(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鉄道車両の外周面に複数の線状レーザ光を間断なく照射し、前記線状レーザ光の前記鉄道車両への照射位置、及び前記鉄道車両の外周面に照射された前記線状レーザ光の二次元平面投影像から、前記鉄道車両の外形形状を測定する鉄道車両の外形形状測定方法であって、
前記鉄道車両に前記線状レーザ光の強度を切り替えて照射しながら前記線状レーザ光の強度の異なる複数の画像を撮影する撮影工程と、
前記線状レーザ光の強度が異なる複数の画像の中から、測定位置に最も適したレーザ光強度の撮影画像を選択する選択工程と、
前記選択した撮影画像から前記鉄道車両の外形形状を算出する算出工程と、を含む
ことを特徴とする鉄道車両の外形形状測定方法。
鉄道車両の外周面に複数の線状レーザ光を間断なく照射し、前記線状レーザ光の前記鉄道車両への照射位置、及び前記鉄道車両の外周面に照射された前記線状レーザ光の二次元平面投影像から、前記鉄道車両の外形形状を測定する鉄道車両の外形形状測定装置であって、
前記複数の線状レーザ光を発生させる機構と、前記複数の線状レーザ光の前記鉄道車両への照射位置を特定する機構と、前記複数の線状レーザ光の強度を切り替えて照射する機構と、前記鉄道車両の外周面に照射された前記複数の線状レーザ光の像を撮影する機構と、前記複数の線状レーザ光の撮影画像から測定位置に最も適した線状レーザ光撮影画像を選択する機構と、選択された線状レーザ光撮影画像から前記鉄道車両の外形形状を算出する機構と、を備え、
前記複数の線状レーザ光の強度を切り替えて照射する機構は、前記鉄道車両の外周面に前記線状レーザ光の強度を切り替えて照射し、
前記鉄道車両の外周面に照射された前記複数の線状レーザ光の像を撮影する機構は、前記線状レーザ光の強度の異なる複数の画像を撮影し、
前記測定位置に最も適した線状レーザ光撮影画像を選択する機構は、前記複数の線状レーザ光の強度が異なる複数の画像の中から測定位置に最も適したレーザ光強度の撮影画像を選択し、
前記鉄道車両の外形形状を算出する機構は、前記選択した撮影画像から前記鉄道車両の外形形状を算出する
ことを特徴とする鉄道車両の外形形状測定装置。
前記測定位置に最も適した線状レーザ光撮影画像を選択する機構は、前記線状レーザ光の強度が異なる複数画像の画素値を比較し、前記画素値が飽和値に達しておらず、最も高い値を示す光切断線を選択する
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の鉄道車両の外形形状測定装置。
前記線状レーザ光の前記鉄道車両への照射位置における、前記鉄道車両のレール基準位置からのずれ量を検出する機構と、前記検出した鉄道車両のレール基準位置からのずれ量を補正する機構と、をさらに備える
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の鉄道車両の外形形状測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、単一波長もしくは複数波長の測定レーザ光強度を変化させながら取得した、複数の光切断画像から、適切なレーザ光強度、もしくは波長の画像を選択し、高精度な車両外形形状測定を行うことを可能にした車両外形形状測定方法及びその装置に関するものである。以下に、本発明の実施例を、図を用いて説明する。
【0011】
<実施例1>
以下、本発明の実施例1に係る鉄道車両外形形状測定方法について
図1〜
図5を用いて説明する。
図1A、
図1Bに、実施例1よる鉄道車両外形形状測定装置の構成の一例を示す。装置は、車両101の表面に線状のレーザ光102を照射し、車両101の表面に投影された線状レーザ光102(以下で光切断線)の撮影を行う複数台の光切断センサ103、当該複数台の光切断センサ103をレール上の車両を囲むように設置するセンサ架台104、車両の基準位置からの移動距離を測定する車両移動距離測定センサ105、及び測定処理機構110を備える。
【0012】
