(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パラジウムと、ロジウムと、硫酸バリウム及び硫酸ストロンチウムから選択されるアルカリ土類金属の硫酸塩が担持されたアルミナと、を含む触媒層を有し、
前記触媒層を厚み方向に貫く仮想直線上で、前記触媒層を厚み方向に351等分する350個の点のそれぞれを測定点として、電子線マイクロアナライザにより前記パラジウム、ロジウム、及びアルカリ土類金属の特性X線強度を測定したときに、
下記数式(1)で与えられる相関係数ρ
Pd,AEが+0.75〜+1.00であり、ρ
Rh,AEが−1.00〜+0.25であることを特徴とする、排ガス浄化触媒。
【数1】
(数式(1)中、MはPd又はRhを表し;
AEはアルカリ土類金属を表し;
C
M,AEは、σ
M、及びσ
AEは、それぞれ、下記数式(2)〜(4)によって与えられる量である。)
【数2】
(数式(2)〜(4)中、iは1〜350の自然数であり;
I
M,iは、i番目の測定点におけるMの特性X線強度であり;
I
M,avは、下記数式(5)により与えられるMの特性X線強度の相加平均値であり;
I
AE,iは、i番目の測定点におけるアルカリ土類金属の特性X線強度であり;
I
AE,avは、下記数式(6)により与えられるアルカリ土類金属の特性X線強度の相加平均値であり;
【数3】
そして、
MがPdのときには、上記数式はパラジウムの特性X線強度を用いて計算され;
MがRhのときには、上記数式はロジウムの特性X線強度を用いて計算される。)
前記触媒層における前記アルカリ土類金属の硫酸塩の含有量が、前記アルカリ土類金属の硫酸塩が担持されたアルミナを基準として、0.1質量%〜20質量%である、請求項1又は2に記載の排ガス浄化触媒。
前記触媒層における前記アルカリ土類金属の硫酸塩の含有量が、前記基材の単位容積当たり、0.1g/L〜80g/Lである、請求項5又は6に記載の排ガス浄化触媒。
前記アルカリ土類金属の硫酸塩及びパラジウム前駆体を溶解した水溶液と、アルミナとを、所定の割合で混合したうえで不溶分を回収し、前記不溶分を乾燥して、アルカリ土類金属の硫酸塩及びパラジウムが担持されたアルミナを得る工程、並びに、
前記アルカリ土類金属の硫酸塩及びパラジウムが担持されたアルミナと、ロジウムの前駆体と、前記アルカリ土類金属の硫酸塩及びパラジウムが担持されたアルミナとは別個の担体とを、所定の割合で含有するスラリーを基材上にコートした後、焼成する工程
を含むことを特徴とする、請求項1〜6及び8のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
前記アルカリ土類金属の硫酸塩及びパラジウム前駆体を溶解した水溶液と、アルミナとを、所定の割合で混合したうえで不溶分を回収し、前記不溶分を乾燥して、アルカリ土類金属の硫酸塩及びパラジウムが担持されたアルミナを得る工程、並びに、
前記アルカリ土類金属の硫酸塩及びパラジウムが担持されたアルミナ、並びに前記アルカリ土類金属の硫酸塩及びパラジウムが担持されたアルミナとは別個の担体を含む酸化物粒子と、ロジウムの前駆体とを含有する原料混合物を焼成する工程
を含むことを特徴とする、請求項1〜4、7、及び8のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
排ガス浄化触媒がアルカリ土類金属の硫酸塩を含有する場合、該アルカリ土類金属硫酸塩は前述のとおり、PdのHC被毒を抑制する成分として働く。しかしながら該触媒にRhが更に担持含有されていると、アルカリ土類金属硫酸塩は、その近傍のRhに作用して、Rh酸化物の状態を安定化してしまい、Rh金属の有するNO
X浄化能を損なうことになる。
【0007】
