特許第6611332号(P6611332)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6611332
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】計量容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/26 20060101AFI20191118BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   B65D41/26
   B65D47/12 300
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-2401(P2016-2401)
(22)【出願日】2016年1月8日
(65)【公開番号】特開2017-121961(P2017-121961A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2018年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】吉田 航
(72)【発明者】
【氏名】田代 歳広
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/049906(WO,A1)
【文献】 実開平01−130958(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00−55/16
B65D 35/44−35/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器口部を有し、液状または粉状の内容物を収容可能な容器本体と、前記容器口部に装着されたノズル中栓と、前記ノズル中栓に着脱自在に設けられた計量キャップを備えた計量容器であって、
前記ノズル中栓が、前記容器口部に装着される筒壁部と、前記筒壁部の内側に形成されて前記容器口部の内側に挿入される底壁部と、前記底壁部に立設された注出筒とを具備してなり、
前記計量キャップが、前記ノズル中栓の筒壁部側に一部挿入される計量筒と、前記計量筒の一方の開口端を閉じる蓋部と、前記計量筒において前記蓋部側に形成され前記ノズル中栓の開口部に被せられるフランジ部と、前記フランジ部に対して交差する向きに形成され、前記筒壁部に対する前記計量キャップの装着時に前記筒壁部の外面に沿わせられる複数の延出片と、を備えてなり、
前記筒壁部はその外面に、前記計量キャップの装着時に、前記延出片に設けられたキャップ側係合凸部に係合する第1の係合凸部と、前記延出片に設けられた係合溝に係合する第2の係合凸部と、を有し
前記第2の係合凸部は、前記計量キャップが装着された状態において前記係合溝と互いに係合するとともに、前記計量キャップの周方向への回動操作によって前記延出片が前記第2の係合凸部を乗り越え可能な高さに設定されている、計量容器。
【請求項2】
前記第1の係合凸部は、前記計量キャップの周方向に沿って延在し、
前記第2の係合凸部は、前記計量キャップの装着方向に沿って延在している、請求項1に記載の計量容器。
【請求項3】
前記第2の係合凸部は、その少なくとも一部が前記第1の係合凸部に対向するとともに、前記計量キャップの前記周方向における前記第1の係合凸部の一端側へ偏って配置されている、請求項1または2に記載の計量容器。
【請求項4】
前記筒壁部の外面には、前記計量キャップが装着された状態において前記延出片に対向する凹状の窪み部が形成されており、前記計量キャップが前記ノズル中栓に装着された状態において前記計量キャップの前記周方向で前記窪み部と前記延出片との間に隙間が形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の計量容器。
【請求項5】
前記延出片は、前記フランジ部側から先端側にかけて幅寸法が縮寸されている、請求項1からのいずれか一項に記載の計量容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量容器に関する。
【背景技術】
【0002】
柔軟剤、液体洗剤等の容器本体に採用されている計量キャップは、一般的に計量機能を備え、計量した内容物を外側から視認できるようにキャップ周壁を透明性の高い部材から構成し、所望の計量機能を得るためにキャップ周壁に計量目盛を印刷や成形によりレリーフとして形成している。
【0003】
