特許第6611248号(P6611248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6611248
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】荷重センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/22 20060101AFI20191118BHJP
   G01G 19/12 20060101ALI20191118BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20191118BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20191118BHJP
【FI】
   G01L1/22 F
   G01G19/12 A
   A47C7/62 Z
   B60N2/90
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-26588(P2016-26588)
(22)【出願日】2016年2月16日
(65)【公開番号】特開2017-146135(P2017-146135A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2018年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 充
(72)【発明者】
【氏名】関根 幹夫
【審査官】 大森 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−063494(JP,A)
【文献】 特開2002−310815(JP,A)
【文献】 特開2010−122032(JP,A)
【文献】 特開2015−038436(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0180359(US,A1)
【文献】 特開2000−258232(JP,A)
【文献】 特開2003−177052(JP,A)
【文献】 特開2004−205489(JP,A)
【文献】 特開2003−057132(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0226755(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0043789(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/00−19/64,
G01L 1/22,
A47C 7/62,
B60N 2/00−2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って貫通する取付用貫通孔が設けられている取付部、前記取付部の一側方に設定される変形部、前記変形部の一側方に設定される受け部からなり、前記受け部に前記第1方向の荷重が加わったときに前記変形部が弾性変形可能な板状の弾性変形部材と、
前記変形部の前記第1方向に向いた一面側または他面側に配設され前記変形部の変形に応じた歪情報を出力する歪検出手段と、
前記取付部の前記第1方向に向いた一面側または他面側との少なくとも一方であって前記取付用貫通孔の周囲に固着された環状取付部材と、を備えた荷重センサであって、
前記環状取付部材は、前記取付用貫通孔より径が大きい環状外周部を有し、前記環状外周部のうち前記変形部に最も近い変形部側縁部を除く前記環状外周部に沿って前記弾性変形部材に固定された固着部が設けられているとともに、
前記変形部側縁部が、前記取付部から前記受け部に向かう第2方向に対して直交する第3方向に沿って延在するように配設され
前記受け部は、前記荷重が印加される支持部材に前記第1方向から挟持されており、
前記支持部材は、前記変形部に最も近い挟持端部が前記第3方向に沿って延在するように配設され、
前記支持部材は、前記第1方向に沿って貫通する受け部貫通孔に挿通されたボルトと、
前記ボルトに螺合し、前記ボルトのボルトヘッドの当接部とともに前記受け部を挟持するためのナットと、
前記ナットと前記受け部との間に配置されるスペーサと、を備え、
前記当接部および前記スペーサは、それぞれ前記挟持端部を有し、前記挟持端部が前記第3方向に沿って延在するように配設されていることを特徴とする荷重センサ。
