特許第6611145号(P6611145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6611145三人称視点VRシステム及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6611145
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】三人称視点VRシステム及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20191118BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20191118BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20191118BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   H04N7/18 U
   G06F3/01 510
   G06Q50/10
   H04N5/222 400
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-88491(P2019-88491)
(22)【出願日】2019年5月8日
【審査請求日】2019年7月17日
(31)【優先権主張番号】特願2018-190456(P2018-190456)
(32)【優先日】2018年10月5日
(33)【優先権主張国】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 neten株式会社は、・平成30年6月29日、7月12日、8月23日の[The Xebec]ザ・ジーベック THE WARP & THE LIFE CHANGEの案内、・平成30年9月15日の[The Xebec]ザ・ジーベック THE WARP & THE LIFE CHANGEの集会、・平成30年9月26日のNI Labs Meetingの「LOGOSTRON VR Lab」、・平成30年10月1日のウェブサイト「https://www.nanasawa.com/」で公開されているnewsコーナー、・平成31年2月14日、22日のVRテクノロジー体験会、それに伴う平成31年2月20日のMPI LIVE 004のライブ配信、及び平成31年2月25日にホームページで公開されたレポート、・平成31年2月27日のneten Labs meetingにおいて、七沢賢治らが発明した「三人称視点VRシステム及びその使用方法」を公開した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518356844
【氏名又は名称】neten株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】七沢 賢治
(72)【発明者】
【氏名】七沢 智樹
【審査官】 鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2013/161662(JP,A1)
【文献】 特開2014−115457(JP,A)
【文献】 特開2018−143369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G06F 3/01
G06Q 50/10
H04N 5/222
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部に装着した使用者に映像を見せる非透過型のヘッドマウントディスプレイと、
少なくとも上記ヘッドマウントディスプレイを装着した使用者を含む動画を撮像する撮像部と、
上記撮像部で撮像した動画を上記ヘッドマウントディスプレイに送る中継部とを備えた三人称視点VRシステムの使用方法であって、
上記中継部は、有線又は無線により、上記撮像部で撮像した動画をリアルタイムで上記ヘッドマウントディスプレイに送り出し、
上記ヘッドマウントディスプレイに映し出された自分自身の映像を見ながら上記使用者が瞑想を行い、
上記使用者は、ゼロ磁場コイルと、該ゼロ磁場コイルに電気的に繋がる基板と、該ゼロ磁場コイル及び基板を覆うと共に該基板に電気的に繋がる金属製筐体とを有する特定周波数発生装置を握った状態で瞑想を行う
ことを特徴とする三人称視点VRシステムの使用方法。
【請求項2】
頭部に装着した被施術者に映像を見せる非透過型のヘッドマウントディスプレイと、
少なくとも上記ヘッドマウントディスプレイを装着した被施術者を含む動画を撮像する撮像部と、
上記撮像部で撮像した動画を上記ヘッドマウントディスプレイに送る中継部とを備えた三人称視点VRシステムであって、
上記中継部は、有線又は無線により、上記撮像部で撮像された施術中の上記被施術者の動画をリアルタイムで上記ヘッドマウントディスプレイに送り出すように構成されていることを特徴とする三人称視点VRシステム。
【請求項3】
頭部に装着した使用者に映像を見せる非透過型のヘッドマウントディスプレイと、
少なくとも上記ヘッドマウントディスプレイを装着した使用者を含む動画を撮像する撮像部と、
上記撮像部で撮像した動画を上記ヘッドマウントディスプレイに送る中継部とを備えた三人称視点VRシステムの使用方法であって、
複数の障害物、上記撮像部及び上記中継部が配置された部屋を準備し、
上記中継部は、インターネット回線等の通信回線を利用して上記撮像部で撮像した動画をリアルタイムで上記ヘッドマウントディスプレイに送り出し、
上記撮像部で上記部屋内を撮像した状態で、上記ヘッドマウントディスプレイを装着した少なくとも一人の使用者が該ヘッドマウントディスプレイに映し出された自分自身の映像を見ながら上記部屋のスタート地点からゴール地点まで移動する
