(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、全ての前記履歴記憶領域が一杯の状態となるとき、最も古い前記履歴データを記憶している一つの前記履歴記憶領域の前記履歴データを消去するものである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の全体的な構成を示す模式図及びブロック図である。
図1に示す加熱調理器100は、例えば、外観が直方体状に形成されたオーブン電子レンジである。加熱調理器100の内部には、正面が開口された箱形状の加熱室10が設けられている。加熱室10の正面には、加熱室10の開口を閉塞するためのドア(図示せず)が設けられている。ドアには、ドアを開閉するための取っ手が設けられている。加熱調理器100は、ドアの開閉を検知するドア開閉検知部20と、後述する制御装置60等に電力を供給する交流電源の入力側に配設され、入力電流を検出する電流検出部21と、を有している。また、加熱調理器100は、ドアの開操作に連動して電源が入るように構成されており、ドア開閉検知部20は、ドアの開閉を検知した際に、ドアが開いたこと又はドアが閉じられたことを示す検知信号を制御装置60へ送信する。電流検出部21は、例えば電流検出用トランスからなり、入力電流の検出値を制御装置60へ送信する。
【0013】
加熱室10を正面から見て、左側に位置する左側面板10aの上部に温度検出部22が設置され、右側に位置する右側面板10bの上部に赤外線センサ23が設置されている。右側面板10bには、赤外線センサ23と対向する部分に開口窓11が設けられている。温度検出部22は、例えばサーミスタにより構成され、加熱室10内の温度を庫内温度として検出するものである。また、温度検出部22は、検出した庫内温度を制御装置60へ送信するものである。赤外線センサ23は、加熱室10内の被加熱物500から発せられる赤外線の熱を赤外線温度として検出するものである。赤外線センサ23は、検出した赤外線温度を制御装置60へ送信するものである。
【0014】
また、加熱調理器100は、マイクロ波を発生するマグネトロン30を有している。加熱室10の底面板10cには、導波管12が取り付けられている。導波管12には、マグネトロン30と連結されたアンテナ30aが設置されている。マグネトロン30で発せられたマイクロ波は、アンテナ30aから照射され、導波管12を通って加熱室10内に放射される。
【0015】
加熱室10の上面板10dの裏側には、上面板10dを介して加熱室10の内部を加熱する上ヒータ31が設置されている。上ヒータ31は、例えば、ニクロム線をマイカで挟んで構成されるフラットヒータである。加熱室10の底面板10cには、底面板10cに形成された開口部13を覆う載置台14が設けられている。載置台14は、マイクロ波を透過しやすいセラミックの部材によって構成されている。載置台14の下側の導波管12内には、例えばシーズヒータからなる下ヒータ32が配設されている。すなわち、加熱調理器100は、加熱源として、マグネトロン30、上ヒータ31、及び下ヒータ32を有している。なお、下ヒータ32は導波管12の外部に配置してもよい。
【0016】
さらに、加熱調理器100は、操作部40、表示部50、報知部55、制御装置60、及び電源開閉部70を備えている。操作部40及び表示部50は、ドアに隣接する位置に設けられている。
【0017】
操作部40は、加熱源の動作に関する入力操作を受け付けるものである。より具体的に、操作部40は、加熱室10内に収納された被加熱物500の加熱源による加熱条件の設定操作を受け付けるものである。また、操作部40は、加熱源による加熱開始及び加熱停止の指示、すなわち、調理開始及び調理停止の指示を受け付けるものである。
【0018】
操作部40には、調理選択キー40a、時間キー40b、スタートキー40c、とりけしキー40d等が設けられている。調理選択キー40aは、調理メニューの選択、選択した調理メニューによる調理温度の設定、及び調理時間の条件設定などを受け付けるものである。時間キー40bは、調理時間の設定及び調理の予約設定などを受け付けるものである。スタートキー40cは、調理開始の指示を受け付けるものである。とりけしキー40dは、加熱調理の中断及び設定内容の取り消し等の指示を受け付けるものである。操作部40は、ユーザにより各キーが押下されたとき、当該キーに応じた操作信号を制御装置60へ送信する。
【0019】
表示部50は、例えば液晶パネルからなり、各種情報を表示する表示画面を有している。報知部55は、例えば、音声スピーカ又はブザーなどからなり、種々の情報を音声又はビープ音などにより外部へ報知するものである。
【0020】
制御装置60は、操作部40において設定された加熱条件に応じて、マグネトロン30、上ヒータ31、及び下ヒータ32の動作を制御するものである。制御装置60は、キー判定部61、制御部62、マグネトロン駆動部63、ヒータ駆動部64、及びオートパワーオフ部65等を備えている。
【0021】
キー判定部61は、操作部40から操作信号を受信し、ユーザによる操作内容を示す操作情報を制御部62へ出力するものである。制御部62は、調理時間等の各種時間を計時するタイマ62aと、加熱調理器100を制御するためのメインプログラム及び調理の履歴を示す調理履歴情報とエラーの履歴を示すエラー履歴情報とを含む履歴データを記憶するフラッシュメモリ62bと、有している。制御部62は、例えば、フラッシュメモリ62bを内蔵したフラッシュマイコンで構成されている。調理履歴情報は、加熱源による加熱の履歴を示す情報を含んでいる。エラー履歴情報は、エラーの識別子であるエラー情報を複数含んでいる。エラー情報は、エラーが発生したか否かを示す情報を含むものである。エラーが発生したことを示す情報としては、例えば、当該エラーをユーザに識別させるエラーコードを採用することができる。
【0022】
フラッシュメモリ62bは、履歴データを複数回分記憶する履歴記憶領域を複数有している。また、フラッシュメモリ62bは、機器管理用の情報を記憶する管理情報記憶領域を有している。
【0023】
制御部62は、操作部40において入力された加熱条件に応じて加熱源の動作を制御するものである。制御部62は、キー判定部61から入力した設定情報をもとに、マグネトロン駆動部63、ヒータ駆動部64、及びオートパワーオフ部65を駆動するものである。
【0024】
制御部62は、フラッシュメモリ62b内の複数の履歴記憶領域のうちの何れか一つを順次選定し、選定した履歴記憶領域に、当該履歴記憶領域が一杯になるまで履歴データを順次書き込むものである。また、制御部62は、全ての履歴記憶領域が一杯の状態となるとき、複数の履歴記憶領域のうちの少なくとも一つの履歴記憶領域に履歴データを保持させ、それ以外の履歴記憶領域から履歴データを消去するものである。ここで、全ての履歴記憶領域が一杯の状態となるときとは、書き込み中以外の履歴記憶領域が一杯の状態であって、書き込み中の履歴記憶領域の最後の履歴データ領域に履歴データを書き込むときのことをいう。
【0025】
本実施の形態1では、全ての履歴記憶領域が一杯の状態となるとき、制御部62は、少なくとも書き込み中の履歴記憶領域に履歴データを保持させるように構成されている。より具体的に、制御部62は、全ての履歴記憶領域が一杯の状態となるときに、最も古い履歴データを記憶している一つの履歴記憶領域の履歴データを消去するものである。このようにすれば、より新しい履歴データを最大限確保することができる。
【0026】