【請求項2】
前記受け部貫通孔の開口形状は円形ではない第1の形状であり、
前記ボルトは前記受け部貫通孔に挿入される係合凸部を有し、
前記係合凸部は前記第1方向から平面視して前記第1の形状に対応した形状を有し、前記受け部貫通孔に係合することを特徴とする請求項に記載の荷重センサ。
【請求項3】
前記スペーサは前記弾性変形部材に固定された固着部が設けられていることを特徴とする請求項または請求項に記載の荷重センサ。
【請求項4】
前記取付用貫通孔の径は、前記環状取付部材の内径以下の大きさであることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の荷重センサ。
【請求項5】
前記第1方向から平面視して、前記環状取付部材は、前記環状外周部が前記変形部側縁部を1辺とする直線状の4辺を含む略四角形状であり、
前記第2方向に沿った他の2辺には、前記弾性変形部材に固定された固着部がそれぞれ少なくとも一箇所ずつ設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の荷重センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重センサに関し、特に、車両用シートに着座する乗員の重量を検出する荷重センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シートベルトやエアバッグ等の各種安全装置の性能を向上させるため、車両用シートに着座している乗員の重量に合わせてこれらの安全装置の動作をコントロールする場合がある。例えば、助手席に小さな子供を座らせている場合や補助具(チャイルドシート)を装着して乳幼児を載せている場合、エアバックを動作させると逆に危険である。そのため、シートに着座している乗員の概ねの体格をその重量によって識別し、エアバックの動作を制御するために、荷重センサを用いたシート用乗員荷重検出装置が開発されている。
【0003】
図10は特許文献1に開示されているシート用乗員荷重検出装置100が用いられたシートの斜視図であり、図11はシート用乗員荷重検出装置100を示す分解斜視図である。
【0004】
図10に示すように、シートクッションの下面に組付けられるフレーム117の下面4隅はシート用乗員荷重検出装置100を介して一対のアッパレール116(フロア側固定部材)に固定されている。図11に示すように、シート用乗員荷重検出装置100は、起歪体120と、起歪体120の下面に貼付された歪ゲージG1、G2と、起歪体120の中央部に垂直方向に固定されシート111のフレーム117に固定される連結軸123とを備えている。さらに、シート用乗員荷重検出装置100は、起歪体120を両端部でアッパレール116に固定する一端固定支持部材としての第1ロアブラケット121と、他端嵌着支持部材としての第2ロアブラケット122とを備えている。起歪体120の中央部には中央穴138が穿設され、中央穴138には連結軸123の中軸部139が圧入されている。起歪体120の一方の端部には固定穴130が、他方の端部には取付穴135が形成されている。第1ロアブラケット121は、図11に示すように、所定厚さの一端ベース部129と、一端ベース部129から突出して固定穴130に圧入される一端中軸部131と、一端中軸部131から突出する先軸部132と、中心に貫通して穿設された取付面取付穴133から構成されている。第2ロアブラケット122は、所定厚さの他端ベース部134と、他端ベース部134から突出して取付穴135に遊嵌される他端中軸部136と、中心に貫通して穿設された取付面取付穴137から構成されている。
【0005】
起歪体120は、シート111に着座する乗員の荷重が連結軸123を介して起歪体120に付加されると、その両端部を第1ロアブラケット121、第2ロアブラケット122に両端支持されて撓み、起歪体120の表面には荷重に比例して歪が生じるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−134225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、起歪体(弾性変形部材)に対して、第1ロアブラケット(環状取付部材)を圧入で固定しているので、弾性変形部材に形成する固定穴(取付用貫通孔)が大きくなり、耐荷重性能が低下してしまう、という問題があった。