また、被検査対象物12の軸方向両側には、一対のミラー16が配置されており、この一対のミラー16に映る両側一対の軸方向端面12Bの鏡像16Aは、カメラ18で撮像される。したがって、被検査対象物12の外周面12Aと両側一対の軸方向端面12Bとを一つのカメラ18で同時に撮像することができる。これにより、被検査対象物12の外周面12Aと、両側一対の軸方向端面12Bとを別々のカメラで撮像する場合に比して、カメラの台数が少なくて済むので、検査装置10の構成を簡素化することができる。
【0064】
また、図8に示されるように、X−Y平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸に対して傾いている場合には、図9の上図に示されるように、一対の軸方向端面画像92Bの各々の重心92CがX軸方向へ位置ずれする。このときには、一対の軸方向端面画像92Bの各々の重心92CにおけるX軸方向への位置ずれに基づいてX−Y平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きが算出される。また、外周面画像92Aの軸方向両端部92Dの位置に基づいて被検査対象物12のY軸方向の位置が算出される。
【0065】
そして、X−Y平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きと、被検査対象物12のY軸方向の位置とに基づいて、外周面画像92Aの周方向の一部が抽出されて、部分画像94が生成される。したがって、X−Y平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸に対して傾いている場合でも、このX−Y平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きの影響を的確に排除することができる。
【0066】
また、図10に示されるように、Y−Z平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸に対して傾いている場合には、図11の上図に示されるように、一対の軸方向端面画像92Bの各々の重心92CがY軸方向へ位置ずれする。このときには、一対の軸方向端面画像92Bの各々の重心92CにおけるY軸方向への位置ずれに基づいてY−Z平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きが算出される。また、外周面画像92Aの軸方向両端部92Dの位置に基づいて被検査対象物12のY軸方向の位置が算出される。
【0067】
そして、Y−Z平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きと、被検査対象物12のY軸方向の位置とに基づいて、外周面画像92Aの周方向の一部が抽出されて、部分画像94が生成される。したがって、Y−Z平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸に対して傾いている場合でも、このY−Z平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きの影響を的確に排除することができる。
【0068】
特に、Y−Z平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きに起因して部分画像94が台形状に得られる場合には、台形状の部分画像94が、Y−Z平面上でのY軸に対する被検査対象物12の軸線12Cの傾きに基づいて長方形状に補正される。したがって、Y−Z平面上で被検査対象物12の軸線12CがY軸に対して傾いている場合でも、複数の部分画像94を適切に合成することができる。これにより、被検査対象物12の外周面12Aの全周に相当する合成画像96を正確に得ることができる。
【0069】
次に、上記実施形態に記載された事項以外に採用し得る変形例を説明する。
【0070】
上記実施形態において、被検査対象物12は、円筒状に形成されているが、円柱状に形成されていても良い。
【0071】
また、上記実施形態では、算出部36が、被検査対象物12の軸線12Cの傾きに加えて、被検査対象物12のY軸方向の位置を算出する。そして、抽出部38は、外周面画像92Aの周方向の一部を抽出して部分画像94を生成する際に、外周面画像92Aの軸方向両端部の位置、つまり、被検査対象物12のY軸方向の位置を考慮する。
【0072】
しかしながら、例えば、算出部36は、被検査対象物12の軸線12Cの傾きを算出し、抽出部38は、被検査対象物12の軸線12Cの傾きに基づいて外周面画像92Aの周方向の一部を抽出して部分画像94を生成しても良い。そして、合成部42が、複数の部分画像94を合成する際に、複数の部分画像94における軸方向両端部の位置を揃えるようにしても良い。
【0073】
また、上記実施形態では、検査プログラム70が記憶部56に予め記憶(インストール)されている。しかしながら、検査プログラム70は、図4に示されるCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)やDVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)である記憶媒体62に記憶されても良い。また、検査プログラム70を記憶する記憶媒体62は、CD−ROMやDVD−ROM以外に、USB(universal serial bus)メモリ54等でも良い。
【0074】
また、上記実施形態では、被検査対象物12の軸方向両側に一対のミラー16が配置されており、この一対のミラー16に映る両側一対の軸方向端面12Bの鏡像16Aがカメラ18で撮像される。そして、被検査対象物12の外周面12Aと両側一対の軸方向端面12Bとが一つのカメラ18で同時に撮像される。
