(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の補助入力具の各補助入力具の第1分電極と第2分電極をそれぞれ前記検出面へ投影した投影面積若しくは投影形状の組み合わせが互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式タッチパネルの補助入力具。
複数の補助入力具の各補助入力具の第1分電極と第2分電極を隔てる前記スリットの幅が互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式タッチパネルの補助入力具。
前記入力操作電極に電気接続するタッチ電極が、前記ノブの外周面に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネルの補助入力具。
前記1又は2以上のノブ位置電極は、前記入力操作電極と前記1又は2以上のノブ位置電極の相対取付位置から、前記静電容量式タッチパネルが前記ノブの中心位置を検出可能とする前記ノブの位置に取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の静電容量式タッチパネルの補助入力具。
前記ノブ位置電極に電気接続するタッチ電極が、前記ノブの外周面に取り付けられていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の静電容量式タッチパネルの補助入力具。
前記ノブは、前記静電容量式タッチパネルに積層された表示手段の表示を目視可能な円筒形であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネルの補助入力具。
静電容量式タッチパネルの検出面上に配置され、前記ノブを前記検出面に直交する回転軸周りに回転自在に収容するホルダーを更に備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネルの補助入力具。
前記静電容量式タッチパネルで前記ノブの前記回転軸を検出可能とする2以上のホルダー位置電極が前記ホルダーに取り付けられていることを特徴とする請求項10に記載の静電容量式タッチパネルの補助入力具。
前記ノブと前記ホルダーの間に、回転軸周りに回転する前記ノブを所定回転角度毎に位置決めする節度機構が設けられていることを特徴とする請求項10又は請求項11のいずれか1項に記載の静電容量式タッチパネルの補助入力具。
【背景技術】
【0002】
静電容量式タッチパネルは、スタイラスペン、指などの入力操作体が接近する検出電極の浮遊容量(入力操作体と検出電極間の静電容量)が増大することに着目し、静電容量が変化した検出電極の配線位置から静電容量式タッチパネルの検出面上の入力位置を検出するもので、例えば、多数のX側検出電極とY側検出電極を相互が絶縁して交差するように格子状に配線し、入力操作体を接近させた付近で静電容量が変化するX側検出電極とY側検出電極の配置位置から入力操作体の検出面上の入力位置(x、y)を検出している。
【0003】
一方、スタイラスペン、指などの入力操作体では、特定の回転軸周りでの回転入力操作を行うことができず、また、入力操作体では得られない入力操作性を得るため、入力操作体に代えて補助入力具を静電容量式タッチパネルの検出面に沿って移動操作する入力操作が特許文献1乃至特許文献4で知られている。
【0004】
補助入力具を用いた場合には、静電容量式タッチパネルにおいて、入力操作体による入力操作と補助入力具による入力操作のいずれも検出可能であるので、補助入力具を入力操作する指や手の一部が静電容量式タッチパネルの検出面に接近しても入力操作体による入力操作と誤検出する場合があり、両者の入力操作を判別する必要が生じた。そこで、特許文献1に記載の補助入力具は、補助入力具を、静電容量式タッチパネルにおいて3点以上のタッチ位置を頂点とする特有の検出パターンが検出される構造とし、入力操作体による入力操作と補助入力具による入力操作とを判別可能としている。
【0005】
以下、この従来の静電容量式タッチパネルの補助入力具100を、
図14と
図15を用いて説明する。
図14(a)は、補助入力具に相当する操作デバイス100の斜視図であり、導電性の側板部101aと絶縁樹脂製の底板部101bとからなる円筒枡形のケース101と、底板部101b上に立設された3本の導体支柱102a、102b、102cとから構成されている。3本の導体支柱102a、102b、102cは、円形の底板部101bの中心周りの同心円上に120度間隔で底板部101bに取り付けられているので、同図(b)に示すように、3本の導体支柱102a、102b、102c間の間隔は等しく、各体支柱102a、102b、102cの位置を頂点とする正三角形が形成される。
【0006】
操作デバイス100は、底板部101bを静電容量式タッチパネル(以下、単にタッチパネルという)110の検出面110a上に配置され、検出面110aの平面上を移動操作してタッチパネル110への入力操作を行うもので、検出面110aと導体支柱102の間に介在するケース101の底板部101bは、
図14(c)に示すように、タッチパネル110において導体支柱102による静電容量の変化を検出可能な程度に充分に薄い構造となっている。
【0007】
操作者の電位は、一般に接地電位であるので、操作デバイス100で入力操作する際に、操作者の指が3本の導体支柱102a、102b、102cに触れると、検出面110aの導体支柱102a、102b、102cが配置された位置での静電容量が変化し、
図15に示すように、タッチパネル110は、検出面110aの各導体支柱102a、102b、102cの位置をそれぞれタッチ点T1、T2、T3として検出する。また、操作デバイス100を用いずに、操作者が指(入力操作体)を直接、検出面110aに接近させて入力操作すると、同様にその2本の指の各位置での静電容量が変化するので、タッチパネル110は、検出面110aの2本の指が接近する位置をタッチ点T4、T5として検出する。
