(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回路基板が挟持されたとき前記被検査電極が配置される位置に対応する前記弾性部材の領域には相対的に弾性率の高い第一の部材が、それ以外の前記弾性部材の領域には相対的に弾性率の低い第二の部材が、それぞれ設けられる、
請求項2に記載の検査治具。
前記回路基板が挟持されたとき前記被検査電極が配置される位置に対応する前記弾性部材の領域には相対的に弾性率の高い第一の部材が、それ以外の前記弾性部材の領域には相対的に弾性率の低い第二の部材が、それぞれ設けられることにより、前記挟持ステップにおいて、前記回路基板が挟持されたとき前記被検査電極が配置される位置に対応する領域外では、前記弾性部材の弾性変形が抑制される、
請求項9に記載の検査方法。
前記弾性部材が相対的に弾性率の高い第一の層と相対的に弾性率の低い第二の層とを含むことにより、前記挟持ステップにおいて、前記第一の層で前記回路基板の凹凸が吸収され、前記第二の層で前記回路基板の前記第二挟持面に対する傾きが吸収される、
請求項9に記載の検査方法。
前記第二の挟持部に設けられた検査プローブの先端を前記検出電極として用い、前記検査プローブの先端が、前記第二挟持面から突出し、前記第二挟持面に略直交する方向に往復移動可能であることにより、前記挟持ステップにおいて、前記検出電極と前記被検査電極との距離が調整される、
請求項8に記載の検査方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第一の実施形態]
以下、
図1から
図5を参照して、本発明の第一の実施形態について説明する。
図1は、回路基板の検査装置10の全体構成を、検査される回路基板FX1とともに模式的に示す側面図である。
図2は、回路基板FX1の平面図である。
図3は、センサ基板121の平面図である。
図4は、回路基板FX1を第一の挟持部110と第二の挟持部120とで挟持した状態を示す側面図である。
図5は、弾性部材112の構成のバリエーションを示す図である。
【0026】
(回路基板)
図1及び
図2に示すように、検査装置10で検査される回路基板FX1は、基体SBと、複数の被検査電極ELと、複数の配線LDと、複数の入力電極EL´と、保護部材CL1と、を含む。
【0027】
基体SBは、厚さ数μm〜数百μmの絶縁性薄膜である。基体SBは、絶縁性、可撓性、耐熱性を有する材料(例えば、ポリイミドやPET等のプラスチック)で形成される。
【0028】
被検査電極EL、配線LD、入力電極EL´(以下これらを「導体パターン」と総称することがある。)は、回路基板FX1の用途に応じて適宜パターニングを施された、厚さ数μm〜数百μmの導電性薄膜である。被検査電極ELを含む導体パターンは、基体SBに設けられる。導体パターンは、例えば、基体SBの一の面に、エポキシ樹脂系やアクリル樹脂系の接着剤等を介して貼着されている。導体パターンは、例えば、銅箔で形成される。
【0029】
図2に示すように、被検査電極ELa,ELb,・・・,ELfは、それぞれ配線LDa,LDb,・・・LDfを介して、入力電極ELa´,ELb´,・・・,ELf´に電気的に接続されている。
図1では、見易さのため、被検査電極ELa、配線LDa、入力電極ELa´の組合せのみを示している。
【0030】
図1に示すように、保護部材CL1は、被検査電極ELの設けられた基体SBの面に積層される。保護部材CL1は、回路基板FX1の被検査電極ELを、はんだ、熱、湿気等から保護する。保護部材CL1は、絶縁性を有する材料で形成される。望ましくは、保護部材CL1は、可撓性、耐熱性を有する材料で形成される。保護部材CL1は、例えば、ポリイミドやPET等のプラスチックで形成される。保護部材CL1の厚さは、数μm〜数百μmである。
【0031】
図1及び
図2に示すように、保護部材CL1は、入力電極EL´の上方を除き、回路基板FX1の導体パターンを覆うように形成される。入力電極EL´の上方には、空隙G´が形成されている。これにより、後述する第二の挟持部120の信号入力手段125が、入力電極EL´に接触することができる。
【0032】
(検査装置)
図1に示すように、検査装置10は、回路基板挟持部11と、試験信号発生部12と、電気信号測定部13と、を含む。
【0033】
回路基板挟持部11は、検査治具100と、駆動装置130と、を含む。試験信号発生部12は、試験信号発生器160を含む。電気信号測定部13は、信号処理回路140と、A/Dコンバータ150と、測定手段170と、を含む。試験信号発生器160は、測定手段170にも接続されている。これにより、後述するように、測定手段170において、試験信号発生と電気信号測定とを統括的に制御することができる。
【0034】
(検査治具)
検査治具100は、第一挟持面113を有する第一の挟持部110と、第二挟持面124を有する第二の挟持部120と、を含む。第一の挟持部110と第二の挟持部120とは、第一挟持面113と第二挟持面124とが対向するように配置される。駆動装置130によって、第一挟持面113と第二挟持面124とが互いに平行な状態を保ちながら、第一の挟持部110と第二の挟持部120とを移動することができる(移動方向を、