本発明は、上記の現象を改善しようとしてなされた。その目的は、貴金属としてのPd及びRhと、アルカリ土類金属の硫酸塩と、を含有する触媒において、アルカリ土類金属硫酸塩によって、PdのHC被毒が効果的に抑制されるとともに、該アルカリ土類金属硫酸塩によるRhの酸化物状態の安定化が抑制され、Pd及びRh双方の触媒活性を長期間持続することができる、排ガス浄化触媒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を達成するために、以下の材料を提供するものである。
【0009】
[1] パラジウムと、ロジウムと、硫酸バリウム及び硫酸ストロンチウムから選択されるアルカリ土類金属の硫酸塩が担持されたアルミナと、を含む触媒層を有し、
前記触媒層を厚み方向に貫く仮想直線上で、前記触媒層を厚み方向に351等分する350個の点のそれぞれを測定点として、電子線マイクロアナライザにより前記パラジウム、ロジウム、及びアルカリ土類金属の特性X線強度を測定したときに、
下記数式(1)で与えられる相関係数ρ
Pd,AEが+0.75〜+1.00であり、ρ
Rh,AEが−1.00〜+0.25であることを特徴とする、排ガス浄化触媒。
【数1】
(数式(1)中、MはPd又はRhを表し;
AEはアルカリ土類金属を表し;
C
M,AEは、σ
M、及びσ
AEは、それぞれ、下記数式(2)〜(4)によって与えられる量である。)
【数2】
(数式(2)〜(4)中、iは1〜350の自然数であり;
I
M,iは、i番目の測定点におけるMの特性X線強度であり;
I
M,avは、下記数式(5)により与えられるMの特性X線強度の相加平均値であり;
I
AE,iは、i番目の測定点におけるアルカリ土類金属の特性X線強度であり;
I
AE,avは、下記数式(6)により与えられるアルカリ土類金属の特性X線強度の相加平均値であり;
【数3】
そして、
MがPdのときには、上記数式はパラジウムの特性X線強度を用いて計算され;
MがRhのときには、上記数式はロジウムの特性X線強度を用いて計算される。)
【0010】
[2] 上記数式(1)で与えられる相関係数ρ
Pd,AEが+0.85〜+1.00である、[1]に記載の排ガス浄化触媒。
【0011】
[3] 前記触媒層におけるアルカリ土類金属の硫酸塩の含有量が、前記基材の単位容積当たり、0.1g/L〜80g/Lである、[1]又は[2]に記載の排ガス浄化触媒。
【0012】
[4] 前記触媒層におけるアルカリ土類金属の硫酸塩の含有量が、アルカリ土類金属の硫酸塩が担持されたアルミナを基準として、0.1質量%〜20質量%である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
【0013】
[5] 前記触媒層におけるパラジウムの含有量S
Pdに対するアルカリ土類金属の硫酸塩の含有量S
AEの質量比S
AE/S
Pdが0.1〜80である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
【0014】
[6] 前記触媒層が基材上に形成されている、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
【0015】
[7] 前記触媒層が基材の一部を構成している、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
【0016】
[8] 前記触媒層の他に、パラジウムを含有する第2触媒層を更に有する、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒。
【0017】
[9] アルカリ土類金属硫酸塩及びパラジウムが担持されたアルミナと、
ロジウムの前駆体と、
上記アルカリ土類金属硫酸塩及びパラジウムが担持されたアルミナとは別個の担体と、
を、所定の割合で含有するスラリーを基体上にコートした後、焼成する工程を含むことを特徴とする、[1]〜[6]及び[8]のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