【0008】
操作デバイス100を用いた入力操作において、タッチパネル110で検出される3点のタッチ点T1、T2、T3を頂点とする形状は、操作デバイス100に特有の正三角形となるので、3点の各タッチ点T1、T2、T3間の距離が等間隔である場合に、そのタッチ点T1、T2、T3の位置を操作デバイス100の入力位置として検出する。一方、少なくとも2点の他のタッチ点Tとの距離が等距離とならないタッチ点T4やタッチ点T5は、正三角形の頂点となり得ないので、操作デバイス100以外の指(入力操作体)の入力位置として検出する。これにより、タッチパネル110で検出される全てのタッチ点T1、T2、T3、T4、T5間の距離を比較して、指(入力操作体)による入力操作を判別し、操作デバイス100による入力操作を検出している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の通り、従来の静電容量式タッチパネルの補助入力具100は、補助入力具100に特有な形状の各頂点となる3点以上のタッチ点Tを検出して補助入力具100の入力操作を判別するので、静電容量式タッチパネル110で検出する少なくとも3点以上の複数のタッチ位置の各タッチ点T間の距離を算出し、算出した距離をそれぞれ比較して指等の入力操作体と判別する必要があり、補助入力具100の入力位置の検出が遅れるという問題がある。
【0011】
特に、補助入力具100の検出面110a上の移動軌跡から補助入力具100の入力操作を検出する際には、上述の全てのタッチ点T間の距離の比較と、補助入力具100によるものと判別した3点のタッチ点T1、T2、T3の位置から補助入力具100の入力位置を算定する必要があり、入力位置を検出する一周期の検出時間が長くなるので、各周期毎に検出する補助入力具100の入力位置の検出精度が粗くなるという問題があった。
【0012】
補助入力具100を入力操作した新たな移動位置を、検出したタッチ点の位置の近傍と予測すれば、タッチ点T間の距離の比較を省略して入力位置検出時間を短縮できるが、タッチ点の近傍に補助入力具100以外の入力操作体によるタッチ点が検出された場合には、これを補助入力具100のタッチ点と誤認し、補助入力具100の入力操作と誤検出する。
【0013】
更に、補助入力具100の入力操作を、指等の入力操作体の入力操作と識別するために、補助入力具100に、操作者が触れ、かつ底面側に配置される少なくとも3本の導体支柱102a、102b、102cをケース101に取り付ける必要があるので、補助入力具100の全体の構造が複雑化するものとなっていた。
【0014】
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、静電容量式タッチパネルで検出するタッチ点T間の距離を比較することなく、短時間に入力操作体と識別して補助入力具の入力操作を検出可能な静電容量式タッチパネルの補助入力具を提供することを目的とする。
【0015】
また、一組の分電極からなる入力操作電極を取り付けるだけの簡単な構成で、静電容量式タッチパネルにおいて入力操作体と識別可能な静電容量式タッチパネルの補助入力具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的を達成するため、請求項1の静電容量式タッチパネルの補助入力具は、静電容量式タッチパネルの検出面上に移動自在に配置される絶縁性ノブと、ノブに取り付けられる入力操作電極とを備え、入力操作電極に対向する検出面の位置で静電容量が変化することから、静電容量式タッチパネルが、検出面上を移動させるノブの入力操作を検出する静電容量式タッチパネルの補助入力具であって、
入力操作電極が、静電容量式タッチパネルにより検出可能なスリットで隔てられた第1分電極と第2分電極を有し、第1分電極と第2分電極の中心位置間の距離は、検出面にマルチタッチする2本以上の入力操作体の各中心位置間の距離より充分に短いことを特徴とする。
【0017】
第1分電極と第2分電極の各中心位置に対向する検出面の位置では、その周辺に比べて静電容量が最も大きく変化し、スリットと対向する検出面の位置では、相対的に静電容量が変化しないので、静電容量式タッチパネルが、静電容量の変化量が少ない検出面上の位置からスリットを検出した場合には、その検出面の位置の両側で、周囲に比べて静電容量が最も大きく変化する検出面上の位置は、第1分電極と第2分電極の各中心位置を表す。
【0018】
静電容量式タッチパネルは、検出した第1分電極と第2分電極の各中心位置間の距離が、マルチタッチする入力操作体の各中心位置間の距離より充分に短い場合には、入力操作体と判別した補助入力具のノブの入力操作を検出する。
【0019】
請求項2の静電容量式タッチパネルの補助入力具は、静電容量式タッチパネルにより検出可能な1又は2以上のスリットにより隔てられた複数の分電極を有し、複数の補助入力具の各補助入力具の入力操作電極に形成されるスリットの数が互いに異なることを特徴とする。
【0020】
静電容量式タッチパネルは、入力操作電極に対向する検出面上の位置で、静電容量の変化量が少ない位置をもとに検出するスリットの数から、補助入力具を特定できる。
【0021】
請求項3の静電容量式タッチパネルの補助入力具は、複数の補助入力具の各補助入力具の第1分電極と第2分電極をそれぞれ検出面へ投影した投影面積若しくは投影形状の組み合わせが互いに異なることを特徴とする。
【0022】
第1分電極と第2分電極が対向する検出面の位置では、静電容量が変化するので、静電容量式タッチパネルは、静電容量が変化する検出面上の位置から、第1分電極と第2分電極をそれぞれ検出面へ投影した投影面積若しくは投影形状を検出することができ、第1分電極と第2分電極の検出面に対向する面積若しくは形状の組み合わせから、補助入力具を特定できる。
【0023】
