(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6611360
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】ドア用のベアリング装置
(51)【国際特許分類】
E05F 3/02 20060101AFI20191118BHJP
E05F 3/20 20060101ALI20191118BHJP
E05F 3/00 20060101ALI20191118BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
E05F3/02
E05F3/20 Z
E05F3/00 A
F25D23/02 306L
F25D23/02 306Q
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-551802(P2016-551802)
(86)(22)【出願日】2015年2月11日
(65)【公表番号】特表2017-511848(P2017-511848A)
(43)【公表日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】EP2015052808
(87)【国際公開番号】WO2015121271
(87)【国際公開日】20150820
【審査請求日】2017年11月17日
(31)【優先権主張番号】102014101849.4
(32)【優先日】2014年2月13日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503226235
【氏名又は名称】ヘティッヒ−オーエヌイー ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノルディーカー, マルティン
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−064341(JP,A)
【文献】
英国特許出願公告第01282253(GB,A)
【文献】
米国特許第03273196(US,A)
【文献】
独国実用新案第202006010482(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00−17/00
E05D 1/00− 9/00
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのベアリング装置によってキャビネット(3)に保持される少なくとも1つの回転可能なドア(2)を備えた冷蔵庫又は冷凍庫(1)であって、該少なくとも1つのベアリング装置は、
前記ドア(2)を回転可能に取り付けるためのベアリング軸(4)と、
力蓄積器(11)の力によって前記ドア(2)を特定の枢動範囲にわたって閉方向に向けて動かすことができる閉鎖装置(10)と、
前記ドア(2)の枢動移動を少なくとも1つの枢動範囲にわたって減衰させるための減衰器(20)とを備えてなる冷蔵庫又は冷凍庫(1)において、
前記閉鎖装置(10)及び前記減衰器(20)が前記ベアリング軸(4)の回転軸に対して実質的に直角な面に配置されており、湾曲状のガイド(30)が間接的又は直接的に前記ベアリング軸(4)に配置されており、前記ベアリング軸(4)により可動な湾曲状のガイド(30)が前記閉鎖装置(10)を動かすために設けられており、該湾曲状のガイド(30)は前記ベアリング軸(4)により前記減衰器(20)を動かすためにも設けられてなり、
前記湾曲状のガイド(30)は制御用突出部(31,33)を備え、前記湾曲状のガイド(30)の制御用突出部(31,33)が前記ドア(2)を閉位置に到着する前に閉方向に、及び最大開位置に到着する前に開方向に減衰するように前記減衰器(20)を駆動するように構成されてなり、
前記ドア(2)が開けられたときに前記閉鎖装置(10)をテンションが掛かった状態で歯止めするためのキャッチ機構が更に設けられ、
前記キャッチ機構は、前記湾曲状のガイド(30)から突出した突出部である制御用湾曲部(34)により駆動可能なキャッチ爪(35)を有し、
前記キャッチ爪(35)が、前記歯止めを解除する位置向きのテンションがバネ(39)により予め掛けられているように構成されてなることを特徴とする、冷蔵庫又は冷凍庫(1)。
【請求項2】
前記湾曲状のガイド(30)が前記ベアリング軸(4)に回転不能に接続されてなることを特徴とする、請求項1に記載の冷蔵庫又は冷凍庫(1)。