図1の上下方向両矢印で示す。)。これにより、第一挟持面113と第二挟持面124との距離を変えることができる。
【0035】
(第二の挟持部)
第二の挟持部120は、センサ基板121と、信号入力手段125と、を含む。センサ基板121には、複数のセンサ電極(検出電極)122が設けられる(
図1には、センサ電極122a,122b,122cのみ示す。)。センサ電極122は,導体である。
【0036】
(信号入力手段)
信号入力手段125は、試験信号発生器160に電気的に接続されている。信号入力手段125は、例えば、複数のワイヤープローブである(
図1では、見易さのため、1本のワイヤープローブのみ示している。)。複数のワイヤープローブは、第一の挟持部110と第二の挟持部120との間に回路基板FX1を配置したとき、入力電極ELa´,ELb´,・・・,ELf´の各々の上方に位置するよう、第二の挟持部120に設けられる。
【0037】
複数のワイヤープローブの長さは、保護部材CL1の厚さ(空隙G´の深さ)よりも若干長めに設定される。これにより、第一の挟持部110と第二の挟持部120とで回路基板FX1を挟持したとき(
図4参照)、各ワイヤープローブが弾性変形し、各ワイヤープローブの先端が対応する入力電極ELa´,ELb´,・・・,ELf´を加圧する。このため、各ワイヤープローブと対応する入力電極ELa´,ELb´,・・・,ELf´との間で確実に電気的コンタクトをとることができる。その結果、試験信号発生器160から送られた試験信号を、回路基板FX1の入力電極ELa´,ELb´,・・・,ELf´に入力することができる。
【0038】
(センサ基板)
図2に示すように、センサ基板121は、第一の挟持部110と第二の挟持部120との間に回路基板FX1を配置したとき、被検査電極ELa,ELb,・・・,ELfを上方から覆う位置(破線Aで示す領域)に設けられる。
【0039】
図3(a)は、センサ基板121を、センサ電極122が設けられている面の側から見た平面図である。
図3(a)に示すように、第一の挟持部110と第二の挟持部120との間に回路基板FX1を配置したとき、センサ電極122a,122b,・・・,122fは、被検査電極ELa,ELb,・・・,ELfに対向する位置(破線Aa,Ab,・・・,Afで示す領域)に、それぞれ配置される。これにより、第一の挟持部110と第二の挟持部120とで回路基板FX1を挟持したとき(
図4参照)、被検査電極ELa,ELb,・・・,ELfと、対応するセンサ電極122a,122b,・・・,122fとが、互いに容量的に結合する。
【0040】
また、複数のセンサ電極122は、互いに電磁気的に遮蔽されている。例えば、センサ電極122の各々を取り囲む形状のシールド電極123が、センサ基板121に設けられる。センサ基板121が第二の挟持部120に設けられたときに、シールド電極123は接地される(
図1参照)。かかる構成により、センサ電極122の各々が、隣り合う被検査電極EL(例えば、センサ電極122bに対する、被検査電極ELa,ELc)と容量的に結合して不要な電気信号を拾ってしまうことを防ぐことができる。
【0041】
図3(b)は、センサ基板121を、センサ電極122が設けられている面の反対側から見た平面図である。
図3(b)に示すように、センサ電極122a,122b,・・・,122fは、配線によって互いに電気的に接続される。電気的に接続された複数のセンサ電極122は、信号処理回路140と電気的に接続される。これにより、センサ電極122で検知された電気信号が、信号処理回路140に送られる(なお、
図1では、見易さのため、センサ電極122aと信号処理回路140との電気的接続のみを示している。)。
【0042】
なお、センサ電極122と信号処理回路140との配線は、
図3(b)に示すようにすべてのセンサ電極122を共通に接続しなくてもよい。例えば、センサ電極122をいくつかのグループに分け(例えば、122a,122b,122cのグループと、122d,122e,122fのグループ)、グループ毎に信号処理回路140へ配線してもよい。
【0043】
図1に戻って、センサ基板121を第二の挟持部120に設けたとき、センサ電極122の表面は、第二挟持面124と面一になる。かかる構成により、非接触式検査を行う際に、センサ電極122の表面を保護部材CL1の表面に接触させることができる。
【0044】
(駆動装置)
駆動装置130は、第一の挟持部110及び第二の挟持部120を、第一挟持面113及び第二挟持面124と直交する方向(
図1の上下方向両矢印で示す方向)に移動させる。これにより、互いに離間した第一の挟持部110と第二の挟持部120との間に回路基板FX1を配置し、その後に、第一の挟持部110と第二の挟持部120とを近接させ、回路基板FX1を第一の挟持部110と第二の挟持部120とで挟持し(
図4参照)、この状態で非接触式検査を行い、その後に、第一の挟持部110と第二の挟持部120とを再び離間させて、検査が終了した回路基板FX1を回収することができる。