請求項4の静電容量式タッチパネルの補助入力具は、複数の補助入力具の各補助入力具の第1分電極と第2分電極を隔てるスリットの幅が互いに異なることを特徴とする。
【0024】
第1分電極と第2分電極とを隔てるスリットに対向する検出面の位置では、その周囲の位置に比べて静電容量が変化しないので、静電容量式タッチパネルは、静電容量が相対的に変化しない検出面上の領域から、スリットを検出面へ投影した投影形状を検出することができ、スリットの投影形状の幅から、補助入力具を特定できる。
【0025】
請求項5の静電容量式タッチパネルの補助入力具は、入力操作電極に電気接続するタッチ電極が、ノブの外周面に取り付けられていることを特徴とする。
【0026】
ノブを摘んで入力操作する操作者の指がタッチ電極に触れ、入力操作電極は操作者の電位となるので、入力操作電極に対向する検出面の位置で静電容量がより大きく変化し、検出面上の入力操作電極の位置を精度よく検出できる。
【0027】
請求項6の静電容量式タッチパネルの補助入力具は、ノブに取り付けられる1又は2以上のノブ位置電極を更に備え、複数の補助入力具の各補助入力具の入力操作電極と1又は2以上のノブ位置電極のノブに取り付けられる相対取付位置の組み合わせが互いに異なることを特徴とする。
【0028】
静電容量式タッチパネルは、入力操作電極と1又は2以上のノブ位置電極が対向する検出面上の位置で静電容量が変化することから、これらの電極が対向する検出面上の領域を表す電極対向領域を検出し、各電極対向領域の検出面上の相対位置の組み合わせから、補助入力具を特定する。
【0029】
請求項7の静電容量式タッチパネルの補助入力具は、1又は2以上のノブ位置電極が、入力操作電極と1又は2以上のノブ位置電極の相対取付位置から、静電容量式タッチパネルがノブの中心位置を検出可能とするノブの位置に取り付けられていることを特徴とする。
【0030】
静電容量式タッチパネルは、検出した入力操作電極と1又は2以上のノブ位置電極が対向する検出面上の領域をそれぞれ表す各電極対向領域の位置から、ノブの中心位置を検出できる。
【0031】
請求項8の静電容量式タッチパネルの補助入力具は、ノブ位置電極に電気接続するタッチ電極が、ノブの外周面に取り付けられていることを特徴とする。
【0032】
ノブを摘んで入力操作する操作者の指がタッチ電極に触れ、ノブ位置電極は操作者の電位となるので、ノブ位置電極に対向する検出面の位置で静電容量がより大きく変化し、検出面上のノブ位置電極の位置を精度よく検出できる。
【0033】
請求項9の静電容量式タッチパネルの補助入力具は、ノブが、静電容量式タッチパネルに積層された表示手段の表示を目視可能な円筒形であることを特徴とする。
【0034】
静電容量式タッチパネルの検出面上で移動操作する円筒形のノブの内側から表示手段の表示を目視できる。
【0035】
請求項10の静電容量式タッチパネルの補助入力具は、静電容量式タッチパネルの検出面上に配置され、ノブを検出面に直交する回転軸周りに回転自在に収容するホルダーを更に備えていることを特徴とする。
【0036】
ノブは、ホルダーによって、検出面に直交する回転軸周りに回転自在に案内される。
【0037】
請求項11の静電容量式タッチパネルの補助入力具は、静電容量式タッチパネルでノブの回転軸を検出可能とする2以上のホルダー位置電極がホルダーに取り付けられていることを特徴とする。
【0038】
静電容量式タッチパネルは、2以上のホルダー位置電極の検出面上の領域を表す各電極対向領域の位置から、回転自在に案内するノブの回転軸の位置を検出できる。
【0039】
請求項12の静電容量式タッチパネルの補助入力具は、ノブとホルダーの間に、回転軸周りに回転するノブを所定回転角度毎に位置決めする節度機構が設けられていることを特徴とする。
【0040】
ノブは、節度機構によって所定回転角度毎に回転方向に仮止めされる。
【発明の効果】
【0041】
請求項1の発明によれば、静電容量式タッチパネルが検出する第1分電極と第2分電極の各中心位置間の距離は、マルチタッチする2本以上の入力操作体の各中心位置間の距離より充分に短いので、静電容量式タッチパネルが静電容量の変化から電極が対向する位置として検出する3カ所以上のタッチ点間の距離を比較することなく、第1分電極と第2分電極の各中心位置間の距離から、入力操作体の入力操作と判別して補助入力具のノブの入力操作を検出できる。その結果、高速に補助入力具の入力位置を検出できる。
【0042】
また、マルチタッチする2本以上の入力操作体の各中心位置間の間隔より充分に狭い間隔のスリットで第1分電極と第2分電極を隔てた入力検出電極をノブに取り付けるだけの簡単な構成で、既存の静電容量式タッチパネルの構造を変えずに、静電容量式タッチパネルにおいて補助入力具の入力操作を判別できる。
【0043】
請求項2の発明によれば、補助入力具毎に入力操作電極に形成するスリットの数を異ならせるだけで、静電容量式タッチパネルは、いずれの補助入力具による入力操作であるかを判別できる。
【0044】
請求項3の発明によれば、補助入力具毎に第1分電極と第2分電極をそれぞれ検出面へ投影した投影面積若しくは投影形状の組み合わせを変えるだけで、静電容量式タッチパネルは、いずれの補助入力具による入力操作であるかを判別できる。
【0045】
請求項4の発明によれば、補助入力具毎に第1分電極と第2分電極を隔てるスリットの幅を変えるだけで、静電容量式タッチパネルは、いずれの補助入力具による入力操作であるかを判別できる。
【0046】
請求項5の発明によれば、入力操作電極を操作者の入力操作で自然に接地電位とすることができ、入力操作電極の検出面の位置で静電容量を大きく変化させ、入力操作電極の位置を精度よく検出できる。
【0047】
請求項6の発明によれば、ノブに取り付けられる補助入力具毎に入力操作電極と1又は2以上のノブ位置電極の相対取付位置の組み合わせを変えるだけで、静電容量式タッチパネルは、いずれの補助入力具による入力操作であるかを判別できる。
【0048】