上記のようにシート用乗員荷重検出装置に適用する場合には、耐荷重性能が低下すると、例えば衝突事故等の際に車両用シートが外れてしまうことも考えられ、また、長年の使用により金属疲労を起こしてしまうことも考えられ、車両の安全上の問題もあった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するもので、耐荷重性能を高めることのできる荷重センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の荷重センサは、第1方向に沿って貫通する取付用貫通孔が設けられている取付部、前記取付部の一側方に設定される変形部、前記変形部の一側方に設定される受け部からなり、前記受け部に前記第1方向の荷重が加わったときに前記変形部が弾性変形可能な板状の弾性変形部材と、前記変形部の前記第1方向に向いた一面側または他面側に配設され前記変形部の変形に応じた歪情報を出力する歪検出手段と、前記取付部の前記第1方向に向いた一面側または他面側との少なくとも一方であって前記取付用貫通孔の周囲に固着された環状取付部材と、を備えた荷重センサであって、前記環状取付部材は、前記取付用貫通孔より径が大きい環状外周部を有し、前記環状外周部のうち前記変形部に最も近い変形部側縁部を除く前記環状外周部に沿って前記弾性変形部材に固定された固着部が設けられているとともに、前記変形部側縁部が、前記取付部から前記受け部に向かう第2方向に対して直交する第3方向に沿って延在するように配設され、前記受け部は、前記荷重が印加される支持部材に前記第1方向から挟持されており、 前記支持部材は、前記変形部に最も近い挟持端部が前記第3方向に沿って延在するように配設され、前記支持部材は、前記第1方向に沿って貫通する受け部貫通孔に挿通されたボルトと、前記ボルトに螺合し、前記ボルトのボルトヘッドの当接部とともに前記受け部を挟持するためのナットと、前記ナットと前記受け部との間に配置されるスペーサと、を備え、前記当接部および前記スペーサは、それぞれ前記挟持端部を有し、前記挟持端部が前記第3方向に沿って延在するように配設されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、環状取付部材が弾性変形部材に固着されて一体化しているので、大きな荷重が加えられても取付用貫通孔の周囲部分は引きちぎられにくくなる。さらに、環状取付部材は、環状外周部のうち変形部に最も近い変形部側縁部は溶接等の固着部が設けられていないので、歪による固着部の破損を防止することができ、歪検出手段の特性への悪影響を防止することができる。さらに、変形部側縁部が第3方向に沿って延在するように配設されているので、変形部が撓んだときに環状取付部材の変形部側縁部が応力を線で受けるので、歪が1点に集中せず、歪の集中による塑性変形を抑制できる。よって、耐荷重性能を高めることのできる荷重センサを提供することができる。
【0012】
この構成によれば、支持部材は、挟持端部が第2方向に沿って延在するように配設されているので、受け部側でも歪の集中による塑性変形を抑制できる。
【0014】
この構成によれば、ボルトを介して荷重が受け部に加わるが、ボルトヘッドの当接部およびナット側のスペーサが第3方向に沿って延在する挟持端部をそれぞれ有しているので、確実に歪の集中による塑性変形を抑制できる。また、簡単な構成で受け部を支持することができる。
【0015】
また、本発明の荷重センサにおいて、前記受け部貫通孔の開口形状は円形ではない第1の形状であり、前記ボルトは前記受け部貫通孔に挿入される係合凸部を有し、前記係合凸部は前記第1方向から平面視して前記第1の形状に対応した形状を有し、前記受け部貫通孔に係合することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、受け部貫通孔と係合凸部とを円形ではない第1の形状に形成し、受け部貫通孔と係合凸部とを係合させることで、ナットをボルトに螺合させる際にボルトが回転するのを防止することができる。これにより、精度よく、当接部の挟持端部を第3方向に沿って延在するように配設することができる。
【0017】
