(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6611546
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】走査型レーザ顕微鏡
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20191118BHJP
G02B 21/06 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/06
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-201005(P2015-201005)
(22)【出願日】2015年10月9日
(65)【公開番号】特開2017-72783(P2017-72783A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年10月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(72)【発明者】
【氏名】橋本 勝行
【審査官】
堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−017642(JP,A)
【文献】
特開2010−020075(JP,A)
【文献】
特開2013−076619(JP,A)
【文献】
特開2006−277424(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/077710(WO,A1)
【文献】
国際公開第2008/004336(WO,A1)
【文献】
特開2011−128423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00−21/00
G02B 21/06−21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から発せられたレーザ光を標本において2次元的に走査する走査部と、
前記標本からの光を検出する光検出部と、
観察方法に関する情報を取得する情報取得部と、
該情報取得部により取得された情報に基づいて前記走査部を制御する制御部とを備え、
前記走査部が、切替可能なガルバノスキャナとレゾナントスキャナとを備え、
前記観察方法は、前記ガルバノスキャナのみを使用する観察方法、または、前記ガルバノスキャナと前記レゾナントスキャナとを切り替えて使用する観察方法のいずれかであり、
前記制御部は、前記情報取得部により取得された情報が、前記ガルバノスキャナのみを使用する観察方法を表している場合に、前記レゾナントスキャナを停止させ、前記ガルバノスキャナと前記レゾナントスキャナとを切り替えて使用する観察方法を表している場合に、前記レゾナントスキャナを常に起動させるよう前記走査部を制御する走査型レーザ顕微鏡。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記観察方法をユーザに入力させる入力部を備える請求項1に記載の走査型レーザ顕微鏡。
【請求項3】
前記入力部により、前記走査型レーザ顕微鏡起動時に前記観察方法が入力される請求項2に記載の走査型レーザ顕微鏡。
【請求項4】
前記入力部により、次回の前記走査型レーザ顕微鏡起動時の前記観察方法に関する情報が入力され、
前記情報取得部は、次回の前記走査型レーザ顕微鏡起動時に前記観察方法に関する前記情報を予め記憶した記憶部から取得する請求項2に記載の走査型レーザ顕微鏡。
【請求項5】
前記情報取得部が、ユーザの情報を取得するユーザ情報取得部と、該ユーザ情報取得部により取得されたユーザの情報と前記観察方法とを対応づけて記憶する記憶部とを備える請求項1に記載の走査型レーザ顕微鏡。
【請求項6】
前記レゾナントスキャナを用いた観察の有効表示または無効表示を行う表示部を備え、
前記制御部は、前記ガルバノスキャナのみを使用する観察方法から、前記ガルバノスキャナと前記レゾナントスキャナとを切り替えて使用する観察方法に切り替える旨の情報が前記情報取得部により取得された場合に、前記レゾナントスキャナを起動し、起動から所定時間経過後に前記表示部に有効表示を行う請求項1、請求項2および請求項5のいずれかに記載の走査型レーザ顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型レーザ顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レゾナントスキャナを有する走査型レーザ顕微鏡が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この走査型レーザ顕微鏡は、レゾナントスキャナの動作時にレゾナントスキャナから発せられる不快な高音を遮音するための防音性のケーシングによってレゾナントスキャナを覆っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−119643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケーシングによりレゾナントスキャナを覆う遮音構造によって効果的に遮音するには、装置が大がかりかつ高価となる。このため、遮音構造を簡易なものとすると、ある程度の遮音しかできないという不都合がある。