【0018】
[10] アルカリ土類金属硫酸塩及びパラジウムが担持されたアルミナ、並びに前記アルカリ土類金属硫酸塩及びパラジウムが担持されたアルミナとは別個の担体を含む酸化物粒子と、
ロジウムの前駆体と、
を含有する原料混合物を焼成する工程を含むことを特徴とする、[1]〜[5]、[7]、及び[8]のいずれか一項に記載の排ガス浄化触媒の製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、PdのHC被毒が効果的に抑制されるとともに、Rhの酸化物状態の安定化が抑制され、Pd及びRh双方の触媒活性を長期間持続することができる、排ガス浄化触媒が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の排ガス浄化触媒は、パラジウムと、ロジウムと、硫酸バリウム及び硫酸ストロンチウムから選択されるアルカリ土類金属の硫酸塩が担持されたアルミナと、を含む触媒層を有する。
【0022】
<基材>
本発明の排ガス浄化触媒は、基材を含んでいてよい。本発明の排ガス浄化触媒における基材としては、自動車用排ガス浄化触媒の基材として一般に使用されているものを使用することができる。例えば、モノリスハニカム基材、メタル基材等を挙げることができる。該基材の容量は、例えば1L程度とすることができる。
【0023】
基材を構成する材料としては、例えばコージェライト、SiC、ステンレス鋼、金属酸化物粒子等を挙げることができる。
【0024】
触媒層が基材の一部を構成する場合には、該基材は、パラジウムと、ロジウムと、硫酸バリウム及び硫酸ストロンチウムから選択されるアルカリ土類金属の硫酸塩が担持されたアルミナと、を含んでいてよい。
【0025】
<触媒層>
本発明の排ガス浄化触媒における触媒層は、パラジウム(Pd)と、ロジウム(Rh)と、硫酸バリウム及び硫酸ストロンチウムから選択されるアルカリ土類金属(AE)の硫酸塩が担持されたアルミナと、を含む。
【0026】
Pd、Rh、AE硫酸塩、及びアルミナは、いずれも、粒子状であることが好ましい。これらがそれぞれ粒子状である場合、その好ましい粒子径の範囲は以下のとおりである。
Pd:好ましくは1〜20nm、より好ましくは1〜15nm、更に好ましくは1〜10nm、特に1〜5nm
Rh:好ましくは1〜20nm、より好ましくは1〜15nm、更に好ましくは1〜10nm、特に1〜5nm
AE硫酸塩:好ましくは10〜100μm、より好ましくは10〜70μm、更に好ましくは10〜50μm、特に10〜20μm
アルミナ:好ましくは5〜80μm、より好ましくは10〜60μm、更に好ましくは15〜55μm、特に20〜45μm
【0027】
アルミナについてN
2を吸着媒としてBET法により測定した比表面積は、好ましくは50〜200m
2/g、より好ましくは70〜180m
2/g、等に好ましくは80〜160m
2/g、特に好ましくは90〜120m
2/gである。
【0028】
AE硫酸塩が担持されたアルミナにおけるAE硫酸塩の含有量(担持量)は、該AE硫酸塩が担持されたアルミナの質量(AE硫酸塩とアルミナとの合計の質量)を基準として、0.1質量%〜20質量%であることが、PdのHC被毒を効果的に抑制できるとともに、Rhと相互採用してRhの酸化状態を安定化する機会を減少する観点から、好ましい。AE硫酸塩の担持量は、上記の基準で、1質量%〜18質量%がより好ましく、3質量%〜16質量%が更に好ましく、5質量%〜14質量%が特に好ましく、とりわけ好ましくは8質量%〜12質量%である。
【0029】