また、この種の容器本体には、内容物の注出量を調整したり、詰め替えパウチからの内容物を補充するためのノズル中栓を嵌合した形態が多く用いられているが、内容物が液体の場合、ノズル中栓と計量キャップの着脱構造は、輸送やハンドリングにおいて液漏れを生じ難いようにネジ嵌合構造とされることが一般的である。
【0004】
ネジ嵌合構造として下記のような構造が提案されている。
例えば、容器本体に蓋体を嵌合する場合に、容器本体の係合凹部と蓋体の係合突起とを対応させて被嵌し、上方より押圧すると係合突起が係合凹溝に係合して容器に固定される構造が、特許文献1に記載されている。
また、蓋を瓶の上部に押し込むことにより、蓋の突部が瓶の上部に設けられた凹部に押し込まれて係合し、蓋が瓶の上部に嵌着される構造が、特許文献2に記載されている。
また、蓋体側の内周面に設けられた複数の水平リブと、容器本体の首部に設けられた複数の水平リブ及び複数の嵌合溝とが嵌合することによって閉状態とされ、閉状態(嵌合状態)にある蓋体を回転または変形させることにより水平リブと嵌合溝との嵌合状態が解除されて蓋体が外れる構造が、特許文献3に記載されている。
また、容器に連結可能な接続器具と、接続器具と対になる蓋とを備え、接続器具の外周面と蓋の内周面にネジ山が形成されており、ネジ山に沿って蓋を回転させることで容器に取り付けられた接続器具に蓋が固定される構造が、特許文献4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭49−120651号公報
【特許文献2】実開昭55−74661号公報
【特許文献3】特開平10−305854号公報
【特許文献4】特開2009−184711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しなしながら、ネジ嵌合構造の場合、液体洗浄剤を取り扱う際に、手指が水分で濡れていたり洗浄剤が付着していたりすると手指が滑りやすくなり、計量キャップを操作しにくい場合があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、内容物の計量とノズル中栓を密閉する機能を有し、容器本体に対する計量キャップの開封性を向上した計量容器を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様における計量容器は、容器口部を有し、液状または粉状の内容物を収容可能な容器本体と、前記容器口部に装着されたノズル中栓と、このノズル中栓に着脱自在に設けられた計量キャップを備えた計量容器であって、前記ノズル中栓が、前記容器口部に装着される筒壁部と、この筒壁部の内側に形成されて前記容器口部の内側に挿入される底壁部と、この底壁部に立設された注出筒とを具備してなり、前記計量キャップが、前記ノズル中栓の筒壁部側に一部挿入される計量筒と、前記計量筒の一方の開口端を閉じる蓋部と、前記計量筒において前記蓋部側に形成され前記ノズル中栓の開口部に被せられるフランジ部と、前記フランジ部に対して交差する向きに形成され、前記筒壁部に対する前記計量キャップの装着時に前記筒壁部の外面に沿わせられる複数の延出片と、を備えてなり、前記筒壁部はその外面に、前記計量キャップの装着時に、前記延出片に設けられたキャップ側係合凸部に係合する第1の係合凸部と、前記延出片に設けられた係合溝に係合する第2の係合凸部と、を有し、前記第2の係合凸部は、前記計量キャップが装着された状態において前記係合溝と互いに係合するとともに、前記計量キャップの周方向への回動操作によって前記延出片が前記第2の係合凸部を乗り越え可能な高さに設定されている
【0009】
また、本発明の一態様における計量容器において、前記第1の係合凸部は、前記計量キャップの周方向に沿って延在し、前記第2の係合凸部は、前記計量キャップの装着方向に沿って延在している構成としてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様における計量容器において、前記第2の係合凸部は、その少なくとも一部が前記第1の係合凸部に対向するとともに、前記第1の係合凸部における前記計量キャップの前記周方向における一端側へ偏って配置されている構成としてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様における計量容器において、前記第2の係合凸部は、前記計量キャップが装着された状態において前記係合溝と互いに係合するとともに、前記計量キャップの回動操作によって前記延出片が前記第2の係合凸部を乗り越え可能な高さに設定されている構成としてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様における計量容器において、前記筒壁部の外面には、前記計量キャップが装着された状態において前記延出片に対向する