(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のロッドカーラーとロッドクリップのセットは、パーマをかける際に、ロッドカーラーに巻き付けた頭髪をロッドカーラーに輪ゴムで止めることなく、セットになったロッドクリップで挟むことによって、ロッドカーラーに頭髪を巻き付ける作業を容易にすることが可能であると開示されている。
【0008】
特許文献1のロッドカーラーとロッドクリップのセットによるパーマは、同ロッドカーラーに巻き付けた頭髪を、同ロッドカーラーの半径に準じた円弧形状の巻き癖を付けることにより、そのボリュームを豊かにすることはできても、ボリュームを抑えることは困難である。
【0009】
特許文献1に関わらず、これまでの頭髪のボリュームを調整する方法は、上記同様、ロッドカーラーによって、頭髪に円弧形状の巻き癖、所謂ウェーブを与えてボリュームを増やす方法や、かつらなどのウィッグ及びヘアピース等を装着させて同装着個所のボリュームを増やす方法や、ボリュームを調整した状態の頭髪を化粧品や医薬部外品により維持させる方法がほとんどであった。
【0010】
しかしながら、人によって頭髪のボリュームを増やしたい部分もあれば抑えたい部分もあり様々である。これまでの頭髪のボリュームの調整具は、頭髪のボリュームを増やしたい場合に使用するものがほとんどであり、また、ある程度の頭髪の長さがなければ着使用できないものもある。そのため、使用者が自宅で、頭髪の長さに捉われることなく容易に頭髪のボリュームを調整できる、特に、頭髪のボリュームを抑制する調整が可能な手段が望まれていた。
【0011】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたもので、専門的な技術を持たない使用者であっても、頭髪のボリューム調整が可能なヘアボリューム調整クリップ及びヘアボリューム調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は、棒状の胴体部と、該胴体部に略直交するように立設される複数の櫛刃部と、から形成される櫛状の本体部と、
前記胴体部を、前記胴体部の長手方向に前進・後退可能に収納する胴体案内部と、該胴体案内部に略直交するように立設され、前記櫛刃部の前方側を前記櫛刃部の立設方向の略全長に亘って収納可能で、後方側が開放された断面形状を有する複数の櫛刃収納部と から形成される櫛状の本体収納部と、
を有し、
前記本体部の前記胴体部を前記本体収納部の前記胴体案内部に収納した状態において、
前記本体部の前記胴体部を、前記本体収納部の前記胴体案内部に対して後退させて、前記本体部の前記櫛刃部と、前記本体収納部の前記櫛刃収納部との間に、頭髪を通すための隙間が形成されるクリップ開放状態と、
前記本体部の前記胴体部を、前記本体収納部の前記胴体案内部に対して前進させて、前記本体部の前記櫛刃部の前方側の、前記櫛刃部の立設方向の略全長が、前記本体収納部の前記櫛刃収納部に収納されるクリップ閉塞状態と、
を選択可能で、
前記クリップ開放状態が、前記本体部の前記胴体部と、前記本体収納部の前記胴体案内部との間に配置された弾性体により維持され、
前記クリップ閉塞状態が、前記胴体案内部に対する前記胴体部の後退を抑制する後退抑制機構により維持され、
前記クリップ閉塞状態において、少なくとも、前記本体収納部の前記櫛刃収納部に収納される、前記本体部の前記櫛刃部の前方側の断面形状が略円弧形状であって、
前記クリップ開放状態において前記隙間に通した頭髪を、前記クリップ閉塞状態において、前記櫛刃部と前記櫛刃収納部との間に挟み込む
ことを特徴とするヘアボリューム調整クリップによって達成される。
【0014】
また、本発明に係るヘアボリューム調整クリップにおいては、前記クリップ閉塞状態が、前記本体部の前記胴体部と、前記本体収納部の前記胴体案内部との間に配置された弾性体の弾性力により維持されても良い。