【0045】
(試験信号発生器)
図1に戻って、試験信号発生器160は、測定手段170からの指示を受信し、試験信号を生成して、信号入力手段125に送信する。試験信号は、例えば、一定周期のパルス信号である。
【0046】
(信号処理回路)
信号処理回路140は、センサ電極122で検知された電気信号を受信し、増幅等の信号処理を施して、A/Dコンバータ150に送信する。信号処理回路140は、例えば、OPアンプ等で形成されるアナログ信号増幅回路を含む。
【0047】
(A/Dコンバータ)
A/Dコンバータ150は、信号処理回路140が処理した電気信号を測定手段170が取得できるよう、前処理を行う。すなわち、A/Dコンバータ150は、信号処理回路140で処理されたアナログ信号を受信し、デジタル信号に変換して、測定手段170に送信する。
【0048】
(測定手段)
測定手段170は、コンピュータシステムを含んで形成される。コンピュータシステムは、CPU等の演算処理装置と、メモリやハードディスク等の記憶部とを含む。測定手段170は、コンピュータシステムの外部の装置との通信を実行可能なインタフェースを含む。測定手段170は、検査装置10を構成する各種装置の動作を、統括的に制御する。
測定手段170は、試験信号発生器160へ、発生する試験信号の波形及びタイミングを指示するとともに、A/Dコンバータ150でデジタル変換された電気信号を取得する。
【0049】
(第一の挟持部)
第一の挟持部110は、支持台111と、弾性部材(電極間距離調整部)112と、を含む。第一の挟持部110は、第一挟持面113を有する。
【0050】
(弾性部材)
弾性部材112は、弾性を有する材料で形成される、シート状の部材である。弾性部材112のサイズは、センサ基板121のサイズと等しいか、これより大きい。弾性部材112の厚さは、好適には、支持台111の上面の凹凸およびセンサ基板121の下面の凹凸を合わせた最大ストローク以上に弾性変形できる厚さ、例えば、2mm以上である。
【0051】
弾性部材112は、第二挟持面124と対向するように、第一の挟持部110に設けられる。第一挟持面113内で弾性部材112が設けられる領域は、センサ基板121と対向する領域、すなわち、第一挟持面113を上方から見たとき、少なくとも
図2の領域Aを含む領域とする。
【0052】
弾性部材112は、その表面が第一挟持面113から若干突出するように、支持台111に設けられる。突出する高さは、回路基板FX1を挟持したとき、弾性部材112の表面が第一挟持面113と面一になるような高さとする。これにより、回路基板FX1を挟持したとき、支持台111の上面の凹凸を弾性部材112によって吸収することができる。
【0053】
弾性を有する材料としては、例えば、天然ゴムや合成ゴム等のエラストマーや、発泡ウレタン等の発泡プラスチックを用いることができる。エラストマーとしては、例えば、スチレンブタジエンゴム、イソブレンゴム、ブタジエンゴム、クロロブレンゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム等、種々の材料を用いることができる。
【0054】
従来、第一の挟持部110として、平坦な挟持面を有する、金属又は樹脂材料で形成される支持台111が用いられていた。しかし、支持台111の挟持面を平坦化すべく、表面に研磨等の加工を施したとしても、厚さ方向数十μm程度の凹凸が局所的に発生することは避けられなかった。
【0055】
特に回路基板FX1がフレキシブル基板である場合、回路基板FX1を支持台111と第二の挟持部120とで挟持すると、回路基板FX1は支持台111の挟持面に密着する。その結果、挟持面の凹部(凸部)の直上にある保護部材CL1の上面にも、局所的に凹部(凸部)が生ずる。
【0056】
その結果、保護部材CL1の上面で凹部が生じた位置では、センサ基板121の表面と保護部材CL1との間に、空気層(エアーギャップ)が形成されるおそれがある。回路基板FX1の保護部材CL1の厚さは数μm〜数百μmであるため、支持台111の挟持面の凹部の直上における被検査電極ELとセンサ電極122との間の平均的な誘電率は、他の位置に比べて低くなる。その結果、支持台111の挟持面の凹部の直上におけるセンサ電極122で検知される電気信号は、他の位置に比べて小さくなる。また、回路基板FX1の凹凸や、センサ基板121の表面の凹凸によっても、同様に空気層(エアーギャップ)が形成されるおそれがある。
【0057】
本実施形態の検査治具100を用いた検査装置10によれば、第一の挟持部110と第二の挟持部120とで回路基板FX1を挟持したとき、センサ電極122の各々と、対応する被検査電極ELとの距離が、センサ基板121の加圧によって自動的に調整される。その結果、上述の支持台111の凹凸や、回路基板FX1の凹凸、センサ基板121の表面の凹凸(以下これらを「支持台111等の凹凸」と総称することがある。)が生じるような場合であっても、センサ電極122を保護部材CL1と密着させることができるので、検査値の精度や繰り返し安定性の低減を抑制することができる。
【0058】