一方、走査型レーザ顕微鏡を用いた観察としては、標本の遅い動きを高精細に観察したい場合と、標本の早い動きの観察および高精細の観察を切り替えて行いたい場合の2種類の観察がある。
【0005】
前者の観察ではガルバノスキャナのみを利用してレーザ光の走査が行われ、後者の観察では、ガルバノスキャナのみによる走査と、レゾナントスキャナを用いた走査とが切り替えて行われる。
ガルバノスキャナのみによる走査の場合、レゾナントスキャナは使用されないので停止させておけば騒音の発生を抑止することができる。
しかしながら、レゾナントスキャナは、起動後、動作が安定するまでに時間がかかるので、停止したのでは再起動後の観察の開始までに時間がかかるという問題がある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、大がかりな構成を採用することなく、レゾナントスキャナから発生する騒音を極力防止し、かつ、観察時間の長期化を防止することができる走査型レーザ顕微鏡を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、光源から発せられたレーザ光を標本において2次元的に走査する走査部と、前記標本からの光を検出する光検出部と、観察方法に関する情報を取得する情報取得部と、該情報取得部により取得された情報に基づいて前記走査部を制御する制御部とを備え、前記走査部が、切替可能なガルバノスキャナとレゾナントスキャナとを備え、前記観察方法は、前記ガルバノスキャナのみを使用する観察方法、または、前記ガルバノスキャナと前記レゾナントスキャナとを切り替えて使用する観察方法のいずれかであり、前記制御部は、前記情報取得部により取得された情報が、前記ガルバノスキャナのみを使用する観察方法を表している場合に、前記レゾナントスキャナを停止させ、前記ガルバノスキャナと前記レゾナントスキャナとを切り替えて使用する観察方法を表している場合に、前記レゾナントスキャナを常に起動させるよう前記走査部を制御する走査型レーザ顕微鏡を提供する。
【0008】
本態様によれば、情報取得部により観察方法に関する情報が取得されると、取得された情報に基づいて、制御部が走査部を制御する。取得された情報がガルバノスキャナのみを使用する観察方法を表している場合には、制御部により走査部がガルバノスキャナに切り替えられるとともに、レゾナントスキャナが停止させられる。一方、情報取得部により取得された情報がガルバノスキャナとレゾナントスキャナとを切り替えて使用する観察方法である場合には、レゾナントスキャナが常に作動させられる。
【0009】
これにより、ガルバノスキャナのみを使用する観察方法ではレゾナントスキャナを停止させて、不快な高音の発生を抑止し、レゾナントスキャナを使用する観察方法では、レゾナントスキャナを作動状態として、動作を安定させ、ガルバノスキャナとレゾナントスキャナとを切り替えても時間をかけずに観察を行うことができる。
【0010】
上記態様においては、前記情報取得部は、前記観察方法をユーザに入力させる入力部を備えていてもよい。
このようにすることで、ユーザが入力部から観察方法を入力すると、入力された観察方法がガルバノスキャナとレゾナントスキャナとを切り替えて使用する観察方法である場合には、レゾナントスキャナが作動状態とされ、ガルバノスキャナのみを使用する観察方法である場合には、レゾナントスキャナが停止させられる。
【0011】
入力部への入力は、走査型レーザ顕微鏡の起動時に行ってもよいし、観察中に行われてもよい。起動時に行われる場合には、起動に要する時間を利用してレゾナントスキャナの動作状態を安定させることができ、時間の無駄を省くことができる。また、観察中に入力が行われる場合には、再起動を行うことなく、観察中に観察方法を容易に切り替えることができる。
【0012】
また、上記態様においては、前記入力部により、前記走査型レーザ顕微鏡起動時に前記観察方法が入力されてもよい。
このようにすることで、ガルバノスキャナとレゾナントスキャナとを切り替えて使用する観察方法が選択された場合にレゾナントスキャナが起動され、走査型レーザ顕微鏡の全ての機器の起動が終了するまでにレゾナントスキャナを安定した動作状態とすることができる。