【請求項3】
前記湾曲状のガイド(30)が前記閉鎖装置(10)及び/又は前記減衰器(20)に作用しうる更なる制御用突出部(32)を有してなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の冷蔵庫又は冷凍庫(1)。
【請求項4】
前記閉鎖装置(10)及び前記減衰器(20)がハウジング(5)内に収容されるように構成されてなることを特徴とする、請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の冷蔵庫又は冷凍庫(1)。
【請求項5】
前記減衰器(20)が、一端側では前記ハウジング(5)に回転可能となるように取り付けられ、また、他端側ではピボット部材(28)に回転可能となるように保持されるように構成されてなることを特徴とする、請求項4に記載の冷蔵庫又は冷凍庫(1)。
【請求項6】
前記湾曲状のガイド(30)の制御用突出部(31、33)が前記ピボット部材(28)又は前記ピボット部材(28)に配置されたローラ(41)もしくは摺動部材に作用するように構成されてなることを特徴とする、請求項5に記載の冷蔵庫又は冷凍庫(1)。
【請求項7】
前記閉鎖装置(10)が2つの末端部材(12、13)の間に張架された圧縮バネ(11)を有するように構成されてなることを特徴とする、請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の冷蔵庫又は冷凍庫(1)。
【請求項8】
一方の末端部材(12)が前記ハウジング(5)に回転可能に取り付けられ、他方の末端部材(13)が回転可能に取り付けられた駆動部材(18)に配置されてなる、請求項7に記載の冷蔵庫又は冷凍庫(1)。
【請求項9】
前記回転可能に取り付けられた回転可能な駆動部材(18)が前記湾曲状のガイド(30)の少なくとも1つの制御用突出部(31)により可動となっており、該少なくとも1つの制御用突出部(31)が作用する前記回転可能な駆動部材(18)には回転可能なローラ(40)又は摺動部材が設けられるように構成されてなることを特徴とする、請求項8に記載の冷蔵庫又は冷凍庫(1)。
【請求項10】
前記減衰器(20)が伸張時よりも圧縮時の方が高い減衰力を生じさせる線形圧縮式減衰器として設計されるように構成されてなることを特徴とする、請求項1乃至9のうちのいずれか一項に記載の冷蔵庫又は冷凍庫(1)。
【請求項11】
前記ベアリング装置が前記キャビネット(3)の外側面に固定されてなることを特徴とする、請求項1に記載の冷蔵庫又は冷凍庫(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアを回転可能に取り付けるためのベアリング軸と、バネの力によってドアを特定の枢動範囲にわたって閉方向に向けて動かすことができる閉鎖装置と、ドアの枢動移動を少なくとも1つの枢動範囲にわたって減衰させるための減衰器とを備えた、特に冷蔵庫のためのドア用のベアリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドイツ実用新案公報20 2006 010 482には、冷蔵庫又は冷凍庫のドアを枢動可能に取り付けるための装置が開示されている。この具体例では、枢動可能なドアは閉鎖装置及び減衰装置を駆動するレバーに結合されている。この具体例では、閉鎖装置及び減衰装置はドアにより特定の枢動範囲にわたって動かされる枢動部材による駆動が可能となっている。枢動部材により減衰装置を閉鎖装置と堅固に固定してしまうと、ドアに対して減衰力又は閉鎖力を柔軟に加えることができなくなってしまうという欠点が生じる。加えて、比較的小さな減衰力や閉鎖力しか用いることができないという問題も生じる。
【0003】
従って、本発明の目的は、意図した用途に減衰力及び閉鎖力を柔軟に適合させることができるドア用の閉鎖装置及び減衰器を用いたベアリング装置の提供にある。
この目的は請求項1に記載の構成要素を備えたベアリング装置によって達成される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に従って、ベアリング軸により可動な第1の湾曲状のガイドが閉鎖装置を動かすために設けられ、ベアリング軸により可動な第2の湾曲状のガイドが減衰器を動かすために設けられている。この実施形態では、これらの湾曲状のガイドは、夫々、閉鎖装置及び/又は減衰器に作用する制御用突出部を有することができる。この実施形態では、閉鎖装置と減衰器とに対して夫々別個の湾曲状のガイドを用いることができるようになっているが、閉鎖装置及び湾曲状のガイドの両方に作用する単一の湾曲状のガイドを提供するようにしてもよい。
