特許第6610923号(P6610923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6610923エレベータシステム、エレベータ制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6610923
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】エレベータシステム、エレベータ制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20191118BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   B66B1/18 N
   B66B3/00 K
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-133475(P2015-133475)
(22)【出願日】2015年7月2日
(65)【公開番号】特開2017-13975(P2017-13975A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(72)【発明者】
【氏名】貞清 一浩
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−151361(JP,A)
【文献】 特開2002−120976(JP,A)
【文献】 特開2015−003785(JP,A)
【文献】 特開2014−084219(JP,A)
【文献】 特開2007−145462(JP,A)
【文献】 特開平08−277074(JP,A)
【文献】 特開2002−128406(JP,A)
【文献】 特開2014−196192(JP,A)
【文献】 特開2003−048671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00─ 1/52
B66B 3/00─ 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の携帯する携帯端末が、建物内に設置された位置情報マーカーの各々から位置情報を取得し、当該位置情報がエレベータの乗降ロビーを示す場合に前記利用者に対して呼び出し機能を利用するか否かの問い合せを行ない、前記呼び出し機能を当該利用者が利用することを確認した際に送信する、当該携帯端末を用いて前記利用者が入力した情報であってかごの移動方向を任意に指定して前記かごを呼び出すためのユーザ要望情報と、前記携帯端末によって前記位置情報マーカーの各々から取得された位置情報とに基づき、前記かごを選択して前記携帯端末が位置する階に停止させる制御部
を備えるエレベータシステム。
【請求項2】
前記位置情報マーカーがエレベータの乗降ロビーに設置されており、当該位置情報マーカーの送信エリアが前記利用者と対面するエレベータを特定可能な範囲である
請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記かごの仕様を示す仕様情報を記憶した記憶部をさらに備え、
前記制御部が、前記ユーザ要望情報と、前記位置情報と、前記利用者に係るユーザ属性情報とに基づき、前記記憶部を参照し、前記ユーザ属性情報に適した前記仕様を有する前記かごを選択して前記携帯端末が位置する階に停止させる
請求項1または2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記制御部が選択した前記かごを示すかご情報を前記携帯端末に対して通知する通知部をさらに備える
請求項1から3のいずれか一項に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記仕様情報は、前記かごが車いす用かご内操作部を有しているか否かを示す情報、および、前記かご内の操作部が点字表示を有しているか否かを示す情報を含む
請求項3に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記ユーザ属性情報は、前記利用者が車いす使用者であることを示す情報、または、前記利用者が視覚障がい者であることを示す情報の少なくとも1つを含む
請求項3または5に記載のエレベータシステム。
【請求項7】
エレベータシステムにおける制御部が