より具体的には、本実施形態の検査治具100を用いた検査装置10によれば、回路基板FX1にセンサ基板121を押し付けたとき、センサ基板121の加圧によって弾性部材112が弾性変形する。このため、支持台111等の凹凸が、弾性部材112によって吸収される。これにより、回路基板FX1が支持台111等の凹凸に追随して曲がることを抑制することができるので、保護部材CL1の上面が平坦に保たれる。その結果、センサ電極122を保護部材CL1と密着させることができるので、検査値の精度や繰り返し安定性の低減を抑制することができる。
【0059】
なお、本実施形態では、
図5に示すように、複数の異なる材料で弾性部材112を形成してもよい。これにより、以下に述べるように、センサ電極122と保護部材CL1とをより密着させることが可能となる。
【0060】
例えば、
図5(a)に示すように、弾性部材112は、面内の領域に応じて異なる材料で形成されてもよい。具体的には、弾性部材112において、被検査電極ELa,ELb,・・・,ELfが配置される位置Aa,Ab,・・・、Afに対応する領域(直下の領域)には、相対的に高い弾性率の材料で形成される第一の部材112bが、それ以外の領域には、相対的に低い弾性率の材料で形成される第二の部材112aが、それぞれ設けられてもよい。
【0061】
第二の挟持部120の構成や駆動装置130の機構によっては、センサ基板121の面内の位置に依存した圧力分布が生じることがあり得る。この圧力分布は、センサ基板121及び弾性部材112が、ある程度広い面積を有する場合、より顕著なものとなる。この場合、センサ基板121によって弾性部材112を加圧したとき、弾性部材112の面内の位置に依存して収縮の程度が異なってくる。その結果、弾性部材112によって第一挟持面113の局所的な凹凸を吸収できたとしても、弾性部材112の収縮の不均一性によって、大域的な歪みが発生することがあり得る。この場合も、静電容量の低下や静電容量の不安定化、ひいては、検査値の精度や繰り返し安定性の低減が生じ得る。
【0062】
図5(a)に示す構成によれば、相対的に高い弾性率の材料で形成される第一の部材112bが、被検査電極ELが配置される位置に対応する領域に限定して配置される。これにより、相対的に高い弾性率を有する材料の面積が小さくなるので、センサ基板121によって弾性部材112を加圧したときに発生する、上述の大域的な歪みを低減することができる。その結果、被検査電極ELの直上において保護部材CL1とセンサ電極122とが、より密着されるようにすることができる。
【0063】
なお、
図5(a)に示す例では、個々のセンサ電極毎に第一の部材112bを設けたが、例えば、センサ電極122をいくつかのグループに分け(例えば、122a,122b,122cのグループと、122d,122e,122fのグループ)、グループ毎に第一の部材112bを設けてもよい。
【0064】
また、例えば、
図5(b)に示すように、弾性部材112は、厚さ方向に異なる材料で形成されてもよい。具体的には、相対的に弾性率の高い材料で形成される第一の層112cと、相対的に弾性率の低い材料で形成される第二の層112dとを、含んでいてもよい。弾性部材112を第一の挟持部110に設けるときは、第二の層112dを第一の挟持部110側に向け、第一の層112cが回路基板FX1に接触するようにする。
【0065】
図5(b)に示す構成によれば、回路基板FX1に接触する層を相対的に弾性率の高い材料で形成される第一の層112cとしたことで、回路基板FX1を挟持したとき、回路基板FX1の凹凸を吸収できる。同時に、第一の挟持部110側の層を相対的に弾性率の低い材料で形成される第二の層112dとしたことで、回路基板FX1を挟持したとき、回路基板FX1全体の第一挟持面113に対する傾きを吸収することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、信号入力手段125は、第二の挟持部120に設けられていたが、この構成に限られない。例えば、信号入力手段125は、第一の挟持部110に設けられてもよい。かかる構成により、入力電極EL´が被検査基板ELと基体SBの反対側の面(
図1では、下側の面)に設けられている場合であっても、入力電極EL´に試験信号を入力して非接触式の検査を行うことができる。
【0067】
また、本実施形態では、信号入力手段125は、入力電極EL´に接触するワイヤープローブとしたが、この構成に限られない。例えば、信号入力手段125は、センサ電極122と同様に、入力電極EL´に対向する電極としてもよい。かかる構成により、入力電極EL´が保護部材CL1で覆われている場合であっても、入力電極EL´と容量的に結合した信号入力手段125から非接触式に試験信号を送信することにより、被検査電極ELと容量的に結合したセンサ電極122で非接触式に電気信号を検知することができる。
【0068】