【0013】
また、上記態様においては、前記入力部により、次回の前記走査型レーザ顕微鏡起動時の前記観察方法に関する情報が入力され、前記情報取得部は、次回の前記走査型レーザ顕微鏡起動時に前記観察方法に関する前記情報を予め記憶した記憶部から取得してもよい。
このようにすることで、予め次回の観察方法に関する情報が分かっている場合に、その情報を記憶しておくことにより、起動の都度に設定する必要がない。
【0014】
また、上記態様においては、前記情報取得部が、ユーザの情報を取得するユーザ情報取得部と、該ユーザ情報取得部により取得されたユーザの情報と前記観察方法とを対応づけて記憶する記憶部とを備えていてもよい。
このようにすることで、ユーザに応じて観察方法が定まっている場合に、ユーザ情報取得部により取得されたユーザの情報に基づいて、記憶部に対応づけて記憶されている観察方法に関する情報を情報取得部が取得することにより、起動の都度に設定する必要がない。
【0015】
また、上記態様においては、前記レゾナントスキャナを用いた観察の有効表示または無効表示を行う表示部を備え、前記制御部は、前記ガルバノスキャナのみを使用する観察方法から、前記ガルバノスキャナと前記レゾナントスキャナとを切り替えて使用する観察方法に切り替える旨の情報が前記情報取得部により取得された場合に、前記レゾナントスキャナを起動し、起動から所定時間経過後に前記表示部に有効表示を行ってもよい。
【0016】
このようにすることで、ガルバノスキャナとレゾナントスキャナとを切り替えて使用する観察方法が選択された場合に、レゾナントスキャナの動作状態が安定するまでの間、ガルバノスキャナの使用は可能である。したがって、レゾナントスキャナを使用することなくガルバノスキャナを使用した画像取得が可能であり、所定時間経過後に表示部に有効表示を行うことで、動作状態が安定した状態のレゾナントスキャナを使用した画像取得を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、大がかりな構成を採用することなく、レゾナントスキャナから発生する騒音を極力防止し、かつ、観察時間の長期化を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡を示すブロック図である。
【
図2】
図1の走査型レーザ顕微鏡の起動時に表示される観察方法の選択表示例を示す図である。
【
図3】
図1の走査型レーザ顕微鏡の起動処理を説明するフローチャートである。
【
図4】
図3の起動処理に含まれるレゾナントスキャナの起動処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図1の走査型レーザ顕微鏡の起動時に表示される観察方法の選択表示の変形例を示す図である。
【
図6】
図5の場合のレゾナントスキャナの起動処理を説明するフローチャートである。
【
図7】
図1の走査型レーザ顕微鏡の変形例であって、起動中に観察方法が切り替えられる場合の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡1について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡1は、
図1に示されるように、レーザ光を射出するレーザ光源(光源)2と、該レーザ光源2から発せられたレーザ光を標本Oにおいて走査させる走査部3と、該走査部3によりレーザ光が走査されることにより標本Oにおいて発生した蛍光を検出する光検出部4と、観察方法を入力する入力部5を備える情報取得部と、入力部5において入力された観察方法に応じて走査部3を制御する制御部6と、光検出部4により取得された蛍光の強度と走査部3による走査位置とを対応付けて生成された画像を表示する表示部7とを備えている。
【0020】
走査部3は、択一的に切り替えて使用されるガルバノスキャナ8とレゾナントスキャナ9とを備えている。ガルバノスキャナ8は互いに直交する揺動平面内で揺動させられる2枚のガルバノミラー(図示略)を近接配置してなる近接ガルバノミラーであり、比較的低速にガルバノミラーを揺動させることで、標本O上でレーザ光を比較的低速に走査させることができる。
レゾナントスキャナ9は、互いに直交する揺動平面内で揺動させられる1枚のガルバノミラー(図示略)と1枚のレゾナントミラー(図示略)とを近接配置してなり、主走査方向に高速に、副操作方向には比較的低速に、標本O上でレーザ光を走査させることができる。
【0021】
光検出部4は、例えば、光電子増倍管(図示略)を備えており、検出した蛍光の強度に応じた電流を出力することができるようになっている。また、光検出部4は、光電子増倍管から出力される電流信号を制御部6からの指令信号に応じて増幅するアンプを備えている。