制御部62は、履歴データを消去するとき、履歴データを保持させる履歴記憶領域にライトプロテクトをかける機能を有している。すなわち、制御部62は、履歴データを保持させる履歴記憶領域にライトプロテクトをかけた状態で、特定の履歴記憶領域から履歴データを消去するものである。このため、保持させたい履歴データを誤って消去してしまうリスクを低減することができる。
【0027】
制御部62は、履歴データの読み込みエラー又は書き込みエラーが生じたときに、読み込みエラー又は書き込みエラーが生じた旨の情報を、フラッシュメモリ62bの管理情報記憶領域に記憶させるものである。このように構成することにより、エラー解析の精度が向上する。
【0028】
制御部62は、履歴データの読み書きが不可となった場合、エラーとして加熱調理器100の動作を停止させず、履歴データの書込み処理をスキップして調理などの処理を継続するようにしてもよい。このように構成することにより、調理などの処理が中断せずに確実に実行されるので、使い勝手のよい加熱調理器が得られる。その際、制御部62は、保持されていた履歴データは初期状態と同一のデータとして処理するよう構成されている。すなわち、制御部62は、履歴データは無いものとし、ユーザ設定のデータはデフォルト設定値を読み出したこととして処理を継続する。ここで、履歴データの読み書きが不可となる原因としては、履歴記憶領域のデータ破損又は履歴記憶領域へのアクセス異常などが考えられる。
【0029】
制御部62は、加熱源による加熱を、予め設定された最小設定時間以上行った場合に、加熱時間を履歴データに含めてフラッシュメモリ62bに記憶させてもよい。最小設定時間は、例えば10秒に設定されるが、調理内容に応じて適宜変更するとよい。
【0030】
制御部62は、ユーザによる操作部40のキー操作に応じて、履歴データを表示部50に表示させるものである。制御部62は、調理終了後に、被加熱物500を出し忘れることを防ぐため、出し忘れ報知情報を報知部55に報知させるものである。制御部62は、表示部50に表示させる履歴データと同様の情報を、報知部55に音声で報知させるようにしてもよい。また、制御部62が、履歴データを表示部50に表示させる代わりに、履歴データと同様の音声情報を報知部55に報知させるようにしてもよい。
【0031】
ここで、加熱調理器100を構成する部品が故障すると、調理中に、入力電流が異常に高くなったり異常に低くなったりすることがある。よって、制御部62は、電流検出部21から送信される検出値が、予め設定された上限閾値C1(例えば16A)以上の場合又は予め設定された下限閾値C2(例えば3A)以下の場合に、異常が発生したものと判断し、異常が発生したことを示すエラー情報を履歴データに含めて記憶させるように構成されている。
【0032】
マグネトロン駆動部63は、制御部62からの制御信号に基づいて、マグネトロン30を駆動し、マイクロ波を発生させるものである。ヒータ駆動部64は、制御部62からの制御信号に基づいて、上ヒータ31と下ヒータ32の何れか一方又は双方に通電するものである。
【0033】
オートパワーオフ部65は、制御部62からの制御信号に基づいて、電源開閉部70の開閉動作を制御するものである。電源開閉部70は、例えばリレーからなり、開閉動作によって商用電源などの外部電源から制御装置60への給電状態を切り替えるものである。オートパワーオフ部65が、電源開閉部70を開の状態にすると、外部電源からの給電が停止し、電源開閉部70を閉の状態にすると、外部電源から給電が行われる。
【0034】
本実施の形態1では、調理が終了したときに、制御部62が、電源開閉部70を開の状態にさせるための制御信号をオートパワーオフ部65へ送信する。オートパワーオフ部65は、当該制御信号に従って電源開閉部70を開の状態とし、外部電源からの給電を停止させる。すなわち、加熱調理器100は、加熱調理が終了したとき、自動的に電源をオフするオートパワーオフ機器である。このように構成することにより、調理終了後の電源の切り忘れが防止でき、使い勝手のよい加熱調理器が得られる。なお、調理終了時に加熱室10又は機器内部の温度が高い場合などには、制御部62が、所定の冷却処理を行なった後に、給電を停止させるように構成されている。
【0035】
また、制御部62は、待機中にエラーが発生したとき、電源開閉部70を開の状態にさせるための制御信号をオートパワーオフ部65へ送信する。オートパワーオフ部65は、当該制御信号に従って電源開閉部70を開の状態とし、外部電源からの給電を停止させる。待機中に発生するエラーとしては、例えば、待機中における加熱調理器100の異常動作が考えられる。制御部62は、待機中にエラーが発生したことを、電流検出部21、温度検出部22、及び赤外線センサ23のうちの少なくとも一つによる検出値をもとに検知する。
【0036】
さらに、制御部62は、待機中にエラーが発生したとき、エラー発生の旨の情報を履歴データとしてフラッシュメモリ62bの履歴記憶領域に記憶させる機能を有している。このように構成することにより、エラー解析の精度が向上する。また、制御部62は、待機中にエラーが発生したとき、エラー発生の旨の情報を報知部55に報知させる機能を有している。なお、制御部62は、待機中にエラーが発生したとき、エラー発生の旨の情報を表示部50に表示させるようにしてもよい。制御部62は、電源開閉部70を開の状態にし、電源をオフするように制御しているが、仮に電源がオフしない場合にも、使用者に異常が生じていることを伝えることができる。
【0037】
(待機中の履歴データ)
本実施の形態1では、待機中に、意図せず加熱調理器100が動作する場合などを考慮して、制御部62は、待機中においても、履歴データをフラッシュメモリ62bに記憶させる機能を有している。すなわち、制御部62は、電流検出部21、温度検出部22、及び赤外線センサ23のうちの少なくとも一つによる検出値に基づき、待機中に、スタートキー40cが押下されていないにもかかわらず加熱調理器100が動作したような場合を検知する。
【0038】
具体的には、電流検出部21、温度検出部22、又は赤外線センサ23に応じて予め設定された閾値W1(例えば、電流値2A、加熱室温度60℃、又は赤外線センサ検出値100℃)。及び閾値W2(例えば、電流値1A、加熱室温度40℃、又は赤外線センサ検出値60℃)が、フラッシュメモリ62bなどに記憶されている。閾値W2は、閾値W1以下の値に設定されている。制御部62は、電流検出部21、温度検出部22、又は赤外線センサ23による検出値が閾値W1を超えた場合に、当該検出値を、待機中の異常動作の履歴を示す履歴データとして、フラッシュメモリ62bの各履歴記憶領域に記憶させる。その際、制御部62は、電流検出部21、温度検出部22、又は赤外線センサ23による検出値が、閾値W1を超えてから閾値W2以下になるまでの間の動作時間を当該履歴データに含めて記憶させる。併せて、制御部62は、調理コードを書き込むアドレス領域に、通常調理とは異なるモードであることを示す異常コードを記憶させる。なお、加熱調理器100は、オーブン調理終了後など、加熱室10内の温度が高い場合には、各閾値の値を変更あるいは無効化するなどして、制御部62が誤判定しないように構成されている。
【0039】
図2は、加熱調理器100に備わるフラッシュメモリ62bの概要を示す説明図である。フラッシュメモリ62bは、履歴データなどを記憶する領域である下位バンクと、メインプログラムなどを記憶する領域である上位バンクと、を有している。下位バンク及び上位バンクは、それぞれ、複数のセクタにより構成されている。
【0040】
