特許第6611704号(P6611704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6611704
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】ガイドされた気管内挿管システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/267 20060101AFI20191118BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20191118BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20191118BHJP
   A61M 16/04 20060101ALI20191118BHJP
【FI】
   A61B1/267
   A61B1/06 610
   A61B1/045 610
   A61M16/04 Z
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-513491(P2016-513491)
(86)(22)【出願日】2014年5月16日
(65)【公表番号】特表2016-518942(P2016-518942A)
(43)【公表日】2016年6月30日
(86)【国際出願番号】IL2014050428
(87)【国際公開番号】WO2014184796
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2017年3月13日
(31)【優先権主張番号】61/824,015
(32)【優先日】2013年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/950,413
(32)【優先日】2014年3月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504247934
【氏名又は名称】イッサム・リサーチ・ディベロップメント・カンパニー・オブ・ザ・ヘブルー・ユニバーシティ・オブ・エルサレム
【氏名又は名称原語表記】YISSUM RESEARCH DEVELOPMENT COMPANY OF THE HEBREW UNIVERSITY OF JERUSALEM
(73)【特許権者】
【識別番号】500388981
【氏名又は名称】ハダシット メディカル リサーチ サーヴィシーズ アンド ディヴェロップメント リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100138874
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 雅晴
(72)【発明者】
【氏名】イタイ・ハユト
(72)【発明者】
【氏名】エルハナン・フリード
(72)【発明者】
【氏名】ヤーコヴ・ナミアス
(72)【発明者】
【氏名】トミー・ワイス−サダン
(72)【発明者】
【氏名】アリエル・シェレム
【審査官】 ▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05560351(US,A)
【文献】 特開昭63−275316(JP,A)
【文献】 特開平01−158930(JP,A)
【文献】 特開2002−102157(JP,A)
【文献】 特開2010−057565(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0129603(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
A61M 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内された気管挿管を患者に対して行うシステムであって、
所定の最大強度を有していて、最大強度状態と最小強度状態との間で所定の周波数をもって周期的に変調される変調照明出力を、患者の喉頭領域の首部に外部から照射する、自律した光源と、
患者の気管を貫通した変調照明のレベルに関係あるデータを含む一連の画像データを、患者喉内の気管内配置デバイスから受け取る光学検出システムと、
所定の周波数を提供され、当該周波数に基づいて、上記受け取った一連の画像データに対して信号処理を行なう(すなわち、(1)上記自立した光源により提供された変調照明出力から生じる画像データを含む、第1の一連の画像データと、(2)上記気管内配置デバイスによって患者の喉頭領域に内側から発せられた照射から生じる画像データを含む、第2の一連の画像データと、に分離する信号処理を行う)とともに、外見上検出され調節が行われた変調照明出力強度を有する調節された一連の画像出力データであって、上記第1の一連の画像データを含んでいる画像出力データを生成する、制御システムと、を備え
上記自律した光源は、上記制御システムと接続されておらず、同システムからフィードバック信号を受け取らない、システム。
【請求項2】
上記信号処理は、光学画像データの位相操作を使用して、上記第1の一連の画像データと、上記第2の一連の画像データと、を分離している、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
上記照明は、0.4〜1.4マイクロメートルの範囲の波長を有している、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