ことを特徴とする三人称視点VRシステムの使用方法。
【請求項4】
頭部に装着した使用者に映像を見せる非透過型のヘッドマウントディスプレイと、
少なくとも上記ヘッドマウントディスプレイを装着した使用者を含む動画を撮像する撮像部と、
上記撮像部で撮像した動画を上記ヘッドマウントディスプレイに送る中継部とを備えた三人称視点VRシステムの使用方法であって、
上記撮像部及び上記中継部が配置された部屋を準備し、
上記中継部は、インターネット回線等の通信回線を利用して上記撮像部で撮像した動画をリアルタイムで上記ヘッドマウントディスプレイに送り出し、
上記撮像部で上記部屋内を撮像した状態で、上記ヘッドマウントディスプレイを装着した複数の使用者が該ヘッドマウントディスプレイに映し出された自分自身の映像を見た状態でコミュニケーションを取りながら協働で同じ作業を行う
ことを特徴とする三人称視点VRシステムの使用方法。
【請求項5】
第1VR動画を撮像可能な第1カメラと、該第1VR動画を送信する第1通信部を有すると共に、頭部に装着した第1使用者に受信した映像を見せる非透過型の第1ヘッドマウントディスプレイと、
第2VR動画を撮像可能な第2カメラと、該第2VR動画を送信する通信部を有すると共に、頭部に装着した第2使用者に受信した映像を見せる非透過型の第2ヘッドマウントディスプレイとを準備し、
上記第2VR動画を中継部を介して第1ヘッドマウントディスプレイに表示する共に、上記第1VR動画を上記中継部を介して第2ヘッドマウントディスプレイに表示した状態で、
上記第1ヘッドマウントディスプレイを装着した上記第1使用者と、上記第2ヘッドマウントディスプレイを装着した上記第2使用者とが互いにコミュニケーションを取りながら、すなわち、上記第1使用者は、上記第2使用者の指示で上記第1カメラでVR動画を撮像しながら、該第2使用者が撮像されるようにし、又は、上記第2使用者は、上記第1使用者の指示で上記第2カメラでVR動画を撮像しながら、該第1使用者が撮像されるようにしながら、提示された共通の課題を行う
ことを特徴とする三人称視点VRシステムの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VR(Virtual Reality)技術を用いて自分自身を他者の視点で見る三人称視点VRシステム及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、VRゲーム向けのヘッドマウントディスプレイ(HMD)が発売されるようになり、VR技術は、様々な分野に応用されている。
【0003】
例えば、特許文献1のように、仮想空間に配置されたオブジェクトを、仮想視点から観察したゲーム画像を表示するゲームシステムが知られている。
【0004】
また一方で、例えば特許文献2のように、医療の現場において治療等を受ける患者に対して映像及び音声を再生し、プレパレーションに有効な種々のコンテンツ及び擬似体験を提供しつつ効率的な治療等を可能とする医療用VRプレパレーションツールが知られている。
【0005】
さらに、特許文献3のように、表示部に第1の撮像部が撮像するユーザ視点の第1の画像を表示する制御、又は表示部を透過する制御を行う第1の表示制御モードと、ユーザの後方に設けられた第2の撮像部が撮像する、ユーザの後頭部、頭頂部、及び背中のうち少なくともいずれかを画角に含む第2の画像を表示部に表示する制御を行う第2の表示制御モードとを有する表示制御部を有する情報処理装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6395098号公報
【特許文献2】特開2017−189591号公報
【特許文献3】特許第6094190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のVR技術では、仮想空間における自分を表すキャラクターを操作したり、予め用意したコンテンツを利用した擬似体験を行ったりすることはあるが、自分自身を第三者の視点で観察することは、あまり一般的に行われていない。
【0008】
また、自分自身を自分の目で見たり、鏡を介して自分自身を見たり、録画した映像を介して自分自身を見ても、感じられるものには限界がある。
【0009】
一方、特許文献3では、透過型のヘッドマウントディスプレイを用いた状態では、自分の目で見る映像がかなりの割合で含まれるので、実際には体外離脱視点(三人称視点)を感じることは難しい。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、三人称視点VRを容易に体験できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ところで、バーチャルリアリティの「バーチャル」は、仮想、虚構又は擬似と訳されることが多い。一方、バーチャル(Virtual)とは、The American HeritageDictionary によれば、「Existing in essenceor effect thoughnot in actual fact or form」と定義されている。つまり、「みかけや形は原物そのものではないが、本質的あるいは効果としては現実であり原物であること」であると理解できる。実質的な現実は、ヘッドマウントディスプレイがなくても、何のコンピュータ技術がなくても、そのまま意識の中に存在する。なぜなら、意識がそもそもVR(実質的な現実)を処理する機構だからである。「VR」という言葉は、この「実質的な現実」という意味と、「VRを感じさせる技術」の両方で、混同されて使われているので、本明細書では、前者を単にVRとし、後者をVR技術(AR技術、MR技術等)という。
【0012】
上記の目的を達成するために、第1の発明では、頭部に装着した使用者に映像を見せる非透過型のヘッドマウントディスプレイと、
