(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6611215
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】無人搬送車
(51)【国際特許分類】
B61B 13/00 20060101AFI20191118BHJP
B66F 9/24 20060101ALN20191118BHJP
【FI】
B61B13/00 A
!B66F9/24 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-171152(P2018-171152)
(22)【出願日】2018年9月13日
【審査請求日】2018年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 明彦
【審査官】
伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−284499(JP,A)
【文献】
特開2014−237359(JP,A)
【文献】
特開昭63−137071(JP,A)
【文献】
特開平10−181330(JP,A)
【文献】
特開平11−301466(JP,A)
【文献】
特開平09−315302(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第03403845(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/00
B66F 9/24
B62B 3/02
B62B 5/00
B60G 21/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面側が出入口となる収容空間を左右方向の中央に有する車体と、
前記収容空間を出入りして荷役動作を行う荷役装置と、
前記車体の下部で前記出入口の左側領域に設けられ、上下方向に揺動する第1キャスタ輪と、
前記車体の下部で前記出入口の右側領域に設けられ、上下方向に揺動する第2キャスタ輪と、
前記第1キャスタ輪と前記第2キャスタ輪とが上下方向に互いに反対に揺動するように、第1キャスタ輪と前記第2キャスタ輪とを接続するバランス機構と、
を備え、
前記バランス機構は、一端が前記第1キャスタ輪に接続され、前記車体の下部において前記収容空間の左側、背面側および右側を経由して、他端が前記第2キャスタ輪に接続されるワイヤー部材を備え、
前記バランス機構は、
前記ワイヤー部材の一端と前記第1キャスタ輪との間に設けられた第1カムと、
前記ワイヤー部材の他端と前記第2キャスタ輪との間に設けられた第2カムと、
を備え、
前記第1カムは、前記第1キャスタ輪の上下方向の揺動を前記ワイヤー部材の引張圧縮方向の力に変換し、
前記第2カムは、前記第2キャスタ輪の上下方向の揺動を前記ワイヤー部材の引張圧縮方向の力に変換する
ことを特徴とする無人搬送車。
【請求項2】
前記バランス機構は、
前記第1カムと前記第1キャスタ輪とを接続する第1接続ピンと、
前記第2カムと前記第2キャスタ輪とを接続する第2接続ピンと、
を備え、
前記第1カムまたは前記第1キャスタ輪の一方には、前記第1接続ピンをスライド可能に保持する第1長穴が形成されており、
前記第2カムまたは前記第2キャスタ輪の一方には、前記第2接続ピンをスライド可能に保持する第2長穴が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の無人搬送車。
【請求項3】
正面側が出入口となる収容空間を左右方向の中央に有する車体と、
前記収容空間を出入りして荷役動作を行う荷役装置と、
前記車体の下部で前記出入口の左側領域に設けられ、上下方向に揺動する第1キャスタ輪と、
前記車体の下部で前記出入口の右側領域に設けられ、上下方向に揺動する第2キャスタ輪と、
前記第1キャスタ輪と前記第2キャスタ輪とが上下方向に互いに反対に揺動するように、第1キャスタ輪と前記第2キャスタ輪とを接続するバランス機構と、
を備え、
前記バランス機構は、一端が前記第1キャスタ輪に接続され、前記車体の下部において前記収容空間の左側、背面側および右側を経由して、他端が前記第2キャスタ輪に接続されるワイヤー部材を備え、
前記車体は、
前記収容空間に対する左側の境界となる第1フレームと、
前記収容空間に対する右側の境界となる第2フレームと、
前記第1フレームおよび前記第2フレームに接続され、前記収容空間に対する背面側の境界となる第3フレームと、
を備え、
前記第1キャスタ輪は、前記第1フレームの左側面に取り付けられており、
前記第2キャスタ輪は、前記第2フレームの右側面に取り付けられている
ことを特徴とする無人搬送車。
【請求項4】
前記バランス機構は、前記ワイヤー部材を案内する第1ガイド、第2ガイド、第3ガイドおよび第4ガイドを備え、