【0075】
しかしながら、被検査対象物12の外周面12Aを撮像する第一のカメラと、両側一対の軸方向端面12Bを撮像する第二のカメラとを用いることで、被検査対象物12の外周面12Aと両側一対の軸方向端面12Bとが同時に撮像されても良い。
【0076】
また、上記実施形態の算出処理では、一対の軸方向端面画像92Bの各々の重心92Cの位置に基づいて、被検査対象物12の軸線12Cの傾きが算出される。しかしながら、例えば、一対の軸方向端面画像92Bの外形など、重心92C以外の位置を基準にして被検査対象物12の軸線12Cの傾きが算出されても良い。
【0077】
以上、本願の開示する技術の一実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0078】
なお、上述の本願の開示する技術の一実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0079】
(付記1)
円筒状又は円柱状の被検査対象物を軸線周りに回転させる回転駆動機構と、
前記被検査対象物の1回転につき前記被検査対象物の外周面と両側一対の軸方向端面とを同時に複数回撮像して、複数の外周面画像と複数の一対の軸方向端面画像とを得るカメラと、
前記カメラの各撮像時における前記被検査対象物の軸線の傾きを各撮像時にて得られた前記一対の軸方向端面画像の位置に基づいて算出する算出部と、
各撮像時に前記一対の軸方向端面画像と同時に得られた前記外周面画像の各々について前記外周面画像の周方向の一部を前記被検査対象物の軸線の傾きに基づいて抽出して、複数の部分画像を生成する抽出部と、
前記複数の部分画像を合成して、前記被検査対象物の外周面の全周に相当する合成画像を生成する合成部と、
を備える被検査対象物の検査装置。
(付記2)
前記被検査対象物の軸方向両側に配置された一対のミラーをさらに備え、
前記カメラは、前記被検査対象物の外周面と、前記一対のミラーに映る前記両側一対の軸方向端面の鏡像とを同時に撮像する、
付記1に記載の被検査対象物の検査装置。
(付記3)
前記回転駆動機構は、前記カメラの光軸と直交するX−Y平面のY軸に沿う方向を前記被検査対象物の軸線方向として、前記被検査対象物を軸線周りに回転させ、
前記算出部は、前記一対の軸方向端面画像の各々の重心における前記X−Y平面のX軸方向への位置ずれに基づいて前記X−Y平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きを算出すると共に、前記外周面画像の軸方向両端部の位置に基づいて前記被検査対象物のY軸方向の位置を算出し、
前記抽出部は、前記X−Y平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きと、前記被検査対象物のY軸方向の位置とに基づいて、前記外周面画像の周方向の一部を抽出して、前記部分画像を生成する、
付記2に記載の被検査対象物の検査装置。
(付記4)
前記回転駆動機構は、前記カメラの光軸と直交するX−Y平面のY軸に沿う方向を前記被検査対象物の軸線方向として、前記被検査対象物を軸線周りに回転させ、
前記算出部は、前記一対の軸方向端面画像の各々の重心における前記X−Y平面のY軸方向への位置ずれに基づいて前記X−Y平面と直交するY−Z平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きを算出すると共に、前記外周面画像の軸方向両端部の位置に基づいて前記被検査対象物のY軸方向の位置を算出し、
前記抽出部は、前記Y−Z平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きと、前記被検査対象物のY軸方向の位置とに基づいて、前記外周面画像の周方向の一部を抽出して、前記部分画像を生成する、
付記2又は付記3に記載の被検査対象物の検査装置。
(付記5)
前記Y−Z平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きに起因して台形状に得られる前記部分画像を前記Y−Z平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きに基づいて長方形状に補正する補正部をさらに備える、
付記4に記載の被検査対象物の検査装置。
(付記6)
前記合成画像を形成する前記複数の部分画像を予め規定された順番に並び替えて検査画像を生成する並替部をさらに備える、
付記1〜付記5のいずれか一項に記載の被検査対象物の検査装置。
(付記7)
予め規定された良品画像から前記検査画像を差分した差分画像を生成する差分部と、
前記差分画像に基づいて前記被検査対象物の外周面における欠陥の有無を判定する判定部と、
をさらに備える、
付記6に記載の被検査対象物の検査装置。
(付記8)
コンピュータに、
円筒状又は円柱状の被検査対象物が軸線周りに回転するように、回転駆動機構を作動させ、
前記被検査対象物の1回転につき前記被検査対象物の外周面と両側一対の軸方向端面とが同時に複数回撮像されて、複数の外周面画像と複数の一対の軸方向端面画像とが得られるように、カメラを作動させ、
前記カメラの各撮像時における前記被検査対象物の軸線の傾きを各撮像時にて得られた前記一対の軸方向端面画像の位置に基づいて算出し、
各撮像時に前記一対の軸方向端面画像と同時に得られた前記外周面画像の各々について前記外周面画像の周方向の一部を前記被検査対象物の軸線の傾きに基づいて抽出して、複数の部分画像を生成し、
前記複数の部分画像を合成して、前記被検査対象物の外周面の全周に相当する合成画像を生成する、