少なくとも上記ヘッドマウントディスプレイを装着した使用者を含む動画を撮像する撮像部と、
上記撮像部で撮像した動画を上記ヘッドマウントディスプレイに送る中継部とを備えた三人称視点VRシステムの使用方法を対象とする。
【0013】
そして、上記中継部は、インターネット回線等の通信回線を利用して上記撮像部で撮像した動画をリアルタイムで上記ヘッドマウントディスプレイに送り出し、
上記ヘッドマウントディスプレイに映し出された自分自身の映像を見ながら上記使用者がアクティビティを行う構成とする。
【0014】
すなわち、人間は、自分自身の目による視覚情報をもとに自分自身の体を感じながら自分自身を動かすことに慣れているが、上記の構成によると、非透過型のヘッドマウントディスプレイを装着しているので、自分自身の目を通してではなく、インターネット回線等の通信回線を介して中継される撮像部からの映像に基づいて自分自身の体を見て動かすことになる。撮像部(他者)の視点で自分自身を見ると、自分の目で見た自分や、鏡で見た自分とは異なって見える。また、他者の視点で自分自身を動かすことで、画面上のキャラクターを動かすのではなく、自分自身を動かすことに新鮮な感覚を味わえる。
【0015】
ここで、「インターネット回線等の通信回線」とは、インターネット回線、無線LAN回線、無線通信等をいう。特に、インターネットを介して中継することで、例えば、ヘッドマウントディスプレイにスマートフォンを内蔵させるような場合のように、ヘッドマウントディスプレイそのものに通信機能を持たせることでライブ中継が可能である。また、ヘッドマウントディスプレイの台数が増えてもインターネット中継を用いる場合には、無線LANの場合に比べて、通信状態が悪化するようなことはない。さらに、インターネット中継による多少の時間差によってアクティビティを行う上で普段とは異なる感覚を味わえる。なお、「リアルタイムで」とは、通信等による時間差を含む意味である。
【0016】
第2の発明では、第1の発明において、
上記撮像部は、複数設けられ、スイッチング機能により複数の撮像部のうちいずれかの撮像部による動画を上記ヘッドマウントディスプレイに映し出すように切り換える構成とする。
【0017】
上記の構成によると、広範囲の撮影が可能となり、より充実したアクティビティを楽しむことができる。
【0018】
第3の発明では、上記三人称視点VRシステムの使用方法を対象とし、
上記中継部は、有線又は無線により、上記撮像部で撮像した動画をリアルタイムで上記ヘッドマウントディスプレイに送り出し、
上記ヘッドマウントディスプレイに映し出された自分自身の映像を見ながら上記使用者が瞑想を行う構成とする。
【0019】
上記の構成によると、非透過型のヘッドマウントディスプレイを用いたVR技術特有の没頭感を利用しつつ、自分自身の姿を見ながら瞑想を行うことで、さらなる瞑想の効果が得られる。すなわち、自分自身を他者の視点で見ることで、他者の視点でものを見ることができ、他者理解を深めることで、瞑想の効果が格段に向上する。さらに、ヘッドマウントディスプレイを外したときに、それまで見ていた映像との違いを体感することで、普段見ている映像とのズレを理解することができる。
【0020】
第4の発明では、第3の発明において、
上記使用者は、ゼロ磁場コイルと、該ゼロ磁場コイルに電気的に繋がる基板と、該ゼロ磁場コイル及び基板を覆うと共に該基板に電気的に繋がる金属製筐体とを有する特定周波数発生装置を握った状態で瞑想を行う構成とする。
【0021】
上記の構成によると、上記使用者が内部の基板と繋がった金属製筐体と肌で触れることにより、身体の情報が電気の流れを通して筐体内のゼロ磁場コイルに送り込まれ、情報のゼロ化(アース)が起こるので、さらに効果的に瞑想を行える。
【0022】
第5の発明では、頭部に装着した被施術者に映像を見せる非透過型のヘッドマウントディスプレイと、
少なくとも上記ヘッドマウントディスプレイを装着した被施術者を含む動画を撮像する撮像部と、
上記撮像部で撮像した動画を上記ヘッドマウントディスプレイに送る中継部とを備えた三人称視点VRシステムを対象とする。
【0023】
そして、上記中継部は、有線又は無線により、上記撮像部で撮像された施術中の上記被施術者の動画をリアルタイムで上記ヘッドマウントディスプレイに送り出すように構成されている。
【0024】
すなわち、鍼治療、鍼灸治療、整体などで背中を施術してもらっているときに、被施術者は、うつぶせ等の姿勢になってその施術の様子を見ることができない。しかし、上記の構成によると、うつぶせ等になった状態でも、自分の背中に対する施術の様子を施術者の視点で見ることができる。これにより、被施術者は、自分の体のどこが悪いかを理解することができ、そのことで施術の効果が格段に向上する。
【0025】
第6の発明では、第1の発明において、
複数の障害物、上記撮像部及び上記中継部が配置された部屋を準備し、
上記撮像部で上記部屋内を撮像した状態で、上記ヘッドマウントディスプレイを装着した少なくとも一人の使用者が該ヘッドマウントディスプレイに映し出された自分自身の映像を見ながら上記部屋のスタート地点からゴール地点まで移動する。
【0026】
上記の構成によると、スタート時点からゴール時点に移動するために、ヘッドマウントディスプレイを装着しないときの普段の視覚に頼るのではなく、撮像部からの映像に頼ることで、普段と異なる新鮮な感覚を味わえると共に、三人称視点を容易に体験できる。
【0027】
第7の発明では、第1の発明において、
上記撮像部及び上記中継部が配置された部屋を準備し、
上記撮像部で上記部屋内を撮像した状態で、上記ヘッドマウントディスプレイを装着した複数の使用者が該ヘッドマウントディスプレイに映し出された自分自身の映像を見た状態でコミュニケーションを取りながら協働で同じ作業を行う。
【0028】
