特許第6611832号(P6611832)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6611832
(24)【登録日】2019年11月8日
(45)【発行日】2019年11月27日
(54)【発明の名称】報知装置、及び報知システム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20191118BHJP
【FI】
   B60N2/90
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-3077(P2018-3077)
(22)【出願日】2018年1月12日
(65)【公開番号】特開2019-123263(P2019-123263A)
(43)【公開日】2019年7月25日
【審査請求日】2019年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】クラリオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 祥一郎
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−137387(JP,A)
【文献】 特開2009−241647(JP,A)
【文献】 特開2006−215900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者の身体が接触し得るシートのシート面に点在配置された複数の振動部のうち、報知情報に対応した前記振動部の振動によって前記着座者に前記報知情報を伝える報知装置であって、
前記シート面に生じる圧力を測定する圧力測定部と、
前記圧力測定部によって測定される圧力分布に基づいて、前記報知情報に対応した前記振動部のそれぞれの振動を変更する振動変更部と、
を備え、
前記振動変更部は、
前記圧力測定部によって測定される圧力に基づいて前記報知情報に対応する前記振動部を振動させるか振動させないかを決定し、
前記圧力測定部によって測定される圧力に基づいて前記報知情報に対応した前記振動部のいずれも振動させないとき、前記報知情報に対応した前記振動部の近くに存在する他の振動部を振動させる
ことを特徴とする報知装置。
【請求項2】
着座者の身体が接触し得るシートのシート面に点在配置された複数の振動部のうち、報知情報に対応した前記振動部の振動によって前記着座者に前記報知情報を伝える報知装置であって、
前記シートのシート面が複数の可動部位を含み、
前記可動部位のそれぞれの可動状態の組み合わせに基づいて、前記シート面の圧力分布を特定する圧力分布特定部と、
前記圧力分布特定部によって特定される圧力分布に基づいて、前記報知情報に対応した前記振動部のそれぞれの振動を変更する振動変更部と、
を備え、
前記振動変更部は、
前記圧力分布特定部によって特定される圧力分布に基づいて前記報知情報に対応する前記振動部を振動させるか振動させないかを決定し、
前記圧力分布特定部によって特定される圧力分布に基づいて前記報知情報に対応した前記振動部のいずれも振動させないとき、前記報知情報に対応した前記振動部の近くに存在する他の振動部を振動させる
ことを特徴とする報知装置。
【請求項3】
前記振動変更部は、
前記報知情報に対応した前記振動部のうち、前記圧力または前記圧力分布が第1閾値を下回っている範囲に配置されている前記振動部を振動させない
ことを特徴とする請求項1または2に記載の報知装置。
【請求項4】
前記振動変更部は、
前記報知情報に対応した前記振動部のうち、前記振動部の振動が抑止される前記圧力の閾値である第2閾値以上の圧力の範囲に配置されている前記振動部を振動させない、
ことを特徴とする請求項3に記載の報知装置。
【請求項5】
前記振動変更部は、
前記報知情報に対応した前記振動部のいずれも、前記圧力が前記第1閾値から前記第2閾値の範囲に配置されていない場合、前記報知情報に対応した前記振動部の近くに存在する他の振動部を振動させる
ことを特徴とする請求項4に記載の報知装置。
【請求項6】
前記振動変更部は、
前記振動部の近くに存在する他の振動部のうち、前記第1閾値から前記第2閾値までの範囲内に配置されている振動部を振動させる
ことを特徴とする請求項5に記載の報知装置。
【請求項7】
前記振動変更部は、
前記振動部の振動が前記着座者に与える刺激を一定に維持するように、前記振動部が配置されている箇所の圧力に基づいて当該振動部の振動態様を変更する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の報知装置。
【請求項8】