また、本発明の荷重センサにおいて、前記スペーサは前記弾性変形部材に固定された固着部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、スペーサは弾性変形部材に固定されているので、ナットをボルトに螺合した際に共回りすることがない。これにより、精度よく、スペーサの挟持端部を第3方向に沿って延在するように配設することができる。
【0019】
また、本発明の荷重センサにおいて、前記取付用貫通孔の径は、前記環状取付部材の内径以下の大きさであることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、取付用貫通孔を小さくしているので、大きな荷重が加えられても取付用貫通孔の周囲部分は引きちぎられにくくなり、耐荷重性能を高めることができる。
【0021】
また、本発明の荷重センサにおいて、前記第1方向から平面視して、前記環状取付部材は、前記環状外周部が前記変形部側縁部を1辺とする直線状の4辺を含む略四角形状であり、前記第2方向に沿った他の2辺には、前記弾性変形部材に固定された固着部がそれぞれ少なくとも一箇所ずつ設けられていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、荷重センサの製造が容易である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、環状取付部材が弾性変形部材に固着されて一体化しているので、大きな荷重が加えられても取付用貫通孔の周囲部分は引きちぎられにくくなる。さらに、環状取付部材は、環状外周部のうち変形部に最も近い変形部側縁部は溶接等の固着部が設けられていないので、歪による固着部の破損を防止することができ、歪検出手段の特性への悪影響を防止することができる。さらに、変形部側縁部が第3方向に沿って延在するように配設されているので、変形部が撓んだときに環状取付部材の変形部側縁部が応力を線で受けるので、歪が1点に集中せず、歪の集中による塑性変形を抑制できる。したがって、耐荷重性能を高めることのできる荷重センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態の荷重センサを示す斜視図である。
図2】ボルトおよびナットを除いた状態で、斜め下方から見た荷重センサを示す斜視図である。
図3】斜め上方から見た荷重センサを示す分解斜視図である。
図4】斜め下方から見た荷重センサを示す分解斜視図である。
図5】荷重センサを示す正面図である。
図6】ナットを除いた状態の荷重センサを示す平面図である。
図7】荷重センサを示す底面図である。
図8】弾性変形部材の取付用貫通孔の説明図である。
図9】比較例の荷重センサにおける弾性変形部材の取付用貫通孔の説明図である。
図10】従来のシート用乗員荷重検出装置が用いられたシートの斜視図である。
図11】従来のシート用乗員荷重検出装置を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、分かりやすいように、図面は寸法を適宜変更している。
【0026】
図1は、本発明の実施形態の荷重センサ1を示す斜視図である。図2は、ボルト50およびナット60を除いた状態で、斜め下方から見た荷重センサ1を示す斜視図である。図3は、斜め上方から見た荷重センサ1を示す分解斜視図である。図4は、斜め下方から見た荷重センサ1を示す分解斜視図である。図5は、荷重センサ1を示す正面図である。図6は、ナット60を除いた状態の荷重センサ1を示す平面図である。図7は、荷重センサ1を示す底面図である。図8は、弾性変形部材10の取付用貫通孔11aの説明図である。
【0027】
本実施形態の荷重センサ1は、図1および図2に示すように、板状の弾性変形部材10と、歪検出手段20と、環状取付部材30と、を備え、支持部材40が取り付けられている。
【0028】
弾性変形部材10は、金属材で板状に形成され、図3および図4に示すように、第1方向(図のZ1−Z2方向)に沿って貫通する取付用貫通孔11aが設けられている取付部11、取付部11の一側方に設定される変形部12、変形部12の一側方に設定される受け部13からなる。弾性変形部材10は、取付部11が固定された状態で受け部13に第1方向(Z1−Z2方向)の荷重が加わったときに変形部12が弾性変形可能な板厚で形成される。なお、図の説明を分かりやすくするために、以下、第1方向を上下方向、第2方向を左右方向、第3方向を前後方向とするが、それぞれ、図のZ1−Z2方向、X1−X2方向、Y1−Y2方向を意味し、荷重センサ1の使用時の方向を限定するものではない。