凹状の窪み部が形成されており、前記計量キャップが前記ノズル中栓に装着された状態において前記計量キャップの前記周方向で前記窪み部と前記延出片との間に隙間が形成される構成としてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様における計量容器において、前記延出片は、前記フランジ部側から先端側にかけて幅寸法が縮寸されている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のキャップによれば、内容物の計量とノズル中栓を密閉する機能を有し、容器本体に対する計量キャップの開封性を向上した計量容器を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態の計量容器が容器本体に取り付けられた状態を示す図。
図2】(a)は、計量容器の構成を示す図、(b)は、容器本体の口頸部とノズル中栓との構成を示す断面図。
図3】(a)は、ノズル中栓の構成を示す正面図、(b)は、ノズル中栓の構成を示す側面図。
図4】計量キャップの装着方向を示す図。
図5】(a)〜(c)は、計量キャップの概略構成を示す図。
図6】(a),(b)は、計量キャップの取り外し操作を説明するための図。
図7】計量キャップの取り外し操作を説明するための図。
図8】計量キャップの取り付け操作を説明するための図
図9】第2実施形態のノズル中栓の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「第1実施形態」
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、第1実施形態の計量容器が容器本体に取り付けられた状態を示す図である。
本実施形態の計量容器Aは、図1に示すように、樹脂製の中空の容器本体1の口頸部(容器口部)2に取り付けられるもので、ノズル中栓3と計量キャップ5と有して構成されている。
【0017】
(容器本体)
先ず、本実施形態の計量容器Aが取り付けられる容器本体1について述べる。
容器本体1は、柔軟剤、液体洗剤などの液体あるいは粉末状洗剤や粉末状柔軟剤等の粉体を収容可能な中空容器であり、略四角形状の底壁6と側壁7と肩部8と口頸部2から構成されたボトル型の容器である。
【0018】
容器本体1は、例えばポリエチレン等のオレフィン系合成樹脂を用いたブロー成型などにより一体形成されている。ノズル中栓3は、例えばポリプロピレン等のオレフィン系合成樹脂を用いた射出成型により一体形成されている。計量キャップ5は、例えばポリプロピレン等のオレフィン系合成樹脂を用いた射出成型により一体形成されている。勿論、これらの構成材料と成型方法は一例であり、これら材料や成型方法に制限されるものではなく、容器本体1の形状も本実施形態に示す形状に限るものではない。
【0019】
図2(a)は、計量容器の構成を示す図であり、図2(b)は、容器本体の口頸部とノズル中栓との構成を示す断面図である。図3(a)は、ノズル中栓の構成を示す正面図であり、図3(b)は、ノズル中栓の構成を示す側面図である。図4は、計量キャップの装着方向を示す図である。
【0020】
図2(a),(b)に示すように、容器本体1の口頸部2は円筒状に形成され、その外周部に螺子部2a(図2(b))が形成されている。そして、この螺子部2aにノズル中栓3が螺合されている。
【0021】
(ノズル中栓)
ノズル中栓3は、図2(a),(b)に示すように、容器本体1の円筒状の口頸部2に螺合される筒壁部10を備えている。この筒壁部10は、内周面の下部側に螺子部11aを設けた外筒壁11と、外筒壁11の内周側に接続壁12を介して延設された内筒壁13と、を備えている。
【0022】
内筒壁13には、その底部内側に、傾斜面16aを有する底壁部16が形成され、底壁部16の一部に開口部16bが形成されるとともに、開口部16bの縁部に注出筒17が立設されている。内筒壁13は外筒壁11の下端より若干下方側にまで外筒壁11と平行に延出され、その底部側に底壁部16が形成されている。
【0023】
注出筒17の先端部は、注出側に向けて傾斜した面17aを有するように斜め方向に切除されている。また、注出側と反対側の側壁面には、縦方向にスリット状の開口部17bが形成され、内容液を注出できるように構成されている。
【0024】
ノズル中栓3は、内筒壁13を口頸部2の内側に挿入し、外筒壁11の螺子部11aを容器本体1の口頸部2の螺子部2aに螺合することで筒壁部10が容器本体1の口頸部2に着脱自在に螺合されている。
【0025】