上記の構成によると、撮像部の映像を頼りに、部屋全体における自分自身や他者の位置を確認しながら、コミュニケーションを取って協働で、例えば物を手渡す、手を繋いで輪になる、汽車のように連なって移動するなどの、主催者などから指定された同じ作業を行うことにより、コミュニケーションにおける客観的な視点を獲得できる。
【0029】
第8の発明では、
第1VR動画を撮像可能な第1カメラと、該第1VR動画を送信する第1通信部を有すると共に、頭部に装着した第1使用者に受信した映像を見せる非透過型の第1ヘッドマウントディスプレイと、
第2VR動画を撮像可能な第2カメラと、該第2VR動画を送信する通信部を有すると共に、頭部に装着した第2使用者に受信した映像を見せる非透過型の第2ヘッドマウントディスプレイとを準備し、
上記第2VR動画を中継部を介して第1ヘッドマウントディスプレイに表示する共に、上記第1VR動画を上記中継部を介して第2ヘッドマウントディスプレイに表示した状態で、
上記第1ヘッドマウントディスプレイを装着した上記第1使用者と、上記第2ヘッドマウントディスプレイを装着した上記第2使用者とが互いにコミュニケーションを取りながら、提示された共通の課題を行う。
【0030】
ここで、共通の課題とは、主催者等が指示した、互いに握手する、地面に置いたペットボトルを一方の使用者が他方の使用者の指示で手に取る、など自分の目では簡単な作業を「他者の視点のみで行動しなければならない状況」で行う。上記の構成によると、視界以外の五感は正常なままで「視界のみが反転される状態」となり、意識に混乱が起きる。この意識の混乱状態から他人の視点を見出し、受け入れ、三人称視点に基づいて行動するというプロセスが三人称視点の獲得に有効に作用する。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、三人称視点VRシステムを使用することにより、三人称視点VRを容易に体験できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施形態1に係る三人称視点VRシステムの概要を示す平面図である。
図2】コミュニケーションプラットフォームを説明するための概要図である。
図3】本発明の実施形態2に係る三人称視点VRシステムを用いた瞑想方法を示す概要図である。
図4】本発明の実施形態3に係る三人称視点VRシステムを用いて被施術者を施術する様子を示す概要図である。
図5】本発明の実施形態4に係る三人称視点VRシステムを用いて輪になるアクティビティを行う様子を示す概要図である。
図6】本発明の実施形態4に係る三人称視点VRシステムを用いて輪をくぐるアクティビティを行う様子を示す概要図である。
図7】本発明の実施形態4に係る三人称視点VRシステムを用いて汽車状に連結するアクティビティを行う様子を示す概要図である。
図8】本発明の実施形態4に係る三人称視点VRシステムを用いたアクティビティにおいて、汽車状に連結された状態を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0034】
(実施形態1)
−三人称視点VRシステムの構成−
図1は本発明の実施形態1の三人称視点VRシステム1を用いたアクティビティを行うための会場を示す平面図である。
【0035】
例えば、会場としてドア2で閉じられた部屋3を用意する。この部屋3内には、他にアクティビティを行う、複数の他者4a,4b,…がいる。空間内には、仕切り5a、机5b、椅子5c、飾り物5dなどを適宜配置する。
【0036】
使用者10や他者4a,4b,…は、ヘッドマウントディスプレイ11を頭部に装着する。詳しくは図示しないが、ヘッドマウントディスプレイ11は、少なくとも通信機能、表示部、バッテリ、ゴーグル本体等を有し、ゴーグル本体は、カバーで覆われており、外界と遮断されている非透過型(没入型)のものであることが望ましい。本実施形態では、例えば、インターネットに接続可能で表示部を有するスマートフォンがゴーグル本体に内蔵されたものを想定する。スマートフォンは、インターネット回線を利用してライブ中継を受信した状態とし、ゴーグル本体には、このスマートフォンの表示部を近距離で立体的に見れるようにレンズユニットが設けられている。
【0037】
部屋3内には、撮像部としてのカメラ12が配置されている。カメラ12は、少なくともヘッドマウントディスプレイ11を装着した使用者10を含む動画を撮像可能であり、例えば、360°の立体動画を撮影可能なVRカメラが望ましい。カメラ12は部屋3全体が映る場所に1台設けてもよいし、異なる箇所に複数台設けてもよい。
【0038】
カメラ12には、例えば、中継部としてのPC13が接続されている。カメラ12とPC13との間の通信は有線でも無線でもよい。PC13は、中継部としてのインターネットに接続されており、カメラ12で撮影された動画は、インターネットライブ中継に送信される。
【0039】
そして、ヘッドマウントディスプレイ11の一部を構成するスマートフォンがインターネットライブ中継を受信することにより、使用者10は、カメラ12で撮像した動画(3D動画)をリアルタイムで見ることができるようになっている。使用者10は、ヘッドマウントディスプレイ11が装着された頭の向きを変えると、カメラ12で撮像した3D動画を好みの方向から見ることができるようになっている。
【0040】
−三人称視点VRシステムの使用方法−
次に、本実施形態に係る三人称視点VRシステム1の使用方法について説明する。
【0041】
まず、会場設定者は、参加者が知らない部屋3を設定する。例えば、迷路のように部屋3を設定してもよい。そして、なるべく、その空間にある程度の他者4a,4b,…がいるようにする。
【0042】
また、カメラ12を起動し、部屋3内を撮影する。少なくともカメラ12が1台あれば、部屋3内を360°撮影できる。場合によって、設定者側で図1にA〜Dで示すように、カメラ12の向きを変えたり、カメラ12の位置を変えたりしてもよい。
