特許第6611650号(P6611650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大阪瓦斯株式会社の特許一覧

特許6611650給湯器の水漏れ判定装置および給湯器の水漏れ判定方法
<>
  • 特許6611650-給湯器の水漏れ判定装置および給湯器の水漏れ判定方法 図000002
  • 特許6611650-給湯器の水漏れ判定装置および給湯器の水漏れ判定方法 図000003
  • 特許6611650-給湯器の水漏れ判定装置および給湯器の水漏れ判定方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6611650
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】給湯器の水漏れ判定装置および給湯器の水漏れ判定方法
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/10 20060101AFI20191118BHJP
【FI】
   F24H1/10 303Z
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-62208(P2016-62208)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-172934(P2017-172934A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】奥備 景介
(72)【発明者】
【氏名】依田 将和
(72)【発明者】
【氏名】松本 亮
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−111157(JP,A)
【文献】 特開平11−173671(JP,A)
【文献】 特開平11−23062(JP,A)
【文献】 特開平11−344256(JP,A)
【文献】 特開2003−106656(JP,A)
【文献】 特開2000−111152(JP,A)
【文献】 特開2000−9579(JP,A)
【文献】 特開平11−304240(JP,A)
【文献】 特開2002−147847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水配管から水を供給され、給湯配管から給湯される給湯流量を検出する流量検出部を備えた給湯器の水漏れ判定装置であって、
水漏れを判定する水漏れ判定工程を実行する漏水判定部と、雰囲気温度を計測する雰囲気温度検出部と、前記給水配管中の水温を計測する水温検出部と、を備え、
前記漏水判定部は、前記水漏れ判定工程として、前記流量検出部の出力を監視して給湯停止と給湯開始とを判定する給水監視工程と、前記水温検出部の出力と前記雰囲気温度検出部の出力とを比較して、前記給水配管中の水温と前記雰囲気温度との温度差を判定する温度差判定工程と、前記水温検出部の出力の変動量を判定する変動量判定工程と、を実行し、
前記漏水判定部は、前記給水監視工程で給湯開始を判定し、かつ、前記温度差判定工程で前記温度差が所定温度差以上であると判定し、かつ、前記変動量判定工程で前記変動量が所定の値を下回ると判定した場合に、水漏れが発生していると判定する、給湯器の水漏れ判定装置。
【請求項2】
前記漏水判定部は、さらに前記給水監視工程において所定期間の給湯停止を判定した後に給湯開始を判定した場合に、前記温度差判定工程と、前記変動量判定工程とを実行する、請求項1に記載の給湯器の水漏れ判定装置。
【請求項3】
水漏れの発生を報知する報知部を備え、
前記漏水判定部は、水漏れが発生していると判定した場合に、前記報知部に報知を指示する、請求項1または2に記載の給湯器の水漏れ判定装置。
【請求項4】
前記漏水判定部に対する前記水漏れ判定工程の実行ないし不実行を切り替え自在の入力部を備える、請求項1から3の何れか一項に記載の給湯器の水漏れ判定装置。
【請求項5】
前記給湯器は、ケーシングと、前記ケーシング内に設けられた給湯熱源とを備え、前記給水配管から供給された水を前記給湯熱源で加熱して前記給湯配管から給湯し、
前記雰囲気温度検出部は、前記ケーシング外の雰囲気温度を計測し、
前記水温検出部は、前記ケーシング内の前記給水配管中の水温を計測する、請求項1から4の何れか一項に記載の給湯器の水漏れ判定装置。
【請求項6】
給水配管から水を供給され、給湯配管から給湯される給湯流量の流量検出部を備えた給湯器の水漏れ判定方法において、
雰囲気温度を計測し、
さらに前記給水配管中の水温を計測し、
前記流量検出部の出力を監視して給湯停止と給湯開始とを判定する給水監視工程を実行し、
前記給水配管中の水温と、前記雰囲気温度と比較して、前記給水配管中の水温と前記雰囲気温度との温度差を判定する温度差判定工程を実行し、
前記水温の変動量を判定する変動量判定工程を実行し、