接続壁12の下面側であって外筒壁11と内筒壁13との間の部分には、インナーリング15が形成されている。内筒壁13を口頸部2に挿入して外筒壁11の螺子部11aを口頸部2の螺子部2aに螺合完了した状態において、インナーリング15が口頸部2の開口部に密に挿入される。このため、口頸部2の開口部を、外筒壁11、内筒壁13およびインナーリング15で液密的に閉塞することができる。
【0026】
口頸部2およびノズル中栓3はいずれも概略円筒形状をなしており、ノズル中栓3を口頸部2に螺合した状態においてそれらの中心軸線C1は共有されている。よって、図2(b)において中心軸線C1に沿う方向を計量キャップ5の高さ方向、中心軸線C1に直交する方向を計量キャップ5の径方向、中心軸線C1の軸回りを計量キャップ5の周方向ということができ、中心軸線C1に沿って容器本体1の底部に向かう側を下方、口頸部2の上端側に向かう側を上方ということができる。
【0027】
外筒壁11には、開口側の周縁部に形成された環状凹部11Bと、環状凹部11Bに連通する一対の窪み部11Aが形成されている。一対の窪み部11Aは、外筒壁11の周回りに180゜の間隔で径方向に左右対称となる位置に形成されている。この窪み部11Aは、外筒壁11から内側に凹む凹状をなし、外筒壁11の上下方向において外筒壁11の上端部から外筒壁11の下部近くまで達する長さを有している。また、窪み部11Aは、外筒壁11の周方向において外筒壁11の全周の1/6程度の幅を有する大きさに形成されている。
【0028】
各窪み部11Aには、以下に説明する第1の係合凸部18と第2の係合凸部19がそれぞれ形成されている。第1の係合凸部18は、窪み部11Aの中央より上部側に設けられ、筒壁部10の周方向へ延在する線状の凸部である。第1の係合凸部18の延在長さLは、約7mmである。
【0029】
第2の係合凸部19は、外筒壁11の外面において第1の係合凸部18の形成位置よりも下方側に間隔をあけて形成され、筒壁部10の軸方向であって計量キャップ5の装着方向(図4の矢印bで示す方向)に沿って延在している。第2の係合凸部19は、平面視矩形状をなす凸部であり、第1の係合凸部18よりも太さを有する。第2の係合凸部19の太さ、すなわち図3(a)に示す筒壁部10の周方向における幅Wは、約2mmである。
【0030】
なお、第1の係合凸部18及び第2の係合凸部19の寸法は上記した寸法に限られず、容器本体1の大きさ等に応じて適宜設定される。
【0031】
本実施形態においては、第1の係合凸部18及び第2の係合凸部19が、外筒壁11の周方向における窪み部11Aの中央にそれぞれ配置されている。
【0032】
上述したように、図3(a)に示す窪み部11Aは、外筒壁11の周方向に180゜の間隔で形成されている。そのため、各窪み部11Aに形成されている第1の係合凸部18及び第2の係合凸部19を図3(b)に示す方向から見た場合に、これらは外筒壁11の左右両側の対称位置にそれぞれ形成されている。
【0033】
また、環状凹部11Bには、一対の第3の係合凸部14が形成されている。第3の係合凸部14は、第1の係合凸部18と同様、筒壁部10の周方向へ延在する凸部であるが、計量キャップ5の抜け止め機能が得られれば、延在長さは第1の係合凸部18より短くてもよい。これら一対の第3の係合凸部14は、外筒壁11の周方向に180°の間隔で、一対の窪み部11Aの配置方向に交差する位置にそれぞれ設けられている。つまり、図3(a)に示す方向から見た場合に、各第3の係合凸部14,14が外筒壁11の左右両側の対称位置に形成されている。
【0034】
第2の係合凸部19は、計量キャップ5が装着された状態においてセット部(延出片)25に設けられた係合溝28内に収まる高さに設定されている。本実施形態では、例えば、第2の係合凸部19の端面19aが係合溝28内に位置する高さとされている。
【0035】
なお、ユーザーが計量キャップ5を取り外そうとするとき以外は、容器本体1に装着された計量キャップ5の回動方向への移動が規制されればよいため、例えば、端面19aが外筒壁11の外周面11bと一致していてもよいし、係合溝28から外側に僅かに突出していてもよい。この場合、第2の係合凸部19の高さが高すぎると計量キャップ5の回動操作時に大きな力を要することになるため、セット部25が第2の係合凸部19を乗り越え可能な高さにする。
【0036】
計量キャップ5がノズル中栓3に装着された状態において、第2の係合凸部19と係合溝28とが互いに係合して計量キャップ5の装着状態が維持され、かつ、計量キャップ5の取り外し操作を容易に行えるような寸法構成であればよい。このように、計量キャップ5がノズル中栓3に装着された状態において、第2の係合凸部19と係合溝28とは相互に接触し得るが、それらの寸法は、ノズル中栓3に対する計量キャップ5の取り付け、取り外しに支障のないように予め設定されている。