利用者の携帯する携帯端末が、建物内に設置された位置情報マーカーの各々から位置情報を取得し、当該位置情報がエレベータの乗降ロビーを示す場合に前記利用者に対して呼び出し機能を利用するか否かの問い合せを行ない、前記呼び出し機能を当該利用者が利用することを確認した際に送信する、当該携帯端末を用いて前記利用者が入力した情報であってかごの移動方向を任意に指定して前記かごを呼び出すためのユーザ要望情報と、前記携帯端末によって前記位置情報マーカーの各々から取得された位置情報とに基づき、前記かごを選択して前記携帯端末が位置する階に停止させる
エレベータ制御方法。
【請求項8】
携帯端末を用いて利用者が入力した情報であってかごの移動方向を任意に指定して前記かごを呼び出すためのユーザ要望情報と、前記携帯端末によって建物内に設置された位置情報マーカーの各々から取得された位置情報とに基づき、前記かごを選択して前記携帯端末が位置する階に停止させる制御部を備えるエレベータシステムにおいて、
前記携帯端末において前記位置情報を取得する過程と、
前記携帯端末において、前記位置情報がエレベータの乗降ロビーを示す場合に前記利用者に対して呼び出し機能を利用するか否かの問い合せを行ない、前記呼び出し機能を当該利用者が利用することを確認した際に送信する前記ユーザ要望情報を入力し、前記制御部に送信する過程と
を前記携帯端末が備えるコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータシステム、エレベータ制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
身体障がい者等がエレベータを利用する場合、次のような点が問題となることがある。例えば、乗降ロビーが混雑している場合、上または下の乗場ボタンを押すことが、車いす使用者には容易ではないことがあるという問題がある。また、乗場操作盤には、独自のデザインで設置されているものがあるため、デザインによっては例えば視覚障がい者が上または下の乗場ボタンを押すことが容易ではないことがあるという問題がある。
【0003】
上記のような問題については、特許文献1に記載されているエレベータシステムでは、RFID(Radio Frequency Identification)を利用することで、乗場ボタンを押さずにエレベータを呼び出すことができる。このシステムでは、RFIDの記憶部に、車いす使用の有無、行き先階等を示す情報が予め記憶される。そして、各階の乗降ロビーに設置された呼出感知アンテナがRFIDタグを捕捉した場合に、エレベータ呼び出し希望者がいることを示す情報が自動的に生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−48671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているエレベータシステムでは、RFIDタグが捕捉された場合にエレベータが自動的に呼び出される。そのため、必要がないのにエレベータが呼び出されてしまう場合があるという課題があった。また、一方、RFIDタグに行き先階を予め登録している場合には行き先が固定されてしまうという課題があり、他方、登録していない場合には呼び出しの際に上下の行き先を区別することが困難であるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、上記の課題を解決することができるエレベータシステム、エレベータ制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、利用者の携帯する携帯端末が、建物内に設置された位置情報マーカーの各々から位置情報を取得し、当該位置情報がエレベータの乗降ロビーを示す場合に前記利用者に対して呼び出し機能を利用するか否かの問い合せを行ない、前記呼び出し機能を当該利用者が利用することを確認した際に送信する、当該携帯端末を用いて前記利用者が入力した情報であってかごの移動方向を任意に指定して前記かごを呼び出すためのユーザ要望情報と、前記携帯端末によって前記位置情報マーカーの各々から取得された位置情報とに基づき、前記かごを選択して前記携帯端末が位置する階に停止させる制御部を備えるエレベータシステムである。