前記給水監視工程で給湯開始を判定し、かつ、前記温度差判定工程で前記温度差が所定温度差以上であると判定し、かつ、前記変動量判定工程で前記変動量が所定の値を下回ると判定した場合に、水漏れが発生していると判定する、給湯器の水漏れ判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯配管から給湯される給湯流量を検出する流量検出部を備えた給湯器の水漏れ判定装置および水漏れ判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯配管から給湯される給湯流量を検出する流量検出部を備えた給湯器においては、その配管の継ぎ目からの水漏れや、配管の腐食による水漏れが発生したり、給湯を制御するバルブの動作不良によってバルブを閉にした場合にも、バルブの上流から下流へ、水漏れが発生したりすることがある。ここで、バルブ動作不良には、バルブの弁体に異物を噛みこむなどして、閉とならない場合のような、一時的な動作不良も含まれる。
【0003】
このような給湯器は、給湯流量の流量検出部を備えているため、発生した水漏れの漏れ量が多い場合には、流量検出部で漏れに伴う流量を検出することができる場合もある。
しかし通常は、流量検出部は給湯に伴う流量を検出するものであるから、給湯流量検出部の流量検出可能なダイナミックレンジは給湯時の流量範囲に設定される。したがって、給湯時の流量よりも十分小さい流量の水漏れが発生している場合には、流量検出部で検知できない。
【0004】
このような水漏れの検知について、水漏れ量が少なくても、水漏れを確実に検知することのできる給湯器が提案されている(特許文献1)。
しかし、この特許文献1が提案するような給湯器は、給水流路に給湯流量の流量検出部(流量センサ)を備えているにも関わらず、この流量検出部とは別に、水漏れに伴う漏水を一次貯留する容器や、当該容器に貯留した漏水の推移を検知する水位センサを要する。つまり、水漏れを検知するために、新たな部品等を要するため、簡便でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−147847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、少量の水漏れが発生している場合にも、新たな部品を要することなく簡便に水漏れを検知する装置および水漏れを検知する方法が望まれる。
【0007】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、少量の水漏れが発生している場合にも、簡便に水漏れを検知する給湯器の水漏れ判定装置および水漏れ判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る給湯器の水漏れ判定装置の特徴構成は、
給水配管から水を供給され、給湯配管から給湯される給湯流量を検出する流量検出部を備えた給湯器の水漏れ判定装置であって、
水漏れを判定する水漏れ判定工程を実行する漏水判定部と、雰囲気温度を計測する雰囲気温度検出部と、前記給水配管中の水温を計測する水温検出部と、を備え、
前記漏水判定部は、前記水漏れ判定工程として、前記流量検出部の出力を監視して給湯停止と給湯開始とを判定する給水監視工程と、前記水温検出部の出力と前記雰囲気温度検出部の出力とを比較して、前記給水配管中の水温と前記雰囲気温度との温度差を判定する温度差判定工程と、前記水温検出部の出力の変動量を判定する変動量判定工程と、を実行し、
前記漏水判定部は、前記給水監視工程で給湯開始を判定し、かつ、前記温度差判定工程で前記温度差が所定温度差以上であると判定し、かつ、前記変動量判定工程で前記変動量が所定の値を下回ると判定した場合に、水漏れが発生していると判定する点にある。
【0009】
上記構成によれば、給水配管中の水温と、雰囲気温度とを比較し、水漏れ判定工程を実行することができる。ここで、雰囲気温度とは、給水配管の周囲の雰囲気の温度である。
通常、給水配管から給湯器に供給される水の水温は雰囲気温度に近い温度になる。
しかし、給湯が停止している場合、給水配管中の水の流れは停止する。この場合、当該給水配管中の水の水温は、経時的に変化する。
【0010】
すなわち、例えば給湯器が給湯する場合、電気ヒータや熱交換器などの給湯熱源や、給湯配管などの配管の温度は上昇する。よって、給湯が停止した場合、給湯熱源や下流の配管などからの熱伝導や輻射熱により、給湯器の給水配管中の水温は、雰囲気温度に比べて上昇する。
【0011】
また、給湯が停止した場合、その後、給湯が開始されると、給水配管には、雰囲気温度に近い水温の水が再び供給される。したがって、給水配管中の水温は低下する方向に変動する。
【0012】
このように、給湯が停止した場合、その後、給湯が開始されると、給水配管中の水温は変動する。
しかし、水漏れが発生している場合には、給水配管中の水の流れは停止せず、給水配管には、雰囲気温度に近い水温の水の供給が継続される。したがって、水漏れが発生している場合には、給湯が停止した場合、その後、給湯が開始された場合にも、給水配管中の水温は変動ないか、変動する場合にも、の水配管中の水温の変動量は、水漏れが発生していない場合に比べて小さい。
【0013】
したがって、漏水判定部は、給水監視工程で給湯開始を判定し、かつ、給水配管中の水温と雰囲気温度との温度差を判定する温度差判定で、当該温度差が所定温度差であると判定し、かつ、水温検出部の出力の変動量を判定する変動量判定工程でその後の当該変動量が所定の値を下回ると判定した場合に、水漏れが発生していると判定することができる。