【0043】
そして、PC13は、インターネット回線を利用してカメラ12で撮像した動画をインターネットライブ中継に送信する。
【0044】
使用者10は、インターネットライブ中継を受信できるように設定したヘッドマウントディスプレイ11を頭部に装着し、ドア2から部屋3内に入る。使用者10は、ヘッドマウントディスプレイ11の映像に集中し、ヘッドマウントディスプレイ11を外して下方などから自分の目を通して直接部屋3や自分自身を見たり、周りを触ったりしないようにして、ヘッドマウントディスプレイ11に映し出された自分自身の映像等を見ながら部屋3内をスタート時点からゴール時点まで移動する。
【0045】
このとき、他者4a,4b,…も同様にアクティビティを行う。
【0046】
−三人称視点VRシステムの作用効果−
以上説明したように、人間は、自分自身の目による視覚情報をもとに自分自身の体を感じながら自分自身を動かすことに慣れている。
【0047】
しかし、本実施形態では、自分自身の目を通してではなく、インターネットを介して中継されるカメラ12からの映像に基づいて自分自身の体を見て動かすことになる。
【0048】
カメラ12(他者)の視点で自分自身を見ると、自分の目で見た自分や、鏡で見た自分とは異なって見える。また、他者の視点で自分自身を動かすことにより、画面上のキャラクターを動かすのではなく、自分自身を動かすことに対して新鮮な感覚を味わえる。
【0049】
図2に示すように、Communication Platform(コミュニケーションプラットフォーム)は、他者とのコミュニケーションを前提として、自己意識を4つの階層からなる5つの領域、すなわち、超越自己、理想自己、主体自己、客体自己(複数)、自己内他者(複数)で説明する自己意識モデルである。この自己意識モデルを使って、自己の意識状態を自分自身の言葉で表現することで、自己理解が飛躍的に深まる。
【0050】
自己意識の概要を、コミュニケーションプラットフォームを通して認知したとき、自己意識の変容が始まる。自己意識の変化は、他者理解の変化へと繋がり、スパイラルな意識変化の循環が形成される。コミュニケーションプラットフォームは変容する自己意識、言い換えれば自己意識の進化を支援する機能を持っている。
【0051】
そこで、本実施形態では、第1段階として、撮像された映像を見る場合を考える。これは、他人の視点から自分以外のものを見る行為である。
【0052】
第2段階として、本実施形態のように、三人称視点VRシステム1を使用して三人称視点で自分自身を含む動画を見る。
【0053】
第3段階として、三人称視点VRシステム1によって三人称視点で自分自身を認識する。
【0054】
第4段階で、複数の他者の中にいる自分を三人称視点で見る。
【0055】
第5段階として、ヘッドマウントディスプレイ11を外したときの自分の目で見た映像と、三人称視点VRシステム1で見た映像との違いを認識し、ヘッドマウントディスプレイ11を外した状態でも三人称視点で自分自身を認識できるようになる。これにより、自己意識を進化させることができる。
【0056】
そして、本実施形態では、ヘッドマウントディスプレイ11の台数が増えても、インターネット中継を用いているので、無線LANを用いる場合のように通信状態が悪化するようなことはない。さらに、インターネット中継による多少の時間差により、アクティビティを行う上で普段とは異なる感覚を味わえる。
【0057】
なお、カメラ12を複数設け、スイッチング機能により複数のカメラ12のうちいずれかのカメラ12による動画をヘッドマウントディスプレイ11に映し出すように切り換えるようにしてもよい。このようにすれば、広範囲の撮影が可能となり、より充実したアクティビティを楽しむことができる。
【0058】
したがって、本実施形態に係る三人称視点VRシステム1によると、三人称視点VRを容易に体験することができ、普段と異なる新鮮な感覚を味わえる。
【0059】
(実施形態2)
図3は本発明の実施形態2に係る三人称視点VRシステム101を示し、使用者110が座禅等を行った静止した状態で三人称視点VRシステム101を使用する点で上記実施形態1と異なる。なお、以下の各実施形態では、図1及び図2と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0060】
本実施形態の三人称視点VRシステム101の使用方法では、使用者110が瞑想時にヘッドマウントディスプレイ11を利用する。
【0061】
カメラ12は、瞑想を行う部屋に配置する。鏡を前に、前方の自分を客観視しながら瞑想するといった方法は存在するが、特に後方(背中側)に配置することで普段目にすることができない後方の自分を見ながら瞑想を行うことができる。カメラ12を複数台設けて動画を切り換えるようにしてもよい。瞑想は一人で行ってもよいし、同じ部屋で複数の他者と同時に瞑想を行ってもよい。
【0062】
中継部113は、有線又は無線により、カメラ12で撮像した動画をリアルタイムでヘッドマウントディスプレイ11に送り出す。この場合は、実施形態1のようにインターネットライブ中継を介することなく中継部113によってカメラ12の動画をヘッドマウントディスプレイ11にリアルタイムで送信してもよい。無線としては、公知の無線LANを用いれば時間差なく映像を見ることができる。
【0063】
このような状態で、使用者110は、ヘッドマウントディスプレイ11に映し出された自分自身の映像を見ながら瞑想を行う。これにより、単に自分自身の姿勢のチェックをできるだけでなく、非透過型のヘッドマウントディスプレイ11を用いたVR技術特有の没頭感を利用しつつ、自分自身の姿を見ながら瞑想を行うことによる、さらなる瞑想の効果が得られる。すなわち、自分自身を他者の視点で見ることで、他者の視点でものを見ることができ、他者理解を深めることで、瞑想の効果が格段に向上する。さらに、ヘッドマウントディスプレイ11を外したときに、それまで見ていた映像との違いを体感することで、普段見ている映像とのズレを理解することができる。