また、本発明の一態様は、前記位置情報マーカーがエレベータの乗降ロビーに設置されており、当該位置情報マーカーの送信エリアが前記利用者と対面するエレベータを特定可能な範囲である。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記のエレベータシステムにおいて、前記かごの仕様を示す仕様情報を記憶した記憶部をさらに備え、前記制御部が、前記ユーザ要望情報と、前記位置情報と、前記利用者に係るユーザ属性情報とに基づき、前記記憶部を参照し、前記ユーザ属性情報に適した前記仕様を有する前記かごを選択して前記携帯端末が位置する階に停止させる。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記のエレベータシステムにおいて、前記制御部が選択した前記かごを示すかご情報を前記携帯端末に対して通知する通知部をさらに備える。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記のエレベータシステムにおいて、前記仕様情報は、前記かごが車いす用かご内操作部を有しているか否かを示す情報、および、前記かご内の操作部が点字表示を有しているか否かを示す情報を含む。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記のエレベータシステムにおいて、前記ユーザ属性情報は、前記利用者が車いす使用者であることを示す情報、または、前記利用者が視覚障がい者であることを示す情報の少なくとも1つを含む。
【0012】
本発明の一態様は、エレベータシステムにおける制御部が、利用者の携帯する携帯端末が、建物内に設置された位置情報マーカーの各々から位置情報を取得し、当該位置情報がエレベータの乗降ロビーを示す場合に前記利用者に対して呼び出し機能を利用するか否かの問い合せを行ない、前記呼び出し機能を当該利用者が利用することを確認した際に送信する、当該携帯端末を用いて前記利用者が入力した情報であってかごの移動方向を任意に指定して前記かごを呼び出すためのユーザ要望情報と、前記携帯端末によって前記位置情報マーカーの各々から取得された位置情報とに基づき、前記かごを選択して前記携帯端末が位置する階に停止させるエレベータ制御方法である。
【0013】
本発明の一態様は、携帯端末を用いて利用者が入力した情報であってかごの移動方向を任意に指定して前記かごを呼び出すためのユーザ要望情報と、前記携帯端末によって建物内に設置された位置情報マーカーの各々から取得された位置情報とに基づき、前記かごを選択して前記携帯端末が位置する階に停止させる制御部を備えるエレベータシステムにおいて、前記携帯端末において建物内に設置された位置情報マーカーの各々から前記位置情報を取得する過程と、前記携帯端末において、前記位置情報がエレベータの乗降ロビーを示す場合に前記利用者に対して呼び出し機能を利用するか否かの問い合せを行ない、前記呼び出し機能を当該利用者が利用することを確認した際に送信する前記ユーザ要望情報を入力し、前記制御部に送信する過程とを前記携帯端末が備えるコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、利用者は、上または下の乗場ボタンを押すことなく、携帯端末を用いて、移動方向を任意に指定してかごを呼び出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態を説明するためのシステム構成図である。
図2図1に示した乗降ロビー20の一例を模式的に示す平面図である。
図3図1に示したデータベース7の構成例を説明するための説明図である。
図4図1に示したエレベータシステム100の動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明によるエレベータシステム100の一実施形態を示したシステム図である。図1に示したエレベータシステム100は、エレベータ1と、乗場操作盤2と、位置情報マーカー3と、エレベータ制御装置4と、信号中継装置5と、行動支援処理装置6と、データベース7と、無線LAN(Local Area Network)アクセスポイント8と、通信線9とを備える。
【0017】
エレベータ1は、ビル内の各階の乗降ロビー20に扉12と乗場操作盤2とを備え、エレベータ制御装置4の制御の下、かご11を上下方向に移動することでユーザ50等を運搬する。乗場操作盤2は、ユーザ50が上方向へ移動する際にかご11を呼び出すための上乗場ボタン2uと下方向へ移動する際にかご11を呼び出すための下乗場ボタン2dとの少なくとも1つを備える。上乗場ボタン2uおよび下乗場ボタン2dは、例えば押しボタン式のスイッチであり、かつボタンを点灯状態または消灯状態とするための照明装置を有している。上乗場ボタン2uおよび下乗場ボタン2dの押下状態の検出や点灯状態の切替はエレベータ制御装置4によって行われる。