【0029】
変形部12の上下方向(Z1−Z2方向)に向いた一面(下面)側には、図4および図7に示すように、歪検出手段20が配設されている。歪検出手段20は、変形部12の変形に応じた歪情報を出力するものである。図4および図7に示す歪検出手段20は、受け部貫通孔13aの左右方向(X1−X2方向)に対称のブリッジ回路を構成するように配置された歪検出素子21を備え、歪情報を電気信号に変換するための電気部品と図示しない配線が形成されている。なお、この具体的な構成に限定されるものではなく、例えば、変形部12の上側に配設されてもよい。
【0030】
取付部11には、金属材からなる環状取付部材30が固着されている。図1図7に示すように、本実施形態の荷重センサ1では、環状取付部材30が弾性変形部材10の左右にある取付部11の上側と下側との合計4箇所に配置されている。
【0031】
図3および図4に示すように、それぞれの環状取付部材30は、内周部30bの径が取付用貫通孔11aの径よりも大きくなっている。また、それぞれの環状取付部材30は、取付用貫通孔11aより径が大きい環状外周部30aを有し、環状外周部30aのうち変形部12に最も近い変形部側縁部30dが、取付部11から受け部13に向かう左右方向(X1−X2方向)に対して直交する前後方向(Y1−Y2方向)に沿って延在するように配設されている。そして、変形部側縁部30dを除く環状外周部30aに沿って固着部31が設けられている。具体的には、上下方向(Z1−Z2方向)から平面視して、環状取付部材30は、環状外周部30aが変形部側縁部30dを1辺とする直線状の4辺を含む略四角形状であり、左右方向に沿った他の2辺には、弾性変形部材10に固定された固着部31がそれぞれ少なくとも一箇所ずつ(図では4箇所ずつ)設けられている。
【0032】
本実施形態の荷重センサ1では、固着部31が溶接によって点状に形成されている。なお、本明細書において、溶接とは、銀ろう付けや半田付け等、2つの被接合部材を、溶融させた接合用部材によって固着させるものを含む。ただし、必要とされる耐荷重性能に応じて、荷重センサ1の受ける荷重で溶接が破壊されないことが必要である。
【0033】
このように、変形部12に近い変形部側縁部30dを除いて溶接すれば、歪検出手段20の特性に悪影響を及ぼす可能性が少ない。また、取付部11の変形部12に近い領域は歪量が大きいので、この領域に環状外周部30aを溶接すると溶接部分の破損が考えられるが、変形部側縁部30d側を除いて溶接すれば、溶接部分の破損を防止することができる。
【0034】
さらに、変形部側縁部30dが、前後方向(Y1−Y2方向)に沿って延在するように配設されているので、変形部12の弾性変形は、前後方向(Y1−Y2方向)での反りが少ないものとなる。
【0035】
一方、受け部13には、図3および図4に示すように、Z1−Z2方向に沿って貫通する受け部貫通孔13aが設けられている。受け部13には、ボルト50とナット60とスペーサ70とを備えた支持部材40が取り付けられている。より具体的には、ボルト50が受け部貫通孔13aに受け部13の下側から挿通されて、受け部13の上側において、スペーサ70を介してナット60がボルト50に螺合し、ボルトヘッドの当接部51とスペーサ70で受け部13を挟持する構成である。これにより、簡単な構成で受け部13を支持することができる。ボルトヘッドの当接部51とスペーサ70は、それぞれ、Z1−Z2方向から見て略矩形に形成されており、変形部12に最も近い側の1辺を挟持端部40aとする。挟持端部40aは、前後方向(Y1−Y2方向)に沿って延在するように配設される。
【0036】
受け部貫通孔13aの開口形状は円形ではない第1の形状(図8に示す6角形状)であり、ボルト50は受け部貫通孔13aに挿入される係合凸部52を有し、係合凸部52はZ1−Z2方向から平面視して第1の形状に対応した形状を有し、受け部貫通孔13aに係合する。これにより、ボルトヘッドの当接部51は、挟持端部40aが前後方向(Y1−Y2方向)に沿って延在するように弾性変形部材10に当接する。また、ナット60をボルト50に螺合させる際にボルト50が回転するのを防止することができる。これにより、精度よく、当接部51の挟持端部40aを前後方向(Y1−Y2方向)に沿って延在するように螺合できる。
【0037】