Pd及びRhは、それぞれ、適当な担体上に担持された状態であることが好ましい。Pd及びRhは、それぞれ、AE硫酸塩が担持されたアルミナに、AE硫酸塩とともに担持されていてもよいし、AE硫酸塩が担持されたアルミナとは別個の担体に担持されていてもよい。この場合の触媒層は、パラジウムと、ロジウムと、硫酸バリウム及び硫酸ストロンチウムから選択されるアルカリ土類金属の硫酸塩が担持されたアルミナと、の他に、当該AE硫酸塩が担持されたアルミナとは別個の担体を含むものとなる。
【0030】
上記別個の担体としては、金属酸化物を好適に使用することができる。具体的には、例えば、アルミナ、CZ(セリア・ジルコニア複合酸化物)、ゼオライト等、及びこれらの混合物等を挙げることができる。これらの担体の好ましい粒子径およびBET比表面積は、それぞれ、以下のとおりである。
粒子径:X線回折(XRD)によって測定した値として、好ましくは0.5μm〜50μm、より好ましくは1μm〜30μm
BET比表面積:吸着媒にN
2を用いた測定値として、好ましくは50m
2/g〜200m
2/g、より好ましくは80m
2/g〜125m
2/g
【0031】
担体粒子として、好ましくはアルミナ及びCZから選択される1種以上を使用することである。後述のPdとAEとの相関係数ρ
Pd,AE、及びRhとAEとの相関係数ρ
Rh,AEの要件を充足するためには、PdはAE硫酸塩が担持されたアルミナにAEとともに担持されていることが好ましく、RhはAE硫酸塩が担持されたアルミナとは別個の担体に担持されていることが好ましい。この場合、RhはCZに担持されていることが、NO
x除去性能を長期間維持する観点から特に好ましい。
【0032】
Pdの担持量は、Pdと担体との合計の質量を基準として、0.5質量%〜15.0質量%とすることが、PdのHC被毒を抑制しつつ高いHC除去効率を得る点で好ましい。Pdの担持量は、上記の基準で、2.0質量%〜10.0質量%とすることがより好ましく、5.0質量%〜8.0質量%とすることが更に好ましい。
【0033】
本発明の排ガス浄化触媒における触媒層は、これに含有されるPdの含有量S
PdとAE硫酸塩の含有量S
AEとの質量比S
AE/S
Pdを0.1〜80の範囲に設定することが、高いHC除去性能を長期間維持する観点から好ましい。この値は、0.5〜10.0とすることがより好ましく、0.5〜0.7とすることが更に好ましい。
【0034】
Rhの担持量は、Rhと担体との合計の質量を基準として、0.5質量%〜15.0質量%とすることが、PdのHC被毒を抑制しつつ高いHC除去効率を得る点で好ましい。Pdの担持量は、上記の基準で、2.0質量%〜10.0質量%とすることがより好ましく、5.0質量%〜8.0質量%とすることが更に好ましい。
【0035】
本発明は、排ガス浄化触媒の触媒層におけるPd、Rh、及びAEの濃度分布に着目し、触媒層の厚さ方向におけるPdとAEとの濃度分布の相関が高く、且つ、同方向におけるRhとAEとの濃度分布の相関が低い場合に、HC及びNO
xの除去性能に優れることを明らかにするものである。PdとAEとの濃度相関が高いことにより、Pdの近傍にAEが存在する確率が高いこととなる。このことにより、AEによるPdのHC被毒の抑制効果が効果的に発揮され、高度のHC除去性能が維持される。一方、RhとAEとの濃度相関が低いことにより、Rhの近傍にAEが存在する確率が低いこととなる。このことにより、AEによるRhの酸化状態の安定化を抑制することができ、RhのNO
x除去性能が長期間維持されることとなるのである。
【0036】
上記の濃度相関は、定量的には電子線マイクロアナライザにより測定される。具体的な測定手順は、以下のとおりとすることができる。
【0037】
先ず、触媒層を厚み方向に貫く直線を想定する。次に、該仮想直線上で、前記触媒層を厚み方向に351等分する350個の点のそれぞれを測定点として設定する。これらの測定点について、それぞれ、電子線マイクロアナライザによりPd、Rh、及びAEの特性X線強度を測定する。そして、下記数式(1)により、PdとAEとの相関係数ρ