【0018】
位置情報マーカー3は、ビル内の位置を表す位置情報を無線信号で送信する装置である。位置情報マーカー3は、例えば、位置情報マーカー3が設置されている位置の緯度、経度、および、階数(高さ)からなる位置情報を、GPS(Global Positioning System)システムと同じ電波を用いて一定の送信エリア30内に所定の時間間隔で送信する。送信エリア30は電波到達範囲である。ユーザ50が携帯する携帯端末10が送信エリア30内に移動してきた場合に、携帯端末10は位置情報マーカー3が送信する位置情報を表す無線信号を受信する。なお、位置情報マーカー30は、GPSシステムと同じ電波を利用するものに限らず、近距離無線通信や赤外線通信を利用するものであってもよい。また、位置情報は、緯度、経度、階数等のほか(あるいはそれらとともに)各位置情報マーカー3の識別情報を用いて表すことができる。ここで、図2を説明して位置情報マーカー3と乗降ロビー20との関係の一例について説明する。
【0019】
図2は、図1に示した乗降ロビー20の一例を模式的に示した平面図である。図2に示した例では、乗降ロビー20に対して複数のエレベータ1a、1b、…、1c、1d、1e、…、1fが設置されている。また、乗降ロビー20は、2つの出入口21および22を有している。そして、乗降ロビー20の出入口21および22の近傍には、位置情報マーカー3aおよび3bが設置されている。この場合、位置情報マーカー3aの送信エリア30aは出入口21の近傍に広がり、位置情報マーカー3bの送信エリア30bは出入口22の近傍に広がる。なお、図2に示したエレベータ1a、1b、…、1c、1d、1e、…、1fは図1に示したエレベータ1に対応する構成であり、図2に示した位置情報マーカー3aおよび3bは図1に示した位置情報マーカー3に対応する構成である。
【0020】
なお、乗降ロビー20における位置情報マーカー30の設置は、図2に示したものに限らない。例えば、送信エリア30をユーザ50が対面するエレベータ1を特定可能な程度に狭くし、位置情報マーカー30と各エレベータ1とが1対1で対応するように、位置情報マーカー30を複数設置することができる。この場合、例えば、携帯端末10の位置に近いエレベータ1を優先的に呼び出すことなどが可能となる。
【0021】
なお、図1に示した携帯端末10は、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話機等の携帯型の端末である。携帯端末10は、コンピュータと、音声、画像等の入出力装置と、種々の通信装置とを備え、そのコンピュータで所定のアプリケーションプログラムを実行することで次の機能を実現する。すなわち、携帯端末10は、ユーザ50に係る属性を表すユーザ属性(ユーザ属性情報)を入力する機能を有する。ここで、ユーザ属性は、各ユーザのかご11の利用に係る属性であり、ユーザ50が車いす使用者であることを示す情報、または、視覚障がい者であることを示す情報の少なくとも1つを含む。あるいは、ユーザ属性は、ユーザ50が重たい物や大きな物を運搬することを示す情報、ユーザ50が健常者であることを示す情報等を含んでいてよい。また、携帯端末10は、ユーザ属性を別途存在するデータベース(本発明外)から読み込む機能を有していても良い。
【0022】
また、携帯端末10は、位置情報マーカー3が送信した位置情報を示す無線信号を受信する機能を有する。また、携帯端末10は、位置情報マーカー3が送信した位置情報を示す無線信号を受信した場合に、その位置情報が乗降ロビー20内の位置を示すか否かを判定する機能を有する。また、携帯端末10は、その位置情報が乗降ロビー20内の位置を示すと判定した場合に、ユーザ50に対してかご11を呼び出すか否か、すなわちエレベータ1を利用するか否かを確認するために所定の出力を行う機能を有する。また、携帯端末10は、ユーザ50がかご11の移動方向を任意に指定してかご11を呼び出す指示を入力する機能を有する。この呼び出し指示は、上または下の乗場ボタン2uまたは2dを押すことと同等に扱われる。ただし、呼び出し指示は、ユーザ50が希望する行き先の階や行き先の階にある目的地を示す指示であってもよい。以下では、上または下の移動方向を指定する呼び出し指示と、行き先階を指定する指示とを、まとめてユーザ要望(ユーザ要望情報)と呼ぶ。また、携帯端末10は、位置情報と、ユーザ属性と、ユーザ要望とからなる呼出情報を、無線LANアクセスポイント8および通信線9を介して行動支援装置6へ送信する機能を有する。