スペーサ70は、金属材で板状に形成され、受け部貫通孔13aの開口形状対応した開口を有している。本実施形態の荷重センサ1は、スペーサ70に固着部71が設けられている。スペーサ70は、受け部貫通孔13aに開口が合わせられた状態で、弾性変形部材10の受け部13に固着部71を介して固定される。本実施形態の荷重センサ1では、固着部71が溶接によって形成されている。固着部71は、スペーサ70の外周のY1側およびY2側に5箇所ずつ設けられている。スペーサ70は弾性変形部材10に固定されているので、ナット60をボルト50に螺合した際に共回りすることがない。これにより、精度よく、スペーサ70の挟持端部40aを前後方向(Y1−Y2方向)に沿って延在するように配設することができる。また、変形部12側に面した挟持端部40a側に、固着部71を設けていないので、固着部71を溶接で形成しても、変形部12に悪影響を及ぼす可能性が少ない。
【0038】
上述したように、環状取付部材30の環状外周部30aの変形部12に最も近い変形部側縁部30dが前後方向(Y1−Y2方向)に沿って延在するように配設され、ボルトヘッドの当接部51とスペーサ70の挟持端部40aが前後方向に沿って延在するように配設される。これにより、支持部材40から加えられた荷重によって変形部12が撓んだときに環状取付部材30の変形部側縁部30dが応力を線で受けるので、歪が1点に集中せず、歪の集中を抑制できる。このため、受け部貫通孔13aと取付用貫通孔11aのそれぞれの中心を結んだ直線上に集中する応力を前後方向に分散させて、弾性変形部材10に加わる最大応力を低減することができる。また、変形部12の撓みが左右方向(X1−X2方向)における上下方向(Z1−Z2方向)の変形となるので、この方向の歪情報を出力するように配置された歪検出素子21にとっても好ましい。
【0039】
また、環状取付部材30およびスペーサ70は、変形部側縁部30dおよび挟持端部40aが弾性変形部材10に当接する状態で、変形部側縁部30dおよび挟持端部40a側以外のところが溶接されて固着部31および固着部71が形成されている。このため、固着部31および固着部71を溶接で形成していても、歪検出手段20の特性に悪影響を及ぼす可能性が少ない。
【0040】
さらに、本実施形態の荷重センサ1では、弾性変形部材10の取付部11に設けられた取付用貫通孔11aの径は、環状取付部材30の内周部30bの径より小さい。この効果について、以下の比較例と比較して示す。
【0041】
従来のように圧入で固定している比較例の荷重センサ200について説明する。図9は、比較例の荷重センサ200における弾性変形部材210の圧入用貫通孔211aの説明図である。環状取付部材230は、圧入用貫通孔211aに圧入される圧入部231と取付部211の裏面に当接する基部232とを有している。基部232の基部外周部232aは圧入用貫通孔211aの径より大きく、基部内周部232bは取り付け部材(図示しない)の外径とほぼ等しい径に形成されている。基部内周部232bの径は取り付け部材(図示しない)の外径より小さくできないので、図9に示すように、圧入用貫通孔211aの径と圧入部231の外径は基部内周部232bの径より大きくしなければならない。このため、取付部211の前後方向(Y1−Y2方向)の幅における圧入用貫通孔211aの占める割合が大きくなる。したがって、取付部211の残りの幅寸法W211が小さくなって、荷重を受けたときに、最も幅が小さいところから亀裂が入りやすくなってしまう。
【0042】
また、圧入部231が圧入用貫通孔211aに圧入される環状取付部材230は、取付部211の上側または下側のいずれか一方にしか取り付けることができない。このため、比較例の取付部211は圧入用貫通孔211a近傍から折れ曲がるように変形しやすく、取付部211が変形してしまうと変形部12に配置されている歪検出素子21の出力に誤差を生じる懸念があった。
【0043】
本実施形態の荷重センサ1のように、弾性変形部材10の取付用貫通孔11aの径を取り付け部材(図示しない)の外径とほぼ等しい最小の径に形成して、取付用貫通孔11aの前後方向の周囲部分の幅寸法W11を最大にすれば、強度が増し亀裂が入りにくくなる。これにより、大きな荷重が加えられても取付用貫通孔11aの周囲部分は引きちぎられにくくなり、耐荷重性能を高めることができる。また、取付部11の上側と下側との両側に溶接によって一体化された環状取付部材30を備えることで、弾性変形部材10の取付部11で変形しにくい。このため、荷重を受けたときの撓みが変形部12に生じ、適切に歪検出素子21で検出されるようにすることができる。