【0064】
また、例えば、特定周波数発生装置116を手に握った状態で、この特定周波数発生装置116から言語周波数をもとにした疎密波よりなる特定低周波数を高速で発信させながら三人称視点VRシステム101を使用すると、さらに効果が得られる。例えば、この「特定低周波数」の基本周波数は、例えば、6〜50Hzの疎密波よりなり、特定周波数発生装置116では、これを例えば約1400倍の高速で、平均35kHzの周波数レンジで発信している。この速度は特に1400倍に限定されないが、発信速度が高くなると、発信情報量が増えて有利である。また、この特定低周波数を幾重にも重ねた音楽を聴きながら、瞑想を行ってもよい。図3に示すような、手に握るタイプの特定周波数発生装置116を握ることで、内部の基板116aと繋がったチタンなどの金属製筐体116bに肌が触れ、身体の情報が電気の流れを通して金属製筐体116b内のゼロ磁場コイル116cに送り込まれ、情報のゼロ化(アース)が起こる。これにより、さらに効果的に瞑想を行える。なお、特定周波数発生装置116は、電磁波除去装置であるプラグインアースを接続した状態で使用してもよく、そうすればさらなるアース効果が発揮される。
【0065】
したがって、本実施形態に係る三人称視点VRシステム101においても、三人称視点VRを容易に体験でき、極めて効果的な瞑想を行える。
【0066】
(実施形態3)
図4は本発明の実施形態3に係る三人称視点VRシステム201を示し、主として使用する目的が異なる点で実施形態2と異なる。
【0067】
本実施形態では、鍼治療、鍼灸治療、整体などで背中を施術してもらっている被施術者210がヘッドマウントディスプレイ11を装着した状態で施術用ベッド215にうつぶせになる。例えば、施術用ベッド215の頭部に図示しない大きめの開口部があると、ヘッドマウントディスプレイ11が邪魔をせずにうつぶせの姿勢を楽にとることができる。なお、被施術者210は座位や立位で施術を受けてもよい。
【0068】
そして、カメラ12を施術用ベッド215の周辺の壁などに設置しておく。このカメラ12により、ヘッドマウントディスプレイ11を装着した被施術者210を含む動画を撮像する。
【0069】
このカメラ12で撮像した動画は、中継部213によって中継されてヘッドマウントディスプレイ11にリアルタイムに送信される。中継部213は、カメラ12に含まれていてもよいし、ヘッドマウントディスプレイ11自身が備えていてもよい。中継方法は、無線でもよいし、動きが少ないことから有線でもよい。無線としては、公知の無線LANを用いれば、時間差なしで映像を見ることができる。
【0070】
本実施形態においても、上記実施形態2のように、手に特定周波数発生装置116を握った状態で施術を受けてもよいし、施術用ベッド215の周辺に特定低周波数を高速で発生させる特定周波数発生装置216を置いて特定低周波数を発生させた状態で施術を受けてもよい。こうすれば、心が落ち着いた状態で施術を受けることができ、施術効果が向上する。また、施術者214も心が落ち着いた状態で施術に集中できる。
【0071】
このように、鍼治療、鍼灸治療などで背中を施術してもらっているときには、被施術者210は、うつぶせ等の姿勢になってその施術の様子を見ることができない。
【0072】
しかし、本実施形態では、うつぶせ等になった状態で、自分の背中に対する施術の様子を施術者214の視点で見ることができる。
【0073】
これにより、被施術者210は、自分の体のどこをどのように治療されているのかを理解することができ、そのことで施術の効果が格段に向上する。
【0074】
また、鍼治療、整体などの施術技術を有する被施術者210であれば、実施形態2のような姿勢で自分の手の届かない背中を見ながら、調子の悪いところを自分で施術をするイメージを行って擬似的な施術をすることにより、実際に施術を受けたような効果を得ることもできる。
【0075】
したがって、本実施形態に係る三人称視点VRシステム201においても、三人称視点VRを容易に体験でき、極めて効果的に施術を行うことができる。
【0076】
(実施形態4)
図5図8は本発明の実施形態4に係る三人称視点VRシステム301を使用したアクティビティを行う様子を示す。本実施形態の三人称視点VRシステム301も、上記実施形態1と同様に、部屋303に設置した360°視点中継カメラ(カメラ12)を用い、このカメラ12が中継部313に接続されている。中継部313の構成は、上記実施形態1と同様でよく、インターネット回線を用いても、LAN回線を用いてもよい。
【0077】
本実施形態では、非透過型のヘッドマウントディスプレイ11を装着した複数の使用者が協働で1つのアクティビティを行う点で、上記各実施形態とは異なる。
【0078】
具体的には、複数のヘッドマウントディスプレイ11を装着した使用者310たちのいる部屋303に置いてある360°視点中継カメラ(カメラ12)の映像を、使用者それぞれがヘッドマウントディスプレイ11を通して見る。この共有している同じ視点とは、例えば、チームとして誰かと動くときの、チームのリーダーの視点といえる。例えば、会社であれば社長の視点であり、スポーツであれば監督の視点である。その共有された視点で、同じ目的に向かって、1つのことをチーム全体を動かして集団で成し遂げるアクティビティとなる。
【0079】
具体的なアクティビティは、主催者等からその都度指定されるが、例えば、ヘッドマウントディスプレイ11に映し出される映像を頼りに、図5に示すように、全員で手を繋いで1つの輪になる試みがある。没入型のヘッドマウントディスプレイ11を装着しているので、自己の位置、他者の位置を自己の視点ではなく、カメラ12の視点から確認しながら手探りで行っている様子が分かる。