【0015】
一方、本発明に係るヘアボリューム調整クリップは、前記本体部の前記胴体部の長手方向に複数個連結した状態で保持可能な連結部材により連結可能であっても良い。
【0016】
ここで、本発明の目的は、前記ヘアボリューム調整クリップにおいて、前記本体部の前記櫛刃部の前方側の略円弧形状の半径を変更することにより、前記ヘアボリューム調整クリップを使用した部位の頭髪の曲げ半径を、所望するヘアボリュームに準じた曲げ半径とする
ことを特徴とするヘアボリューム調整方法によっても達成される。
【0017】
また、本発明のヘアボリューム調整方法は、前記連結部材により、前記前記本体部の前記胴体部の長手方向に複数個連結することにより、前記ヘアボリューム調整クリップを連結した部位の頭髪の範囲を、所望するヘアボリュームの調整範囲としても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るヘアボリューム調整クリップは、棒状の胴体部と、該胴体部に略直交するように立設される複数の櫛刃部と、から形成される櫛状の本体部と、
前記胴体部を、前記胴体部の長手方向に前進・後退可能に収納する胴体案内部と、該胴体案内部に略直交するように立設され、前記櫛刃部の前方側を前記櫛刃部の立設方向の略全長に亘って収納可能で、後方側が開放された断面形状を有する複数の櫛刃収納部と から形成される櫛状の本体収納部と、
を有し、
前記本体部の前記胴体部を前記本体収納部の前記胴体案内部に収納した状態において、
前記本体部の前記胴体部を、前記本体収納部の前記胴体案内部に対して後退させて、前記本体部の前記櫛刃部と、前記本体収納部の前記櫛刃収納部との間に、頭髪を通すための隙間が形成されるクリップ開放状態と、
前記本体部の前記胴体部を、前記本体収納部の前記胴体案内部に対して前進させて、前記本体部の前記櫛刃部の前方側の、前記櫛刃部の立設方向の略全長が、前記本体収納部の前記櫛刃収納部に収納されるクリップ閉塞状態と、
を選択可能で、
前記クリップ閉塞状態において、少なくとも、前記本体収納部の前記櫛刃収納部に収納される、前記本体部の前記櫛刃部の前方側の断面形状が略円弧形状であって、
前記クリップ開放状態において前記隙間に通した頭髪を、前記クリップ閉塞状態において、前記櫛刃部と前記櫛刃収納部との間に挟み込むように構成されているため、専門的な技術を持たない使用者であっても、頭髪のボリューム調整を行うことができる。
【0019】
また、本発明のヘアボリューム調整クリップを使用する、本発明に係るヘアボリューム調整方法は、前記ヘアボリューム調整クリップにおいて、前記本体部の前記櫛刃部の前方側の略円弧形状の半径を変更することにより、前記ヘアボリューム調整クリップを使用した部位の頭髪の曲げ半径を、所望するヘアボリュームに準じた曲げ半径とするため、専門的な技術を持たない使用者であっても、頭髪のボリューム調整を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
[第1実施形態]
図1乃至
図4を参照しながら本発明の第1実施形態に係る射出装置を説明する。第1実施形態は、ヘアボリューム調整クリップのクリップ開放状態が、本体部の胴体部と、本体収納部の胴体案内部との間に配置された弾性体(圧縮バネ)により維持され、ヘアボリューム調整クリップのクリップ閉塞状態が、胴体部及び胴体案内部の前進・後退を抑制する抑制機構により維持される形態である。
【0023】
図1は、第1実施形態に係るヘアボリューム調整クリップのクリップ開放状態及びクリップ閉塞状態を示す概略斜視図である。
図1(a)がクリップ開放状態、
図1(b)がクリップ閉塞状態を示す。
図2は、
図1のクリップ開放状態の説明図である。
図2(a)がヘアボリューム調整クリップの概略平面図、
図2(b)が
図2(a)のA矢視図、
図2(c)が
図2(a)のB矢視図、
図2(d)が
図2(a)の要部Xの内部透視図である。