【0037】
また、セット部25における係合溝28の一方の側面を傾斜面あるいは湾曲面としてもよい。この場合、計量キャップ5の回動方向とは反対側の側面に、外周面側から内周面側へ向かう傾斜あるいは湾曲を付与することで、計量キャップ5の回動操作時にセット部25が第2の係合凸部19上を乗り越えやすくなり、計量キャップ5の取り外しをスムーズに行うことができる。
【0038】
窪み部11Aの縁部は、外筒壁11の周方向において第2の係合凸部19と所定距離離間し、後述する計量キャップ5のセット部25の正面視形状を相似形状でなぞるように湾曲形成されている。具体的に窪み部11Aの縁部は、図3(a)に示すように正面視した場合、サインカーブの一部を切り取った凹部型輪郭形状とされており、この縁部の一部に案内部11Cが形成されている。
【0039】
このような構成のノズル中栓3は、図2(b)に示すように、容器本体1の口頸部2に対して注出筒17を上向きにして内筒壁13を口頸部2の内側に挿入し、外筒壁11の螺子部11aを口頸部2の螺子部2aに螺合することで容器本体1に装着されている。
【0040】
外筒壁11の螺子部11aに対し、口頸部2の螺子部2aを奥側まで完全に螺合してインナーリング15を口頸部2の開口部に挿入することで、口頸部2の開口側をノズル中栓3により液密的に閉じることができる。これにより、口頸部2の螺子部2aとノズル中栓3の螺子部11aの螺合部分を介する液漏れを防止できる。
【0041】
(計量キャップ)
図5(a)〜(c)は、計量キャップの概略構成を示す図である。図6(a),(b)および図7は、計量キャップの取り外し操作を説明するための図である。図8は、計量キャップの取り付け操作を説明するための図である。
【0042】
計量キャップ5は、図5(a)に示すように、蓋部21を有する有蓋円筒形状の計量筒22と、計量筒22の高さ方向中央側周壁に外向きに形成されたフランジ部23と、を主体として構成されている。
【0043】
フランジ部23の内側には、図5(b)に示すように、計量キャップ5をノズル中栓3に装着した状態において、ノズル中栓3の外筒壁11の第3の係合凸部14に係合するキャップ側係合凸部26が形成されている。キャップ側係合凸部26は、図5(b)の破線で示す位置であって、180°の間隔でフランジ部23の左右両側の対称位置に形成されている。
【0044】
フランジ部23の内周縁側には、計量筒22の周囲を取り囲むリング部(不図示)が形成されている。フランジ部23の外周縁部側には、フランジ部23の周回りに180゜の間隔で設けられた一対のセット部25,25が形成されている。
【0045】
各セット部25は、正面視舌型にそれぞれ形成された薄型片であり、各々が下向き(図5(c)では上向き)に延出されている。セット部25の先端部分には正面視丸型の先端縁部25aが形成されている。樹脂製のセット部25は舌状であるので、適度な弾性を有する。
【0046】
図2(a)に示すように、計量キャップ5をノズル中栓3に装着し、外筒壁11の窪み部11Aの底部中央にセット部25の先端縁部25aを位置合わせした状態で、セット部25の先端縁部25aは窪み部11Aの案内部11Cに若干の隙間Sをあけて位置するようになっている。また、計量キャップ5が装着された状態において、セット部25の側縁部25bと窪み部11Aの案内部11Cとの間には所定の隙間Sが形成される。
【0047】
隙間Sは、下位係合部30の解除なし得るだけ、計量キャップ5の回動を許容できる隙間であることが好ましい。計量キャップ5が装着された状態のときに、計量キャップ5のセット部25の側縁部25bが窪み部11Aの案内部11Cに接していると、取り外し時に計量キャップ5を回動させることができなくなってしまう。そのため、隙間の最大寸法を、少なくとも第2の係合凸部19の幅寸法以上にすることが好ましい。
【0048】
セット部25の内面上部側には、図2(a)に示すように、計量キャップ5をノズル中栓3に装着した状態において、ノズル中栓3の外筒壁11の第1の係合凸部18に係合するキャップ側係合凸部(第3の係合凸部)27が形成されている、キャップ側係合凸部27は、図2(a)あるいは図5(a)の破線で示す位置に形成されている。キャップ側係合凸部27の下方には、計量キャップ5のノズル中栓3への装着状態において、外筒壁11の第2の係合凸部19に係合する係合溝28が図5(a)に示す位置に形成されている。
【0049】