【0044】
本実施形態の荷重センサ1では、受け部13の受け部貫通孔13aに対しても、受け部13の上側に溶接によって一体化されたスペーサ70を備え、ナット60をボルト50に螺合させることで変形しにくい構成とした。これにより、受け部13側でも歪の集中による塑性変形を抑制できる。このため、受け部13に荷重を受けたときの撓みが変形部12に生じ、適切に歪検出素子21で検出されるようにすることができる。
【0045】
なお、弾性変形部材10をステンレスの板材から形成している場合、塑性変形による歪検出誤差を生じないためには、最大の応力を330N/mm2以下とすることが好適であった。上述の形状で部材を構成するとともに、最大応力が約300N/mm2となるように、弾性変形部材10の板厚が選定された。なお、この最大応力は、一般的に用いられている0.2%ひずみ耐力や降伏点における応力と比べると、かなり小さい値である。本実施形態の荷重センサ1では、上述のように、変形部12が撓んだときの歪の集中を抑えることができる構成とすることによって、板厚を厚くし過ぎないで、最大応力を低減することができる。
【0046】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0047】
本実施形態の荷重センサ1は、Z1−Z2方向に沿って貫通する取付用貫通孔11aが設けられている取付部11、取付部11の一側方に設定される変形部12、変形部12の一側方に設定される受け部13からなり、受け部13にZ1−Z2方向の荷重が加わったときに変形部12が弾性変形可能な板状の弾性変形部材10と、変形部12のZ1−Z2方向に向いた一面側または他面側に配設され変形部12の変形に応じた歪情報を出力する歪検出手段20と、取付部11のZ1−Z2方向に向いた一面側または他面側との少なくとも一方であって取付用貫通孔11aの周囲に固着された環状取付部材30と、を備えた荷重センサ1であって、環状取付部材30は、取付用貫通孔11aより径が大きい環状外周部30aを有し、環状外周部30aのうち変形部12に最も近い変形部側縁部30dを除く環状外周部30aに沿って弾性変形部材10に固定された固着部31が設けられているとともに、変形部側縁部30dが、取付部11から受け部13に向かうX1−X2方向に対して直交するY1−Y2方向に沿って延在するように配設されている。
【0048】
この構成によれば、環状取付部材30が弾性変形部材10に固着されて一体化しているので、大きな荷重が加えられても取付用貫通孔11aの周囲部分は引きちぎられにくくなる。さらに、環状取付部材30は、環状外周部30aのうち変形部12に最も近い変形部側縁部30dは溶接等の固着部31が設けられていないので、歪による固着部31の破損を防止することができ、歪検出手段20の特性への悪影響を防止することができる。さらに、変形部側縁部30dがY1−Y2方向に沿って延在するように配設されているので、変形部12が撓んだときに環状取付部材30の変形部側縁部30dが応力を線で受けるので、歪が1点に集中せず、歪の集中による塑性変形を抑制できる。よって、耐荷重性能を高めることのできる荷重センサ1を提供することができる。また、荷重を受けたときの最大応力が小さくなるので、金属疲労を起こしにくいものとすることができる。
【0049】
また、本実施形態の荷重センサ1において、受け部13は、荷重が印加される支持部材40にZ1−Z2方向から挟持されており、支持部材40は、変形部12に最も近い挟持端部40aがY1−Y2方向に沿って延在するように配設されている。
【0050】
この構成によれば、支持部材40は、挟持端部40aがX1−X2方向に沿って延在するように配設されているので、受け部13側でも歪の集中による塑性変形を抑制できる。
【0051】
また、本実施形態の荷重センサ1において、支持部材40は、Z1−Z2方向に沿って貫通する受け部貫通孔13aに挿通されたボルト50と、ボルト50に螺合し、ボルト50のボルトヘッドの当接部51とともに受け部13を挟持するためのナット60と、ナット60と受け部13との間に配置されるスペーサ70と、を備え、当接部51およびスペーサ70は、それぞれ挟持端部40aを有し、挟持端部40aがY1−Y2方向に沿って延在するように配設されている。
【0052】