着座者の身体が接触し得るシートのシート面に、複数の振動部が点在配置されたシートと、前記シートに設けられて前記シート面に生じる圧力を測定する圧力測定部と、
を備え、
前記複数の振動部のうち、報知情報に対応した前記振動部を振動させ、前記着座者に前記報知情報を伝える報知システムであって、
前記着座者の接触によって前記シート面に生じる圧力分布に基づいて、前記報知情報に対応した前記振動部のそれぞれの振動を変更し、前記圧力測定部によって測定される圧力に基づいて前記報知情報に対応する前記振動部を振動させるか振動させないかを決定して前記振動部のそれぞれの振動を変更する振動変更部を備え、
前記振動変更部は、前記報知情報に対応した前記振動部のいずれも前記振動させる領域に配置されていないとき、前記報知情報に対応した前記振動部の近くに存在する他の振動部を振動させるよう振動を変更する
ことを特徴とする報知システム。
【請求項9】
着座者の身体が接触し得るシートのシート面に、複数の振動部が点在配置されたシートと、前記シートのシート面が複数の可動部位を含み、前記可動部位のそれぞれの可動状態の組み合わせに基づいて、前記シート面の圧力分布を特定する圧力分布特定部と、
を備え、
前記複数の振動部のうち、報知情報に対応した前記振動部を振動させ、前記着座者に前記報知情報を伝える報知システムであって、
前記着座者の接触によって前記シート面に生じる圧力分布に基づいて、前記報知情報に対応した前記振動部のそれぞれの振動を変更し、前記圧力分布特定部によって特定される圧力分布に基づいて前記報知情報に対応する前記振動部を振動させるか振動させないかを決定して前記振動部のそれぞれの振動を変更する振動変更部を備え、
前記振動変更部は、前記報知情報に対応した前記振動部のいずれも前記振動させる領域に配置されていないとき、前記報知情報に対応した前記振動部の近くに存在する他の振動部を振動させるよう振動を変更する
ことを特徴とする報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報知装置、及び報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転シートに振動部材を設け、これらを振動させることで運転者に対して運転支援情報を伝える運転支援装置が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−128667号公報
【特許文献2】特開2017−22442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運転シート等のシートに座っている着座者の姿勢などによっては、着座者への振動の伝達が不十分となり、着座者に報知情報が的確に伝えられないことがある。
本発明は、着座者に報知情報を的確に伝えることができる報知装置、及び報知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、着座者の身体が接触し得るシートのシート面に点在配置された複数の振動部のうち、報知情報に対応した前記振動部の振動によって前記着座者に前記報知情報を伝える報知装置であって、前記シート面に生じる圧力を測定する圧力測定部と、前記圧力測定部によって測定される圧力分布に基づいて、前記報知情報に対応した前記振動部のそれぞれの振動を変更する振動変更部と、を備え、前記振動変更部は、前記圧力測定部によって測定される圧力に基づいて前記報知情報に対応する前記振動部を振動させるか振動させないかを決定し、前記圧力測定部によって測定される圧力に基づいて前記報知情報に対応した前記振動部のいずれも振動させないとき、前記報知情報に対応した前記振動部の近くに存在する他の振動部を振動させることを特徴とする。
本発明は、着座者の身体が接触し得るシートのシート面に点在配置された複数の振動部のうち、報知情報に対応した前記振動部の振動によって前記着座者に前記報知情報を伝える報知装置であって、前記シートのシート面が複数の可動部位を含み、前記可動部位のそれぞれの可動状態の組み合わせに基づいて、前記シート面の圧力分布を特定する圧力分布特定部と、前記圧力分布特定部によって特定される圧力分布に基づいて、前記報知情報に対応した前記振動部のそれぞれの振動を変更する振動変更部と、を備え、前記振動変更部は、前記圧力分布特定部によって特定される圧力分布に基づいて前記報知情報に対応する前記振動部を振動させるか振動させないかを決定し、前記圧力分布特定部によって特定される圧力分布に基づいて前記報知情報に対応した前記振動部のいずれも振動させないとき、前記報知情報に対応した前記振動部の近くに存在する他の振動部を振動させることを特徴とする。
【0006】