また、本実施形態では、信号入力手段125は、複数の入力電極EL´の各々に対応して設けられた複数のワイヤープローブとしたが、この構成に限られない。例えば、信号入力手段125は、第二の挟持部120に移動可能に設けられ、測定手段170により制御可能な、単一のワイヤープローブとしてもよい。これにより、導体パターンの形状(複数の入力電極EL´の配置)に応じて信号入力手段125を構成する部材を変更する必要がなくなる。
【0069】
また、本実施形態では、第一の挟持部110と第二の挟持部120との双方が移動可能な構成としたが、この構成に限られない。例えば、第一の挟持部110が固定され第二の挟持部120が移動可能な構成、又は、第二の挟持部120が固定され第一の挟持部110が移動可能な構成としてもよい。これにより、可動部が少なくなるので、装置の製造コストやメンテナンスコストを低減できる。
【0070】
また、本実施形態では、駆動装置130は、第一の挟持部110と第二の挟持部120とを、第一挟持面113及び第二挟持面124と直交する方向に移動させる構成としたが、この構成に限られない。例えば、第一の挟持部110と第二の挟持部120とを、第一挟持面113及び第二挟持面124と平行な方向に相対的に移動させることが可能な、位置決め手段を含む構成としてもよい。これにより、回路基板FX1の被検査電極ELの直上に対応するセンサ電極122が配置されるように、第一の挟持部110と第二の挟持部120とを位置決めすることができるので、より正確な測定を行うことができる。
【0071】
また、本実施形態では、回路基板FX1の下側に弾性部材112が、回路基板FX1の上側にセンサ電極122が配置されていたが(
図1参照)、この構成に限られない。例えば、回路基板FX1の上側に弾性部材112が、回路基板FX1の下側にセンサ電極122が配置されていてもよい。回路基板FX1の一の領域では、回路基板FX1の下側に弾性部材112が、回路基板FX1の上側にセンサ電極122が配置され、回路基板FX1の他の領域では、回路基板FX1の上側に弾性部材112が、回路基板FX1の下側にセンサ電極122が配置されていてもよい。これにより、回路基板FX1の被検査電極ELが、入力電極EL´と異なる側に設けられている場合にも、非接触検査を行うことができる。また、例えば、回路基板FX1の表面と被検査電極ELとの間に配線などの障害物があるため、回路基板FX1の表面側にセンサ電極122を配置すると正確な検査ができない場合にも、回路基板FX1の裏面側にセンサ電極122を配置して非接触検査を行うことができる。
【0072】
(検査方法)
以下、本実施形態の検査装置10を用いた回路基板の検査方法について説明する。検査装置10を用いた回路基板の検査方法は、配置ステップと、挟持ステップと、信号入力ステップと、信号処理ステップと、測定ステップと、を含む。
【0073】
(配置ステップ)
配置ステップでは、互いに離間した第一の挟持部110と第二の挟持部120との間に回路基板FX1を配置する。検査装置10が上述の位置決め手段を含む場合には、必要に応じて、被検査電極ELの直上に対応するセンサ電極122が配置されるように、第一の挟持部110や第二の挟持部120の位置を調整する。
【0074】
(挟持ステップ)
挟持ステップでは、駆動装置130を用いて第一の挟持部110と第二の挟持部120とを移動させて、第一の挟持部110と第二の挟持部120とで回路基板FX1を挟持する。このとき、信号入力手段125は空隙G´に陥入し、入力電極EL´に接触する。また、センサ電極122の各々は、対応する被検査電極ELと容量的に結合する。
【0075】
挟持ステップにおいては、センサ電極122の各々と、対応する被検査電極ELとの距離が、センサ基板121の加圧によって自動的に調整される。その結果、センサ電極122を保護部材CL1と密着させることができる。
【0076】
より具体的には、回路基板FX1にセンサ基板121を押し付けたとき、センサ基板121の加圧によって弾性部材112が弾性変形する。このため、支持台111等の凹凸が弾性部材112によって吸収される。これにより、回路基板FX1が支持台111等の凹凸に追随して曲がることを抑制することができるので、保護部材CL1の上面が平坦に保たれる。その結果、センサ電極122が保護部材CL1と密着する。
【0077】
弾性部材112が複数の異なる材料で形成される場合には、センサ電極122と保護部材CL1とをより密着させることが可能となる。
【0078】
例えば、弾性部材112が面内の領域に応じて異なる材料で形成されている場合は(
図5(a)参照)、回路基板FX1を挟持したとき、被検査電極ELが配置される位置に対応する領域外では、弾性部材112の弾性変形が抑制される。このため、大域的な歪みの発生を抑制することができるので、センサ電極122と保護部材CL1との密着を高めることができる。
【0079】
また例えば、弾性部材112が厚さ方向に異なる材料で形成されている場合は(
図5(b)参照)、回路基板FX1を挟持したとき、相対的に弾性率の高い材料で形成される第一の層112cにより回路基板FX1の凹凸を吸収するとともに、相対的に弾性率の低い材料で形成される第二の層112dで回路基板FX1全体の第一挟持面113に対する傾きを吸収することができる。
【0080】
(信号入力ステップ)