したがって、少量の水漏れが発生している場合にも、簡便に水漏れを検知する水漏れ判定装置を提供することができる。
【0014】
本発明に係る給湯器の水漏れ判定装置の更なる特徴構成は、
前記漏水判定部は、さらに前記給水監視工程において所定期間の給湯停止を判定した後に給湯開始を判定した場合に、前記温度差判定工程と、前記変動量判定工程とを実行する点にある。
【0015】
上記構成によれば、さらに所定期間の給湯停止を判定した場合に、漏水判定部は水漏れが発生していると判定する。
この場合、所定時間の給水が停止している間に、水漏れが発生していない場合は、給水配管中の水の水温は、雰囲気温度に比べて上昇する。したがって、その後、給湯が開始されると、給水配管中の水温は大きく変動する。
したがって、水漏れが発生している場合と、水漏れが発生している場合とを、確実に判定することができる。
【0016】
本発明に係る給湯器の水漏れ判定装置の更なる特徴構成は、
水漏れの発生を報知する報知部を備え、
前記漏水判定部は、水漏れが発生していると判定した場合に、前記報知部に報知を指示する点にある。
【0017】
上記構成によれば、水漏れが発生していると判定した場合に報知部で報知することができる。
【0018】
本発明に係る給湯器の水漏れ判定装置の更なる特徴構成は、
前記漏水判定部に対する前記水漏れ判定工程の実行ないし不実行を切り替え自在の入力部を備える点にある。
【0019】
上記構成によれば、使用者らは入力部を介して、漏水判定部に水漏れ判定工程の実行ないし不実行を指示することができる。
したがって使用者らは、水漏れ判定工程の実行を望まない場合には、漏水判定部に水漏れ判定工程の不実施を指示し、漏水判定部に指示することができる。例えば冬場の給湯器の凍結防止のために、使用者らが、水栓等からあえて少量の水を出し続けるような場合に、水漏れが発生しているとの誤判定を回避する手段を提供することができる。
【0020】
本発明に係る給湯器の水漏れ判定装置の更なる特徴構成は、
前記給湯器は、ケーシングと、前記ケーシング内に設けられた給湯熱源とを備え、前記給水配管から供給された水を前記給湯熱源で加熱して前記給湯配管から給湯し、
前記雰囲気温度検出部は、前記ケーシング外の雰囲気温度を計測し、
前記水温検出部前記は、前記ケーシング内の前記給水配管中の水温を計測する点にある。
【0021】
上記構成によれば、給水配管中の水温と、ケーシング外の雰囲気温度とを比較し、水漏れ判定工程を実行することができる。
通常、給水配管から給湯器に供給される水は、給湯器のケーシングの外部の配管を経て給湯器のケーシング内部の配管に至るため、給湯器に供給される水の水温は、ケーシング外部の雰囲気温度に近い温度になる。
しかし、給湯が停止している場合、給湯器のケーシング内の給水配管中の水の流れは停止する。この場合、当該給水配管中の水の水温は、経時的にケーシング内部の温度に近い水温になる。
【0022】
すなわち、ケーシング内には給湯熱源が設けられているため、例えば給湯器が給湯する場合、給湯熱源や、給湯配管などの給湯熱源の下流の配管の温度は上昇し、給湯器が給湯を停止した場合にも、給湯熱源や、給湯配管などの給湯熱源の下流の配管お温度は、余熱により上昇する。したがって、ケーシング内の雰囲気の温度は、通常はケーシング外の雰囲気の温度よりも高くなる。よって、給湯が停止した場合、給湯器のケーシング内の給水配管中の水温はケーシング内の雰囲気温度近くまで上昇する。
【0023】
また、給湯が停止した場合、その後、給湯が開始されると、ケーシング内の給水配管には、ケーシング外部の雰囲気温度に近い水温の水が再び供給される。したがって、給湯器のケーシング内の給水配管中の水温は低下する方向に変動する。
【0024】
このように、給湯が停止した場合、その後、給湯が開始されると、給湯器のケーシング内の給水配管中の水温は変動する。
しかし、水漏れが発生している場合には、給湯器のケーシング内の給水配管中の水の流れは停止せず、ケーシング内の給水配管には、ケーシング外部の雰囲気温度に近い水温の水の供給が継続される。したがって、水漏れが発生している場合には、給湯が停止した場合、その後、給湯が開始された場合にも、給湯器のケーシング内の給水配管中の水温は変動ないか、変動する場合にも、ケーシング内の給水配管中の水温の変動量は、水漏れが発生していない場合に比べて小さい。
【0025】
したがって、漏水判定部は、給水監視工程で給湯開始を判定し、かつ、給水配管中の水温とケーシング外の雰囲気温度との温度差を判定する温度差判定で、当該温度差が所定温度差であると判定し、かつ、水温検出部の出力の変動量を判定する変動量判定工程でその後の当該変動量が所定の値を下回ると判定した場合に、水漏れが発生していると判定することができる。
したがって、少量の水漏れが発生している場合にも、簡便に水漏れを検知する水漏れ判定装置を提供することができる。
【0026】
上記目的を達成するための本発明に係る給湯器の水漏れ判定方法は、
給水配管から水を供給され、給湯配管から給湯される給湯流量の流量検出部を備えた給湯器の水漏れ判定方法において、