前記第1ガイドは、前記第1フレームの左側面に設けられており、
前記第2ガイドは、前記第1フレームと前記第3フレームとの接続部分に設けられており、
前記第3ガイドは、前記第3フレームと前記第2フレームとの接続部分に設けられており、
前記第4ガイドは、前記第2フレームの右側面に設けられており、
前記ワイヤー部材は、前記第2ガイドと前記第3ガイドとの間において、張力調整手段を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の無人搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バランス機構を備える無人搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
バランス機構を備える無人搬送車としては、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の無人搬送車は、車体と、車体の中央に設けられた荷役装置と、車体下部の四隅に設けられた車輪と、バランス機構としての台車と、を備える。
【0003】
特許文献1に記載の無人搬送車では、荷役装置が車体から出入りする方向を前後方向とすると、荷役装置の左側の車輪同士が第1の車軸で連結されており、荷役装置の右側の車輪同士が第2の車軸で連結されている。
【0004】
バランス機構としての台車は、第1の車軸の上方に設けられ、第1の車軸で連結された車輪を上下方向に互いに反対に揺動させることができる。しかしながら、特許文献1に記載の無人搬送車では、この台車が車体の大型化につながるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−315302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、バランス機構による車体の大型化を抑制可能な無人搬送車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る無人搬送車は、
正面側が出入口となる収容空間を左右方向の中央に有する車体と、
前記収容空間を出入りして荷役動作を行う荷役装置と、
前記車体の下部で前記出入口の左側領域に設けられ、上下方向に揺動する第1キャスタ輪と、
前記車体の下部で前記出入口の右側領域に設けられ、上下方向に揺動する第2キャスタ輪と、
前記第1キャスタ輪と前記第2キャスタ輪とが上下方向に互いに反対に揺動するように、第1キャスタ輪と前記第2キャスタ輪とを接続するバランス機構と、
を備え、
前記バランス機構は、一端が前記第1キャスタ輪に接続され、前記車体の下部において前記収容空間の左側、背面側および右側を経由して、他端が前記第2キャスタ輪に接続されるワイヤー部材を備え
、
前記バランス機構は、
前記ワイヤー部材の一端と前記第1キャスタ輪との間に設けられた第1カムと、
前記ワイヤー部材の他端と前記第2キャスタ輪との間に設けられた第2カムと、
を備え、
前記第1カムは、前記第1キャスタ輪の上下方向の揺動を前記ワイヤー部材の引張圧縮方向の力に変換し、
前記第2カムは、前記第2キャスタ輪の上下方向の揺動を前記ワイヤー部材の引張圧縮方向の力に変換することを特徴とする。
【0009】
上記無人搬送車において、
前記バランス機構は、
前記第1カムと前記第1キャスタ輪とを接続する第1接続ピンと、
前記第2カムと前記第2キャスタ輪とを接続する第2接続ピンと、
を備え、
前記第1カムまたは前記第1キャスタ輪の一方には、前記第1接続ピンをスライド可能に保持する第1長穴が形成されており、
前記第2カムまたは前記第2キャスタ輪の一方には、前記第2接続ピンをスライド可能に保持する第2長穴が形成されていることが好ましい。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る無人搬送車は、
正面側が出入口となる収容空間を左右方向の中央に有する車体と、
前記収容空間を出入りして荷役動作を行う荷役装置と、
前記車体の下部で前記出入口の左側領域に設けられ、上下方向に揺動する第1キャスタ輪と、
前記車体の下部で前記出入口の右側領域に設けられ、上下方向に揺動する第2キャスタ輪と、
前記第1キャスタ輪と前記第2キャスタ輪とが上下方向に互いに反対に揺動するように、第1キャスタ輪と前記第2キャスタ輪とを接続するバランス機構と、
を備え、
前記バランス機構は、一端が前記第1キャスタ輪に接続され、前記車体の下部において前記収容空間の左側、背面側および右側を経由して、他端が前記第2キャスタ輪に接続されるワイヤー部材を備え、
前記車体は、
前記収容空間に対する左側の境界となる第1フレームと、
前記収容空間に対する右側の境界となる第2フレームと、
前記第1フレームおよび前記第2フレームに接続され、前記収容空間に対する背面側の境界となる第3フレームと、