【0023】
次に、行動支援処理装置6は、コンピュータと通信装置とを少なくとも備える情報処理装置である。行動支援処理装置6は、携帯端末10から無線LANアクセスポイント8および通信線9を介して呼出情報を受信し、データベース7を参照することでユーザ属性に適した仕様を有するかご11を選択した後かご呼出信号を生成し、信号中継装置5を介してエレベータ制御装置4に対して生成したかご呼出信号を送信する。ここで、かご呼出信号は、例えば、携帯端末10が位置する階を示す情報と、ユーザ要望が上または下のどちらの移動方向を指示する呼び出し指示なのかを示す情報と、かご識別情報とを含む。かご識別情報は、かご11が複数ある場合に複数のかご11を個々にあるいはグループ単位で指定する情報である。ここで、図3を参照して、行動支援処理装置6が参照するデータベース7の記憶内容の一例について説明する。
【0024】
図3は、図1に示したデータベース7の構成例を説明するための説明図である。図3に示した例では、図2に示したエレベータ1a、1b、…、1c、1d、1e、…、1fのかご識別符号をa、b、…、c、d、e、…、fとして、データベース7が、各エレベータ1a、1b、…、1c、1d、1e、…、1fのかごの仕様を示す仕様情報をかご識別符号に対応付けて記憶する。この場合、仕様情報は、各かごが車いす用かご内操作部を有しているか否かを示す情報、および、各かご内の操作部が点字表示を有しているか否かを示す情報を含んでいる。ここで、車いす用かご内操作部は、車いすに座った状態で操作できる高さに設置されたものであって、行き先階を指定するボタンを有する操作盤である。また、かご内の操作部が有する点字表示は、行き先階を指定するボタンの左側に設置された階数を示す点字名板等の点字表示である。なお、仕様情報は、上記のものに限定されず、例えば、荷物運搬の際に利用可能なかごであるか否かを示す情報等を含むことができる。
【0025】
例えば、データベース7が図3に示す記憶内容を有している場合に、ユーザ属性が車いす使用者であることを示すとき、行動支援処理装置6は、車いす用かご内操作部を有しているかご識別符号aおよびdのエレベータ1aおよび1dを選択する。そして、行動支援処理装置6は、位置情報が示す階と、ユーザ要望が示す例えば上または下と、かご識別符号aおよびdからなるかご識別情報とを含むかご呼出信号を生成し、エレベータ制御装置4に対して出力する。また、データベース7が図3に示す記憶内容を有している場合に、ユーザ属性が視覚障がい者であることを示すとき、行動支援処理装置6は、例えばかご内操作部に点字表示を有しているかご識別符号a、b、dおよびeのエレベータ1a、1b、1dおよび1eを選択する。そして、行動支援処理装置6は、位置情報が示す階と、ユーザ要望が示す例えば上または下と、かご識別符号a、b、dおよびeからなるかご識別情報とを含むかご呼出信号を生成し、エレベータ制御装置4に対して出力する。また、ユーザ属性がユーザ属性が車いす使用者でも視覚障がい者でもないこと示すとき、あるいは、ユーザ属性が健常者であることを示すとき、行動支援処理装置6は、すべてのエレベータを選択するか、あるいは、エレベータを選択しないことを決定する。そして、行動支援処理装置6は、位置情報が示す階と、ユーザ要望が示す例えば上または下と、すべてのかご識別符号を含むかあるいはかご識別符号を含まない、かご呼出信号を生成し、エレベータ制御装置4に対して出力する。
【0026】
次に、エレベータ制御装置4は、コンピュータと信号入出力装置等を備え、1または複数のエレベータ1のかご11の移動や扉12の開閉を制御する装置である。エレベータ制御装置4は、乗場操作盤2の操作状態、図示していないかご11内の操作盤の操作状態、信号中継装置5を介して行動支援処理装置6が出力したかご呼出信号等に応じて、かご11の移動方向および停止位置あるいは扉12の開閉を制御する。
【0027】