雰囲気温度を計測し、
さらに前記給水配管中の水温を計測し、
前記流量検出部の出力を監視して給湯停止と給湯開始とを判定する給水監視工程を実行し、
前記給水配管中の水温と、前記雰囲気温度と比較して、前記給水配管中の水温と前記雰囲気温度との温度差を判定する温度差判定工程を実行し、
前記水温の変動量を判定する変動量判定工程を実行し、
前記給水監視工程で給湯開始を判定し、かつ、前記温度差判定工程で前記温度差が所定温度差以上であると判定し、かつ、前記変動量判定工程で前記変動量が所定の値を下回ると判定した場合に、水漏れが発生していると判定する点にある。
【0027】
上記構成によれば、上述の給湯器の水漏れ判定装置の場合と同様の作用効果を得ることができる。すなわち、少量の水漏れが発生している場合にも、簡便に水漏れを検知する水漏れ判定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】給湯器の水漏れ判定装置の基本的な構成を説明する概略構成図
図2】給水配管中の水の水温の変化の様子を説明する図
図3】水漏れ判定工程の動作を説明する流れ図
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1図3に基づいて、本発明の実施形態に係る給湯器1の水漏れ判定装置100および給湯器1の水漏れ判定方法について説明する。
【0030】
本実施形態に係る、水漏れ判定装置100は、給湯器1とともに用いられ、給湯器1の給湯機能の一部として機能する機構である。
【0031】
まず、給湯器1の概略構成を説明する。
給湯器1は、給湯器1のケーシング60内部に、配管20を備え、配管20に給湯熱源である熱交換器11を備えている。
この給湯器1は、ガス配管24から供給される天然ガスなどの燃焼ガスの燃焼火炎で得た熱を、熱交換器11で、配管20を通流する水に与えて湯水とすることで、給湯機能を実行する。
【0032】
本例では、給湯器1は、ケーシング60内に設けられた熱交換器11と、給水配管21(配管20)から供給された水を熱交換器11で加熱して給湯配管23(配管20)から給湯する給湯流量を検出する流量検出部51とを備えたガス給湯器(給湯器)である。
そして、給湯器1は、水漏れを判定するため、漏水判定部10を含む水漏れ判定装置100を、備えている。
図1には図示しないが、給湯器1には、給湯器1を制御する制御部を含み、その他一般に知られる給湯器に用いられる機構、機能部などを備えている。
【0033】
水漏れ判定装置100の概略構成を説明する。
水漏れ判定装置100は、配管20および熱交換器11を通流する水の流量を検出する流量検出部51を含んで機能する。
そして水漏れ判定装置100は、水漏れを判定する水漏れ判定工程を実行する漏水判定部10を備え、さらにケーシング60外の雰囲気温度を計測する雰囲気温度検出部42と、ケーシング60内の給水配管21中の水温を計測する水温検出部41と、を含んで機能する。
【0034】
以下、水漏れ判定装置100および水漏れ判定装置100を含む給湯器1について詳述する。
【0035】
熱交換器11は、配管20を通流する水に熱を与えて湯水とする部材である。
熱交換器11は、例えばガス配管24から供給される天然ガスの燃焼火炎で得た熱を配管20を通流する水に与える。
熱交換器11への熱量供給は、ガス配管24に備えたガスバルブ33の開度調整で調整される。ガスバルブ33の開閉および開度は、給湯器1の図示しない制御部が制御する。
燃焼ガスの排気は、排気管25から、排気としてケーシング60の外部へ放出される。
【0036】
配管20は、ケーシング60内部に在る、給水して給湯する配管部である。配管20は、熱交換器11を備えている、
配管20のうち、熱交換器11の上流側の配管20が、給水配管21である。
配管20のうち、熱交換器11の下流側の配管20が、給湯配管23である。
したがって、配管20は、外部から供給された水を給水として、給水配管21、熱交換器11、給湯配管23へと通流させて、湯水消費装置90へ給湯する。
【0037】
なお、配管20には、熱交換器11をバイパスするように、給水配管21から給湯配管23へ接続するバイパス配管22が設けられている。必要に応じてバイパス配管22に設けられたバイパスバルブ32の開度を調整し、給湯器1の給湯温度を調整することができる。
【0038】
給水配管21は、給湯器1の外部から給水を受け、熱交換器11に連通する配管部である。
給水配管21には、給水バルブ31と、流量検出部51と、水温検出部41とが設けられている。本例では、給水配管21には、給水バルブ31、流量検出部51、水温検出部41、の順に設けられている。
本例では例えば、給水配管21は20Aのフレキ配管で50cm程度に構成される。この場合、給水配管21の容積はおよそ0.2リットルである。
【0039】
給湯配管23は、熱交換器11と連通し、熱交換器11から供給される湯水を、給湯器1の外部にある温水消費装置90へ供給する配管部である。
【0040】
給水バルブ31は、配管20の水の通流を制御する弁部材である。給水バルブ31は本例ではボール弁である。給水バルブ31に用いる弁部材としては、その他、ダイヤフラム弁、バタフライ弁などを用いることもできる。