図3は、
図1のクリップ閉塞状態の説明図である。
図3(a)がヘアボリューム調整クリップの概略平面図、
図3(b)が
図3(a)のA矢視図、
図3(c)が
図3(a)の要部Xの内部透視図、
図3(d)が、後述する後退抑制機構の別形態を示す図である。
図4は、第1実施形態に係るヘアボリューム調整クリップを使用するヘアボリューム調整方法を説明するイメージ図である。
図4(a)が、ヘアボリューム調整クリップでヘアボリューム調整を行う部位が頭髪サイド部分であることを示すイメージ図、
図4(b)が、ヘアボリューム調整クリップのクリップ開放状態において形成される、本体部の櫛刃部と、本体収納部の櫛刃収納部との間の隙間に頭髪を通した状態を示すイメージ図である。
図4(c)が、
図4(b)のクリップ開放状態からクリップ閉塞状態に移行させて、隙間に通した頭髪を、櫛刃部と櫛刃収納部との間に挟み込んだ状態を示すイメージ図である。
図4(d)が、
図4(c)の状態で頭髪を乾燥させて、頭髪が頭皮に沿うように頭髪からの毛流角度が変更された状態を示すイメージ図である。
【0024】
図1乃至
図3に示すように、ヘアボリューム調整クリップ1は、櫛状の本体部10が、同じく櫛状の本体収納部20に収納されるように構成される。櫛状の本体部10は、棒状の胴体部10aと、胴体部10aに略直交するように立設される複数の櫛刃部10bとから形成されている。また、櫛状の本体収納部20は、本体部10の胴体部10aを、胴体部10aの長手方向に前進・後退可能に収納可能な胴体案内部20aと、胴体案内部20aに略直交するように立設され、櫛刃部10bの前方側を櫛刃部10bの立設方向の略全長に亘って収納可能で、後方側が開放された断面形状を有する複数の櫛刃収納部20bとから形成されている。
【0025】
そして、本体収納部20の胴体案内部20aの後端には、本体収納部20の胴体案内部20aに対する、本体部10の胴体部10aの後退を抑制する後退抑制機構10cが配置されている。後退抑制機構10cは第1実施形態においては、胴体案内部20aの後端に配置された略コの字形状の構成であって、コの字形状の対向する2面が胴体案内部20aに対して回転可能に支持されており、
図1(a)、
図2(a)他に示すクリップ開放状態においては、胴体案内部20aに対する胴体部10aの前進・後退を阻害しない位置に回転移動させ、
図1(b)、
図3(a)他に示すクリップ閉塞状態においては、胴体案内部20aに対する胴体部10aの後退を抑制する位置に回転移動させるように構成されている。
【0026】
また、後退抑制機構10cは、後述する、ヘアボリューム調整クリップ1の連結形態を鑑み、
図3(d)に示すように、クリップ閉塞状態において、その後端が、本体部10の胴体部10aから突出しないように構成されても良い。このような、第1実施形態における後退抑制機構10cの配置や構成は一例であって、クリップ閉塞状態において、胴体案内部20aに対する胴体部10aの後退を抑制することができる構成が適宜採用されれば良い。
【0027】
また、
図2(c)に示すように、本体部10の胴体部10aの、本体収納部20の胴体案内部20aに収納される対向面には、胴体部10aの長手方向に連続する案内用の凹部が形成されており、該凹部と組み合わされる凸部が、本体部10の胴体部10aを収納する、本体収納部20の胴体案内部20aの対向面に形成されており、これら凹凸部によるインロー構造により、本体部10の胴体部10aを、胴体部10aの長手方向に前進・後退可能に、本体収納部20の胴体案内部20aに収納するよう構成されている。このインロー構造は凹凸が第1実施形態とは逆の部材に構成されても良いし、本体部10の胴体部10aを、胴体部10aの長手方向に前進・後退可能に、本体収納部20の胴体案内部20aに収納する構成が適宜採用されれば良い。
【0028】