情報取得部は、観察方法に関する情報を取得するようになっている。入力部5は、ユーザが入力する入力装置であり、走査型レーザ顕微鏡1の起動時に制御部6が表示部7に表示する
図2の表示に従って、次に行う観察の観察方法が、ガルバノスキャナ8のみを使用する観察方法であるか、ガルバノスキャナ8とレゾナントスキャナ9とを切り替えて使用する観察方法であるかを選択して入力させるようになっている。
【0022】
制御部6は、入力部5において入力された観察方法(情報取得部が取得した情報)に応じて走査部3を制御するようになっている。具体的には、入力された観察方法がレゾナントスキャナ9を使用しない、ガルバノスキャナ8のみを使用する観察方法である場合には、制御部6は、レゾナントスキャナ9を停止させ、ガルバノスキャナ8とレゾナントスキャナ9とを切り替えて使用する観察方法である場合には、制御部6は、レゾナントスキャナ9を起動させるように制御するようになっている。
【0023】
制御部6は、レーザ光源2、走査部3、光検出部4、入力部5および表示部7との間で信号をやりとりするインタフェース回路(図示略)と、光照射制御プログラム、走査部制御プログラム、検出器制御プログラムおよび観察条件判別プログラム等の各種プログラムおよび光検出部4により取得された蛍光画像情報を記憶する記憶部(メモリ、図示略)と、記憶部(メモリ)から読み出した各種プログラムを実行するCPU(図示略)とを備えている。
図1中、符号10はダイクロイックミラーである。
【0024】
このように構成された本実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡1を用いて標本Oの蛍光観察を行うには、
図3に示されるように、まず、ユーザが、走査型レーザ顕微鏡1の電源を投入して走査型レーザ顕微鏡1を起動させると、各機器の起動処理A−Nが行われるが、その中で、レゾナントスキャナ9の起動処理Siが行われる。
【0025】
レゾナントスキャナ9の起動処理Siにおいては、
図4に示されるように、制御部6が、表示部7に
図2の表示を行い、ユーザに観察方法を入力させる(ステップS1)。制御部6は、ユーザがガルバノスキャナ8とレゾナントスキャナ9とを切り替えて使用する観察方法を選択したか否かを判定し(ステップS2)、選択した場合には、制御部6が走査部3を制御してレゾナントスキャナ9を起動する(ステップS3)。ユーザがガルバノスキャナ8のみを使用する観察方法を選択した場合には、制御部6は走査部3を制御してレゾナントスキャナ9を停止したままの状態に維持する。これによりレゾナントスキャナ9の起動処理Siが終了する。
そして、他の全ての機器の起動処理A−Nが行われた後に観察が開始される。
【0026】
このように構成された本実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡1によれば、観察方法が入力されてガルバノスキャナ8のみを使用する観察方法が選択された場合にレゾナントスキャナ9が停止した状態に維持されるので、大がかりな構成を採用することなく、レゾナントスキャナ9からの不快な高音の発生を確実に防止することができる。
【0027】
また、走査型レーザ顕微鏡1の起動時に観察方法が入力されて、ガルバノスキャナ8とレゾナントスキャナ9とを切り替えて使用する観察方法が選択された場合にレゾナントスキャナ9が起動されるので、走査型レーザ顕微鏡1の全ての機器の起動が終了するまでにレゾナントスキャナ9を安定した動作状態とすることができる。この場合には高音は発生するが、簡易な遮音でレゾナントスキャナ9が起動中であることを確認することができる。
【0028】
さらに、ガルバノスキャナ8とレゾナントスキャナ9とを切り替えて使用する観察方法である場合には、レゾナントスキャナ9を常に起動状態に維持することで、ガルバノスキャナ8のみを用いた観察からレゾナントスキャナ9を用いた観察に切り替えたときに、レゾナントスキャナ9を安定した動作状態に維持しておくことができ、安定を待つ待機時間が不要となるため、観察時間を短縮することができるという利点がある。
【0029】
なお、本実施形態においては、走査型レーザ顕微鏡1の起動時に、入力部5によってユーザが観察方法を入力することとしたが、これに代えて、次回の観察方法が分かっている場合には、
図5に示されるように次回起動時の観察方法をユーザが入力部5に入力し、入力された情報をメモリ(記憶部、図示略)に記憶しておくことにしてもよい。次回の走査型レーザ顕微鏡1の起動時には、観察方法の入力を求めることなく、
図6に示されるように、情報取得部がメモリ(記憶部)に記憶されている情報を読み出して(ステップS4)、読み出した情報に基づいて制御部6がレゾナントスキャナ9の停止あるいは起動を選択して処理することにすればよい。