本例では、給水バルブ31は、図示しない制御部からの指示に従って、開状態と、閉状態とに切り替わる。
【0041】
つまり、本例では、給水バルブ31が開状態で給湯可能となる。
給水バルブ31の開閉状態に係る情報は、電気信号等に変換するなどして図示しない制御部や、漏水判定部10を含む水漏れ判定装置100へ出力されている。本例では、開状態、または、閉状態、のいずれかの状態であることを制御部や、水漏れ判定装置100へ出力する。
【0042】
流量検出部51は、熱交換器11を介して配管20を通流する水の流量を検出する機構である。流量検出部51には流量計が含まれる。流量検出部51は、たとえば、流量計としてプロペラ式流量計を含み、当該流量計で検出した流量に係る情報を電気信号等に変換するなどして図示しない制御部や、漏水判定部10を含む水漏れ判定装置100へ出力する。
【0043】
流量検出部51は、本例では、その計測のダイナミックレンジの下限は2リットル毎分である。言い換えると、配管20を通流する水の流量が2リットル毎分未満の場合は、流量検出部51は、ゼロを出力する。
【0044】
水温検出部41は、給水配管21中の水温を検出する機構である。つまり、水温検出部41は、給水配管21を通流する水の温度を検出する。水温検出部41には温度センサなどの温度計が含まれる。水温検出部41は、たとえば、温度センサとして熱電対を含み、当該熱電対で検出した温度に係る情報を電気信号等に変換するなどして図示しない制御部や、漏水判定部10を含む水漏れ判定装置100へ出力する。
【0045】
本例では、給水配管21は、水温検出部41の温度センサ近傍の給水配管21に、伝熱部44を備えている。この伝熱部44は、ケーシング60内の雰囲気温度と、水温検出部41の温度センサ近傍の給水配管21内の水の温度とを近づける機能を発揮する。具体的には、水温検出部41の温度センサ近傍の給水配管21内の水の水温が、ケーシング60内の雰囲気温度に近づくように、伝熱部44を介して熱を、ケーシング60内の雰囲気と、水温検出部41の温度センサ近傍の給水配管21内の水とでやり取りする。
【0046】
伝熱部44は、本例では、金属板が複数枚、水温検出部41の温度センサ近傍の給水配管21に立設した構成の、伝熱フィンである。
【0047】
このように伝熱部44を備えることで、水温検出部41の近傍の給水配管21の水温が、ケーシング60内の雰囲気温度に近くなり、一方、水温検出部41の近傍の給水配管21の水温は、ケーシング60外の雰囲気温度との差が大きくなる。
したがって、後述する温度差判定工程での判定が容易になる。
【0048】
水温検出部43は、給湯配管23中の水温を検出する機構である。つまり、水温検出部43は、給湯配管23を通流する湯水の温度、すなわち給湯温度を検出する。水温検出部43には温度センサなどの温度計が含まれる。水温検出部43は、たとえば、温度センサとして熱電対を含み、当該熱電対で検出した温度を電気信号等に変換するなどして図示しない制御部へ出力する。水温検出部43は、本例では熱交換器11の下流側であって、給湯配管23とバイパス配管22との接続部の上流側に設けられている。
【0049】
水漏れ判定装置100は、給湯器1の水漏れを判定する装置であり、給湯器1の水漏れを判定する方法を実行する機能を備える。
水漏れ判定装置100は、水漏れを判定する水漏れ判定工程を実行する漏水判定部10と、時間を計測するタイマ12と、水漏れの発生を報知する報知部13と、漏水判定部10に対する水漏れ判定工程の実行指示を受け付ける入力部14と、ケーシング60外の雰囲気温度を計測する雰囲気温度検出部42とを含み、さらに、給水バルブ31と、流量検出部51と、水温検出部41とを、給湯器1の給湯機能部と共有して含む。
したがって、漏水判定部10と、タイマ12と、報知部13と、入力部14と、雰囲気温度検出部42と、給水バルブ31と、流量検出部51と、水温検出部41とは、水漏れ判定装置100として一体的に機能する。
【0050】
雰囲気温度検出部42は、ケーシング60外の雰囲気温度を計測する機構である。雰囲気温度検出部42には温度センサなどの温度計が含まれる。雰囲気温度検出部42は、たとえば、温度センサとして熱電対を含み、当該熱電対で検出した温度を電気信号等に変換するなどして図示しない制御部や、漏水判定部10を含む水漏れ判定装置100へ出力する。
【0051】
入力部14は、漏水判定部10に対する使用者からの指示を受け付ける入力機構である。本例では入力部14は、水漏れ判定工程の実行ないし不実行を切り替え自在の入力装置である。入力部14は、例えばタッチパネルや、ボタン式のリモコンである。
使用者は、必要に応じて水漏れ判定工程の実行を指示し、また、水漏れ判定工程の不実行を指示することができる。
【0052】
タイマ12は、時間の経過を計測する計時機構であり、漏水判定部10の要求に応じて経過時間に係る情報を出力する。
【0053】
漏水判定部10は、水漏れ判定装置100として、給湯器1の水漏れを判定する方法を水漏れ判定工程として実行する中核機構である。