ヘアボリューム調整クリップ1のこれら構成部材の素材は、樹脂やアルミニウム等軽量のもので、ヘアボリューム調整クリップ1のクリップ閉塞状態を維持可能な強度があれば良い。また、ヘアスタイリング用の化粧品や医薬部外品に対する耐薬品性を素材自体が備えているか、少なくとも表面に、耐薬品性または毛髪の滑り止めを備えたコーティング施工が成されることが好ましい。
【0029】
第1実施形態においては、
図1(a)、
図2(a)他に示すクリップ開放状態が、本体部10の胴体部10aと、本体収納部20の胴体案内部20aとの間に配置された弾性体により維持される。具体的には、
図2(d)(
図2(a)の要部Xの内部透視図)に示すように、本体部10の胴体部10aの前端面に形成された弾性体支持部10dと、該弾性体支持部10dの対向する、本体収納部20の胴体案内部20aの対向面に形成された弾性体支持部20dとの間に、弾性体である圧縮バネ30が自然長状態で配置されている。この圧縮バネ30の自然長がDである。
【0030】
圧縮バネ30の両端は、それぞれ、弾性体支持部10d及び弾性体支持部20dに固定されており、本体収納部20の胴体案内部20aに対する、本体部10の胴体部10aの後退限が規定される。また、
図2(a)、(b)に示すように、自然長状態の圧縮バネ30がスペーサとして機能し、クリップ開放状態における、本体部10の櫛刃部10bと、本体収納部20の櫛刃収納部20dとの間に、頭髪を通すための隙間Cが形成され維持される。また、クリップ開放状態において、頭部の該当部位の頭髪を隙間Cに通すため、本体部10の櫛刃部10b及び本体収納部20の櫛刃収納部20bの先端は、クリップ開放状態において、
図1(a)及び
図2(a)他に示すように、実際の櫛のように、斜めに連続するように構成されることが好ましい。さらに、頭部の形状を鑑み、ヘアボリューム調整クリップ1は、
図1や
図2(b)、
図3(b)に示すように、長手方向に弯曲する形状が採用され、より頭皮に接近させて、頭皮近傍で頭髪を挟み込めるようにすることが好ましい。
【0031】
また、第1実施形態においては、
図1(b)、
図3(a)他に示すクリップ閉塞状態が、本体収納部20の胴体案内部20aの後端に配置された後退抑制機構10cにより維持される。具体的には、
図1(a)、
図2(a)他に示すクリップ開放状態から、ヘアボリューム調整クリップ1の本体部10を、圧縮バネ30の弾性力に抗して本体収納部20に押し込む。このとき、
図2(d)において自然長Dの圧縮バネ30が、
図3(c)に示すように長さD’(D’<D)まで圧縮され、本体部10が本体収納部20に対して弾性力により後退しようとする。そのため、
図1(b)、
図3(a)他に示すように、後退抑制機構10cを、胴体案内部20aに対する胴体部10aの後退を抑制する位置に回転移動させ、胴体案内部20a(本体収納部20)に対する胴体部10a(本体部10)の後退を抑制してクリップ閉塞状態に移行させ、この状態を維持させる。
【0032】
クリップ閉塞状態においては、クリップ開放状態における隙間C(
図2(a)、
図2(b)が平面図(
図3(a)上では完全に無くなり、
図3(b)に示すように、本体部10の櫛刃部10bの前方側の略円弧形状の断面と、これを収納する本体収納部20の櫛刃収納部20dの内面間に沿った隙間として隙間C’が形成される。
【0033】
この、本体部10の櫛刃部10bの前方側の略円弧形状の断面と、これを収納する本体収納部20の櫛刃収納部20dの内面間に沿った隙間としての隙間C’における、櫛刃部10bの前方側の略円弧形状の半径と、隙間C’の大きさがヘアボリュームを決定する。具体的には、まず、櫛刃部10bの前方側の略円弧形状の半径が、クリップ閉塞状態において隙間C’間に挟み込まれた頭髪の部位の曲げ半径となる。この部位の頭髪の曲げ半径が小さい程、その部位の頭髪のボリュームは抑制される。一方、この部位の頭髪の曲げ半径が大きい程、その部位の頭髪のボリュームは抑制されない。次に、隙間C’の大きさが頭髪のボリュームの抑制力を決定する。隙間C’の大きさが小さい程、頭髪のボリュームの抑制力が大きく、大きい程、頭髪のボリュームの抑制力が弱くなる。