請求項7の発明によれば、静電容量式タッチパネルは、入力操作電極と1又は2以上のノブ位置電極が対向する検出面上の領域をそれぞれ表す各電極対向領域の相対位置から、入力操作するノブの中心位置を入力位置とすることができる。
【0049】
請求項8の発明によれば、ノブ位置電極を操作者を介して接地電位とすることができ、ノブ位置電極の検出面の位置で静電容量が大きく変化させ、ノブ位置電極の位置を精度よく検出できる。
【0050】
請求項9の発明によれば、円筒形のノブの内側に表示する入力制御の内容を見ながら、操作者はノブを摘まんで検出面上を移動させる入力操作を行うことができる。
【0051】
請求項10の発明によれば、ノブを検出面上の特定の中心位置周りに回転操作することができ、静電容量式タッチパネルへ回転操作方向や回転操作角度を入力操作できる。
【0052】
請求項11の発明によれば、静電容量式タッチパネルは、2以上のホルダー位置電極が対向する検出面上の位置を表す各電極対向領域の位置から、ノブの回転中心を検出できるので、ノブの回転中心周りの回転入力操作や、補助入力具を検出面上で移動操作する入力操作を検出できる。
【0053】
請求項12の発明によれば、回転入力操作したノブの回転位置が外力によって移動しにくい。
【0054】
また、ノブは、節度機構によって所定回転角度毎に位置決めされるので、ノブを回転入力操作する回転操作量を節度機構からノブに伝達される振動の感触から得られる。
【発明を実施するための形態】
【0056】
以下、本発明の第1実施の形態に係る静電容量式タッチパネルの補助入力具(以下、補助入力具という)1を、
図1乃至
図8を用いて説明する。
図1乃至
図4に示すように、補助入力具1は、絶縁性の合成樹脂で円柱形に形成されたノブ2と、第1分電極3と第2分電極4の一組の分電極からなる入力操作電極5と、ノブ2の上端面に取り付けられる導電性金属板からなる円板状のタッチ電極7と、ナット型の第1分電極3と第2分電極4にそれぞれ螺合し、ノブ2とタッチ電極7を共締めして一体化する2本の連結ネジ8,9とから構成されている。しかしながら、ノブ2とタッチ電極7を電気接続する手段として必ずしも連結ネジ8,9を用いなくてもよい。
【0057】
ノブ2の底面には、第1分電極3と第2分電極4を収容する取付凹部が凹設され、従って、連結ネジ8,9が螺合する第1分電極3と第2分電極4は、取付凹部の内方からノブ2の底面側に露出している。入力操作電極5の第1分電極3と第2分電極4の各中心位置間の距離L
1は、複数の指等の入力操作体を静電容量式タッチパネル(以下、タッチパネルという)50の検出面50Aに同時に触れるマルチタッチにおいて、複数の入力操作体の各中心位置間の想定される最小距離より充分に短い距離とする。ここでは、2本の指を同時に検出面50Aに触れるマルチタッチの入力操作において、2本の指の中心位置間の最小距離を15mmと想定し、
図2乃至
図4に示す第1分電極3と第2分電極4の各中心位置間の距離L
1を10mmとしている。
【0058】
3種類の補助入力具1A、1B、1Cの各第1分電極3と第2分電極4のノブ2の底面に露出する形状の組み合わせは、それぞれ異なり、
図2に示す補助入力具1Aの第1分電極3Aと第2分電極4Aは、いずれも小円形と、
図3に示す補助入力具1Bの第1分電極3Bは大円形、第2分電極4Bは小円形と、
図4に示す補助入力具1Cの第1分電極3Cは大円形、第2分電極4Cは四角形となっている。補助入力具1A、1B、1Cの各第1分電極3と第2分電極4の中心位置間の距離はL1と等しいので、第1分電極3と第2分電極4を隔てる入力操作電極5に形成されるスリット10の幅は、それぞれδ
A、δ
B、δ
Cと互いに異なる幅となっている。
【0059】
導電性の連結ネジ8,9で ノブ2とタッチ電極7を共締めすることによって、入力操作電極5の第1分電極3と第2分電極4は、タッチ電極7に電気接続している。一方、操作者は一般に接地電位にあるので、
図1に示すように、補助入力具1A、1B、1Cのノブ2をタッチパネル50の検出面50Aに沿って移動操作する際には、タッチ電極7にノブ2を摘まむ操作者の指が触れ、タッチ電極7に電気接続する第1分電極3と第2分電極4も接地電位となる。その結果、第1分電極3と第2分電極4が接近する検出面50Aの位置では、絶縁された第1分電極3と第2分電極4が接近する場合に比べて、より大きく静電容量が変化し、タッチパネル50においてこれらの電極3、4の位置の検出精度をあげることができる。
【0060】
入力操作電極5の検出面50A上の位置から補助入力具1の入力位置を検出するタッチパネル50は、いわゆる相互容量方式で入力操作電極5の位置を検出する静電容量式タッチパネルであり、
図5に示すように、絶縁パネルの表面のX、Y方向を輪郭とする長方形の検出面50Aに沿って、Y方向に6mmの等ピッチでそれぞれX方向に配線される13本の駆動電極TYn(nは、0〜12)と、X方向に6mmの等ピッチでそれぞれY方向に配線される15本の検出電極RXm(nは、0〜14)とが、各交点S(m,n)において互いに絶縁して格子状に配線されている。尚、検出面50A上のX、Y方向の位置(x,y)は、説明の便宜上、検出電極RXmと駆動電極TYnの配線位置で表すものとし、例えば交点S(m,n)は、X方向にm、Y方向にnの検出面50A上の位置にあるものとして説明する。
【0061】
各駆動電極TYn0〜12は、各駆動電極TYn0〜12毎に駆動走査され、図示しない検出信号発生回路から、それぞれ異なるタイミングで順次所定電圧の矩形波の信号である駆動信号が出力され、いずれかの駆動電極TYnから駆動信号が出力されている間に、交差する各検出電極RX0〜RX14が互いに独立して図示しない信号電圧検出回路に接続し、各検出電極RX0〜RX14毎に異なるタイミングで順次検出信号の検出信号レベルVS(m,n)が検出される。
【0062】