漏水判定部10は、タイマ12と、報知部13と、入力部14と、給水バルブ31と、流量検出部51と、水温検出部41と、から水漏れの発生の判定に必要な情報を受け取り、水漏れが発生しているかどうかを判定する。
【0054】
この漏水判定部10は、ケーシング60外の雰囲気温度を計測する雰囲気温度検出部42と、ケーシング60内の給水配管21中の水温を計測する水温検出部43と、を備え、さらに漏水判定部10は、水漏れ判定工程として、流量検出部51の出力を監視して給湯停止と給湯開始とを判定する給水監視工程と、水温検出部41の出力と雰囲気温度検出部42の出力とを比較して、給水配管21中の水温とケーシング60外の雰囲気温度との温度差を判定する温度差判定工程と、水温検出部43の出力の変動量ΔT2を判定する変動量判定工程と、を実行し、漏水判定部10は、給水監視工程で給湯開始を判定し、かつ、温度差判定工程で温度差ΔT1が所定温度差以上であると判定し、かつ、変動量判定工程で変動量が所定の値を下回ると判定した場合に、水漏れが発生していると判定する。
【0055】
報知部13は、漏水判定部10は、水漏れが発生していると判定した場合に、使用者や管理センタなどへ水漏れが発生している旨を報知する信号を発する機構である。
漏水判定部10は、水漏れが発生していると判定した場合に、報知部13に報知を指示する。報知部13は報知の指示を受けつけると、あらかじめ定められた方法で報知する。
報知部13はたとえば、水漏れを知らせる警報を音や光、もしくはその他の使用者が知覚可能な信号を発して水漏れが発生している旨を報知する。また、報知部13は、給湯器1の状態を遠隔地で集中管理する管理センタなどへ、電気通信回線を介して通信して、水漏れが発生している旨を報知することもできる。
【0056】
上記の給湯器1が、水漏れが発生することなく正常に機能している場合、ある一日における動作は例えば図2に示すようになる。
図2中、給湯温度は水温検出部43で検出した給湯配管23中の湯水の温度(給湯温度)を意味し、水温は水温検出部41で検出した給水配管21中の水の水温を、外気温度は、雰囲気温度検出部42で検出した温度を意味し、給水流量は、流量検出部51が検出した流量を意味する。
【0057】
区間Aは、給湯が長時間行われていない区間である。この区間Aでは給湯が行われないから、ケーシング60内の雰囲気温度はケーシング60外の雰囲気温度と近しいため水温とケーシング60外の雰囲気温度も近くなる。
【0058】
区間Bは、給湯が時々行われる区間である。この区間Bでは時々給湯が行われるため、ケーシング60内の雰囲気温度はケーシング60外の雰囲気温度よりも高くなる。したがって、給湯が停止している場合に、給水配管21中の水はケーシング60内の雰囲気から熱を吸収し、給水配管21中の水の水温はケーシング60外の雰囲気温度よりも高くなる。
そして、給湯が開始されると、給水配管21中の水は給湯に伴う給水により入れ替わり、給水配管21中の水の温度は低下する。
【0059】
区間Cは、給湯が頻繁に行われる区間である。この区間Cでは頻繁に給湯が行われるため、ケーシング60内の雰囲気温度はケーシング60外の雰囲気温度よりも高くなる。しかし、給湯が停止している期間が短いために、給水配管21中の水はケーシング60内の雰囲気から熱を吸収してその水温が上昇する前に給湯に伴う給水により入れ替わり、給水配管21中の水の温度上昇は、水温検出部41の出力としては現れない。
【0060】
この給湯器1において、配管水漏れとは、湯水を使用者が使用せず給湯が行われない場合に、流量検出部51の検出のダイナミックレンジの下限未満の流量の水が、配管20を通流する場合を言う。
【0061】
つまり、この給湯器1において、配管水漏れの具体例を例示列挙する。言うまでもなく、配管水漏れには、以下に例示する以外の例も含みうる。
たとえば、図1中の給湯配管23にある破損部Lから水が流出した場合が該当する。
その他の配管水漏れの例としては、たとえば給水バルブ31を閉にした場合において、給水バルブ31に異物が噛みこむなどして、給水バルブ31の弁部に隙間などができるなどの原因で、給水バルブ31から水が下流側へリークし続ける場合も該当する。
また、給水バルブ31を開にした場合において、湯水消費装置90で湯水の消費と消費の停止を行う場合に、湯水消費装置90の動作不良によって、少量の水が、配管20を通流し続ける場合もなども該当する。
【0062】
漏水判定部10の水漏れ判定工程の実行例を説明する。
漏水判定部10は、図3に示すように、入力部14で水漏れ判定工程の実行指示を受け付けた場合(ステップ#11,Yes)、実行指示状態となり、水漏れ判定工程としてステップ#12からステップ#16を実行可能状態になる。
以下の各ステップの説明において、特記無き場合は、それぞれ判定は漏水判定部10が行う。
【0063】
水漏れ判定工程では、逐次、実行指示状態確認工程(ステップ#11)を行う。
水漏れ判定工程の実行中に入力部14で水漏れ判定工程の実行指示が取り下げられて実行指示状態が解除されたとステップ#11で判定した場合(ステップ#11,No)、水漏れ判定工程を終了する。そうでなければ次工程のステップ#12へ移行する。
【0064】