測定処理機構110は、上記線状レーザ光102の強度を一定時間毎に変化させるレーザ強度制御部111、及び前記強度を変化させた各線状レーザ光102の光切断線撮影画像の中から、測定位置に最も適したレーザ光の強度における光切断線画像を選択し、前記選択された光切断線画像から車両外形形状を算出する画像選択・形状算出部112、各構成機器の制御、及び車両限界超過有無の判定を行う全体制御部113、当該全体制御部113での処理結果を出力する結果出力部114から構成される。
光切断センサ103は、
図2に示すように、線状レーザ光102を照射するレーザ光源ユニット201、及び車両101の表面に投影された線状レーザ光102を撮影する撮影ユニット202を搭載している。
【0013】
撮影ユニット202は、撮像カメラ203、結像レンズ204、狭帯域フィルタ205から構成される。
撮像カメラ203の結像レンズ204はなるべく広角のものを用いることによって、個々の光切断センサの視野範囲を大きくし、少ない数の光切断センサで、車両外周の全範囲をカバーすることができる。
また、狭帯域フィルタ205によって各光切断センサが搭載するレーザ光の波長近傍の光のみを透過させる為、外乱光量を大幅に抑制することが可能となる。
【0014】
レーザ光源ユニット201から照射される線状レーザ光102の強度は、レーザ強度制御部によるレーザコントローラへの印加電圧制御によって、
図3に示すように、撮影ユニット202の撮影レート:F(fps)と同期するように一定周波数:F(Hz)で数段階変化し、これをレーザ強度変調サイクル周期:T(s)で繰り返すように制御される。
【0015】
次に本発明を実施する際の測定の流れについて
図4を用いて説明する。
測定開始に伴い、車両101は架台104の後方から架台に向かって移動を開始する(処理S401)。
移動を開始すると、車両101の移動距離をモニターして、車両が予め設定された測定開始位置に到達したか否かを判定し(処理S402)、車両が予め設定された測定開始位置まで移動した時点から、各光切断センサから照射される線状レーザ光の強度を、一定周波数:F(Hz)で数段階変化させ(処理S403)、撮影ユニット202によって、一定の撮影レート:F(fps)で光切断線の撮影を連続して行う(処理S404)。
【0016】
測定中は、車両移動距離測定センサ105によって絶えず車両101の移動距離をモニターし、車両が一定距離移動する毎に(処理S405)、撮影された光切断線から車両外形形状の算出(処理S406)、及び車両限界超過の有無(測定された車両外形の全座標点が車両限界を示す座標範囲内に有るか)の判定を行い(処理S407)、車両限界を超過していた場合、車両限界超過箇所の表示を行う(処理S408)。
上記S401〜S408までの処理を、車両101の測定位置が予め設定された測定終了位置に到達したと判断されるまで繰り返し(処理S409)、車両の全測定位置について車両限界超過箇所の表示を行う。
【0017】
以下では、
図4のS406に示される車両外形形状を算出する処理の流れについて、
図5に示す車両外形形状算出サブルーチンフロー図を用いて説明する。
撮影された画像は、レーザ強度変調サイクル毎に照射するレーザ強度が数段階異なった画像がレーザ強度変調サイクル:T(s)毎に繰り返し含まれているため、同一レーザ強度変調サイクル内の画像を同一処理単位として処理を行う。
この場合、同一処理単位に含まれる画像数:Nは、レーザ強度変調サイクル周期:T(s)と撮影レート:F(fps)から、N=T×Fと算出できる。
【0018】
処理を開始したら、測定レーザ光強度が異なる各撮影画像において、画素値が予め設定された閾値以上の画素を検出することによる光切断線画素の検出(処理SS501)、及び各撮影画像において光切断線として検出された画素の画素値平均値:M[i]の算出と前記算出された値のメモリへの格納を行い(処理SS502)、処理画像数:iのカウント値を更新する(処理SS503)。
次に処理画像数が同一処理単位数:Nに達したかの判定を行い(処理SS504)、処理画像数が同一処理単位数に達したら、SS502で算出した各撮影画像の検出画素値平均値: M[i]同士を比較し、平均値が最も高い光切断線の選択を行う。この際、光切断線の画素値が飽和していると算出される形状精度が悪くなる為、検出画素の画素値平均値が画素の飽和値に達しておらず、最も高い値であるか判定を行い(処理SS505)、SS505の判定条件を満たす場合は、画素値平均最大値:Mと、画素値平均が最大となる画像番号:ksを更新する(処理SS506)。