【0080】
また、図6に示すように、背中合わせで輪になった後、その状態で特定の二人の間をくぐるアクティビティがある。図示されない位置に置いたカメラ12からの視点で自己の位置、他者の位置を確認しながら行う必要があり、他者とコミュニケーションを取りながら移動しないと、行うことができない。
【0081】
さらに、図7に示すように、移動する中継カメラの映像を俯瞰的に見ながら、全員で汽車のように連結していくことを試みるアクティビティがある。カメラ12を持つアクティビティ主催者302がカメラ12を持って移動する。最終的に、図8に示すように、このアクティビティ主催者302に参加者全員が連なることを目指す。最初は、自分自身がカメラ12に対してどの位置にいるのか、他者に対してどの位置にいるのかを把握するのに時間がかかる。
【0082】
このように、各使用者310は、非透過型(没入型)のヘッドマウントディスプレイ11を装着しているので、自己の視点から自分に位置等を確認することができず、カメラ12で映し出された共通の3D映像から各アクティビティを行う必要がある。普段の生活では、主に視覚に頼って行動するので、このアクティビティを行う場合には、使用者310同士でコミュニケーションを取りながら協力して1つのことをなす必要がある。カメラ12の映像を頼りに、部屋303全体における自分自身の位置、他者の位置を客観視しないと、全く行動ができない。また、タイムラグがある場合には、コミュニケーションの必要性がさらにアップする。コミュニケーションを行うことで、心が通じ合う、という現象が起こる。
【0083】
本実施形態では、自己と他者とで共通する「三人称視点」を設定し、この三人称視点を共有しながら、集団で1つの目標を達成する。その集団としての姿は、まさに家族であり、あるいは仕事におけるチームそのものといえる。
【0084】
このアクティビティにより、「自我」「私」という存在への客観視が生まれる。つまり、「三人称視点」という客観的視点である。また、共通の視点を見てアクティビティを行うため、自己と他者、又は集団の間に「共通の視点がある」という確信を持つことができる。これによって、コミュニケーションにおける重要な客観的視点を獲得することができる。
【0085】
このようなアクティビティを企業研修で行えば、集団で自己の視点を離れたコミュニケーションスキルを短時間で習得できる。また、他者との共同作業を行う中で、自分が正しいという思い込みを外すためのトレーニングが行える。
【0086】
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0087】
すなわち、実施形態では、ヘッドマウントディスプレイ11にスマートフォンを装着した場合について説明したが、ヘッドマウントディスプレイ11そのものが通信機能を有していてもよく、また、中継部13,113,213,313がカメラ12やヘッドマウントディスプレイ11に設けられていてもよい。
【0088】
上記実施形態1において、インターネット回線を利用して中継を行う方法を示したが、実施形態2及び3のような無線LAN回線を用いてもよいし、場合によっては有線通信を用いてもよい。また、上記実施形態1及び4において、部屋3に特定周波数発生装置216を置いて特定低周波数を発生させた状態でアクティビティを行ってもよいし、使用者10が特定周波数発生装置116を手に握ったり、首にかけたりした状態でアクティビティを行ってもよい。これにより、アクティビティを楽しめるだけでなく、自己意識の進化もさらに期待できるようになる。
【0089】
また、上記実施形態1〜4の三人称視点VRシステムは、これらの実施形態以外のアクティビティ、スポーツ、演劇等にも応用可能である。要するに自分自身の体の動きを他者の視点で把握することで、これらのアクティビティ等における動きの改善等も効果的に行える。
【0090】
本発明の応用として、以下のような実施形態も考えられる。この場合は、カメラ12ではなく、それぞれの使用者が装着したヘッドマウントディスプレイのカメラを用いる。これにより、「他者の視点(三人称視点)のみで行動しなければならない状況」を簡単に作り出せる。
【0091】
具体的には、第1VR動画を撮像可能な第1カメラと、該第1VR動画を送信する第1通信部を有すると共に、頭部に装着した第1使用者に受信した映像を見せる非透過型の第1ヘッドマウントディスプレイと、第2VR動画を撮像可能な第2カメラと、該第2VR動画を送信する通信部を有すると共に、頭部に装着した第2使用者に受信した映像を見せる非透過型の第2ヘッドマウントディスプレイとを準備し、上記第2VR動画を中継部を介して第1ヘッドマウントディスプレイに表示する共に、上記第1VR動画を上記中継部を介して第2ヘッドマウントディスプレイに表示した状態で、上記第1ヘッドマウントディスプレイを装着した上記第1使用者と、上記第2ヘッドマウントディスプレイを装着した上記第2使用者とが互いにコミュニケーションを取りながら、提示された共通の課題を行う三人称視点VRシステムの使用方法である。
【0092】
ここで、共通の課題とは、主催者等が指示した、互いに握手する、地面に置いたペットボトルを一方の使用者が他方の使用者の指示で手に取る、など自分の目では簡単な作業を「他者の視点のみで行動しなければならない状況」で行う。
【0093】
そして、上記三人称視点VRシステムの使用方法において、上記第1ヘッドマウントディスプレイに、上記第1カメラを有すると共に、上記中継部と通信可能な第1携帯端末機を装着し、上記第2ヘッドマウントディスプレイに、上記第2カメラを有すると共に、上記中継部と通信可能な第2携帯端末機を装着し、上記第1使用者は、上記第2使用者の指示で上記第1カメラでVR動画を撮像しながら、該第2使用者が撮像されるようにし、又は、上記第2使用者は、上記第1使用者の指示で上記第2カメラでVR動画を撮像しながら、該第1使用者が撮像されるようにしながら、上記共通の課題を行う。