給水監視工程は、流量検出部51の出力を監視して給湯停止と給湯開始とを判定する。給水監視工程は、所定期間Psの給湯停止を判定する工程(ステップ#12)と、給湯開始とを判定する工程(ステップ#14)とを含む。
【0065】
ステップ#12は、所定期間Psが3時間以上の場合に、次工程のステップ#13に移行(ステップ#12,Yes)する。所定期間Psが3時間未満の場合(ステップ#12,No)には、ステップ#11に移行する。
なお、本例では、所定期間Psとして3時間を用いる場合を例示したが、その他の値も設定しうる。
【0066】
なお、本例では、ステップ#14は、後述するステップ#13を実行した後に実行する。
【0067】
温度差判定工程(ステップ#13)は、水温検出部41の出力と、雰囲気温度検出部42の出力とを比較して、給水配管21中の水温とケーシング60外の雰囲気温度との温度差ΔT1を判定する。
【0068】
ステップ#13は、温度差ΔT1の絶対値が所定温度差として3℃を越える場合(ステップ#13,Yes)に、次工程のステップ#14に移行する。温度差ΔT1の絶対値が所定温度差を下回る3℃以下の場合(ステップ#13,No)には、ステップ#11に移行する。
なお、本例では、所定温度差として3℃を用いる場合を例示したが、その他の値も設定しうる。
【0069】
ステップ#14は、給湯開始と判定した場合(ステップ#14,Yes)に、次工程のステップ#15に移行する。給湯開始と判定しなかった場合(ステップ#14,No)には、ステップ#11に移行する。
なお、給湯停止は、流量検出部51の出力が、ゼロである場合を意味する。給湯開始は、流量検出部51の直前の出力がゼロである場合に、ゼロでない流量を出力した場合を意味する。
【0070】
変動量判定工程(ステップ#15)は、水温検出部41の出力の変動量ΔT2を判定する。
【0071】
ステップ#15は、変動量ΔT2の絶対値が所定の値として1℃未満でない場合(ステップ#15,No)に、ステップ#11に移行する。変動量ΔT2の絶対値が1℃未満の場合(ステップ#15,Yes)に、ステップ#15に移行する。つまり水漏れが発生したと判定する。そして、ステップ15で報知部13が報知を行い、動作は終了する。
なお、本例では、所定の値として1℃を用いる場合を例示したが、その他の値も設定しうる。
【0072】
上述の所定期間Ps、温度差ΔT1、変動量ΔT2について補足する。
上述の水漏れ判定工程の実行例は、給湯器1が以下の条件等で設定ないし使用される場合の所定期間Ps、温度差ΔT1、変動量ΔT2を定めた例である。
【0073】
給水配管21内の水の温度上昇速度は、図3の区間Bの態様で使用されると仮定してあらかじめ行った実験結果により、1℃毎時以上の速度で温度が上昇する。
本例では、水温検出部41の最小出力単位は1℃である。したがって、本例のステップ#15で変動量ΔT2が1℃未満であることを確実に判定する場合、ステップ#13の温度差ΔT1は少なくとも2℃以上必要である。本例ではステップ#15での誤判定を回避するために、温度差ΔT1は3℃に設定した。したがって、所定期間Psは、水の温度上昇量が3℃になるために必要な3時間に設定される。
【0074】
給水配管21は20Aのフレキ配管で50cm程度に構成される。この場合、給水配管21の容積はおよそ0.2リットルである。そして、温度差ΔT1は3℃に設定し、変動量ΔT2を1℃未満が判定される場合は、少なくとも3時間の間に、給水配管体積の2/3の容量の水が流入(漏れている)場合であるから、本例の条件で検出可能な最小漏れ量は0.04リットル毎時であると導かれる。
したがって、本例によれば、流量検出部51の計測のダイナミックレンジの下限である2リットル毎分よりも、十分小さい漏れ量である0.04リットル毎時の漏れ量を検出できることが分かる。
【0075】
以上のような構成により、ケーシング60内に熱交換器11を備え、給水配管21から供給された水を、熱交換器11で加熱して給湯配管23から給湯する、給湯流量の流量検出部51を備えた給湯器1の水漏れ判定装置100であって、少量の水漏れが発生している場合にも、簡便に水漏れを検知する水漏れ判定装置100および水漏れ判定方法を実現できる。
【0076】
〔別実施形態〕
(1)
上記実施形態では、ステップ#12を行う例を示したが、ステップ#12は省略することもできる。
ステップ#12を省略する場合にも、所定期間Psが短ければ、ステップ#13で温度差ΔT1の絶対値が所定温度差を越えることは無いため、水漏れが発生している場合と、水漏れが発生している場合とを、判定することができる。
【0077】
(2)
上記実施形態において、漏水判定部10はさらに、給水バルブ31の開閉状態を判定して、水漏れの発生を判定して、水漏れを検知しうる。
この場合は、給水バルブ31の動作不良による、水漏れを特定して検知できる。
具体的には、給水バルブ31が閉の場合において、給水バルブ31に異物が噛みこむなどの原因で、給水バルブ31の弁部に隙間などができるなどして、給水バルブ31から水が下流側へリークし続ける場合を特定して検知しうる。
【0078】
(3)
上記実施形態において、給湯器1は、ガス配管24から供給される燃焼ガスの燃焼火炎で得た熱を、熱交換器11で、配管20を通流する水に与えて湯水とする例を示したが、給湯器1は燃焼火炎で得た熱を熱交換器11で利用するものに限られない。