ここで、指等の入力操作体T1、T2や補助入力具1の入力操作電極5がタッチパネル50の検出面50Aに触れ、若しくは近接すると、その近傍の駆動電極TYnと検出電極RXmの交点S(m,n)での静電容量(浮遊容量)が増加し、その交点S(m,n)で交差する駆動電極TYnから検出電極RXmに流れる駆動信号の一部が、入力操作体T1、T2や補助入力具1の入力操作電極5に流れ、その交点S(m,n)の検出電極RXmから検出される検出信号の信号電圧が低下する。
【0063】
本実施の形態では、各交点S(m,n)について検出される検出信号の検出信号レベルVS(m,n)を、交点S(m,n)の近傍に入力操作体や補助入力具1の入力操作電極5が存在していない状態から、交点S(m,n)に入力操作体や入力操作電極5が接近して検出信号の信号電圧が低下する電圧降下分とし、その電圧降下分である差電圧を数値化して符号を逆転させた数値で表す。説明の便宜上、
図6と
図7の各交点について検出された検出信号レベルVS(m,n)は、その交点S(m,n)の近傍に入力操作体T1、T2や補助入力具1の入力操作電極5が存在していない場合に「0」と、交点S(m,n)上に入力操作体T1、T2や入力操作電極5が触れた場合の最大値を「100」として表している。
【0064】
以下、このタッチパネル50で補助入力具1のノブ2の入力操作を検出する方法を、タッチパネル50の検出面50A上の位置を補助入力具1Aのノブ2が入力操作した
図5に示す場合で説明する。タッチパネル50は、検出面50Aの各交点S(m,n)で補助入力具1Aの第1分電極3Aと第2分電極4Aが接近することにより変化する検出信号レベルVS(m,n)を検出する。
【0065】
補助入力具1Aのノブ2の入力操作であれば、検出面50Aの各交点S(m,n)で検出される検出信号レベルVS(m,n)は、例えば
図6に示す数値となり、この各交点S(m,n)で検出された検出信号レベルVS(m,n)の分布から算定する検出面50A上の各位置(x,y)の検出信号レベルVS(x,y)は、
図8に示すように、第1分電極3Aと第2分電極4Aの中心位置の近傍でそれぞれ極大値となり、その間の第1分電極3Aと第2分電極4Aを隔てるスリット10の位置で谷となった全体で上向き山なりの曲線で変化する。
【0066】
また、2本の指の入力操作体T1、T2によるマルチタッチ入力操作では、検出面50Aの各交点S(m,n)で検出される検出信号レベルVS(m,n)は、例えば
図7に示す数値となり、この各交点S(m,n)で検出された検出信号レベルVS(m,n)の分布から算定する検出面50A上の各位置(x,y)の検出信号レベルVS(x,y)は、
図8に示すように、1本目の指T1と2本目の指T2の中心位置の近傍でそれぞれ極大値となり、指T1、T2の間の位置で谷となった全体で上向き山なりの曲線で変化する。
【0067】
従って、両者の曲線は類似し、タッチパネル50では、全ての交点S(m,n)について検出信号レベルVS(m,n)を検出した時点で、入力操作体T1、T2か補助入力具1のノブ2による入力操作かを判別できないので、始めに、全ての交点S(m,n)について検出される検出信号レベルVS(m,n)からX,Y方向のいずれについても検出信号レベルVS(m,n)が極大値となる全ての交点S(m,n)を検出し、各極大値が検出された位置の間で検出される極小値がノイズや検出誤差によるものであるか否かを判定する。すなわち、ノイズや検出誤差による変化分の最大値をノイズ判定閾値T
Nとし、2つの極大値のいずれかとその間の極小値との差分がノイズ判定閾値T
N(例えば、
図6において「5」)未満であれば、極小値はノイズや検出誤差により検出されたものとして、2つの極大値は、単一の第1分電極3、第2分電極4若しくは入力操作体T1、T2から検出されたものと推定し、検出信号レベルVS(m,n)が低い方の極大値は、極大値としない。一方、ノイズ判定閾値T
N以上であれば、2つの極大値の間の極小値は、入力操作電極5のスリット10若しくはマルチタッチする入力操作体T1、T2間の隙間により検出されたものとみなす。
【0068】
例えば、
図6に示すように、2つの極大値「60」「62」が検出された交点(4,2)、交点(6,2)の間の交点(5,2)で検出された極小値「45」は、低い側の極大値「60」とノイズ判定閾値T
N「5」以上の差があるので、2つの極大値「60」「62」は、独立した第1分電極3と第2分電極4又は入力操作体T1、T2が近接することにより検出されたものとみなす。この段階では、2つの極大値「60」「62」が、補助入力具1の第1分電極3と第2分電極4により検出されたものなのか、他のマルチタッチする複数の入力操作体T1、T2により検出されたものなのかは不明であり、次に、2つの極大値「60」「62」が検出された交点(4,2)、交点(6,2)の位置から、それぞれ入力操作の検出面50A上の中心位置(x,y)を算出して求め、中心位置間の距離からいずれであるかを判定する。
【0069】
第1分電極3と第2分電極4若しくは入力操作体T1、T2の各中心位置(x,y)の算出は、極大値が検出された交点(m,n)とその交点(m,n)に隣接する周囲の交点(m,n)から検出された検出電圧レベルR(m、n)の加重平均から算出する。例えば、
図6の極大値「60」が検出された交点(4,2)については、その周囲の交点(3−5、1−3)の検出電圧レベルVS(3−5、1−3)の加重平均から極大値「60」が検出された入力操作の中心位置(x,y)を求める。
【0070】
入力操作のX方向の中心位置xの検出は、検出電圧レベルVS(3−5、1−3)のX方向の加重平均値から求める。すなわち、検出電圧レベルVS(3−5、1−3)の検出電極RX3〜RX5毎のY方向の検出電圧レベルVS(3−5、1−3)のSum(x=3)「65」、Sum(x=4)「150」、Sum(x=5)「118」を求め、その総和「333」を算出するとともに、各Sum(x=3−5)に検出電極RX3〜RX5の配線位置毎に、X方向の位置「3−5」を割り当てた重み付けを乗じて、その総和「1385」を算出する。この加重平均から算出するX方向の中心位置xは、「1385」/「333」の約4.16となる。