外筒壁11の案内部11Cは、窪み部11Aのサインカーブ状の縁部に沿って形成され、セット部25の先端縁部25aとの間に上述したような若干の隙間Sが形成されている。そのため、計量キャップ5のセット部25の先端側の幅は、窪み部11Aの内側において左右方向に若干移動が可能な幅に形成されている。セット部25の先端部分が左右に移動可能な隙間Sは、第2の係合凸部19の幅Wと同等か、それよりも若干大きく形成されている。
【0050】
計量キャップ5には、計量筒22の周壁に計量用の目盛線と容量表示を備えた目盛部32が印刷、刻印等の手段により形成されている。目盛部32には、容量表示用の数字が印刷、刻印等の手段により形成されている。図5(c)に示すように、計量キャップ5を倒立させた状態で、計量筒22の開口部22aから注入された液体などの内容物の量を把握することができる。
【0051】
次に、以上のように構成された容器本体に対する計量キャップ5の取り付け、取り外し操作、内容物の計量操作について以下に説明する。
【0052】
(装着状態)
図2(a)に示すように、ノズル中栓3に計量キャップ5を装着した状態においては、ノズル中栓3の第1の係合凸部18の真下に、計量キャップ5のキャップ側係合凸部27が位置する。これにより、ノズル中栓3に対する計量キャップ5の鉛直方向への移動が規制される。また、ノズル中栓3の第2の係合凸部19は計量キャップ5の係合溝28内に挿入された状態で係合溝28と係合している。これにより、ノズル中栓3に対する計量キャップ5の周方向への移動が規制される。
【0053】
(取り外し操作)
ノズル中栓3に装着されている計量キャップ5を取り外すには、まず、計量キャップ5の上部を指で摘み、計量キャップ5を外筒壁11に沿って若干左回りに回動させる(図6(a))。すると、図6(a)に示すように、上位係合部29において、回動方向のガイドとなる第1の係合凸部18に沿ってキャップ側係合凸部27が移動するとともに、下位係合部30において係合溝28と係合状態にあった第2の係合凸部19上をセット部25が乗り越える。これにより、第2の係合凸部19から係合溝28が外れて下位係合部30の係合状態が解除される。
【0054】
上述の状態から、図6(b)に示すように計量キャップ5を周方向に更に回動させると、上位係合部29の係合状態が解除され、計量キャップ5のセット部25の丸型の先端縁部25aが、案内部11Cに当接して斜め上方に移動するように力を受ける。これにより、計量キャップ5を斜め上方に移動させる力が作用する。この結果、図7の矢印aに示すように計量キャップ5は回動しつつ斜め上方に移動して、ノズル中栓3から取り外すことができる。
【0055】
(計量操作)
ノズル中栓3においては、注出筒17の先端側を下向きとするように容器本体1を傾けることにより、容器本体1に収容した液体を開口部16bから注出筒17に導き、その先端部から注出することができる。
【0056】
また、注出筒17から抽出した液体を、図4(c)に示すように倒立させた計量キャップ5の計量筒22にその開口部22aから必要量を注入するならば、目盛部32を用いて液体の注出量を把握することができる。ここで、本実施形態の計量キャップ5では、目盛部32の周囲に存在するのは、セット部25、25のみである。セット部25の数に特に限定はないが、本実施形態ではセット部25は計量筒22の周方向に180゜の間隔で2つ形成されているだけであることから、目盛部32を視認しやすい構造としている。このため、計量筒22に収容した内容物の量を正確に把握することができる。
なお、セット部25が1つだけでも3つ以上であってもよいが、計量キャップ5の抜け止め効果や目盛の読みやすさを考慮すると2つであることが好ましい。
【0057】
(取り付け操作)
計量が終了して計量キャップ5を再びノズル中栓3に装着するには、図5及び図8の矢印bに示すように、計量キャップ5の計量筒22をノズル中栓3の内筒壁13の内側に挿入するとともに、ノズル中栓3の窪み部11Aの第2の係合凸部19に、セット部25の係合溝28を位置合わせしながら計量キャップ5をノズル中栓3に押し込むことで装着することができる。
【0058】
図8に示すように計量キャップ5の左右両側のセット部25、25でノズル中栓3の外筒壁11を挟みつつ、各セット部25の内側に形成されたキャップ側係合凸部27が窪み部11Aに形成された第1の係合凸部18を乗り越える位置まで下降させることで、計量キャップ5をノズル中栓3に装着させることができる。キャップ側係合凸部27を第1の係合凸部18で抜け止めした状態に嵌合することができる。また、第2の係合凸部19によって係合溝28(計量キャップ5)の回動を規制した状態に嵌合することができる。
【0059】
本実施形態においては、第2の係合凸部19がキャップ装着時のガイドとなることで、上位係合部29及び下位係合部30による機能を確実得られる構成となっている。
【0060】