測定手段170は試験信号発生器160に、試験信号の波形やタイミングを指示する。試験信号発生器160は、試験信号を生成して信号入力手段125に送信し、入力電極EL´に試験信号を入力する。試験信号の入力により、被検査電極ELとセンサ電極122とで形成されるコンデンサで蓄電され、センサ電極122の電圧が変化する。
【0081】
(信号処理ステップ)
センサ電極122で電圧として検知される電気信号を信号処理回路140で受信し、増幅等の信号処理を施す。信号処理で得られた電気信号を、A/Dコンバータ150に送信する。A/Dコンバータ150は、信号処理で得られた電気信号を測定手段170が取得できるようにするために、前処理(デジタル変換)を行う。
【0082】
(測定ステップ)
測定手段170は、A/Dコンバータ150が前処理した電気信号を取得する。試験信号発生器160に指示した試験信号の波形やタイミングのデータと合わせて、取得した電気信号のデータを解析することにより、検査を行った被検査電極ELと入力電極EL´との間における断線の有無を検査できる。
【0083】
本実施形態に係る検査方法では、センサ電極122の各々と、対応する被検査電極ELとの距離が、センサ基板121の加圧によって自動的に調整される。その結果、センサ電極122を保護部材CL1と密着させることができるため、非接触検査における検査値の精度や繰り返し安定性の低減を抑制することができる。
【0084】
[第二の実施形態]
以下、
図6から
図10を参照して、本発明の第二の実施形態について説明する。以下、第一の実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0085】
図6は、回路基板の検査装置20の全体構成を、検査される回路基板FX2とともに模式的に示す側面図である。
図7は、回路基板FX2の平面図である。
図8は、検査プローブ支持部221の平面図である。
図9は、検査プローブの断面図、及び、検査プローブのバリエーションを示す側面図である。
図10は、回路基板FX2を第一の挟持部110と第二の挟持部220とで挟持した状態を示す側面図である。
図6,
図10において、第一の実施形態と共通の構成要素である駆動装置130、信号処理回路140、A/Dコンバータ150、試験信号発生器160、及び、測定手段170は、図示を省略している。
【0086】
本実施形態において第一の実施の形態と異なる点は、検査される回路基板FX2の保護部材CL2が、被検査電極ELの近傍で薄く形成されている点、及び、この点に対応して、第二の挟持部220が検査プローブ222を含む点である。よって以下では、保護部材CL2の構成及び検査プローブ222の構成を中心に説明する。
【0087】
(回路基板)
図6及び
図7に示すように、検査装置20で検査される回路基板FX2は、基体SBと、複数の被検査電極ELと、複数の配線LDと、複数の入力電極EL´と、保護部材CL2と、を含む。
【0088】
(保護部材)
保護部材CL2は、基体SBの上に積層された第一の保護層CL21と、第一の保護層CL21の上に積層された第二の保護層CL22とからなる。
【0089】
第一の保護層CL21は、保護部材CL2の基底をなし、被検査電極ELや配線LDをはんだ、熱、湿気等から保護するとともに、第二の保護層CL22を支持する。第一の保護層CL21は、例えばポリイミドで形成される。第一の保護層CL21の厚さは、数μm〜数百μmである。第二の保護層CL22は、例えばポリイミド、PET等のプラスチックで形成される。第二の保護層CL22の厚さは、数μm〜数百μmである。なお、第二の保護層CL22は、異なる配線レイヤやシールド材料で形成されてもよい。
【0090】
第一の保護層CL21及び第二の保護層CL22は、入力電極EL´近傍では除去されている。これにより、入力電極EL´を底面に有する空隙G´が形成され、信号入力手段225が入力電極EL´に接触することができる。なお、信号入力手段225の構成は、第一の実施手形態における信号入力手段125と同じでよい。
【0091】
被検査電極ELの近傍では、第二の保護層CL22のみが除去されており、第一の保護層CL21のみが被検査電極ELを覆っている。その結果、被検査電極EL(ELa,ELb,・・・,ELf)の上部には、第一の保護層CL21の上面を底面とする空隙G(Ga,Gb,・・・,Gf)が形成される。Gの深さは、第二の保護層CL22の厚さと等しく、数μm〜数百μmである。
【0092】
(第二の挟持部)
本実施形態に係る検査治具200は、第一の挟持部110と、第二の挟持部220と、を含む。
図6及び
図10に示すように、第二の挟持部220には、複数の検査プローブ(電極間距離調整部)222及び信号入力手段225が設けられる。複数の検査プローブ222の先端(検出電極)223(
図9参照)は、第二の挟持部220の第二挟持面224から突出する。検査プローブ222は、第一の挟持部110と第二の挟持部220との間に回路基板FX2が配置されたとき被検査電極ELと対向するように、第二の挟持部220に設けられる。
【0093】
(検査プローブ)