上記変調照明出力は矩形波である、あるいは正弦変調されている、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
サンプリングされた上記一連の画像データは、一連のビデオ画像である、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
上記最大強度状態はスイッチオンの状態であり、最小強度状態はスイッチオフの状態である、請求項1記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気管内への挿管の分野に関する。さらに詳しくは、外部照明を使用して、気管チューブを患者の気管内で位置決めするのを助けることに関する。
【背景技術】
【0002】
気管内への挿管は、よく知られており、患者の肺の通常の換気に障害がある場合に広く行われている。無呼吸の患者に対して迅速に人工呼吸を施さないのであれば、それは、深刻な脳損傷あるいは死につながる。患者の気管に挿管を行う場合、可撓性のあるチューブ(気管内チューブとして知られている)が使用される。このチューブの遠位端が、患者の気管内に配置される。チューブの近位端は、呼吸プロセスを支援する酸素吸入バッグあるいは他の何らかの装置に取り付けることができる。患者の気管に挿管を行う際、気管内チューブを誤って食道内へ配置してしまうリスクがある。そのような状況を迅速に検出できなければ、死あるいは能力障害を引き起こす場合がある。
気管内へ挿管を行なう場合の共通の方法は、通常は光ファイバー内視鏡の形態で与えられるイメージング装置を使用するか、あるいは、その遠位端にカメラを備えた剛体ボディからなる装置を使用する。いずれの装置も、気管挿管を容易にするために、患者の声帯襞および声門の画像を提供する。しかしながら、体内で照らされた内視鏡画像を使用する場合、挿管を適正に行なうことを確実とするために気管の正確な位置を特定することが、ユーザにとって難しい場合が多い。とりわけ、血液や分泌物が存在し、迅速性が重要となる外傷の場合は、そうである。
従来の多くの文献は、優先的に照らされた気管が非常に見易く、それ故に気管チューブのユーザあるいは自動追尾デバイスがそれを目標とし易くなるように、声帯の領域で患者の首の外側からの照明を使用することを示唆している。
【0003】
ディー・グラベンスタインらに付与された米国特許第6,161,537号(挿管のための気管経由エネルギ適用および検出システム:方法および装置)において、そのようなシステムが説明されている。患者の喉の声門領域内への外部照明の伝達の違いを調整するために、外部光源は、電子フィードバック回路によって制御される。電子フィードバック回路は、検出された信号を処理するシステムに接続されており、同システムによって駆動されて、オートゲイン特性を与える。このように、当該米国特許は、気管を特定するためのレベル制御可能な光源と、付随する制御回路と、フィードバック・リンクとを使用することを含んでいる。フィードバック・リンクは、ユーザのための信号処理および観察モジュールから、外部に配置される気管特定のための照明へと繋がるリンクである。
【0004】
シー・クイによる米国特許出願公開第2011/0178369(挿管のためのシステムおよび方法)では、自動の気管内チューブ挿管システムおよび方法が説明されており、そこでは、外部に配置した気管特定源(それは、患者上に配置した光源であってもよい)が使用されている。しかしながら、外部に配置した気管特定源の輝度レベルを制御することについては(それは、気管内への正しく挿通されたことを効率的かつ積極的にビデオ判定するのに必要であろう)、この文献のどこにも言及されていない。
【0005】
したがって、使用に便利かつ低コストであって、先行技術のシステムおよび方法に係る少なくとも幾つかの不都合を解消できるような、気管内チューブの配置およびモニタリングシステムが必要とされる。
【0006】
本明細書中のこのセクションおよび他のセクションで言及した各文献における開示は、参照することによってその全体が本明細書中に組み込まれる。
【発明の概要】
【0007】
本明細書における開示は、簡単で、しかも正確に観察、案内、気管内挿管を行うことのできる、例示的な新しいシステムについて説明している。本発明のシステムは、電力自己供給タイプのスタンド・アロンの外部照明源を利用しており、当該照明減は、一定の出力レベルの変調照明を供給するものであって、患者の首領域の外側(喉頭領域のすぐ外)に配置されている。
照明源は、患者の喉領域の外側に配置されたパッチの形態で構成することができ、簡単かつ低コストで製造できるが故に、器具とともに1回だけ使用される使い捨ての構成要素とすることができる。この照明は、気管内配置デバイスからその入力を受け取るイメージング・システムで検出される。気管内配置デバイスは、検出器アレイをその遠位端に備えるものであるか、光学ファイバーを使用して画像を、電子的な検出および制御ユニットに配置された検出器アレイに、伝達することのできるものである。
外側で生成された照明は、変調されて(最も好都合なのは振幅変調)認識可能となる。あるいは、患者の喉内で検出された内部照明を信号処理することによって外見上の画像レベルが調整される。そして、検出および制御システムで認識された気管内へと貫通する外部照明を、気管内チューブで提供される内部照明から、有効に識別し制御することが可能となる。識別およびレベル制御は、検出された変調照明の位相操作を使用することで達成することができ、そのために外部照明源へのいかなる入力も全く必要とはせず、それによって、照明の予め決められた一定変調出力レベルが与えられる。