【0019】
次に平均値の比較を行った画像数:kを更新して(処理SS507)、比較画像数:kが同一処理単位数:Nに達したか判定を行い(処理SS508)、比較画像数:kが同一処理単位数:Nに達した時点で最も検出画素値平均値の高い画像番号:ksの光切断線を用いて車両外形形状の算出を行う(処理SS509)。
なお、上記で説明を行った車両外形形状の算出処理は、車両の移動終了後に行うことも可能である。
【0020】
図4の変形例として、車両外形形状の算出処理を車両の移動終了後に行う流れについて
図6を用いて説明する。
この場合、処理S601から処理S604までの処理は
図4と同じであるが、
図6においては、車両移動中に車両外形形状の算出を行わず、車両が測定終了位置に到達したと判定された後(処理S605)に、車両外形形状の算出(処理S607)、及び車両限界超過の判定(処理S608)の処理を全測定画像に対する処理が終了するまで行い(処理S606)、車両限界を超過したと判断された位置については、
図4と同様に車両限界超過位置の表示を行う(処理S609)。
【0021】
本発明の実施例1に係る鉄道車両外形形状測定方法によれば、通常、測定レーザ光の反射光量は塗装色によって大きく影響を受けるが、本発明では測定に用いる光切断線のレーザ光強度を選択することができる為、車両の塗装色に対して、レーザ強度が適切でない(強すぎたり弱すぎたりする)ことで生じる形状精度の低下を低減し、高精度な形状測定を行うことが可能となる。
【0022】
<実施例2>
以下、本発明の実施例2に係る鉄道車両外形形状測定方法について
図7及び
図8を用いて説明する。なお、実施例1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施例2では、
図7に示す通り、カラーカメラのRGB(赤、緑、青色)各画素の波長帯に対応した複数波長を発生させることが可能なレーザ光源ユニット701を備え、撮像カメラにカラーカメラ702用いる点に特徴がある。
撮像カメラにカラーカメラを使用した場合、RGBの画素毎に、対応した波長帯の光を透過させるカラーフィルタが搭載されている為、RGBの各画素で、対応した波長帯以外の外乱光量を大幅に抑制でき、モノクロカメラを用いる場合と比べて、信号対雑音比(SN比)を上げられるという利点が生じる。
【0023】
複数波長光の発生方法としては、それぞれRGBに対応した波長のレーザを複数台用意してもよいし、RGBに対応した広い波長帯を有したレーザを使用しても問題は無い。
複数台のレーザ光源を用いる場合、複数のレーザ光源から照射された光の光路を光学素子で重ねて一本の線状ビームとして照射を行い、レーザ光の強度変調を行う際には、複数のレーザ光強度を同じタイミングで変化させる。なお、本発明を実施する際の測定の流れは
図4や
図6で示したものと同じである。
【0024】
以下で撮影された光切断線から車両外形形状を算出する処理(
図4のS406、
図6のS607)について、
図8に示す車両外形形状算出サブルーチンフロー図を用いて説明する。
実施例1と同様、撮影された画像は、レーザ強度変調サイクル毎に照射するレーザ強度が数段階異なった画像が繰り返し含まれているため、同一レーザ強度変調サイクル内の画像を同一処理単位として処理を行う。
【0025】
処理を開始したら、測定レーザ光強度が異なる各撮影画像において、画素値が予め設定された閾値以上の画素を検出することによる光切断線画素の検出を行うが、本実施例では、複数波長の光による光切断線をカラーカメラで撮影している為、測定レーザ光強度が異なる各撮影画像をRGB成分画像に分解する(処理SS801)。
この際、赤色の波長の光による光切断線はR成分画像に強く現れ、緑色の波長の光による光切断線はG成分画像に強く現れ、青色の波長の光による光切断線はB成分画像に強く現れることは周知の通りである。
【0026】
次に、RGB各成分の画素値の和を算出し(処理SS802)、前記選択されたRGB成分の画素値の和に対して閾値判定を行い、光切断線画素を検出する(処理SS803)。