Pd,AE、及びRhとAEとの相関係数ρ
Rh,AEを評価するのである。
【0038】
【数4】
(数式(1)中、MはPd又はRhを表し;
AEはアルカリ土類金属を表し;
C
M,AEは、σ
M、及びσ
AEは、それぞれ、下記数式(2)〜(4)によって与えられる量である。)
【数5】
(数式(2)〜(4)中、iは1〜350の自然数であり;
I
M,iは、i番目の交点におけるMの特性X線強度であり;
I
M,avは、下記数式(5)により与えられるMの特性X線強度の相加平均値であり;
I
AE,iは、i番目の交点におけるアルカリ土類金属の特性X線強度であり;
I
AE,avは、下記数式(6)により与えられるアルカリ土類金属の特性X線強度の相加平均値であり;
【数6】
そして、
MがPdのときには、上記数式はパラジウムの特性X線強度を用いて計算され;
MがRhのときには、上記数式はロジウムの特性X線強度を用いて計算される。)
【0039】
本発明においては、上記のようにして測定されたPdとAEとの相関係数ρ
Rh,AEが+0.75〜+1.00であり、RhとAEとの相関係数ρ
Rh,AEが−1.00〜+0.25であることを要件とする。両相関係数を上記の範囲に調整することにより、
PdのHC被毒を抑えつつ、Rh酸化状態の安定化を抑制するという本発明の効果が良好に発揮されることとなる。ρ
Pd,AEは、+0.80〜+1.00であることが好ましく、+0.85〜+1.00であることがより好ましく、+0.90〜+1.00であることが更に好ましい。ρ
Rh,AEは、−0.50〜+0.25であることが好ましく、−0.25〜+0.20であることがより好ましく、0.00〜+0.10であることが更に好ましい。
【0040】
触媒層の量は、本発明の排ガス浄化触媒が基材を有する場合、基材容量1L当たりの触媒層質量として、10g/L〜1,000g/Lとすることが好ましく、50g/L〜750g/Lとすることがより好ましく、75g/L〜500g/Lとすることが更に好ましく、特に100g/L〜450g/Lとすることが好ましい。
【0041】
上記の触媒層におけるAE硫酸塩の含有量は、本発明の排ガス浄化触媒が基材を有する場合、基材容量1L当たり、0.1g/L〜80g/Lに調整することが、PdのHC被毒が効果的に抑制されるとともに、Rhの酸化物状態の安定化が抑制されることとなり、従ってPd及びRh双方の触媒活性を長期間持続することができることから好ましい。この値は、より好ましくは1g/L〜60g/Lであり、更に好ましくは3g/L〜40g/Lであり、特に好ましくは5g/L〜20g/Lであり、7.5g/L〜15g/Lとすることがとりわけ好ましい。
【0042】
<排ガス浄化触媒の製造>
本発明の排ガス浄化触媒は、上記のような触媒層を有するものである限り、どのような方法によって製造されたものであってもよい。以下のいずれかの製造方法を例示することができる。
【0043】
[第1の製造方法]
本発明の排ガス浄化触媒を製造する好ましい手法としては、例えば、
AE硫酸塩及びPdが担持されたアルミナと、
Rhの前駆体と、
上記AE硫酸塩及びPdが担持されたアルミナとは別個の担体と、
を、所定の割合で含有するスラリーを基体上にコートした後、焼成する工程を含む方法。
【0044】
[第2の製造方法]
アルカリ土類金属硫酸塩及びPdが担持されたアルミナ、並びに前記アルカリ土類金属硫酸塩及びPdが担持されたアルミナとは別個の担体を含む酸化物粒子と、
Rhの前駆体と、
を含有する原料混合物を焼成する工程を含む方法。
【0045】
上記AE硫酸塩及びPdが担持されたアルミナとは別個の担体としては、CZが好ましい。
【0046】
本発明の第1の製造方法によると、基材上に触媒層を有する排ガス浄化触媒が得られる。第2の製造法によると、触媒層が基材の一部を構成する排ガス浄化触媒が得られる。以下、上記第1及び第2の製造方法について順次に説明する。