【0071】
また、Y方向の中心位置yは、検出電圧レベルVS(3−5、1−3)の駆動電極TY1〜TY3毎のX方向の検出電圧レベルVS(3−5、1−3)のSum(y=1)「104」、Sum(y=2)「127」、Sum(y=3)「102」の総和「333」と、各Sum(y=1−3)に駆動電極TY1〜TY3の配線位置毎に、Y方向の位置「1−3」を割り当てた重み付けを乗じて、その総和「664」を算出し、加重平均からY方向の中心位置yは、「664」/「333」の約2.00となる。従って、
図6の極大値「60」が検出された入力操作の中心位置(x、y)は、(4.16、2.00)と算定される。
【0072】
同様に、
図6の極大値「62」が検出された入力操作の中心位置(x、y)は、(5.96、2.02)と算定され、両者の中心位置間の距離は、約1.8となり、駆動電極TYnと検出電極RXmのXY方向の配線ピッチ6mmを考慮すれば、検出面50A上の実間隔は約10.8mmであり、2本の指の中心位置間の最小距離15mmより充分に短いので、2本以上の入力操作体によるマルチタップ入力操作と識別して、補助入力具1のノブ2による入力操作と判定でき、第1分電極3の中心位置(4.16、2.00)と第2分電極4の中心位置(5.96、2.02)から補助入力具1の入力位置(x、y)が検出される。
【0073】
尚、2つの極大値「60」「62」が検出された入力操作の中心位置間の検出面50A上の実間隔は約10.8mmであり、補助入力具1について設定した第1分電極3と第2分電極4の各中心位置間の距離L1の10mmにほぼ一致することから補助入力具1のノブ2による入力操作と判定してもよい。
【0074】
一方、
図7に示す2つの極大値「70」「75」がそれぞれ検出された交点(6,6)、交点(9,10)の間の交点(7,8)で検出された極小値「15」は、極大値とノイズ判定閾値T
N「5」以上の差があるので、2つの極大値「70」「75」は、独立した第1分電極3と第2分電極4又は入力操作体T1、T2が近接することにより検出されたものであり、同様に、2つの極大値「70」「75」が検出された交点(6,6)、交点(9,10)の位置から、それぞれ入力操作の検出面50A上の中心位置(x,y)を算出し、中心位置間の距離を求める。
【0075】
図7の極大値「70」が検出された交点(6,6)についての入力操作の中心位置(x,y)は、その周囲の交点(5−7、5−7)の検出電圧レベルVS(5−7、5−7)の同様の方法で重み付けした加重平均から、検出面50A上の中心位置(x,y)は、(5.86、6.00)と算定される。また、
図7の極大値「75」が検出された交点(9,10)についての入力操作の中心位置(x,y)は、その周囲の交点(8−10、9−11)の検出電圧レベルVS(8−10、9−11)の同様の方法で重み付けした加重平均から、検出面50A上の中心位置(x,y)は、(8.92、9.88)と算定される。その結果、
図7に示す極大値「70」「75」が検出される2つの入力操作の中心位置間の距離は、約4.94となり、駆動電極TYnと検出電極RXmのXY方向の配線ピッチ6mmを考慮すれば、検出面50A上の実間隔は約29.64mmであり、マルチタップする2本の入力操作体の中心位置間の最小距離15mmより長いので、2本以上の指等の入力操作体T1、T2による入力操作と判定する。
【0076】
また、
図2に示すように、各補助入力具1A、1B、1Cの各第1分電極3と第2分電極4の中心位置間の距離はL1と等しいが、各第1分電極3と第2分電極4のノブ2の底面に露出する形状の組み合わせがそれぞれ異なるので、電極が対向して近接することにより検出信号レベルVS(x,y)が一定値(例えば、「35」)以上となる検出面50A上の領域(以下、電極対向領域という)6は、3種類の異なる形状と面積の組み合わせからなる電極対向領域51A、51B、51Cとなっている。
【0077】
すなわち、
図1(b)に示すように、補助入力具1Aの第1分電極3Aと第2分電極4Aは、いずれも小円形であるので、補助入力具1Aの配置位置で検出される電極対向領域51Aは、2つの小円形の輪郭の形状と、補助入力具1Bの第1分電極3Bは大円形、第2分電極4Bは小円形であるので、補助入力具1Bの配置位置で検出される電極対向領域51Bは、大円形と小円形の組み合わせからなる輪郭の形状と、補助入力具1Cの第1分電極3Cは大円形、第2分電極4Cは四角形であるので、補助入力具1Cの配置位置で検出される電極対向領域51Cは、大円形と四角形の組み合わせからなる輪郭の形状となっている。
【0078】
タッチパネル50は、2つの極大値が検出される各交点S(m,n)の近傍に第1分電極3Aと第2分電極4Aの中心位置があるものと仮定し、その交点S(m,n)を含み、検出信号レベルVS(m,n)が例えば「35」以上となると周囲の交点S(m,n)の位置から電極対向領域51の輪郭形状や面積を推定し、電極対向領域51Aであれば補助入力具1Aの入力操作と、電極対向領域51Bであれば補助入力具1Bの入力操作と、電極対向領域51Cであれば補助入力具1Cの入力操作と判定する。
【0079】
次に、静電容量式タッチパネル50の検出面50A上で回転入力操作が可能な本発明の第2実施の形態にかかる静電容量式タッチパネルの補助入力具20を、
図9乃至
図13を用いて説明する。この第2実施の形態の説明において、上述した第1実施の形態と同一若しくは同様に作用する構成については同一の番号を付してその説明を省略する。
【0080】
図9乃至
図11に示すように、補助入力具20は、ノブ操作体21と、ノブ操作体21を上方から遊嵌し、ノブ22の中心軸C周りにノブ操作体21を回転自在に収容する円筒枡形の絶縁性のホルダー30と、ホルダー30の円筒内壁面に沿って貼り付けられた環状体32と、ホルダー30の外周に120度間隔で取り付けられた3本のホルダー位置電極33とから構成されている。