【0008】
このシステムによって、ユーザは、生成された内視鏡画像内に見られる外見上の気管照明レベルを調節することが可能となる。外見上という用語は、気管から発せられた実際の気管照明が一定であり(外部照明源が移動せず、かつ患者が移動しないのであれば)、受信された画像データに対して信号処理を行うことで、異なる照明レベルが認識され得ること、を強調するために使用している。
さらにこのシステムによって、制御システムは、この認識された気管の画像データを使用して、自動的な照明レベルの制御を効果的に行い、そして、自動または半自動で気管内チューブを気管入口へ向けて舵取りを行うことが可能となる。その際、予め定めた照明およびコントラスト特性を有する画像または画像データが使用される。
【0009】
システムは、外部光源から受け取った光の外見上の画像輝度を、気管検出のために最適化されたレベルに維持することを可能にする。レベルが弱すぎる場合、気管を明確に検出することができない。レベルが強すぎる場合、照明は、気管および食道の両方から集められたものかもしれない。あるいは、周囲の組織から光が反射または分散しているのかもしれない。これらの場合には、解剖学的認識にエラーが生じる。
さらに、気管チューブが喉内を声帯へ、さらには気管内へと前進するときに、当該気管チューブの遠位端の位置が変わるが、これによって光源までの距離が大きく変わり、そして、検出された外部照明のレベルも変わる。
【0010】
これらの変化の制御は、本明細書に開示するシステムにおいては、光源自体の輝度を調節する何らのフィードバック機構を必要とすることなく達成される。この光源は、検出および表示制御システムに電子的にあるいは無線で接続されていない自律の要素であってもよい。画像輝度の制御は、その全てが検出および表示ユニット内での信号処理によって行なわれる。ユーザに対して表示を行う前に、あるいは、挿管チューブ案内等のタスクにそれを使用する前に、外見上の輝度が最大に維持されるように、画像の変調光要素を増加させ、あるいは減少させる。
【0011】
外部光源から出た変調照明は、有利な波長を有するべきである。それは、不当な減衰を伴うことなく喉の組織を容易に貫通して、さらには、例えばシリコンをベースとするCCDまたはCMOSアレイ等、一般に使用されるフォトセンサによって、良好な検出感度を有するものである。したがって、本件明細書において、「光」、「照明」という語を使用する場合、それは可視領域のものに限定されるものではなく、システムで使用できるあらゆる波長領域を含むと理解すべきである。さらに、変調周波数は、容易に入手可能で標準なビデオ・イメージング装置のフレーム周波数に適応すべきであり、それによって、システムが簡単になり、低コストを実現できる。
【0012】
さらに、本明細書においてシステムは、ビデオ画像表示システムという観点で一般的に説明しており、それは、気管内への挿管を視覚的に容易にするために一般的に使用される出力である。しかし、複数の画像(またはその一部)を生成するために自動的なゲイン制御を生成するのに使用する画像データ出力を提供するために、あるいは、挿管時におけるチューブの自動案内のためのデータを提供するために、ここで開示する装置および方法が同様に使用できると理解されるべきである。
【0013】
さらに、動けない患者およびしっかりと固定された外部光源のために、気管を貫通し、そして気管から放射されたものとして検出される変調された照明レベルは、効果的に一定のレベルを有する。したがって、検出された、または認識された、あるいは外見上の照明レベル(または、同様の意味のもの)への言及は、画像データを信号処理した後に制御および表示システムの出力を参照することを意図しており、それによって、検出された真実の照明の内容が増強または修正される、と理解すべきである。
画像が真実の表示画像フォーム内にある場合でも、制御タスクで使用される画像データである場合でも、これが適用可能である。そのような用語は、請求の範囲においても、同じように理解されるべきである。
【0014】
本明細書で説明する装置の例示的な実施態様にしたがって、次のようなシステムが提供される。それは、案内された気管挿管を患者に対して行うシステムであって、次の要素を含む。
(i)患者の喉頭領域の首部に外部から照射される、実質的に一定レベルの変調照明出力を与える自律した光源。
(ii)患者の気管を貫通した変調照明のレベルに関係あるデータを含む一連の画像データを、患者喉内の気管内配置デバイスから受け取る光学検出システム。
(iii)上記受け取った一連の画像データを変調したものに対して信号処理を行ない、外見上気管から検出した照明レベルが調節されることを可能にする画像出力データを生成する、制御システム。
【0015】
そのようなシステムにおいては、上記自律した光源は、上記制御システムと有線あるいは無線で接続されてはいない。さらに、患者の気管を貫通した上記変調照明と、上記気管内配置デバイスから患者の喉頭領域に内側から照射された照明とを区別するために、上記信号処理は、上記画像データの位相操作を使用してもよい。さらに、上記外見上気管から検出した照明は、上記案内された気管挿管が行われる際に上記システムのユーザによって調節されてもよい。別例として、あるいは追加的に、上記外見上気管から検出した照明が自動的に調節されて、上記画像データから生成された画像に予め定めたレベルのコントラストが与えられてもよい。