【0034】
引き続き、
図4を参照しながら、第1実施形態に係るヘアボリューム調整クリップ1を使用するヘアボリューム調整方法を説明する。
図4(a)に示すように、ヘアボリューム調整クリップ1でヘアボリューム調整を行う部位が頭髪サイド部分である。
【0035】
まず、クリップ開放状態のヘアボリューム調整クリップ1を頭髪サイド部分に持っていき、
図4(b)に示すように、本体部10の櫛刃部10bと、本体収納部20の櫛刃収納部20dとの間の隙間Cに頭髪を通す。
図2(a)他に示すように、ヘアボリューム調整クリップ1の平面図上で隙間Cが形成されているので、隙間Cに頭髪を容易に通すことができる。また、
図2(a)他に示すように、本体部10の櫛刃部10b及び本体収納部20の櫛刃収納部20bの先端が、クリップ開放状態において、実際の櫛のように、斜めに連続するように構成されれば、隙間Cに頭髪を通すことはさらに容易である。
【0036】
その後、ヘアボリューム調整クリップ1の本体部10を、圧縮バネ30の弾性力に抗して本体収納部20に押し込み、後退抑制機構10cにより、胴体案内部20a(本体収納部20)に対する胴体部10a(本体葡10)の後退を抑制して、
図4(c)に示すように、本体部10の櫛刃部10bと、本体収納部20の櫛刃収納部20dとの間の隙間が隙間C’となるクリップ閉塞状態に移行させる。
【0037】
クリップ閉塞状態においては、先に説明したように、隙間C’における、櫛刃部10bの前方側の略円弧形状の半径と、隙間C’の大きさがヘアボリュームを決定する。この状態において、頭髪を自然乾燥させるか、ヘアドライヤー等で乾燥させる。一般家庭においては、市販されているヘアスタイリング用のヘアクリームやヘアスプレーを頭髪に塗布させた状態で乾燥させても良い。また、理容室や美容室においても、同様のヘアスタイリン剤を使用して乾燥させる、あるいは、そのまま、パーマ液を塗布してパーマを行っても良い。
【0038】
そして、
図4(c)の状態で頭髪を乾燥させると、
図4(d)に示すように、頭髪が頭皮に沿う(矢印E)ように頭皮からの立ち上げ角度(立ち上げ方向)が変更された状態で頭髪の流れが形成され、頭髪サイド部分であっても、刈り上げることなく、頭髪のボリュームを抑えるように調整することができる。
【0039】
図示はしていないが、隙間C’を少し大きくすれば、頭髪のボリュームの抑制力を弱めて、
図4(d)よりももう少し頭皮からの立ち上げ角度(立ち上げ方向)を頭皮から離れる角度(方向)にさせて頭髪のボリュームを増やすことができる。さらにボリュームを増やしたい場合は、櫛刃部10bの前方側の略円弧形状の半径を大きくして、頭髪の曲げ半径を大きくすれば良い。
【0040】
このように、クリップ閉塞状態の隙間C’における、櫛刃部10bの前方側の略円弧形状の半径と、隙間C’の大きさによりヘアボリュームの調整が可能になるため、櫛刃部10bの前方側の略円弧形状の半径と、隙間C’の大きさが異なるヘアボリューム調整クリップを複数種類用意して使い分けることにより、頭髪の所望する部位を、所望するボリュームに調整することができる。また、このようなヘアボリューム調整クリップ1は、使用するのに特殊な技術等は必要無く、専門的な技術を持たない使用者であっても、所望する部位の頭髪のボリューム調整を容易に行うことができる。
【0041】
[第2実施形態]
図5乃至
図6を参照しながら本発明の第2実施形態に係る射出装置を説明する。第2実施形態は、ヘアボリューム調整クリップのクリップ閉塞状態が、本体部の胴体部と、本体収納部の胴体案内部との間に配置された弾性体(圧縮バネ)の弾性力により維持される形態である。第1実施形態との差異は、クリップ閉塞状態を維持する構成のみであって、それ以外の基本的構成は同じである。そのため、第1実施形態と同じ構成については説明を割愛し、