【0081】
ノブ操作体21は、絶縁性の合成樹脂で円筒形に形成されたノブ22と、第1分電極3Aと第2分電極4Aの一組の分電極からなる入力操作電極5と、小円形のノブ位置電極23と、ノブ22の上端面に取り付けられる導電性金属板からなるリング状のタッチ電極24とを有し、3本の連結ネジ8,9、25を、ノブ22を鉛直方向に貫通し、底面側に配置されるナット型の第1分電極3A、第2分電極4A及びノブ位置電極23にそれぞれ螺合し、ノブ22とタッチ電極24を共締めして一体に形成される。
【0082】
第1分電極3Aと第2分電極4Aからなる入力操作電極5とノブ位置電極23とは、ノブ22の底面の中心軸Cについて対称となる位置に凹設された取付凹部にそれぞれ収容され、取付凹部の内方からノブ22の底面に沿って露出している。第1分電極3Aと第2分電極4Aの検出面50Aに沿った中心位置間の距離L
1は、補助入力具1と同様に、その間のスリット10をタッチパネル50で検出可能で、検出面50Aにマルチタッチ入力操作する2本の指の中心位置間の最小距離の15mmより充分に短い10mmとしている。
【0083】
ホルダー30の外周に取り付けられた3本のホルダー位置電極33は、それぞれ導電性金属板を細長帯状にプレス加工して形成され、
図11に示すように、ノブ22の底面では中心軸Cから放射状に長方形の輪郭で露出し、ノブ22の平面側では中心軸Cに向かって斜め上方に傾斜する状態で突出している。一方、ノブ22の平面に取り付けられるリング状のタッチ電極24の直径は、ノブ22の直径より長く、円筒枡形のホルダー30の直径にほぼ等しいので、
図10に示すように、ノブ操作体21をホルダー30内に収容すると、3本のホルダー位置電極33の傾斜した上端がタッチ電極24に弾性接触する。
【0084】
ホルダー30の円筒内壁面とホルダー30に収容されるノブ22との間に配置された環状体32には、円筒の軸周りの一カ所の位置にボス32aが突設されている。また、ボス32aが対向するノブ22の外側面には、中心軸C周りに等角度間隔で多数のノッチ25が凹設され、ボス32aと多数のノッチ25で、ホルダー30に対して中心軸C周りで回転操作するノブ操作体21を所定角度間隔で仮止めする節度機構が構成される。
【0085】
ここでは、ホルダー30は、ホルダー30の底面とタッチパネル50の検出面50Aとの間に介在される図示しない粘着シートで検出面50A上の所定位置に固定されている。従って、ホルダ−30に回転自在に収容されるノブ操作体21のノブ22は、検出面50A上の固定位置を通る中心軸C周りに回転操作される。
【0086】
タッチパネル50の検出面50Aの領域の全体は透明材料で形成され、
図10に示すように、タッチパネル50の下方に液晶表示パネル40が積層配置されているので、補助入力具20のノブ22を入力操作する操作者は、円筒形のノブ22の上方から液晶表示パネル40の表示を目視できる。
【0087】
以下、このタッチパネル50で補助入力具20のノブ22の回転入力操作を検出する方法を、
図12と
図13を用いて説明する。回転入力操作前にノブ操作体21がホルダー30内に収容された状態で、
図12に示すように、タッチパネル50は、第1分電極3Aと第2分電極4Aからなる入力操作電極5、ノブ位置電極23及び3本のホルダー位置電極33が対向する検出面50A上の位置(x,y)で、それぞれ検出信号レベルVS(x,y)が「35」以上となる電極対向領域51A、51D、51E1、51E2、51E3を検出する。
【0088】
このうち、2つの小円形の輪郭の電極対向領域51Aの2つの小円形の中心位置間の距離D
1は、マルチタッチ入力操作の最小距離15mmより充分に短く、第1分電極3Aと第2分電極4Aの中心位置間の距離L1にほぼ等しくなるので、マルチタッチ入力操作と識別して、補助入力具20のノブ22の入力操作と判定する。更に、電極対向領域51Aが2つの小円形の輪郭の形状であることから、第1分電極3Aと第2分電極4Aからなる入力操作電極5が取り付けられたノブ22による入力操作と判定する。
【0089】
補助入力具20の回転入力操作は、検出面50A上の固定された中心軸C周りに回転移動するノブ操作体21に取り付けられた入力操作電極5の検出面50A上の位置(xn,yn)から検出し、この入力操作電極5の位置(xn,yn)は、電極対向領域51Aの2つの小円形の中心位置の中点から得る。
【0090】
検出面50A上の固定された中心軸Cの位置(xc,yc)は、種々の方法から得られるが、ここでは、単独に小円形の輪郭の電極対向領域51Dが検出された領域をノブ位置電極23が対向する領域と推定し、電極対向領域51Dの中心からノブ位置電極23の中心位置(xnf,ynf)を得て、入力操作電極5の位置(xn,yn)とノブ位置電極23の位置(xnf,ynf)の中点を中心軸Cの位置(xc,yc)とする。ホルダー30を検出面50A上に固定し、中心軸Cの位置(xc,yc)を、入力操作電極5の位置(xn,yn)とノブ位置電極23の位置(xnf,ynf)の中点から求める場合には、ホルダー30に必ずしもホルダー位置電極33を取り付ける必要はない。
【0091】
中心軸Cの位置(xc,yc)は、予め検出面50A上の既知の位置(x、y)がホルダー30の中心位置となるようにホルダー30を検出面50A上に固定し、その既知の位置(x、y)を中心軸Cの位置(xc,yc)としたり、後述するように、3本のホルダー位置電極33の対向位置を表す電極対向領域51E1、51E2、51E3の各位置(xh1,yh1)、(xh2,yh2)、(xh3,yh3)の中点から求めてもよい。これらの方法で中心軸Cの位置(xc,yc)を得る場合には、必ずしもノブ位置電極23をノブ22に取り付けなくてもよい。
【0092】
なお、検出面50A上の電極対向領域51E1、51E2、51E3の検出は、3本のホルダー位置電極33の検出面50A上に投影させる形状が、中心軸Cの位置(xc,yc)を中心とする同心円上にあり、その中心から径方向に長方形の輪郭であることから、3カ所で検出した電極対向領域51が、それぞれ同心円上にあり、その中心から径方向に長方形の形状である場合に電極対向領域51E1、51E2、51E3と判定する。