【0094】
この場合、携帯端末機は、例えば、通信可能なスマートフォンであり、そのビデオ通話アプリを使用することができる。具体的な手順は、まず、スマートフォンを2台用意し、ビデオ通話アプリで2台のスマートフォンをビデオ通話可能な状態にし、スマートフォンの背面カメラ(自分が映らない側)に切り換え、ハウリング防止のために消音モードに切り換え、ヘッドマウントディスプレイにスマートフォンをセットし、ヘッドマウントディスプレイを被ってペアとなるスマートフォンの視点であることを確認する。この後、主催者等の指示で二人で共通の課題を行う。
【0095】
このような状況でペアになってアクティビティを行うことで、でこぼこペアになったり、逆に連携の取れたペアになったり、普段仕事で一緒になっているペアと行うと、仕事で起きているコミュニケーションエラーが出るなど、仕事における人間関係の回路の最適化に役立つことが分かる。
【0096】
この使用方法は、第1VR動画を撮像可能な第1カメラと、該第1VR動画を送信する第1通信部を有すると共に、頭部に装着した第1使用者に受信した映像を見せるように制御する第1コンピュータを有する非透過型の第1ヘッドマウントディスプレイと、第2VR動画を撮像可能な第2カメラと、該第2VR動画を送信する通信部を有すると共に、頭部に装着した第2使用者に受信した映像を見せるように制御する第1コンピュータを有する非透過型の第2ヘッドマウントディスプレイと、上記第1ヘッドマウントディスプレイ及び第2ヘッドマウントディスプレイと通信可能な中継部とを有する三人称視点VRシステムを制御するプログラムで行うことができる。
【0097】
このプログラムは、上記第1コンピュータに、上記第1VR動画を上記第1カメラによって撮像させ、該第1VR動画を上記中継部に送信し、上記第2VR動画を該中継部を介して受信すると共に、上記第1ヘッドマウントディスプレイにリアルタイムに表示させる共に、上記第2コンピュータに、上記第2VR動画を上記第2カメラによって撮像させ、該第2VR動画を上記中継部に送信し、上記第1VR動画を該中継部を介して受信すると共に、上記第2ヘッドマウントディスプレイにリアルタイムに表示させるものである。
【0098】
この場合、まず、スマートフォンを2台用意し、上記プログラムを含む視点交換アプリを立ち上げ2台のスマートフォンを接続し、各ヘッドマウントディスプレイにスマートフォンをセットし、ヘッドマウントディスプレイを被ってペアとなるスマホの視点であることを確認した上で、主催者等の指示で共通の課題を行う。
【0099】
このアプリは一対一だけではなく、複数人数でも視点交換が可能である。例えば5人で行う場合、5人の中の誰かの視点を持っているという状態を作り、それが誰の視点なのか当てるといったアクティビティが可能になる。また、その視点をボタン1つでランダムに切り換えることで、より複数の視点の、他者の視点を認識することができるようになる。
【0100】
このように、各使用者がスマートフォンで専用の視点交換VRアプリを立ち上げ、それぞれのヘッドマウントディスプレイにセットするだけで簡単に相手の視点と私の視点を入れ替える、完全に他者の視点のみを見て行動しなければならない状態を作り出すことができる。視界以外の五感は正常なままで「視界のみが反転される状態」となり、意識に混乱が起きる。この意識の混乱状態から他者の視点を見出し、受け入れ、他者視点に基づいて行動するというプロセスが「他者視点」(すなわち、三人称視点)の獲得に有効に作用する。
【0101】
このアクティビティでは、他者の視点を自分の力で変えることはできず、他者の視点に従う以外の選択肢はないことを体験することができる。言い換えれば、「他者を100%尊重しないといけない状況」へと置かれる。それによって自ずと他者理解が起こり、今まで獲得したことがなかった他者視点を獲得することになる。また、言葉でコミュニケーションを取らないと、自分のヘッドマウントディスプレイに映っている視点が誰の視点であるのかが分からないので、必然的にコミュニケーションすることが促される。
【0102】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0103】
1 三人称視点VRシステム
2 ドア
3 部屋
4a,4b,… 他者
5b 机
5c 椅子
5d 飾り物
10 使用者
11 ヘッドマウントディスプレイ
12 カメラ(撮像部)
13 PC(中継部)
101 三人称視点VRシステム
110 使用者
113 中継部
116 特定周波数発生装置
116a 基板
116b 金属製筐体
116c ゼロ磁場コイル
201 三人称視点VRシステム
210 被施術者
213 中継部
214 施術者
215 施術用ベッド
216 特定周波数発生装置
301 三人称視点VRシステム
302 アクティビティ主催者
303 部屋
310 使用者
313 中継部
【要約】
【課題】三人称視点VRシステムを用いて三人称視点VRを容易に体験できるようにする。
【解決手段】頭部に装着した使用者10に映像を見せる非透過型のヘッドマウントディスプレイ11と、少なくともヘッドマウントディスプレイ11を装着した使用者10を含む動画を撮像するカメラ12と、カメラ12で撮像した動画をヘッドマウントディスプレイ11に送る中継部13とを備えた三人称視点VRシステム1を用意する。中継部13が、インターネット回線等の通信回線を利用してカメラ12で撮像した動画をリアルタイムでヘッドマウントディスプレイ11に送り出し、ヘッドマウントディスプレイ11に映し出された自分自身の映像を見ながら使用者10がアクティビティ等を行う。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8