を備え、
前記第1キャスタ輪は、前記第1フレームの左側面に取り付けられており、
前記第2キャスタ輪は、前記第2フレームの右側面に取り付けられているよう構成できる。
【0011】
上記無人搬送車において、
前記バランス機構は、前記ワイヤー部材を案内する第1ガイド、第2ガイド、第3ガイドおよび第4ガイドを備え、
前記第1ガイドは、前記第1フレームの左側面に設けられており、
前記第2ガイドは、前記第1フレームと前記第3フレームとの接続部分に設けられており、
前記第3ガイドは、前記第3フレームと前記第2フレームとの接続部分に設けられており、
前記第4ガイドは、前記第2フレームの右側面に設けられており、
前記ワイヤー部材は、前記第2ガイドと前記第3ガイドとの間において、張力調整手段を有すよう構成できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バランス機構による車体の大型化を抑制可能な無人搬送車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】本発明に係るバランス機構とキャスタ輪との関係を示す平面図である。
【
図4】本発明に係るバランス機構とキャスタ輪との関係を示す背面図である。
【
図5】本発明に係るバランス機構とキャスタ輪との関係を示す右側面図である。
【
図6】
図5のキャスタ輪およびその周辺の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る無人搬送車の実施形態について説明する。
【0015】
図1および
図2に、本発明の一実施形態に係る無人搬送車1を示す。
図1は無人搬送車1の平面図であり、
図2は無人搬送車1の右側面図である。
【0016】
無人搬送車1は、車体10と、荷役装置20と、第1キャスタ輪30と、第2キャスタ輪40と、第1駆動操舵輪50と、第2駆動操舵輪60と、バランス機構70と、を備える。
【0017】
車体10は、左右方向の中央に荷役装置20が収容される収容空間Aを有する。車体10の左前領域の下部に第1キャスタ輪30が設けられており、右前領域の下部に第2キャスタ輪40が設けられている。車体10の左後領域の下部に第1駆動操舵輪50が設けられており、右後領域の下部に第2駆動操舵輪60が設けられている。
【0018】
車体10の内部には、制御装置(図示略)が設けられている。制御装置は、例えば、マイコンおよび/または専用のICで構成され、外部のコンピュータと相互に通信を行い、荷役装置20の制御、第1駆動操舵輪50および第2駆動操舵輪60の制御などを行う。
【0019】
荷役装置20は、制御装置の制御下で、収容空間Aの前側(正面側)から出入りして荷役作業を行う。荷役装置20は、例えば、フォーク、フォークを昇降させるマスト、フォークの下部に設けられたシザースリンク機構を備える。シザースリンク機構は、上下方向に伸縮可能に構成されており、荷役作業時には床面に接触した状態になる一方、収容空間Aに収容された時は床面から離れた状態になる。
【0020】
第1キャスタ輪30および第2キャスタ輪40は、バランス機構70を介して互いに接続されている。第1キャスタ輪30および第2キャスタ輪40は、バランス機構70により、上下方向に互いに反対に揺動する。
【0021】
第1駆動操舵輪50および第2駆動操舵輪60は、車輪と、車輪を回転させて車体10を駆動する駆動用モータと、車輪を床面で旋回させて車体10を操舵する操舵用モータと、を備える。第1駆動操舵輪50および第2駆動操舵輪60は、制御装置の制御下で、車体10を走行移動させる。
【0022】
バランス機構70は、収容空間Aを迂回するように車体10の下部に設けられている。以下では、
図3〜
図5を参照し、バランス機構70およびその周辺の構成(車体10、第1キャスタ輪30および第2キャスタ輪40)について、詳細に説明する。
【0023】
車体10は、収容空間Aに対する左側の境界となる第1フレーム11と、収容空間Aに対する右側の境界となる第2フレーム12と、収容空間Aに対する後側(背面側)の境界となる第3フレーム13と、第1駆動操舵輪50が取り付けられる第4フレーム14と、第2駆動操舵輪60が取り付けられる第5フレーム15と、を備える。
【0024】
第1フレーム11および第2フレーム12は、上下方向に重ねて配置された複数のフレーム部材を含む。第1フレーム11および第2フレーム12を構成する一部のフレーム部材(例えば、下側のフレーム部材)は、荷役装置20を前後方向に移動させるためのガイドレールとして機能する。
【0025】
第3フレーム13は、上下方向に所定の間隔をあけて配置された複数のフレーム部材を含む。第3フレーム13の左端部は、第1フレーム11の後端部の上面に接続され、第3フレーム13の右端部は、第2フレーム12の後端部の上面に接続される。
【0026】