これらの湾曲状のガイドを用いることにより、もはやドアと閉鎖装置との間及びドアと減衰器との間が堅固に結合されなくなるので閉鎖力又は減衰力をより正確に設定することができるようになる。もっと正確にいえば、結合はこれらの湾曲状のガイドを介して形成され、これらの湾曲状のガイドはドアの枢動時に閉鎖装置と減衰器とに作用するようになっている。この実施形態では、閉鎖装置及び減衰器にはバネによって湾曲状のガイドに抗するテンションが予め掛けられるようになっていてもよい。
【0005】
第1の湾曲状のガイド及び第2の湾曲状のガイドが回転不能にベアリング軸に接続されるのが好ましく、極めてコンパクトな構造が可能となる。この実施形態では、第1の湾曲状のガイド及び第2の湾曲状のガイドは、軸方向に沿って互いにオフセットされて配置されてもよいし、又は、その上に制御用突出部が形成される単一の円板によって形成されてもよい。
【0006】
1つの好ましい実施形態によれば、第2の湾曲状のガイドは、減衰器を駆動し、ドアを閉位置に到着する前に閉方向にまた最大開位置に到達する前に開方向に減衰させるようになっている。従って、閉方向の減衰及び開方向の減衰を提供するために単一の減衰器を用いることができるようになっている。減衰器は第2の制御用湾曲部の対応する制御用突出部により駆動されるようになっている。開方向の減衰は最大開位置に到着する前に生じ、たとえば90°と180°との間の範囲にありうる。この実施形態では、開方向の減衰及び閉方向の減衰は、夫々、少なくとも5°というドアの枢動範囲にわたるものであり、好ましくは、閉方向の減衰が閉位置前の10°と50°との間にわたり、開方向の減衰が最大開位置前の5°と25°の間にわたる。
【0007】
コンパクトな構造の場合、閉鎖装置及び減衰器をハウジング内に収容し、このハウジングを冷蔵庫の中に又は外に取り付けることができる。
好ましくは、減衰器は、伸張時よりも圧縮時の方が高い減衰力を生じる線形圧縮式減衰器として設計される。従って、減衰器は、閉方向減衰時又は開方向減衰時に高制動力を提供することができるが、反対方向の動きの間、ユーザは減衰器の存在をわずかしか又は全く気づくことはない。圧縮式減衰器に代えて牽引式減衰器が用いられてもよいし又は回転式減衰器が用いられてもよい。
【0008】
好ましくは、減衰器は、ハウジングの片側に回転可能に取り付けられ、他方側ではピボット部材に回転可能に保持される。この実施形態では、第2の湾曲状のガイドは制御用突出部を有している。制御用突出部はピボット部材及び/又はピボット部材に配置されたローラに作用してドアの開閉時に減衰器を駆動させるようになっている。
好ましくは、閉鎖装置は圧縮バネを有している。圧縮バネは2つの末端部材間に張架されている。この実施形態では、一方の末端部材はハウジングに回転可能に取り付けられ、また、他方の末端部材は、回転可能に取り付けられた駆動部材に取り付けられている。次いで、回転可能に取り付けられた駆動部材は、第1の湾曲状のガイドの少なくとも1つの制御用突出部によって動かすことができるようになっている。少なくとも1つの制御用突出部が作用する回転可能に取り付けられた駆動部材には回転可能なローラを設けることもできる。
【0009】
この実施形態では、減衰器を駆動させるためのピボット部材から閉鎖装置を動かすための回転可能な駆動部材を独立させて回転させることができ、好ましくは、ピボット部材及び回転可能な駆動部材はハウジングに同一の軸を中心として回転可能なように取り付けられるようになっている。
さらに、ドアが開いてテンションの掛かった状態で閉鎖装置を歯止めするためのキャッチ機構が設けられることが好ましい。従って、閉鎖装置にテンションが掛かった後、ドアが当該閉鎖装置に起因する摩擦力又は制動力からの作用を受けることなく自由に運動することが可能となる。この実施形態では、キャッチ機構は制御用湾曲部によって動かすことができるキャッチ爪を有することができる。このキャッチ爪は、歯止めを解除する位置に向けたテンションがバネによって予め掛けられていることが好ましい。このことにより、ドアがブロック爪によって誤ってブロックされてしまうのが防止される。加えて、このキャッチ機構はコンパクトな構造を可能とする。というのは、閉鎖装置がドアの枢動経路の一部にわたってのみ動くようになっているため、この可動範囲を考慮した構造空間のみを提供するだけでよいからである。