前記光切断線として検出された画素の画素値の和の平均値:M[i]の算出と前記算出値のメモリへの格納を行い(処理SS804)、処理画像数:iのカウント値を更新して(処理SS805)、処理画像数が同一処理単位数に達したかの判定を行う(処理SS806)。
【0027】
処理画像数が同一処理単位数に達したら、SS804で算出した各撮影画像の検出画素値の平均値を比較し、最も平均値が高い光切断線の選択を行う。
実施例1と同様に、光切断線の画素値が飽和していると形状算出精度が悪くなる為、検出画素の画素値平均値が画素の飽和値に達しておらず、最も高い値であるか判定を行い(処理SS807)、SS807の判定条件を満たす場合は、画素値平均最大値:Mと画素値平均が最大となる画像番号:ksの更新を行う(処理SS808)。
次に、平均値の比較を行った画像数:kを更新し(処理SS809)、比較画像数:kが同一処理単位数:Nに達したか判定を行い(処理SS810)、比較画像数:kが同一処理単位数:Nに達した時点で最も検出画素平均値の高い画像番号:ksの光切断線を用いて車両外形形状の算出を行う(処理SS811)。
【0028】
本発明の実施例2に係る鉄道車両外形形状測定方法によれば、光切断線の検出において、実施例1で説明した測定レーザ強度の変調に加えて、塗装色に対する測定レーザ波長の組合せも考慮することが可能である。
このため、例えば測定レーザ光波長に対する塗装色の反射率が非常に低く、測定レーザ光波長が一種類のみでは、レーザ強度を強くしても光切断線の検出強度が不十分であるような場合においても、塗装色の反射率がより高くなる波長のレーザ光を用いることによって、高精度な測定を行うことが可能となる。
【0029】
<実施例3>
以下、本発明の実施例3に係る鉄道車両外形形状測定方法について
図9〜
図13を用いて説明する。なお、実施例1及び2と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0030】
図9A、
図9Bに本実施例における鉄道車両外形形状測定装置の構成の一例を示す。
本実施例3では、鉄道車両側面の両端に亘って基準線となる線状の物体901を取付け、線状レーザ光102を、車両側面に加えて基準線となる線状の物体901の側面に照射することによって、
図10Aに示す光切断センサの視野範囲1001において、
図10Bに示す車両側面の光切断線1002と線状の物体901の光切断線1003を同時に検出する。
そして、車両の蛇行によって生じる光切断線1003の位置変動から、前記車両のレール基準位置からのずれ量を算出し、画像選択・形状算出部で算出した結果に対して前記算出したずれ量の補正を行う。
【0031】
基準線となる線状の物体901は、サブミリメートルオーダーの真直度が確保された物体が望ましいが、鉄道車両の全長は一般的に20m前後と長く、鉄道車両全長に亘って、サブミリメートルオーダーの真直度が確保された物体を製造するのは困難である。
基準線となる線状の物体自体が基準位置からうねっているような場合、線状の物体901による光切断線の位置変動が、基準線となる線状の物体901自体のうねり起因であるか、もしくは車両の蛇行起因であるかの区別を付けるのは困難である。
このため、本実施例では糸(もしくは紐)のように、張力をかけることによってうねりが生じない物質を用いる例について説明する。
【0032】
図11に、実施例3に係る鉄道車両外形形状測定方法を実施する際の測定の流れを示す。
S1101からS1103までは
図4のS401からS403と同じであるが、S1104の光切断線撮影の際、車両側面と線状の物体901の光切断線を同時に検出し、測定終了後に車両外形形状と車両蛇行量の算出・補正を行う。
【0033】
以下で撮影された糸の光切断線から車両蛇行量を算出し、補正する処理(
図11に示す処理S1108)の流れについて
図12に示す車両蛇行量算出・補正サブルーチンフロー図を用いて説明する。
【0034】
実施例1及び2と同様に、撮影された画像は、レーザ強度変調サイクル毎に照射するレーザ強度が数段階異なった画像が繰り返し含まれているため、同一レーザ強度変調サイクル内の画像を同一処理単位として処理を行う。