【0016】
さらなる例示的な上記システムの実施形態においては、上記自律した変調光源は、少なくとも1つのバッテリと、少なくとも1つの発光器と、当該発光器に電力を供給する回路とを備えていてもよい。この実施形態において、上記少なくとも1つの発光器は発光ダイオードであってもよい。上述したいずれのシステムにおいても、上記照明が、0.4〜1.4マイクロメートルの範囲の波長を有していてもよい。
【0017】
さらに別の実施形態において、上記自律した変調光源は、患者の喉頭領域の首部に取り付けるための粘着要素またはストラップを備えていてもよい。自律した変調光源は、一度使用した後に使い捨てるように構成されていてもよい。
【0018】
他の例示的な実施形態は、患者の首部に外部から適用されるパッチが含まれる。このパッチは、
(i)少なくとも1つのバッテリと、
(ii)少なくとも1つの発光器と、
(iii)当該発光器が変調照明を発することができるように、当該発光器に電力を供給する回路と、を備え、
当該パッチは、変調照明を患者の気管に貫通させ、その結果、患者の喉内に配置された気管内配置デバイスに関連する光学検出システムが、気管を貫通する当該変調照明の一部を検出することができる。
【0019】
そのような実施形態では、パッチは、上記光学検出システムに対して、有線あるいは無線で機能的に接続される必要がない。さらに、上記変調照明は、実質的に一定の出力レベルで放射されてもよい。このパッチは、使い捨てであることが最も好都合である。
【0020】
案内された気管挿管を患者に対して行なう方法の実施形態がさらに提供される。この方法は、次の工程を含む。
(i)実質的に一定レベルである変調照明出力を与える自律した光源を用いて、患者の咽頭領域の首部に外部から照明を当てる。
(ii)患者の喉内に気管内配置デバイスを挿入する。
(ii)患者の喉内に挿入された気管内配置デバイスから受け取る一連の画像データであって、患者の気管を貫通した変調照明のレベルに関係あるデータを含む一連の画像データを、を光学的に検出する。
(iii)上記受け取った一連の画像データを変調したものに対して信号処理を行ない、外見上気管から検出または認識した照明レベルが調節されることを可能にする画像出力データを生成する。
【0021】
そのような方法においては、上記気管から検出または認識した照明レベルは、上記自律した光源に有線あるいは無線で接続されることなく調節されてもよい。さらには、患者の気管を貫通した上記変調照明と、上記気管内配置デバイスから患者の喉頭領域に内側から照射された照明とを区別するために、上記信号処理は、上記画像データの位相操作を使用してもよい。さらに、上記外見上気管から検出または認識した照明レベルは、上記案内された気管挿管が行われる際に上記システムのユーザによって調節されてもよい。別例として、あるいは追加的に、上記外見上気管から検出した照明が自動的に調節されて、上記画像データから生成された画像に予め定めたレベルのコントラストが与えられてもよい。
【0022】
さらなる例示的な実施形態において、上記いずれの方法も、少なくとも1つのバッテリと、少なくとも1つの発光器と、当該発光器に電力を供給する回路とを備える自律した変調光源を使用して行ってもよい。その場合、上記少なくとも1つの発光器は発光ダイオードであってもよい。これらいずれの方法においても、上記照明は、0.4〜1.4マイクロメートルの範囲の波長を有していてもよい。

【0023】
さらなる実施形態において、上記自律した変調光源は、粘着要素またはストラップを用いて、患者の首部に取り付けられるものであってもよい。さらに、上記自律した変調光源は、一度使用した後に使い捨てられるものであってもよい。
【0024】
上述のシステムおよび方法のいずれにおいても、サンプリングされた上記画像データは、上記変調照明出力の周波数より少なくとも2倍高い周波数において取得されることが必要であろう。さらに、上記変調照明出力は矩形波、あるいは正弦変調されてもよい。最後に、上記いずれの実施形態においても、上記一連の画像データは、一連のビデオ画像であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図面を参照して行う以下の詳細な説明から、本発明は、より完全に理解され、その良さが認められる。
図1】患者に対して行なわれる従来の気管内手順を模式的に示す図。
図2】先行技術に係る、外部からの照明源を利用した気管挿管のための検出システムの概略図。
図3図2の先行技術に係る挿管システムのシステム・アーキテクチャーを模式的に示す図。
図4A】本願開示に係る新規な挿管照明システムを模式的に示す図。
図4B図4Aのシステムで使用される使い捨て照明パッチの例を示す概略図。
図5図4Aの挿管システムのシステム・アーキテクチャーを模式的に示す図。
図6A-6G】受信された変調パルス列に対して位相感知検出技術(phase sensitive detection technique)を用いることを説明する図。これは、内視鏡挿管を目視する方法のため、および表示される画像輝度を制御するためであって、図4のシステムを使用して行われる。