【0010】
閉鎖装置の力と減衰器の力は、ベアリング軸の回転軸に対して実質的に直角な面内において極めて良好に働く。従って、設置状態では、ベアリング軸が実質的に鉛直方向に延び、減衰器の力及び閉鎖装置の力が実質的に水平方向に働くようになっているのが好ましい。その結果、とくに平坦な構造を有するベアリング装置が得られることになる。
本発明にかかるベアリング装置は、とくに家庭用電気機器、たとえば冷蔵庫又は冷凍庫に用いることができる。もちろんそれに加え、家具又は他の家庭用器具のための使用もさらに可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下で、添付の図面を参照しながら例示的な実施形態に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
【
図1】本発明にかかるベアリング装置を備えた冷蔵庫を示す斜視図である。
【
図2】ドアが閉じられた状態のベアリング装置を示す図である。
【
図3】35°の角度でドアが開いている状態のベアリング装置を示す図である。
【
図4】50°の角度でドアが開いている状態のベアリング装置を示す図である。
【
図5】67°の角度でドアが開いている状態のベアリング装置を示す図である。
【
図6】100°の角度でドアが開いている状態のベアリング装置を示す図である。
【
図7】155°の角度でドアが開いている状態のベアリング装置を示す図である。
【
図8】180°の角度でドアが開いている状態のベアリング装置を示す図である。
【
図9】キャビネットの上側に取り付けられているベアリング装置を示す斜視図である。
【
図10】キャビネット3の下側に取り付けられているベアリング装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
冷蔵庫1は、キャビネット3と、キャビネット3に回転可能に取り付けられるドア2とを備える。この目的のために、本発明にかかるベアリング装置を有するハウジング5がキャビネット3の上側に固定される。この実施形態では、ベアリング装置がベアリング軸4を有し、ベアリング軸4がハウジング内に回転可能に取り付けられ、ドア2がベアリング軸4に固定され、ドア2が回転可能となっている。
図1では、ベアリング装置を有するハウジング5がキャビネット3の上側に固定されるようになっている、ベアリング装置をハウジング5とともにキャビネット3の下側に設けるようにしてもよい。他の実施形態では、ベアリング装置がキャビネット3の内部に配置されるようになっていてもよい。ただ、外部に取り付ける方が、既存の冷蔵庫への後付けが可能であるという長所を有している。
【0013】
図2には、閉鎖装置10と減衰器20とが視認可能となるように、ベアリング装置を有するハウジング5がハウジングのカバーを取り除いた状態で示されている。
閉鎖装置10はバネ11を有している。バネ11は圧縮バネとして設計されている。バネ11は2つの末端部材12、13の間に張架されている。この実施形態では、第1の末端部材12が軸16を中心として回転可能となるようにハウジング5に取り付けられている。その反対側には、末端部材13が回転可能な駆動部材18の軸17の近傍に取り付けられている。回転可能な駆動部材18は、軸19を中心として回転可能となるようにハウジング5に取り付けられている。2つの末端部材12、13の間の長さの調節を行うことができるように、この場合、バネ11はスリーブ14の回りを案内され、スリーブ14はロッド15上に押圧される。
【0014】
さらにハウジング5内には減衰器20が設けられている。減衰器20はハウジング21とピストンロッド22とを有する線形圧縮式減衰器として形成されている。この実施形態では、ピストンロッド22はハウジング21の中に挿入可能となっている。ピストンロッド22の挿入時、それに対応するピストンを通じて高い減衰力が提供される。一方、ピストンロッド22の引き出しは滑らかに行われる。この実施形態では、ハウジング21はホルダ24に固定されている。ホルダ24は軸25を中心として回転可能となるようにハウジング5に取り付けられている。その反対側では、ピストンロッド22はホルダ26を介してピボット部材28に接続されている。ホルダ26は軸27を中心として回転可能となるようにピボット部材28に取り付けられている。この実施形態では、ピボット部材28は軸19を中心として回転可能となるようにハウジング5に取り付けられている。ハウジング5には回転可能な駆動部材18も取り付けられている。回転可能な駆動部材18とピボット部材28とは軸19を中心として互いに独立して回転することができるようになっている。