図5乃至
図6においても、第1実施形態と同じ構成(
図1乃至
図4)については同じ符号を付すものとする。
【0042】
図5は、第2実施形態に係るヘアボリューム調整クリップのクリップ閉塞状態の説明図である。
図5(a)がヘアボリューム調整クリップの概略平面図、
図5(b)が
図5(a)の要部Yの内部透視図、
図5(c)が
図5(b)のF矢視図、
図5(d)が
図5(a)のG矢視図である。
図6は、第2実施形態に係るヘアボリューム調整クリップのクリップ開放状態の説明図である。
図6(a)がヘアボリューム調整クリップの概略平面図、
図6(b)が
図6(a)の要部Yの内部透視図である。
【0043】
先に説明したように、第2実施形態は、ヘアボリューム調整クリップのクリップ閉塞状態が、本体部の胴体部と、本体収納部の胴体案内部との間に配置された弾性体(圧縮バネ)の弾性力により維持される形態である。そのため、
図5を参照しながら、クリップ閉塞状態を先に説明する。
【0044】
図5(a)他に示すように、ヘアボリューム調整クリップ2について、櫛状の本体部10が、同じく櫛状の本体収納部20に収納されるように構成される点や、本体部10及び本体収納部20の基本構成、また、
図5(d)に示すような、本体部10の胴体部10aを、胴体部10aの長手方向に前進・後退可能に、本体収納部20の胴体案内部20aに収納する凹凸部によるインロー構造、さらには、ヘアボリューム調整クリップ2を使用する頭髪のボリューム調整方法については、第1実施形態のヘアボリューム調整クリップ1と同じであるため、個々の説明は割愛する。
【0045】
一方、本体部10の胴体部10aの前方には、ヘアボリューム調整クリップ2をクリップ閉塞状態からクリップ開放状態に移行させるための押込ロッド10eが形成され、
図5(b)他に示すように、対向する本体収納部20の胴体案内部20aの対向面の開口孔から、ヘアボリューム調整クリップ2の前方へ突出している。また、本体部10の胴体部10aの、櫛刃部10bが立設方向と逆の面に、弾性体支持部10d’が立設されている。弾性体支持部10d’は、本体収納部20の胴体案内部20aを、弾性体支持部10d’の立設方向に貫通孔を介して貫通している。また、本体収納部20の胴体案内部20aの対向面が、弾性体支持部10d’の立設方向に延伸されており、同延伸部の弾性体支持部10d’の対向面にも、弾性体支持部20d’が形成されている。
【0046】
第1実施形態及び第2実施形態の相違点でもあるが、第2実施形態においては、
図5(a)他に示すクリップ閉塞状態が、本体部10の胴体部10aと、本体収納部20の胴体案内部20aとの間に配置された弾性体の弾性力により維持される。具体的には、
図5(b)(
図5(a)の要部Yの内部透視図)に示すように、先に説明した弾性体支持部10d’及び弾性体支持部20d’間に、弾性体である引張バネ40が、自然長より伸ばされ、所定の弾性力が生じた状態で配置されている。この引張バネ40の引張長さがd’である。この状態において、本体収納部20(胴体案内部20a)に対して、本体部10(胴体部10a)の引張方向に弾性力による引張力を受けるが、
図5(b)に示すように、本体部10の胴体部10aから立設する弾性体支持部10d’が、本体収納部20の胴体案内部20aの、弾性体支持部10d’用の貫通孔の端面に接触することで、引張バネ40の引張長さd’が規定される。
【0047】
また、第2実施形態においては、引張バネ40により常時クリップ閉塞状態が維持されるため、ヘアボリューム調整クリップ2によりヘアボリュームを調節するためには、本体収納部20の櫛刃収納部20dとの間に、頭髪を通すための隙間Cを形成する必要がある。第2実施形態においては、常時クリップ閉塞状態のヘアボリューム調整クリップ2を、本体収納部20から突出している押込ロッド10eを指等で押し込むことにより、