第1キャスタ輪30は、第1フレーム11の左側面の前部に取り付けられている。第1キャスタ輪30は、第1車輪31と、第1車輪31を保持する第1ブラケット32と、第1ブラケット32を第1フレーム11に固定する第1固定部33と、を備える。
【0027】
第1固定部33は、上下方向に延びる一対の第1シャフト33aを有し、第1車輪31および第1ブラケット32を第1シャフト33aに沿って上下方向に揺動させることができる。
【0028】
第2キャスタ輪40は、第2フレーム12の右側面の前部に取り付けられている。第2キャスタ輪40は、第2車輪41と、第2車輪41を保持する第2ブラケット42と、第2ブラケット42を第2フレーム12に固定する第2固定部43と、を備える。
【0029】
第2固定部43は、上下方向に延びる一対の第2シャフト43aを有し、第2車輪41および第2ブラケット42を第2シャフト43aに沿って上下方向に揺動させることができる。
【0030】
バランス機構70は、ワイヤー部材71と、第1カム72と、第2カム73と、第1接続ピン74と、第2接続ピン75と、第1ガイド76と、第2ガイド77と、第3ガイド78と、第4ガイド79とを備える。
【0031】
ワイヤー部材71は、例えば、金属ワイヤーで構成される。ワイヤー部材71は、収容空間Aを迂回するように、第1フレーム11の左下、第3フレーム13の下、第2フレーム12の右下に配置される。
【0032】
このため、収容空間Aに出入りする荷役装置20の動作をワイヤー部材71が妨げることはない。さらに、荷役装置20を収容空間Aの低い位置に収容できるため、車体10の高さを抑えることができる。
【0033】
ワイヤー部材71の一端は、第1カム72を介して第1キャスタ輪30の第1ブラケット32に接続され、ワイヤー部材71の他端は、第2カム73を介して第2キャスタ輪40の第2ブラケット42に接続される。
【0034】
ワイヤー部材71は、ガイド溝が形成された第1ガイド76、第2ガイド77、第3ガイド78および第4ガイド79によって、第1カム72から第2カム73まで案内される。本実施形態では、4つのガイド(第1ガイド76、第2ガイド77、第3ガイド78および第4ガイド79)を用いているが、ガイドの数は適宜変更できる。
【0035】
第1ガイド76は、第1フレーム11の左側面中央の下方に設けられている。第2ガイド77は、第1フレーム11と第3フレーム13との接続部分(本実施形態では、第1フレーム11の後端)の下方に設けられている。第3ガイド78は、第3フレーム13と第2フレーム12との接続部分(本実施形態では、第2フレーム12の後端)に設けられている。第4ガイド79は、第2フレーム12の右側面中央の下方に設けられている。
【0036】
ワイヤー部材71は、第2ガイド77と第3ガイド78との間において、張力調整手段71aを有する。張力調整手段71aは、ワイヤー部材71の張力を調整することができる。張力調整手段71aとしては、例えば、ターンバックルを用いることができる。
【0037】
第1カム72は、L字形状のカムで構成され、第1接続ピン74(例えば、ボルト)によって第1キャスタ輪30に接続される。第1カム72は、第1キャスタ輪30の上方向の揺動をワイヤー部材71の引張方向の力に変換し、第1キャスタ輪30の下方向の揺動をワイヤー部材71の圧縮方向の力に変換する。
【0038】
第2カム73は、L字形状のカムで構成され、第2接続ピン75(例えば、ボルト)によって第2キャスタ輪40に接続される。第2カム73は、第2キャスタ輪40の上方向の揺動をワイヤー部材71の引張方向の力に変換し、第2キャスタ輪40の下方向の揺動をワイヤー部材71の圧縮方向の力に変換する。
【0039】
第1キャスタ輪30が上方向に揺動すると、ワイヤー部材71が第1キャスタ輪30の方向に引っ張られて(第2キャスタ輪40から離れる方向に圧縮されて)、第2キャスタ輪40が下方向に揺動する。一方、第2キャスタ輪40が上方向に揺動すると、ワイヤー部材71が第2キャスタ輪40の方向に引っ張られて(第1キャスタ輪30から離れる方向に圧縮されて)、第1キャスタ輪30が下方向に揺動する。すなわち、第1キャスタ輪30および第2キャスタ輪40は、上下方向に互いに反対に揺動する。
【0040】
次に、
図6を参照して、第2カム73の構造、および第2カム73と第2キャスタ輪40との接続関係について説明する。
【0041】
なお、第1カム72の構造は第2カム73の構造と共通し、第1カム72と第1キャスタ輪30との接続関係は第2カム73と第2キャスタ輪40との接続関係と共通する。したがって、第1カム72の構造、および第1カム72と第1キャスタ輪30との接続関係については、その説明を省略する。
【0042】
第2カム73は、上記のとおりL字形状のカムで構成され、第2キャスタ輪40の上下方向の揺動に応じて回動する。第2カム73は、一方側部分73aと、曲がり部分73bと、他方側部分73cとを含む。