検査プローブ222の先端223は、第二挟持面224に略直行する方向に往復移動可能である。これにより、検査プローブ222が一定のストロークを有するため、空隙Gの深さに応じて、検査プローブ222の先端223を、第一の保護層CL21に密着させることができる。その結果、非接触検査における検査値の精度や繰り返し安定性の低減を抑制することができる。
【0094】
検査プローブ222の先端223は、例えば、バネ(付勢部材)2222で付勢されたプローブピン2223である。
図9(a)に示すように、検査プローブ222は、例えば、バネ2222で付勢された一対のプローブピン2223,2224が、円筒状の筐体2221に取り付けられた構成を有する。これにより、検査プローブ222が上下方向に圧力を受けたとき、バネ2222が縮み一対のプローブピン2223,2224が互いに接近する。バネ2222及び一対のプローブピン2223,2224は、導電性材料(例えば金属)で形成される。これにより、一方のプローブピン2223と他方のプローブピン2224とが、バネ2222を介して電気的に接続されている。
【0095】
プローブピン2223の断面直径は、数十m〜数百μmである。
図9(b)〜(e)に示すように、プローブピン2223は、種々の形状をとりうる。プローブピン2223は、バネ2222で付勢されているため、第一の保護層CL21を加圧する。その結果、プローブピン2223(先端223)が第一の保護層CL21に確実に密着することができる。
【0096】
平行平板コンデンサの静電容量が、電極の面積に比例することに鑑みると、プローブピン2223と被検査電極ELとで形成されるコンデンサの静電容量を大きくするためには、プローブピン2223の先端の底面積を極力広くすることが望ましい。例えば、
図9(b)のように、プローブピン2223を円柱状に形成することが考えられる(この場合、プローブピン2223の角部が保護部材CL2を傷つけないよう、平坦性を損なわない程度に面取りを行うことが望ましい。)。
【0097】
通常、被検査電極ELの面積は、プローブピン2223の断面直径と同程度であるため、
図9(b)の構成が最適な構成である。もっとも、より広い面積の被検査電極ELを、一本のプローブピン2223で検査するのであれば、例えば
図9(c)のように、プローブピン2223をピストン形状にして、被検査電極ELに対向する面積をより広げることも考えられる。
【0098】
図9(d)のラウンド形状や、
図9(e)のニードル形状であっても、ある程度は被検査電極と容量的に結合するため、非接触検査に用いることは可能である。もっとも、角部が保護部材CL2を傷つけないようにするためには、
図9(e)よりも
図9(d)の形状の方が望ましい。
【0099】
なお、プローブピン2224には、後述するように、信号処理回路140に接続されるワイヤが配線される。このため、プローブピン2224の形状は、ニードル形状であっても構わない。
【0100】
図6及び
図10に戻って、検査プローブ222は、第二の挟持部220の下側に設けられた検査プローブ支持部221によって支持される。検査プローブ支持部221は、例えば、プラスチック等の絶縁体で形成された板状の部材であり、検査プローブ222が板厚方向に貫くように取り付けられている。
【0101】
検査プローブ222a,222b,・・・,222fが検査プローブ支持部221から突出する長さは、被検査電極ELa,ELb,・・・,ELfの上方に形成された空隙Ga,Gb,・・・,Gfの深さよりも若干長く設定し、検査プローブ222のストロークを空隙Gの深さに対応する長さとする。これにより、第一挟持面113と第二挟持面224とで回路基板FX2を挟持したとき、
図10に示すように、検査プローブ222の先端223が、第一の保護層CL21を介して被検査電極ELと容量的に結合する。その結果、非接触に電気信号を検知することができる。
【0102】
図8に示すように、検査プローブ支持部221を平面視したとき、検査プローブ支持部221に取り付けられた検査プローブ222a,222b,・・・,222fは、第一の挟持部110と第二の挟持部220との間に配置された回路基板FX2の被検査電極ELa,ELb,・・・,ELfの位置する領域Aa,Ab,・・・、Afに、それぞれ含まれるように配置されている。
【0103】
なお、隣接する検査プローブ222の間の距離が短い場合には、検査プローブ222が、隣り合う被検査電極ELとも容量的に結合し、不要な電気信号を拾ってしまうおそれがある。これを防ぐために、複数の検査プローブ222は、互いに電磁気的に遮蔽されている。例えば、検査プローブ222の各々を取り囲む形状のシールド電極226が、検査プローブ支持部221に設けられる。検査プローブ支持部221が第二の挟持部220に設けられたときに、シールド電極226は接地される(
図6参照)。
【0104】
図6に示すように、検査プローブ支持部221に取り付けられた検査プローブ222の、回路基板FX2と反対側のプローブピン2224には、ワイヤが配線される。ワイヤは、信号処理回路140に接続される。これにより、プローブピン2223(先端223)で検出された電気信号が、検査プローブ222内部のバネ2222、プローブピン2224を経由して、信号処理回路140に送信される。