図7A-7E】図6A−6Gの方法に対する代替方法を示す図。当該方法においては、外部輝度がディスプレイ・システムに表示される主要な、あるいは単なるコンポーネントとなり得るようにされる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を参照すると、患者10に対する従来の気管内挿管の手順が模式的に図示されている。気管11が食道12の前方に位置しており、気管内への挿管チューブ13は、気管11および食道12の交差領域に位置する喉頭蓋14および声帯15を良好に通過して、気管内に挿通されている。気管11および食道12の交点を上手く通過させることの問題点は、図1から明らかである。一般に使用されている手順では、参加スタッフは、挿管チューブ組立体に沿って上流側から照明を当て、挿管チューブの遠位端の進行を内視鏡で見ることによって、挿管チューブを気管内の正しい位置へと操作する。
【0027】
図2を参照すると、気管内挿管に係る従来技術の検出システムを概略的に示している。それは、グラベンスタインらに付与された米国特許5,560,351号で説明されているものである。このシステムでは、エネルギ源21(光源として好都合である)は、光導波路22に沿って、患者の喉の内部領域23にまで照明を運ぶ。そして、患者の喉の組織を貫通した光は、食道よりもはるかに強く気管を照らす。内視鏡術で使用する挿管チューブ24は、交差領域の画像を提供する。その画像は、表示・処理・操舵システム25によって観察される。気管がより強く照射されるが故に、表示信号を処理するソフトウェアは、気管の入口位置を特定することができ、挿管チューブが選択的に気管内へ向けられることを可能とする。
【0028】
しかしながら、そのような気管イメージング・システムの全てにおいて、患者の喉領域内で検出される内部照明は、患者毎に相当に異なるという問題がある。それは、多くの患者断面は、首のサイズや皮膚の色が異なるからである。その範囲は、小さくて希薄な赤ん坊の首(光の吸収能力が非常に小さく、したがって内部気道の輝度レベルが非常に高い)から、例えば過重量の大人の厚い首(喉頭領域にまで、ひいてはイメージ・センサにまで、貫通する照明は実質的に低い)までに渡る。赤ん坊のために使用される照明装置およびパワーレベルは、大きな成人患者への施術には、ほとんど役立たないであろう。
この問題を克服するために、米国特許5,560,351で説明されたシステムは、輝度のオートゲインという特徴を備えており、そこでは、内視鏡術の挿管チューブセンサの電子回路で検出された光のレベルと、光源ユニットから患者の喉の外部へと適用された光レベルとの間にフィードバック・ループが設立されている。
米国特許5,560,351で説明されているが、光源の出力に影響を与えるために、電子回路25および光源ユニット21は、図2において電子通信ケーブル接続26で示しているように、電気的にリンクされていなければならない。
【0029】
そのようなシステムにおいて照明レベルの制御された調節が必要とされるさらなる理由として、挿管チューブが患者の喉に沿って奥へと移動すると検出される照射が変化することが挙げられる。外部に設置された光源からの検出される照明を合理的なレベルに維持するために、そしてさらに、外部光源からの検出される照明を、内視鏡挿管チューブの照射システムから提供されるあらゆる内部照明から区別するために、内視鏡が喉に沿って奥へ移動するときに、外部で発せられる照明を変化させて、光が首の軟骨および組織を貫通して内視鏡のファインダレンズまで達する際の変化を補償すべきである。
【0030】
図3を参照すると、図2のタイプの先行技術に係る挿管システムのシステム・アーキテクチャーを模式的に示している。外部に設けられた光源30は、矢印31で示すように、患者の組織を通させて気管/食道の分岐領域にまで、その照明を運ぶ。内視鏡挿管チューブの検出器32は、患者の喉の内部映像を作り出し、この映像を(ビデオストリームの形式で)電気的な表示・処理システム33へと運ぶ。このシステム33は、表示および信号処理を行うためのハードウェアおよびソフトウェアを含んでいて、そのようなビデオストリームを表示ユニット34に出力し、ユーザ35がこれを見る。
さらに、この電子ユニットはユーザ・インタフェース36を含むことができ、それによって、ユーザは、電子装置にコマンドを入力バック37することでディスプレイの機能を制御できる。受け取った画像輝度およびユーザ・インタフェースからの全てのユーザ入力を処理した後、電子システム33は、光源30にフィードバック信号38を送るようにプログラムされている。これは、患者の喉に照射された外部照明のレベルを制御するためである。このようにシステムは複雑であり、協働して正しく機能するよう電気的に接続されたそれ専用の検出および照射ユニットを使用することが必要となる。
【0031】
図4Aを参照すると、本開示に係る新規な挿管照明システムの例示的実施形態を模式的に図示している。本発明のシステムが上述の先行技術と異なる点は、バッテリ駆動されるスタンド・アロンの光源ユニット40によって照明が供給される点である。ユニット40は、最も都合の良いパッチの形態とすることができ、気管/食道の分岐領域に対向するよう患者の喉の外側に粘着固定される。それによって、パッチから出た照明44は、体内を通って患者の気道へ向けられる。
照明パッチは、所定位置に保持できる。そのために粘着性のパッド、ストラップ、あるいは、光源を患者の喉上の所定位置に保持する他の手段を用いることができる。このパッチは、単純な構成とすることができ、最も簡単な構成例では、バッテリ、照明源(例えば、1または2以上のLED)、およびこれらのLEDに電流を供給する電源以外のものは含まない。簡単で低コストの構造が故に、パッチは、使い捨てのものとして製造することができ、その使用は極めてシンプルなものとなる。