本実施の形態1において、下位バンクは、エラー履歴情報、調理履歴、累積動作時間、及びユーザ設定情報などを含む履歴データを記憶する第一セクタSA1及び第二セクタSA2と、機器管理用の情報を記憶する第三セクタSA3と、を有している。本実施の形態1における第一セクタSA1及び第二セクタSA2は、フラッシュメモリ62bが有する複数の履歴記憶領域に相当する。また、本実施の形態1における第三セクタSA3は、フラッシュメモリ62bが有する管理情報記憶領域に相当する。
【0041】
機器管理用の情報は、加熱調理器100の性能維持のための分析に用いる情報である。制御部62は、第三セクタSA3に、機器管理用の情報として、例えば、赤外線センサ23の初期設定情報である赤外線設定データ、及び履歴データの書き込みエラーを示す情報などを記憶させる。初期設定情報は、各センサのバラつきを補正するためのバラつき補正データを含む。
【0042】
上位バンクは、制御部62の各種制御用のメインプログラムを記憶する第四セクタSA4及び第五セクタSA5を有している。第五セクタSA5には、ベクタテーブルも併せて記憶される。
【0043】
第一セクタSA1及び第二セクタSA2の容量はそれぞれ2KBであり、第三セクタSA3の容量は4KBである。また、第四セクタSA4の容量は24KBであり、第五セクタSA5の容量は16KBである。第一セクタSA1は、「1000」から「17FF」までのアドレスを有しており、第二セクタSA2は、「1800」から「1FFF」までのアドレスを有している。第三セクタSA3は、「2000」から「2FFF」までのアドレスを有している。第四セクタSA4は、「3000」から「8FFF」までのアドレスを有しており、第五セクタSA5は、「9000」から「CFFF」までのアドレスを有している。すなわち、第一セクタSA1、第二セクタSA2、第三セクタSA3、第四セクタSA4、及び第五セクタSA5は、それぞれ、複数のアドレスに対応するアドレス領域を有している。
【0044】
第一セクタSA1、第二セクタSA2、及び第三セクタSA3は、属性の欄に示す通り、読み込み及び書き込みが可能となっている。一方、第四セクタSA4及び第五セクタSA5は、読み込み専用の記憶領域となっている。制御部62は、上位バンクからメインプログラムを読み出して各種制御を実行している最中であっても、履歴データなどを下位バンクに書き込むことができる。また、制御部62は、上位バンクからメインプログラムを読み出して各種制御を実行している最中に、下位バンクのデータを消去することができる。なお、データの消去はセクタ単位で行なわれる。
【0045】
図3は、
図2のフラッシュメモリ62bの第一セクタSA1のアドレスマップを例示する説明図である。
図4は、
図2のフラッシュメモリ62bの第二セクタSA2のアドレスマップを例示する説明図である。
図3及び
図4において、DECは10進数による表記であることを示し、HEXは16進数による表記であることを示す。すなわち、本実施の形態1において、1回分の履歴データは、44個のアドレス領域に記憶される。ここで、44個のアドレス領域からなり、1回分の履歴データが記憶される領域を、履歴データ領域という。フラッシュメモリ62bの履歴記憶領域には、第一セクタSA1及び第二セクタSA2内に、各々46個の履歴データ領域を有している。
【0046】
図3及び
図4の一行目に記載するように、各履歴データ領域には履歴番号R(
図3の一行目の1から46、
図4の一行目の47から92)が付与されており、制御部62は、履歴番号Rが小さい方から順に履歴データの書き込みを実行する。なお、第一セクタSA1のアドレス「17E8」〜「17FF」に対応するアドレス領域と、第二セクタSA2のアドレス「1FE8」〜「1FFF」に対応するアドレス領域とは、いずれも44個に満たないため、履歴データの記憶用としては使用されない。
【0047】
制御部62は、各履歴データ領域に、履歴データとして、フラッシュメモリ62bの使用状況を示すフラッシュ使用状況、調理履歴、累積動作時間、エラー履歴情報、エラー情報の有無を示すエラー履歴有無情報、ユーザによる設定内容を示すユーザ設定情報、及び動作情報を記憶させる。ここで、調理履歴情報は、調理履歴、累積動作時間、エラー履歴有無情報、ユーザ設定情報、及び動作情報を含む。
【0048】
図5は、
図2のフラッシュメモリ62bの第一セクタSA1及び第二セクタSA2に履歴データが書き込まれる様子を示す説明図である。
図5における音量変更時の履歴データが書き込まれた二つの履歴データ領域は、それぞれ、
図3及び
図4の履歴番号Rが1及び5である列の履歴データ領域に対応する。
図5における調理1〜5の履歴データが書き込まれた履歴データ領域は、それぞれ、
図3及び
図4の履歴番号Rが2〜4、6、及び7である列の履歴データ領域に対応する。
図5における調理5の隣の未使用状態にある履歴データ領域は、
図3及び
図4の履歴番号Rが8である列の履歴データ領域に対応する。
図5に示すように、未使用状態にある各履歴データ領域は、各アドレス領域のデータが「FF」となっている。また、例えば、音量変更の履歴データにおける調理時間データなどのように、履歴情報がない場合には、履歴データを書き込む際に、制御部62は、変更がない或いはデータがないアドレスのアドレス領域に、”書込みデフォルト”として記載した値を書き込むように構成されている。
【0049】
フラッシュ使用状況は、履歴データの有無を示す情報であり、本実施の形態1では、データの書き込み無しの状態を「FF」で表し、データの書き込み有りの状態を「00」で表す。制御部62は、各履歴データ領域に、調理履歴として、調理の種類を示す調理コード、調理開始時及び調理終了時の赤外線温度及び庫内温度、調理時間、調理を終了した条件である調理終了条件、及び調理中に発生したエラーを示す調理中エラーなどを記憶させる。このように、履歴データが、調理コードと、調理時間と、加熱開始時及び加熱終了時における庫内温度及び赤外線温度と、を含むように構成することにより、エラー解析の精度が向上する。
【0050】
制御部62は、各履歴データ領域に、調理履歴として、赤外線温度、庫内温度、及び累積動作時間を16進数で記憶させる。制御部62は、16進数で記憶させた赤外線温度、庫内温度、及び累積動作時間などの情報を、10進数に換算して表示部50に表示させる機能を有している。制御部62は、各履歴データ領域に、調理終了条件として、通常終了であれば「00」を記憶させ、とりけしキー40dの入力操作を受け付けて調理を終了したときは「01」を記憶させ、ドアが開いたことにより調理を終了したときは「02」を記憶させ、エラーが発生したことにより調理を終了したときは「03」を記憶させ、電源がOFFとなったことにより調理が終了したときは「04」を記憶させる。このように、履歴データが、調理を終了した条件を含むように構成することにより、エラー解析の精度が向上する。
【0051】
制御部62は、各履歴データ領域の調理中エラー1及び調理中エラー2に対応するアドレス領域に、調理中に発生したエラーを示す情報の他、調理中に実行した保護制御を示す保護制御情報を記憶させる。制御部62は、第一セクタSA1及び第二セクタSA2に、保護制御情報として、レンジモードでの加熱時の短時間高出力制御及び軽負荷制御などを示す情報を記憶させる。このように、履歴データが、調理中に実行した保護制御を示す保護制御情報を含むように構成することにより、エラー解析の精度が向上する。
【0052】
制御部62は、加熱源に関する複数の加熱モードを有しており、複数の加熱モードは、レンジモードと、オーブンモードと、に大別されている。すなわち、制御部62は、各履歴データ領域に、累積動作時間として、レンジモードでの累積動作時間と、オーブンモードでの累積動作時間とを区別して記憶させる。レンジモードは、あたためモード及び手動レンジモードに類別され、オーブンモードは、手動オーブンモード及び手動グリルモードに類別されており、各々4バイトを使用して記憶されている。そして、履歴データは、各加熱モードのそれぞれの累積動作時間を含むものである。すなわち、制御部62は、類別された加熱モード毎の累積動作時間を、第一セクタSA1及び第二セクタSA2に書き込むものである。このように、履歴データが、各加熱モードのそれぞれの累積動作時間を含むように構成することにより、エラー解析の精度が向上する。