【0105】
なお、プローブピン2224と信号処理回路140との配線は、すべてのプローブピン2224を共通に接続しなくてもよい。例えば、プローブピン2224をいくつかのグループに分け、グループ毎に信号処理回路140へ配線してもよい。
【0106】
また、プローブピン2224を信号処理回路140に接続する構成は、上記のものに限られない。例えば、検査プローブ222を取り付けた検査プローブ支持部221を第二の挟持部220に設けたとき、プローブピン2224が突出する位置に、信号処理回路140に接続された補助電極を配置してもよい。これにより、検査プローブ支持部221を第二の挟持部220に設けたとき、バネ2222で付勢されたプローブピン2224が補助電極を加圧するため、検査プローブ222の各々と対応する補助電極との間で確実に電気的コンタクトをとることができる。
【0107】
本実施形態の検査治具200を用いた検査装置20によれば、被検査電極ELの上方に形成された空隙Gに挿入可能に設けられた検査プローブ222の先端223(プローブピン2223)を検出電極として用いるため、検出電極を第一の保護層CL21に密着させて被検査電極と容量的に結合させることができる。その結果、回路基板FX2を治具で挟持したとき、検出電極と被検査電極ELとの間に空気層(空隙G)が存在するために、両電極間の静電容量が減少し、検査値の精度が低下することを防ぐことができる。
【0108】
本実施形態の検査治具200を用いた検査装置20によれば、第一の実施形態のセンサ電極122の近傍において、弾性部材112で追従できない様な段差がある場合、すなわち、弾性部材112だけではセンサ電極122を保護部材と密着させることができない場合であっても、プローブピン(検出電極)2223を第一の保護層CL21と密着させることができるので、非接触検査における検査値の精度や繰り返し安定性の低減を抑制することができる。
【0109】
なお、本実施形態では、被検査電極を、一本のプローブピンで検査していたが、この構成に限られない。例えば、広い面積の電極に対しては、当該面積内に複数のプローブピンが配置されるよう、検査プローブ222を検査プローブ支持部221で支持する。さらに、これらの検査プローブ222同士を、電気的に接続する。この構成により、広い面積の電極で検知された電気信号を、これらのプローブピンで検知された電気信号を併せて信号処理回路140に送信することができる。また、同じプローブピン(例えば、
図9(b)の形状)を、電極の面積に合わせて本数を変えて配置するため、電極の面積ごとに異なる形状のプローブピン(例えば、
図9(c))を作製する必要がなくなる。その結果、検査装置の製作コストやメンテナンスコストを低減できる。
【0110】
[第三の実施形態]
以下、
図11及び
図12を参照して、本発明の第三の実施形態について説明する。以下、第一、第二の実施形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0111】
図11は、回路基板の検査装置30の全体構成を、検査される回路基板FX2とともに模式的に示す側面図である。
図12は、回路基板FX2を第一の挟持部310と第二の挟持部220とで挟持した状態を示す側面図である。
図11及び
図12において、第一の実施形態と共通の構成要素である駆動装置130、信号処理回路140、A/Dコンバータ150、試験信号発生器160、及び、測定手段170は、図示を省略している。
【0112】
非接触検査は、高温環境下(例えば、50〜150℃)で行われる場合がある。この場合、第一の挟持部に、エラストマーで形成される弾性部材を設けていたとすると、弾性部材や、弾性部材を第一の挟持部に固定する接着剤が溶融し、検査治具を損傷するおそれがある。
【0113】
本実施形態に係る検査治具300は、第一の挟持部310と、第二の挟持部220と、を含む。第一の挟持部310には、弾性部材は用いられない。第一の挟持部310は、例えば、上面を平坦化した金属製の支持台である。この場合、第一の実施形態で述べたとおり、第一の挟持部310の上面に数十μm程度の凹凸が生じることがある。しかし、凹凸の有無にかかわらず、第二の挟持部220に設けられた検査プローブは、第二の挟持部220を回路基板FX2に押し付けたとき(
図12参照)、適宜プローブピンを伸長させて、対応する被検査電極の直上の保護部材に密着することができる。したがって、非接触検査における検査値の精度や繰り返し安定性の低減を抑制することができる。
【0114】
本実施形態に係る検査治具300を用いた検査装置30によれば、回路基板FX2を高温環境下において検査する場合に、弾性部材を用いず、検査プローブのみでセンサ電極を保護部材と密着させることができる。この場合、加熱の熱源を第一の挟持部310に近接させるだけでなく第二の挟持部220に近接させてもよいので、加熱効率よく、また容易に温度制御することができる。
【0115】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。