本発明は、上記報知装置において、前記振動変更部は、前記報知情報に対応した前記振動部のうち、前記圧力または前記圧力分布が第1閾値を下回っている範囲に配置されている前記振動部を振動させないことを特徴とする。
【0007】
本発明は、上記報知装置において、前記振動変更部は、前記報知情報に対応した前記振動部のうち、前記振動部の振動が抑止される前記圧力の閾値である第2閾値以上の圧力の範囲に配置されている前記振動部を振動させない、ことを特徴とする。
【0008】
本発明は、上記報知装置において、前記振動変更部は、前記報知情報に対応した前記振動部のいずれも、前記圧力が前記第1閾値から前記第2閾値の範囲に配置されていない場合、前記報知情報に対応した前記振動部の近くに存在する他の振動部を振動させることを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記報知装置において、前記振動変更部は、前記振動部の近くに存在する他の振動部のうち、前記第1閾値から前記第2閾値までの範囲内に配置されている振動部を振動させることを特徴とする。
本発明は、上記報知装置において、前記振動変更部は、前記振動部の振動が前記着座者に与える刺激を一定に維持するように、前記振動部が配置されている箇所の圧力に基づいて当該振動部の振動態様を変更することを特徴とする。
【0011】
本発明は、着座者の身体が接触し得るシートのシート面に、複数の振動部が点在配置されたシートと、前記シートに設けられて前記シート面に生じる圧力を測定する圧力測定部と、を備え、前記複数の振動部のうち、報知情報に対応した前記振動部を振動させ、前記着座者に前記報知情報を伝える報知システムであって、前記着座者の接触によって前記シート面に生じる圧力分布に基づいて、前記報知情報に対応した前記振動部のそれぞれの振動を変更し、前記圧力測定部によって測定される圧力に基づいて前記報知情報に対応する前記振動部を振動させるか振動させないかを決定して前記振動部のそれぞれの振動を変更する振動変更部を備え、前記振動変更部は、前記報知情報に対応した前記振動部のいずれも前記振動させる領域に配置されていないとき、前記報知情報に対応した前記振動部の近くに存在する他の振動部を振動させるよう振動を変更することを特徴とする。
本発明は、着座者の身体が接触し得るシートのシート面に、複数の振動部が点在配置されたシートと、前記シートのシート面が複数の可動部位を含み、前記可動部位のそれぞれの可動状態の組み合わせに基づいて、前記シート面の圧力分布を特定する圧力分布特定部と、を備え、前記複数の振動部のうち、報知情報に対応した前記振動部を振動させ、前記着座者に前記報知情報を伝える報知システムであって、前記着座者の接触によって前記シート面に生じる圧力分布に基づいて、前記報知情報に対応した前記振動部のそれぞれの振動を変更し、前記圧力分布特定部によって特定される圧力分布に基づいて前記報知情報に対応する前記振動部を振動させるか振動させないかを決定して前記振動部のそれぞれの振動を変更する振動変更部を備え、前記振動変更部は、前記報知情報に対応した前記振動部のいずれも前記振動させる領域に配置されていないとき、前記報知情報に対応した前記振動部の近くに存在する他の振動部を振動させるよう振動を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、着座者に報知情報を的確に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る報知システムの構成を模式的に示す図である。
図2】シートの構成の一例を示す図である。
図3】シートの振動に係る構成を模式的に示す図である。
図4】報知システムの機能的構成を示すブロック図である。
図5】シート面、振動エリア、及び報知情報の対応の一例を示す図である。
図6】報知システムの動作を示すフローチャートである。
図7】シートの背もたれ面の調整状態と圧力分布との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る報知システム1の構成を模式的に示す図である。
報知システム1は、車両2に搭載され、運転者などの乗員Uに報知情報を伝えるものであり、報知情報出力部3と、乗員Uが着座するシート4と、報知装置6と、を備えている。
報知情報出力部3は、車両2の走行状況などに応じて報知情報を生成し、当該報知情報の出力を要求する報知信号を報知装置6に出力する。シート4は、報知装置6の制御に基づいて振動可能に構成されており、報知装置6が報知信号に基づいてシート4を振動させることで、報知情報が振動によって乗員Uに伝えられる。なお、以下では、シート4については、車両2の前部座席を例にして説明する。
【0015】
図2は、シート4の構成の一例を示す図である。