【0053】
第一セクタSA1及び第二セクタSA2の各履歴データ領域は、エラー履歴情報を記憶する領域として、複数のエラー履歴バッファを有している。すなわち、各エラー履歴領域は、エラー情報を複数回分記憶する領域を有している。本実施の形態1において、各履歴データ領域は、10個のエラー履歴バッファ1〜10を有しているため、制御部62は、過去10回分のエラー情報を記憶することができる。ここで、10個のエラー履歴バッファ1〜10を総称してエラー履歴バッファともいう。制御部62は、エラー履歴バッファに、発生したエラーの種類を示すエラーコードをエラー情報として記憶させる。このように、複数の履歴データ領域が、それぞれ、エラー情報を複数回分記憶する領域を有するように構成することにより、エラー解析の精度が向上する。
【0054】
図5の例では、調理2の間に「07」で識別されるエラーが発生しており、エラー履歴バッファ1には「07」が記憶されている。また、調理3の間には「08」で識別されるエラーが発生しているため、制御部62が、調理2で発生したエラーを示す「07」をエラー履歴バッファ2に記憶させ、エラー履歴バッファ1に「08」を記憶させている。さらに、調理5の間には「02」で識別されるエラーが発生しているため、制御部62が、調理2で発生したエラーを示す「07」をエラー履歴バッファ3に記憶させ、調理3で発生したエラーを示す「08」をエラー履歴バッファ2に記憶させ、エラー履歴バッファ1に「02」を記憶させている。このように、制御部62は、エラー情報としてのエラーコードを、新しいものから順に並べてエラー記憶バッファ内に記憶させる。
【0055】
制御部62は、第一セクタSA1及び第二セクタSA2の各履歴データ領域について、先頭のフラッシュ使用状況が「FF」であるか否かを順次判定することにより、履歴データ領域に履歴データが記憶されていない最初の履歴データ領域を特定する機能を有している。
【0056】
制御部62は、各履歴データ領域に、エラー履歴有無情報として、エラー履歴バッファの状態を記憶する。すなわち、制御部62は、エラー履歴バッファに、1以上10未満のエラー情報が記憶されていれば、標準的な状態であると判断して、エラー履歴有無情報に対応するアドレス領域に「00」を記憶させる。また、制御部62は、エラー履歴バッファに、過去10回分のエラー情報が記憶されていれば、エラー履歴バッファが一杯の状態であると判断して、エラー履歴有無情報に対応するアドレス領域に「01」を記憶させる。さらに、制御部62は、エラー履歴バッファに、エラー情報が一つも記憶されていなければ、エラー履歴バッファが空の状態であると判断して、エラー履歴有無情報に対応するアドレス領域に「FF」を記憶させる。
【0057】
制御部62は、各履歴データ領域に、ユーザ設定情報として、ユーザによる出し忘れ報知情報の報知要否の設定、ユーザが設定し又は切り替えた音量を示す音量設定情報、ユーザが設定したあたためモードの設定温度であるあたため温度、及びユーザが設定したのみものをあたためるときの温度であるのみもの温度を記憶する。出し忘れ報知情報は、調理終了後に被加熱物500を出し忘れることを防ぐために報知する情報である。制御部62は、各履歴データ領域に、ユーザによる音量設定又は音量設定の変更を示す音量設定情報として、通常モードの場合に「00」を記憶させ、消音モードの場合に「01」を記憶させ、無音モードの場合に「02」を記憶させる。制御部62は、各履歴データ領域に、ユーザ設定情報のうちのあたため温度及びのみもの温度を16進数で記憶させる。
【0058】
制御部62は、各履歴データ領域に、動作情報として、加熱調理器100の機能を説明するモードであるデモモードへの設定の有無を示すデモ設定情報を記憶させる。制御部62は、各履歴データ領域に、デモ設定情報として、通常モードに設定されている場合に「00」を記憶させ、デモモードに設定されている場合に「01」を記憶させる。
【0059】
図2〜
図4では、フラッシュメモリ62bが有する複数の履歴記憶領域として、第一セクタSA1及び第二セクタSA2を例示したが、これに限らず、フラッシュメモリ62bは、三つ以上の履歴記憶領域を設けて構成してもよい。
【0060】
例えば、フラッシュメモリ62bに、三つの履歴記憶領域を設けた場合、制御部62は、三つの履歴記憶領域のうちの何れか一つを順次選定し、選定した履歴記憶領域に、当該履歴記憶領域が一杯になるまで履歴データを順次書き込むようにするとよい。そして、二つの履歴記憶領域が一杯の状態で、かつ書き込み中の履歴記憶領域が一杯の状態となるときに、制御部62は、少なくとも書き込み中の履歴記憶領域に履歴データを保持させ、最も古い履歴データを記憶している一つの履歴記憶領域の履歴データを消去するようにするとよい。このようにすれば、より新しくかつ十分な量の履歴データを確保することができる。また、制御部62は、最も古い履歴データを記憶している履歴記憶領域の履歴データを消去するとき、履歴データの損失のリスクを低減するために、履歴データを保持させる履歴記憶領域にライトプロテクトをかけるようにするとよい。
【0061】
なお、制御部62は、上述した各機能を実現する回路デバイスなどのハードウェアにより実現することもできるし、例えばDSP等のマイコン又はCPU等の演算装置上で実行されるソフトウェアとして実現することもできる。
【0062】
図6は、加熱調理器100の全体的な動作を示すフローチャートである。
図7は、加熱調理器100の第二特殊操作に応じた動作を示すフローチャートである。
図8は、
図7の動作中において、表示部50に表示されるエラー履歴情報を例示する説明図である。
図9は、加熱調理器100の第三特殊操作に応じた動作を示すフローチャートである。
図10は、
図9の動作中において、表示部50に表示される履歴データの一例を示す説明図である。
図11は、
図9の動作中において、表示部50に表示される履歴データの他の例を示す説明図である。
図6〜
図11に基づき、加熱調理器100の動作及び表示部50に表示される履歴データの例について説明する。
【0063】
電源がオンとなり、交流電源から電力が供給されると、制御部62は、ユーザによって操作部40の何れかのキーが操作されたか否か、すなわち、キー操作の有無について判定し(
図6:ステップS101)、キー操作があるまで待機する(
図6:ステップS101/NO)。
【0064】
制御部62は、キー操作があると(
図6:ステップS101/YES)、当該キー操作が第一特殊操作であるか否かを判定する(
図6:ステップS102)。第一特殊操作は、例えば、とりけしキー40dを3秒押し続けることを3回行う操作に設定される。
【0065】
制御部62は、キー操作が第一特殊操作であれば(
図6:ステップS102/YES)、全ての履歴記憶領域である第一セクタSA1及び第二セクタSA2の履歴データをクリアする(
図6:ステップS103)。一方、制御部62は、キー操作が第一特殊操作でなければ(
図6:ステップS102/NO)、当該キー操作が第二特殊操作であるか否かを判定する(
図6:ステップS104)。
【0066】
ここで、第二特殊操作は、加熱調理器100の修理などを行うサービスマンが実行する操作である。第二特殊操作は、エラー履歴情報の確認モードへ移行するための操作であり、例えば、とりけしキー40dを3回押した後に、とりけしキー40dを3秒押し続ける操作に設定される。