【0047】
1.第1の製造方法
本発明の第1の製造方法における基材としては、排ガス浄化触媒が有すべき所望の基材を選択して用いることができる。例えば上述したような、コージェライト、金属酸化物粒子等から構成されるモノリスハニカム基材である。
【0048】
上記のような基材上に触媒層をコートするために用いられるスラリーは、アルカリ土類金属硫酸塩及びPdが担持されたアルミナ、並びに前記アルカリ土類金属硫酸塩及びPdが担持されたアルミナとは別個の担体を含む酸化物粒子と、
Rhの前駆体と、
を含有する。スラリーの分散媒としては水が好ましい。
【0049】
上記AE硫酸塩及びPdが担持されたアルミナは、例えば、水中にAE硫酸塩及びPd前駆体を溶解した水溶液と、アルミナとを、所定の割合で混合したうえで不溶分を回収し、該不溶分を乾燥することによって得ることができる。Pd前駆体としては水溶性のPd塩を好適に使用することができる。具体的には、例えば、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、硫酸パラジウム等を挙げることができるが、溶媒に対する溶解性の観点から、硝酸パラジウムが好ましい。
【0050】
Rhの前駆体としては水溶性のRh塩を好適に使用することができる。具体的には、例えば、塩化ロジウム、塩化ロジウムナトリウム、塩化ロジウム五アミン、カルボニルアセチルロジウム等を挙げることができるが、水溶性の観点から、塩化ロジウムが好ましい。
【0051】
コート方法としては、例えば、ディップ法、流し込み法、押し上げ法等の公知の方法を制限なく採用することができる。スラリーのコート後、必要に応じて溶媒を除去するための工程を行ってもよい。この工程は、例えば60〜300℃、好ましくは120〜250℃の温度において、例えば5〜120分、好ましくは10〜60分加熱する方法によることができる。
【0052】
焼成における加熱温度は、例えば300℃を越え1,000℃以下とすることができ、好ましくは400℃〜1,000℃である。加熱時間は、例えば0.1〜10時間とすることができ、好ましくは0.5〜5時間である。
【0053】
2.第2の製造方法
本発明の第2の製造方法は、基材を構成する金属酸化物粒子の一部又は全部として、アルカリ土類金属硫酸塩及びPdが担持されたアルミナ、並びに前記アルカリ土類金属硫酸塩及びPdが担持されたアルミナとは別個の担体を含む酸化物粒子を用い、これらとRhの前駆体とを原料として、例えば特許文献7に記載の方法に準じて行うことができる。
【0054】
触媒層が基材の一部を構成する場合、該基材は、具体的には例えば、本発明所定のアルカリ土類金属硫酸塩及びPdが担持されたアルミナ、並びに前記アルカリ土類金属硫酸塩及びPdが担持されたアルミナとは別個の担体を含む酸化物粒子を、Rhの前駆体と混合し、更に水及びバインダーを加えて得られる原料混合物を焼成することにより、得ることができる。原料混合物は、混錬した後に、所定の形状に押出成形されてよく、焼成に先立って乾燥を行ってもよい。
【0055】
<排ガス浄化触媒>
本発明の排ガス浄化触媒は、上記のような触媒層を有する。上記触媒層は、単層であってもよいし、多層であってもよい。
【0056】
本発明の排ガス浄化触媒が本発明所定の触媒層とは別の基材を有するものである場合、該触媒は、上記基材、及び単層又は多層の上記触媒層(第1の触媒層)のみから成っていてもよいし、これらの他に、第1の触媒層に該当しない他の触媒層(第2の触媒層)を更に有していてもよい。本発明の排ガス浄化触媒において、第1の触媒層とこの第2の触媒層との存在順は任意である。例えば、以下の3種の構成が例示できる。
【0057】
(1)基材上に該基材と接する態様で第1の触媒層が存在し、該第1の触媒層上に該第1の触媒層と接する態様で第2の触媒層が存在している構成。