本実施形態のシート4は、乗員Uの着座部であるシートクッション8と、背もたれ部であるシートバック10と、このシートバック10の上部に設けられたヘッドレスト12と、を備え、シートクッション8、及びシートバック10の各々には、乗員Uの幅方向両側を挟み込むことで乗員Uの横ずれを防止するサイドサポート部14、16が設けられている。
【0016】
またシート4の各部位は、その位置や姿勢を乗員Uが自身の身体の大きさや好みに合わせて調整可能に構成されている。
具体的には、シートクッション8は、車室内で前後方向に移動可能に構成されており、その座面8Aの前端部8A1の高さを変えるように後端部8A2を基点に回動して当該座面8Aの傾きを変更可能に構成されている。また、シートバック10は、下端部10A1を基点に回動して背もたれ面10Aの傾きを変更可能に構成され、ヘッドレスト12は、高さ位置が変更可能に構成され、サイドサポート部14、16のそれぞれの姿勢も調整可能に構成されている。
【0017】
図3は、シート4の振動に係る構成を模式的に示す図である。
同図に示すように、シート4の内部には、多数の振動部20が点在配置されている。振動部20は、報知装置6の制御の下、振動を発するものであり、重低音(低音域)を出力するサブウーハーと呼ばれるスピーカを備えている。このスピーカとしては、コーン紙等を用いるダイナミック型のスピーカや、接触面を振動させて音や振動の出力を行うエキサイタ等の適宜のものが用いられる。
報知装置6は、スピーカを振動させるための音源である振動出力信号を、振動対象の振動部20に入力することで、振動部20を選択的に振動させている。この振動出力信号には、例えば正弦波信号やスイープ信号(出力音の周波数を段階的に変動させた信号)等の適宜の信号が用いられる。
【0018】
振動部20は、シート4の中でも、乗員Uの身体が接触し得る面であるシート面18の全域に亘って点在配置されている。本実施形態では、シート4は、シート面18として、シートクッション8の座面8Aと、シートバック10の背もたれ面10Aと、ヘッドレスト12の正面12Aとを備え、これらのそれぞれに、振動部20が点在配置されている。
さらにシート4には、シート状の圧力検出装置24が当該シート面18の全域を覆うように設けられている。圧力検出装置24は、シート面18の面内の圧力を検出して報知装置6に出力するものであり、例えば、圧力検出装置24の表面に規則的に配置された多数の圧力センサを備えている。
【0019】
図4は、報知システム1の機能的構成を示すブロック図である。
報知情報出力部3は、上述したように、車両2の走行状況などに応じて報知情報を生成し、報知装置6に対して報知情報の出力を要求する報知信号を当該報知装置6に出力する。報知情報には、車両2の走行に関連する適宜の情報が挙げられる。例えば、車両2が車線を逸脱したことを知らせる車両逸脱情報や、車両2の後方に他車両が接近していることを知らせる車両接近情報、走行予定経路内の急カーブや障害物等に車両2が接近していることを知らせるカーブ等警報情報、運転者の居眠りを知らせる居眠り情報、所定の目的地への到着を知らせる到着情報などが挙げられる。
報知情報出力部3は、車両2の周囲の映像を撮影して画像解析する方法や、レーダー波を照射して反射波を測定することにより周囲の他車両を検出する方法、運転者の状態を画像解析等により検出する方法、ナビゲーション装置や車両センサ、車両2のECU等から各種の情報を得る方法等、一般的に用いられている各種の方法により、車両2の走行状況を検知し、各種の報知情報を生成する。
【0020】
報知装置6は、信号制御部50と、振動制御部52と、増幅部54と、振動変更部56と、を備え、CPUやMPU等のプロセッサを有したコンピュータによって構成されている。
信号制御部50は、報知情報出力部3から報知信号を受信した場合に、報知信号に基づいて、振動対象の振動部20を選択する。詳述すると、本実施形態では、報知情報にかかわらずにシート4の全ての振動部20が振動するのではなく、シート4のシート面18が複数の振動エリアに分けられており、振動を発生させる振動エリアが報知情報ごとに定められている。
【0021】
図5は、シート面18、振動エリア、及び報知情報の対応の一例を示す図である。
同図に示すように、本実施形態では、シート面18のうち、シートクッション8の座面8A、及びシートバック10の背もたれ面10Aは、左右のサイドサポート部14、16に相当するサイドサポート振動エリアと、それ以外の中央振動エリアとに分けられている。さらに、この中央振動エリアは、座面8Aに属する座面中央振動エリアと、背もたれ面10Aに属する背もたれ面中央振動エリアとに分けられている。
また、シート面18のうち、ヘッドレスト12の正面12Aは、その全域が1つのヘッドレスト振動エリアとして分けられている。