【0067】
制御部62は、キー操作が第二特殊操作であれば(
図6:ステップS104/YES)、エラー履歴情報の確認モード、すなわち、
図7のステップS115へ移行する。一方、制御部62は、キー操作が第二特殊操作でなければ(
図6:ステップS104/NO)、当該キー操作が第三特殊操作であるか否かを判定する(
図6:ステップS105)。
【0068】
ここで、第三特殊操作は、加熱調理器100の開発者などが、例えば工場で、より詳細なエラー解析を行う際に実行する操作である。第三特殊操作は、履歴データの確認モードへ移行するための操作である。第三特殊操作は、例えば、とりけしキー40dを5回押した後に、とりけしキー40dを3秒押し続ける操作に設定される。
【0069】
制御部62は、キー操作が第三特殊操作であれば(
図6:ステップS105/YES)、
図9のステップS115へ移行する。一方、制御部62は、キー操作が第三特殊操作でなければ(
図6:ステップS105/NO)、当該キー操作は、ユーザによる調理条件の設定操作に該当すると判定する。このため、制御部62は、ユーザによる操作部40を介しての入力操作を受け付けて、調理条件の設定処理を実行する(
図6:ステップS106)。そして、制御部62は、スタートキー40cが押下されるまで待機する(
図6:ステップS107/NO)。
【0070】
制御部62は、スタートキー40cの入力操作を受け付けると(
図6:ステップS107/YES)、ユーザによる調理条件の設定内容に応じた制御信号を、マグネトロン駆動部63又はヒータ駆動部64に送信する。これにより、制御部62は、マグネトロン30又は上ヒータ31及び下ヒータ32のうちの少なくとも一つを駆動させる。すなわち、制御部62は、ユーザによる調理条件の設定内容に応じたレンジ調理又はオーブン調理を開始する。また、制御部62は、タイマ62aに調理時間のカウントを開始させる(
図6:ステップS108)。
【0071】
次いで、制御部62は、温度検出部22から庫内温度を取得すると共に(
図6:ステップS109)、赤外線センサ23から赤外線温度を取得する(
図6:ステップS110)。また、制御部62は、取得した調理開始時の庫内情報及び赤外線温度を例えばRAM(図示せず)に一次記憶させる。そして、制御部62は、調理終了の条件を満たすまで、レンジ調理又はオーブン調理を実行する(
図6:ステップS111/NO)。
【0072】
制御部62は、調理終了条件を満たしたとき(
図6:ステップS111/YES)、マグネトロン駆動部63又はヒータ駆動部64へ、駆動停止を指示する停止信号を送信する。これにより、制御部62は、駆動状態にあるマグネトロン30又は上ヒータ31及び下ヒータ32を停止させる。すなわち、制御部62は、マグネトロン30又は上ヒータ31及び下ヒータ32による被加熱物500の加熱を終了する。併せて、制御部62は、タイマ62aによる調理時間のカウントを停止させる(
図6:ステップS112)。また、制御部62は、温度検出部22から庫内温度を取得すると共に(
図6:ステップS113)、赤外線センサ23から赤外線温度を取得する(
図6:ステップS114)。そして、制御部62は、取得した調理後の庫内情報及び赤外線温度を例えばRAMに一次記憶させる。
【0073】
次に、制御部62は、フラッシュメモリ62bのアドレスを確認する(
図6:ステップS115)。制御部62は、第一セクタSA1又は第二セクタSA2の各履歴データ領域について、履歴番号Rが小さい方から順に、先頭のフラッシュ使用状況が「FF」であるか否かを順次判定し、履歴データが記憶されていない最初の履歴データ領域を特定する。すなわち、履歴データが記憶されていない履歴データ領域のうちで、先頭アドレスADDRが最も小さい履歴データ領域を特定する(
図6:ステップS116及びS117)。
【0074】
より具体的に、制御部62は、k番目(kは任意の自然数:本実施の形態1では1〜92)の履歴データ領域の先頭のフラッシュ使用状況を読み出し、当該フラッシュ使用状況が「FF」であるか否かを判定する(
図6:ステップS116)。制御部62は、読み出した先頭のフラッシュ使用状況が「FF」であれば(
図6:ステップS116/YES)、k−1番目の履歴データ領域に記憶されている最新の履歴データを読み出す(
図6:ステップS118)。
【0075】
一方、制御部62は、読み出したフラッシュ使用状況が「FF」でなければ(
図6:ステップS116/NO)、k番目の履歴データ領域の先頭アドレスADDRに、一つの履歴データ領域のデータ数DATAを加算することにより、次の先頭アドレスADDRを特定する(
図6:ステップS117)。そして、制御部62は、k+1番目の履歴データ領域の先頭のフラッシュ使用状況を読み出し、当該先頭のフラッシュ使用状況が「FF」であるか否かを判定する(
図6:ステップS116)。
【0076】
本実施の形態1では、データ数DATAが「44」であるため、制御部62は、例えば、1番目の履歴データ領域の先頭アドレス「1000」に「44」すなわち「2C」を加算することにより、2番目の履歴データ領域の先頭アドレス「102C」を特定する(
図6:ステップS117)。そして、制御部62は、先頭アドレス「102C」のフラッシュ使用状況を読み出し、当該先頭のフラッシュ使用状況が「FF」であるか否かを判定する(
図6:ステップS116)。
【0077】
このように、制御部62は、ステップS116及びS117の動作を、「FF」である先頭のフラッシュ使用状況を読み出すまで繰り返す。なお、先頭アドレス「17BC」も「FF」でない場合には、第二セクタSA2に移り、先頭アドレス「1800」から処理を継続する(アドレス17E8〜17FFは未使用領域と定義している為)。そして、制御部62は、先頭のフラッシュ使用状況が「FF」である最初の履歴データ領域の一つ前の履歴データ領域から履歴データを読み出す(
図6:ステップS118)。
【0078】
より具体的に、
図5の例では、1番目から7番目までの先頭のフラッシュ使用状況が「00」であるため、制御部62は、ステップS117の処理を7回繰り返す。そして、制御部62は、8番目の履歴データ領域の先頭のフラッシュ使用状況が「FF」であるため(
図6:ステップS116/YES)、一つ前である7番目の履歴データ領域から調理5に関する履歴データを読み出す(
図6:ステップS118)。
【0079】
次に、制御部62は、読み出した履歴データのうちの、今回の調理が該当する調理コードの累積動作時間に、タイマ62aによってカウントした動作時間を加算する(
図6:ステップS119)。次いで、制御部62は、先頭のフラッシュ使用状況が「FF」である最初の履歴データ領域に履歴データを書き込み、当該履歴データ領域の先頭アドレスADDRを確認する(
図6:ステップS120)。
【0080】
制御部62は、履歴データを書き込んだ記憶データ領域の先頭アドレスADDRが、第一セクタSA1の最後の履歴データ領域の先頭アドレスADDRであるか否かを判定する。ここで、履歴データを書き込んだ記憶データ領域の先頭アドレスADDRを、書き込み先頭アドレスともいう。また、第一セクタSA1の最後の履歴データ領域の先頭アドレスADDRを、第一終了先頭アドレスともいう。本実施の形態1において、制御部62は、書き込み先頭アドレスが、第一終了先頭アドレス「17BC」であるか否かを判定する(
図6:ステップS121)。
【0081】
制御部62は、書き込み先頭アドレスが第一終了先頭アドレスであれば、第二セクタSA2に記憶された全ての履歴データを消去し(
図6:ステップS122)、キー操作があるまで待機する(