この場合、全長に亘って同質且つ同色の糸を用いることによって、最も良いレーザ光強度を予め決定することができる為、同一処理単画像の中から予め決定したレーザ光強度の光切断線を選択して(処理SS1201)、画素値が予め設定された閾値以上の画素を検出することによる糸の光切断線の検出を行い(処理SS1202)、その後、SS1201とSS1202の処理を指定された全撮影画像に対して繰返す(処理SS1203)。
【0035】
処理SS1202で検出した糸の光切断線から糸の位置変動を算出する場合、光切断線データには、糸がレールに対して完全に平行に張られていないことによる、レールと鉛直方向の直線的な位置ずれ(糸の傾き成分)、及び車両の移動を加振源とする糸の振動(糸の振動成分)が重畳する為、これらによる糸の光切断線位置への影響を除去する必要が生じる。
糸の傾き成分は、レール方向の位置に対して線形である為、処理SS1202で検出した糸の光切断線のデータ列を、レール方向位置とレール鉛直方向位置を座標軸とするレール座標系データ列に変換し(処理SS1204)、前記データ列に対して直線式をフィッティングさせてデータ列における直線成分を算出し、前記データ列から、直線成分(糸の傾き成分)の除去を行う(処理SS1205)。
【0036】
次に、糸の振動成分は一定時間周期で変動する成分を有している為、直線成分除去後の糸の光切断線データ列を、データのサンプリング時間と、レール鉛直方向位置を座標軸とする時間データ列に変換し(処理SS1206)、糸の振動周期が除去可能なローパスフィルタによって糸の振動成分を除去し(処理SS1207)、糸の傾き成分と糸の振動成分を除去した糸の光切断線データ列(糸の位置変動データ)を取得する。
上述のとおり、糸の光切断線のデータは、予めレーザ光強度を決定しておくことによって一定時間間隔(レーザ強度変調サイクル周期間隔)で取得したデータとなっている為、容易にフィルタリング処理を行うことが可能である。
【0037】
また、糸の振動周期は糸を張る際の張力、及び糸の線密度の値から式(1)で表すことができ、実際の振動は複数の次数のモードが合成されたものであるが、振動周波数が最も低い一次モードよりも大きい振動数を除去するローパスフィルタを適用することによって、各モードの振動成分についても除去することが可能である。
【数1】
[S:糸の張力(N)、ρ:糸の線密度(kg/m)、l:弦の長さ(m)、n:n次モード振動]
最後に、処理SS1207で取得したレール鉛直方向における糸の位置変動データ列を各光切断センサによる車両外形形状データに対して加減算することによって、車両の蛇行による車両外形形状誤差の補正を行う(処理SS1208)。
【0038】
次に、糸の位置変動測定データ例について
図13を用いて説明する。
図13は車両全長に亘って取得した糸の位置変動データのうち、一部の区間のデータのみを抜き出したものである。
図13(a)のデータ列1301は、検出した糸の光切断線のデータ列を、レール方向位置とレール鉛直方向位置を座標軸とするレール座標系に変換したものであり、
図13(b)のデータ列1302は、
図13(a)の1301に対して直線式をフィッティングさせて得られた直線成分(糸の傾き成分)を示している。
【0039】
図13(a)の1301から
図13(b)の1302の成分を除去することによって
図13(c)の1301を得ることが出来、
図13(c)の1301からローパスフィルタによって、糸の振動成分である
図13(d)の1303を除去することによって、車両蛇行による糸の位置変動データ列である
図13(e)の1301を得ることができる。
本発明の実施例3に係る鉄道車両外形形状測定方法によれば、車両外形形状を測定するレーザ光を用いて前記線状の物体901の位置ずれ量を車両側面と同時に測定する為、車両側面の測定断面と同断面における位置ずれ量を高精度に検出することができ、車両外形形状の測定精度を向上させることが可能となる。
【0040】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
さらに、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。