また、信号中継装置5は、行動支援処理装置6が出力したかご呼出信号を通信線9を介して受信し、エレベータ制御装置4が入力可能な形式の信号に変換してエレベータ制御装置4に対して出力する。また、信号中継装置5は、エレベータ制御装置4が出力した信号を所定の形式の通信信号に変換して行動支援処理装置6に対して出力する。
【0028】
また、無線LANアクセスポイント8は、所定形式の無線信号で携帯端末10と接続し、携帯端末10と行動支援処理装置6との間で送受信される信号を中継する。なお、通信線9は、有線または無線のLAN通信線である。
【0029】
なお、図1に示したエレベータシステム100は、例えば次のように変更することができる。例えば、エレベータシステム100は、1または複数の携帯端末10を含む構成としてもよい。また、例えば、エレベータ制御装置4、信号中継装置5、行動支援処理装置6、およびデータベース7は、一部または全部を一体的に構成したり、あるいは一部の構成を各階の乗降ロビー20に分散して配置したりすることができる。また、位置情報マーカー3は、一部または全部を省略して、複数の無線LANアクセスポイント8から受信した複数の無線信号間の強度差や携帯端末10が備える加速度センサ等の出力信号を利用して携帯端末10の位置を推定する構成に変更してもよい。
【0030】
次に、図4を参照して、図1に示したエレベータシステム100の動作例について説明する。図4は、図1に示したエレベータシステム100の動作例を示すシーケンス図である。図4に示した例では、携帯端末10には、本実施形態のエレベータ呼び出し機能を有するアプリケーションプログラムが、対象とするビルの入館時等にダウンロードされ、予めインストールされているものとする。当該アプリケーションプログラムのエレベータ呼び出し機能を利用する場合、携帯端末10は、まず、ユーザ50の入力操作に応じて予めユーザ属性を入力する(S101)。ユーザ属性は、携帯端末10のタッチパネルを使用したタッチ操作等によって入力したり、携帯端末10が提供する音声認識機能を使用して音声によって入力したりすることができる。なお、当該アプリケーションプログラムは、ユーザ50が所定の操作によって起動したり、対象とするビルへ入館した場合に自動的に起動するようにしたり、位置情報マーカー3が送信した電波を受信したときに自動的に起動するようにしたりすることができる。
【0031】
携帯端末10は、例えば、位置情報マーカー3からの信号受信を一定周期で繰り返し試行し、図1に示す送信エリア30内に移動した場合、位置情報マーカー3が送信した位置情報を示す無線信号を受信する(S102〜S103)。次に、携帯端末10は、位置情報マーカー3から受信した位置情報が乗降ロビー20内の位置を示しているか否かを判定する(S104)。なお、乗降ロビー20に対応した位置情報は、例えばアプリケーションプログラム内にデータとして予め含めておいたり、図示しない位置情報データベースにアクセスして参照したりすることができる。
【0032】
位置情報が乗降ロビー20内の位置を示していていない場合(S104で「N」の場合)、携帯端末10は、新たな位置情報マーカー3からの位置情報の受信を試行する(S103)。他方、位置情報が乗降ロビー20内の位置を示していた場合(S104で「Y」の場合)、携帯端末10は、エレベータかごの呼び出し機能を利用するか否かの確認処理を行う(S105)。確認処理は、例えば、まず、かごの呼び出しを行うか否かの問い合わせを音声や画面表示で出力し、次に、それに対するユーザ50の「はい」または「いいえ」の回答を音声やタッチパネルに対する入力操作で入力することができる。また、かごの呼び出しを行うか否かの問い合わせに対して所定時間内にユーザ50からの指示や応答がなかった場合に呼び出しが不要であると判定することもできる。あるいは、S105の利用確認処理と、S108のユーザ要望を入力処理とを同時に行うこともできる。例えば、呼び出しを行わない場合の指示、上方向へ移動する場合の呼び出しの指示、または、下方向へ移動する場合の呼び出しの指示のいずれかを選択することができるように、音声や画面表示で入出力を行うことができる。
【0033】
次に、利用確認処理(S105)で利用しない旨の指示がユーザ50からなされた場合(S106で「N」の場合)、携帯端末10は、新たな位置情報マーカー3からの位置情報の受信を試行する(S103)。他方、利用確認処理(S105)で利用する指示がユーザ50からなされた場合(S106で「Y」の場合)、携帯端末10は、ユーザ要望を入力する(S107)。携帯端末10は、例えば、上方向へ移動する場合の呼び出しの指示、または、下方向へ移動する場合の呼び出しの指示のいずれかを選択することができるように、音声や画面表示で入出力を行うことができる。