【0030】
また、
図7に示されるように、走査型レーザ顕微鏡1による観察中に、ユーザが観察方法を入力し(ステップS10)、観察方法の切り替えが発生した場合に、レゾナントスキャナ9の停止あるいは起動を選択して処理することにしてもよい。つまり、ステップS10においてユーザがガルバノスキャナ8のみを使用する観察方法、または、ガルバノスキャナ8とレゾナントスキャナ9とを切り替えて使用する観察方法を入力し、入力された観察方法により観察方法の切り替えが必要であるかをステップS11において判断する。観察方法の切り替えが必要でなければそのままの状態を保ち、観察方法の切り替えが必要であると判断された場合は、ステップS12において現在レゾナントスキャナ9が起動しているか否かを判断してレゾナントスキャナ9の停止あるいは起動を選択して処理する。
例えば、ガルバノスキャナ8とレゾナントスキャナ9とを切り替えて行う観察中には、レゾナントスキャナ9が有効である旨が表示部7に表示されている。この状態で、ガルバノスキャナ8のみを使用する観察方法への切替が入力されたことを判定した場合(ステップS11)、レゾナントスキャナ9が起動中であることを判定し(ステップS12)、制御部6は、レゾナントスキャナ9の無効表示処理(ステップS13)を行った後に、レゾナントスキャナ9の停止処理(ステップS14)を行うことにしてもよい。
【0031】
レゾナントスキャナ9の無効表示処理は、表示部7にレゾナントスキャナ9が無効である旨を表示することにより行われる。無効表示処理を行うことで、ユーザがレゾナントスキャナ9を用いた観察を選択できないようにすることができる。そして、レゾナントスキャナ9が停止されることにより、不快な高音の発生を防止することができる。なお、無効表示処理が行われてもガルバノスキャナ8による観察は可能な状態に維持される。
【0032】
一方、ガルバノスキャナ8のみを用いた観察中にはレゾナントスキャナ9が無効である旨が表示部7に表示されている。この状態から、ガルバノスキャナ8とレゾナントスキャナ9とを切り替えて使用する観察方法への切替が入力されたことを判定した場合(ステップS11)、レゾナントスキャナ9が停止中であることを判定し(ステップS12)、制御部6は、レゾナントスキャナ9を起動させる(ステップS17)とともに、タイマ(図示略)による計時を開始する(ステップS18)。そして、タイマによる計時が所定時間経過した場合(ステップS19)に、レゾナントスキャナ9の有効表示処理(ステップS20)を行うようになっている。
【0033】
有効表示処理は、表示部7にレゾナントスキャナ9が有効となった旨を表示することにより行われる。このようにすることで、レゾナントスキャナ9起動後から所定時間を経過していないレゾナントスキャナ9安定待ちの期間(レゾナントスキャナ9無効表示処理を行う期間)は、ユーザはガルバノスキャナ8による像探しなどの観察を行うことが可能である。そして、レゾナントスキャナ9起動後、所定時間経過後に有効表示処理を行うことで、レゾナントスキャナ9の動作状態が安定した状態で、ユーザがレゾナントスキャナ9を用いた観察を選択することができる。
また、一の観察中に観察方法を変更しても走査型レーザ顕微鏡1を再起動することなく異なる観察方法によって観察を継続することができる。
【0034】
また、本実施形態においては、入力部5により観察方法を入力することに代えて、予め作成された観察条件ファイルをメモリ(記憶部)に記憶しておき、走査型レーザ顕微鏡1が起動されたときに、制御部6が観察条件ファイルに記載されている観察方法を読み取り、読み取られた観察方法に従って走査部3を制御することにしてもよい。これにより、走査型レーザ顕微鏡1を起動する都度に設定を行う必要がないという利点がある。
【0035】
また、走査型レーザ顕微鏡1を用いて観察を行うユーザの情報を取得するユーザ情報取得部(図示略)と、ユーザの情報と観察方法とを対応づけて記憶するメモリ(記憶部、図示略)とを備えることにより、ユーザに応じて観察方法を切り替えることができる。
ユーザ毎に観察方法が決まっている場合が多いため、ユーザの情報を取得するだけで、その都度、観察方法の設定を行う必要がない。
【0036】
ユーザ情報取得部としては、バーコードリーダやキーボード等の任意の入力手段を採用することができる。PCの起動時等に入力するログインIDをユーザの情報として使用することにしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 走査型レーザ顕微鏡
2 レーザ光源(光源)
3 走査部
4 光検出部
5 入力部
6 制御部
7 表示部
8 ガルバノスキャナ
9 レゾナントスキャナ
O 標本