パッチを患者の喉に適用し挿管が完了すると、パッチは、取り外して捨てることができる。そのような使い捨ての照明パッチのためには、1回の挿管手続の間だけ(あるいは、安全を配慮して、あともう少しの間だけ)光源に電力を供給できる小容量のバッテリを使用できる。照明パッチは、一定レベルの平均出力で光を発することができ、したがって、他の電子制御ユニットからのあらゆる入力信号から完全に独立したものとすることができる。
光源40から出た照明44の波長は、赤外線に近い可視光の範囲にあることが好都合である。その範囲の可視光は、患者の首の組織を良好に貫通して伝達される。また、そのような波長範囲の光に対して、シリコン受光素子アレイ(CCDまたはCMOSのいずれも)は、優れた感度を有している。そのようなSiカメラアレイは、その低コストおよび広い入手可能性が故に好ましい。本開示のシステムを実施するのに使用される最も典型的なVIS−NIR波長は、ほぼ0.4〜1.4μmの範囲である。ただし、この範囲外の波長を使用することも可能である。
【0032】
図4Bは、そのような使い捨て照明パッチ40の例示的な実施形態の概略図であって、バッテリ41、照明源に対して調整された駆動電流を生成するための電子回路42、および照明源を示している。この場合、照明源は、発光ダイオード43のアレイとして示されており、照明44を発する。その内部構造を示す目的で、図4Bの使い捨て照明パッチ40は、平坦なユニットとして示しているが、可撓性材料から構成されることが最も好都合であると理解できる。可撓性材料から構成される場合、ユニットは、それが適用される患者の首領域の外形に沿って変形することができ、当該外形を包むように配置することができる。
パッチは、異なる患者の物理的サイズおよび生理機能に容易に適合できるよう、ある範囲のサイズおよび出力を有するものとして供給されてもよい。
【0033】
しかしながら、使用されるパッチサイズの好適性とは無関係に、内部的に集められた異なるレベルの気道照明(固定の出力強度レベルを有する外部照明源を使用することに起因する)をシステムが取り扱い得るように、イメージング・モジュールは、患者の声門領域の内部画像の処理および表示を、ある輝度で行うことが可能でなければならない。それは、挿管を管理する医療スタッフによって快適に見ることができ、あるいは、あらゆる自動ガイダンス手順(それは、手順を実行するために処理可能なイメージを要求する)によって容易に使用される。
したがって、イメージング・モジュールは、患者気道のイメージ・フレームの光レベルを制御できるシステムを有するべきである。しかしながら、使い捨てで低コストの照明パッチを使用するという主要コンセプトから外れないために、イメージング・モジュールは、パッチから完全に独立して作動するべきであり、そこに接続されるべきではない。このことを達成するために、そのような輝度調節システムの例示的実施形態においては、パッチは、所定の変調割合で変調された照明を発するよう構成されている。そして、検出システムは、患者の気道を貫通する変調された照明を検出し、受信された変調信号に対して段階操作および(または)ゲーティングを行うことで表示および処理を行うために出力画像のレベルを調整するよう構成されている。
【0034】
図5を参照すると、先行技術のシステムを説明する図3と同様の態様で、本件出願に係る挿管システムのシステム・アーキテクチャーが模式的に示されている。外部に配置される光源50は、バッテリ駆動される受動光源(passive light source)であって、これは使用後に都合良く廃棄できる。光出力51は、変調されて、患者の声門領域内へ進み、検出ユニット52によってイメージ化される。検出ユニット52は、電子ディスプレイ・処理システム53にビデオストリームを転送する。
このシステムが図3の従来システムと異なる点は、電子ディスプレイおよび処理システム53から、外部に配置された光源50へのフィードバック(あるいは接続)がない点にある。表示される輝度の調節58は、電子ディスプレイ・処理システム53内に配置されたオートゲイン・フィードバック・システムによって、あるいは、挿管が進むときに彼/彼女がディスプレイ54上で挿管イメージを見れるようにユーザ55が決めたユーザ設定(preference)56によって生成される。表示される輝度のような外見上の照明レベルの調節は、矢印58で示しているように、完全に処理システム53内で達成される。
このようにユーザは、挿管手続中に外部からの照明によって生成される画像部分の輝度を、最大限クリアになる所望レベルにまで制御することができる。その際に、バッテリ駆動される外部の受動光源(passive light source)と物理的にあるいは無線で連絡することが必要ではなく、検出・制御・表示のための電子ユニットとは、完全に独立したままである。
【0035】
本件出願のシステムの先行システムに対する重要な相違点は、外部に配置した光源50が、予め決められた固定の光レベルを伝えるという点にある。その光レベルは、表示される画像の輝度調整を実行できるように変調されていて、かつ、電子ディスプレイ・処理システム53から完全に独立であって、そこには接続されていない。これは、外部光源50が低コストで使い捨てのアイテムとして作られることを可能にする幾つかの特徴のうちの1つである。
【0036】
検出・画像処理システムは、知られている画像処理技術が適用されることで機能し、外部光源に起因する変調照明から生成されるビデオ・フレームのイメージ部分を、気管内のチューブ照明システムに起因する内部照明から生成されるビデオ・フレームのイメージ部分から、分離するものであってもよい。