【0022】
サイドサポート振動エリアは、車両逸脱情報に対応付けられており、車両逸脱情報の報知時には、左右のサイドサポート振動エリアのうち、左右の車線のうち車両2が逸脱する側の車線に対応した振動エリアが指定され、当該振動エリアに配置されている全ての振動部20が振動対象に選択される。
中央振動エリアのうち、背もたれ面中央振動エリアは、車両接近情報に対応付けられており、車両2の後方に他車両が接近しているとき等に、当該背もたれ面中央振動エリアに配置されている全ての振動部20が振動対象に選択される。
また中央振動エリアのうちの座面面中央振動エリアと、ヘッドレスト振動エリアとは、居眠り情報に対応付けられており、運転者の居眠り検知時には、運転者のシート4の座面面中央振動エリア、及びヘッドレスト振動エリアに配置されている全ての振動部20が振動対象に選択される。
【0023】
なお、図5に示す対応関係は、あくまでも一例であって適宜に変更可能であることは勿論である。
【0024】
前掲図4に戻り、振動制御部52は、信号制御部50によって選択された振動対象の振動部20に出力する上述した振動出力信号を生成し、増幅部54に出力する。増幅部54は、振動出力信号を増幅し、シート4における振動対象の振動部20の各々に出力する。振動部20が振動出力信号に基づいて振動することで、報知情報が乗員Uに通知される。
【0025】
振動変更部56は、シート4のシート面18における圧力分布に基づいて、振動対象の振動部20を変更し、かつ、その振動部20の振動を、当該振動部20の配置箇所における圧力に基づいて変更し、これらの変更結果を振動制御部52に出力する。振動制御部52は、この変更結果が入力された場合、変更結果に基づいて、変更後の振動態様に応じた振動出力信号を生成し、変更後の振動対象の振動部20に振動出力信号を出力する。
【0026】
シート4は、上述した多数の振動部20の他に、圧力測定部62を備えている。
圧力測定部62は、上述した圧力検出装置24を備え、この圧力検出装置24で検出した圧力に基づいてシート面18の圧力分布を測定し、測定結果を報知装置6に出力する。
【0027】
次いで、振動変更部56による振動対象の振動部20、及び振動態様の変更について、さらに詳述する。
【0028】
振動対象の振動部20の変更については、振動変更部56は、報知情報に対応する振動エリアに属する振動部20のうち、乗員Uに振動が伝わり難いエリアの振動部20が振動対象から除外されるように変更する。これにより、報知情報の伝達に寄与し難い振動部20の無駄な振動を抑えることができる。
【0029】
乗員Uに振動が伝わり難いエリア(以下、「無効エリア」と言う)は、圧力分布に基づいて特定されており、本実施形態では、圧力分布において、圧力が第1閾値Pth1を下回っているエリア、及び、第2閾値Pth2を越えているエリアの2つのエリアが無効エリアとして特定されている。第1閾値Pth1は、乗員Uの身体がシート面18に接触していなか、或いは、振動の伝達には接触が十分でないことを示す圧力である。一方、第2閾値Pth2は、乗員Uの身体の接触により、振動部20の振動が抑圧され、また、強い接触によって感覚も鈍化するため、振動が感覚として乗員Uに伝わり難くなる圧力である。これらの第1閾値Pth1、及び第2閾値Pth2の具体的な圧力値は、実験等により適宜に求められた値である。
【0030】
したがって、振動変更部56は、報知情報に対応する振動部20のうち、圧力分布の圧力が第1閾値Pth1から第2閾値Pth2の範囲に配置されている振動部20のみを振動対象に決定することで当初の振動対象を変更する。この変更により、乗員Uの着座姿勢や、シート4の各部位の位置や姿勢、乗員Uの身体の大きさの差異などに起因して、乗員Uの身体がシート面18に接触している箇所や接触度合いが異なっても、報知情報の伝達に寄与する振動部20のみが振動することで、確実な伝達を図りつつも、無駄な振動を抑えることができる。
【0031】
ただし、報知情報に対応する振動エリアの全域で、圧力が第2閾値Pth2を越えてしまっている場合、当該振動エリアにおいて、実際に振動させる振動部20は1つも存在しなくなる。この場合、振動変更部56は、当初の振動エリアの近く(例えば、当初の振動エリアに隣接する振動エリア)の振動部20のうち、圧力が第1閾値Pth1から第2閾値Pth2の範囲に配置されているものを振動する。
これにより、報知情報に対応する振動エリアに対する圧力が第2閾値Pth2を越え、当該振動エリアで発生させた振動が抑圧されてしまう場合、或いは、当該振動エリアに身体が接触していないといった場合であっても、近くの他の振動部20が代わりに振動することで、報知情報を確実に伝えることができる。
【0032】