図6:ステップS101/NO)。かかる場合、制御部62は、次に行う調理などの履歴データを、第二セクタSA2の最初の履歴データ領域に記憶させる。
【0082】
一方、制御部62は、書き込み先頭アドレスが第一終了先頭アドレスでなければ、当該先頭アドレスADDRが、第二セクタSA2の最後の履歴データ領域の先頭アドレスADDRであるか否かを判定する。ここで、第二セクタSA2の最後の履歴データ領域の先頭アドレスADDRを、第二終了先頭アドレスともいう。本実施の形態1において、制御部62は、書き込み先頭アドレスが、第二終了先頭アドレス「1FBC」であるか否かを判定する(
図6:ステップS123)。
【0083】
制御部62は、先頭アドレスADDRが第二終了先頭アドレスであれば(
図6:ステップS123/YES)、第一セクタSA1に記憶された全ての履歴データを消去し(
図6:ステップS124)、キー操作があるまで待機する(
図6:ステップS101/NO)。かかる場合、制御部62は、次に行う調理などの履歴データを、第一セクタSA1の最初の履歴データ領域に記憶させる。
【0084】
一方、制御部62は、書き込み先頭アドレスが第二終了先頭アドレスでなければ(
図6:ステップS123/NO)、キー操作があるまで待機する(
図6:ステップS101/NO)。かかる場合、制御部62は、次に行う調理などの履歴データを、書き込み先頭アドレスの次の先頭アドレスADDRを有する履歴データ領域に記憶させる。
【0085】
(第二特殊操作)
次に、
図7及び
図8を参照して、第二特殊操作が行われた場合における加熱調理器100の動作を説明する。
図6と同様の動作については、同一の符号を付して説明を省略する。なお、
図8は、
図5の調理3についての履歴データに対応している。
【0086】
第二特殊操作が行われた場合、制御部62は、履歴データが記憶されていない履歴データ領域のうちで、先頭アドレスADDRが最も小さい履歴データ領域を特定し、当該履歴データ領域の一つ前の履歴データ領域から履歴データを読み出す(
図7:ステップS115〜S118)。
【0087】
次に、制御部62は、エラー履歴バッファ1のエラー情報を表示部50に表示させる。より具体的に、制御部62は、例えば
図8(a)に示すように、エラー履歴バッファの番号である「1」を表示部50の左側に表示させ、エラーの内容を表す情報である「08」を表示部50の右側に表示させる。また、制御部62は、エラー履歴バッファの番号の左上部にエラー履歴であることを表す「Err」を表示させる(
図7:ステップS201)。
【0088】
制御部62は、とりけしキー40dの入力操作を受け付けた場合(
図7:ステップS202/YES)、表示部50の表示を通常の状態に戻し、第二特殊操作に係る動作を終了する。一方、とりけしキー40dの入力操作を受け付けていない状態において(
図7:ステップS202/NO)、制御部62は、とりけしキー40d又はスタートキー40cの入力操作を受け付けるまで待機する(
図7:ステップS203/NO)。
【0089】
制御部62は、スタートキー40cの入力操作を受け付けると(
図7:ステップS203/YES)、エラー履歴バッファ2のエラー情報を表示部50に表示させる。より具体的に、制御部62は、例えば
図8(b)に示すように、エラー履歴であることを表す「Err」と共に、エラー履歴バッファの番号である「2」及びエラーの内容を表す「07」を表示部50に表示させる(
図7:ステップS204)。
【0090】
すなわち、制御部62は、スタートキー40cの入力操作を受け付ける度に(
図7:ステップS203/YES)、エラー履歴バッファ1〜10のそれぞれのエラー情報を、順次切り替えて表示部50に表示させる。つまり、表示部50には、新しいエラー情報から順に表示される(
図7:ステップS201〜S205)。また、制御部62は、とりけしキー40dの入力操作を受け付けたときに、表示部50の表示を通常の状態に戻し、第二特殊操作に係る動作を終了する。
【0091】
制御部62は、エラー履歴バッファ9のエラー情報を表示させているときに、スタートキー40cの入力操作を受け付けると、エラー履歴バッファ10のエラー情報を表示部50に表示させる。より具体的に、制御部62は、例えば
図8(c)に示すように、エラー履歴であることを表す「Err」と共に、エラー履歴バッファの番号である「10」を表示部50に表示させる。また、エラー履歴バッファ10には、エラー情報が記憶されていないため、制御部62は、表示部50の右側に、エラー情報が記憶されていないことを示す「−−」を表示させる(
図7:ステップS205)。
【0092】
さらに、制御部62は、エラー履歴バッファ10のエラー情報を表示させているときに、スタートキー40cの入力操作を受け付けると、エラー履歴バッファ1のエラー情報を表示部50に表示させる(
図7:ステップS201)。そして、制御部62は、ステップS201〜S208における一連の動作を、ユーザによる入力操作に応じて実行する。
【0093】
(第三特殊操作)
次に、
図9〜
図11に基づき、第三特殊操作が行われた場合の加熱調理器100の動作について説明する。
図6と同様の動作については、同一の符号を付して説明を省略する。なお、
図10は、
図5の調理5についての履歴データに対応しており、
図11は、
図5の調理4についての履歴データに対応している。
【0094】
第三特殊操作が行われた場合、制御部62は、履歴データが記憶されていない履歴データ領域のうちで、先頭アドレスADDRが最も小さい履歴データ領域を特定し、当該履歴データ領域の一つ前の履歴データ領域から履歴データを読み出す(
図9:ステップS115〜S118)。
【0095】
次に、制御部62は、履歴番号Rを特定し(
図9:ステップS301)、読み出した履歴データの調理コードが「00」であるか否かを判定する(
図9:ステップS302)。制御部62は、調理コードが「00」であれば(
図9:ステップS302/NO)、音量設定などに関する履歴データが記憶されていると判断し、特定した履歴番号Rから1を減算する(
図9:ステップS303)。そして、制御部62は、先頭アドレスADDRからデータ数DATAを減算して一つ前の先頭アドレスADDRとし、一つ前の履歴データ領域から履歴データを読み出して、ステップS302へ移行する(
図9:ステップS304)。
【0096】
一方、制御部62は、調理コードが「00」でなければ(
図9:ステップS302/YES)、調理に関する履歴データが記憶されていると判断し、当該履歴データを表示部50に表示させる(
図9:ステップS305)。本実施の形態1において、制御部62は、履歴データとして、調理に関する履歴データの順番を示す調理履歴番号、各履歴データ領域における順序を示すデータナンバー、及び調理コードなどの詳細情報を表示部50に個別表示させる。開発者などは、データナンバーを視認することにより、詳細情報が何を示すデータであるかを認識する。より具体的に、制御部62は、例えば
図10(a)に示すように、表示部50の左側にデータナンバーである「1」を表示させ、表示部50の右側に調理コードを詳細情報として表示させる。また、制御部62は、表示部50におけるデータナンバーの上部に調理履歴番号である「5」を表示させる。ここで、調理履歴番号は、履歴番号Rから調理以外の履歴データ数を除いた値となっている。具体的には、
図5において、調理5の履歴番号Rは7であるが、調理履歴番号は、音量変更の2回を除いた値である5となるように構成されている。
【0097】
次いで、制御部62は、時間キー40bの入力操作を受け付けることなく(
図9:ステップS306/NO)、とりけしキー40dの入力操作を受け付けた場合(