図6(b)に示すように、引張バネ40をさらに伸ばしてその間だけクリップ開放状態に移行させる。このときの引張バネ40の引張長さはd”である。
【0048】
第2実施形態のヘアボリューム調整クリップ2は、第1実施形態のヘアボリューム調整クリップ1に対して、隙間Cに頭髪を通した後に押込ロッド10eの押し込みを止めれば、そのままクリップ閉塞状態に移行させることができるので、頭髪のボリューム調整が容易である。
【0049】
一方、弾性体として、第2実施形態のように引張バネ40を採用する場合、あるいは、代わりにゴム等を採用する場合、所望する部位において、ヘアボリューム調整クリップ2の隙間Cに頭髪を通す際や、クリップ閉塞状態にした際に、引張バネの場合は頭髪を挟み込んだり、ゴムの場合は摩擦係数が多いので頭髪を巻き込んだりする虞がある。そのため、
図5に示すように、引張バネ40等の弾性体の配置個所には、本体収納部20の該当部分をカバーする構成が好ましい。
【0050】
以上、発明を実施するための形態について、第1実施形態及び第2実施形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された内容を逸脱しない範囲で、色々な形で実施できることは言うまでもない。
【0051】
本発明に係るヘアボリューム調整クリップを、連結部材により複数個連結させて使用しても良い。
図7は、第1実施形態に係るヘアボリューム調整クリップ1を連結部材により2個連結するイメージ図である。
【0052】
図7に示す2つのヘアボリューム調整クリップ1は、図では分かり難いが、クリップ開放状態であって、後退抑制機構10cは、胴体案内部20aに対する胴体部10aの前進・後退を阻害しない位置に回転移動されている。所望するヘアボリュームの調整範囲において、先に説明したように、これら2つのヘアボリューム調整クリップ1それぞれによって頭髪を挟み込んだ後、後退抑制機構10cによりクリップ閉塞状態にさせる。そして、クリップ閉塞状態の2つのヘアボリューム調整クリップ1を、連結部材50により長手方向に連結させる。
【0053】
連結部材50は、長手方向に連結させたヘアボリューム調整クリップ1と略同じ弯曲する形状を有し、両端にヘアボリューム調整クリップ1を挟み込む凸部や爪部を備える。連結部材50の素材は、樹脂やアルミニウム等軽量のもので、ヘアボリューム調整クリップ1の連結状態を維持可能な強度があれば良い。また、ヘアスタイリング用の化粧品や医薬部外品に対する耐薬品性を素材自体が備えているか、耐薬品性を備えたコーティング施工が成されることが好ましい。一方、
図3(d)に示すように、ヘアボリューム調整クリップ1の連結形態を鑑み、クリップ閉塞状態において、その後端が、本体部10の胴体部10aから突出しない構成や、図示はしていないが、ヘアボリューム調整クリップ1の連結される前端部と後端部とに、連結を案内する凹凸やインロー構造、あるいは、溝構造を設け、連結部材50によるヘアボリューム調整クリップ1の連結状態をより確実に維持可能に構成されることがより好ましい。
【0054】
次に、
図8は、第2実施形態に係るヘアボリューム調整クリップを連結部材により2個連結するイメージ図である。
【0055】
図8に示す2つのヘアボリューム調整クリップ2は、図では分かり難いが、クリップ閉塞状態である。先に説明したように、ヘアボリューム調整クリップ2は常時クリップ閉塞状態が維持されるため、ヘアボリュームを調節するためには、押込ロッド10eを押し込むことにより、本体収納部20の櫛刃収納部20dとの間に、頭髪を通すための隙間Cを形成する必要がある。
【0056】
そのため、クリップ閉塞状態の2つのヘアボリューム調整クリップ2を長手方向に連結させる連結部材60は、連結本体部61と、連結本体部61に対して長手方向にその一端が案内・収納されるスライド部62とで構成される。スライド部62の上面には、スライド支持部62aが形成され、押し込み支持部62aに対向する連結本体部61の上面に連結本体支持部61aが形成されている。