(2)基材上に該基材と接する態様で第2の触媒層が存在し、該第2の触媒層上に該第2の触媒層と接する態様で第1の触媒層が存在している構成。この構成の触媒が、上記第1の製造方法の説明において、「基材」を「第2の触媒層を有する基材」と読み替えたうえで同様の手法によって製造できることは、当業者に明らかであろう。
(3)第2の触媒層が基材の一部を構成し、該基材と接する態様で第1の触媒層が存在している構成。この構成の触媒は、後述のようにして形成された第2の触媒層を含む基材上に、上記第1の製造方法の説明において、「基材」を「第2の触媒層がその一部を構成する基材」と読み替えたうえで同様の手法によって製造できることは、当業者に明らかであろう。
【0058】
上記第2の触媒層としては、Pdを含有する触媒層であることが好ましい。ただし、該Pdを含有する触媒層が本発明所定の触媒層(第1の触媒層)に該当する場合は、この第2の触媒層からは除かれる。
【0059】
上記第2の触媒層におけるPdは、適当な担体に担持されて含有されていることが好ましい。この場合の担体としては、例えば、アルミナ、CZ(セリア・ジルコニア複合酸化物)、ゼオライト等、及びこれらの混合物等を挙げることができる。特に好ましくはアルミナとCZとの混合物を用いることである。
【0060】
本発明の排ガス浄化触媒における第2の触媒層の量は、本発明の排ガス浄化触媒が第2の触媒層とは別の基材を有するものである場合、基材容量1L当たりの触媒層質量として、10g/L〜500g/Lとすることが好ましく、50g/L〜400g/Lとすることがより好ましく、75g/L〜300g/Lとすることが更に好ましく、特に100g/L〜200g/Lとすることが好ましい。
【0061】
上記第2の触媒層は、公知の構成を有する触媒層であってよい。
【0062】
基材、又は第1の触媒層を有する基材上に形成されたコート層である第2の触媒層は、例えば、所望の金属酸化物及びPd前駆体を含み、必要に応じてバインダーを更に含むスラリーを用いて、公知の手法、例えばコート法により形成することができる。
【0063】
第2の触媒層が一部を構成する基材は、例えば、所望の金属酸化物及びPd前駆体を含み、必要に応じてバインダーを更に含む原料混合物を焼成することにより、得ることができる。原料混合物は、混錬した後に、所定の形状に押出成形されてよく、焼成に先立って乾燥を行ってもよい。
【0064】
上記のようにして製造された本発明の排ガス浄化触媒は、PdのHC被毒が効果的に抑制されるとともに、Rhの酸化物状態の安定化が抑制され、Pd及びRh双方の触媒活性を長期間持続することができる。本発明の排ガス浄化触媒は、例えば自動車の排ガス浄化触媒として好適に適用することができる。
【実施例】
【0065】
下記の実施例及び比較例において、
基材としては、全長:100mm、容量:1.0L、セル数:900セル/in
2のモノリスハニカム基材を、
アルミナとしては、平均粒子径30μm、及びBET比表面積150m
2/gのアルミナ粒子を、
セリウム−ジルコニウム複合酸化物としては、Ce:Zr=7:3(酸化物換算の質量比)、平均粒子径3μm、及びBET比表面積80m
2/gの粒子を、
それぞれ使用した。
【0066】
<実施例1>
アルミナと、該アルミナに対して0.1質量%相当量の硫酸バリウムと、形成される触媒層当たりのPd金属換算値として1.0g相当量の硝酸パラジウムを含有する水溶液と、を混合した後、乾燥して、硫酸バリウム及びPdが担持されたアルミナ(Ba−Pd/Al
2O
3)を得た。
【0067】
セリウム−ジルコニウム複合酸化物(CZ):100gと、形成される触媒層当たりのRh金属換算値として1.0g相当量の硝酸ロジウムを含有する水溶液とを混合した後、上記のBa−Pd/Al
2O
3:100gを更に添加して、スラリーを得た。
【0068】