【0093】
補助入力具20の回転入力操作は、タッチパネル50の検出面50Aに固定されたホルダー30に対してノブ操作体21を中心軸C周りに回転させることにより行われ、入力操作の前後でタッチパネル50で検出される電極対向領域51A、51D、51E1、51E2、51E3が
図12から
図13に示す位置に変化したとすると、入力操作電極5の中心位置を表す電極対向領域51Aの位置が、(xn1,yn1)から(xn2,yn2)に変化し、この中心軸C周りの位置の変化から、補助入力具20のノブ22の回転操作方向(図中時計回りの方向)と回転操作角度が検出される。
【0094】
タッチパネル50が検出した回転入力操作方向と回転入力操作角度に応じてその回転入力操作によって被制御機器を制御する制御内容を、円筒形のノブ22の内方の液晶表示パネル40で表示させれば、補助入力具20の入力操作者は、制御内容を見ながら、補助入力具20を回転入力操作することができる。
【0095】
尚、ノブ位置電極23もノブ操作体21を中心軸C周りに回転させる際に中心軸C周りに移動するので、ノブ位置電極23が対向する領域を表す電極対向領域51Dの位置(xnf,ynf)の中心軸C周りの相対移動位置から補助入力具20のノブ22の回転操作方向と回転操作角度を検出してもよい。
【0096】
上述の実施の形態では、補助入力具20のホルダー30を検出面50A上に固定させて、補助入力具20のノブ22の回転入力操作のみを行うようにしているが、ホルダー30を検出面50A上の任意の位置に移動させて、補助入力具20のノブ22の入力操作を行うものであってもよい。
【0097】
この補助入力具20のノブ22の入力操作は、始めに、タッチパネル50が、入力操作電極5の対向位置を表す電極対向領域51に含まれる2つの中心位置間の距離D1がマルチタッチ入力操作の最小距離15mmより充分に短いことから、補助入力具20による入力操作と判定する。続いて、電極対向領域51Aの2つの小円形の中心位置の中点から入力操作電極5の位置(xn,yn)を得るとともに、ノブ22に取り付けられる入力操作電極5とノブ位置電極23間の距離、及び単独に小円形の輪郭で表れる電極対向領域51から、ノブ位置電極23が対向する領域を表す電極対向領域51Dを検出し、その中心位置から検出面50A上のノブ位置電極23の位置(xnf,ynf)を得る。
【0098】
補助入力具20の中心位置は、入力操作電極5とノブ位置電極23の中間の位置であるので、タッチパネル50では、補助入力具20の検出面50A上の位置を、(xn,yn)と(xnf,ynf)の中点から求め、検出周期毎に検出する補助入力具20の検出面50A上の位置の相対変化から補助入力具20のノブ22の入力操作を検出する。
【0099】
また、補助入力具20の位置は、前述の方法で検出する3本のホルダー位置電極33が対向する領域を表す電極対向領域51E1、51E2、51E3の各位置(xh1,yh1)、(xh2,yh2)、(xh3,yh3)の中点から求め、その位置の相対変化から補助入力具20のノブ22の入力操作を検出してもよい。
【0100】
この補助入力具20は、共通するホルダー30に対して複数の異なるノブ操作体21を収容して入力操作や回転入力操作が可能であるので、複数のノブ操作体21の各ノブ22に取り付ける入力操作電極5(第1分電極3と第2分電極4)のノブ2の底面に露出する形状の組み合わせを異ならせれば、その電極対向領域51の形状、大きさから、いずれのノブ操作体21を用いた入力操作や回転入力操作であるかを判別できる。
【0101】
上述の第1実施の形態では、第1分電極3と第2分電極4のノブ2の底面に露出する形状の組み合わせを異ならせて、タッチパネル50において複数の補助入力具1A、1B、1Cから特定の補助入力具1を判別しているが、入力操作電極5を複数のスリット10で第1分電極3と第2分電極4を含む複数の分電極に分割し、複数の補助入力具1について各入力操作電極5に形成されるスリット10の数やスリット10の幅を互いに異ならせて、タッチパネル50で検出するスリット10の数や幅から特定の補助入力具1を判別してもよい。
【0102】
また、ノブ位置電極23は、ノブ2の中心軸Cについて入力操作電極5と対称となる位置に取り付けられているが、ノブ2への取付位置はこれに限らない。複数の補助入力具1についてノブ2に取り付けられるノブ位置電極23の数や入力操作電極5との相対位置を互いに異ならせて、タッチパネル50で、ノブ位置電極23の対向領域を表す電極対向領域51Dの数や、入力操作電極5の対向領域を表す電極対向領域51との相対位置から特定の補助入力具1を判別することもできる。
【0103】
また、上述の実施の形態では、ノブ2、22に取り付けられる全ての電極5、7、23、33をタッチ電極7、24に電気接続し、これらの電極5、7、23、33を操作者の電位としているが、電極5、7、23、33が接近することによる静電容量の変化をタッチパネル50で検出可能であれば、必ずしもタッチ電極7、24に電気接続する必要はない。
【0104】
また、タッチ電極7、24は、入力操作者が入力操作する際に触れる位置であれば、ノブ2、22のいずれの位置に取り付けてもよい。
【解決手段】静電容量式タッチパネルにより検出可能なスリットで隔てられた第1分電極と第2分電極を有する入力操作電極を絶縁性ノブに取り付け、第1分電極と第2分電極の中心位置間の距離を、前記検出面にマルチタッチする2本以上の入力操作体の各中心位置間の距離より充分に短い距離L
とする。第1分電極と第2分電極の各中心位置に対向する静電容量式タッチパネルの検出面の位置では、その周辺に比べて静電容量が最も大きく変化するので、その周囲の位置に比べて静電容量が最も変化する位置から第1分電極と第2分電極の各中心位置を検出し、その間の距離D