【0043】
一方側部分73aは、ワイヤー部材71に対して垂直に延び、その先端にワイヤー部材71の他端が取り付けられる。曲がり部分73bは、固定部材により第1フレーム11に回動可能に固定される。他方側部分73cは、ワイヤー部材71に対して平行に延び、第2キャスタ輪40の第2ブラケット42の突出部42aを挟み込む構造になっている。
【0044】
第2ブラケット42の突出部42aは、第2カム73の他方側部分73cと接続するために、第2ブラケット42のブラケット本体から後方に突出している。突出部42aは、第2ブラケット42のブラケット本体と一体的に構成されていてもよいし、別体で構成されていてもよい。
【0045】
第2カム73の他方側部分73cには、第2接続ピン75が挿入される丸穴が形成されている。第2ブラケット42の突出部42aには、第2接続ピン75が挿入され、かつ第2接続ピン75をスライド可能に保持する長穴42b(本発明の「第2長穴」に相当)が形成されている。
【0046】
この構成によれば、第2キャスタ輪40と第2カム73との間に長穴42bの大きさに応じた遊びを持たせることができる。その結果、第2キャスタ輪40の上下方向の揺動による第2キャスタ輪40と第2カム73との距離の変化に対応することができる。
【0047】
結局、本実施形態では、第1キャスタ輪30および第2キャスタ輪40を上下方向に互いに反対に揺動させるバランス機構70が、車体10の下部において、荷役装置20が収容される収容空間Aを迂回するように設けられている。したがって、本実施形態に係る無人搬送車1によれば、バランス機構による車体10の大型化を抑制することができる。
【0048】
さらに、本実施形態では、ワイヤー部材71と、L字形状のカムで構成される第1カム72および第2カム73とを用いることにより、比較的簡易な構成で第1キャスタ輪30および第2キャスタ輪40を上下方向に互いに反対に揺動させることができ、なおかつバランス機構70の省スペース化を図ることができる。
【0049】
以上、本発明に係る無人搬送車の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0050】
本発明のバランス機構は、一端が第1キャスタ輪30に接続され、車体10の下部において収容空間Aの左側、後側(背面側)および右側を経由して、他端が第2キャスタ輪40に接続されるワイヤー部材を備えるのであれば、適宜構成を変更できる。
【0051】
本発明の第1キャスタ輪および第2キャスタ輪は、上下方向に互いに反対に揺動するのであれば、適宜構成を変更できる。
【0052】
本発明の第1カムは、本発明の第1キャスタ輪の上下方向の揺動を本発明のワイヤー部材の引張圧縮方向の力に変換するのであれば、適宜構成を変更できる。同様に、本発明の第2カムは、本発明の第2キャスタ輪の上下方向の揺動を本発明のワイヤー部材の引張圧縮方向の力に変換するのであれば、適宜構成を変更できる。
【0053】
本発明の第1カムと本発明の第1キャスタ輪とを第1接続ピンで接続し、本発明の第2カムと本発明の第2キャスタ輪とを第2接続ピンで接続する場合、第1カムまたは第1キャスタ輪の一方に、第1接続ピンをスライド可能に保持する第1長穴が形成され、かつ第2カムまたは第2キャスタ輪の一方に、第2接続ピンをスライド可能に保持する第2長穴が形成されていることが好ましい。
【符号の説明】
【0054】
1 無人搬送車
10 車体
11 第1フレーム
12 第2フレーム
13 第3フレーム
14 第4フレーム
15 第5フレーム
20 荷役装置
30 第1キャスタ輪
31 第1車輪
32 第1ブラケット
33 第1固定部
33a 第1シャフト
40 第2キャスタ輪
41 第2車輪
42 第2ブラケット
43 第2固定部
43a 第2シャフト
50 第1駆動操舵輪
60 第2駆動操舵輪
70 バランス機構
71 ワイヤー部材
71a 張力調整手段
72 第1カム
73 第2カム
74 第1接続ピン
75 第2接続ピン
76 第1ガイド
77 第2ガイド
78 第3ガイド
79 第4ガイド
【要約】
【課題】バランス機構による車体の大型化を抑制可能な無人搬送車を提供する。
【解決手段】収容空間Aを左右方向の中央に有する車体10と、収容空間Aを出入りして荷役動作を行う荷役装置20と、車体10の左側領域で上下方向に揺動する第1キャスタ輪30と、車体10の右側領域で上下方向に揺動する第2キャスタ輪40と、第1キャスタ輪30と第2キャスタ輪40とを上下方向に互いに反対に揺動させるバランス機構70と、を備える。バランス機構70は、一端が第1キャスタ輪30に接続され、車体10の下部において収容空間Aの左側、背面側および右側を経由して、他端が第2キャスタ輪40に接続されるワイヤー部材を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1