この構成によれば、ボルト50を介して荷重が受け部13に加わるが、ボルトヘッドの当接部51およびナット60側のスペーサ70がY1−Y2方向に沿って延在する挟持端部40aをそれぞれ有しているので、確実に歪の集中による塑性変形を抑制できる。また、簡単な構成で受け部13を支持することができる。
【0053】
また、本実施形態の荷重センサ1において、受け部貫通孔13aの開口形状は円形ではない第1の形状であり、ボルト50は受け部貫通孔13aに挿入される係合凸部52を有し、係合凸部52はZ1−Z2方向から平面視して第1の形状に対応した形状を有し、受け部貫通孔13aに係合する。
【0054】
この構成によれば、受け部貫通孔13aと係合凸部52とを円形ではない第1の形状に形成し、受け部貫通孔13aと係合凸部52とを係合させることで、ナット60をボルト50に螺合させる際にボルト50が回転するのを防止することができる。これにより、精度よく、当接部51の挟持端部40aをY1−Y2方向に沿って延在するように配設することができる。
【0055】
また、本実施形態の荷重センサ1において、スペーサ70は弾性変形部材10に固定された固着部71が設けられている。
【0056】
この構成によれば、スペーサ70は弾性変形部材10に固定されているので、ナット60をボルト50に螺合した際に共回りすることがない。これにより、精度よく、スペーサ70の挟持端部40aをY1−Y2方向に沿って延在するように配設することができる。
【0057】
また、本実施形態の荷重センサ1において、取付用貫通孔11aの径は、環状取付部材30の内径以下の大きさである。
【0058】
この構成によれば、取付用貫通孔11aを小さくしているので、大きな荷重が加えられても取付用貫通孔11aの周囲部分は引きちぎられにくくなり、耐荷重性能を高めることができる。
【0059】
また、本実施形態の荷重センサ1において、Z1−Z2方向から平面視して、環状取付部材30は、環状外周部30aが変形部側縁部30dを1辺とする直線状の4辺を含む略四角形状であり、X1−X2方向に沿った他の2辺には、弾性変形部材10に固定された固着部31がそれぞれ少なくとも一箇所ずつ設けられている。
【0060】
この構成によれば、荷重センサ1の製造が容易である。
【0061】
以上のように、本発明の実施形態の荷重センサ1を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらも本発明の技術的範囲に属する。
【0062】
(1)本実施形態において、環状取付部材30は、変形部側縁部30dを除く環状外周部30aに沿って溶接による固着部31が点状に設けられているとしたが、環状外周部30a部分だけでなく、内周部30bの近傍まで面状に固着部31が設けられていてもよい。
【0063】
(2)本実施形態において、弾性変形部材10の取付部11および変形部12は、受け部13の両側に対称に設けられていたが、いずれか片側だけであってもよい。
【0064】
(3)本実施形態において、受け部貫通孔13aの開口形状を6角形状としているが、第1の形状はこれに限定されるものではない。係合凸部52が回転方向に係止できる形状であればよく、例えば、4角形状であってもよい。
【0065】
(4)本実施形態において、ボルト50は、係合凸部52の高さが受け部貫通孔13aの高さ(弾性変形部材10の板厚)より小さくなっているが、係合凸部52の高さのほうが高く、スペーサ70の開口に挿入されるように構成してもよい。なお、この場合には、係合凸部52がスペーサ70の回転止めとなり、溶接による固着部71が設けられていなくても、スペーサ70の挟持端部40aをY1−Y2方向に沿って延在するように配設することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 荷重センサ
10 弾性変形部材
11 取付部
11a 取付用貫通孔
12 変形部
13 受け部
13a 受け部貫通孔
20 歪検出手段
21 歪検出素子
30 環状取付部材
30a 環状外周部
30b 内周部
30d 変形部側縁部
31 固着部
40 支持部材
40a 挟持端部
50 ボルト
51 当接部
52 係合凸部
60 ナット
70 スペーサ
71 固着部
W11 幅寸法
図1
図2
図3
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図5
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図11