図9:ステップS307/YES)、表示部50の表示を通常の状態に戻し、第三特殊操作に係る動作を終了する。
【0098】
一方、制御部62は、とりけしキー40dの入力操作を受け付けることなく(
図9:ステップS307/NO)、スタートキー40cの入力操作を受け付けた場合(
図9:ステップS308/YES)、次のアドレス領域に記憶されているデータを表示部50に表示させる。より具体的に、制御部62は、例えば
図10(a)の表示から
図10(b)の表示に切り替える。すなわち、制御部62は、調理履歴番号「5」、データナンバー「2」、及び詳細情報としての赤外線温度「34℃」を表示部50に表示させる。なお、制御部62は、
図5の調理5におけるデータナンバー「2」に対応する「22」を16進数から10進数に換算して「34」とすることで、表示部50に赤外線温度として「34℃」を表示させる。(
図9:ステップS309)。なお、スタートキー40cの入力操作を受け付けていない状態では、時間キー40b、とりけしキー40d、又はスタートキー40cの入力操作を受け付けるまで待機する(
図9:ステップS308/NO)。
【0099】
また、制御部62は、データナンバー「41」の調理履歴情報を表示させているときに、スタートキー40cの入力操作を受け付けると、データナンバー「42」に応じたデータを表示部50に表示させる。より具体的に、制御部62は、例えば
図10(c)に示すように、調理履歴番号「5」、データナンバー「42」、及び詳細情報としての動作情報「00」を表示部50に表示させる(
図9:ステップS310)。
【0100】
すなわち、制御部62は、スタートキー40cの入力操作を受け付ける度に(
図9:ステップS308/YES)、データナンバーの順序に従って、調理履歴情報を順次切り替えて表示部50に表示させる(
図9:ステップS309〜S310)。
【0101】
また、制御部62は、時間キー40bの入力操作を受け付けることなく(
図9:ステップS311/NO)、とりけしキー40dの入力操作を受け付けたときに(
図9:ステップS312/YES)、表示部50の表示を通常の状態に戻し、第三特殊操作に係る動作を終了する。一方、制御部62は、とりけしキー40dの入力操作を受け付けていない状態では(
図9:ステップS312/NO)、時間キー40b、とりけしキー40d、又はスタートキー40cの入力操作を受け付けるまで待機する(
図9:ステップS313/NO)。
【0102】
ここで、制御部62は、履歴データとして、フラッシュ使用状況を除く42個のデータを表示部50に表示させる。したがって、制御部62は、例えば
図10(c)のように、表示させる最後のデータナンバーに対応するデータを表示させているとき、スタートキー40cの入力操作を受け付けると(
図9:ステップS313/YES)、表示させる最初のデータナンバーに対応するデータを表示部50に表示させる。すなわち、制御部62は、再び
図10(a)のようなデータナンバー「1」に応じたデータを表示部50に表示させる(
図9:ステップS305)。
【0103】
このように、制御部62は、時間キー40b又はとりけしキー40dの入力操作などを受け付けるまで、スタートキー40cの入力操作を受け付ける度に、一つの履歴データ領域の各アドレス領域のデータを切り替えて表示部50に表示させる。
【0104】
一方、制御部62は、時間キー40bの入力操作を受け付けた場合(
図9:ステップS306及びS311/YES)、特定した履歴番号Rから1を減算し(
図9:ステップS303)、一つ前の履歴データ領域から履歴データを読み出して、ステップS302へ移行する(
図9:ステップS304)。そして、制御部62は、読み出した履歴データの調理コードが「00」でなければ、当該履歴データを表示部50に表示させる。
【0105】
例えば、制御部62は、
図10に示す履歴データを切替表示しているときに、時間キー40bの入力操作を受け付けると(
図9:ステップS306及びS311/YES)、
図11(a)のように、調理履歴番号「4」、データナンバー「1」、及び詳細情報としての調理コード「21」を表示部50に表示させる(
図9:ステップS305)。次いで、制御部62は、スタートキー40cの入力操作を受け付けると(
図9:ステップS308/YES)、
図11(b)のように、調理履歴番号「4」、データナンバー「2」、及び詳細情報としての赤外線温度「33℃」を表示部50に表示させる。
【0106】
すなわち、制御部62は、スタートキー40cの入力操作を受け付ける度に(
図9:ステップS308/YES)、データナンバーの順序に従い、データナンバーに応じたデータを順次切り替えて表示部50に表示させる。また、例えば、
図11(c)のように、表示させる最後のデータナンバー「42」に対応するデータを表示させているときに、スタートキー40cの入力操作を受け付けると、制御部62は、
図11(a)のように、表示させる最初のデータナンバー「1」に対応するデータを表示部50に表示させる。つまり、制御部62は、時間キー40b又はとりけしキー40dの入力操作などを受け付けるまで、スタートキー40cの入力操作を受け付ける度に、一つの履歴データ領域の各アドレス領域のデータを切り替えて表示部50に表示させる。
【0107】
上記
図6〜
図11を参照しての動作説明では、フラッシュメモリ62bが第一セクタSA1及び第二セクタSA2を有する場合を例示したが、これに限らず、フラッシュメモリ62bは、三つ以上の履歴記憶領域を設けて構成してもよい。すなわち、制御部62は、フラッシュメモリ62bに三つ以上の履歴記憶領域を設けた場合にも、上記同様に、履歴データの記憶及び保持に関する処理を実行することができる。
【0108】
また、上記動作説明は、
図6、
図7、及び
図9に付した符号の順に行ったが、加熱調理器100による動作の順序は、これに限定されるものではない。例えば、上記動作は、制御部62が、履歴記憶領域に履歴データを書き込んだ直後に履歴データの消去を行うという流れで説明している(
図6のステップS120〜S124参照)。しかし、制御部62は、書き込み中の履歴記憶領域の最後の履歴データ領域に履歴データを書き込むとき、同時に、書き込み中以外の履歴記憶領域の履歴データを消去するようにしてもよい。
【0109】
以上のように、本実施の形態1における加熱調理器100は、履歴データを複数回分記憶する履歴記憶領域を複数有するフラッシュメモリ62bを備えている。また、制御部62は、全ての履歴記憶領域が一杯の状態となるとき、すなわち、書き込み中以外の履歴記憶領域が一杯の状態で、かつ書き込み中の履歴記憶領域が一杯の状態となるときに、少なくとも一つの履歴記憶領域に履歴データを保持させ、それ以外の履歴記憶領域から履歴データを消去する。このため、履歴データの記憶用にフラッシュメモリ62bを用いて、エラー解析に利用できる十分な量の履歴データを確保することができる。また、フラッシュメモリ62bにおける履歴データの書き換え回数を低減することにより、フラッシュメモリ62bの長寿命化を図ることができる。
【0110】
さらに、制御部62は、全ての履歴記憶領域が一杯の状態となるとき、少なくとも書き込み中の履歴記憶領域に履歴データを保持させる。したがって、フラッシュメモリ62b内に、最新の履歴データが保持されるため、エラー解析の精度をより高めることができる。また、制御部62は、古い履歴データが記憶されている履歴記憶領域から順に履歴データの消去を実行する。このため、サービスマン及び開発サイドにおいて履歴データを確認する際、相対的に新しいエラーの履歴をチェックすることができることから、さらにエラー解析の精度が向上する。
【0111】
実施の形態2.