さらに本実施形態では、ノズル中栓3に設けられた第3の係合凸部14と、計量キャップ5に設けられたキャップ側係合凸部26との係合によっても、計量キャップ5の抜け止め効果が得られる構成となっている。計量キャップ5の周方向の4か所において抜け止めを行うことで、計量キャップ5の装着状態を確実に維持することができる。なお、上位係合部29のみで計量キャップ5の抜け止め効果を十分に得られるようであれば、第3の係合凸部14およびキャップ側係合凸部26を省略することも可能である。
【0061】
図8を基に説明した計量キャップ5の装着操作は、計量キャップ5のセット部25を窪み部11Aに沿って僅かに下方にスライドさせて第1の係合凸部18にキャップ側係合凸部27を係合する操作により実現できるので、従来のねじ部を介する回転操作より遙かに簡便に装着ができる。
【0062】
また、上下方向に延在する第2の係合凸部19が計量キャップ5の装着時のガイドにもなり、スムーズな装着を実現できる。
【0063】
以上の説明から、本実施形態の計量キャップ5によれば、従来のねじ込み式の計量キャップより遙かに簡便に取り付け、取り外し操作ができ、手指が洗剤等で汚れていて滑りやすい状態であっても支障なく取り付け、取り外しができる利点を有する。よって、本実施形態では、内容物の計量とノズル中栓3を密閉する機能を有する計量キャップ5の容器本体1に対する開封性を向上した、計量容器Aを提供することができる。
【0064】
また、本実施形態の計量キャップ5では、容器本体1に装着された状態において上位係合部29により上下方向へ移動が規制され、下位係合部30により回動方向への移動が規制されている。さらに、本実施形態では、窪み部11Aの中央位置に第1の係合凸部18及び第2の係合凸部19が配置されている。そのため、計量キャップ5の回動により、セット部25が第2の係合凸部19を乗り越えることで下位係合部30の係合は解除されるが上位係合部29の係合状態は保たれたままとなる。そのため、落下時の衝撃等によって計量キャップ5が突然外れてしまうのを防ぐことができる。
【0065】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態の計量容器について説明する。
以下に示す本実施形態の計量容器の基本構成は、上記第1実施形態と略同様であるが、ノズル中栓の構成が異なる。よって、以下の説明では、先の実施形態と異なる点について詳しく説明し、共通な箇所の説明は省略する。また、説明に用いる各図面において、図1図8と共通の構成要素には同一の符号を付すものとする。
【0066】
図9は、第2実施形態のノズル中栓の構成を示す図である。
本実施形態の計量容器は、図9に示すように、ノズル中栓の窪み部11Aに設けられた第1の係合凸部18の一端側に第2の係合凸部19が偏って配置されている。図9に示す一例では、第2の係合凸部19は、その少なくとも一部が第1の係合凸部18に対向するとともに、外筒壁11の周方向における第1の係合凸部18の一端側に配置されている。具体的に、第1の係合凸部18の端部18bと、第2の係合凸部19の側辺19bとが周方向で略一致している。
【0067】
この構成によれば、ノズル中栓3に装着された計量キャップ5の回動により、キャップ側係合凸部27が第1の係合凸部18に沿って回動方向へ移動するとともにセット部25が第2の係合凸部19を乗り越えると、キャップ側係合凸部27が第1の係合凸部18よりも回動方向へ移動する。結果的に、計量キャップ5の回動によって、下位係合部30が解除されるのと略同時に上位係合部29が解除されることになる。これにより、少ない回動操作で計量キャップ5を容器本体1(ノズル中栓3)から取り外すことができる。
【0068】
なお、第1の係合凸部18と第2の係合凸部19との位置関係は図示したものに限られない。第1の係合凸部18と第2の係合凸部19とが対向していなくてもよく、例えば、第1の係合凸部18よりもさらに計量キャップ5の回動方向へ第2の係合凸部19が配置されていてもよい。
【0069】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0070】
1…容器本体、2…口頸部(容器口部)、3…ノズル中栓、5…計量キャップ、6…底壁、10…筒壁部、11A…窪み部、16…底壁部、16b,17b,22a…開口部、17…注出筒、17a…面、18…第1の係合凸部、19…第2の係合凸部、21…蓋部、22…計量筒、23…フランジ部、25…セット部(延出片)、27…キャップ側係合凸部、28…係合溝、A…計量容器、S…隙間、W…幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9