この手段によって、これら2つの照明要素の相対レベルを制御することが可能となり、特に、気管から出る変調照明を、即座に気管を識別できるレベルに維持することが可能になる。手動で案内される挿管手順に使用される、より単純でより簡単に制御可能なイメージ・ディスプレイをユーザに提供することに加えて、この技術によって、ユーザによる支援が最小限とされた(あるいは、無くされた)気管チューブの気管内への自動案内が可能になる。
【0037】
そのような共通の画像処理技術の1つは、高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムを使用して、変調周波数において検出されたオリジナル画像の全ての構成要素を抽出して、これら構成要素から、変調照明の分離画像を1つ作成する。そして、この画像は、従来のものの上に重ね合わせられた強調された特徴として、気管内チューブ・ビデオ表示システムで検出された画像フレームに使用することができる。
そのようなアルゴリズムは外部照明源の変調周波数に関する知識を要求するが、標準的なビデオ・フレーム・レートは低いので(代表的には、数十Hzを超えない)、この状況では0.5Hz〜60Hzの変調周波数が代表的に使用される。したがって、あらゆるFFTアルゴリズムの帯域幅は、そのような低周波を容易に収容できる。そして、予め決めた変調周波数は正確に追跡することができる。さらに、FFTアルゴリズムは、ビデオストリームの各フレーム上で信号処理をリアル・タイムで行うことを可能にするのに十分な速さを有する。
検出された照明の時間とともに変化する構成要素を正確に描写する別の方法として、オイラー・ビデオ・マグニフィケーション(Eulerian video magnification)を使用することができる。検出された照明とは、外部から照射された変調光から生じるものであって、それは、患者の喉領域の内側からの一定の(またはゆっくりと変化する)背景照明から生じている。
【0038】
画像データを処理する他の可能な方法は、画像中の変調段階を特定して、その画像を2つの構成要素部分に分けることに基づいている。その1つは、外部光源のin-phaseであって、外部光源から出た光が最大輝度で観察される。他の1つは、外部光源のout-of-phaseであって、外部光源から出た光が最少輝度で観察されるか、あるいは、全く見えない。
段階操作に基づく別の方法は、外部変調光源がその最大状態(あるいは、ON輝度状態)にある時に生成された画像を、外部変調光源がその最少状態(あるいは、OFF輝度状態)にある時生成された画像から引き算することである。
【0039】
後者のこれら2つの画像処理方法がどのように機能するのかを示すため、図6A−6Gおよび図7A−7E(検出された照明の時間ベースのグラフ)を参照する。これは、内視鏡ビュー・システムを使用して、経過時間tの関数として表示したものである。図6A−6Gおよび図7A−7Eのグラフは、このように手順を説明するのが簡単であるので、矩形波パルス変調を使用して描かれている。しかし、あらゆる形態の変調(例えば、正弦変調)が、同じく良好に使用可能であることが理解されるべきである。
喉パッチによって生成された外部照明の変調期間は、Tで与えられる。検出された内部照明からの照明輝度は、文字iで表され、外部照明からの照明輝度は文字eで表される。時間ベースのグラフは、イメージ化された輝度を制御する2つの異なる方法を示しており、それは、ユーザに対する表示ため、あるいは自動案内等の他の制御特徴への入力として使用するためである。そして、システムによって表示または分析される際、喉パッチから放射される外見上の照明レベルを変更するために、喉パッチに対して物理的またはワイヤレスでのいかなる接続も必要としない。
【0040】
まず、図6A−6Gについて説明する。図6A−6Gは、位相敏感検波技術に基づく方法を示している。図6Aは、イメージ・センサによって検出された内部照明と外部照明とを組み合わせた出力を示している。照明の合計は、一定である内部照明iの上に、変調された外部照明eを加えたものである。図6Bは、図6Aの検出された照明に対して適用された周期的なサンプリング・ゲートの時間トレースを示している。そのゲート・テンポラル・ファイルは、変調された外部照明と同じ周波数(f=1/T)を有し、同じ位相内になる。
このサンプリング・プロセスは、イメージング・ハードウエア内で実行されたサンプリング・ゲートによって、あるいは、イメージング・データ上で機能するイメージ・プロセッシング・アルゴリズムによって実行された仮想サンプリング・ゲートによって、行うことが可能であるということを理解すべきである。
さらに、ナイキスト標本化定理(Nyquist sampling theory)によれば、未知の変調された光信号を正確に検出するためには、それを変調周波数の少なくとも2倍の周波数においてサンプル化する必要があるが、外部照明源の予め定めた特性に関する知識によって(あるいは、そうでなくても、予め行ったキャリブレーション・ステップ(それはナイキスト基準を使用する必要がある)によって)その変調周波数が分かっているならば、この要求は不必要であって、その変調周波数においてサンプル化された信号を選択するためのゲーティング機構だけが、この方法を説明していると考えられる。
外部変調がフリー・ランニングであり、ディスプレイ・システムと電気的に接続されていない場合において、位相同期化を達成する方法を以下に説明する。図6Bに示したサンプリング・プロファイルからの結果的な信号出力を、図6Cに示している。図6Cでは、信号は、トータル照明(i+e)を表わすものとして、そして、パッチ光源の外部変調と同じ位相において、図示されている。