振動態様の変更については、振動変更部56は、振動部20が発生する振動態様を、乗員Uに対して適切な強さの刺激を与える振動態様に変更する。
【0033】
詳述すると、乗員Uに報知情報を通知するための振動態様は、乗員Uに与える刺激が適切になるように予め設定されている。
しかしながら、振動が同じでも、乗員Uの身体がシート面18に強く密着するほど、乗員Uが感じる刺激は強くなるため、密着度によっては、振動の刺激が強すぎて乗員Uを驚かせたり、不快感を与えてしまったりすることがあり得る。これとは逆に、身体の密着が弱いと、振動の刺激が弱すぎて乗員Uへの報知情報の伝達が不正確になり得る。
そこで、本実施形態の振動変更部56は、圧力分布に応じて振動態様を変更することで、振動による刺激を、乗員Uのシート面18への密着度によらずに一定に維持している。具体的には、振動変更部56は、圧力分布において、圧力が第3閾値Pth3以上の場合は、乗員Uに与えられる刺激が弱まるように振動部20の振動態様を変更し、これとは逆に、第4閾値以下の場合は、刺激が強まるように振動部20の振動態様を変更している。第3閾値Pth3は、振動部20の規定の振動態様では乗員Uへの刺激が強すぎることを示す圧力であり、第4閾値Pth4は、振動部20の規定の振動態様では乗員Uへの刺激が弱すぎることを示す圧力である。
【0034】
なお、「規定の振動態様」は、報知情報ごとに予め設定された振動態様であって、これら第3閾値Pth3、及び第4閾値Pth4は報知情報ごとに設定される。例えば、居眠り情報を報知する場合、その他の報知情報に比べて強い刺激が乗員Uに与えられており、この事を踏まえて、居眠り情報に対応する第3閾値Pth3、及び第4閾値Pth4も適宜に調整される。
【0035】
また、振動変更部56は、刺激を一定にするための振動態様の変更を、振動に係る各種パラメータ(振幅や周波数、位相、振動波形(エンベロープ)、振動のリズム)を適宜に可変することで行う。例えば、振動変更部56は、圧力が高いほど振動を強めたり、振動の周波数を高めたりし、圧力の高低に応じて振動のリズムを可変したりすることで、報知情報ごとに規定された振動態様が与える刺激が、振動箇所の圧力にかかわらずに略一定に維持されるようにする。
【0036】
次いで本実施形態の動作について説明する。
図6は、報知システム1の動作を示すフローチャートである。
報知システム1は、車両2のACC電源がオンになると、始動開始状態(システムON)となる(ステップS1:Yes)。これに伴い、シート4の圧力測定部62がシート面18の圧力分布の測定を開始し、当該圧力分布の測定結果をリアルタイムに報知装置6に出力する(ステップS2)。
【0037】
その後、報知対象となる事象が発生するなどして、報知情報出力部3が報知情報を生成し報知信号を出力すると(ステップS3:Yes)、報知装置6にあっては、振動制御部52が報知信号に基づいて、報知情報に対応付いた振動エリアを特定し、当該振動エリアに含まれる振動部20を振動対象として特定する(ステップS4)。
一方、報知装置6にあっては、振動変更部56がシート面18の圧力分布に基づいて、振動対象の振動部20と振動態様との変更を決定し、変更結果を振動制御部52に出力する(ステップS5)。そして、振動制御部52は、変更結果に基づいて、変更後の振動で、変更後の振動部20を振動させる振動出力信号を生成し、当該振動出力信号を変更後の振動部20に出力する(ステップS6)。
振動部20のそれぞれは、振動出力信号にしたがって振動し(ステップS7)、この振動によって、報知情報が乗員Uに通知される。
【0038】
これらステップS2〜S7の処理は、報知信号の出力が停止するまでる(ステップS8:Yes)、すなわち、現在通知されている報知情報の報知が不要になるまで繰り返し実行される。これにより、報知情報の報知の間においても、シート4の各部位の調整や車両2の揺れ等によって乗員Uの着座姿勢が変わり圧力分布が変化したときには、その変化がステップS2で検出され、圧力分布の変化に応じて振動対象の振動部20、及び振動態様がリアルタイムに変更されることとなる。
【0039】
本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0040】
本実施形態の報知装置6は、着座者である乗員Uの接触によってシート4のシート面18に生じる圧力分布に基づいて、報知情報に対応した振動部20のそれぞれの振動を制御する。
これにより、乗員Uの着座姿勢や身体の大きさ等の差異にかかわらずに、報知情報を的確に乗員Uに伝えることができる。
【0041】