【0015】
閉鎖装置10及び減衰器20を駆動するために、湾曲状のガイド30が設けられている。湾曲状のガイド30はベアリング軸4に回転不能に配置されている。湾曲状のガイド30は、複数の制御用突出部31、32、33を有している。複数の制御用突出部31、32、33は回転可能な駆動部材18及びピボット部材28に作用するようになっている。この目的のために、ローラ40が回転可能な駆動部材18に回転可能に取り付けられ、ローラ41がピボット部材28に回転可能に保持されている。それに代えて、これらのローラが摺動部材に変更されてもよい。その結果、制御用突出部と回転可能な駆動部材、すなわちピボット部材28との間で連続して生じる動作摩擦をできるだけ低く抑えることが可能となる。
【0016】
さらに、閉鎖装置10をテンションの掛かった位置で歯止めするためのキャッチ機構がハウジング5内に設けられてもよい。当該キャッチ機構は、枢動可能なキャッチ爪35を有している。当該枢動可能なキャッチ爪35はハウジング5に軸38を中心として回転可能に取り付けられている。
【0017】
図3に示されているように閉位置からドア2が開かれる場合、ベアリング軸4が湾曲状のガイド30を左回りに回転させるので、第1の制御用突出部31はローラ40に作用して閉鎖装置10のバネ11にテンションを掛ける。それと同時に、減衰器20が閉位置と20°〜60°の開角度との間の枢動範囲でリリースされる。制御用突出部31が回転することにより、ピボット部材28は、当該ピボット部材28がハウジングの停止部42と接触するまで軸19を中心として右回りに回転する。この実施形態では、ハウジング21からのピストンロッド22の引き抜き及びそれにリンクされているピボット部材28の回転は、ホルダ26とホルダ24との間に配置されているバネ23の力によって生じるようになっている。
【0018】
図4では、ドア2は約50°の角度位置で閉位置から離れた位置に置かれている。閉鎖装置10にさらなるテンションが掛けられる時、最初、ホルダ24とホルダ26との間の減衰器20はその位置を変えない。というのは、制御用突出部31がローラ40に作用するとともに回転可能な駆動部材18をさらに右回りに回転させ、閉鎖装置10のバネ11を圧縮するからである。
【0019】
ドアが35°の開角度(
図3)と50°の開角度(
図4)との間に開かれると、キャッチ機構の制御用湾曲部34は、キャッチ爪35の腕部37とさらに係合するので、腕部37は軸38を中心として回転する。従って、ほぼV字形に形成されているキャッチ爪35の第2の腕部36は回転可能な駆動部材18に対して枢動する。制御用湾曲部34はバネ39の力に抗してキャッチ爪35を回転させる。この実施形態では、バネ39はロック解除位置に向けたテンションをキャッチ爪35に予め掛けるようになっている。
【0020】
次に、ドア2が開方向に向けてさらに枢動すると、ドア2は
図5に記載の位置を通り過ぎる。
図5に記載の位置では、腕部36は末端部材13と係合して閉鎖装置10を歯止めする。次に、制御用湾曲部34が腕部37から移動する。歯止めがなされるとバネ11がわずかにリラックスして腕部36をしっかりと掴むように制御用突出部31が形成されているので、ローラ40は制御用突出部31から離脱することができる。
【0021】
次に、ドア2が開方向に向けて、たとえば約100°の開角度(
図6)までさらに開かれると、ドア2は自由に動くことができるようになる。すなわち閉鎖装置10及び減衰器20のいずれもドア2に対して閉方向の力を加えることもなければも開方向の力を加えることもなくなる。というのは、キャッチ爪35により閉鎖装置10が歯止めされて静止した状態のままであり、減衰器20が停止部42に押し当てられて静止した状態のままになっているからである。
【0022】
次いで、ドア2が開方向に向けてさらに開かれると、湾曲状のガイド30のさらなる制御用突出部33がピボット部材28及び/又はローラ41と係合してピボット部材28を左回りに回転させる。従って、減衰器20が圧縮され、ピストンロッド22がハウジング21の中へと移動し、それにより、減衰力が生じることになる。従って、約155°の開角度(
図7)から約180°の最大開位置(
図8)までの開時、減衰器20は圧縮されることになる。閉鎖装置10は、依然として歯止め位置にあるので、ドア2に対して力を及ぼさない。開角度はせいぜい90°〜180°である。