【0057】
連結部材50によりヘアボリューム調整クリップ1を連結させる場合と異なり、まず先に、連結部材60により、クリップ閉塞状態のヘアボリューム調整クリップ2を長手方向に連結させる。ヘアボリューム調整クリップ1と同様に、ヘアボリューム調整クリップ2においても、連結される前端部と後端部とに、連結を案内する凹凸やインロー構造、あるいは、溝構造を設け、連結部材50によるヘアボリューム調整クリップ1の連結状態をより確実に維持可能に構成されることがより好ましいことは言うまでもない。
【0058】
この時、
図8に示すように、スライド部62の一端は、連結本体部61の同じ側の端部より長手方向に突出しており、この連結本体部61に対するスライド部62の突出部に、連結させた2つのヘアボリューム調整クリップ2の、前方のヘアボリューム調整クリップ2の押込ロッド10eが配置されるよう、連結本体部61に開口部61bが形成されている。このように構成される連結部材60は、連結本体部61の連結本体支部部61aと、スライド部62のスライド支持部62aとを、指等で支持させて、スライド部62を連結本体部61の
図8中の矢印で示す長手方向に押し込むことにより、前方のヘアボリューム調整クリップ2の押込ロッド10eを押し込んで、クリップ閉塞状態で連結させた2つのヘアボリューム調整クリップ2をクリップ開放状態へ移行させることができる。
【0059】
そのため、所望するヘアボリュームの調整範囲において、連結部材60で連結させた2つのヘアボリューム調整クリップ2をクリップ開放状態へ移行させ、これら2つのヘアボリューム調整クリップ2によって頭髪を挟み込ませる。その後、スライド部62の連結本体部61への押し込む状態を解除(指を離す)することにより、引張バネ40の弾性力で2つのヘアボリューム調整クリップ2が再びクリップ閉塞状態へと移行する。
【0060】
図7及び
図8に示すように、連結部材により、本発明に係るヘアボリューム調整クリップを長手方向に複数個連結することにより、ヘアボリューム調整クリップを連結した部位の頭髪の範囲を、所望するヘアボリュームの調整範囲とすることができる。このような、連結部材は、部分的にヘアボリュームを調整するために、その長手方向の長さを抑制したヘアボリューム調整クリップであっても、さらに広い範囲のヘアボリュームの調整を容易にするものである。
【0061】
ヘアボリューム調整クリップを長手方向に長くすることによっても対応は可能である。しかしながら、ヘアボリュームを調整する範囲は男女や個人によって好みが様々である。そのため、これに対応して、様々な長さのヘアボリューム調整クリップを準備することは難しい。また、ヘアボリュームを調整範囲は、頭髪のサイド部分等、部分的であることの方が一般的である。これらを鑑みると、部分的なヘアボリュームの調整用に長手方向の長さを抑制したヘアボリューム調整クリップを、このような連結部材で任意に連結させる方法の方が、頭髪のヘアボリュームを調整する様々な範囲への対応が容易である。尚、
図7及び
図8では、それぞれ2個のヘアボリューム調整クリップを連結させる連結部材について説明したが、これに限定されることなく、3個以上のヘアボリューム調整クリップを連結させる連結部材であっても良い。
【解決手段】複数の櫛刃部10bが形成される櫛状の本体部10と、複数の櫛刃収納部20bが形成される櫛状の本体収納部20とを有し、櫛刃部10bと櫛刃収納部20bとの間に、頭髪を通すための隙間が形成されるクリップ開放状態と、櫛刃部10bが、櫛刃収納部20bに収納されるクリップ閉塞状態と、を選択可能で、クリップ閉塞状態において、櫛刃収納部20bに収納される、櫛刃部10bの前方側の断面形状が略円弧形状であって、クリップ開放状態において隙間に通した頭髪を、クリップ閉塞状態において、櫛刃部10bと櫛刃収納部20bとの間に挟み込むヘアボリューム調整クリップによって達成される。