上記スラリーを、モノリスハニカム基材にコートし、250℃において1時間乾燥した後、500℃において1時間焼成することにより、基材上にコート量:201.0gの触媒層を有する触媒を調製した。
【0069】
<実施例2〜4、並びに比較例1及び2>
Ba−Pd/Al
2O
3における硫酸バリウム及びPdの担持量、並びに該Ba−Pd/Al
2O
3の使用量、並びに触媒層のコート量を、それぞれ、表1に記載のとおりとした他は実施例1と同様にして、触媒を調製した。
【0070】
<比較例3>
アルミナ:89gと、Pd金属換算基として1質量%相当量の硝酸パラジウムを含有する水溶液と、CZ:100gと、Rh金属換算値として1.0g相当量の硝酸ロジウムを含有する水溶液と、10質量%相当量の硫酸バリウムと、を、上記に記載の順で混合して、スラリーを得た。このスラリーを用いた他は実施例1と同様にして触媒を調製した。
【0071】
<比較例4>
実施例1と同様にして調製したBa−Pd/Al
2O
3:100gと、CZ:100gと、硫酸バリウム10gと、形成される触媒層当たりのRh金属換算値として1.0g相当量の硝酸ロジウムを含有する水溶液と、を、この順で混合して、スラリーを得た。このスラリーを用いた他は実施例1と同様にして触媒を調製した。
【0072】
【表1】
【0073】
<実施例5>
Ba−Pd/Al
2O
3)として、10質量%の硫酸バリウム及びコート層当たり0.5g相当のPdが担持されたアルミナ:50gを使用し、CZの使用量を50gとした他は実施例1と同様にして、基材上にコート量:101.0gの触媒層(第1の触媒層)を形成した。
【0074】
別途、アルミナ:50g、CZ:50g、及び形成される触媒層当たりのPd金属換算値として0.5g相当量の硝酸パラジウムを含有する水溶液を混合して、第2の触媒層用スラリーを得た。
【0075】
上記第2の触媒層用スラリーを、上記の第1の触媒層を形成した基材にコートし、250℃において1時間乾燥した後、500℃において1時間焼成することにより、第1の触媒層上にコート量:100.5gの第2の触媒層を更に有する触媒を調製した。
【0076】
<実施例6>
第1の触媒層と第2の触媒層とのコート順を逆にした他は上記実施例5と同様にして触媒を調製した。
【0077】
<実施例7及び比較例5>
スラリー調製時の各成分の種類及び使用量を、それぞれ、表2に記載のとおりとした他は実施例5と同様にして触媒を調製した。
【0078】
<比較例6>
アルミナ:44.5gと、CZ:50gと、硫酸バリウム5gと、形成される触媒層当たりのPd金属換算基として0.5質量%相当量の硝酸パラジウムを含有する水溶液と、Rh金属換算値として1.0g相当量の硝酸ロジウムを含有する水溶液と、を混合して、スラリーを得た。このスラリーを第1の触媒層用スラリーとして用いた他は実施例5と同様にして、触媒を調製した。
【0079】
<比較例7>
第1の触媒層と第2の触媒層とのコート順を逆にした他は上記比較例6と同様にして触媒を調製した。
【0080】
【表2】
【0081】
<相関係数の算出>
上記各実施例及び各比較例で調製した触媒における第1の触媒層について、JEOL製の電子線マイクロアナライザ、型式「HYPER PROBE JXA−8530F」を使用して、加速電圧:20kVの条件下で測定した各元素の特性X線強度から算出した相関係数ρ
Pd,AE及びρ
Rh,AEの値を表3に示した。
【0082】
<耐久性能評価>
上記各実施例及び各比較例で調製した触媒を、10万km相当の耐久を行った後に、排気量1.6Lエンジンを装備した実機車両へ搭載し、NEDCモード走行時の非メタン炭化水素(NMHC)及び窒素酸化物(NO
x)のコールドエミッションを測定した。測定結果は表3に合わせて示した。また、相関係数ρ
Pd,AE及びρ
Rh,AEと、非メタン炭化水素(NMHC)及び窒素酸化物(NO
x)のコールドエミッションとの関係を表すグラフを
図1に示した。
【0083】
【表3】