【0023】
次いで、ドア2が
図8に記載の最大の開位置から閉方向に向けて閉められると、まず、減衰器20が圧縮位置から再移動する。この再移動はバネ23によって行なわれるので、ドア2の閉時に減衰器20の伸張によるいかなる力もユーザは感じることはない、次いで、約60°〜70°の開角度において制御用突出部31が回転可能な駆動部材18のローラ40と接触するようになり、それと同時に、制御用湾曲部34がキャッチ爪35の腕部37に当接するまで、ドア2が閉方向に向けてさらに閉じられる。閉鎖装置10のバネ11のわずかな圧縮及び制御用湾曲部34によるキャッチ爪35の枢動により、バネ39の力によってキャッチ爪35が軸38を中心として枢動されるため、キャッチ爪が非ロック位置へと移動可能となる。
【0024】
次いで、ドア2が閉方向に向けてさらに閉められ、20°と60°との間の閉角度にある場合、制御用突出部31は、ローラ41と係合してピボット部材28を左回りに枢動することにより減衰器20を圧縮位置へ移動させる。従って、ドア2の閉時に減衰力が生じる。それと同時に、閉鎖装置10は制御用湾曲部34によってロックが解除されて駆動状態となるので、バネ11は次に回転可能な駆動部材18を軸19を中心として左回りに回転させる。ローラ40は制御用突出部の裏側を動く。
【0025】
図示されているベアリング装置を用いて起こりうることであるが、製造公差に起因してドア2が0°の角度を超えて閉じられる場合、最大閉力を小さいままに留めるため、さらなる制御用突出部32が制御用湾曲部に設けられている。
図示されている例示的実施形態では、閉鎖装置10の回転可能な駆動部材18及び減衰器20のピボット部材28を同一の制御用突出部31によって部分的に駆動するようになっている。この場合、制御用突出部31は共有の制御用湾曲部として機能する。もちろん、2つの別個の制御用湾曲部をベアリング軸4に設けることも可能である。その場合、1つの制御用湾曲部は回転可能な駆動部材18に対してもっぱら作用し、第2の制御用湾曲部はピボット部材28に対してもっぱら作用するようになっている。さらに、回転可能な駆動部材18及びピボット部材28が共有の軸19を介して取り付けられるようになっていなくともよい。また、これらの部材の各々は別個の軸を有していてもよい。
【0026】
制御用突出部31、32、33の形状は夫々の意図する用途に合わせて変更されてもよい。たとえば、20°と30°との間の開角度の範囲よりも最大閉位置に到着する直前の角度範囲において減衰力がより大きくなるようにすることが可能である。加えて、湾曲状のガイド30により、閉鎖装置10のバネ11を閉位置において閉力を小さく維持してシールに対する力を小さく維持し、わずかに開いた範囲において閉力をより大きなものとするように駆動させるようにすることもできる。本発明の実施形態によっては、ベアリング軸4を別体のベアリング軸とする場合もある。すなわち、設置時にたとえばベアリング軸をドアに取り付け、このベアリング軸にベアリング装置を取り付け、次いで、ベアリング軸を湾曲状のガイドに間接的に接続するようにしてもよい。
【0027】
図9では、ハウジング5を備えたベアリング装置がキャビネット3の上側に取り付けられ、ベアリング軸4が下方に向けて延び、ドアが非円形断面を有するベアリング軸4に取り付け可能となっている。ドアはベアリング装置から減衰力、開力及び閉力を受けるようになっている。
さらに、
図10に示されているように、ベアリング装置がキャビネットの下側に取り付けられ、次いで、ドアが上方に向けて突出するベアリング軸4に取り付けられる。
図示されたベアリング装置は、特別な右側部品又は左側部品を必要とすることなく、キャビネット3の右側又は左側で用いられるようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 冷蔵庫
2 ドア
3 キャビネット
4 ベアリング軸
5 ハウジング
10 閉鎖装置
11 バネ
12 末端部材
13 末端部材
14 スリーブ
15 ロッド
16 軸
17 軸
18 駆動部材
19 軸
20 減衰器
21 ハウジング
22 ピストンロッド
23 バネ
24 ホルダ
25 軸
26 ホルダ
27 軸
28 ピボット部材
30 湾曲状のガイド
31 制御用突出部
32 制御用突出部
33 制御用突出部
34 制御用湾曲部
35 キャッチ爪
36 腕部
37 腕部
38 軸
39 バネ
40 ローラ
41 ローラ
42 停止部