【0041】
図6Dは、図6Bの周期的なサンプリング・ゲートの時間トレースを示している。しかし、この時間は、変調された外部照明の逆位相のサンプリング・ゲートである。結果的な信号出力を図6Eに示しており、外部照明のON期間においてサンプリング・ゲートがOFFであるため、外部照明が完全に抑えられていて、内部照明iだけが表示されていることが理解できる。このように、外部変調照明の位相に対するサンプリング・ゲートの位相を調節することによって、ディスプレイ・システムによって検出される外部照明のレベルを調節することができる。
したがって、例えば図6Fにおいて、サンプリング・ゲートは、一時的に当該サンプリング・ゲートが外部変調照明に対して位相が90°異なる位置とされる。そして、その結果は、図6Gに示したように、外部照明が完全に抑制される場合と完全に表示される場合との中間となる。
【0042】
そのような位相感知検出モード(phase sensitive detection mode)を実行するためには、ディスプレイ・システムは、外部変調照明の位相に同期可能である必要がある。外部変調照明の位相は、完全に独立したユニットで生成されるものであって、光源変調ドライバーへ電気的に直接接続することでは測定できない。そのような同期化は、検出された画像のビデオストリーム・イメージのトータル輝度を維持しつつ、単にサンプリング・ゲートの位相遅れτを変えることで達成できる。トータル輝度が最大のとき、それは、サンプリング・ゲートのタイミングが外部変調と正確に同じ位相中にあることのサインである。
【0043】
図6A−6Gに示した位相感知検出モードの不利益の1つは、内視鏡光源からの内部で生成された照明の影響を排除できないという点である(もちろん、必要ならばその照明のレベルを下げることは可能であるが)。次に、図7A−7Eを参照する。
図7A−7Eは、外部輝度がディスプレイ・システムに表示される主要な、あるいは単なるコンポーネントとなり得るようにする手法によって、表示される画像輝度を制御する別の方法を示している。この方法は、フレーム・シーケンスを加えたり、差し引いたりすることを含むビデオ・フレーム操作を使用することで機能する。
図7Aは、図6Aと等価であって、イメージ・センサによって検出された内部照明と外部照明とを組み合わせた出力を示している。図7Bは、図と6C等価であって、照明の同位相での検出の場合に表示される出力を示している。図7Cは、図6Eと等価であって、照明の同位相での検出の場合に出力される表示を示しており、それは、内部照明iのみに相当する。こうして、所望の出力を達成するために、イメージ・ビデオ・フレーム・ストリームは、システム・アルゴリズムによって時間操作することが可能である。このように、図7Dにおいては、図7Cの内部照明信号が180°シフトされていて、図6Bに示した逆位相検出された照明と同位相にある。
今、図7Dの信号列が図7Bの信号列から差し引かれる場合、図7Eに示す結果的な出力は、外部照明のみを表わすビデオ列である。図7Bのビデオ列から差し引くその前に、図7Dのビデオ列に適用される位相シフトを変更することによって、表示される画像内での内部照明と外部照明の相対的パーセンテージを変えることが可能になる。
別の例として、挿管手順のために最適な照明の組み合わせを達成するために、図7Dに示したように、内部ビデオ・データ・ストリームに対して減衰を適用する、あるいは、図7Eに示したように、外部ビデオ・データ・ストリームに対して減衰を適用することができる。ディスプレイ制御においてオートゲイン特徴が与えられる場合、これらの減衰または位相調整を自動的に行うことが可能で、閉ループ照明レベルを実現できる。
【0044】
図5〜7Eで説明した挿管案内システムを使用すれば、気管の位置から放射された変調照明の増強された画像を、気管内チューブのためのターゲットとして利用することで、自動的挿管システムを容易に実行することが可能となる。
【0045】
そのようなシステムでは、外部光源から発せられた変調光を分離または増加させるために、そしてそれをバックグラウンド・ノイズ(これは、変調外部光源からのものではない)から分離するために、画像が処理される。画像の処理は、ここで説明したシステムおよびアルゴリズム、あるいは他の方法を使用することによって行うことができる。
さらに、挿管チューブを運ぶ機械的またはロボット管を自動案内し移動させるため、気管へ向かう好ましい方向を規定するために、変調光の受信輝度が最大である画像内領域を計算することができる。
1つの可能な実施では、管の先端が案内されて、ソフトウェアで計算された最大変調輝度の方に自動的に向かう。ただし、管の先端または全体の患者喉内での前後への移動は、ユーザによって手動で行なわれてもよい。さらなる実施形態によれば、管の先端または全体の前後への移動をシステムによって自動制御し、チューブを気管内に自動的に配置してもよい。
【0046】
本発明が特にここに図示し説明したものに限られるものでないことは、当業者であれば理解できる。むしろ、本発明の範囲は、ここに説明した多くの特徴の変更例および修正例(それは、上記説明を読むことで当業者が理解でき、先行技術には属さないものである)だけでなく、コンビネーションおよびサブコンビネーションの両方を含む。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A-6G】
図7A-7E】