図12は、本発明の実施の形態2に係る加熱調理器200の全体的な構成を示す模式図及びブロック図である。
図12に示すように、加熱調理器200は、通信ネットワークに接続する通信部80を有する点に特徴がある。前述した実施の形態1における加熱調理器100と同等の構成部材については同一の符号を用い、その説明は省略する。
【0112】
通信部80は、有線LAN、無線LAN、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)など、任意の通信規格により情報通信を行う機能を有している。通信部80は、住宅内ネットワークなどの通信ネットワークに接続し、通信ネットワーク上の機器から日付及び時刻を含む日付時刻情報を取得するものである。また、通信部80は、取得した日付時刻情報を制御部162に送信するものである。
【0113】
すなわち、制御部162は、通信部80が取得した日付時刻情報を履歴データに含めてフラッシュメモリ62bに記憶させる機能を有している。また、制御部162は、通信部80が日付時刻情報の取得に失敗した場合、履歴データに日付時刻情報を付与せず、第一セクタSA1又は第二セクタSA2に、最新の履歴データとして記憶させるものである。制御部162の他の機能構成は、実施の形態1における制御部62と同様である。
【0114】
図13は、加熱調理器200に備わるフラッシュメモリ62bの第一セクタSA1のアドレスマップを例示する説明図である。
図14は、加熱調理器200に備わるフラッシュメモリ62bの第二セクタSA2のアドレスマップを例示する説明図である。本実施の形態2において、フラッシュメモリ62bは、第一セクタSA1及び第二セクタSA2内に、40個の履歴データ領域を有している。また、1回分の履歴データが記憶される履歴データ領域は、50個のアドレス領域を有している。
【0115】
制御部62は、
図13及び
図14に示すように、第一セクタSA1及び第二セクタSA2のデータナンバー「27」〜「32」に対応するアドレス領域に、日付時刻情報を記憶させる。本実施の形態2では、日付時刻情報に「年」及び「月」の情報を含めているが、日付時刻情報は、「年」の情報、又は「年」及び「月」の情報を含めずに構成してもよい。
【0116】
図15は、加熱調理器200に備わるフラッシュメモリ62bの第一セクタ及び第二セクタに履歴データが書き込まれる様子を示す説明図である。
図15に示すように、制御部162は、調理などが終了する度に、日付時刻情報を含む履歴データを第一セクタSA1又は第二セクタSA2に記憶させるものである。すなわち、制御部162は、加熱源による加熱及び音量変更が終了したとき、履歴データに日付時刻情報を含めて第一セクタSA1又は第二セクタSA2に記憶させる。なお、日付時刻情報の取得に失敗した場合、制御部162は、第一セクタSA1又は第二セクタSA2に、日付時刻情報としてデフォルト設定値(ここでは「00」)を記憶させる。
【0117】
図15からは、音量変更が、2015年4月1日9時30分25秒に行われ、通常モード(00)から小音モード(01)に切り替えられたことがわかる。
また、調理1が、2015年4月1日9時35分48秒に開始されたこと、及び当該調理1では、あたためが280秒間行われたことがわかる。
さらに、調理2が、2015年4月4日10時5分10秒に開始されたこと、及び当該調理2では、あたためが30秒間行われたことがわかる。
また、調理3が、2015年4月4日10時6分34秒に開始されたこと、及び当該調理3では、手動レンジが14秒間行われたことがわかる。
さらに、音量変更が、2015年4月4日17時44分2秒に行われ、小音モード(01)から無音モード(02)に切り替えられたことがわかる。
また、調理4が、2015年4月4日18時57分34秒に開始されたこと、及び当該調理4では、手動オーブンが25分間(1500秒間)行われたことがわかる。
そして、調理5が、2015年4月4日20時に開始されたこと、及び手動グリルが60秒間行われたことがわかる。
なお、フラッシュメモリ62bにおいて、調理時間は2バイトのデータとして記憶され、累積動作時間は4バイトのデータとして記憶されている。
【0118】
図16は、
図12の加熱調理器200の全体的な動作を示すフローチャートである。
図6と同様の動作については、同一の符号を付して説明を省略する。制御部162は、自身の起動が完了すると、まず、通信部80を起動し、通信部80を介して日付時刻情報を取得する(
図16:ステップS401)。
【0119】
通信部80が日付時刻情報の取得に成功した場合(
図16:ステップS402/YES)、制御部162は、タイマ62aを起動し、時刻のカウントを開始させて、ステップS101へ移行する(
図16:ステップS403)。一方、通信部80が日付時刻情報の取得に失敗した場合(
図16:ステップS402/NO)、制御部162は、タイマ62aに時刻のカウントを実行させない。すなわち、制御部162は、時刻のカウントなしでステップS101へ移行する(
図16:ステップS404)。
【0120】
なお、
図16におけるステップS101〜S124の動作は、実施の形態1で
図6を参照して行った動作内容と同様であるため、説明は省略する。また、第二特殊操作及び第三特殊操作に応じた動作は、実施の形態1において
図7〜
図11を参照して説明した動作内容と同様である。
【0121】
以上のように、本実施の形態2における加熱調理器200も、履歴データを複数回分記憶する履歴記憶領域を複数有するフラッシュメモリ62bを備えている。そして、制御部162は、全ての履歴記憶領域が一杯の状態となるとき、少なくとも一つの履歴記憶領域に履歴データを保持させ、それ以外の履歴記憶領域から履歴データを消去する。このため、履歴データの記憶用にフラッシュメモリ62bを用いて、エラー解析に利用できる十分な量の履歴データを確保することができ、かつフラッシュメモリ62bの長寿命化を図ることができる。
【0122】
また、本実施の形態2の加熱調理器200は、日付時刻情報を取得する通信部80を有している。そして、制御部162が、複数の履歴記憶領域に日付時刻情報を記憶させるため、履歴データの拡充を図ることができる。すなわち、加熱調理器200によれば、エラー解析などの精度をさらに向上することができる。また、制御部162の起動後に、通信部80を介して日付時刻情報を取得するように構成したので、待機時消費電力ゼロの機器、すなわち待機時に完全に電源がオフしている機器又はバックアップ電源を有していない機器であっても、履歴情報に日付時刻情報を付与することができる。
【0123】
なお、上述した各実施の形態は、加熱調理器における好適な具体例であり、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、
図1又は
図12では、フラッシュメモリ62bが制御部62又は制御部162の内部に設けられている場合を例示しているが、これに限らず、フラッシュメモリ62bは、制御部62又は制御部162の外部に設けられていてもよい。さらに、実施の形態1では、一つの履歴データ領域が44個のアドレス領域で構成されている場合を例示し、実施の形態2では、一つの履歴データ領域が50個のアドレス領域で構成されている場合を例示しているが、これに限定されるものではない。すなわち、履歴データ領域は、エラー解析に必要な各種データを記憶できるだけのアドレス領域を有していればよい。したがって、履歴データ領域を構成するアドレス領域の数は、エラー解析の精度などを考慮の上、適宜増減させてもよい。