【0079】
熱交換器11は、給湯熱源として電気ヒータの熱を利用する物や、他の装置から発生した燃焼排ガスの熱を利用するもの、他の装置から発生した熱を熱媒を介して利用するものでも構わない。
【0080】
(4)
上記実施形態において、伝熱部44は、金属板が複数枚、水温検出部41の温度センサ近傍の給水配管21に立設した構成の、伝熱フィンである場合を例示したが、伝熱部44はこの形態に限られない。
伝熱部44としては、ケーシング60内の雰囲気温度と、水温検出部41の温度センサ近傍の給水配管21内の水の温度とを近づけるその他の構成を含みうる。
【0081】
伝熱部44のその他の構成例としては、例えば、給水配管21を金属性の蛇腹配管とすることができる。この場合は、給水配管21全体が伝熱部44として機能する。別な例としては、水温検出部41を給水配管21に設ける場合に、水温検出部41と給水配管21との接続部、すなわち継手を金属製の継手として、当該継手を伝熱部44として機能させる場合もある。
【0082】
(5)
上記実施形態において、ケーシング60内の雰囲気の温度はケーシング60外の雰囲気の温度よりも高い場合を示したが、例えば午前中の場合のように、ケーシング60外の雰囲気の温度が速い速度で上昇しているような場合は、ケーシング60内の雰囲気の温度はケーシング60外の雰囲気の温度よりも低いこともある。
この場合は、ケーシング60内の給水配管21中の水温の変化は、ケーシング60内の雰囲気の温度がケーシング60外の雰囲気の温度よりも高い場合の逆になるが、水漏れ判定工程の動作は同様に行うことができる。
【0083】
すなわち、給湯が停止した場合、給湯器1のケーシング60内の給水配管21中の水温は低下する。そして、給湯が停止した場合、その後、給湯が開始されると、ケーシング60内の給水配管21には、ケーシング60外部の雰囲気温度に近い水温の水が再び供給される。したがって、給湯器1のケーシング内の給水配管21中の水温は上昇する方向に変動する。
【0084】
(6)
上記実施形態において、給湯器1は、給湯器1のケーシング60内部に、配管20を備え、配管20に給湯熱源である熱交換器11を備えている例を示したが、給湯器1は必ずしもケーシング60を要しない。
【0085】
給湯器1がケーシング60を備えない場合にも、給湯に伴う給水配管21中の水温の変化を水温検出部43で検出すれば、漏水判定部10は水漏れが発生していると判定することができる。
【0086】
したがって、給湯器1がケーシング60を備えない場合、漏水判定部10は、雰囲気温度を計測する雰囲気温度検出部42と、給水配管21中の水温を計測する水温検出部43と、を備え、さらに漏水判定部10は、水漏れ判定工程として、流量検出部51の出力を監視して給湯停止と給湯開始とを判定する給水監視工程と、水温検出部41の出力と雰囲気温度検出部42の出力とを比較して、給水配管21中の水温と雰囲気温度との温度差を判定する温度差判定工程と、水温検出部43の出力の変動量ΔT2を判定する変動量判定工程と、を実行し、漏水判定部10は、給水監視工程で給湯開始を判定し、かつ、温度差判定工程で温度差ΔT1が所定温度差以上であると判定し、かつ、変動量判定工程で変動量が所定の値を下回ると判定した場合に、水漏れが発生していると判定する。
【0087】
(7)
上記実施形態において、漏水判定部10は、ケーシング60外の雰囲気温度を計測する雰囲気温度検出部42を備える例を示したが、漏水判定部10は、ケーシング60内の雰囲気温度を計測する雰囲気温度検出部42を備えてもよい。
【0088】
この場合、漏水判定部10は、水漏れ判定工程として、流量検出部51の出力を監視して給湯停止と給湯開始とを判定する給水監視工程と、水温検出部41の出力と雰囲気温度検出部42の出力とを比較して、給水配管21中の水温とケーシング60内の雰囲気温度との温度差を判定する温度差判定工程と、水温検出部43の出力の変動量ΔT2を判定する変動量判定工程と、を実行し、漏水判定部10は、給水監視工程で給湯開始を判定し、かつ、温度差判定工程で温度差ΔT1が所定温度差以上であると判定し、かつ、変動量判定工程で変動量が所定の値を下回ると判定した場合に、水漏れが発生していると判定する。
【0089】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、ケーシング内に設けられた熱交換器と、給水配管から供給された水を熱交換器で加熱して給湯配管から給湯される給湯流量を検出する流量検出部とを備えた給湯器の水漏れ判定装置および水漏れ判定方法として用いることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 :給湯器
10 :漏水判定部
11 :熱交換器(給湯熱源)
13 :報知部
14 :入力部
20 :配管
21 :給水配管
23 :給湯配管
41 :水温検出部
42 :雰囲気温度検出部
43 :水温検出部
51 :流量検出部
60 :ケーシング
100 :水漏れ判定装置
Ps :所定期間
ΔT1 :温度差
ΔT2 :変動量
図1
図2
図3