本実施形態の報知装置6は、報知情報に対応した振動部20のうち、圧力が第1閾値Pth1を下回っている範囲に配置されている振動部20を振動させない。この第1閾値Pth1は、乗員Uの身体がシート面18に接触していなか、或いは、振動の伝達には接触が十分でないことを示す圧力であり、これにより、報知情報の伝達に寄与し難い振動部20の無駄な振動を抑えることができる。
【0042】
本実施形態の報知装置6は、報知情報に対応した振動部20のうち、振動部20の振動が抑止される圧力の閾値である第2閾値Pth2以上の圧力の範囲に配置されている振動部20を振動させない。これにより、乗員Uの身体の接触により、振動部20の振動が抑圧される箇所、さらには、強い接触によって感覚が鈍化し振動が感覚として乗員Uに伝わり難くなる箇所での振動部20の無駄な振動を抑えることができる。
【0043】
本実施形態の報知装置6は、報知情報に対応した振動部20のいずれも、圧力が第1閾値Pth1から第2閾値Pth2の範囲に配置されていない場合、報知情報に対応した振動エリアの近くの他の振動部20を振動させる。
これにより、報知情報に対応する振動エリアに対する圧力が第2閾値Pth2を越え、当該振動エリアで発生させた振動が抑圧されてしまう場合、或いは、当該振動エリアに身体が接触していないといった場合であっても、近くの他の振動部20が代わりに振動することで、報知情報を確実に伝えることができる。
【0044】
本実施形態の報知装置6は、振動部20の振動が乗員Uに与える刺激を一定に維持するように、振動部20が配置されている箇所の圧力に基づいて当該振動部20の振動態様を変更する。
これにより、乗員Uのシート4への密着度によらずに、振動が与える刺激を一定に維持することができ、報知情報を確実、かつ適切に乗員Uに伝えることができる。
【0045】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
【0046】
上述した実施形態では、圧力センサを用いた圧力検出装置24によって、シート4のシート面18の圧力分布を検出する構成としたが、圧力分布の特定に、必ずしも圧力センサを用いる必要はない。
詳述すると、乗員Uの着座姿勢と圧力分布との間には相関があるため、圧力分布は着座姿勢に基づいて特定可能である。またシート4の各部位の位置、及び姿勢と乗員Uの身体の各部の姿勢との間にも相関があるため、乗員Uの着座姿勢は、シート4の各部位の位置、及び姿勢に基づいて特定可能である。
例えば図7に示すように、シートバック10の背もたれ面10Aの傾斜によって、乗員Uの着座姿勢が変わり、背もたれ面10A、及び座面8Aにおける圧力分布も変化する。具体的には、背もたれ面10Aが後方に傾斜するほど、背もたれ面10Aに加わる圧力が高くなり、同時に、座面8Aにおいては、圧力が広範囲に分散される傾向がみられる。
なお、実際には、背もたれ面10Aの傾斜角度だけでなく、座面8Aの高さや前後の位置といった、シート4の各部位の調整状態の組み合わせごとに圧力分布は異なる。
【0047】
したがって、シート4の各部位の位置、及び姿勢の調整状態(可動状態)をシート4から取得し、それぞれの調整状態(可動状態)の組み合わせに基づいて、シート面18における圧力分布を特定する圧力分布特定部を報知装置6に設けることで、圧力センサを用いずとも圧力分布を特定することができる。
【0048】
上述した実施形態では、車両2の前部座席を例にしてシート4を説明したが、シート4は後部座席であってもよい。またシート4には、上述した各部位の他にも、アームレストなどの他の部位が設けられていてもよい。後部座席に本発明を適用することで、例えば到着予定地に到着することを、後部座席の乗員Uに振動で通知することができる。
【0049】
また本発明のシート4は、車両2の座席に限らず、家庭やオフィス等の椅子でもよい。
【0050】
前掲図3は、本願発明を理解容易にするために、報知装置6の機能構成を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、報知装置6の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。
また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0051】
前掲図6のフローチャートの処理単位は、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。
【符号の説明】
【0052】
1 報知システム
2 車両
3 報知情報出力部
4 シート
6 報知装置
8A 座面
10A 背もたれ面
12A 正面
18 シート面
20 振動部
24 圧力検出装置
52 振動制御部
56 振動変更部
62 圧力測定部
U 乗員(着座者)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7