【0034】
次に、携帯端末10は、S103で取得した位置情報と、S101で取得したユーザ属性と、S107で取得したユーザ要望とから呼出情報を生成し、無線LANアクセスポイント8を介して行動支援処理装置6に対して送信する(S108)。
【0035】
次に、行動支援処理装置6は、携帯端末10が送信した呼出情報を受信する(S109)。次に、行動支援処理装置6は、受信した呼出情報に基づき、データベース7を参照してユーザ属性に適した仕様を有するかご11を選択する(S110)。次に、行動支援処理装置6は、S109で受信した呼出情報と、S110で選択したかご11のかご識別情報とに基づきかご呼出信号を生成し、信号中継装置5を介してエレベータ制御装置4に対して送信する(S111)。
【0036】
次に、エレベータ制御装置4は、行動支援処理装置6が送信したかご呼出信号を受信する(S112)。エレベータ制御装置4は、受信したかご呼出信号に応じて、かご11を選択して携帯端末50が位置する階に停止させる制御を行う(S113)。次に、エレベータ制御装置4は、上乗場ボタン2uまたは下乗場ボタン2dが押下された場合と同じ点灯状態となるように乗場操作盤2を制御する(S114)。次に、乗場操作盤2は、S114のエレベータ制御装置4による制御に応じて、上乗場ボタン2uまたは下乗場ボタン2dが押下された場合と同じ点灯状態とする(S115)。
【0037】
次に、エレベータ制御装置4は、停止制御の対象のかごを特定する情報を信号中継装置5を介して行動支援処理装置6に対して通知する(S116)。次に、行動支援処理装置6は、エレベータ制御装置4から受信したかご特定情報を携帯端末10に対して転送する(S117)。次に、携帯端末10が、かご特定情報を受信し、音声や画像表示で停止制御が行われているエレベータ1を表す情報を出力する(S118)。携帯端末10は、例えば、移動制御が行われているエレベータ1の番号や符号を表示したり、エレベータ1の位置を表す案内を出力したりする。エレベータ1の位置を表す案内は、例えば、ユーザ50の乗場ロビー20への進入方向に応じて「前方20m歩いて左側のエレベータ」とか「右手前のエレベータ」とか「左奥のエレベータ」といった音声や文字による出力や、乗場ロビー20の平面図あるいは立体図に当該エレベータ1へのナビゲーション情報を示す表示等である。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザ50は、上または下の乗場ボタン2uまたは2dを押すことなく、携帯端末10を用いて、移動方向を任意に指定して適切な仕様を有するかご11を呼び出すことができる。
【0039】
なお、本発明の実施形態は上記のものに限定されない。例えば、データベース7は、車いす用かご内操作部の有無、あるいは、かご内操作部における点字表示の有無に代えて、各かご11が車いす使用者に適している否かの別、視覚障がい者に適しているか否かの別を示す情報を記憶してもよい。あるいは、データベース7は、音声認識装置を用いた行き先階等の指定を行う装置を備えているか否かを示す情報を仕様情報の1つとして記憶してもよい。この場合に、ユーザ属性は、例えば、音声認識装置を備えたかごを優先して呼び出すことをユーザが希望するか否かを示す情報を含むことができる。また、ユーザ要望として行き先階を指定する場合には、所望の階へかご11が停止し、扉12が開閉した後、行き先階の指定を受け付けた旨の音声報知を行うようにしてもよい。
【0040】
なお、上記の実施形態における次の構成は、次の構成要素の一例である。すなわち、データベース7は「記憶部」の一例である。行動支援処理装置6とエレベータ制御装置4とを組み合わせた構成が「制御部」の一例である。そして、エレベータ制御装置4において図4のS116の処理を実行する構成(コンピュータおよびプログラム)が「通知部」の一例である。
【符号の説明】
【0041】
100 エレベータシステム
1 エレベータ
2 乗場操作盤
2u 上乗場ボタン
2d 下乗場ボタン
3 位置情報マーカー
4 エレベータ制御装置
5 信号中継装置
6 行動支援処理装置
7 データベース
8 無線LANアクセスポイント
9 通信線
10 携帯端末
11 かご
図1
図2
図3
図4