ことを含む処理を実行させる被検査対象物の検査方法。
(付記9)
前記被検査対象物の外周面と、前記被検査対象物の軸方向両側に配置された一対のミラーに映る前記両側一対の軸方向端面の鏡像とが同時に撮像されるように、前記カメラを作動させる、
付記8に記載の被検査対象物の検査方法。
(付記10)
前記カメラの光軸と直交するX−Y平面のY軸に沿う方向を前記被検査対象物の軸線方向として、前記被検査対象物が軸線周りに回転されるように、前記回転駆動機構を作動させ、
前記一対の軸方向端面画像の各々の重心における前記X−Y平面のX軸方向への位置ずれに基づいて前記X−Y平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きを算出すると共に、前記外周面画像の軸方向両端部の位置に基づいて前記被検査対象物のY軸方向の位置を算出し、
前記X−Y平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きと、前記被検査対象物のY軸方向の位置とに基づいて、前記外周面画像の周方向の一部を抽出して、前記部分画像を生成する、
付記9に記載の被検査対象物の検査方法。
(付記11)
前記カメラの光軸と直交するX−Y平面のY軸に沿う方向を前記被検査対象物の軸線方向として、前記被検査対象物が軸線周りに回転するように、前記回転駆動機構を作動させ、
前記一対の軸方向端面画像の各々の重心における前記X−Y平面のY軸方向への位置ずれに基づいて前記X−Y平面と直交するY−Z平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きを算出すると共に、前記外周面画像の軸方向両端部の位置に基づいて前記被検査対象物のY軸方向の位置を算出し、
前記Y−Z平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きと、前記被検査対象物のY軸方向の位置とに基づいて、前記外周面画像の周方向の一部を抽出して、前記部分画像を生成する、
付記9又は付記10に記載の被検査対象物の検査方法。
(付記12)
前記コンピュータに、
前記Y−Z平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きに起因して台形状に得られる前記部分画像を前記Y−Z平面上でのY軸に対する前記被検査対象物の軸線の傾きに基づいて長方形状に補正することをさらに含む処理を実行させる、
付記11に記載の被検査対象物の検査方法。
(付記13)
前記コンピュータに、
前記合成画像を形成する前記複数の部分画像を予め規定された順番に並び替えて検査画像を生成することをさらに含む処理を実行させる、
付記8〜付記12のいずれか一項に記載の被検査対象物の検査方法。
(付記14)
前記コンピュータに、
予め規定された良品画像から前記検査画像を差分した差分画像を生成し、
前記差分画像に基づいて前記被検査対象物の外周面における欠陥の有無を判定することをさらに含む処理を実行させる、
付記6に記載の被検査対象物の検査方法。
(付記15)
コンピュータに、
円筒状又は円柱状の被検査対象物が軸線周りに回転するように、回転駆動機構を作動させ、
前記被検査対象物の1回転につき前記被検査対象物の外周面と両側一対の軸方向端面とが同時に複数回撮像されて、複数の外周面画像と複数の一対の軸方向端面画像とが得られるように、カメラを作動させ、
前記カメラの各撮像時における前記被検査対象物の軸線の傾きを各撮像時にて得られた前記一対の軸方向端面画像の位置に基づいて算出し、
各撮像時に前記一対の軸方向端面画像と同時に得られた前記外周面画像の各々について前記外周面画像の周方向の一部を前記被検査対象物の軸線の傾きに基づいて抽出して、複数の部分画像を生成し、
前記複数の部分画像を合成して、前記被検査対象物の外周面の全周に相当する合成画像を生成する、
ことを含む処理を実行させる被検査対象物の検査プログラム。
(付記16)
コンピュータに、
円筒状又は円柱状の被検査対象物が軸線周りに回転するように、回転駆動機構を作動させ、
前記被検査対象物の1回転につき前記被検査対象物の外周面と両側一対の軸方向端面とが同時に複数回撮像されて、複数の外周面画像と複数の一対の軸方向端面画像とが得られるように、カメラを作動させ、
前記カメラの各撮像時における前記被検査対象物の軸線の傾きを各撮像時にて得られた前記一対の軸方向端面画像の位置に基づいて算出し、
各撮像時に前記一対の軸方向端面画像と同時に得られた前記外周面画像の各々について前記外周面画像の周方向の一部を前記被検査対象物の軸線の傾きに基づいて抽出して、複数の部分画像を生成し、
前記複数の部分画像を合成して、前記被検査対象物の外周面の全周に相当する合成画像を生成する、
ことを含む処理を実行させる被検査対象物の検査プログラムを記憶した記憶媒体。
【符号の説明】
【0080】
10 検査装置(「被検査対象物の検査装置」の一例)
12 被検査対象物
12A 外周面
12B 軸方向端面
12C 軸線
14 回転駆動機構
16 ミラー
16A 鏡像
18 カメラ
18A 光軸
20 制御部
32 回転制御部
34 撮像制御部
36 算出部
38 抽出部
40 補正部
42 合成部
44 並替部
46 差分部
48 判定部
50 コンピュータ
56 記憶部(「記憶媒体」の一例)
62 記憶媒体(「記憶媒体」の一例)
70 検査プログラム(「被検査対象物の検査プログラム」の一例)
92A 外周面画像
92B 軸方向端面画像
92C 重心
92D 軸方向両端部
94 部分画像
96 合成画像
98 検査画像
100 良品画像
102 差分画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15